(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の積層フィルムは、下記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、後述する塗布層を有するものである。
【0014】
[ポリエステルフィルム]
本発明におけるポリエステルフィルムは、その面方向屈折率(フィルム面内において、任意の一方向の屈折率とそれに垂直な方向の屈折率との平均屈折率)が1.63〜1.68である必要があり、好ましくは1.64〜1.67、特に好ましくは1.65〜1.66の範囲である。面方向屈折率がこの範囲にあると、後述する塗布層を設けた本発明の積層フィルムは、その上にハードコート層のような低屈折率層を形成した際の、干渉斑発生を抑制することができる。面方向屈折率は、上記範囲を外れて高すぎても低すぎても、干渉斑発生の抑制が難しくなる。
かかるポリエステルフィルムは、面方向屈折率が上記の要件を満足していれば、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよいが、機械的特性や熱的特性の点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0015】
また、フィルムを構成するポリエステルは、酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルであって、酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。なかでも、上記面方向屈折率の要件を満足する二軸延伸フィルムが得やすいという観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、ここでいうポリエチレンテレフタレートとは、全繰返し単位を基準として、エチレンテレフタレート単位が95モル%以上、好ましくは98モル%以上のポリエステルであり、特に好ましくは共重合成分を併用していないホモポリエステルである。共重合ポリエチレンテレフタレートである場合には、共重合成分として、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分や、ジエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオール等のグリコール成分を用いることができる。
【0016】
ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、o−クロロフェノール中35℃において、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.50〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満の場合には、フィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方、固有粘度が高くなりすぎると溶融粘度が高くなるため、溶融押出が困難であるうえ、重合に長時間を要し生産性も悪くなることがある。
【0017】
本発明におけるポリエステルフィルムは、透明性の観点から実質的に粒子を含まないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、フィルム中の粒子の含有量が100ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下であることを示す。
【0018】
[塗布層]
本発明の積層フィルムは、上記のポリエステルフィルムの少なくとも片面に、もしくは必要に応じて両面に、下記屈折率、厚み、および膨潤率の要件を満足する塗布層を備える必要がある。
【0019】
(屈折率)
塗布層の屈折率は、1.58〜1.64である必要があり、好ましくは1.58〜1.62、より好ましくは1.58〜1.60、さらに好ましくは1.58〜1.59である。塗布層の屈折率がこの範囲にあることにより、上述のポリエステルフィルムの面方向屈折率と、通常アクリル系樹脂からなるハードコート層の屈折率(おおよそ1.52程度)との間の屈折率となるので、塗布層上にこのようなアクリル系樹脂からなるハードコート層等を塗設した際の干渉斑(色斑感)が抑制できる。この屈折率は、高すぎても低すぎても干渉斑の抑制が難しくなる。また、このような屈折率となるような成分からなる塗布層とすることによって、膨潤率を好ましい範囲とし易くなる。
なお、このような屈折率を達成するためには、塗布層を構成する各成分の屈折率を調整すればよい。例えば、屈折率の高い共重合ポリエステルや粒子を用いることで、塗布層の屈折率を高くすることができる。特に好ましくは、後述する共重合ポリエステルを採用すればよい。
【0020】
(厚み)
塗布層の厚みは、50〜100nmである必要があり、好ましくは70〜90nmである。塗布層の厚みをこの範囲にすることにより、その上にアクリル系樹脂からなるハードコート層等の低屈折率層を設けた際の干渉斑(色斑感)が抑制できる。この厚みは、薄すぎると接着性が低下しやすく、また、薄すぎても厚すぎても干渉斑の抑制が難しくなる。
【0021】
(膨潤率)
本発明の塗布層は、上記に加えて、下記の方法で求められる膨潤率が下記のいずれの溶剤においても130〜200%である必要があり、好ましくは130〜180%、より好ましくは135〜175%、さらに好ましくは139〜165%である。ここで膨潤率は、積層フィルムの塗布層上に、下記UV硬化系組成物を溶剤で希釈した塗布液(固形分濃度40質量%)を塗布し、乾燥、硬化させて厚み5μmのハードコート層を形成し、ハードコート層を形成した後の塗布層の厚みdhと、ハードコート層を形成する前の塗布層の厚みd0とから、
膨潤率E(%)=dh/d0×100
として求めた値である。ここで、UV硬化系組成物としては下記を使用し、溶剤としては、通常ハードコート層などを形成する際に使用される溶剤の代表となるメチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、イソプロパノールおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用い、これらの溶剤のいずれにおいても、塗布層の膨潤率が上記範囲となる必要がある。
UV硬化系組成物:
ペンタエリスリトールアクリレート :45質量%
N−メチロールアクリルアミド :40質量%
N−ビニルピロリドン :10質量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 5質量%
【0022】
この膨潤率が130%未満の場合には、ハードコート層などとの接着性が不十分となり、他方、膨潤率が200%を超える場合には、ハードコート層形成前後における塗布層の厚みの変動が大きすぎるため、干渉斑を抑制することが難しくなる。また、かかる膨潤率は、上記溶剤のいずれにおいても、上記範囲内となることが重要なのであり、いずれかの溶剤での膨潤率がこの範囲をはずれると、かかる溶剤を用いてハードコート層を形成した際に、接着性が不十分となるか干渉斑の抑制が困難となるためである。なお、この膨潤率は、溶剤の種類による変動が少ない方がハードコート層を形成した際の干渉斑抑制が容易となるので、最大の膨潤率と最少の膨潤率の差が50%以下、さらに25%以下であることが好ましい。
【0023】
このような膨潤率を達成するためには、塗布層に用いられる成分、特にバインダー成分を構成する共重合成分を調整し、親油性と親水性のバランスをとればよい。具体的には、後述する好ましい態様の共重合ポリエステルを用いることができる。また、塗布層に架橋剤を用いることによっても膨潤率を調整することができる。架橋剤は、添加量が多くなるほど膨潤率が小さくなる傾向にある。
【0024】
(塗布層の構成)
本発明における塗布層は、上述した屈折率および膨潤率の要件を備えるものであれば、特にその構成は限定されないが、塗布層の屈折率および膨潤率を達成するのに好適な屈折率および膨潤率を備えた共重合ポリエステルを採用することが好ましい。この際、共重合ポリエステルの含有量は、塗布層の質量に対して70質量%以上、さらに80質量%以上、特に85質量%以上とするのが好ましい。
【0025】
(共重合ポリエステル)
かかる共重合ポリエステルは、例えばナフタレンジカルボン酸成分やフルオレン構造を有するグリコール成分などの屈折率を増大しうる成分およびスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分などの膨潤率を調整しうる成分を使用し、これらの共重合量を調整することによって、屈折率および膨潤率を調整すればよい。
【0026】
好ましく用いられる共重合ポリエステルとしては、例えば該共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分(100モル%)を基準として、ナフタレンジカルボン酸成分を60〜90モル%、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を1〜10モル%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体を5〜25モル%含むものが挙げられる。
【0027】
ナフタレンジカルボン酸成分の割合が上記範囲にあることにより、共重合ポリエステルの屈折率を高くすることができ、容易に塗布層の屈折率を上述の範囲とすることができ、干渉斑を抑制することができる。また、塗布層の膨潤率も容易に上述の範囲とすることができる。このナフタレンジカルボン酸成分の割合が少なくなりすぎると、共重合ポリエステルの屈折率が低くなるため、結果として塗布層の屈折率が低くなって干渉斑を抑制する効果が不十分となる。他方、ナフタレンジカルボン酸成分の割合が多くなるほど共重合ポリエステルの屈折率は大きくなるので、塗布層としては他の(後述する架橋剤やその他の成分等)の割合を増やすことができる。しかし、同時に共重合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)が高くなって塗布層のガラス転移温度も高くなる傾向にあり、塗布層の造膜性が低下して得られる積層フィルムの透明性が低下しやすくなる。したがって、ナフタレンジカルボン酸成分の含有量は65モル%以上であることが好ましく、かつ85モル%以下、さらに80モル%以下、特に70モル%以下であることが好ましい。
【0028】
ここでナフタレンジカルボン酸成分としては、2,7−ナフタレンジカルボン酸成分や2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、1,4−ナフタレンジカルボン酸成分等があげられるが、なかでも2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。
【0029】
また、共重合ポリエステルの全酸成分を基準として、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を上記範囲で有することにより、共重合ポリエステルを水性塗布液とする際の溶解性ないし水分散性を高めることができる。また、塗布層の膨潤率を容易に前述の範囲とすることができる。しかし、多くなりすぎると塗布層の耐水性や耐ブロッキング性が低くなる傾向にあるので、好ましくは2〜8モル%であり、6〜8モル%の範囲が特に好ましい。
【0030】
このスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分、5−カリウムスルホイソフタル酸成分、5−リチウムスルホイソフタル酸成分、5−ホスホニウムスルホイソフタル酸成分等が挙げられるが、水分散性良化の点から、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分が最も好ましい。
【0031】
さらに、共重合ポリエステルの全酸成分を基準として、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体成分を上記範囲で有することにより、共重合ポリエステルの屈折率を維持したまま、Tgを好ましい範囲とすることができ、塗布層の造膜性が向上して透明性に優れた積層フィルムを得ることができる。また、膨潤率を好ましい範囲にし易くなる。なお、エチレンオキサイドの平均付加モル数はビスフェノールA1モルに対して2〜4モルの範囲が適当である。
【0032】
以上に説明した共重合ポリエステルは、上記の成分に加えて、前記式(1)で示されるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満含んでいることが好ましく、共重合ポリエステルのTgを適度に低い温度に維持しながら、屈折率を好ましい範囲とすることができる。かかる成分の含有量が少なくなると共重合ポリエステルの屈折率が低くなる傾向にあり、他方多くなると共重合ポリエステルのTgが高くなり、塗布層の造膜性が低下して積層フィルムの透明性が低下する傾向にあり、接着性も低下する傾向にある。このような観点から、好ましい下限は5モル%であり、好ましい上限は15モル%であり、特に好ましくは10モル%である。
【0033】
好ましく用いられる前記式(1)で示されるフルオレン構造を有するグリコール成分としては、例えば9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン成分、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)-2-メチルフェニル]フルオレン成分を挙げることができる。
【0034】
さらに、上記の成分に加えて、炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分を0〜40モル%および炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を0〜50モル%を含有し、かつ該アルキレンジカルボン酸成分と該アルキレングリコール成分の合計が15〜50モル%となるように含有していることが好ましい。これにより、共重合ポリエステルのTgを低くすることができ、塗布層のTgを低くすることができる。その結果、ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであっても、塗布層を形成する際に通常採用されるインラインコーティング法でも、塗布層の造膜性に優れているので透明性に優れた積層フィルムが得られる。特に同時二軸延伸法を採用し、塗布層の形成にインラインコーティング法を採用する場合には、予熱・乾燥温度が比較的低くなりやすいために透明性向上効果が大きく好ましい。また、接着性の向上効果を高くすることができ、耐ブロッキング性にも優れる。
【0035】
上記アルキレンジカルボン酸成分と上記アルキレングリコール成分の合計量が少なくなると、共重合ポリエステルのTgが下がりにくくなるため、得られる積層フィルムの透明性が低下する場合がある。他方、上記アルキレンジカルボン酸成分またはアルキレングリコール成分が多くなるか、両者の合計が多くなると、耐ブロッキング性が低下したり、共重合ポリエステルの屈折率が低下して干渉斑を抑制する効果が低下する場合がある。また、塗布層の膨潤率も増大する恐れがある。そのような観点から、アルキレンジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分の合計量は、20〜50モル%の範囲とするのが好ましい。
【0036】
好ましく用いられる炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分(炭素数4〜10のアルキレン基を有するジカルボン酸成分)としては、例えば1,4−ブタンジカルボン酸成分、1,6−ヘキサンジカルボン酸成分、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分、1,8−オクタンジカルボン酸成分、1,10−デカンジカルボン酸成分等をあげることができる。中でも、適度なTgが得られるという観点から、炭素数4〜8のアルキレン基を有するジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4〜6のアルキレン基を有するジカルボン酸成分がさらに好ましい。
【0037】
また、好ましく用いられる炭素数4〜10のアルキレングリコール成分としては、例えば1,4−ブタンジオール成分、1,6−ヘキサンジオール成分、1,4−シクロヘキサンジオール成分、1,8−オクタンジオール成分、1,10−デカンジオール成分等を挙げることができる。中でも、適度なTgが得られるという観点から、炭素数4〜8のアルキレングリコール成分が好ましく、炭素数4〜6のアルキレングリコール成分がさらに好ましい。
【0038】
なお、共重合ポリエステルに他の共重合成分を含有させて他の機能を付与する場合、酸成分として含有させるのがやりやすく、また重合反応もしやすいので、上記のアルキレンジカルボン酸成分と上記アルキレングリコール成分の中では、アルキレングリコール成分として含有させる方がより好ましい。
【0039】
さらに、上記の成分に加えて、屈折率を維持しながら共重合ポリエステルのTgをより好適な範囲とするために、テレフタル酸および/またはイソフタル酸を20〜40モル%、特に24〜34モル%含有していることが好ましい。なかでもイソフタル酸成分が、より適したTgを得やすいので好ましい。
【0040】
さらに、上記以外の酸成分やジオール成分を含有していてもよく、酸成分としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸などを例示することができ、またジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、キシレングリコール、ジメチロールプロパンなどを例示することができる。さらに若干量であれば、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多官能ヒドロキシ成分や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分を用いてもよい。
【0041】
本発明の共重合ポリエステルの好ましい固有粘度(IVと省略することがある。)の範囲は、0.2〜0.8dl/gであり、下限はさらに0.3dl/g、特に0.4dl/gであることが好ましく、上限はさらに0.7dl/g、特に0.6dl/gであることが好ましい。ここで固有粘度は、オルトクロロフェノールを用いて35℃において測定した値である。
【0042】
また、本発明の共重合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、接着性の点から、さらにポリエチレンテレフタレートフィルム上にインラインコーティングする場合には塗膜形成性(透明性)の点から70℃以下であることが好ましく、一方、耐ブロッキング性の点からは40℃以上、特に45℃以上であることが好ましい。また、共重合ポリエステルの屈折率は、塗布層の屈折率を前述の範囲として干渉斑(色斑感)を抑制することが容易となるので、1.58〜1.65の範囲、さらに1.60〜1.63の範囲、特に1.61〜1.62の範囲にあることが好ましい。共重合ポリエステルのTgと屈折率を同時に満足させるためには、前述の共重合ポリエステルに関する要件を採用すればよい。
好ましく用いられる共重合ポリエステルとして、例えば下記の共重合ポリエステルを例示することができる。
【0043】
[共重合ポリエステルの好ましい態様1]
(A)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜90モル%
(B)スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を1〜10モル%、および
(C)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0044】
[共重合ポリエステルの好ましい態様2]
(A)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜90モル%
(B)スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を1〜10モル%
(C)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%、および
(D)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0045】
[共重合ポリエステルの好ましい態様3]
(A)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜90モル%
(B)スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を1〜10モル%
(C)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(D)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満、および
(E)炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を15〜50モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0046】
[共重合ポリエステルの好ましい態様4]
(A)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜70モル%
(B)スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を6〜8モル%
(C)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(D)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満、および
(F)テレフタル酸成分および/またはイソフタル酸成分を24〜34モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0047】
[共重合ポリエステルの好ましい態様5]
(A)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜70モル%
(B)スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を6〜8モル%
(C)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(D)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満
(E)炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を15〜50モル%、および
(F)テレフタル酸成分および/またはイソフタル酸成分を24〜34モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0048】
以上に詳述した本発明の共重合ポリエステルは、従来公知のポリエステル製造技術により製造することができる。例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体および5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体などの酸成分を、テトラメチレングリコール、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分などのジオール成分と反応せしめてモノマーもしくはオリゴマーを形成し、その後真空下で重縮合せしめることによって所定の固有粘度の共重合ポリエステルとする方法で製造できる。その際、反応を促進する触媒、例えばエステル化もしくはエステル交換触媒、重縮合触媒を用いることができ、また種々の添加剤、例えば安定剤等を添加することもできる。
【0049】
また上述の共重合ポリエステルは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布されるが、ポリエステルフィルムを製膜する際に塗布するインラインコーティング法が好ましいので、該共重合ポリエステルを水分散体として用いることが好ましい。水分散体とする方法は特に限定する必要はなく、従来公知の方法を採用すればよい。
【0050】
(架橋剤)
本発明の塗布層には、架橋剤を配合することが好ましい。好ましく用いられる架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤などを例示することができ、これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0051】
エポキシ系架橋剤としては、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等が挙げられ、ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ−1、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としては、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサンが挙げられる。
【0052】
オキサゾリン系架橋剤としては、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであればよく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
【0053】
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物およびそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
【0054】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ビトリレン−4,4’ジイソシアネート、3,3’ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0055】
これらの架橋剤のうち特にオキサゾリン系架橋剤が、取扱い易さや塗布液のポットライフ等の点から好ましい。
塗布層にかかる架橋剤を含有させることにより、塗布層の溶剤に対する膨潤性に関する要件を容易に好適な値とすることができるが、多くなりすぎると膨潤性が低くなりすぎて接着性が低下する傾向にあるので、架橋剤の含有割合は、塗布層の質量100質量%あたり、1〜30質量%の範囲とするのが好ましく、特に5〜10質量%の範囲とするのが好ましい。
【0056】
(その他の成分)
本発明の塗布層には、本発明の目的を阻害しない範囲内で各種添加剤を配合することができる。例えばフィルムの滑り性、耐傷付き性、塗布時の濡れ性などを改善するために、粒子、ワックス類、界面活性剤、濡れ調整剤等を添加してもよく、その他帯電防止剤、紫外線吸収剤などを配合してもよい。
例えば粒子を添加することによって、フィルムの滑性、耐傷付き性を向上することができる。かかる粒子としては、有機粒子、無機粒子、有機無機複合粒子のいずれでもよいが、透明性を保持したまま耐傷付き性も向上させるという観点から、粒径の大きな粒子(大粒子)と、粒径の小さな粒子(小粒子)の両方を含有することが好ましい。
【0057】
大粒子の平均粒径は、80〜1000nmの範囲が適当であり、より好ましくは100〜400nmの範囲、さらに好ましくは130〜350nmの範囲である。これにより滑性、耐傷付き性に優れる。なお、大粒子は塗布層から脱落しやすいため、無機粒子表面を有機物(例えばアクリル)で被覆した有機無機複合粒子であることが好ましい。
塗布層における大粒子の含有量は、塗布層の質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%であり、大粒子を添加する効果がより得やすい。
【0058】
小粒子の平均粒径は、10nm以上、100nm未満の範囲が適当であり、より好ましくは20〜80nm、さらに好ましくは30〜60nmである。これにより耐ブロッキング性に優れる。小粒子は、硬度の観点から、無機粒子であることが好ましく、金属酸化物粒子であることが好ましい。金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子等が挙げられる。中でも、コストに優れるという観点から、シリカ粒子が好ましい。
塗布層における小粒子の含有量は、塗布層の質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%であり、小粒子を添加する効果がより得やすい。
【0059】
[積層フィルムの特性]
(ヘーズ)
本発明の積層フィルムは、JIS規格K7136に従って測定したヘーズ値が0%以上、1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以上、0.8%以下、特に好ましくは0.1%以上、0.5%以下である。ヘーズは光学用途に用いる場合の重要な評価指標であり、例えばディスプレイに用いる場合には、ヘーズはディスプレイの視認性を評価する指標の1つで、ヘーズが1.0%を越える場合には、フィルムの透明性が低下してディスプレイの表示画面が白っぽく見えるため、コントラストが低下し視認性が低下することがある。ヘーズをかかる範囲にするためには、配向ポリエステルフィルムおよび塗布層において、粒子を用いないか、用いる場合でも前述の範囲内の径および量にとどめ、また塗布層を構成する高分子バインダーとして前述の共重合ポリエステルを用いればよい。
【0060】
[積層フィルムの製造方法]
以上に説明した本発明の積層フィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムを製造する製膜工程と、塗布層を形成する塗布工程とを経て製造される。製膜工程は、逐次二軸延伸法であってもよいし、同時二軸延伸法であってもよいが、同時二軸延伸法であれば、製膜中にフィルム表面に傷が付き難く、光学用途に用いるフィルムを製造するのに適しているので好ましい。また、塗布工程は、フィルムの製膜工程の後(所謂オフラインコーティング法)であってもよいし、フィルムの製膜工程の中(所謂インラインコーティング法)であってもよいが、インラインコーティングであれば、厚みの薄い塗布層を均一に得ることが容易であり、また強固な塗布層が得られるため好ましい。さらに、生産性にも優れる。
【0061】
以下、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用い、同時二軸延伸法でインラインコーティング法を採用した場合の好ましい方法について説明する。まず、十分に乾燥したポリエチレンテレフタレートをTm+10℃ないしTm+30℃(ただし、Tmはポリエチレンテレフタレートの融点)の温度で溶融し、シート状に押出し、冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとする。次いで、該未延伸フィルムにおいて塗布層を形成したい側の表面に、塗布層を形成するための塗液をロールコーターで塗布して、塗膜を有する未延伸フィルムをえる。このとき、得られる積層フィルムにおける塗布層の厚みが好ましくは50〜100nm、さらに好ましくは70〜90nmとなるように塗布する。次いでこれを、90〜110℃で予熱し、同時二軸延伸機で、二軸方向に同時に、TgないしTg+70℃の温度(ただし、Tgはポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度)で縦方向(製膜機械軸方向。以下、長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に好ましくは2.5〜5.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍、横方向(製膜機械軸方向に垂直な方向。以下、幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に好ましくは2.5〜5.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍で延伸した後に、(Tg+60℃)〜Tmの温度で熱固定し、好ましくは熱収縮率を調整するために熱弛緩処理することによって、配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に塗布層を有する積層フィルムを得ることができる。なお、熱固定は、例えば210〜240℃の範囲内の温度で、1〜60秒の時間熱固定処理するのが好ましい。また、塗膜は、上記工程でかかる熱により乾燥、および必要に応じて硬化し、塗布層となる。
【0062】
なお、塗布層を形成するための塗液は、塗布層を構成する各成分を混合して、粘度や塗布厚み等を考慮して適度に希釈して調整する。希釈に用いる溶剤としては、水が好ましく、すなわち塗液が水系であることが好ましい。塗液の固形分濃度は5〜20質量%とすることが好ましく、良好な塗布外観を得ることができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0064】
(1)フィルム屈折率
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの長手方向(MD)、幅方向(TD)、フィルム厚み方向(Z方向)それぞれの屈折率をアッベ屈折率計にて測定した。なお、塗布層の厚みは薄いため、塗布層が両面に形成されている場合に塗布層上からアッベ屈折率計を用いて測定しても、塗布層の屈折率の影響を受けず、二軸配向ポリエステルフィルムの屈折率を求めることができる。
面方向屈折率=(長手方向屈折率+幅方向屈折率)/2
【0065】
(2)塗布層の屈折率
塗布層を形成するための塗液を90℃で板状に乾固させて、アッベ屈折率計(D線589nm)で測定し、塗布層の屈折率とした。
【0066】
(3)塗布層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定して断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
【0067】
(4)膨潤率
ハードコート層を積層した後のフィルムを上記(3)と同様に塗布層の厚みを測定した。ハードコート層を積層する前の塗布層厚みをd0、積層した後の塗布層厚みをdhとしたとき、下記式1により、塗布層の膨潤率E(%)を求めた。
E=dh/d0×100
【0068】
(5)ハードコート層接着性
ハードコート層を形成したフィルムのハードコート層に1mm
2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90°方向に剥離し、ハードコート層が残存した個数により下記のように評価を行った。
◎:90<残存個数≦100・・・接着性極めて良好
○:80<残存個数≦ 90・・・接着性良好
△:70<残存個数≦ 80・・・接着性やや良好
×: 残存個数≦ 70・・・接着性不良
【0069】
(6)光の干渉斑
ハードコート層を形成したフィルムを用いて、ハードコート層を形成した面とは反対側の面を黒色マジックで塗りつぶして反対面からの反射光の影響を無くした上で、分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)を用いて、分光反射率を測定した。波長500〜600nmでの反射率を測定し、その反射率の振幅を下記の基準で評価した。測定された反射率の振幅が大きいほど干渉斑が発生し、ディスプレイとしての視認性が低下する。
◎: 反射率振幅≦0.5% ・・・干渉斑極めて良好
○:0.5%<反射率振幅≦1.0% ・・・干渉斑良好
×:1.0%<反射率振幅 ・・・干渉斑不良
【0070】
(7)積層フィルムのヘーズ値
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して積層フィルムのヘーズ値を測定した。
【0071】
[実施例1〜10、比較例1〜9]
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.63dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いでその両面に、固形分が表1に示す組成からなる、固形分濃度10質量%の水性塗液を、延伸後の得られる塗布層の厚みが表1に示すとおりとなるようにロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを温度100℃で予熱し、乾燥し、同時二軸延伸機において120℃(前述の好ましい製造方法ではTg〜Tg+10℃となっていますがどちらが正しいでしょうか)で縦方向に3.2倍、横方向に3.7倍で縦横方向を同時に延伸し、220℃で60秒間熱固定し、厚み125μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に塗布層を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの面方向屈折率は1.66であった。
【0072】
さらに、得られた積層フィルムからB4サイズに切り出したフィルムサンプルの塗布層のうえに、以下の組成からなるUV硬化組成物を、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の5種類の溶剤で、各々固形分濃度40質量%になるように希釈したものを5種類用意し、それぞれについてマイヤーバーを用いて塗布し、直ちに70℃1分で乾燥し、強度80W/cmの高圧水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。なお、硬化後のハードコート層膜厚が5μmとなるようにマイヤーバーの番手を調整した。
評価結果を表2に示す。
【0073】
(UV硬化系組成物)
ペンタエリスリトールアクリレート :45質量%
N−メチロールアクリルアミド :40質量%
N−ビニルピロリドン :10質量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 5質量%
このハードコート層を積層したフィルムの干渉斑、密着性の結果を表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
表1中のNDCAは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、TAはテレフタル酸成分、IAはイソフタル酸成分、NSIAは5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分、C4Gはテトラメチレングリコール、C8Gはオクタメチレングリコール、BPA−4は三洋化成工業製のビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加体成分(ニューポールBPE−40)、BPA−23Pは三洋化成工業製のビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体成分(ニューポールBPE−23)、BPEFは9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン成分、EGはエチレングリコールを意味する。
【0077】
また、架橋剤としてオキサゾリン架橋剤(日本触媒社製 商品名エポクロスWS−700)、粒子1としてはシリカアクリル複合微粒子(平均粒径:250nm)(日本触媒社製 商品名ソリオスター)、粒子2としてはシリカフィラー(50nm)(日産化学株式会社製 商品名スノーテックス)、界面活性剤としてはポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成工業社製 商品名ナロアクティーN−70)を用いた。