特許第5960571号(P5960571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960571
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】モータ及びモータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20160719BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H02K5/16 Z
   H02K15/14 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-224284(P2012-224284)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-79054(P2014-79054A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−002830(JP,A)
【文献】 特開昭55−013646(JP,A)
【文献】 特開2009−148056(JP,A)
【文献】 実開昭61−153479(JP,U)
【文献】 特開昭61−207157(JP,A)
【文献】 特開2011−239533(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01453185(EP,A1)
【文献】 米国特許第05894653(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のステータコアを有するステータと、
前記ステータの軸方向両側にそれぞれ組み付けられて該ステータを軸方向に挟持する第1エンドフレーム及び第2エンドフレームと、
前記第1エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第1ボールベアリングと、
前記第2エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第2ボールベアリングと、
前記各ボールベアリングに回転可能に支持された回転軸と、
前記ステータコアの内周側位置で前記回転軸に一体回転可能に固定されたロータと
を備えたモータであって、
前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2ボールベアリングを回転軸方向の前記ステータ側から組付可能に構成されており、
前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2エンドフレームを軸方向に貫通し、内部に前記第2ボールベアリングが固定された収容孔と、前記収容孔の反ステータ側端部に挿入固定され前記第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を調整する調整部材とを有し、
前記調整部材と前記第2ボールベアリングとの間には、前記第2ボールベアリングに対して軸方向の前記ステータ側への付勢力を付与する付勢部材が介在されており、
前記調整部材は、前記収容孔の反ステータ側端部に圧入により固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記収容孔の反ステータ側端部に前記収容孔よりも径の大きい固定凹部を有し、
前記調整部材は、前記収容孔に挿入された状態で前記付勢部材と当接する付勢部材押さえ部と、前記固定凹部に圧入により固定された圧入部とを有していることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のモータにおいて、
前記ステータコアは、板状のコアシートが前記回転軸の軸方向に沿って積層されてなることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のモータにおいて、
前記調整部材は、前記第2エンドフレームに対して軸方向に当接可能な当接部を有し、
前記当接部と前記第2エンドフレームとの当接によって前記調整部材の前記第2ボールベアリング側への移動が規制されることを特徴とするモータ。
【請求項5】
筒状のステータコアを有するステータと、
前記ステータの軸方向両側にそれぞれ組み付けられて該ステータを軸方向に挟持する第1エンドフレーム及び第2エンドフレームと、
前記第1エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第1ボールベアリングと、
前記第2エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第2ボールベアリングと、
前記各ボールベアリングに回転可能に支持された回転軸と、
前記ステータコアの内周側位置で前記回転軸に一体回転可能に固定されたロータと
を備えたモータを製造する製造方法であって、
前記第1エンドフレームのベアリング収容部に収容固定された前記第1ボールベアリングと、外周側が固定されていない前記第2ボールベアリングとが前記回転軸に組み付けられた状態で、前記第2エンドフレームのベアリング収容部を前記第2ボールベアリングに対して外嵌固定しつつ、前記第2エンドフレームを前記第1エンドフレームとで前記ステータコアを挟むように組み付ける工程を備え、
前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2エンドフレームを軸方向に貫通し、内部に前記第2ボールベアリングが固定された収容孔と、前記収容孔の反ステータ側端部に挿入固定され前記第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を調整する調整部材と、前記調整部材と前記第2ボールベアリングとの間に介在され前記第2ボールベアリングに対して軸方向の前記ステータ側への付勢力を付与する付勢部材とを有しており、
前記組み付ける工程の後、前記収容孔に前記付勢部材を収容するとともに該付勢部材を前記第2ボールベアリングと当接させ、その後、前記調整部材を前記収容孔の反ステータ側端部に挿入するとともに該調整部材を前記収容孔の反ステータ側端部に圧入により固定する工程を備えることを特徴とするモータの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のモータの製造方法において、
前記第1ボールベアリングが固定された前記第1エンドフレームを基準部材とし、その第1エンドフレームに対して前記回転軸、前記第2ボールベアリング、前記ステータ、及び前記第2エンドフレームを同一方向に組み付けることを特徴とするモータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及びモータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、ステータの軸方向両側にそれぞれ組み付けられて該ステータを軸方向に挟持する第1エンドフレーム及び第2エンドフレームを備えたモータがある。第1及び第2エンドフレームには、それぞれの軸方向外側端面(反ステータ側の端面)からモータ内部側に窪むベアリング収容部が形成され、その各ベアリング収容部にボールベアリングが収容されている。そして、各ボールベアリングに軸支された回転軸には、ステータコアの内周側に配置されたロータが一体回転可能に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−239533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のようなモータの組み付けでは、第1エンドフレームのベアリング収容部に収容固定したボールベアリングに対し回転軸を圧入固定した後、ステータ及び第2エンドフレームを組み付ける。その後、第2エンドフレームのベアリング収容部と、そのベアリング収容部に挿通された回転軸との間にボールベアリングを嵌合する。このとき、ボールベアリングを回転軸に外嵌すると同時に、ベアリング収容部に対しては内嵌しなければならないため、第2エンドフレーム側のボールベアリングの組み付けが困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、組み付け性を向上させることができるモータ及びモータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するモータは、筒状のステータコアを有するステータと、前記ステータの軸方向両側にそれぞれ組み付けられて該ステータを軸方向に挟持する第1エンドフレーム及び第2エンドフレームと、前記第1エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第1ボールベアリングと、前記第2エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第2ボールベアリングと、前記各ボールベアリングに回転可能に支持された回転軸と、前記ステータコアの内周側位置で前記回転軸に一体回転可能に固定されたロータとを備えたモータであって、前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2ボールベアリングを回転軸方向の前記ステータ側から組付可能に構成されており、前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2エンドフレームを軸方向に貫通し、内部に前記第2ボールベアリングが固定された収容孔と、前記収容孔の反ステータ側端部に挿入固定され前記第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を調整する調整部材とを有し、前記調整部材と前記第2ボールベアリングとの間には、前記第2ボールベアリングに対して軸方向の前記ステータ側への付勢力を付与する付勢部材が介在されており、前記調整部材は、前記収容孔の反ステータ側端部に圧入により固定されている。
【0007】
この構成によれば、第1エンドフレームのベアリング収容部に収容固定された第1ボールベアリングと、外周側が固定されていない第2ボールベアリングとが回転軸に固定された状態で、第2ボールベアリングに対して第2エンドフレームのベアリング収容部を外嵌固定することが可能となる。これにより、第2ボールベアリングの回転軸に対する固定と第2エンドフレームのベアリング収容部に対する固定とを同時に行う必要がなくなるため、第2ボールベアリングを容易に組み付けることができ、その結果、モータの組み付け性を向上させることができる。
【0008】
さらに、前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2エンドフレームを軸方向に貫通し、内部に前記第2ボールベアリングが固定された収容孔と、前記収容孔の反ステータ側端部に挿入固定され前記第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を調整する調整部材とを有し、前記調整部材と前記第2ボールベアリングとの間には、前記第2ボールベアリングに対して軸方向の前記ステータ側への付勢力を付与する付勢部材が介在されている。
【0009】
この構成によれば、調整部材の固定位置を調整することで、第2ボールベアリングの収容孔内での固定位置がばらついても、調整部材と第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を一定とすることが可能となる。これにより、第2ボールベアリングに対する付勢部材の付勢力を安定させることが可能となる。
さらに、前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記収容孔の反ステータ側端部に前記収容孔よりも径の大きい固定凹部を有し、前記調整部材は、前記収容孔に挿入された状態で前記付勢部材と当接する付勢部材押さえ部と、前記固定凹部に圧入により固定された圧入部とを有している。
【0010】
さらに、前記ステータコアは、板状のコアシートが前記回転軸の軸方向に沿って積層されてなる。
この構成によれば、ステータコアを鋳造等で一体形成した構成と比べ、回転軸方向(コアシートの積層方向)の寸法公差が大きい。これにより、各エンドフレームの間隔のばらつき(即ち、第2ボールベアリングの収容孔内での固定位置)のばらつきがより顕著となるため、調整部材の位置調整によって付勢部材の付勢力を安定させる効果がより顕著に発揮される。
【0011】
さらに、前記調整部材は、前記第2エンドフレームに対して軸方向に当接可能な当接部を有し、前記当接部と前記第2エンドフレームとの当接によって前記調整部材の前記第2ボールベアリング側への移動が規制される。
【0012】
この構成によれば、付勢部材が第2ボールベアリングと調整部材とによって押し潰されてしまうことを防止することができ、その結果、付勢部材の損傷を防止することができる。
【0013】
上記課題を解決するモータの製造方法は、筒状のステータコアを有するステータと、前記ステータの軸方向両側にそれぞれ組み付けられて該ステータを軸方向に挟持する第1エンドフレーム及び第2エンドフレームと、前記第1エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第1ボールベアリングと、前記第2エンドフレームのベアリング収容部に設けられた第2ボールベアリングと、前記各ボールベアリングに回転可能に支持された回転軸と、前記ステータコアの内周側位置で前記回転軸に一体回転可能に固定されたロータとを備えたモータを製造する製造方法であって、前記第1エンドフレームのベアリング収容部に収容固定された前記第1ボールベアリングと、外周側が固定されていない前記第2ボールベアリングとが前記回転軸に組み付けられた状態で、前記第2エンドフレームのベアリング収容部を前記第2ボールベアリングに対して外嵌固定しつつ、前記第2エンドフレームを前記第1エンドフレームとで前記ステータコアを挟むように組み付ける工程を備え、前記第2エンドフレームのベアリング収容部は、前記第2エンドフレームを軸方向に貫通し、内部に前記第2ボールベアリングが固定された収容孔と、前記収容孔の反ステータ側端部に挿入固定され前記第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を調整する調整部材と、前記調整部材と前記第2ボールベアリングとの間に介在され前記第2ボールベアリングに対して軸方向の前記ステータ側への付勢力を付与する付勢部材とを有しており、前記組み付ける工程の後、前記収容孔に前記付勢部材を収容するとともに該付勢部材を前記第2ボールベアリングと当接させ、その後、前記調整部材を前記収容孔の反ステータ側端部に挿入するとともに該調整部材を前記収容孔の反ステータ側端部に圧入により固定する工程を備える
【0014】
この構成によれば、第2ボールベアリングの回転軸に対する固定と第2エンドフレームのベアリング収容部に対する固定とを同時に行う必要がなくなるため、第2ボールベアリングを容易に組み付けることができ、その結果、モータの組み付け性を向上させることができる。また、調整部材の固定位置を調整することで、第2ボールベアリングの収容孔内での固定位置がばらついても、調整部材と第2ボールベアリングとの間の軸方向隙間を一定とすることが可能となる。これにより、第2ボールベアリングに対する付勢部材の付勢力を安定させることが可能となる。
【0015】
さらに、前記第1ボールベアリングが固定された前記第1エンドフレームを基準部材とし、その第1エンドフレームに対して前記回転軸、前記第2ボールベアリング、前記ステータ、及び前記第2エンドフレームを同一方向に組み付ける。
【0016】
この方法によれば、製造工程を簡素化することができるため、モータの組み付け性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のモータによれば、組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のモータの概略構成を示す断面図である。
図2】同形態のモータの組付態様を示す模式図である。
図3】別例のモータの一部を拡大して示す断面図である。
図4】別例のモータの一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、モータ及びモータの製造方法の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、モータ10は、第1エンドフレーム11と第2エンドフレーム12(以下では単に、第1フレーム11及び第2フレーム12とする)とによって環状のステータ13が回転軸方向に挟持されて構成されている。第1及び第2フレーム11,12にはそれぞれ、第1及び第2ボールベアリングB1,B2が互いに同軸となるように設けられ、その第1及び第2ボールベアリングB1,B2に軸支された回転軸14には、ステータ13の内周側位置でロータ15が一体回転可能に固定されている。なお、モータ10の軸方向出力側(図1において下側)を保持するフレームを第1フレーム11とし、軸方向反出力側を保持するフレームを第2フレーム12としている。各フレーム11,12は、互いに離間しないようにステータ13の外周側の位置でスルーボルト16にて締結固定されている。
【0020】
ステータ13は、円環状のステータコア17と、該ステータコア17に巻装されたコイル18とを備えている。ステータコア17は、鋼板をプレス加工により打ち抜いて形成した複数枚のコアシート17aを軸方向に積層してかしめて一体化することにより形成されている。
【0021】
各フレーム11,12は、アルミニウムや鋼鉄等の金属材料にて形成されている。各フレーム11,12は、略円盤状の本体部21と、本体部21から回転軸14の軸方向に沿って延出された円筒状のステータ保持部22とを備えている。
【0022】
ステータ保持部22の先端部(軸方向内側端部)は、ステータコア17の軸方向両端部にそれぞれ外嵌されている。この各ステータ保持部22には、ステータコア17に対して回転軸14の軸方向に当接する当接面23が形成されている。
【0023】
各フレーム11,12の本体部21には、ステータ13の外形よりも外側に延びる複数のボルト締結部24(図1では2つのみ図示)が延出形成され、各フレーム11,12のボルト締結部24がスルーボルト16にて互いに連結固定されている。これにより、各フレーム11,12がステータ保持部22でステータ13を挟持する状態で固定されるようになっている。
【0024】
第1フレーム11の本体部21の中央部には、第1ボールベアリングB1を収容する第1ベアリング収容部25が形成されている。第1ベアリング収容部25は、第1フレーム11の軸方向外側端面からモータ内部側(ステータ13側)に窪む形状をなしている。つまり、第1ベアリング収容部25は、第1ボールベアリングB1をモータ外部側(反ステータ側)から組付可能に構成されており、モータ内部側からは組付不能となっている。
【0025】
第1ベアリング収容部25のモータ内部側の端部には、第1ボールベアリングB1と軸方向に当接する位置決め底部26が形成されており、この位置決め底部26には、回転軸14が挿通される挿通孔27が形成されている。位置決め底部26は、第1ボールベアリングB1と軸方向に当接することで、第1ボールベアリングB1の軸方向の位置を決定する。
【0026】
第2フレーム12の本体部21の中央部には、第2ボールベアリングB2を回転軸方向のステータ13側(モータ内部側)から組付可能に構成された第2ベアリング収容部31が形成されている。第2ベアリング収容部31は、第2フレーム12の本体部21を回転軸方向に貫通する円形の収容孔32と、その収容孔32のモータ外部側端部(反ステータ側端部)を閉塞する調整部材33と、収容孔32内に収容される第2ボールベアリングB2と調整部材33との間に介装されたウェーブワッシャ34(付勢部材)とからなる。
【0027】
収容孔32のモータ外部側端部には、収容孔32よりも径の大きい円形をなす固定凹部35が形成され、収容孔32と固定凹部35とは段差部36を経て連なるように形成されている。
【0028】
調整部材33は、収容孔32に挿入されてウェーブワッシャ34と回転軸方向に当接するワッシャ押さえ部37と、固定凹部35に圧入固定された圧入部38とを有している。ワッシャ押さえ部37及び圧入部38は互いに同軸をなす円形をなし、圧入部38の外径はワッシャ押さえ部37の外径よりも大きく形成されている。調整部材33の中心には、ワッシャ押さえ部37及び圧入部38を回転軸方向に貫通する貫通孔39が形成されている。調整部材33の圧入部38の固定位置は、回転軸14の軸方向に調整することが可能となっている。
【0029】
回転軸14には、ロータ15を構成するロータコア41が固定される円柱状のコア固定部42と、コア固定部42の軸方向両側からそれぞれ延出された円柱状の被軸支部43,44とが形成されている。コア固定部42と各被軸支部43,44は互いに同軸をなし、各被軸支部43,44の外径は、コア固定部42の外径よりも小さく形成されている。
【0030】
ロータコア41は円筒状をなし、回転軸14のコア固定部42に外嵌固定されている。ロータコア41の外周面には、磁極を構成する複数の磁石45が固着され、各磁石45は、ステータコア17の内周面と径方向に対向している。
【0031】
回転軸14は、被軸支部43,44がそれぞれ第1及び第2ボールベアリングB1,B2にて軸支されている。第1フレーム11側の被軸支部43は、第1ベアリング収容部25の挿通孔27に挿通されるとともに、第1ボールベアリングB1からモータ外部側に突出しており、その突出部分には、出力部としてのジョイント(図示略)が装着される。
【0032】
第2ボールベアリングB2に軸支された被軸支部44は、ウェーブワッシャ34及び調整部材33の貫通孔39に挿通されている。また、第2ボールベアリングB2は、被軸支部44とコア固定部42との間の段差部46に対して軸方向に当接している。また、ウェーブワッシャ34は、回転軸14及びロータ15の軸方向のがたつきを抑制すべく、第2ボールベアリングB2に対して軸方向ステータ13側への圧力を付与している。
【0033】
次に、本実施形態のモータ10の製造方法について説明する。
図2に示すように、本実施形態の組付方法では、第1フレーム11を組み付けの基準部材とし、その他の部品を同一方向(図2において下方向)に組み付けるようになっている。
【0034】
まず、第1ベアリング収容部25に第1ボールベアリングB1が圧入固定された状態の第1フレーム11を作業台Sに移動不能に設置する。
次に、コア固定部42にロータコア41が固定され且つ被軸支部44に第2ボールベアリングB2が圧入固定された回転軸14の被軸支部43を、第1ボールベアリングB1に対して圧入固定する。なお、第2ボールベアリングB2は、回転軸14の段差部46と軸方向に当接するように固定される。
【0035】
次に、ステータコア17を第1フレーム11のステータ保持部22の先端部に内嵌する。
次に、第1フレーム11のステータ保持部22に組み付けられたステータコア17に対し、第2フレーム12のステータ保持部22の先端部を外嵌する。このとき、回転軸14の被軸支部44に固定された第2ボールベアリングB2は、第2フレーム12の収容孔32に隙間嵌合されるとともに、段差部46に軸方向に当接して軸方向内側にずれることが防止されている。
【0036】
ここで、ステータコア17の軸方向寸法のばらつき(公差)に伴い、ステータコア17の軸方向両側に組み付けられた第1及び第2フレーム11,12の軸方向の間隔(つまり、第1フレーム11に対する第2フレーム12の軸方向位置)がばらつく。これにより、回転軸14に固定された第2ボールベアリングB2に対する第2フレーム12の軸方向位置がばらつく。ここで、本実施形態では、第2ボールベアリングB2が第2フレーム12の収容孔32に対して位置決めされないため、第2ボールベアリングB2の収容孔32内での固定位置は、第2フレーム12の軸方向位置のばらつきに応じて変化する。つまり、収容孔32が第2フレーム12の軸方向位置のばらつきを吸収する役割をなしている。なお、収容孔32の軸方向長さは、ステータコア17の公差を考慮した寸法に設定されている。
【0037】
次に、第1及び第2フレーム11,12のボルト締結部24同士をスルーボルト16にて締結固定する。これにより、第2フレーム12が第1フレーム11に対して軸方向に離間しないように固定される。
【0038】
次に、第2フレーム12の収容孔32にウェーブワッシャ34を収容し、そのウェーブワッシャ34を第2ボールベアリングB2と軸方向に当接させる。その後、調整部材33のワッシャ押さえ部37を収容孔32に挿入しつつ、その調整部材33の圧入部38を第2フレーム12の固定凹部35に圧入固定する。これにより、調整部材33のワッシャ押さえ部37と第2ボールベアリングB2との間にウェーブワッシャ34が介装される。
【0039】
ここで、ウェーブワッシャ34が第2ボールベアリングB2に与える付勢力は、調整部材33のワッシャ押さえ部37と第2ボールベアリングB2との間の間隔(軸方向隙間)によって決まる。第2ボールベアリングB2の収容孔32内での固定位置は、前述のように、第2フレーム12の軸方向位置に応じてばらつくが、一方の調整部材33の圧入部38は、固定凹部35に対して任意の位置に固定することが可能となっている。このため、調整部材33の固定位置を第2ボールベアリングB2の固定位置に応じて調整することで、ウェーブワッシャ34の第2ボールベアリングB2に対する付勢力を第2ボールベアリングB2の固定位置によらず一定とすることが可能となっている。
【0040】
次に、本実施形態の作用について説明する。
第2フレーム12の収容孔32(第2ベアリング収容部31)が、第2ボールベアリングB2をモータ内部側(軸方向ステータ13側)から組付可能な構成とされている。このため、第1及び第2ボールベアリングB1,B2が回転軸14に固定された状態で、その第2ボールベアリングB2に対して第2フレーム12の収容孔32を外嵌固定することが可能となっている。これにより、第2ボールベアリングB2の回転軸14に対する固定と収容孔32に対する固定とを同時に行う必要がなくなるため、モータ10の組み付け性が向上される。
【0041】
また、本実施形態のステータコア17は、コアシート17aの積層構造よりなるため、ステータコアを鋳造等で一体形成した構成と比べ、回転軸14の軸方向(コアシート17aの積層方向)の寸法公差が大きい。これにより、第2フレーム12の軸方向位置のばらつきがより顕著となるため、調整部材33の位置調整によってウェーブワッシャ34の付勢力を安定させる効果がより顕著に発揮されることとなる。
【0042】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)第2フレーム12の第2ベアリング収容部31は、第2ボールベアリングB2を回転軸方向のステータ13側(モータ内部側)から組付可能に構成される。この構成によれば、第1フレーム11に固定された第1ボールベアリングB1と、外周側が固定されていない第2ボールベアリングB2とが回転軸14に組み付けられた状態で、第2フレーム12の第2ベアリング収容部31を第2ボールベアリングB2に対して外嵌固定することが可能となる。これにより、第2ボールベアリングB2の回転軸14に対する固定と第2ベアリング収容部31に対する固定とを同時に行う必要がなくなるため、第2ボールベアリングB2を容易に組み付けることができ、その結果、モータ10の組み付け性を向上させることができる。
【0043】
(2)第2ベアリング収容部31は、第2フレーム12の本体部21を軸方向に貫通し、内部に第2ボールベアリングB2が固定された収容孔32と、その収容孔32の反ステータ側端部(モータ外部側の端部)に挿入固定され第2ボールベアリングB2との間の軸方向隙間を調整する調整部材33とを有する。そして、調整部材33と第2ボールベアリングB2との間には、第2ボールベアリングB2に対して軸方向のステータ13側への付勢力を付与するウェーブワッシャ34が介在される。
【0044】
この構成によれば、調整部材33の固定位置を調整することで、第2ボールベアリングB2の収容孔32内での固定位置がばらついても調整部材33と第2ボールベアリングB2との間隔を一定とすることが可能となる。これにより、第2ボールベアリングB2に対するウェーブワッシャ34の付勢力を安定させることが可能となる。
【0045】
(3)ステータコア17は、板状のコアシート17aが回転軸14の軸方向に沿って積層されてなるため、ステータコア17を鋳造等で一体形成した構成と比べ、ステータコア17の回転軸方向(コアシート17aの積層方向)の寸法公差が大きい。これにより、各フレーム11,12の間隔のばらつき(即ち、第2ボールベアリングB2の収容孔32内での固定位置)のばらつきがより顕著となるため、調整部材33の位置調整によってウェーブワッシャ34の付勢力を安定させる効果がより顕著に発揮される。
【0046】
(4)調整部材33は、第2フレーム12の段差部36に対して軸方向に当接可能な圧入部38(当接部)を有し、圧入部38と段差部36との当接によって調整部材33の第2ボールベアリングB2側への移動が規制される。この構成によれば、ウェーブワッシャ34が第2ボールベアリングB2と調整部材33とによって押し潰されてしまうことを防止することができ、その結果、ウェーブワッシャ34の損傷を防止することができる。
【0047】
(5)第1ボールベアリングB1が固定された第1フレーム11を基準部材とし、その第1フレーム11に対して回転軸14、第2ボールベアリングB2、ステータ13、及び第2フレーム12を同一方向に組み付ける。この構成によれば、製造工程を簡素化することができるため、モータ10の組み付け性をより向上させることができる。
【0048】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第2ベアリング収容部31の収容孔32と固定凹部35との間には段差部36を形成し、調整部材33の圧入部38が段差部36に対して軸方向に当接可能な構成としたが、これに特に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、上記実施形態から固定凹部35及び段差部36を省略し、収容孔32が一定の径でモータ外部側の端部まで貫通形成された構成としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、第2フレーム12とは別部材の調整部材33(ワッシャ押さえ部37)を第2ベアリング収容部31に備えたが、これに特に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、収容孔32のモータ外部側端部にワッシャ押さえ部32aを一体形成し、そのワッシャ押さえ部32aと第2ボールベアリングB2の軸方向間にウェーブワッシャ34が介在された構成としてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様に、モータの組み付け性を向上させることができる。
【0050】
・上記実施形態では、調整部材33を第2フレーム12の固定凹部35に圧入固定する構成としたが、これ以外に例えば、調整部材33を収容孔32又は固定凹部35に対してねじ螺合する構成としてもよい。また例えば、調整部材33を収容孔32又は固定凹部35に隙間嵌合させた後に、収容孔32又は固定凹部35の周壁の一部をかしめて内径側に突出する係止爪を形成することで、調整部材33のモータ外部側への移動を阻止するように構成してもよい。このようなねじ螺着固定やかしめ固定によっても、調整部材33を任意の軸方向位置で固定することが可能となり、調整部材33と第2ボールベアリングB2との間の軸方向隙間を調整することが可能となる。
【0051】
・上記実施形態では、第2ボールベアリングB2に対して付勢力を付与する付勢部材にウェーブワッシャ34を用いたが、これ以外に例えば、スプリングワッシャ等を用いてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、第1ボールベアリングB1を収容する第1ベアリング収容部25は、第1フレーム11の軸方向外側端面からモータ内部側(ステータ13側)に窪む形状をなすが、これに特に限定されるものではない。例えば、第1ベアリング収容部25を第1フレーム11の軸方向内側端面(モータ内部側端面)からモータ外部側に窪む形状とし、第1ボールベアリングB1をモータ内部側から組付可能としてもよい。
【0053】
・上記実施形態の回転軸14において、コア固定部42及び被軸支部43,44を同一径としてもよい。
・上記実施形態では、各フレーム11,12のステータ保持部22がステータコア17に外嵌される構成としたが、これ以外に例えば、ステータ保持部22がステータコア17に内嵌される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…モータ、11…第1エンドフレーム、12…第2エンドフレーム、13…ステータ、14…回転軸、15…ロータ、17…ステータコア、17a…コアシート、25…第1ベアリング収容部、31…第2ベアリング収容部、32…収容孔、33…調整部材、34…ウェーブワッシャ(付勢部材)、38…圧入部(当接部)、B1…第1ボールベアリング、B2…第2ボールベアリング。
図1
図2
図3
図4