(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960592
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】管楽器のためのバルブ
(51)【国際特許分類】
G10D 9/04 20060101AFI20160719BHJP
G10D 7/10 20060101ALI20160719BHJP
G10D 7/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
G10D9/04
G10D7/10
G10D7/00 110
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-500780(P2012-500780)
(86)(22)【出願日】2010年2月19日
(65)【公表番号】特表2012-521018(P2012-521018A)
(43)【公表日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】US2010000488
(87)【国際公開番号】WO2010107465
(87)【国際公開日】20100923
【審査請求日】2013年1月8日
(31)【優先権主張番号】61/210,378
(32)【優先日】2009年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/455,986
(32)【優先日】2009年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511223453
【氏名又は名称】ウィルク, マーティン エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウィルク, マーティン エー.
【審査官】
毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02259756(US,A)
【文献】
米国特許第02990744(US,A)
【文献】
特開2007−011062(JP,A)
【文献】
米国特許第03973464(US,A)
【文献】
特開平10−097240(JP,A)
【文献】
特開2007−256850(JP,A)
【文献】
特開2006−283736(JP,A)
【文献】
特開2003−137398(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/056752(WO,A1)
【文献】
特開2004−117715(JP,A)
【文献】
国際公開第02/099782(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 7/00− 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器を通る気流を調節するように設計されたバルブアセンブリであって、
円筒形状のバルブケーシングであって、該円筒形状のバルブケーシングは、それの中に形成された開口部を有し、該開口部は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを規定し、振動気柱が、該少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを通過する、円筒形状のバルブケーシングと、
該バルブケーシング内に受け取られ、それの中で線形に変位可能なバルブピストンと
を備え、
該バルブピストンは、本質的に中空のバルブピストン本体内に配置された3つの別個の通路を備え、該3つの通路のうちの2つの通路は、それの中に規定された2つの経路に沿って閉鎖されており、それぞれ、該バルブピストンの中に形成された2対の開口部を接続して、振動気柱がそれを通過することを可能にし、第3の通路は、開放かつU形状である断面を有し、
それによって、該バルブピストンの中に形成される該通路の3つ全てが、本質的に隆起がない、
バルブアセンブリ。
【請求項2】
前記第3の通路は、ニッケル−銅合金、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記第3の通路は、半分より長く前記バルブピストンの中に延在する、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記第3の通路は、他の通路を形成する材料より大きな引張強度を有する材料から形成される、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記バルブピストンは、バネ付勢され、動作において、手動作動によって、開放位置から起動された位置に遷移し、それによって、振動気柱の流動を開放通路から切替られる通路に切り替える、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記第3の通路は、前記バルブピストンを横切って本質的に線形であり、他の通路は、該ピストンバルブを通る湾曲経路を備えている、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項7】
管楽器内で使用するためのPerinet式のバルブピストンであって、該バルブピストンは、少なくとも1つの吸気ポートと少なくとも1つの呼気ポートとを有するバルブケーシングの中で受け取られ、
該バルブピストンは、
バルブケーシングの中で受け取られるように適合された本質的に円筒形の中空ピストン本体と、
該ピストン本体の中に形成された統合された一連の4つの開口部であって、2つの閉鎖された通路が2対の該開口部を通して形成されており、該2つの閉鎖された通路は、それぞれ該2対の開口部を接続する経路に沿って閉鎖されている、一連の4つの開口部と、
ランドがなく、かつ、該中空ピストン本体を通る経路に沿って開放であることによって特徴付けられる第3の通路であって、それによって、該3つの通路は、本質的に小塊なしに集合的に加工され得る、第3の通路と
を備えている、バルブピストン。
【請求項8】
前記第3の通路は、ニッケル−銅合金、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、請求項7に記載のバルブピストン。
【請求項9】
前記第3の通路は、半分より長く前記ピストン本体の中に延在する、請求項7に記載のバルブピストン。
【請求項10】
前記第3の通路は、他の通路を形成する材料より大きな引張強度を有する材料から形成される、請求項7に記載のバルブピストン。
【請求項11】
前記バルブピストンは、バネ付勢され、動作において、手動作動によって、開放位置から起動された位置に遷移し、それによって、振動気柱の流動を開放通路から切替られる通路に切り替える、請求項7に記載のバルブピストン。
【請求項12】
前記第3の通路は、前記バルブピストンを横切って本質的に線形であり、他の通路は、該ピストンバルブを通る湾曲経路を備えている、請求項7に記載のバルブピストン。
【請求項13】
バルブピストンであって、該バルブピストンは、本質的に中空のピストン本体と、それの中に形成される2対の開口部と、それの中に規定され、かつ、第1の対の開口部に関連付けられている第1の通路と、それの中に規定され、かつ、第2の対の開口部に関連付けられている第2の通路と、それの中に規定され、かつ、該ピストン本体を通る開放経路を形成する第3の通路とを有し、該第1、第2、および第3の通路の各々は、該ピストンが楽器において作動されたときに振動気柱が通過する経路を規定し、該第1および第2の通路は、それぞれ、該第1および第2の対の開口部を接続する経路に沿って閉鎖されており、該第3の通路は、開放U形状断面を有する本質的に直線の通路として構成され、それによって、該第1、第2、および第3の通路は、本質的に小塊なしに集合的に加工され、それによって、通路設計および構造に付随する小塊に基づく不連続性を回避し得る、バルブピストン。
【請求項14】
前記第1、第2、および第3の通路のうちの少なくとも1つは、ニッケル−銅合金、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、請求項13に記載のバルブピストン。
【請求項15】
前記第1、第2、および第3の通路のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に、半分より長く前記ピストンの中に延在する、請求項13に記載のバルブピストン。
【請求項16】
管楽器のバルブケーシングの中で受け取られるバルブピストンを製造する方法であって、
開口部が形成された既存の中空バルブ本体から、第1の対の開口部間に形成されたランドを除去することにより、第1の通路を受け取るように適合された第1の空洞を形成することと、
略中空のフィラークルックを、第2の対の開口部間において該バルブ本体に挿入および添着することにより、該バルブ本体の中に第2の通路を形成することと、
開放した略U形状の溝を、該第1の空洞において該バルブ本体に挿入および添着することにより、第1の通路を形成することであって、該溝は、該バルブ本体の中に嵌着された場合に、該第2の通路の中に小塊を形成させないように、該バルブ本体の内部に十分な隙間を有して構成される、ことと
を含む、方法。
【請求項17】
略中空のフィラークルックを、第3の対の開口部間において前記バルブ本体に挿入および添着することにより、該バルブ本体の中に第3の通路を形成することであって、前記溝は、該バルブ本体の中に嵌着された場合に、前記第2の通路および該第3の通路のいずれにも小塊を形成させないように、該バルブ本体の内部に十分な隙間をもって構成される、ことをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溝の断面は、半分より長く前記バルブ本体の中に延在する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記溝は、ニッケル−銅合金、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
管楽器のバルブケーシングの中で受け取られるバルブピストンを再構成するための方法であって、
既存のバルブピストンの中に形成され、第1の通路の一部を規定するランドを除去し、それによって、該第1の通路を開放させることと、
該第1の通路を形成する該バルブピストンの内部の材料を除去することと、
該バルブピストンの中に形成される1つ以上の他の通路の中に形成される小塊を除去することと、
該バルブピストンに開放した略U形状の交換用の第1の通路を挿入および添着することであって、該開放した略U形状の交換用の第1の通路は、該バルブピストンの中に嵌着された場合に、該1つ以上の他の通路の中に1つ以上の小塊を形成させないように、該バルブピストンの内部に十分な隙間を有して構成される、ことと
を含む、方法。
【請求項21】
前記交換用の第1の通路は、ニッケル−銅合金、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記交換用の第1の通路は、少なくとも部分的に、半分より長く前記バルブピストンの中に延在する、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器、特に、管楽器に関し、より具体的には、そこを通って気柱が進行し、音を生成する、ピストンバルブを有する楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
管楽器は、種々の種類があり、典型的には、気柱が、楽器の長さを通して進行し、楽器のベルまたは出力開口部から出るように、楽器の演奏者が、楽器の入力開口部またはマウスピース内に振動気柱を付勢することを伴う。トランペットの場合等、気柱が、楽器から出て、音を生成する前に、進行しなければならない長さを変更するために、経路長に沿って、可変ループおよびバルブが、設置され得る。異なる長さの気柱が、異なるピッチの音符を生成することは、何世紀もの間、一般的知識であった。本原理に基づく楽器の実施例は、パイプオルガンである。そのようなオルガンは、可変長(ならびに、直径)の多様なパイプを有するが、特定のパイプの長さ(および、その中の気柱)は、変化しない。他の実施例として、線形作動バルブを使用する、コルネットおよびトランペット、ならびに回転バルブを使用する、フレンチホルンが挙げられ、すべて、楽器によって生成される音符を変化させるためのものである。これらの後者の実施例では、そのような音符変化は、気柱「回路」内へまたはそこからの種々の長さの管類のバルブ調節を行い、したがって、演奏者の唇または実際にはマウスピースの縁から、そこから音が放出されるベルまで測定される気柱の長さを変化させることによるものである。
【0003】
用語「金管楽器」は、本明細書では、当技術分野におけるその従来の用法で使用され、管類の長さを規定し、一端に、演奏者の唇を受け取るための「カップ状マウスピース」を有し、他端に、そこから音が出現または放出される、フレア状開口部またはベルを有する、楽器を表す。音は、演奏者がその唇を振動させ、同時に、マウスピース、管類の長さを通して、ベルから外に振動気柱を付勢すると、発生する。周知のように、そのようないわゆる「金管楽器」は、多くの場合、真鍮を含む、種々の金属から成るが、また、全体的または部分的に、繊維ガラス、プラスチック、炭素繊維等を含む、他の材料から成ることも知られている。
【0004】
少なくとも部分的に、半音となるように、または楽器によって規定される基礎的流路の倍音列に見られるもの以外の音符を演奏するように構築される、従来の金管楽器は、そこを通って演奏者の唇によって発生する振動気柱が通過する、楽器内の管類の長さを効果的に変化させるための機構を含む。管類の長さを変化させることによって、付加的音符の発生を可能にする、異なる倍音列が確立される。従来、管類の長さは、2つの主要機構のいずれかによって変更され得る。現代のトロンボーンに使用されるように、第1の機構は、所望に応じて、演奏者によって、そこを通る管の長さが、変更され、ある音階内の全音符の演奏を促進し得る、容易に移動可能なスライドの使用によるものである。第2の機構は管類の長さを変化させるように選択的に作動される、バルブの使用によるものである。現代の楽器では、バルブの作動は、楽器の流路を変更し、所与の増分、または音符の数だけ、倍音列を下げるために十分な所与の管類の長さを追加する。いくつかの楽器は、複数の管類の長さを楽器の流路に追加するために、複数のバルブを含み得る。例えば、半音となるように意図される、現代の楽器は、3つのバルブを含み得、第1のバルブは、2ステップまたは2半音ずつ倍音列を下げ、第2のバルブは、単一ステップまたは単一音ずつ倍音列を下げ、第3のバルブは、3半ステップまたは3半音ずつ倍音列を下げる。
【0005】
種々の異なる構成、構造、および他の動作特徴を有する気流バルブが、ピッチおよび音質の両方の観点から、より広範な範囲をもって、演奏者が楽器を演奏可能にするために、何百年にもわたって、金管および/または管楽器属内の楽器に使用されてきた。概して、特に、金管−管楽器と併用される種類のそのような流路選択バルブは、回転式、または代替として、ピストンおよびシリンダ式である。後者の分類では、また、一般的には、Perinetバルブとも称される、ピストンは、付勢力に対して、シリンダ内を縦方向に摺動可能である。ピストンは、通常、楽器の音質を選択的に変動させるために、より短いまたはより長い進行経路に沿って、空気を伝導させる、縦方向ボアおよび横方向ボアの両方を有する。本種類のバルブ内に形成される通路は、概して、断面が円形であって、それによって、音量増加および高音質を達成するために望ましい、そこを通る自由な気流を可能にする。気流バルブの他の分類は、典型的には、その周縁に、吸気口および呼気口が提供される、バルブディスクを含む、回転バルブに関する。これらの吸気口および呼気口は、概して、放射状通路を通して、相互に連通するように配置される。
【0006】
回転バルブは、1832年頃から存在する。回転バルブ設計は、Joseph Riedl(ウィーン、オーストリア)によるものである。回転バルブは、ディスク形状であって、線形に作動されるピストンバルブとは対照的に、回転運動において作動される。回転バルブは、その周縁に、放射状または扇形状通路を通して、相互に連通する、吸気口および呼気口が提供される、バルブディスクを備える。回転バルブは、設計上の短作動ストロークによって、高速演奏を提供する。回転バルブは、高速演奏を可能にし、いくつかの演奏上の課題を解決したが、欠点を有する。従来の回転設計に関する問題の1つは、ディスク内に形成される鋭利なエッジおよび狭窄が、音量および音質ならびにそれによる音調が生成可能な容易性が、悪影響を被る程度まで、空気路内を流動する振動気柱を歪ませることである。例えば、一般的ディスク形状の回転バルブは、略半径方向に、かなり鋭利な屈曲を使用して、バルブケーシングに締結される、管類の部分(バルブによって、回路内へおよびそこから切り替わるもの)を有する。また、内部バルブ通路自体、いくつかのかなり鋭利な屈曲を伴う。気流経路内のこれらの狭窄または「畳み込み」は、流動気柱に付加的抵抗を追加し、演奏者が得ることが可能な最大音量を制限することによって、演奏者の「吹奏力」に悪影響を及ぼし、また、音質に望ましくない影響を及ぼす。
【0007】
周知の回転バルブに関するさらに別の困難点は、バルブケーシングに取り付けられた定常管類の断面が円形である場合でも、回転バルブピストン内の通路が、多くの場合、楕円形(または、可能性として、ある他の形状)であって、円形ではないことである。その結果、非円形通路と円形管が交差する、突然の流動不連続性が存在する。それによって、楽器の音質が、悪影響を被る。そのようなバルブは、「流動接線性」が欠如していると言われる。流動接線性は、2つの隣接する開口部のエッジ、例えば、通路出口開口部および隣接する管入口開口部(または、管出口開口部および隣接する通路入口開口部)が組み合わされると達成される。そのように構成されると、その上を空気が流動可能な平滑な遷移表面が存在する(実質的に、不連続性がない)。
【0008】
過去一世紀にわたって、多くの管楽器に使用され、今日広く使用されている、広く採用されているバルブ構成は、Perinetピストンバルブである。Perinetバルブは、Francois Perinetから名付けられ、1838年頃に初めて登場した、ピストンバルブであって、その中で円筒形ピストンが、手動作動のために、バネ力に対して、ケーシング内で摺動関係において、縦方向に変位される、円筒形ケーシングを備える。ピストンは、異なる音調の発生のために、より短いまたはより長い経路に沿って、空気が伝達可能なように、縦方向および横方向ボアを有する。通路は、そこを通って進行する気柱の自由な流動を可能にするように、断面が円形である。これは、大音量および高音質を達成するために望ましい。しかしながら、該バルブの長作動ストロークおよび高慣性は、高速演奏を妨害する。バルブループは、吸気口管類が、呼気口管類と異なるレベルで位置付けられるように配列される。ピストンは、ピストンの上方(上方バネ)または下方(下方バネ)に設置される、バネによって、静止状態に保持される。Perinetバルブは、現在、多くの国(回転式バルブがより一般的である、ドイツおよびオーストリアを除く)において、トランペットの基準であって、多くの場合、単純に、「ピストンバルブ」と呼ばれる。
【0009】
図1および2は、開放または非作動位置(
図1)と作動位置(
図2)にある、先行技術Perinetバルブアセンブリの断面図を描写しており、ピストンバルブの部品は、以下の通りである。a=バルブケーシング;b=ピストン;c=スライド付きバルブループ;d=主要管類;e=ポート;f=タッチピース、フィンガチップ、レバー;g=バルブステム;h=上方バルブキャップ;i=手摺子;k=下方バルブキャップ;l=戻りバネ;m=ステム/ピストン内のガイドスロット;n=キー;およびo=ケーシング内のピストンバルブガイドのためのキー溝。
図2の非作動位置では、気柱は、バルブケーシング(a)の吸気ポート102において、リードパイプ(図示せず)からバルブアセンブリに入り、ピストン(b)内に形成される下方空気路または通路を通って進行し、主要管類(d)から出る。
図2の作動位置では、気柱はまた、リードパイプから、同一吸気ポートを通して、バルブケーシング(a)に入るが、今後は、バルブピストン(b)内に形成される、中央空気路または通路を通って進行し、バルブピストンから、バルブループ(スライド付き)(c)を通って、バルブアセンブリ内に戻り、上方空気路または通路を通って進行し、主要管類(d)を通って出る。これらの空気路は、配向および機能に応じて、「切替」または「戻り」空気路と称され得る。Perinetバルブに付随する一般的問題は、ピストン内に形成される開口部内に上方、中央、および下方空気路を形成する、ライナ(あるいは、溝または管状材料)を設置することと、ピストン本体の中空内側体積内にライナを配置することに付随する物理的制約のため、音質および容積ならびにPerinetバルブを通過する気柱の層流に悪影響を及ぼすという代償が払われることである。特に、狭小中空ピストン本体内のサイズ制約によって、ピストンバルブの製造は、空気路のうちの少なくとも1つ、典型的には、2つに形成される、「小塊」または「隆起」をもたらす。
【0010】
図1および2の先行技術バルブアセンブリを参照すると、ピストンバルブは、円筒形外側ケーシング(a)と、その中で外側ケーシング内に密嵌着される、ピストン(b)と、から成る。バルブループ(c)ならびに主要管類(d)は、外側ケーシングにハンダ付けされる。ピストンは、直接主要管類を通して、またはバルブループ内に、気柱を導く、ポート(e)が穿孔される。バルブループは、ポートを主要管類またはバルブループと整合させる、ケーシング内のピストンの上下移動によって、係脱または係合される。従来、断面円形通路は、バルブアセンブリを通して提供され、通路の断面は、好ましくは、風管または通路のボアと略同一である。故に、バルブアセンブリのケーシングおよびピストンは、サイズおよび形状が、断面的に風管と一致するように加工される。これは、その中に切替および戻り通路を形成するための、バルブピストン内にあまり広くない空間をもたらす。ピストンバルブの設計における別の一般的考慮点は、可能な限り作動ストロークを短くし、演奏速度を向上させることである。残念ながら、これは、ピストン本体内に空気路または通路を形成するために利用可能な空間量をさらに制限するという欠点につながる。
【0011】
例えば、
図3は、特許文献1(Conn)「Cornet−Valve」に開示されるような、バルブケーシングを伴う、先行技術Perinetバルブピストンの立面図を断面として描写する。図に示されるように、小塊302が、ピストンバルブ2を横方向に通して形成される、中央「ポート」3内に形成される。上述のように、本目標は、気柱の歪および障害を最小限にするように、そこを通って気柱が進行する空気路内に、円形断面を提供することである。また、調和も、バルブ、バルブループ等の構成に役割を果たす。製造プロセスにおけるアーチファクトとして形成される小塊は、空気路の表面に凸凹を呈し、空気路を通過する気柱に歪を生じさせる。可能な最短作動ストロークを提供するために、空気路は、可能な限り、近接して接合され、空気路のサイズは、制限される。これは、小塊の重大性を増加させ、バルブの容量および流量を制限するという不運な効果をもたらす。製造時に空気路内にもたらされる小塊を除去または最小限にし、容積流量を増加させる、バルブピストン設計が、必要とされる。また、これらの問題を解決する一方、構造的完全性および安定性を提供する、バルブピストンを製造する方法が必要とされる。
【0012】
故に、音楽業界において、金管式の管楽器(それに限定されない)等の楽器で使用するための改良された流量調節バルブアセンブリが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第1,112,120号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の種々の用途および実施形態に付随する利点として、以下が挙げられる。狭窄の少ない音波路;ピストンとロータバルブの組み合わせ(ハイブリッド);板金ロータ通路を伴う、中空ピストン;(隆起による)妨害のない風路;改良された反応および演奏特性(全音域)、柔軟性および明瞭性、例えば、スラー演奏、音反応;改良された流動特性による向上したエネルギー伝達;開放および作動状態の両方における、減少した背圧または抵抗;さらに強度を増した溝による、ピストン剛性の保証;1通路ずつ球状化する段階が排除されたことによる、より単純な製造;有効ピストン/ケーシング密封面積は、常用ピストンと本質的に機能上不変である;整合させるための垂直部材(ランドまたはウェブ(wed))が少ない;バルブ自体内の垂直間隔ウェブ突起が少ない;製造技法、材料に最小限の変化をもって作製可能である;本発明のロータ状通路は、切替ループが採用される場合、振動気柱の入口または出口のために使用可能である;ピストンが作動されると、同時に、密封表面および風路の両方として、バルブケーシングを採用する;通常バルブと比較して、ピストンストローク長または縮充性/閉栓に変化なし;本発明が実装されても、ケーシング外観に変化なし;本発明のシステムピストンは、常用ピストンと同様に再嵌着可能である;バルブの接触表面上の表面積が少なく、摩擦を軽減する;本発明に転換する際、ケーシングまたはスライドループ内に変更が必要とされない;ハイブリッドピストン/ロータ状通路バルブ内に有益な音響効果をもたらす。本発明は、例えば、Perinet、回転(中空または中実)、Berlinear、Allen、および他の中空バルブ設計を含む、異なる種類のバルブ設計と併用され得る。
【0015】
一実施形態では、本発明は、楽器を通る気流を調節するように設計される、バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、a)そこを通って振動気柱が通過する、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定する、その中に形成される開口部を有する、円筒形状のバルブケーシングと、b)バルブケーシング内に受け取られ、その中で線形に変位可能なバルブピストンであって、開放かつU形状である断面を有する、少なくとも1つの通路を備え、それによって、バルブピストン内に形成される他の通路に、隆起がない、バルブピストンとを備える。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、楽器を通る気流を調節するように設計される、バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、a)そこを通って振動気柱が通過する、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定する、その中に形成される開口部を有する、円筒形状のバルブケーシングと、b)バルブケーシング内に受け取られ、その中で回転可能に変位可能である、回転バルブであって、歪曲を軽減する略円形断面を有する、少なくとも1つの通路を備える、回転バルブとを備える。
【0017】
さらに別の実施形態では、本発明は、楽器を通る気流を調節するように設計される、バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、a)そこを通って振動気柱が通過する、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定する、その中に形成される開口部を有する、円筒形状のバルブケーシングと、b)バルブケーシング内に受け取られ、その中で回転可能に変位可能である、回転バルブであって、回転バルブの本体内に対称的に形成される、一対の通路を備え、対の通路のうちの少なくとも1つは、略円形断面を有する、回転バルブとを備える。回転バルブは、対の通路のうちの1つの開口部間のランドと、他の対の通路のランドがないこととによって、さらに特徴付けられる。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
楽器を通る気流を調節するように設計されたバルブアセンブリであって、
円筒形状のバルブケーシングであって、該円筒形状のバルブケーシングは、該円筒形状のバルブケーシングに形成された開口部を有し、該開口部は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを規定し、振動気柱が、該少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを通過する、円筒形状のバルブケーシングと、
該バルブケーシング内に受け取られ、該バルブケーシングの中で線形に変位可能なバルブピストンと
を備え、
該バルブピストンは、開放かつU形状である断面を有する少なくとも1つの通路を備え、
それによって、該バルブピストンの中に形成される他の通路に本質的に隆起がない、
バルブアセンブリ。
(項目2)
前記少なくとも1つの通路は、ニッケル−銅合金、Monel、Monel400、K−500、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、項目1に記載のバルブアセンブリ。
(項目3)
前記少なくとも1つの通路は、半分より長く前記バルブピストンの中に延在する、項目1に記載のバルブアセンブリ。
(項目4)
前記少なくとも1つの通路は、前記他の通路を形成する材料より大きな引張強度を有する材料から形成される、項目1に記載のバルブアセンブリ。
(項目5)
前記バルブピストンは、バネ付勢され、動作において、手動作動によって、開放位置から起動された位置に遷移し、それによって、振動気柱の流動を開放通路から切替られる通路に切り替える、項目1に記載のバルブアセンブリ。
(項目6)
前記少なくとも1つの通路は、前記バルブピストンを横切って本質的に線形であり、前記他の通路は、該ピストンバルブの中を通る湾曲経路を備えている、項目1に記載のバルブアセンブリ。
(項目7)
管楽器内で使用するためのPerinet式のバルブピストンであって、該バルブピストンは、少なくとも1つの吸気ポートと少なくとも1つの呼気ポートとを有するバルブケーシング内に受け取られ、
該バルブピストンは、
バルブケーシング内に受け取られるように適合された本質的に円筒形の中空ピストン本体と、
該ピストン本体に形成された統合された一連の開口部であって、複数の通路が該開口部の対を通して形成されている、一連の連係開口部と、
ランドがなく、かつ、開放であることによって特徴付けられる少なくとも1つの通路であって、それによって、該複数の通路は、本質的に小塊なしに集合的に加工され得る、少なくとも1つの通路と
を備えている、バルブピストン。
(項目8)
前記少なくとも1つの通路は、ニッケル−銅合金、Monel、Monel400、K−500、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、項目7に記載のバルブピストン。
(項目9)
前記少なくとも1つの通路は、半分より長く前記バルブピストンの中に延在する、項目7に記載のバルブピストン。
(項目10)
前記少なくとも1つの通路は、前記他の通路を形成する材料より大きな引張強度を有する材料から形成される、項目7に記載のバルブピストン。
(項目11)
前記バルブピストンは、バネ付勢され、動作において、手動作動によって、開放位置から起動された位置に遷移し、それによって、振動気柱の流動を開放通路から切替られる通路に切り替える、項目7に記載のバルブピストン。
(項目12)
前記少なくとも1つの通路は、前記バルブピストンを横切って本質的に線形であり、前記他の通路は、該ピストンバルブの中を通る湾曲経路を備えている、項目7に記載のバルブピストン。
(項目13)
バルブピストンであって、該バルブピストンは、該バルブピストンに規定される第1の通路と、該バルブピストンに規定される第2の通路と、該バルブピストンに規定される第3の通路とを有し、該第1、第2、および第3の通路のうちの少なくとも1つは、開放U形状断面を有する本質的に直線の通路を有し、それによって、該第1、第2、および第3の通路は、本質的に小塊なしに集合的に加工され、それによって、通路設計および構造に付随する小塊に基づく不連続性を回避し得る、バルブピストン。
(項目14)
前記第1、第2、および第3の通路のうちの少なくとも1つは、ニッケル−銅合金、Monel、Monel400、K−500、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、項目13に記載のバルブピストン。
(項目15)
前記第1、第2、および第3の通路のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に、半分より長く前記ピストンの中に延在する、項目13に記載のバルブピストン。
(項目16)
楽器を通る気流を調節するように設計されたバルブアセンブリであって、
該バルブアセンブリは、
円筒形バルブケーシングであって、該円筒形バルブケーシングは、該円筒形バルブケーシングに形成された開口部を有し、該開口部は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定し、振動気柱が、該少なくとも1つの入口および該少なくとも1つの出口を通る、円筒形バルブケーシングと、
該バルブケーシング内に受け取られる回転バルブと
を備え、
該回転バルブは、該バルブケーシングの中で回転可能に変位可能であり、該回転バルブは、歪曲を軽減する実質的に円形の断面を有する少なくとも1つの通路を備えている、
バルブアセンブリ。
(項目17)
楽器を通る気流を調節するように設計されたバルブアセンブリであって、
円筒形状のバルブケーシングであって、該円筒形状のバルブケーシングは、該円筒形状のバルブケーシングに形成された開口部を有し、該開口部は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定し、振動気柱が、該少なくとも1つの入口および該少なくとも1つの出口を通る、円筒形状のバルブケーシングと、
該バルブケーシング内に受け取られる回転バルブと
を備え、
該回転バルブは、該バルブケーシングの中で回転可能に変位可能であり、該回転バルブの本体の中に対称的に形成された一対の通路を備え、該一対の通路のうちの少なくとも1つは、実質的に円形の断面を有している、
バルブアセンブリ。
(項目18)
前記回転バルブは、前記一対の通路のうちの一方の開口部間にランドを備え、該一対の通路のうちの他方に対してはランドがない、項目17に記載のバルブアセンブリ。
(項目19)
管楽器のバルブケーシング内に受け取られるバルブピストンを製造する方法であって、
形成された開口部を有する既存の中空バルブ本体から、第1の対の開口部間に形成されたランドを除去することにより、第1の通路を受け取るように適合された第1の空洞を形成することと、
略中空のフィラークルックを、第2の対の開口部間において該バルブ本体に挿入および添着することにより、該バルブ本体内に第2の通路を形成することと、
開放した略U形状の溝を、該第1の空洞において該バルブ本体に挿入および添着することにより、第1の通路を形成することであって、該溝は、該バルブ本体内に嵌着された場合に、該第2の通路内に小塊を形成させないように、該バルブ本体内部に十分な隙間を有して構成される、ことと
を含む、方法。
(項目20)
略中空のフィラークルックを、第3の対の開口部間において前記バルブ本体に挿入および添着することにより、該バルブ本体内に第3の通路を形成することであって、前記溝は、該バルブ本体内に嵌着された場合に、前記第2の通路および該第3の通路のいずれにも小塊を形成させないように、該バルブ本体内部に十分な隙間をもって構成される、ことをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記溝の断面は、半分より長く前記バルブ本体の中に延在する、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記溝は、ニッケル−銅合金、Monel、Monel400、K−500、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、項目19に記載の方法。
(項目23)
管楽器のバルブケーシング内に受け取られるバルブピストンを再構成するための方法であって、
既存のバルブピストン内に形成され、第1の通路の一部を規定するランドを除去し、それによって、該第1の通路を開放させることと、
該第1の通路を形成する該バルブピストン内部の材料を除去するステップと、
該バルブピストン内に形成される1つ以上の他の通路内に形成される小塊を除去するステップと、
該バルブピストンに開放した略U形状の交換用の第1の通路を挿入および添着することであって、該開放した略U形状の交換用の第1の通路は、該バルブピストンの中に嵌着された場合に、該1つ以上の他の通路の中に1つ以上の小塊を形成させないように、該バルブピストン内部に十分な隙間を有して構成される、ことと
を含む、方法。
(項目24)
前記交換用の第1の通路は、ニッケル−銅合金、Monel、Monel400、K−500、真鍮、真鍮合金、ニッケル合金、ニッケル−銀、ステンレス鋼、および青銅から成る群のうちの1つから成る、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記交換用の第1の通路は、少なくとも部分的に、半分より長く前記バルブピストンの中に延在する、項目23に記載の方法。
【0018】
本発明の種々の実施形態の利点として、容積流量の増加、改良された層流、改良された調音および音質、改良された整合性、バルブ本体内の「隆起のない」比較的に妨害のない空気路または通路、およびウェブまたはランドを除去することによる、バルブケーシングとの接触面積が少ないことが挙げられる。本発明は、新しい楽器およびピストンを加工する際、または既存のバルブピストンを組み込む際に使用され得る。また、ウェブを除去することによって、バルブを係合位置から係脱位置に遷移させる際の前縁の課題ならびに整合性の課題を緩和し得る。本発明は、ピストンおよび回転バルブの両方の用途を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の完全な理解を促進するために、次に、付随の図面を参照する(同一要素は、同一数字によって参照される)。これらの図面は、本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、例示および参照のためのものとして意図される。
【
図1】
図1は、非作動位置にバルブピストンを伴う、先行技術バルブアセンブリの断面図である。
【
図2】
図2は、作動位置にバルブピストンを伴う、
図1の先行技術バルブアセンブリの断面図である。
【
図3】
図3は、バルブケーシングを伴う、先行技術Perinetバルブピストンの断面立面図である。
【
図4】
図4は、0、90、180、および270度位置における、先行技術Perinetバルブの一連の図である。
【
図5】
図5は、0、90、180、および270度位置のける、本発明の第1の実施形態のPerinet式バルブの一連の図である。
【
図8】
図8は、その中に形成される空気路通路孔を伴う、バルブピストン本体の斜視図である。
【
図9】
図9は、その中に形成される中央通路を有する、部分的に完成した先行技術Perinetバルブ斜視図である。
【
図10】
図10は、形成された中央通路を伴う、本発明による、部分的に完成したバルブの斜視図である。
【
図11a】
図11aは、
図9の部分的に完成した先行技術Perinetバルブに示される、断面から切り取られた端面図である。
【
図11b】
図11bは、本発明による、
図10の部分的に完成したバルブ上に示される、断面から切り取られた端面図である。
【
図12】
図12は、それぞれの空気路流路を伴う、左側の静止位置と、右側の係合位置に示される、本発明の回転バルブ用途一対の上下図である。
【
図13】
図13は、回転バルブの一連の斜視図であって、本発明の側面を対照する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、付随の図面に示される例示的実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。本発明は、例示的実施形態を参照して本明細書に説明されるが、本発明は、そのような例示的実施形態に限定されないことを理解されたい。当該技術分野における通常の技術を有し、本明細書の教示へのアクセスを有する当業者は、本明細書に開示および請求される本発明の範囲内として、本明細書において十分に想定され、本発明が非常に有用となり得る、付加的実装、修正、および実施形態、ならびに本発明の使用のための他の用途を認識するであろう。
【0021】
Perinetバルブは、ピストンおよびピストンケーシングの最終外径ならびに長さを決定し、楽器設計の基礎とすることによって製造される。次に、6つの孔が、ピストン本体を形成する、中空円筒形管類の長さに沿って位置される。一例示的構成では、孔は、対に群化され、3対の孔のそれぞれが、ライナまたは溝(フィラークルックをピストンの内側中空本体内に挿入することによって加工される)によって接続され、バルブアセンブリおよび楽器を通して、振動気柱を移動および連通させるための空気路を形成する。孔は、ピストン上に設置される開口部を形成し、管楽器内に形成されるループと一致する、対向開口部を接続する通路を加工することによって形成される、空気路を通って進行する、気柱のための入口および出口開口部を提供する。加工時、孔は、
図8の例示的バルブ本体上に示される孔等、バルブ本体を構成する中空管構造内に、穿孔または別様に形成される。
【0022】
典型的Perinetバルブの場合、6つの孔が、バルブ本体の長さおよび円周に沿って形成され、完成したバルブが、バルブケーシング内に設置されると、楽器バルブケーシング内に形成されるループと一致するように位置される。このように、バルブは、開放(または、非作動)位置、作動位置、およびさらに部分的に作動位置にある時、楽器を通して気柱を進行させる。穿孔、すなわち、フィラークルック(すなわち、一対の開口部間の空気路を形成する中空バルブ本体内に挿入される材料)挿入前の直径全体は、フィラークルックとして使用される管類のボアサイズに、肉厚の2倍を足したものに等しい。典型的6つの孔構成では、6つの孔、3対の孔、および3つの空気路が存在するが、他の構成も、本発明によって想定される。加工者は、キーを位置付け、将来的バルブガイドまたはキーのための孔の場所に穿孔する。部品は、フィラークルックまたは空気路が取り付けられると、寸法に合わせて研削されるため、大きめに定寸されなければならない。
【0023】
フィラークルック(空気路管)は、以前に穿孔されたそれぞれの対の6つ(3対)のピストン孔内にそれらを挿入または設置することによって取り付けられる。フィラークルックは、製造業者および楽器の種類に応じて、例えば、肉厚約.014乃至.015であってもよい。フィラークルックは、中空屈曲されるか、または支持材料によって充填され、次いで、その形状に屈曲されることが可能である。フィラークルックは、空気路通路内に付勢される。次いで、フィラークルックは、管が、次の動作(球状化)の際、適切なピストン孔内へとおよびそこを通って陥入しないように、手の圧力によって、または管の一方または両端を拡開させることによって、定位置に固着される。フィラークルック(最終ボアサイズから小さめに定寸される)が定位置に置かれると、当技術分野において周知のように、一連の球状化ツールの使用を通して、最終内部寸法サイズに拡張される。
【0024】
例えば、球状化ツールは、水平に搭載されたベンチモータ内に装填され、潤滑剤(乾燥Ivory石鹸)によって塗膜される。ボールがスピンされ、ピストン空気路通路を通って付勢される。通常、段階的球状化ツールが使用され(例えば、3つのサイズ)、最終(例えば、0.459)ボアサイズを達成する。好ましくは、フィラークルックは、球状化段階前、可能な限り、最終ボアサイズに近いものである。球状化デバイスが、鋭利な空気路の転換を行うことが不可能であるため、最終球状化は、各孔の両側から行われる(すなわち、各半分ずつ、または若干それを上回って)。次に、部品は、3つの空気路すべてが、ピストンバルブ本体内に装填された後、脱脂される。
【0025】
バルブ本体内の特殊な制約ならびに管楽器のボアサイズおよびフィラークルックのサイズによって、小塊が、球状化プロセスの際に形成される。小塊の加工および所望の場所に応じて、典型的には、2つの小塊が3つの通路のうちの1つまたは2つのいずれかに位置する場合があって、例えば、両方の小塊が中央通路内に位置する、1つの小塊が上方および下方通路のそれぞれ内にある、1つの小塊が上方および中央通路のそれぞれ内にある、または1つの小塊が中央および下方通路のそれぞれ内にある場合がある。通常、小塊は、「開放」通路(バルブが押下されていない)と作動通路(バルブが押下された)とに分割される。小塊が、バルブの中央通路に向かって、完全に押動される場合、これは、開放位置では、バルブの作用を非常に良好(隆起がない)にするが、作動(バルブが押下された)位置では、非常に不良となるであろう。したがって、本切替管は、上部および底部の両方の内部に小塊を有するであろう。妥協案として、2つの小塊のうちの1つは、典型的には、中央管から下方に押動され、下方通路または空気路内に形成される一方、他の小塊は、中央管から上部または上方空気路内に押上され、バルブ調節および非バルブ調節音符(質ではない)の均一な演奏を達成する。
【0026】
フィラークルックが、定位置に置かれ、定寸されると、脱脂、洗浄され、定位置に鑞接される。いくつかの製造業者は、鑞接ではなく、フィラークルックを定位置に軟質ハンダ付けする。鑞接とは、例えば、華氏約1,200°を超える温度(使用される鑞接に応じて)を意味する。鑞接は、ピストンを軟化させ(ピストンを高温まで加熱し、焼きなます)、その硬度を低下させる。鑞接されると、ピストンは、上部および底部が取り付けられてもよい(定位置に、軟または硬質ハンダ付けされる、あるいは鑞接される)。次いで、ピストンは、旋盤上に裏返しにされ、過剰なフィラークルックおよびピストン表面から突出する鑞接を除去する。ピストンステム孔が、穿孔され、叩打され、次いで、ピストンは、芯なしまたは中心間のいずれかにおいて、寸法に合わせて研削され、次いで、ピストンは、バルブガイド陥凹のために、ピストン上に機械加工された平面を有する。次いで、ピストンは、好ましくは、ガーネット研磨化合物によって、ケーシング内部(約600グリットを使用)と嵌合するように研磨される。バルブガイドまたはキーが、キー孔が穿孔され、叩打された後、キー孔内に取り付けられる。ピストンステムは、フィンガボタンが除去される際、ステム除去を防止するために、定位置に軟質ハンダ付けされてもよく、またはそうでなくてもよい。本説明は、下方バネPerinetピストン(通常、バリトン、ユーフォニウム、チューバ等のより低い金管楽器において使用される、下方バネピストン)の製造の一例示的方法であることに留意されたい。本発明は、下方バネ楽器に限定されず、同様に、例えば、上方バネバルブ構成における有益な用途にも意図される。制限ではなく、一例として、バルブケーシングに対する最終バルブは、通常、公差.0005乃至.001インチである。ボアサイズ.459(内部空気路通路直径)のピストンは、ピストン直径全体のうちの約.666である。ピストンは、内径(id).666に公差を足したもの、例えば、製造者の設計および製造技術または機械加工される程度までのプロセスの能力に応じて、.6665インチまたは.6667インチ程度を有するケーシング内に、陥入するであろう。
【0027】
本発明に従って、ピストンまたはバルブは、本発明によってはじめて、あるいは本発明を含めるための既存のバルブの組み込みまたは再加工として、製造され得る。バルブを組み込む際、最上および最底部フィラークルック(通路または空気路として動作する)を再定寸することによって、ピストン修正が行われる。これは、それらの上方および下方空気路に対応するバルブの開口部内、それを通して、およびそこから、徐々に大きくなる打痕ボールを付勢することによって行われる。これは、小塊を中央通路へと押動させる(上方通路および底部が、正確に定寸される)。ピストンは、必要に応じて、真直度が検査され、補正され得る。
【0028】
中央通路フィラークルックは、慎重に研削され、次いで、中央通路孔から、すべての古い金属および真鍮が除去される。それによって、中央通路孔(2つ)または第1の対の開口部を分離する、側方「ランド」または「ウェブ」を形成する、側方バルブ本体材料が、除去され、中央通路の横方向極限値を維持する、バルブの本体にわたって、「溝」を効果的に形成する。好ましくは、Monel板金(.031インチ厚−好ましくは、典型的フィラークルック材料の厚さ、例えば、.014−.015インチ厚より厚い厚さ)が、以前の円形通路を平滑開放「D」形状(断面)のロータ状中央通路と置換または交換するために使用される(既存の弯状の以前の中央通路は定位置のまま)。高引張強度ニッケル−銅合金である、Monelは、主に、ニッケル(最大67%)および銅とともに、若干の鉄および他の微量元素から成る、一連のニッケル合金に対する、Special Metals Corporationの商標である。アルミニウムおよびチタンの少量の添加は、同様の耐食性をもつが、経年に伴うガンマプライム形成によって、遥かに高い強度を伴う、合金(K−500)を形成する。Monelの変形例として、Monel400、401、404、K−500、およびR−405が挙げられる。板金通路は、定位置に軟質ハンダ付けされ、過剰な材料は、トリミングされ得る。ピストンは、直線にされ、再鍍着が必要ではない場合、最終研磨が終了し、バルブガイドが再取付された状態で、粗度が試験され得る。必要に応じて、再定寸および再嵌着のために、例えば、ニッケルめっきによって、再鍍着を行う。
【0029】
また、本発明は、新しいバルブを加工する際に使用され得る。本発明に従って製造されたバルブは、本質的に、内径またはボア内に小塊あるいは障害隆起もしくはそのような中間物がない、2つの(上方および下方)直通の中空略円形断面通路を伴う、ピストンバルブである。第3の、すなわち、中央通路は、円形ではなく、むしろ、U形状の断面であって、バルブピストンの外側表面に沿って、部分的に開放している。中央通路は、平滑であって、音波の層流を改善する。本中央通路を通る実際のボアサイズは、軽度に縮小され得る(先行技術設計より約5%小さく)。本通路の外形は、側面が開放した「D」の文字に外観が類似しており、いくつかの点において、ロータバルブ通路に類似する。本発明は、従来のPerinetバルブ製造に対して比較的微調整によって、改良された設計および性能という利点を有する。上方および下方通路は、従来のPerinetバルブ加工によって行われるように、定位置に置かれるライナによって形成される。しかしながら、好ましくは、上方および下方通路は、3つすべての空気路が位置付けられるまで、定位置に鑞接されないであろう。中央通路は、それらの孔がその地点に形成される場合、バルブ本体内のウェブまたはランドを除去することによって、または溝を適切に受け取るように、バルブ本体内に陥凹を形成または切削することによって等、溝挿入部を設置することによって形成されるであろう。次いで、溝および板金の両方が形成されると、溝板金が、定位置に、硬質または軟質ハンダ付けされるであろう。次いで、類似研削/旋盤操作によって、バルブが仕上げられるであろう。中央通路は、好ましくは、他の交差またはフィラークルックより厚い材料あるいは原料から作製される。本発明の別の利点は、中央通路の最終垂直周縁に正確に位置付けるために、許容値または公差を提供することである。
【0030】
図4は、0、90、180、および270度位置402−408における、先行技術Perinetバルブの一連の図を例証する。示されるバルブは、中央通路412内に隆起410が形成される状態における、組立後である。上方通路411は、開口部411aと411bとの間に形成され、中央通路412は、開口部412aと412bとの間に形成され、下方通路413は、開口部413aと413bとの間に形成される。円形に示される、ランドまたはウェブ412cは、中央通路開口部412aと412bとの間のバルブ本体上に側方に延在し、部分的にそれらを接続する。
【0031】
図5は、0、90、180、および270度位置502−508における、本発明の一例示的実施形態Perinet式バルブの一連の図である。示されるように、閉鎖された中央通路412は、バルブ本体内において、開放形状の通路512と置換される。例証されるように、本発明のバルブは、通路411、413、および512のいずれにも、望ましくない隆起または小塊がないことによって特徴付けられる。中央通路512を形成するために挿入される、溝を生成するために使用される材料および材料の厚さは、バルブの構造的完全性を提供するために適切な強度であるべきである。バルブが、バルブケーシング内に設置され、概して、それに作用する側方力(上下)のみ有すると仮定すると、本発明のバルブ内のランドまたはウェブの除去は、バルブの物理的要求および要件を低減させる。それでもなお、溝は、好ましくは、フィラークルック厚を上回る厚さであって、Monel材料から成る。
【0032】
図6は、中央通路512を形成する溝の断面をより明確に示す、
図5の本発明のバルブの部分的断面を例証する。また、上方および下方通路411、413、ならびにバルブステム604、タッチピースまたはフィンガチップ(図示せず)、ステム架台606、および底部キャップ608と組み合わせた管状の略中空バルブ本体602は、バルブケーシング内に設置される、バルブアセンブリを形成する。
図7は、
図5の本発明のバルブの斜視図である。
図6および7は、本発明によって、通路のいずれにも小塊または隆起を回避しながら、バルブを加工可能であることを例証する。これは、本発明の望ましい特徴であるが、他の望ましい特徴が存在してもよく、本発明が、通路のうちの1つ以上に小塊または隆起を有する、バルブアセンブリに組み込まれ得ることも想定される。
【0033】
図8は、その中に形成される空気路通路孔を伴う、先行技術バルブピストン本体の斜視図である。
図9は、上述のように、中央通路412と、その中に形成されるランド412cとを有する、部分的に完成した先行技術Perinetバルブの斜視図である。小塊410が、示され、中央通路412内に一方または両方が、または開口部411aおよび413aに付随する上方ならびに下方通路内に1つずつ突出し得る。小塊は、管楽器のバルブおよび管を通って進行する、気柱の歪曲を生じさせる。1つの空気路内の小塊の集中は、その単一通路内に歪曲効果を集中させる一方、小塊の分散、したがって、複数の空気路内の小塊に付随する歪曲が、好ましいであろう。
図10は、本発明による、上述のように、形成された中央通路または溝512を伴う、部分的に完成したバルブの斜視図である。
図11aは、
図9の部分的に完成した先行技術Perinetバルブに示される断面において切り取られた端面図であって、弯状通路412、ランドまたはウェブ412c、および小塊410のうちの1つを示す。
図11bは、本発明による、
図10の部分的に完成したバルブ上に示される断面において切り取られた端面図である。
図11a弯状形状の中央通路412と、
図11bの平滑かつ直線(好ましくは)、すなわち、非弯状かつ略均一深度の中央通路512の相対的変位を比較すると、本発明は、有利には、中央通路が中空バルブ管本体内に延在する程度を低減させ、それによって、Perinetバルブ設計および加工に付随する寸法的制約のうちのいくつかを緩和するために使用され得ることが、容易に分かる。このように、小塊は、完全に回避され得る。加えて、ランドまたはウェブ412cを除去することによって、通路512の容量全体が、従来の通路412の弯状を除去することに伴う容量損失を相殺するように、向上させる。ランドまたはウェブは、部分的に、バルブ本体を囲むバルブケーシングが、楽器の操作の際、通路を包囲する役割を果たすため、除去され得る。
【0034】
好ましい通路設計が、修正され、楽器およびバルブ/ループ構成に応じて、望ましくあってもよいことは、本発明によって十分に想定される。例えば、ある程度の「弯状」が、通路512に組み込まれ得る。好ましくは、どの程度の弯状が組み込まれる場合でも、上方および下方通路内に小塊が生じない。また、
図10の斜視図に示されるような略「U」形状通路512は、「V」形状またはそのような形状の変形例であってもよい。加えて、ランドまたはウェブ412cの一部は、バルブ本体の外側円周に溝の段階的円唇化が存在し、それによって、通路により「C」形状断面をもたらすように、維持され得る。これは、完全除去に付随する体積的利得のうちのいくつかが低減されるが、楽器ならびに特定のバルブおよびループ構成に応じて、質的、例えば、音/音質効果となるであろう。これらは、管楽器に本発明を組み込む際に考慮され得る、例示的設計要因である。
【0035】
本発明は、ピストンバルブの文脈において説明されたが、本発明の側面はまた、回転バルブに適用され得る。
図12は、それぞれの空気路流路を伴う、左側の開放または「静止」位置と、右側の作動または係合位置に示される、本発明の回転バルブ用途の一対の上下図である。典型的ロータまたは回転バルブは圧縮され、それらを通過する音波または気柱を歪曲させる、2つの「D」形状通路を有する。これは、通常(ウェブなし)ロータおよびRotax(ウェブ付き)ロータの両方に該当する(
図13参照)。
図12の左側の側面図に示されるように、回転バルブの最左通路は、通路が、略圧搾された楕円形状断面であって、円形断面ではない点において、「圧縮されている」。これは、大部分は、回転バルブおよび楽器設計に付随する制約によるものである。通路を圧縮し、空間を節約することは、その空気路を通過する気柱を歪曲させるという負の影響を有する。通常回転バルブ設計では、両通路が、開放(すなわち、ランドなし)かつ対称であって、両方とも圧縮され、両方とも、望ましくない音歪曲をもたらす。代替回転バルブ設計は、通常ロータバルブの負の影響のすべてを有するだけでなく、また、ランドが、係合位置から非係合位置およびその逆に遷移の際、前縁分裂力として作用する場合、さらに望ましくない影響、特に、妨害および歪曲を生じさせる、ランドも有する、Rotax設計(
図13参照)である。
【0036】
図12に示されるように、本発明によると、2つの通路のうちの他の非圧縮は、内部ボア直径を増加させ、略円形断面通路を提供することによって、歪曲を回避する、または少なくとも軽減する。本通路は、通路内またはそこから通じる通路の内部部分に傾斜遷移を伴う、弯状または非弯状であってもよい。これは、中実または中空であり得る、回転バルブの直径全体を拡大し、例えば、Rotaxロータ(2)の中心線と本発明のロータ(4)の中心線を比較して、非対称またはオフセット内部通路構成を提供することによって、達成され得る。一実施形態では、改良されたロータは、片側がD形状である一方(ランドまたはウェブを伴わない)、他側/通路は、ウェブを伴う、円形形状または円唇通路である。本実施形態では、バルブの回転は、バルブ作動の際、前縁分裂を回避するように、管類および楽器動作と組み合わせて構成され得る。代替として、両通路のウェブは両方とも、全体的または部分的に、除去され得る。第2の通路のウェブを除去することによって、音は、通路の非円形性質によって影響を被り得るが、楽器および操作に応じて、ウェブに付随する材料を除去することによって達成された付加的容量が、より望ましい利点となり得る。したがって、本発明は、3つのウェブ設計または2つのウェブ設計において実装され得る。
【0037】
図13は、本発明の側面を対照する、回転バルブの一連の斜視図である。
図13に示されるロータバルブは、種々のテーパ形状であるが、本発明は、同様に、直線の回転バルブで使用され得る。3におけるロータは、修正されたRotaxロータであって、各対の通路開口部を接続する、側方ウェブが除去され、内部ボアサイズが増加されている。4におけるロータは、比較的に増加した直径(ロータ(3)のL1と比較されるL2)2つの通路内にオフセット、すなわち、非対称設計を伴う、改良されたロータである。例えば、通常設計から改良された設計へのロータ直径の相対的増加は、15−30%の範囲であってもよい。示されるように、バルブの中心線は、円形断面と、通常ロータ設計の圧縮された通路に付随する歪曲を軽減する向上したボアサイズとを有する、通路を横断する。再び、ランドは、設計考慮上の代償に応じて、拡大通路(
図13のロータ(4)の最右)から、全体的または部分的に、除去され得る。いずれの場合も、歪曲を回避するために、非対称通路構成を提供し、ロータ設計における制約を解決する、本発明の側面に付随する効果は、依然として、享受されるであろう。
【0038】
一実施形態では、本発明は、楽器を通る気流を調節するように設計される、バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、a)そこを通って振動気柱が通過する、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定する、その中に形成される開口部を有する、円筒形状のバルブケーシングと、b)バルブケーシング内に受け取られ、その中で線形に変位可能なバルブピストンであって、開放かつU形状である断面を有する、少なくとも1つの通路を備え、それによって、バルブピストン内に形成される他の通路に、隆起がない、バルブピストンとを備える。
【0039】
一実施形態では、本発明は、管楽器内で使用するためのPerinet式のバルブピストンを提供する。バルブピストンは、楽器のバルブケーシング内に受け取られるように適合される、略円筒形中空ピストン本体であって、一連の連係開口部を有する、ピストン本体と、その開口通路が形成される溝対と、少なくとも1つの吸気ポートおよび少なくとも1つの呼気ポートを有する、バルブケーシングと、ランドがなく、開放であることによって特徴付けられ、それによって、通路は、概して、通路設計および構造に付随する、小塊がない状態で集合的に加工され得る、少なくとも1つの通路とを含む。バルブピストンは、その中に規定される第1の通路と、その中に規定される第2の通路と、その中に規定される第3の通路とを有し、第1、第2、および第3の通路のうちの少なくとも1つは、開放したU形状の断面を伴う、略直線通路を有する。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、楽器を通る気流を調節するように設計される、バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、a)そこを通って振動気柱が通過する、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定する、その中に形成される開口部を有する、円筒形状のバルブケーシングと、b)バルブケーシング内に受け取られ、その中で回転可能に変位可能である、回転バルブであって、歪曲を軽減する略円形断面を有する、少なくとも1つの通路を備える、回転バルブを備える。
【0041】
さらに別の実施形態では、本発明は、楽器を通る気流を調節するように設計される、バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、a)そこを通って振動気柱が通過する、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を規定する、その中に形成される開口部を有する、円筒形状のバルブケーシングと、b)バルブケーシング内に受け取られ、その中で回転可能に変位可能である、回転バルブであって、回転バルブの本体内に対称的に形成される、一対の通路を備え、対の通路のうちの少なくとも1つが、略円形断面を有する、回転バルブとを備える。回転バルブは、対の通路のうちの1つの開口部間のランドと、対の通路のうちの他方に対するランドがないことによってさらに特徴付けられる。
【0042】
本発明は、本明細書に説明される特定の実施形態によって、範囲が制限されるわけではない。本明細書に説明されるものに加え、本発明の他の種々の実施形態および修正が、上述の説明および付随の図面から、当業者に明白となるであろうことは、完全に想定される。したがって、そのような他の実施形態および修正は、以下の添付の請求項の範囲内にあるものと意図される。さらに、本発明は、特定の実施形態ならびに実装および用途、特に、環境の文脈において、本明細書に説明されたが、当業者は、その有用性は、それらに限定されず、本発明が、任意の数の目的に対して、任意の数の方法および環境において、有益に適用可能であることを理解するであろう。故に、以下に記載される請求項は、本明細書に開示される本発明の全範囲および精神の観点から解釈されるべきである。