特許第5960589号(P5960589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960589
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】タッチスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   G06F3/041 662
   G06F3/041 480
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-285844(P2012-285844)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-127175(P2014-127175A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 好司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸夫
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−265035(JP,A)
【文献】 特開2010−181934(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/140878(WO,A1)
【文献】 特開2011−053745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、この表示パネルの前方に第1の隙間を介して対向配置されたタッチパネルと、このタッチパネルをパネル面と垂直な方向に振動させる振動素子と、前記タッチパネルを露出させる矩形状の開口が設けられた外装ケースとを備え、前記開口の周縁部が前記タッチパネルのパネル面と第2の隙間を介して対向しているタッチスクリーン装置において、
前記外装ケースの裏面に前記第2の隙間よりも狭い第3の隙間を介して前記タッチパネルのパネル面と対向する弾性体を設け、前記開口の周縁部が後方へ押圧されて撓んだとき、前記弾性体が前記タッチパネルのパネル面に圧接して該タッチパネルを前記第1の隙間内に押し込むことにより、前記開口の周縁部と前記タッチパネルのパネル面との離間状態が維持されることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記外装ケースに前記開口の周縁部に沿って延びる横長形状の変形容易部が設けられており、この変形容易部の裏面に前記弾性体が設けられていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記弾性体が少なくとも前記変形容易部の長手方向中央部に設けられていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項4】
請求項2または3の記載において、前記外装ケースに貫通孔が設けられており、この貫通孔と前記開口とで挟まれた領域に前記変形容易部が設けられていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記変形容易部の前面に指当てガイド用の指針部が形成されていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の記載において、前記振動素子による前記タッチパネルの最大振幅量をV、前記第2の隙間の寸法をG1、前記第3の隙間の寸法をG2としたとき、これらが、
G1−G2>V
の関係に設定されていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の記載において、前記表示パネルの四隅に前記タッチパネルを振動可能に支持するクッション部材が設けられており、このクッション部材と前記弾性体の硬度が略同じに設定されていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの表面にユーザの指先等を押し当てて入力操作が行われるタッチスクリーン装置に係り、特に、入力操作時にタッチパネルを振動させることでユーザに対して触覚を利用したフィードバックが可能なタッチスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力操作時にタッチパネルを振動させるフィードバック機構を備えたタッチスクリーン装置は、ユーザの指先等がタッチパネルのパネル面(入力操作面)の任意箇所あるいは所定領域に押し当てられたことを検出すると、圧電アクチュエータ等の振動素子が起動してタッチパネルをパネル面と垂直な方向に振動させるようになっている。例えば、ユーザの指先等がタッチパネルのパネル面に押し当てられているときに、これを検出してタッチパネルを振動させると、指先等に伝わる振動によってユーザは入力操作が確実に行われていることを感得できる。
【0003】
従来より、矩形状のタッチパネルの外縁部に振動素子を設けると共に、このタッチパネルを表示パネル上にクッション部材を介して積層・一体化し、この積層体を収納した外装ケースの開口からタッチパネルのパネル面を露出させるという構成のタッチスクリーン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような構成のタッチスクリーン装置では、ユーザは開口内に露出するタッチパネルを透して表示パネル上の画像を目視することができ、ユーザがタッチパネルのパネル面に指先等を押し当てると、この指先等の座標位置をタッチパネルが検出すると共に、振動素子が起動してタッチパネルを厚さ方向に微小振動させるようになっている。
【0004】
その際、外装ケースに設けられた開口の周縁部がタッチパネルのパネル面に接触または近接していると、タッチパネルの振動によって外装ケースにビビリ音が発生するため、通常は、開口の周縁部とタッチパネルのパネル面との間に所定寸法の隙間を確保するようしている。この隙間は大きいほどビビリ音に対して有利であるが、大きな隙間は意匠性を損ねたり異物の侵入を防止し難くするため、隙間を極力小さな値に設定しつつビビリ音が発生しないよう、関連部品の寸法精度や組立精度を高精度に管理して対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−227712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、開口の周辺部に操作釦等を配置するための貫通孔が設けられていたり、表示パネルの大型化に伴って開口の一辺長が長くなってくると、外装ケースの開口の周縁部近傍が撓み易い部位となるため、関連部品の寸法精度や組立精度を高精度に管理しても、ユーザが指先をタッチパネルの周辺領域に押し当てたときに、開口の周縁部近傍が後方へ押し込まれて振動中のタッチパネルに接触し、入力操作中にビビリ音が発生してしまう。特に、この種のタッチスクリーン装置が車載用電子機器に適用された場合、ユーザは開口の下辺部を指当てガイドとしてブラインドタッチで入力操作することが多いため、上記した入力操作時のビビリ音の発生という問題は顕著なものとなる。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、入力操作時に外装ケースが部分的に押し込まれてもビビリ音が発生しないようにしたタッチスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、表示パネルと、この表示パネルの前方に第1の隙間を介して対向配置されたタッチパネルと、このタッチパネルをパネル面と垂直な方向に振動させる振動素子と、前記タッチパネルを露出させる矩形状の開口が設けられた外装ケースとを備え、前記開口の周縁部が前記タッチパネルのパネル面と第2の隙間を介して対向しているタッチスクリーン装置において、前記外装ケースの裏面に前記第2の隙間よりも狭い第3の隙間を介して前記タッチパネルのパネル面と対向する弾性体を設け、前記開口の周縁部が後方へ押圧されて撓んだとき、前記弾性体が前記タッチパネルのパネル面に圧接して該タッチパネルを前記第1の隙間内に押し込むことにより、前記開口の周縁部と前記タッチパネルのパネル面との離間状態が維持されるようにした。
【0009】
このように構成されたタッチスクリーン装置では、外装ケースの開口の周縁部がタッチパネルのパネル面と第2の隙間を介して対向していると共に、弾性体が第2の隙間よりも狭い第3の隙間を介してタッチパネルのパネル面と対向しているため、非操作時に外装ケースの裏面がタッチパネルのパネル面に接触することはない。そして、ユーザがタッチパネルのパネル面に指先を押し当てて入力操作を行うと、振動素子が起動してタッチパネルを厚さ方向に振動させるため、指先に伝わる振動によってユーザは入力操作が確実に行われていること、あるいは誤った箇所をタッチしていることを感得できる。かかる入力操作時に、ユーザの指によって開口の周縁部がタッチパネル側へ押し込まれた場合には、弾性体がパネル面に圧接してタッチパネルを後方へ変位させるため、第3の隙間はゼロとなるが、第2の隙間は非操作時よりも小さくなるだけでゼロにならない。したがって、振動するタッチパネルに外装ケースの裏面が直接触れることはなく、振動によるフィードバック機能を維持したまま外装ケースのビビリ音の発生を防止できる。
【0010】
上記の構成において、外装ケースに開口の周縁部に沿って延びる横長形状の変形容易部が設けられており、この変形容易部の裏面に弾性体が設けられていることが好ましい。この場合において、弾性体は変形容易部の裏面全体に設けられていても良いが、弾性体は少なくとも変形容易部の長手方向中央部に設けられていれば良い。
【0011】
また、上記の構成において、外装ケースに貫通孔が設けられており、この貫通孔と開口とで挟まれた領域に変形容易部が設けられていると、貫通孔に操作釦等を配置することができて好ましい。この場合において、変形容易部の前面に指当てガイド用の指針部が形成されていると、ユーザは変形容易部の指針部を目安に指位置を把握できるため、ブラインドタッチによる入力操作が容易なタッチスクリーン装置を実現できる。
【0012】
また、上記の構成において、振動素子によるタッチパネルの最大振幅量をV、第2の隙間の寸法をG1、第3の隙間の寸法をG2としたとき、G1−G2>Vの関係に設定されていることが好ましい。
【0013】
また、上記の構成において、表示パネルの四隅にタッチパネルを振動可能に支持するクッション部材が設けられており、このクッション部材と外装ケースの裏面に設けられた弾性体の硬度が略同じに設定されていると、入力操作時に振動するタッチパネルが略同じ硬さの弾性体とクッション部材によって前後方向から支持されるため、タッチパネルをその振動を妨げることなく安定的に保持することができる。さらに、入力操作時に外装ケースの開口の周縁部が押し込まれ弾性体がパネル面に接触してタッチパネルを後方へ変位させるときに、弾性体とクッション部材の両者の圧縮変化量に大きな差は生じないため、第1の隙間と第2の隙間の一方のギャップ長を予め大きく設定しておく必要がなく、装置全体が大型化するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタッチスクリーン装置は、入力操作に伴って開口の周縁部が押し込まれて撓んだとき、外装ケースの裏面に設けた弾性体をパネル面に圧接させてタッチパネルを後方へ変位させることにより、振動するタッチパネルが外装ケースの裏面に直接触れないようにしたので、振動によるフィードバック機能を維持したまま、外装ケースのビビリ音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態例に係るタッチスクリーン装置の正面図である。
図2】該タッチスクリーン装置を前方から見た分解斜視図である。
図3】該タッチスクリーン装置を後方から見た分解斜視図である。
図4図1のA−A線に沿う断面拡大図である。
図5図4の要部詳細図である。
図6】該タッチスクリーン装置の入力操作状態を示す説明図である。
図7図6の要部詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図5に示すように、本実施形態例に係るタッチスクリーン装置1は、車室内のインストルメントパネル等に設置される外装ケース2と、外装ケース2の背面に保持された表示パネル3と、表示パネル3の前面に支持されたタッチパネル4とによって主に構成されており、外装ケース2の後方には図示せぬディスクプレーヤが配設されている。
【0017】
外装ケース2は合成樹脂の成形品からなり、その中央部に矩形状の開口5が穿設されている。外装ケース2の下部領域には複数の操作釦6が左右方向に沿って配列されており、これら操作釦6は外装ケース2に穿設された貫通孔2a内に押し込み操作可能に収納されている(図4参照)。このため、外装ケース2の貫通孔2aと開口5の下辺との間に横長な梁状部分が形成され、当該部位は撓み変形が容易な変形容易部2bとなっている。この変形容易部2bの外表面は凹凸形状やボッチ形状となっており、ユーザはこれらの形状を指当てガイド用の指針部として指の位置を把握できるようになっている。この凹凸形状やボッチ形状は、後述する表示パネル3の表示面3aの下部領域に表示されるメニュー等の画像と上下方向で対応する位置に形成されている。また、外装ケース2の上部領域には横長形状のディスク挿入口7が設けられており、このディスク挿入口7から前述したディスクプレーヤに対してディスクを挿入/排出するようになっている。なお、外装ケース2のディスク挿入口7と開口5の上辺との間も撓み変形が容易な部位となっているが、この部位に指当てガイド用の指針部は形成されていない。
【0018】
表示パネル3はLCDや有機EL等からなる表示装置であり、この表示パネル3は外装ケース2の開口5よりも幾分大きめな矩形状の表示面3aを有している。タッチパネル4は表示パネル3の表示面3aとほぼ同じ大きさのパネル面(入力操作面)4aを有しており、その裏面に上辺と下辺に沿ってそれぞれ振動素子8が固定されている。これら振動素子8は板状の圧電アクチュエータ等からなり、タッチパネル4に接続されたFPC9に駆動信号を印加すると、各振動素子8が伸縮してタッチパネル4を厚さ方向に振動するようになっている。タッチパネル4はパネル面4aに押し当てられたユーザの指先等の座標位置(X座標とY座標)を検出可能な座標入力装置であり、検出方式としては抵抗膜方式や静電容量方式等を任意に選択可能である。
【0019】
表示パネル3は前面を開放する枠状のフレーム10によって包囲されており、表示パネル3とタッチパネル4およびフレーム10は一体化されて表示ユニットを構成している。フレーム10の前面四隅にはクッション部材11が両面テープや接着剤を用いて固定されており、これらクッション部材11はウレタンフォーム等の比較的硬い弾性材料からなる。クッション部材11は所定の厚みを有して表示パネル3の表示面3aよりも前方へ突出しており、タッチパネル4の裏面四隅が各クッション部材11に接着固定されている。これによりタッチパネル4は表示パネル3の四隅に設けられた各クッション部材11上に弾性的に支持され、表示パネル3とタッチパネル4間に第1の隙間S1が確保されている(図4図5参照)。
【0020】
フレーム10は外装ケース2の背面にネジ止め等の手段を用いて固定されており、フレーム10に一体化されたタッチパネル4のパネル面4aが外装ケース2の開口5内に露出することにより、表示パネル3の表示面3aに表示される画像が透明なタッチパネル4を透してユーザに目視可能となる。図5に示すように、かかる表示ユニットの取付状態において、外装ケース2に設けられた開口5の全ての縁部とタッチパネル4のパネル面4aとの間に第2の隙間S2を確保することにより、開口5の周縁部がタッチパネル4に接触しないように配慮されている。また、開口5の下辺に沿って延びる変形容易部2bの裏面に弾性体12が設けられており、この弾性体12とタッチパネル4のパネル面4aとの間に第3の隙間S3が確保されている。ここで、第2の隙間S2のギャップ長をG1、第3の隙間S3のギャップ長をG2とすると、第3の隙間S3のギャップ長G2は第2の隙間S2のギャップ長G1よりも小さな値に設定されており、本実施形態例の場合、第2の隙間S2のギャップ長G1は0.5mm、第3の隙間S3のギャップ長G2は0.3mmとなっている。
【0021】
弾性体12は変形容易部2bの長手方向(図1における左右方向)の中央部と両端部の裏面3箇所に設けられており、各弾性体12を変形容易部2bの所定箇所に簡単に取り付けるために、各弾性体12は合成樹脂製シート等の補助シート13に接着等により一体化された状態で変形容易部2bの裏面に取り付けられている。弾性体12は、例えばウレタンフォーム等の比較的硬い弾性材料からなり、その硬度がクッション部材11と同程度かクッション部材11よりも若干硬いものを用いている。
【0022】
このように構成されたタッチスクリーン装置1では、ユーザが外装ケース2の開口5内に露出するタッチパネル4のパネル面4aに指先等を押し当てると、この指先等の座標位置をタッチパネル4が検出すると共に、タッチパネル4の検出結果に基づいて表示パネル3の表示画像や他の各種機能あるいは前述したディスクプレーヤ等の機構が制御されるようになっている。さらに、このタッチスクリーン装置1は、ユーザの指先等がパネル面4aに押し当てられると、振動素子8が起動してタッチパネル4を厚さ方向に振動するため、指先等に伝わる振動によってユーザは入力操作が確実に行われていること、あるいは誤った位置がタッチされていること等を感得できるようになっている。
【0023】
ここで、ユーザは変形容易部2bを指当てガイドとしてブラインドタッチで入力操作することが多く、特に、表示パネル3の表示面3aの下部領域に表示されたメニュー等の画像を選択する場合、ユーザは変形容易部2bに指を押し当てながら、この変形容易部2bの外表面に形成された凹凸形状を目安としてタッチパネル4への入力操作を行うため、図6に示すように、ユーザの指によって変形容易部2bが後方(パネル面4a側)へ押し込まれることになる。
【0024】
その結果、変形容易部2bが撓んでこの変形容易部2bの裏面に設けられた弾性体12がパネル面4aに接触し、さらに変形容易部2bが後方へ押し込まれると、比較的硬い弾性材料からなる弾性体12が僅かに圧縮変形しつつタッチパネル4を後方(第1の隙間S1)へ変位させる。このとき、図7に示すように、弾性体12とパネル面4a間に確保されていた第3の隙間S3はゼロになり、開口5の周縁部とパネル面4a間に確保されていた第2の隙間S2は小さくなる。ただし、予め第3の隙間S3のギャップ長G2が第2の隙間S2のギャップ長G1よりも小さく設定され、弾性体12の硬度がタッチパネル4の裏面側のクッション部材11と同程度以上であるため、第3の隙間S3がゼロ(G2=0)となっても、第2の隙間S2は非操作時よりも小さくなる(G1−G2<0.2mm)だけでゼロにならない。したがって、振動するタッチパネル4のパネル面4aに開口5の周縁部が直接触れることはなく、外装ケース2のビビリ音の発生を防止できる。
【0025】
なお、タッチパネル4の振動はパネル面4aに弾性体12が接触することから若干減衰されるものの、弾性体12はウレタンフォーム等の適度な弾性を有するものであり、また、パネル面4a全体に接触するものではない(本実施形態例では開口5の下辺部の3箇所で接触する)ため、ユーザへの振動によるフィードバック機能は維持される。ここで、タッチパネル4の最大振幅量をVとしたとき、この最大振幅量Vと第2および第3の隙間S2,S2のギャップ長G1,G2とが、G1−G2>Vの関係を満足する値に設定されていれば、変形容易部2bの押し込みによって弾性体12がパネル面4aに圧接した場合でも、開口5の周縁部と振動中のパネル面4aとの接触を確実に回避することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態例に係るタッチスクリーン装置1では、外装ケース2の開口5の周縁部をタッチパネル4のパネル面4aと第2の隙間S2を介して対向させると共に、開口5の周縁部に沿って延びる変形容易部2bの裏面に弾性体12を設け、この弾性体12を第2の隙間S2よりも狭い第3の隙間S3を介してタッチパネル4のパネル面4aと対向させている。そして、ユーザが開口5内に露出するタッチパネル4のパネル面4aに指先を押し当てて入力操作を行うと、振動素子8が起動してタッチパネル4を厚さ方向に振動させるため、指先に伝わる振動によってユーザは入力操作が確実に行われていることを感得できる。かかる入力操作時に、ユーザの指によって開口5の周縁部の変形容易部2bがタッチパネル4側へ押し込まれると、弾性体12がパネル面4aに圧接してタッチパネル4を後方へ変位させるため、第3の隙間S3のギャップ長G2はゼロとなるが、第2の隙間S2のギャップ長G1は非操作時よりも小さくなるだけでゼロにならない。したがって、振動するタッチパネル4に開口5の周縁部が直接触れることはなく、外装ケース2のビビリ音は発生しない。また、弾性体12がパネル面4aに圧接することによりタッチパネル4の振動は若干減衰するが、圧接するのが弾性体12であることから振動によるフィードバック機能は維持される。
【0027】
また、本実施形態例に係るタッチスクリーン装置1では、外装ケース2に操作釦6を配置するための貫通孔2aが設けられており、この貫通孔2aと開口5の下辺とで挟まれた領域が指当てガイド用の変形容易部2bとなっているので、ユーザは変形容易部2bの指針部を目安に指位置を把握しながらブラインドタッチでタッチパネル4による入力操作を行うことができる。そして、このような変形容易部2bの裏面に弾性体12が設けられているので、ユーザが変形容易部2bに指を押し当てながら入力操作したとき、ユーザの指によって変形容易部2bが後方(パネル面4a側)へ押し込まれても、振動するタッチパネル4に開口5の周縁部が接触するのを防止することができる。
【0028】
また、本実施形態例に係るタッチスクリーン装置1では、表示パネル3の四隅にタッチパネル4を振動可能に支持するクッション部材11が設けられており、このクッション部材11と弾性体12の硬度が略同じに設定されているため、入力操作時に振動するタッチパネル4が略同じ硬さのクッション部材11と弾性体12によって前後方向から支持されることになり、タッチパネル4をその振動を妨げることなく安定的に保持することができる。さらに、入力操作時に開口5の周縁部が押し込まれ弾性体12がパネル面4aに接触してタッチパネル4を後方へ変位させるときに、弾性体12とクッション部材11の両者の圧縮変化量に大きな差は生じないため、第1の隙間S1と第2の隙間S2の一方のギャップ長を予め大きく設定しておく必要がなく、装置全体が大型化するのを抑制できる。
【0029】
なお、上記実施形態例では、外装ケース2に操作釦6を配置するための貫通孔2aを設け、この貫通孔2aと開口5の下辺との間を変形容易部2bとした場合について説明したが、上記貫通孔は、操作釦6以外の部材を配置するための貫通孔であったり、単なるデザイン上の貫通孔であっても良い。
【0030】
また、上記実施形態例では、弾性体12を変形容易部2bの長手方向の中央部と両端部の裏面3箇所に設けた場合について説明したが、弾性体12は少なくとも最も撓み易い変形容易部2bの長手方向中央部に設けてあれば良く、変形容易部2bの中央部を含む裏面全体に弾性体12を設けても良い。なお、弾性体12を上記実施形態例に示す箇所以外の、外装ケース2のディスク挿入口7と開口5の上辺との間、さらには、開口5の左辺と右辺それぞれの周縁部に設けても良い。
【0031】
また、上記実施形態例では、本発明のタッチスクリーン装置1を車載用電子機器に適用した場合について説明したが、それ以外の民生機器や産業機器に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 タッチスクリーン装置
2 外装ケース
2a 貫通孔
2b 変形容易部
3 表示パネル
3a 表示面
4 タッチパネル
4a パネル面
5 開口
6 操作釦
8 振動素子
10 フレーム
11 クッション
12 弾性体
S1 第1の隙間
S2 第2の隙間
S3 第3の隙間
G1 第2の隙間のギャップ長
G2 第3の隙間のギャップ長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7