特許第5960528号(P5960528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960528
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】保育器およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 11/00 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A61G11/00
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-156377(P2012-156377)
(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公開番号】特開2014-18223(P2014-18223A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065950
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 勝
(72)【発明者】
【氏名】松原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 照巳
(72)【発明者】
【氏名】小林 心一
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 涼子
(72)【発明者】
【氏名】若林 啓介
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−012003(JP,A)
【文献】 特開2002−028198(JP,A)
【文献】 特開2010−075284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
児用マット上の児収容空間の外周囲を包囲することができるエンクロージャと、このエンクロージャに配設されている手入れ窓形成用の開口および絞り窓形成用の開口のうちの少なくとも一方の開口とを備え、
弾性材料から成形されたグロメット部材を含んでいる保育器において、
上記グロメット部材が、上記少なくとも一方の開口をほぼ閉鎖することができるように、上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けられることができるように構成され、
弾性材料から成形されたパッキン部材および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材を含み、
上記少なくとも一方の部材が、手入れ窓および絞り窓のうちの少なくとも一方の窓を形成するために、上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けられることができるように構成され、
上記少なくとも一方の開口が、上記エンクロージャにくりぬき形状でもって形成されていることを特徴とする保育器。
【請求項2】
上記少なくとも一方の開口が、上記手入れ窓形成用開口であり、
上記少なくとも一方の部材が、上記パッキン部材であることを特徴とする請求項1に記載の保育器。
【請求項3】
手入れ窓を開閉することができる開閉用の扉が、上記エンクロージャに対して往復回動可能なように上記エンクロージャに取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の保育器。
【請求項4】
上記少なくとも一方の部材が、中央貫通孔を有するほぼリング形状に構成され、
上記グロメット部材が、その中央部分に位置するグロメット形成部と、このグロメット形成部の外周囲に一体的に連設されているリング状のグロメット取り付け部とを備えていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の保育器。
【請求項5】
児用マット上の児収容空間の外周囲を包囲することができるエンクロージャと、このエンクロージャにくりぬき形状でもって形成されている手入れ窓形成用の開口および絞り窓形成用の開口のうちの少なくとも一方の開口とを備えている保育器を使用する方法であって、
上記保育器が、弾性材料から成形されかつ中央貫通孔を有するパッキン部材および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材と、弾性材料から成形されたグロメット部材とを含んでいる、保育器の使用方法において、
上記少なくとも一方の部材を上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けることによって、上記中央貫通孔から成る手入れ窓および絞り窓のうちの少なくとも一方の窓を上記エンクロージャに形成することと、上記グロメット部材を上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けることによって、上記グロメット部材から成るグロメット構造を上記エンクロージャに形成することとの両方を選択的にそれぞれ行うようにしたことを特徴とする保育器の使用方法。
【請求項6】
上記少なくとも一方の開口が、上記手入れ窓形成用開口であることを特徴とする請求項5に記載の保育器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、児用マット上の児用収容空間の外周囲を包囲することができるエンクロージャと、このエンクロージャに配設されている手入れ窓形成用の開口および絞り窓形成用の開口のうちの少なくとも一方の開口とを備え、弾性材料から成形されているグロメット部材を含んでいる保育器と、このような保育器を使用する方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
保育器のマット上に横たわっている未熟児などの児には、診察、処置、保育などが施されるのが通例である。このために、上記エンクロージャの前後左右の壁部には、従来、手入れ窓、絞り窓、比較的小型のグロメット部材などが設けられている。そして、上記児に診察、処置、保育などのために用いられる医療用機器のチューブ、ケーブル、電気コードなどの長手状部材(換言すれば、患者回路−以下、「ケーブル類」という。)のうちで径の比較的小さいケーブル類は、上記エンクロージャの外側から上記グロメット部材の切れ目を通して上記エンクロージャの内側に導入される。しかし、エンクロージャの前後左右の壁部には、通常、比較的大きな手入れ窓または比較的大きな絞り窓が設けられるために、上記グロメット部材が比較的小型にならざるを得ないから、径の比較的大きいケーブル類(例えば、人工呼吸器用の酸素マスクの酸素供給用チューブなどのチューブが束ねられて収容された蛇腹状の外被チューブ)は、上記グロメット部材の切れ目を挿通させ難い。このために、径の比較的大きい(換言すれば、太い)ケーブル類の場合には、このような太いケーブル類を上記エンクロージャの外側から上記絞り窓を通して上記エンクロージャの内側に導入させるようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のように、太いケーブル類をエンクロージャの外側から絞り窓を通してエンクロージャの内側に導入したときには、太いケーブル類を保持している絞り窓形成用のシート状部材(具体的には、布、合成樹脂製シートなどから円筒状に構成されたシート状部材)の絞り状態が十分に絞られた状態からあまり絞られてはいない状態へと緩んでしまい易い。このために、絞り窓形成用のシート状部材によるケーブル類の位置保持が不完全になり易い。また、絞り状態になっているシート状部材とケーブル類との間に隙間が生じ易いので、エンクロージャ内の気密性が悪くなり易い。
【0004】
本発明は、従来の保育器における上述のような欠点を、比較的簡単な構成でもって、効果的に是正し得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その第1の観点においては、児用マット上の児収容空間の外周囲を包囲することができるエンクロージャと、このエンクロージャに配設されている手入れ窓形成用の開口および絞り窓形成用の開口のうちの少なくとも一方の開口とを備え、弾性材料から成形されたグロメット部材を含んでいる保育器において、上記グロメット部材が、上記少なくとも一方の開口をほぼ閉鎖することができるように、上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けられることができるように構成されていることを特徴とする保育器に係るものである。
【0006】
また、本発明は、上記第1の観点の第1の態様においては、弾性材料から成形されたパッキン部材および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材を含み、上記少なくとも一方の部材が、手入れ窓および絞り窓のうちの少なくとも一方の窓を形成するために、上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けられることができるように構成されている。そして、本発明は、上記第1の観点の第2の態様においては、上記少なくとも一方の開口が、上記エンクロージャにくりぬき形状でもって形成されている。そして、本発明は、上記第1の観点の第3の態様においては、上記少なくとも一方の開口が、上記手入れ窓形成用開口であり、上記少なくとも一方の部材が、上記パッキン部材である。また、本発明は、上記第1の観点の第4の態様においては、上記手入れ窓を開閉することができる開閉用の扉が、上記エンクロージャに往復回動可能に取り付けられている。さらに、本発明は、上記第1の観点の第5の態様によれば、上記少なくとも一方の部材が、中央貫通孔を有するほぼリング形状に構成され、上記グロメット部材が、その中央部分に位置するグロメット形成部と、このグロメット形成部の外周囲に一体的に連設されているリング状のグロメット取り付け部とを備えている。
【0007】
また、本発明は、その第2の観点においては、児用マット上の児収容空間の外周囲を包囲することができるエンクロージャと、このエンクロージャに配設されている手入れ窓形成用の開口および絞り窓形成用の開口のうちの少なくとも一方の開口とを備えている保育器を使用する方法であって、上記保育器が、弾性材料から成形されかつ中央貫通孔を有するパッキン部材および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材と、弾性材料から成形されたグロメット部材とを含んでいる、保育器の使用方法において、上記パッキン部材を上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けることによって、上記中央貫通孔から成る手入れ窓および絞り窓のうちの少なくとも一方の窓を上記エンクロージャに形成することと、上記グロメット部材を上記少なくとも一方の開口の外周囲付近に凹凸嵌合により取り付けることによって、上記グロメット部材から成るグロメット構造を上記エンクロージャに形成することとの両方を選択的にそれぞれ行うようにしたことを特徴とする保育器の使用方法に係るものである。そして、本発明は、上記第2の観点の第1の態様においては、上記少なくとも一方の開口が、上記手入れ窓形成用開口である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1および7に記載の発明によれば、手入れ窓形成用の開口または絞り窓形成用の開口の外周囲付近にグロメット部材を凹凸嵌合により取り付けることによって、比較的大きなグロメット構造をエンクロージャに比較的簡単にかつ一時的に設けることができる。したがって、人工呼吸器用の蛇腹状外被チューブのような太いケーブル類であっても、上記グロメット構造を利用してエンクロージャに良好に保持させることができる。また、請求項2および7に記載の発明によれば、パッキン部材に代えて上記エンクロージャに一時的に取り付けていた上記グロメット部材を手入れ窓用のパッキン部材または絞り窓形成用部材に付け替えることによって、上記グロメット構造を手入れ窓または絞り窓に比較的簡単に変更することができる。さらに、請求項4および8に記載の発明によれば、上記グロメット部材を上記手入れ窓用パッキン部材に付け替えたり、この逆の付け替えを行ったりするだけで、手入れ窓形成用開口の付近にパッキン構造を設けたり、グロメット構造を設けたりすることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、手入れ窓形成用開口および絞り窓形成用開口のうちの少なくとも一方の開口がエンクロージャの壁部の端縁に接していないので、手入れ窓および絞り窓のうちの少なくとも一方の窓やグロメット構造が使い易いものとなる。そして、請求項5に記載の発明によれば、手入れ窓を開閉用扉によって簡単に開閉することができるから、エンクロージャ内の気密性を簡単な操作でもって必要に応じて高めることができる。さらに、請求項6に記載の発明によれば、パッキン部材および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材とグロメット部材とを弾性材料から簡単に成形することができるとともに、パッキン部材および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材とグロメット部材とを手入れ窓形成用開口および絞り窓形成用開口のうちの少なくとも一方の開口に選択的に取り付ける操作を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を閉鎖型保育器兼用の開放型保育器に適用した−実施例における保育器の、閉鎖型の状態での斜視図である。(実施例1)
図2】グロメット部材が手入れ窓形成用開口の外周囲付近に取り付けられた図1に示す保育器の、図1と同様の閉鎖型の状態での斜視図である。(実施例1)
図3図2に示すエンクロージャの先端部側の壁部の概略的な正面図である。(実施例1)
図4図3に示すグロメット部材の正面図である。(実施例1)
図5図4に示すグロメット部材の、外側から見た状態での斜視図である。(実施例1)
図6図4に示すグロッメット部材の、内側から見た状態での斜視図である。(実施例1)
図7図4のA−A線における断面図である。(実施例1)
図8図4のB−B線における断面図である。(実施例1)
図9図1に示す保育器の、図8に示す断面図に対応する断面図である。(実施例1)
図10図1に示す保育器の、患者回路の導入状態での概略的な平面図である。(実施例1)
図11図2に示す保育器の、患者回路の導入状態での概略的な平面図である。(実施例1)
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を閉鎖型保育器兼用の開放型保育器に適用した−実施例を、「1、保育器全体の概略的な説明」、「2、グロメット構造の説明」および「3、パッキン構造の説明」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
1、保育器全体の概略的な説明
【0013】
保育器1は、図1および図2に示すように、平面的に見てほぼ長方形状などの基台2と、この基台2のほぼ外周囲に沿って立設されているほぼ直方体形状などのエンクロージャ3とを備えている。そして、基台2上には、臥床架(図示せず)が配置されている。また、この臥床架上に配置されている児用のマット4(図10参照)の上面には、必要に応じて薄いシーツ(図示せず)が敷かれてから、未熟児などの児8(図10参照)が、児用マット4上に横たわらされて、診察、処置、保育などを施される。さらに、エンクロージャ3は、一部を除いて、全体としてほぼ透明であってよい。そして、エンクロージャ3は、児用マット4上の児収容空間の外周囲を包囲し得るように、前側の壁部5、後側の壁部(図示せず)、基端部側の壁部6および先端部側の壁部7をそれぞれ備えている。また、前側の壁部5、上記後側の壁部、基端部側の壁部6および先端部側の壁部7によって、平面的に見てほぼ長方形状などの周囲枠部が児収容空間として構成されている。さらに、前側の壁部5、上記後側の壁部、先端部側の壁部7などは、エンクロージャ3にフェンスまたは処置窓が形成されるようにするために、ほぼ下方に向かってほぼ直線的に往動することまたはほぼ下方に向って往回動することなどによって、部分的にまたは全体的に開放され得るように構成されている。したがって、医師、看護師などの取扱者は、児に対する診察、処置、保育などを、上記フェンス越しに、あるいは、上記処置窓を通して、任意の方向から施すことができる。そして、前側の壁部5および上記後側の壁部のそれぞれには、左右一対の手入れ窓11、12が配置されている。また、先端部側の壁部7にも、手入れ窓13が配置されている。さらに、これらの前側の壁部5、上記後側の壁部および先端部側の壁部7のそれぞれには、これらの手入れ窓11〜13のそれぞれを開閉するための開閉用の扉14、15、16が配設されている。そして、これらの開閉用扉14〜16は、一部を除いて、全体としてほぼ透明であってよい。なお、上述のように、前側の壁部5、上記後側の壁部および先端部側の壁部7が完全に開放されたときには、保育器1を蘇生処置用装置としても用いることができる。
【0014】
図1および図2に示す基台2は、ほぼ水平方向に延在するフレーム(図示せず)上に取り付け支持されている。そして、このフレームは、メイン支柱21上に支持されている。また、このメイン支柱21は、それぞれが車輪22付きの合計で例えば4本の腕部を有する左右一対のベース23に取り付け支持されている。さらに、これら一対のベース23は、共通の連結部材24によって、互いに連結されている。そして、この連結部材24には、メイン支柱21が立設されている。また、図1および図2に示すメイン支柱21に取り付け支持されている上記フレームには、図1および図2に示すように互いにほぼ左右対称であってよい左右一対のサブ支柱25a、25bが共通の連結部材26を介して取り付け支持されている。そして、これら左右一対のサブ支柱25a、25bは、基端部側の壁部6から外方側に遠ざかる方向に向かってエンクロージャ3から離間した状態でもって、基端部側の壁部6よりもさらに外方側に配置されている。
【0015】
エンクロージャ3は、図1および図2に示すように、天面フード27をさらに備えている。したがって、エンクロージャ3内の児収容空間は、ほぼ閉鎖状態にされることができる。そして、左右一対のサブ支柱25a、25bのうちの図1における例えば左側の加熱器用サブ支柱25aには、図1に示すように、加熱器31が支持軸32によって取り付け支持されている。また、図1における例えば右側の天面フード用サブ支柱25bには、天面フード27が支持腕33によって取り付け支持されている。この場合、天面フード27は、ほぼ四角錐台形状などであってよく、また、その下面が開放された中空体であってよい。したがって、エンクロージャ3は、前記周囲枠部と、この周囲枠部の上端開口を選択的に覆うことができる天面フード27とを備えている。そして、図1および図2に示す閉鎖型の状態での保育器1においては、エンクロージャ3は、ごく小さいほぼ小屋形状に構成されている。なお、左右一対のベース23のうちの前側のベース23には、前後一対のフットスイッチ34a、34bが互いに隣接して配設されている。そして、操作者が前側のフットスイッチ34aを足などで押圧操作したときには、前記フレームがメイン支柱21に対して下降するので、このフレームに取り付けられている基台2などが同様に下降する。また、操作者が後側のフットスイッチ34bを足などで押圧操作したときには、前記フレームがメイン支柱21に対して上昇するので、このフレームに取り付けられている基台2などが同様に上昇する。
【0016】
図1および図2に示す加熱器用サブ支柱25aおよび天面フード用サブ支柱25bのそれぞれは、固定支柱35および可動支柱(図示せず)から成っている。そして、左右一対のサブ支柱25a、25bの固定支柱35の下端部は、共通の連結部材26を介して前記フレームに取り付け支持されている。また、上記一対の可動支柱は、従動歯車、駆動用チェーン、駆動歯車、電動モータなどの昇降駆動機構(いずれも図示せず)によって、固定支柱35内を上下方向にそれぞれ往復駆動(換言すれば、昇降駆動であって、固定支柱35に対して伸縮可能に駆動)されるように構成されている。そして、天面フード27が上昇位置まで移動したときには、保育器1は、開放型保育器として機能する。また、天面フード27が図1および図2に示すように下降位置まで移動したときには、保育器1は、閉鎖型保育器として機能する。さらに、この閉鎖型保育器として機能するときには、加熱器31は、その使用状態(この場合には、使用状態であっても少量の熱線しか放射されない。)においては上昇位置(図示せず)に留まり、その不使用状態においては図1および図2に示す下降位置まで移動していてよい。なお、加熱器31およびその回動駆動機構のそれぞれの構成や加熱器31と天面フード27との相互の関係を含む保育器1の全体構成の詳細は、本発明の要旨ではないので、その詳細な図示および詳細な説明は、本文においては省略する。さらに、基台2の先端部側の壁部7側には、図1および図2に示すように、開閉用ドア36が配設されている。そして、この開閉用ドア36は、加湿器としての加湿ユニット(図示せず)を保育器本体37の基台2に装着したり取り出したりするのに用いられる開口41を開閉することができる。
【0017】
基台2の先端部側の壁部(換言すれば、エンクロージャ3の長さ方向における一方の側の壁部)7には、図3に示すように、外方から見た左側端部および右側端部においてそれぞれ開放されている上下一対の左側の切り欠き部44aおよび上下一対の右側の切り欠き部44bが、切り欠き形状の開口として形成されている。さらに、これらの切り欠き部44a、44bのそれぞれには、これらの切り欠き部44a、44bを一回り大きくした比較的小型のグロメット部材45a、45bが嵌め込みによって取り付け固定されている。なお、グロメット部材45a、45bのそれぞれには、これらのグロメット部材45a、45bの外側の縁から内側の縁に向って途中までほぼ水平な状態でもって延在している第1の切れ目46と、この第1の切れ目46とほぼ直交するように、左右方向におけるほぼ中央部分のみをほぼ垂直な状態でもって延在している複数本の第2の切れ目47とが形成されている。さらに、基端部側の壁部(換言すれば、エンクロージャ3の長さ方向における他方の側の壁部)6にも、先端側の壁部7の場合と同様に、上記第1および第2の切れ目46、47をそれぞれ有する比較的小型のグロメット部材45a、45bを嵌め込みによって取り付け固定するための上下一対の左側の切り欠き部および上下一対の右側の切り欠き部が、切り欠き形状の開口として形成されていてよい。そして、これら左側および右側の切り欠き部のそれぞれにも、グロメット部材45a、45bと実質的に同一の構成を有する比較的小型のグロメット部材が嵌め込みによって取り付け固定されていてよい。なお、先端部側の壁部7に配設された比較的小型のグロメット部材45a、45bと、基端部側の壁部6に配設された比較的小型のグロメット部材とのそれぞれは、実質的に常設されていてよい。
【0018】
開閉用扉14、15は、外側から見てほぼ凹型の形状に構成されている。さらに、開閉用扉16は、ほぼ平板の形状に構成されている。そして、図1に示す状態においては、手入れ窓11〜13の外側の縁部には、開閉用扉14〜16のための図9に示すパッキン部材42が嵌め込み(換言すれば、凹凸嵌合)によって取り付け固定されている。また、図2に示す状態においては、手入れ窓11、12の外側の縁部には、開閉用扉14、15のための図9に示すパッキン部材42が嵌め込み(換言すれば、凹凸嵌合)によって取り付け固定されるとともに、手入れ窓13の外側の縁部には、図4などに示す比較的大型のグロメット部材43が嵌め込み(換言すれば、凹凸嵌合)によって取り付け固定されている。なお、グロメット部材43およびパッキン部材42については、それぞれ後述する「2、グロメット構造の説明」および「3、パッキン構造の説明」の項において詳細に説明する。
【0019】
2、グロメット構造の説明
【0020】
グロメット部材43は、図3図8に示すように、シリコーンゴムなどの合成ゴム、天然ゴム、シリコーン樹脂、ビニル樹脂などの合成樹脂などの比較的軟質の弾性材料から、全体としてほぼ楕円形になるように、一体成形されていてよい。具体的には、グロメット部材43は、そのほぼ中央部分に位置するほぼ楕円形状のグロメット形成部51と、このグロメット形成部51の外周囲に一体的に連設されているほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング状)のグロメット取り付け部52とを備えている。そして、グロメット形成部51には、上下一対のグロメット本体部53a、53bと、このグロメット形成部51の内側面に一体的に突設されている補強用の梁部54とを備えている。また、この補強用梁部54は、グロメット取り付け部52と共働して、上下一対のグロメット本体部53a、53bの外周囲をグロメット部材43の内側面においてほぼ取り囲むように構成されている。さらに、グロメット本体部53a、53bのそれぞれには、ほぼ垂直な状態でもってそれぞれ延在している複数本の第1の切れ目55と、これら第1の切れ目55とほぼ直交するように、ほぼ水平な状態でもって延在している第2の切れ目56とが形成されている。なお、第2の切れ目56は、複数本の第1の切れ目55のうちの左右両側端にそれぞれ位置している左端の切れ目と右端の切れ目との間を延在している。
【0021】
グロメット部材43のグロメット取り付け部52は、図7などに示すように、先端部側の壁部7に取り付けられることができる。具体的には、グロメット取り付け部52には、気密性を保つように開閉用扉16に弾性的に圧着することができるほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング状)のひれ部57と、先端部側の壁部7の外側の壁(換言すれば、外壁)61が嵌合することができるほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング状)の凹部62を有するほぼ楕円形状(換言すれば、ほぼリング状)の嵌合部63と、先端部側の壁部7の内側の壁(換言すれば、内壁)64が係合することができるほぼ楕円形状(換言すれば、ほぼリング状)の段部65を有するほぼ楕円形状(換言すれば、ほぼリング状)のグロメット取り付け本体66とが、その外側面から内側面にかけて、順次一体的にそれぞれ配設されている。なお、ひれ部57は、基端から先端にかけて、外方に開くようにほぼ円弧状に弯曲している。また、外側の壁61および内側の壁64のそれぞれには、手入れ窓13を形成することと、グロメット部材43を取り付けることとのために、外側の開口71および内側の開口72が配設されている。そして、これらの外側開口71および内側開口72によって、先端部側の壁部7(換言すれば、エンクロージャ3)にパッキン取り付け用の開口(換言すれば、手入れ窓形成用の開口)70が形成されている。また、外側の開口71は、内側の開口72よりも一回り大きく構成されている。さらに、外側および内側の開口71、72は、ほぼ楕円形状に構成されていてよい。
【0022】
図7などに示すように、グロメット部材43の嵌合部63には、外側の壁61のうちの開口71の外側の縁部73が着脱自在に凹凸嵌合している。そして、グロメット部材43の段部65には、内側の壁64のうちの開口72の外側の縁部74が係合などの状態でもって当接している。なお、図7などに示すように、グロメット部材43を先端部側の壁部7に取り付けるときには、つぎの(a)項〜(c)項に記載の手動操作を行えばよい:
(a)まず、グロメット部材43のグロメット取り付け本体66を先端部側の壁部7の外側の壁61の開口71に挿入する。
(b)ついで、ほぼ楕円リング形状の嵌合部63の一部分を外側の縁部73に対して押し込むことによって、この一部分の凹部62に開口71の外側の縁部73の一部分を凹凸嵌合させる。
(c)ついで、嵌合部63の残りの部分の凹部62に外側の縁部73の残りの部分を凹凸嵌合させる。この場合、段部65が内側の開口72の外側の縁部に当接する。
また、先端部側の壁部7に取り付けられているグロメット部材43を先端部側の壁部7から取り外すときには、つぎの(d)項および(e)項に記載の手動操作を行えばよい:
(d)まず、ほぼ楕円リング形状の嵌合部63の一部分を開口71から引き出す。
(e)ついで、嵌合部63の残りの部分を開口71から順次引き出すことによって、グロメット部材43を開口71から取り外す。
【0023】
人工呼吸器を用いて未熟児などの児8(図10参照)に酸素を供給するときには、人工呼吸器用の酸素マスクの酸素供給用チューブなどのチューブが束ねられて収容された蛇腹状の外被チューブが、グロメット部材43のグロメット本体部53a、53bのうちのいずれか一方の第1および第2の切れ目55、56を通して、エンクロージャ3の内部に導き入れられる。このために、上記酸素供給用チューブを連結させた上記酸素マスクを児8に装着してから、上記人工呼吸器から上記酸素供給用チューブおよび上記酸素マスクを通して児8に酸素を供給することができる。この場合、グロメット部材43は、小型のグロメット部材45a、45bに較べて比較的大型であるから、上記外被チューブが比較的太いものであっても、グロメット部材43の切れ目55、56に挿通させるのが比較的容易であるとともに、上記外被チューブをグロメット部材43に比較的確実に位置保持させることができる。したがって、グロメット部材43は、径の比較的大きいケーブル類を使用する患者回路用の導入ホルダとして好ましく機能することができる。
【0024】
図10および図11に示すように、児8が保育器1の児用マット4上に横たわっている場合には、児用マット4上での児8の頭部75(換言すれば、口部76)の位置は、種々に変化する。例えば、比較的小型のグロメット部材45aから口部76までの平面的に見た直線距離は、図10に示すように、長さL、L、Lなどに変化する。そして、比較的大型のグロメット部材43から口部76までの平面的に見た直線距離は、図11に示すように、長さL、L、Lなどに変化する。また、このような変化は、児用マット4上への児8の横たわらせ方や、児8のその後の動きなどによって生じる。例えば、小さい未熟児の場合には、処置などの内容によっては、未熟児がエンクロージャ3の幅方向にほぼ沿って横たわる場合も生じる。この場合、長さLおよび長さLのそれぞれが一番短く、長さL、長さLおよび長さLのそれぞれが二番目に短く、長さLが最も長い。したがって、エンクロージャ3内に位置する上記外被チューブの長さを平均的にできるだけ短くするためには、大型のグロメット部材43の切れ目55、56に挿通させるのが好ましい。なお、グロメット部材43、45a、45bから児の口部76まで(換言すれば、エンクロージャ3内)の上記外被チューブの長さが長ければ長いほど、上記外被チューブ(換言すれば、酸素供給用チューブなどの内部のチューブ)が児の動きによって弯曲したり屈曲したりし易いので、この内部チューブ内の空気の流れに変化が生じやすくなって、あまり好ましくない。さらに、人工呼吸器内の蛇腹状外被チューブは、比較的太いので、小型のグロメット部材45a、45bの切れ目46、47に挿通させるよりも、大型のグロメット部材43の切れ目55、56に挿通させた方が、この挿通の操作が容易であるとともに、上記外被チューブをエンクロージャ3に比較的確実に位置保持させることができる。
【0025】
図1に示すエンクロージャ3の前側の壁部(換言すれば、エンクロージャ3の幅方向における一方の側の壁部)5および前記後側の壁部(換言すれば、エンクロージャ3の幅方向における他方の側の壁部)のそれぞれには、左右一対の手入れ窓11、12が配設されている。そして、これら合計4つの手入れ窓11、12の形状は、先端部側の壁部6の手入れ窓13とほぼ同形である。したがって、上記合計4つの手入れ窓11、12のうちの少くとも1つの手入れ窓にパッキン部材42が取り付けられていない状態(換言すれば、パッキン部材42を手入れ窓から取り外した状態)においては、この少くとも1つの手入れ窓に、手入れ窓13の場合と同様にして、グロメット部材43を取り付けることができる。さらに、エンクロージャ3には、図1図3に示すように、手入れ窓11〜13をそれぞれ開閉することができる開閉用扉14〜16が配設されている。そして、これらの扉14〜16は、手入れ窓11〜13をそれぞれ開放するために、エンクロージャ3に配設された軸支部77と、扉14〜16に配設された被軸支部78とによって、エンクロージャ3に往復回動可能に軸支されている。また、これらの扉14〜16のそれぞれは、エンクロージャ3にそれぞれ配設された係合手段としての係合爪部81と、扉14〜16にそれぞれ配設された被係合手段としての被合爪部82とが着脱自在に互いに係合することによって、閉鎖状態に保持されることができるように構成されている。さらに、扉14〜16のそれぞれは、係合爪部81を手動操作して、係合爪部81に対する被係合爪部82の係合を解除することによって、開放されることができるように構成されている。
【0026】
開閉用扉16は、既述のように、ほぼ平板の形状に構成されている。したがって、開閉用扉16は、手入れ窓13にグロメット部材43が取り付けられている場合とパッキン部材42が取り付けられている場合とのうちのいずれの場合においても、図1などに示すように、手入れ窓13を閉鎖することができる。これに対し、開閉用扉14、15は、既述のように、外側から見てほぼ凹型の形状に構成されている。したがって、開閉用扉14、15のそれぞれは、手入れ窓11、12にパッキン部材42が取り付けられている場合には、図1などに示すように、手入れ窓11、12を閉鎖することができる。しかし、グロメット部材43は、グロメット取り付け部52に加えて、このグロメット取り付け部52の中空箇所に存在しているグロメット形成部51を備えている。したがって、開閉用扉14、15のそれぞれは、上記凹部の形状に対応して内側に突出している凸型の部分がグロメット形成部51に当接するために、図1などに示す最終的な閉鎖位置までは復回動することができない。
【0027】
3、パッキン構造の説明
【0028】
図9に示すパッキン部材42は、グロメット部材43の場合と同様にシリコーン樹脂などの比較的軟質の弾性材料から一体成形されていてよい。そして、パッキン部材42は、図8に示すグロメット部材43のグロメット取り付け部52(換言すれば、グロメット部材43からグロメット形成部51を取り除いた部分)の形状からさらに、リング状の段部65を有するパッキン本体84の内壁側の一半部分を取り除いた形状と実質的に同一の形状であってよい。そして、パッキン本体84は、比較的扁平なほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング状)に構成されている。このために、パッキン部材42には、比較的大きな中央貫通孔としての中央開口83が設けられている。なお、図9に示すパッキン部材42の各部の名称および符号のそれぞれは、図7などに示すグロメット部材43のグロメット取り付け部52の各部の名称および符号と同一になっていてよい。したがって、パッキン部材42は、ほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング形状)に構成されている。そして、パッキン部材42は、図9に示すように、先端部側の壁部7の外側の壁61に取り付けられることができる。
【0029】
具体的には、パッキン部材42には、図9に示すように、開閉用扉16に気密性を保つように弾性的に圧着することができるほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング状)のひれ部57と、先端部側の壁部7の外側の壁61が嵌合することができるほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング状)の凹部62を有するほぼ楕円形状(換言すれば、ほぼリング状)の嵌合部63と、ひれ部57と嵌合部63とを一体的に連結しているほぼ楕円形状(換言すれば、ほぼリング状)のパッキン本体84とが、一体的にそれぞれ配設されている。なお、ひれ部57は、基端から先端にかけて、外方に開くようにその縦断面においてほぼ円弧状に弯曲している。また、外側の壁61および内側の壁64のそれぞれには、既述のように、手入れ窓13を形成するために外側の開口71および内側の開口72が配設されている。そして、パッキン部材42は、外側の開口71を利用して外側の壁61に取り付けられる。このために、パッキン部材42が手入れ窓13に取り付けられているときには、基台2内に配置されているファン(図示せず)によって供給される空気流が、外側の壁61と内側の壁64との隙間を通過して、パッキン部材42の内側に沿って流動する。したがって、手入れ窓13には、この空気流によってエアーカーテンが良好に形成されるので、手入れ窓13が開放されていても、エンクロージャ3内の保育環境をほぼ良好に保つことができる。
【0030】
図9に示すように、パッキン部材42の嵌合部63には、外側の壁61のうちの開口71の外側の縁部73が着脱自在に凹凸嵌合している。なお、図9に示すように、パッキン部材42を先端部側の壁部7に取り付けるときには、前記第2項における(a)項〜(c)項(ただし、前記(c)項における「この場合、段部65が内側の開口72の外側の縁部に当接する。」の記載を除く。)に記載の手動操作と実質的に同一の手動操作を行えばよい。そして、先端部側の壁部7に取り付けられているパッキン部材42を先端部側の壁部7から取り外すときには、前記第2項における(d)項および(e)項に記載の手動操作と実質的に同一の手動操作を行えばよい。
【0031】
保育器1の通常の使用状態においては(換言すれば、通常時には)、エンクロージャ3の合計5つの手入れ窓11〜13のそれぞれには、図9に示すように、パッキン部材42が取り付けられている。そして、これらの手入れ窓11〜13の総ては、手動操作により開閉用扉14〜16によって閉鎖されることができる。しかし、エンクロージャ3内に取扱者の手などを差し込みたいときには、これらの手入れ窓11〜13の少なくとも1つを開放するために、これと対応する開閉用扉を手動操作により開放することができる。そして、上記手入れ窓11〜13のうちの少なくとも1つにグロメット部材43を取り付けたいとき(換言すれば、非常時または必要なとき)には、手動操作により前記(d)項および(e)項に記載したようにして上記手入れ窓からパッキン部材42を取り外してから、手動操作により前記(a)項〜(c)項に記載したようにして上記手入れ窓にグロメット部材43を取り付ければよい。さらに、グロメット部材43を一時的にまたは長時間にわたって使用しないときでも、このグロメット部材43とほぼ対応する開閉用扉14〜16を開放したままの状態または封鎖した状態でもって、グロメット部材43をエンクロージャ3に取り付けたままにしておくことができる。
【0032】
以上、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0033】
例えば、上述の実施例においては、本発明を閉鎖型保育器兼用の開放型保育器1に適用したが、本発明は、閉鎖型保育器などの他の保育器にも適用することができる。
【0034】
また、上述の実施例においては、グロメット部材43およびパッキン部材42をシリコーン樹脂などの弾性材料から一体成形したが、これらの部材のうちのいずれか一方または両方は、複数個(例えば、2個)の一体成形品を接着剤などによって一体的に結合したものであってもよい。
【0035】
また、上述の実施例においては、グロメット部材43の嵌合部63に配設した凹部62に先端部側の壁部7の外側の壁61の外側の縁部73を手動操作による凹凸嵌合によって嵌合させるように構成した。しかし、これとは逆に、先端部側の壁部7のうちの手入れ窓形成用開口70の外側の縁部に配設した係合用凹部または係合用スリットにグロメット部材43の嵌合部63を手動操作による凹凸嵌合によって嵌合させるように構成してもよい。さらに、グロメット部材43に第1の凸状嵌合部と第1の係合用凹部とを設けるとともに、先端部側の壁部7に第2の係合用凹部と第2の凸状嵌合部とを設けてもよい。この場合、上記第1の凸状嵌合部を上記第1の係合用凹部に手動操作による凹凸嵌合によって嵌合させるとともに、上記第2の凸状嵌合部を上記第2の係合用凹部に手動操作による凹凸嵌合によって嵌合させればよい。
【0036】
また、上述の実施例においては、グロメット部材43およびパッキン部材42をエンクロージャ3の手入れ窓形成用開口70の外周囲付近に直接に取り付けるようにした。しかし、グロメット部材43と、パッキン部材42および絞り窓形成用部材のうちの少なくとも一方の部材とは、エンクロージャ3の手入れ窓11〜13および絞り窓のうちの少なくとも一方の窓を形成するための開口70の外周囲付近に枠体(換言すれば、枠部材)を介して、間接的に取り付けられることもできる。この場合、上記枠部材は、ABS樹脂などの硬質合成樹脂などの適当な材料から成形された成形品であってよい。そして、上記枠部材は、例えば、外側から内側に向かって外側の壁61の縁部73に嵌合した後にねじ止めすることなどによって取り付けられているものであってよい。また、上記枠部材は、グロメット部材43および上記少なくとも一方の部材42の凹部62に嵌合することができるほぼ楕円リング形状(換言すれば、ほぼリング形状)の嵌合用突起部(図示せず)を備えているのが好ましい。さらに、上記枠部材には、扉14〜16の被軸支部78を往復回動可能に軸支するための軸支部が配設されているのが好ましい。そして、上記枠部材には、扉14〜16の被係合爪部82と係合するための係合爪部が配設されているのが好ましい。
【0037】
さらに、上述の実施例においては、手入れ窓形成用開口70の外周囲付近にグロメット部材43を手動操作による凹凸嵌合により取り付けるようにした。しかし、絞り窓形成用開口の外周囲付近に凹凸嵌合などにより取り付けられている絞り窓形成用部材に代えて、グロメット部材43を絞り窓形成用開口の外周囲付近に手動操作による凹凸嵌合により取り付けることによって、グロメット部材43から成るグロメット構造を上記エンクロージャ3に形成することもできる。この場合、上記絞り窓形成用開口に取り付けられる上記絞り窓形成用部材は、パッキン部材42と同様の構成を有するものであってよい。そして、この絞り窓形成用部材は、外周リング付きの外側のシート部分と外周リング付きの内側のシート部分とがそれぞれ取り付けられたそれ自体は周知のものであってよい。この場合、上記外側のシート部分と上記内側のシート部分との組み合わせ構造は、周知のように、単一の筒状シートが二重になるように折り返されたものであってよい。
【符号の説明】
【0038】
1 閉鎖型保育器兼用の開放型保育器(保育器)
3 エンクロージャ
4 児用マット
11 手入れ窓
12 手入れ窓
13 手入れ窓
42 パッキン部材
43 グロメット部材
51 グロメット形成部
52 グロメット取り付け部
70 パッキン取り付け用の開口(手入れ窓形成用の開口)
83 中央開口(中央貫通孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11