(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気移動体の充電サービスにおける電力の取引処理をユーザが所持する携帯通信端末を介してサーバ装置に行わせる電気移動体用充電装置において前記電気移動体に搭載されたバッテリを充電する電気移動体用充電方法であって、
第1の携帯通信端末を所持する第1のユーザの電気移動体のバッテリへの充電が完了したことを検出する充電完了検出ステップと、
前記充電の完了後に前記第1のユーザが実行する予め定められた充電終了作業が終了したことを検出する充電終了作業検出ステップと、
前記充電完了検出ステップにおいて前記充電の完了を検出してから前記充電終了作業検出ステップにおいて前記充電終了作業の終了を検出するまでの間に第2のユーザが所持する第2の携帯通信端末を探索する携帯通信端末探索ステップと、
探索により認識された前記第2の携帯通信端末との通信を確立する通信確立ステップと、
前記第2のユーザが前記第2の携帯通信端末を操作して前記電気移動体用充電装置の明け渡しを前記サーバ装置に要求した際に前記サーバ装置が前記第1の携帯通信端末に対して明け渡しを要求した後に明け渡し要求の完了を示す明渡要求完了コードを前記第2の携帯通信端末を介して前記サーバ装置から受信する明渡要求完了コード受信ステップと、
受信した明渡要求完了コードに基づいて前記明け渡しの要求が完了した旨を前記第2のユーザに報知する報知ステップと、
を含むことを特徴とする電気移動体用充電方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明に係る電気移動体用充電システムを、電気自動車に搭載されたバッテリを急速充電する急速充電システムに適用した例を挙げて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、本実施形態における急速充電システムの構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態における急速充電システム1は、急速充電器10、第1の携帯通信端末20、第2の携帯通信端末100、サーバ装置30を備え、電気自動車に対して充電サービスを提供するものである。この急速充電システム1は、本発明に係る電気移動体用充電システムを構成する。
【0015】
図1において、第1の携帯通信端末20は、急速充電器10を現在利用しているユーザ(以下「現ユーザ」という。)が所持する携帯通信端末であり、第2の携帯通信端末100は、急速充電器10を現ユーザの次に利用しようとしているユーザ(以下「次ユーザ」という。)が所持する携帯通信端末である。なお、ユーザを特定しない場合は、単に「ユーザ」と呼称する。ここで、現ユーザ及び次ユーザは、それぞれ、本発明に係る第1及び第2のユーザに対応する。
【0016】
急速充電器10は、比較的短距離な無線通信、例えば無線LAN(Local Area Network)規格に従った無線通信により第1の携帯通信端末20及び第2の携帯通信端末100と通信するようになっている。第1の携帯通信端末20及び第2の携帯通信端末100は、PDA(Personal Data Assistance)が備える情報管理機能と携帯電話機が備える通話機能との両方を備えたスマートフォンと呼ばれるものであり、例えば無線LAN規格に従って急速充電器10と通信する機能と、例えば第3世代と呼ばれる携帯電話の通信規格に従ってサーバ装置30と通信する機能と、を有する。サーバ装置30は、急速充電器10を利用するユーザの認証処理や、充電サービスにおける電力の取引処理を行うようになっている。急速充電システム1は、認証処理及び取引処理を行うため、例えば公開鍵暗号方式と呼ばれる暗号方式を用いる。以下、各構成について説明する。
【0017】
急速充電器10は、ユーザ情報取得部11、充電器情報取得部12、コード生成部13、充電情報取得部14、第1暗号部15、第2暗号部16、無線通信部17、照合部18、充電制御装置19、給電コネクタ保持部101、報知部102を備える。この急速充電器10は、本発明に係る電気移動体用充電装置を構成する。
【0018】
ユーザ情報取得部11は、急速充電器10を利用するユーザの情報(例えばユーザID)を取得するようになっている。
【0019】
充電器情報取得部12は、急速充電器10の個体識別情報(例えば充電器ID)、急速充電器10内で発生したエラー情報、内蔵の時計が出力する現在時刻情報等を充電器情報として取得するようになっている。なお、個体識別情報、エラー情報は、急速充電器10内に設けられたメモリ(図示省略)に記憶されている。
【0020】
コード生成部13は、充電サービスの提供ごとに、1回しか使えない使い捨てのコードであるワンタイムコードを発生するようになっている。
【0021】
充電情報取得部14は、充電サービスの提供による充電結果を示す充電結果情報を取得するようになっている。充電結果情報は、充電時間、充電電力量、充電開始時刻、充電終了時刻、充電開始時電池残量、充電終了時電池残量、充電時に発生したエラー情報等を含む。
【0022】
第1暗号部15は、サーバ装置30から予め取得した第1の暗号鍵(公開鍵)を用いて入力情報を暗号化するようになっている。以下、第1の暗号鍵を用いて暗号化することを「第1暗号化方式」という。
【0023】
第2暗号部16は、サーバ装置30から予め取得した第2の暗号鍵(公開鍵)を用いて入力情報を暗号化するようになっている。以下、第2の暗号鍵を用いて暗号化することを「第2暗号化方式」という。
【0024】
無線通信部17は、例えばIEEE802.11b規格を用いたWiFi(登録商標)方式により、第1の携帯通信端末20及び第2の携帯通信端末100と無線通信を行うように構成されている。この無線通信部17は、本発明に係る通信確立手段及び明渡要求完了コード受信手段を構成する。
【0025】
照合部18は、第2暗号部16の出力情報と、無線通信部17の受信情報とを照合するようになっている。
【0026】
充電制御装置19は、図示を省略したが、電気自動車の受電コネクタに接続する給電コネクタ、受電コネクタと給電コネクタとをロックするロック駆動部、給電コネクタに接続された給電ケーブル、直流電流を出力するパワーユニット、ユーザが操作する操作パネル、各種情報を表示する表示パネル、各種ガイダンス音声を出力するスピーカ、装置内の全体的な制御を行う制御部等を有している。この充電制御装置19は、本発明に係る充電完了検出手段及び携帯通信端末探索手段を構成する。
【0027】
充電制御装置19のロック駆動部は、充電開始時に給電コネクタを受電コネクタにロックし、充電終了時に給電コネクタのロックを解除するようになっている。
【0028】
給電コネクタ保持部101は、図示しない給電コネクタを予め定められた保管位置に着脱自在に保持するようになっている。この給電コネクタ保持部101には、給電コネクタが保管位置に保持されているか否かを検知するセンサが取り付けられており、このセンサの検出信号は充電制御装置19に出力されるようになっている。
【0029】
したがって、充電制御装置19は、給電コネクタが保管位置に保持されているか否かを検出することができるようになっており、給電コネクタが保管位置に保持されていることを検出した場合は、充電の完了後にユーザが実行する予め定められた充電終了作業が終了したものと判断するようになっている。すなわち、充電制御装置19及び給電コネクタ保持部101は、本発明に係る充電終了作業検出手段を構成する。
【0030】
充電終了後において、給電コネクタが保管位置に保持されていない場合は、充電制御装置19は、給電コネクタが返却されていない旨を示す給電コネクタ未返却信号を報知部102に出力するようになっている。
【0031】
ここで、前述の充電終了作業について説明する。本実施形態において充電終了作業とは、ユーザが充電終了後に給電コネクタを保管位置に戻すことをいうが、本発明はこれに限定されず、急速充電器10を次に利用しようとするユーザが正規手順で急速充電器10の使用を開始できる状態にすることをいう。
【0032】
例えば、給電コネクタが、扉を有するボックスに格納される構成における充電終了作業とは、ユーザが充電終了後に給電コネクタをボックス内に格納して扉を閉じることをいう。この場合、給電コネクタがボックス内に格納されたことと、扉が閉じられたこととを検知するセンサを設けることにより、充電制御装置19は、充電終了作業が終了したか否かを判断することができる。
【0033】
報知部102は、所定のメッセージを表示する表示パネル、メッセージの音声や警告音を出力する音声出力装置を備えている。そして、報知部91は、急速充電器10の明け渡しをユーザに促すメッセージの表示やメッセージの音声出力、警告音の出力を実行するようになっている。また、報知部102は、充電終了後において、充電制御装置19から給電コネクタ未返却信号を受信した場合は、給電コネクタを保管位置に戻すよう報知するようになっている。この報知部102は、本発明に係る報知手段を構成する。
【0034】
第1の携帯通信端末20は、第1無線通信部21、第2無線通信部22、プログラムメモリ23、タッチパネル24、制御部25を備える。なお、第2の携帯通信端末100は、第1の携帯通信端末20と構成が同様であるので、詳細構成の図示を省略している。
【0035】
第1無線通信部21は、例えばWiFi方式の通信規格に従って急速充電器10の無線通信部17と通信するようになっている。この第1無線通信部21は、本発明に係る第1無線通信手段を構成する。
【0036】
第2無線通信部22は、例えば広帯域符号分割多元接続(W−CDMA:Wideband-Code Division Multiple Access)方式の通信規格に従って、通信事業者の有するネットワーク5を介し、サーバ装置30と通信するようになっている。この第2無線通信部22は、本発明に係る第2無線通信手段を構成する。
【0037】
プログラムメモリ23は、第1の携帯通信端末20が急速充電器10及びサーバ装置30との各通信で用いる各アプリケーションのプログラムを予め記憶している。
【0038】
タッチパネル24は、各アプリケーションによる各種情報の入出力画面の表示機能、ユーザが指やペン等でタッチして入力した情報を取得する機能を有する。このタッチパネル24は、本発明に係る報知手段を構成する。
【0039】
制御部25は、CPU、ROM、RAM、インタフェース等を備え、ROMに記憶されたプログラムに従って動作するようになっている。また、制御部25は、プログラムメモリ23に記憶された各アプリケーションのプログラムを実行するようになっている。
【0040】
サーバ装置30は、無線通信部31、復号部32、管理情報蓄積部33、充電器情報蓄積部34、コード照合部35、充電器情報更新部36、暗号部37、課金決済部38、明け渡し要求部(以下「明渡要求部」と記す。)39を備える。
【0041】
無線通信部31は、例えばW−CDMA方式の通信規格に従って、ネットワーク5を介し、第1の携帯通信端末20及び第2の携帯通信端末100と通信するようになっている。この無線通信部31は、本発明に係る無線通信手段を構成する。
【0042】
復号部32は、第1暗号化方式によって暗号化された情報を、第1の暗号鍵に対応する復号鍵(秘密鍵)を用いて復号化するようになっている。
【0043】
管理情報蓄積部33は、急速充電システム1を利用する各ユーザのユーザ情報や、急速充電器10を含む複数の急速充電器の情報を蓄積している。
【0044】
充電器情報蓄積部34は、急速充電器10を含む複数の急速充電器を維持管理するための充電器管理情報を蓄積している。充電器管理情報は、急速充電器ごとの、開始コード、充電電力量、エラー情報等の履歴情報を含む。
【0045】
コード照合部35は、復号部32が復号した情報と、管理情報蓄積部33又は充電器情報蓄積部34に蓄積された情報とを照合するようになっている。このコード照合部35は、本発明に係る認証手段を構成する。
【0046】
充電器情報更新部36は、復号部32が復号化した充電完了コードに含まれる充電器情報及び充電結果情報を参照し、充電器情報蓄積部34内の充電器管理情報を更新するようになっている。
【0047】
暗号部37は、コード照合部35による照合結果に基づき、所定の情報を第2暗号化方式によって暗号化して出力するようになっている。
【0048】
課金決済部38は、コード照合部35による照合結果に基づいて、無線通信部31及びネットワーク5を介してクレジット会社の所有する課金決済サーバ41と通信を行い、課金決済のための所定の処理を行うようになっている。
【0049】
明渡要求部39は、現ユーザの電気自動車への充電が完了した後に、次ユーザが急速充電器10の明け渡しを要求した場合、現ユーザが所有する第1の携帯通信端末20に対して、急速充電器10の明け渡しを要求するため、発呼により回線接続して音声出力する処理や、メールを送信する処理(以下、これらを「メール送信等」という。)を実行して、現ユーザに急速充電器10の明け渡しを要求するようになっている。
【0050】
次に、本実施形態における急速充電システム1の動作について説明する。急速充電システム1は、
図2に示すように、通信回線確立処理(ステップS1)、認証処理(ステップS2)、急速充電処理(ステップS3)、取引処理(ステップS4)を行う。
【0051】
最初に、通信回線確立処理(
図2ステップS1)について、
図1に示したブロック構成図及び
図3に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0052】
急速充電器10の無線通信部17は、無線LAN(例えばWiFi)の電波を送信(ステップS11)することにより通信エリアを形成する。この通信エリア内に第1の携帯通信端末20が入ると、無線LAN選択の画面がタッチパネル24に表示される(ステップS12)。
【0053】
タッチパネル24に表示される無線LAN選択の画面の一例を
図4(a)に示す。
図4(a)では、無線LAN−A(急速充電器10が形成)を選択するボタン24aと、無線LAN−Bを選択するボタン24bと、無線LAN−Cを選択するボタン24cとがタッチパネル24に表示されている。ボタン24aを現ユーザがタッチする操作により、急速充電器10によって形成された無線LAN−Aが選択される(
図3ステップS13)。
【0054】
その後、第1の携帯通信端末20から急速充電器10に、ユーザ情報や、必要であれば暗証番号等の情報が送信され(ステップS14)、両者間の通信確立処理が実行される(ステップS15)。
【0055】
急速充電器10と第1の携帯通信端末20との間で通信が確立した後、現ユーザが急速充電を行うためのアプリケーションを実行すると、例えば
図4(b)に示すような画面がタッチパネル24に表示され、急速充電器10の使用の意図が確認される。
図4(b)には、「急速充電器使用」を実行するボタン24d、「急速充電器使用」をキャンセルするキャンセルボタン24eが表示されている。現ユーザがボタン24dを選択することにより、使用要求信号が急速充電器10に送信される(
図3ステップS16)。
【0056】
使用要求信号を受信した急速充電器10は、サーバ装置30を指定する信号を、第1の携帯通信端末20を介してサーバ装置30に送信し(ステップS17)、第1の携帯通信端末20とサーバ装置30との間の通信確立処理が実行される(ステップS18)。
【0057】
サーバ装置30は、現ユーザ及び急速充電器10の認証を行うための認証要求信号を、第1の携帯通信端末20を介して急速充電器10に送信する(ステップS19)。
【0058】
次に、認証処理(
図2ステップS2)について、
図1に示したブロック構成図及び
図5に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0059】
急速充電器10の第1暗号部15は、各種情報を取得する(ステップS21)。すなわち、第1暗号部15は、ユーザ情報取得部11からユーザ情報、充電器情報取得部12から充電器情報、コード生成部13からワンタイムコードを取得する。
【0060】
続いて、第1暗号部15は、取得した各種情報から充電開始コードを生成する(ステップS22)。
【0061】
図6に充電開始コードの一例を示す。
図6において、充電開始コード42は、ユーザ情報42a、充電器情報42b、ワンタイムコード42cを含む。図示の例では、ユーザ情報42aは、ユーザIDで構成されている。また、充電器情報42bは、充電器ID、充電器型式、充電器時刻、エラーコードの各情報を含む。
【0062】
図5に戻り、第1暗号部15は、第1暗号化方式によって充電開始コードを暗号化し(ステップS23)、無線通信部17に出力する。
【0063】
一方、第2暗号部16は、第1暗号部15と同様に、ユーザ情報、充電器情報、ワンタイムコードを取得して充電開始コードを生成し、第2暗号化方式によって充電開始コードを暗号化し(ステップS24)、照合部18に出力する。
【0064】
無線通信部17は、第1の携帯通信端末20及びネットワーク5を介し、暗号化された充電開始コードをサーバ装置30に送信する(ステップS25)。
【0065】
サーバ装置30の無線通信部31は、暗号化された充電開始コードを受信し、復号部32に出力する。復号部32は、暗号化された充電開始コードを復号鍵により復号化し(ステップS26)、コード照合部35に出力する。
【0066】
コード照合部35は、管理情報蓄積部33から、ユーザ情報及び充電器情報を読み出し、充電開始コードに含まれるユーザ情報及び充電器情報と照合し(ステップS27)、現ユーザ及び充電器の認証に成功したか否かを判断する(ステップS28)。ここで、コード照合部35は、管理情報蓄積部33から読み出したユーザ情報及び充電器情報と、充電開始コードに含まれるユーザ情報及び充電器情報とが一致した場合は、現ユーザ及び充電器の認証に成功したと判断し、それ以外の場合は現ユーザ及び充電器の認証に成功しなかったと判断する。また、コード照合部35は、急速充電器10において所定のエラーが発生している場合も認証に成功しなかったと判断する。
【0067】
ステップS28において、コード照合部35が現ユーザ及び充電器の認証に成功したと判断した場合は、充電器情報更新部36は、充電開始コードに含まれる充電器情報を参照して、充電器情報蓄積部34の蓄積情報を更新する(ステップS29)。そして、暗号部37は、充電開始コードを利用許可コードとして第2暗号化方式によって暗号化し(ステップS30)、無線通信部31に出力する。
【0068】
無線通信部31は、第1の携帯通信端末20を介し、暗号化された利用許可コードを急速充電器10に送信する(ステップS31)。
【0069】
一方、ステップS28において、コード照合部35が現ユーザ及び充電器の認証に成功したと判断しなかった場合は、暗号部37は、ユーザ情報又は充電器情報が不正であることを示すエラー情報を暗号化しないで無線通信部31に出力する。無線通信部31は、このエラー情報を前述のステップS31と同様に急速充電器10に送信する。
【0070】
急速充電器10において、照合部18は、無線通信部17が受信した、暗号化された利用許可コードと、ステップS24において第2暗号部16によって暗号化された充電開始コードとを照合する(ステップS32)。ここで、サーバ装置30において現ユーザ及び充電器の認証に成功した場合は、利用許可コードと充電開始コードとが一致することとなり、充電制御装置19が無線通信部17経由で第1の携帯通信端末20に認証が成功したことを示す認証成功信号を送信し(ステップS33)、急速充電処理(
図2ステップS3)に進む。一方、サーバ装置30において現ユーザ及び充電器の認証に成功しなかった場合は、利用許可コードと充電開始コードとが一致せず、認証処理を終了し(ステップS34)、充電サービスの提供を行わない。
【0071】
次に、急速充電処理(
図2ステップS3)について、
図1に示したブロック構成図及び
図7に示すタイミングチャートに基づいて説明する。なお、急速充電器10の給電コネクタが、電気自動車の受電コネクタに接続された状態になっているものとする。
【0072】
急速充電器10においては、前述のステップS32(
図5参照)で現ユーザ及び充電器の認証に成功しており、充電制御装置19により、充電開始画面が表示パネルに表示される(ステップS41)。
【0073】
一方、第1の携帯通信端末20においては、前述のステップS33(
図5参照)で認証成功信号を受信している。この認証成功信号に基づき、プログラムメモリ23に記憶されたアプリケーションにより、充電開始画面がタッチパネル24に表示される(ステップS42)。すなわち、現ユーザは、急速充電器10及び第1の携帯通信端末20に表示された充電開始画面をいずれか一方を操作することができる。
【0074】
タッチパネル24に表示される充電開始画面の一例を
図4(c)に示す。
図4(c)において、タッチパネル24には充電開始ボタン24fと、充電開始をキャンセルするキャンセルボタン24gとが表示されている。現ユーザが充電開始ボタン24fを選択すると、制御部25の制御により、第1無線通信部21は充電開始要求信号を急速充電器10に送信する(ステップS43)。
【0075】
急速充電器10の無線通信部17が充電開始要求信号を受信すると、又は現ユーザが急速充電器10の表示パネルに表示された充電開始画面の充電開始ボタンを操作すると、充電制御装置19は、電気自動車側の充電装置と通信し、電気自動車及び急速充電器10が急速充電を正常に実行しうる状態であるかを確認する(ステップS44)。例えば、充電制御装置19は、電気自動車及び急速充電器10に対して絶縁試験を行う。このステップS44において正常な状態であることが確認できなかった場合は、急速充電処理を行わず終了する。
【0076】
ステップS44において正常な状態であることが確認されると、充電制御装置19は、充電サービスの提供を開始する。すなわち、充電制御装置19は、給電コネクタを受電コネクタにロックし(ステップS45)、現ユーザが給電コネクタを受電コネクタから取り外せない状態にする。そして、充電制御装置19は、電気自動車に対して電流を出力する(ステップS46)。
【0077】
充電制御装置19は、急速充電中の充電情報を、無線通信部17を介して第1の携帯通信端末20に所定時間間隔で送信する(ステップS47)。第1の携帯通信端末20のタッチパネル24は、受信した充電情報を表示する(ステップS48)。
【0078】
タッチパネル24に表示される充電情報の一例を
図4(d)に示す。
図4(d)に示すように、タッチパネル24には、充電時間情報24hと、充電電力量情報24iと、料金24jとが充電情報として表示されている。これらの表示は、所定時間ごとに更新される。また、タッチパネル24には、充電を中断するための充電中断ボタン24kが表示されており、現ユーザはこの充電中断ボタン24kを選択することで急速充電を中断することができる。
【0079】
図7に戻り、制御部25は、充電中断ボタン24kが選択されたか否かを判断する(ステップS49)。ここで、充電中断ボタン24kが選択されたと判断しなかった場合は、ステップS48に戻り、タッチパネル24は充電情報を表示する。
【0080】
ステップS49において、充電中断ボタン24kが選択されたと判断した場合は、制御部25は、充電を中断するための充電中断信号を、第1無線通信部21を介して急速充電器10に送信する(ステップS50)。
【0081】
一方、
図4(d)に例示した充電情報は、急速充電器10の表示パネルにも表示される(ステップS51)。そして、充電制御装置19は、現ユーザが表示パネルに表示された充電中断ボタンを選択したか否かを判断する(ステップS52)。ここで、充電中断ボタンが選択されたと判断した場合は、ステップS54に進み、充電中断ボタンが選択されたと判断しなかった場合は、ステップS53に進む。
【0082】
ステップS53において、充電制御装置19は、充電が終了したか否かを判断し、充電が終了したと判断した場合はステップS54に進み、電流の出力を停止する(ステップS54)。一方、充電制御装置19は、充電が終了したと判断しなかった場合はステップS46に戻る。
【0083】
そして、充電制御装置19は、充電が終了したことを示す充電終了メッセージを表示パネルに表示し(ステップS55)、無線通信部17を介し、充電が終了したことを示す充電終了信号を第1の携帯通信端末20に送信する(ステップS56)。第1の携帯通信端末20が充電終了信号を受信した後、タッチパネル24は充電終了メッセージを表示する(ステップS57)。
【0084】
前述の動作説明において、急速充電器10が電流出力(ステップS46)を開始した後に、急速充電器10と第1の携帯通信端末20とが通信できない範囲にユーザが移動した場合、ステップS47〜S50、S56、S57の処理は行わない。
【0085】
次に、取引処理(
図2ステップS4)について、
図1に示したブロック構成図及び
図8に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0086】
急速充電器10の第1暗号部15は、充電後において各種情報を取得する(ステップS61)。すなわち、第1暗号部15は、充電器情報取得部12から充電器情報、充電情報取得部14から充電結果情報を取得する。
【0087】
続いて、第1暗号部15は、取得した各種情報から充電完了コードを生成する(ステップS62)。
【0088】
図9に充電完了コードの一例を示す。
図9において、充電完了コード43は、充電器情報43a、充電結果情報43bを含む。充電器情報43aは、充電器ID、エラーコードを含む。充電結果情報43bは、充電時間、充電電力量、充電開始時刻、充電終了時刻、充電開始時電池残量、充電終了時電池残量等の情報を含む。
【0089】
図8に戻り、第1暗号部15は、第1暗号化方式によって充電完了コードを暗号化し(ステップS63)、無線通信部17に出力する。
【0090】
一方、第2暗号部16は、第1暗号部15と同様に、充電器情報、充電結果情報を取得して充電完了コードを生成し、第2暗号化方式によって充電完了コードを暗号化し(ステップS64)、照合部18に出力する。
【0091】
無線通信部17は、第1の携帯通信端末20と通信可能か否かを判断する(ステップS131)。ステップS131において、無線通信部17は、第1の携帯通信端末20と通信可能な場合は、第1の携帯通信端末20を介し、暗号化された充電完了コードをサーバ装置30に送信する(ステップS65)。一方、ステップS131において、無線通信部17は、第1の携帯通信端末20と通信不可能な場合は、後述の次ユーザ対応処理(ステップS200)に進む。
【0092】
復号部32は、暗号化された充電完了コードを復号鍵により復号化し(ステップS66)、コード照合部35に出力する。
【0093】
コード照合部35は、管理情報蓄積部33から充電器情報を読み出し、充電完了コードに含まれる充電器情報と照合し(ステップS67)、充電器の認証に成功したか否かを判断する(ステップS68)。ここで、コード照合部35は、管理情報蓄積部33から読み出した充電器情報と、充電完了コードに含まれる充電器情報とが一致した場合は、充電器の認証に成功したと判断し、それ以外の場合は充電器の認証に成功しなかったと判断する。
【0094】
ステップS68において、コード照合部35が充電器の認証に成功したと判断した場合は、課金決済部38は、無線通信部31及びネットワーク5を介して課金決済サーバ41と通信し、課金決済処理を行う(ステップS69)。
【0095】
充電器情報更新部36は、充電完了コードに含まれる充電器情報及び充電結果情報を参照して、充電器情報蓄積部34の充電器管理情報を更新する。
【0096】
充電器情報更新部36は、充電完了コードに含まれる充電器情報及び充電結果情報を参照して、充電器情報蓄積部34の充電器管理情報を更新する(ステップS70)。そして、暗号部37は、充電完了コードを取引完了コードとして第2暗号化方式によって暗号化し(ステップS71)、無線通信部31に出力する。
【0097】
無線通信部31は、第1の携帯通信端末20を介し、暗号化された取引完了コードを急速充電器10に送信する(ステップS72)。
【0098】
一方、ステップS68において、コード照合部35が充電器の認証に成功したと判断しなかった場合は、暗号部37は、充電器情報が不正であることを示すエラー情報を暗号化しないで無線通信部31に出力する。無線通信部31は、このエラー情報を前述のステップS72と同様に急速充電器10に送信する。
【0099】
急速充電器10において、照合部18は、無線通信部17が受信した、暗号化された取引完了コードと、ステップS64において第2暗号部16によって暗号化された充電完了コードとを照合する(ステップS73)。ここで、サーバ装置30において充電器の認証に成功した場合は、取引完了コードと充電完了コードとが一致することとなり、後述の次ユーザ対応処理(ステップS200)に進む。
【0100】
一方、サーバ装置30において充電器の認証に成功しなかった場合は、取引完了コードと充電完了コードとが一致せず、充電制御装置19は、認証不成功の原因調査をサービスマン等に実施させる旨のメッセージを表示パネルに表示する(ステップS78)。
【0101】
図10は、本実施形態における次ユーザ対応処理を示す図である。
図10において、充電制御装置19は、決済処理が完了しているか否かを判断する(ステップS201)。
【0102】
ステップS201において、充電制御装置19は、決済処理が完了していると判断した場合は、
図8に示したステップS74に進み、決済処理が完了していないと判断した場合は、次ユーザの携帯通信端末を探索する処理を行う。
【0103】
本実施形態では、次ユーザが第2の携帯通信端末100を所持していることとしているので、急速充電器10は、第2の携帯通信端末100が通信可能領域内に入れば、第2の携帯通信端末100との通信回線確立処理を行う。
【0104】
すなわち、急速充電器10は、無線LAN(例えばWiFi)の電波を送信(ステップS11)、無線LAN選択画面をタッチパネル24に表示(ステップS12)、無線LANの選択(ステップS13)、ユーザ情報等の送信(ステップS14)、通信確立処理(ステップS15)を実行する。なお、第2の携帯通信端末100との通信確立後においては、前述のステップS11〜15は実行しない。
【0105】
充電制御装置19は、次ユーザを認識したか否かを判断する(ステップS202)。ここで、充電制御装置19が次ユーザを認識した場合は、報知部102は報知処理(ステップS203)を実施する。例えば、報知部102は、現ユーザが使用中であることを示すメッセージの表示や、音声出力を実施する。
【0106】
一方、ステップS202において、充電制御装置19は、次ユーザを認識しなかった場合は、
図8のステップS131に戻る。
【0107】
ステップS15の通信回線確立処理後の第2の携帯通信端末100において、第2の携帯通信端末100の制御部は、急速充電器10の明け渡しを要求するか否かを次ユーザに問い合わせる画面をタッチパネルに表示させる(ステップS204)。
【0108】
ステップS204において、次ユーザが明け渡しを要求しない選択をした場合は、次ユーザ対応処理を終了する。
【0109】
一方、ステップS204において、次ユーザが明け渡しを要求した場合は、第2の携帯通信端末100の制御部は、サーバ装置30を指定する信号をサーバ装置30に送信し(ステップS17)、第2の携帯通信端末100とサーバ装置30との間の通信確立処理が実行される(ステップS18)。なお、サーバ装置30との通信確立後においては、前述のステップS17、S18は実行しない。
【0110】
第2の携帯通信端末100の制御部は、急速充電器10の明け渡しを要求するための明渡要求コードをサーバ装置30に送信する(ステップS205)。
【0111】
サーバ装置30の明渡要求部39は、無線通信部31を介して明渡要求コードを受信した後、明渡要求処理を実行する(ステップS206)。具体的には、明渡要求部39は、第1の携帯通信端末20に対して、急速充電器10の明け渡しを要求するために、メール送信等を実行して(ステップS207)、現ユーザに急速充電器10の明け渡しを要求する。
【0112】
また、明渡要求部39は、次ユーザに対して明渡要求が完了したことを示す明渡要求完了コードを第2の携帯通信端末100に送信する(ステップS208)。
【0113】
第2の携帯通信端末100の制御部は、急速充電器10の明渡要求が完了したことを示すメッセージをタッチパネルに表示させ(ステップS209)、サーバ装置30から受信した明渡要求完了コードを急速充電器10に送信する(ステップS210)。
【0114】
無線通信部17を介して明渡要求完了コードを受信した充電制御装置19は、ステップS203において、急速充電器10の明渡要求が完了した旨を示すメッセージを報知部102に画面表示させるとともに、メッセージの音声出力を実行する。
【0115】
図8に戻り、充電制御装置19は、給電コネクタのロックを解除(ステップS74)することにより、充電サービスの提供を終了する。
【0116】
充電制御装置19は、取引が完了した旨を示す取引完了メッセージを表示パネルに表示し(ステップS75)、無線通信部17を介し、第1の携帯通信端末20に取引が完了した旨を示す取引完了信号を送信する(ステップS76)。第1の携帯通信端末20が取引完了信号を受信した後、タッチパネル24は取引完了メッセージを表示する(ステップS77)。
【0117】
以上のように、本実施形態における急速充電システム1は、現ユーザの電気自動車への充電が完了したにもかかわらず、現ユーザが急速充電器10を明け渡さない場合であって、次ユーザが急速充電器10の明け渡しを要求した場合に、明け渡しを現ユーザに要求した旨を報知部102が報知する構成としたので、充電サービスにおけるユーザの利便性を高めることができる。
【0118】
また、本実施形態における急速充電システム1は、現ユーザの電気自動車への充電が完了したにもかかわらず、現ユーザが急速充電器10を明け渡さない場合であって、次ユーザが急速充電器10の明け渡しを要求した場合に、サーバ装置30が現ユーザに急速充電器10を明け渡すようメール送信等を実行する明渡要求部39を備える構成としたので、現ユーザに急速充電器10の明け渡しを促すことができる。したがって、本実施形態における急速充電システム1は、充電サービスにおけるユーザの利便性を高めることができる。
【0119】
なお、前述の実施形態において、認証処理及び取引処理を行うため、公開鍵暗号方式と呼ばれる暗号方式を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば共通鍵暗号方式を用いてもよい。
【0120】
(第2実施形態)
まず、本発明に係る急速充電システムの第2実施形態における構成について説明する。
【0121】
図11に示すように、本実施形態における急速充電システム2は、急速充電器50、第1の携帯通信端末60、第2の携帯通信端末110、サーバ装置30を備える。この急速充電システム2は、本発明に係る電気移動体用充電システムを構成する。
【0122】
本実施形態における急速充電システム2は、第1実施形態(
図1参照)における急速充電器10、第1の携帯通信端末20、第2の携帯通信端末100の各構成を一部変更した急速充電器50、第1の携帯通信端末60、第2の携帯通信端末110を備えたものであり、第1実施形態と同様な構成には同一の符号を付し、重複する構成の説明は省略する。
【0123】
図11において、第1の携帯通信端末60は、急速充電器50を現在利用している現ユーザが所持する携帯通信端末であり、第2の携帯通信端末110は、急速充電器50を現ユーザの次に利用しようとしている次ユーザが所持する携帯通信端末である。
【0124】
急速充電器50は、ユーザ情報取得部51、コード表示部52、コード入力部53、給電コネクタ保持部101、報知部102を備える。この急速充電器50は、本発明に係る電気移動体用充電装置を構成する。
【0125】
ユーザ情報取得部51は、例えば、接触式又は非接触式のICカードに対して、記録及び再生を行うICカードリーダライタにより構成され、ICカードに記録されているICカード情報からユーザ情報を取得するようになっている。このユーザ情報取得部51は、本発明に係るユーザ情報取得手段を構成する。また、ICカードは、本発明に係るユーザ情報記録媒体を構成する。なお、ユーザ情報記録媒体は、ICカードに限定されるものではなく、急速充電システム2のユーザ情報を記録できるものであればよい。
【0126】
コード表示部52は、例えば液晶ディスプレイで構成され、第1暗号部15が第1暗号化方式により暗号化した暗号化コードを表示するようになっている。このコード表示部52は、本発明に係る表示手段を構成する。
【0127】
コード入力部53は、例えばキーボード、タッチパネル等で構成され、現ユーザの操作により暗号化コードを入力するものである。このコード入力部53は、本発明に係る入力手段を構成する。
【0128】
第1の携帯通信端末60は、サーバ装置と通信する無線通信部61、サーバ装置30との通信で用いるアプリケーションのプログラムを記憶するプログラムメモリ62、各種情報を表示する表示部63、現ユーザが操作する操作部64、装置全体の制御及びアプリケーションを実行する制御部65と、を備える。なお、第2の携帯通信端末110は、第1の携帯通信端末60と同様な構成を有する。また、表示部63は、本発明に係る表示手段を構成する。また、操作部64は、本発明に係る入力手段を構成する。
【0129】
次に、本実施形態における急速充電システム2の動作について説明する。急速充電システム2は、
図12に示すように、認証処理(ステップS5)、急速充電処理(ステップS6)、取引処理(ステップS7)を行う。
【0130】
最初に、認証処理(
図12ステップS5)について、
図11に示したブロック構成図及び
図13に示すタイミングチャートに基づいて説明する。なお、第1実施形態における認証処理(
図5参照)と重複する説明は省略する。
【0131】
急速充電器50においてユーザ情報取得部51は、ICカードに記録されているICカード情報からユーザ情報を取得する(ステップS81)。
【0132】
ステップS21〜S23の処理の後、コード表示部52は、第1暗号部15が第1暗号化方式により暗号化した充電開始コードを表示する(ステップS82)。充電開始コードは、例えば8桁程度の数字で表示される。
【0133】
現ユーザは、第1の携帯通信端末60の操作部64を操作して、サーバ装置30との通信で用いるアプリケーションを起動し、アプリケーションの入力画面に、コード表示部52に表示された充電開始コードを入力することにより、暗号化された充電開始コードが第1の携帯通信端末60に入力される(ステップS83)。
【0134】
無線通信部61は、入力された充電開始コードを、サーバ装置30に送信する(ステップS25)。この無線通信部61は、本発明に係る無線通信手段を構成する。
【0135】
サーバ装置30において、ステップS26〜S31の処理が実行された後、第1の携帯通信端末60の表示部63は、暗号化された利用許可コードを表示する(ステップS84)。
【0136】
現ユーザは、急速充電器50のコード入力部53を操作して、第1の携帯通信端末60の表示部63に表示された利用許可コードを入力することにより、急速充電器50に利用許可コードが入力される(ステップS85)。
【0137】
照合部18は、コード入力部53が入力した、暗号化された利用許可コードと、ステップS24において第2暗号部16によって暗号化された充電開始コードとを照合する(ステップS32)。ここで、サーバ装置30において現ユーザ及び充電器の認証に成功した場合は、利用許可コードと充電開始コードとが一致することとなり、急速充電処理(
図13ステップS6)に進む。
【0138】
次に、急速充電処理(
図12ステップS6)について、そのタイミングチャートを
図14に示す。
図14に示すように、本実施形態における急速充電器50は、第1実施形態の急速充電処理(
図7参照)における急速充電器10に係る処理のみ行う。
【0139】
次に、取引処理(
図12ステップS7)について、
図11に示したブロック構成図及び
図15に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0140】
急速充電器50において、ステップS61〜S63の処理の後、コード表示部52は、第1暗号部15が第1暗号化方式により暗号化した充電完了コードを表示する(ステップS91)。充電完了コードは、例えば8桁程度の数字で表示される。
【0141】
現ユーザは、第1の携帯通信端末60の操作部64を操作して、アプリケーションの入力画面に、コード表示部52に表示された充電完了コードを入力することにより、暗号化された充電完了コードが第1の携帯通信端末60に入力される(ステップS92)。
【0142】
無線通信部61は、入力された充電完了コードを、サーバ装置30に送信する(ステップS65)。
【0143】
サーバ装置30において、ステップS66〜S72の処理が実行された後、第1の携帯通信端末60の表示部63は、暗号化された取引完了コードを表示する(ステップS93)。
【0144】
現ユーザは、急速充電器50のコード入力部53を操作して、第1の携帯通信端末60の表示部63に表示された取引完了コードを入力することにより、急速充電器50に取引完了コードが入力される(ステップS94)。
【0145】
照合部18は、コード入力部53が入力した、暗号化された取引完了コードと、ステップS64において第2暗号部16によって暗号化された充電完了コードとを照合する(ステップS73)。ここで、サーバ装置30において現ユーザ及び充電器の認証に成功した場合は、取引完了コードと充電完了コードとが一致することとなり、後述の次ユーザ対応処理(ステップS300)に進む。
【0146】
一方、ステップS91の後、充電制御装置19は、充電完了コードが送信済みか否かを判断する(ステップS132)。例えば、充電制御装置19は、次ユーザに対して、充電完了コードを送信したか否かを尋ねるメッセージを表示パネルに表示し、次ユーザの表示パネルのタッチ操作や押しボタンの操作等により、充電完了コードが送信済みか否かを判断する。
【0147】
ステップS132において、充電制御装置19は、充電完了コードが送信済みと判断した場合はステップS64に進み、充電完了コードが送信済みと判断しなかった場合は後述の次ユーザ対応処理(ステップS300)に進む。
【0148】
図16は、本実施形態における次ユーザ対応処理を示す図である。
図16において、充電制御装置19は、決済処理が完了しているか否かを判断する(ステップS201)。
【0149】
ステップS201において、充電制御装置19は、決済処理が完了していると判断した場合は、
図15に示したステップS75に進み、決済処理が完了していないと判断した場合は、急速充電器10の明け渡しを要求するか否かを次ユーザに問い合わせる(ステップS301)。例えば、充電制御装置19は、「現ユーザに明け渡しを要求しますか?」といったメッセージの表示や、音声出力を報知部102に実行させ、タッチパネルによるコマンドの選択や押しボタンの操作等により、急速充電器10の明け渡しを要求するか否かを次ユーザに問い合わせる。
【0150】
ステップS301において、次ユーザが明け渡しを要求しない選択をした場合は、次ユーザ対応処理を終了する。
【0151】
一方、ステップS301において、次ユーザが明け渡しを要求した場合は、充電制御装置19は、急速充電器10の明け渡しを要求するための明渡要求コードを第1暗号部15に暗号化させ、暗号化された明渡要求コードをコード表示部52に表示させる(ステップS302)。
【0152】
次ユーザは、第2の携帯通信端末110の操作部を操作して、サーバ装置30との通信で用いるアプリケーションを起動し、アプリケーションの入力画面に、コード表示部52に表示された明渡要求コードを入力することにより、暗号化された明渡要求コードが第2の携帯通信端末110に入力される(ステップS303)。
【0153】
第2の携帯通信端末110の無線通信部は、入力された明渡要求コードを、サーバ装置30に送信し(ステップS205)、明渡要求処理(ステップS206)、メール送信等(ステップS207)、明渡要求完了コードの送信(ステップS208)を実行する。
【0154】
第2の携帯通信端末110の制御部は、無線通信部を介してサーバ装置30から明渡要求完了コードを受信し、明渡要求完了コードをタッチパネルに表示させる(ステップS209)。なお、明け渡し要求が完了したことを示すメッセージをタッチパネルに表示させる構成としてもよい。
【0155】
次ユーザは、急速充電器50のコード入力部53を操作して、第2の携帯通信端末110の表示部に表示された明渡要求完了コードを入力することにより、急速充電器50に明渡要求完了コードが入力される(ステップS304)。
【0156】
コード入力部53を介して明渡要求完了コードを取得した充電制御装置19は、ステップS203において、急速充電器10の明渡要求が完了した旨を示すメッセージを報知部102に画面表示させるとともに、メッセージの音声出力を実行し、ステップS132に戻る。
【0157】
図8に戻り、充電制御装置19は、ステップS75の処理を行って取引処理を終了する。
【0158】
以上のように、本実施形態における急速充電システム2は、現ユーザの電気自動車への充電が完了したにもかかわらず、現ユーザが急速充電器50を明け渡さない場合であって、次ユーザが急速充電器50の明け渡しを要求した場合に、サーバ装置30が現ユーザに急速充電器10を明け渡すようメール送信等を実行する明渡要求部39を備える構成としたので、現ユーザに急速充電器50の明け渡しを促すことができる。したがって、本実施形態における急速充電システム2は、充電サービスにおけるユーザの利便性を高めることができる。
【0159】
(第3実施形態)
まず、本発明に係る急速充電システムの第3実施形態における構成について説明する。
【0160】
図17に示すように、本実施形態における急速充電システム3は、急速充電器70、第1の携帯通信端末20、第2の携帯通信端末100、サーバ装置80を備える。この急速充電システム3は、本発明に係る電気移動体用充電システムを構成する。
【0161】
本実施形態における急速充電システム3は、第1実施形態(
図1参照)における急速充電器10及びサーバ装置30の各構成を一部変更したものである。したがって、第1実施形態と同様な構成には同一の符号を付し、重複する構成の説明は省略する。
【0162】
具体的には、急速充電器70は、第1実施形態の第1暗号部15及び第2暗号部16を廃止して、充電コード生成部71を備えたものである。すなわち、急速充電器70は、第1実施形態とは異なり、各種情報を暗号化しないで第1の携帯通信端末20及び第2の携帯通信端末100に送信するものである。この急速充電器70は、本発明に係る電気移動体用充電装置を構成する。
【0163】
充電コード生成部71は、ユーザ情報取得部11からユーザ情報、充電器情報取得部12から充電器情報、コード生成部13からワンタイムコード、充電情報取得部14から充電結果情報を取得し、充電開始コードや充電完了コードを生成するようになっている。
【0164】
サーバ装置80は、第1実施形態の復号部32及び暗号部37を廃止したものである。すなわち、サーバ装置80は、受信した情報を復号化せず、また、送信する情報を暗号化しない構成である。
【0165】
次に、本実施形態における急速充電システム3の動作について説明する。急速充電システム3の動作は、第1実施形態の動作(
図2参照)に対して、認証処理(ステップS2)及び取引処理(ステップS4)が異なる。
【0166】
まず、認証処理(
図2ステップS2)について、
図15に示したブロック構成図及び
図18に示すタイミングチャートに基づいて説明する。なお、第1実施形態における認証処理(
図5参照)と重複する説明は省略する。
【0167】
充電コード生成部71は、各種情報を取得する(ステップS101)。すなわち、充電コード生成部71は、ユーザ情報取得部11からユーザ情報、充電器情報取得部12から充電器情報、コード生成部13からワンタイムコードを取得する。
【0168】
続いて、充電コード生成部71は、取得した各種情報から充電開始コードを生成し(ステップS102)、無線通信部17に出力する。なお、充電開始コードは、
図6に例示した各種情報を含むが、第1実施形態とは異なり暗号化されない。
【0169】
無線通信部17は、第1の携帯通信端末20及びネットワーク5を介し、充電開始コードをサーバ装置80に送信する(ステップS103)。
【0170】
サーバ装置80において、ステップS27〜S29の処理後、無線通信部31は、第1の携帯通信端末20を介し、利用許可コードを急速充電器70に送信する(ステップS104)。なお、利用許可コードは暗号化されないで送信される。
【0171】
次に、取引処理(
図2ステップS4)について、
図17に示したブロック構成図及び
図19に示すタイミングチャートに基づいて説明する。なお、第1実施形態における取引処理(
図8参照)と重複する説明は省略する。
【0172】
充電コード生成部71は、各種情報を取得する(ステップS105)。すなわち、充電コード生成部71は、充電器情報取得部12から充電器情報、充電情報取得部14から充電結果情報を取得する。
【0173】
続いて、充電コード生成部71は、取得した各種情報から充電完了コードを生成する(ステップS106)。なお、充電完了コードは、
図9に例示した各種情報を含むが、第1実施形態とは異なり暗号化されない。
【0174】
無線通信部17は、第1の携帯通信端末20及びネットワーク5を介し、充電完了コードをサーバ装置80に送信する(ステップS107)。
【0175】
サーバ装置80において、充電完了コード受信判定(ステップS60)、ステップS67〜S70の処理後、無線通信部31は、第1の携帯通信端末20を介し、取引完了コードを急速充電器70に送信する(ステップS108)。なお、取引完了コードは暗号化されないで送信される。
【0176】
以上のように、本実施形態における急速充電システム3は、充電開始コード、利用許可コード、充電完了コード及び取引完了コードを暗号化しないで送受信する構成としたので、第1実施形態よりも簡易な構成で認証処理を行うことができるとともに、充電サービスにおけるユーザの利便性を高めることができる。
【0177】
なお、前述の実施形態において、充電開始コード、利用許可コード、充電完了コード及び取引完了コードの全てを暗号化しない構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのうちの一部を暗号化して送受信する構成としてもよい。
【0178】
(第4実施形態)
まず、本発明に係る急速充電システムの第4実施形態における構成について説明する。
【0179】
図20に示すように、本実施形態における急速充電システム4は、急速充電器90、第1の携帯通信端末60、第2の携帯通信端末110、サーバ装置80を備える。この急速充電システム4は、本発明に係る電気移動体用充電システムを構成する。
【0180】
本実施形態における急速充電システム4は、第2実施形態(
図12参照)における急速充電器50及びサーバ装置30の各構成を一部変更したものである。したがって、第2実施形態と同様な構成には同一の符号を付し、重複する構成の説明は省略する。
【0181】
具体的には、急速充電器90は、第2実施形態の第1暗号部15及び第2暗号部16を廃止して、充電コード生成部71を備えたものである。すなわち、急速充電器90は、第2実施形態とは異なり、各種情報を暗号化しないものである。この急速充電器90は、本発明に係る電気移動体用充電装置を構成する。なお、充電コード生成部71は、第3実施形態と同様であるので構成の説明を省略する。
【0182】
サーバ装置80は、第1実施形態の復号部32及び暗号部37を廃止したものである。すなわち、サーバ装置80は、受信した情報を復号化せず、また、送信する情報を暗号化しない構成である。なお、サーバ装置80は、第3実施形態と同様であるので構成の説明を省略する。
【0183】
次に、本実施形態における急速充電システム4の動作について説明する。急速充電システム4の動作は、第2実施形態の動作(
図13参照)に対して、認証処理(ステップS5)及び取引処理(ステップS7)が異なる。
【0184】
まず、認証処理(
図13ステップS5)について、
図20に示したブロック構成図及び
図21に示すタイミングチャートに基づいて説明する。なお、第2実施形態における認証処理(
図14参照)と重複する説明は省略する。
【0185】
充電コード生成部71は、各種情報を取得する(ステップS111)。すなわち、充電コード生成部71は、ユーザ情報取得部51からユーザ情報、充電器情報取得部12から充電器情報、コード生成部13からワンタイムコードを取得する。
【0186】
続いて、充電コード生成部71は、取得した各種情報から充電開始コードを生成し(ステップS112)、コード表示部52に出力する。なお、充電開始コードは、
図6に例示した各種情報を含むが、第2実施形態とは異なり暗号化されない。
【0187】
ステップS82〜S83の処理の後、第1の携帯通信端末60の無線通信部61は、ネットワーク5を介し、充電開始コードをサーバ装置80に送信する(ステップS113)。
【0188】
サーバ装置80において、ステップS27〜S29の処理後、無線通信部31は、利用許可コードを第1の携帯通信端末60に送信する(ステップS114)。なお、利用許可コードは暗号化されないで送信される。
【0189】
次に、取引処理(
図13ステップS7)について、
図20に示したブロック構成図及び
図22に示すタイミングチャートに基づいて説明する。なお、第2実施形態における取引処理(
図16参照)と重複する説明は省略する。
【0190】
充電コード生成部71は、各種情報を取得する(ステップS121)。すなわち、充電コード生成部71は、充電器情報取得部12から充電器情報、充電情報取得部14から充電結果情報を取得する。
【0191】
続いて、充電コード生成部71は、取得した各種情報から充電完了コードを生成し(ステップS122)、コード表示部52に出力する。なお、充電完了コードは、
図9に例示した各種情報を含むが、第2実施形態とは異なり暗号化されない。
【0192】
ステップS91〜S92の処理の後、第1の携帯通信端末60の無線通信部61は、ネットワーク5を介し、充電完了コードをサーバ装置80に送信する(ステップS123)。
【0193】
サーバ装置80において、ステップS67〜S70の処理後、無線通信部31は、取引完了コードを第1の携帯通信端末60に送信する(ステップS124)。なお、取引完了コードは暗号化されないで送信される。
【0194】
以上のように、本実施形態における急速充電システム4は、充電開始コード、利用許可コード、充電完了コード及び取引完了コードを暗号化しないで送受信する構成としたので、第2実施形態よりも簡易な構成で認証処理を行うことができるとともに、充電サービスにおけるユーザの利便性を高めることができる。
【0195】
なお、前述の実施形態において、充電開始コード、利用許可コード、充電完了コード及び取引完了コードの全てを暗号化しない構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのうちの一部を暗号化して送受信する構成としてもよい。