特許第5960600号(P5960600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エクセリス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許5960600-二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ 図000002
  • 特許5960600-二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ 図000003
  • 特許5960600-二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ 図000004
  • 特許5960600-二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ 図000005
  • 特許5960600-二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960600
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/08 20060101AFI20160719BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20160719BHJP
   G05G 1/02 20060101ALI20160719BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20160719BHJP
   G05G 25/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G05G1/08 B
   G01D5/245 110M
   G05G1/02 B
   G05G5/03
   G05G25/04
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-538857(P2012-538857)
(86)(22)【出願日】2010年11月3日
(65)【公表番号】特表2013-511089(P2013-511089A)
(43)【公表日】2013年3月28日
(86)【国際出願番号】US2010055202
(87)【国際公開番号】WO2011059860
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2013年10月31日
【審判番号】不服2015-8872(P2015-8872/J1)
【審判請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】12/617,178
(32)【優先日】2009年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512067159
【氏名又は名称】エクセリス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー クラーン トルーデュー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー セス バンディー
【合議体】
【審判長】 森川 元嗣
【審判官】 冨岡 和人
【審判官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−196382(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第4432399(DE,A1)
【文献】 特開2004−3820(JP,A)
【文献】 特開2008−218199(JP,A)
【文献】 特開2003−281972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G1/02 G05G1/08 G05G5/03 G05G25/04
G01D5/245
H01H19/00 H01H19/20 H01H25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウジング内部に配置された第1及び第2のエンコーダと、
記ハウジングの外部に配置された内側及び外側回転ノブと、
ハウジング内への環境漏損及び電気的干渉経路を最小限におさえ、ハウジングの内部を回転ノブから物理的に隔離するために、エンコーダと回転ノブの間に間置されているハウジングのインターフェースプレートと、
を含むノブアセンブリにおいて、
第1のエンコーダが、内側回転ノブの角度的配向をデコードするように構成されており、
第2のエンコーダが、外側回転ノブの角度的配向をデコードするように構成されており、
記ハウジングは、操作中において筐体として構成されており、
記ハウジングは、前記ハウジング内への外部環境の曝露を可能とする物理的開口部を一切含まない、ノブアセンブリ。
【請求項2】
第1のエンコーダが、内側回転ノブの軸方向並進運動をデコードするように構成されている、請求項1に記載のノブアセンブリ。
【請求項3】
内側回転ノブが第1の磁石を含み、
第1のエンコーダが、制御機能として第1の磁石の絶対的又は相対的角回転をデコードするように構成されている、請求項1に記載のノブアセンブリ。
【請求項4】
内側回転ノブが第1の磁石を含み、
第1のエンコーダが、制御機能として第1の磁石の軸方向並進運動をデコードするように構成されている、請求項2に記載のノブアセンブリ。
【請求項5】
外側回転ノブが第2の磁石を含み、
第2のエンコーダが、制御機能として第2の磁石の相対的角回転をデコードするように構成されている、請求項1に記載のノブアセンブリ。
【請求項6】
第2の磁石が、磁気条片を含む多極環状磁石である、請求項5に記載のノブアセンブリ。
【請求項7】
ハウジングが、内側及び外側回転ノブのためのボスを提供するためインターフェースプレートから延在する円筒形突出部を含む、請求項1に記載のノブアセンブリ。
【請求項8】
内側回転ノブが、ボス内に挿入された突出する円周方向唇状部と、
ボス内部に内側回転ノブを保持するため、突出する円周方向唇状部と係合する保持リングとを含んでいる、請求項7に記載のノブアセンブリ。
【請求項9】
外側回転ノブがスナップ式保持機構を含み、
ボスが円周方向スロットを含み、
スナップ式保持機構が円周方向スロットとインターロックして、外側回転ノブをボス部でハウジングに取り付けている、請求項7に記載のノブアセンブリ。
【請求項10】
ノブアセンブリが触覚フィードバック機構を含み、
触覚フィードバック機構が、内側回転ノブとハウジングのインターフェースプレートの間には挟まれており、
触覚フィードバック機構は、内側回転ノブが軸方向に並進運動させられた場合にユーザーにフィードバックを提供する、請求項1に記載のノブアセンブリ。
【請求項11】
触覚フィードバック機構がスナップドームを含む、請求項10に記載のノブアセンブリ。
【請求項12】
ノブアセンブリを含む制御ユニットにおいて
ウジングの内部に配置された第1及び第2のエンコーダと、
記ハウジングの外部に配置された内側及び外側回転ノブと、
ハウジング内への環境漏損及び電気的干渉経路を防止するため、ハウジングの内部を回転ノブから物理的に隔離するようにエンコーダと回転ノブの間に間置されたハウジングの境界面と、
を含む制御ユニットにおいて、
第1のエンコーダが、第1の制御機能として内側押しボタン回転ノブの第1の角度を通した角回転をデコードし、第2の制御機能として内側押しボタン回転ノブの軸方向並進運動 をデコードするように構成されており、
第2のエンコーダが、第3の制御機能として外側回転ノブの第2の角度を通した別の角回転をデコードするように構成されており、
第1の磁石が、内側押しボタン回転ノブ内に配置されており、
第2の磁石が外側回転ノブ内に配置されており、
第1のエンコーダが、全く導電体無しで、第1の磁石の角回転及び軸方向並進運動をデコードし、
第2のエンコーダが、全く導電体無しで、第2の磁石の角回転をデコードし、
記ハウジングは、前記ハウジング内への外部環境の曝露を可能とする物理的開口部を一切含まない、制御ユニット。
【請求項13】
ハウジングが、キャビティを有するボスを画定する境界面から延在する円筒形突出部を含み、
ボスが円周方向スロットを含み、
外側回転ノブがスナップ式保持機構を含み、
内側回転ノブが、ボスのキャビティ内部に挿入され、スナップ式保持機構が円周方向スロットと係合して外側回転ノブをハウジングに取り付けている、請求項12に記載の制御ユニット。
【請求項14】
ノブアセンブリが、内側回転ノブとハウジングの境界面の間に触覚フィードバック機構を含み、
内側回転ノブが軸方向に並進運動させられた場合に触覚フィードバック機構がユーザーフィードバックを提供する、請求項12に記載の制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている2008年10月7日付出願の米国特許出願第12/246,743号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は一般にノブアセンブリに関する。より具体的には、本発明は、ハウジングの内部と直接接触せずにハウジング内に常在する電子デバイスの非接触式制御を提供する二重独立押しボタン回転ノブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
スペースが非常に貴重である数多くの電子ハウジングにおいて、制御機能は多くの場合単一の制御ノブに統合されている。例えば、複数の電子機能を活動化するための複数の回転位置を有する回転ノブが、電子部品のオン/オフ切替え機能のための1つの機能のみを有し得る1つの押しボタンスイッチと組合されるかもしれない。従来の回転押しボタン制御は、ハウジング内の電子部品の多数の制御機能を有効にするものの、ハウジングの組立てを複雑にし、制御ノブの交換を困難にする。さらに、従来の押しボタン制御に必要とされる複雑なハウジングでは、さらに複雑で多機能の回転押しボタンノブの使用が妨げられる。
【0004】
従来の制御ノブアセンブリは典型的に、電子部品に様々な制御を伝達するために、電子部品のハウジング内に突出している必要がある。この突出は、ハウジング内への開口部を作り出し、これは、電子部品内への環境的汚染及び電磁干渉(EMI)を可能にするかもしれない。
【0005】
環境的汚染及びEMIに付随する危険性を軽減するために、このタイプのオペレータ制御ノブには、Oリング、ガスケット、又は他の塗布される封止剤が使用されてきた。これは、それ自体煩雑な作業であるかもしれず、制御ノブの組立て又は維持をさらに複雑にするかもしれない。その上、制御ノブは突出部材をハウジング内に挿入することを必要とし、突出部材は、他の用途のために使用された方がよいハウジングの内部容積の一部分を占有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下で説明する通り、本発明は、ハウジング内への侵入もハウジングの内部電子部品との直接的接触も全く必要としないために従来の回転ノブアセンブリに比べて利点を示す回転ノブアセンブリを提供する。以下で記述する通り、本発明は、電子部品のハウジング内への突出無くかつ電子部品との直接的接触無く非接触式に電子デバイスを制御する押しボタン及び二重回転ノブアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このニーズ及び他のニーズを満たすため、かつその目的を考慮して、本発明は、ハウジングの内部に配置された2つのエンコーダと、ハウジングの外部に配置され2つの磁石を収納する二重独立押しボタン回転ノブとを含むノブアセンブリを提供している。ハウジングのインターフェースプレートはエンコーダとノブアセンブリの間に間置され、二重独立回転ノブからハウジングの内部を物理的に隔離している。インターフェースプレートは、環境漏損(leakage)及び電磁干渉がハウジング内に侵入するのを防いでいる。エンコーダは、内側及び外側ノブの角回転をデコードし、対応する制御機能をハウジング内部の電子部品に伝達するように構成されている。押しボタン機能性を有する内側回転ノブ内部の磁石と連絡するエンコーダが、さらなる制御機能としてハウジング内部の電子部品に対し軸方向並進運動をデコードし伝達するように構成される。
【0008】
本発明の別の実施形態は、ノブアセンブリを含む制御ユニットを提供する。ノブアセンブリは、ハウジングの内部に配置された2つのエンコーダと、ハウジングの外部に配置され2つの磁石を収納するノブアセンブリを含む。内側回転ノブは回転動作を提供する回転ノブ及び軸方向並進運動を提供する押しボタンとして機能する。外側回転ノブは、内側回転ノブから独立した回転動作を提供する。押しボタンは、回転ノブのいずれかに対するあらゆる回転動作から独立して、押圧されてよい。ハウジングの境界面がエンコーダとノブアセンブリの間に間置され、二重独立押しボタン回転ノブアセンブリからハウジングの内部を物理的に隔離している。この境界面は、環境漏損及び電磁干渉がハウジング内に侵入するのを防ぐ。エンコーダは、2つの回転ノブの角度的配向及び内部押しボタン回転ノブの軸方向並進運動をデコードするように構成されている。
【0009】
さらに、本発明は、ハウジングの内部に配置された電子デバイスを制御する方法を含む。電子デバイスは、(a)ハウジングの外部に配置された内側押しボタンノブを押圧するステップと、(b)内側回転ノブを軸方向に回転させるステップと、(c)内側回転ノブと第1のエンコーダの間に物理的接触が全くない状態で、ハウジングの内部に配置された第1のエンコーダに対して内側回転ノブの並進運動位置及び回転位置を非接触式に通信するステップと、(d)第1のエンコーダにより、内側回転ノブの並進運動位置及び回転位置をデコードし、電子デバイスの少なくとも1つの制御機能を独立して活動化させるステップと、によって制御されてよい。この方法はさらに、(e)外側回転ノブを軸方向に回転させるステップと、(f)外側回転ノブと第2のエンコーダの間に物理的接触が全くない状態で、ハウジングの内部に配置された第2のエンコーダに対して外側回転ノブの回転位置を非接触式に通信するステップと、(g)第2のエンコーダにより、外側回転ノブの回転位置をデコードするステップと、(h)電子デバイスのさらなる独立した制御機能を活動化させるステップと、を含んでいてよい。
【0010】
以上の一般的説明及び以下の詳細な説明は例示的なものにすぎず、本発明を限定するものではないことが理解される。
【0011】
本発明は、添付図面と関連づけて以下の詳細な説明を読むことで、最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るスナップ式押しボタン二重独立回転ノブアセンブリの斜視図である。
図2図1に示された回転ノブアセンブリの横断面を示す。
図3図2に示されている回転ノブアセンブリの分解横断面図である。
図4図1の回転ノブアセンブリの分解斜視図である。
図5図4に示された内側回転ノブ磁石と外側回転ノブ磁石と共に作動する2つのエンコーダを含む、本発明の実施形態の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、押しボタン二重独立回転ノブアセンブリを含む。以下で説明する通り、ノブアセンブリは、1本の軸に沿った回転動作と並進運動行程を提供する。従来のノブ及びスイッチとは異なり、本発明は、ハウジング内への突出を必要とすることなく、ハウジング内部の電子部品を制御する。同様に、従来のノブ及びスイッチとは異なり、本発明は、2つの独立した回転ノブの使用を通して非接触式多機能制御を可能にする。本発明の構成要素は、ノブアセンブリとハウジングの間にOリング、ガスケット又は他のあらゆる塗布された封止剤を必要とすることなく、作動し得る。
【0014】
本発明の押しボタン回転ノブアセンブリは、回転ノブのどの部分もハウジングを通って突出していないことから、数多くの利点を提供する。例えば、(1)環境汚染又は電磁干渉(EMI)が侵入するかもしれないハウジング内部への漏損経路が一切存在しない、(2)回転ノブに対するインターフェースとして専用に提供されているハウジングの内部容積は、同じ制御機能を有する従来の回転ノブが必要とする内部容積よりもはるかに小さい、(3)ボスはハウジング内に侵入する必要がないことから、回転ノブの回転を誘導するためにハウジング上に大きなボスを使用してよい、そして(4)回転ノブ及び回転ノブに対するあらゆるハウジングインターフェースを封止するための煩雑な封止剤又は接着剤は全く必要ない。
【0015】
さらに、従来のノブ及びスイッチは、スイッチアセンブリの構成要素を組立てるために多数のステップ及び工具を必要とする。一方、本発明の押しボタン回転ノブアセンブリは、組立てプロセスを単純化する。例えば、(1)いかなる工具も無しで回転ノブを組立て、交換し得、(2)ハウジングの内部に出入りする必要なく回転ノブを組立て、交換してよく、こうして、汚染物質又は外部雰囲気に対するハウジングの内部構成要素の曝露が回避される。さらに、万一回転ノブが損傷を受けた場合でも、ハウジングの封止が損なわれることはない。その上、本発明の押しボタン回転ノブアセンブリは、ユーザーのために追加の非接触式機能性を可能にする二重の独立した回転ノブを提供する。図と共に以下の記述を参照することによりこれらの利点及び他の利点を理解できるかもしれない。
【0016】
まず図1を参照すると、全体に10という番号で示されている押しボタン回転ノブアセンブリが示されている。図1に示されているのは、内側回転ノブ16、外側回転ノブ12、ダストシールド30及び回転ノブアセンブリを取付けてよいインターフェースプレート24である。次に図2、3及び4を参照すると、本発明には、ハウジング25のインターフェースプレート24から外部に延在し、ボス24bを画定する円筒形突出部が含まれている。外側回転ノブ12は、ハウジング25のボス24bとインターフェースし、外側押しボタン回転ノブ16はボス24bのキャビティ24eとインターフェースする。第1の磁石22が、インターフェースプレート24のキャビティ底面24cに隣接する押しボタンノブの下端部で、押しボタンノブ16内の中央中ぐり内部に挿入されている。磁気条片18であってよい第2の磁石が、ハウジング25の外部境界面24pに隣接する外側回転ノブ12内のスロットの中に挿入される。磁気条片18は、多極環状磁石であってよく、例えば44の極を含んでいてよい。
【0017】
磁石22の回転位置及び並進運動位置は、(図5中に示されている)ハウジング25内部に配置された第1のエンコーダ51によって読取られる。以下で説明する通り、共に第1の制御ユニットとして役立つ磁石22とエンコーダ51は、キャビティ底面24cを通して通信し、こうしてハウジング25内部で電子部品52を作動させるための様々なモード及び機能のユーザーによる制御を提供している。
【0018】
外側回転ノブ12と磁気条片18は共に1つのアセンブリとして回転する。ノブと磁石のアセンブリが回転するにつれて、磁気条片18はエンコーダ50上を回転させられる。各々の磁極の反転はエンコーダ50により検知され、エンコーダはこのとき、外側回転ノブ12の相対的回転位置を(図5に示された)ハウジング25内部の電子部品52に提供する。以下でさらに記述する通り、共に第2の制御ユニットとして機能する磁気条片18とエンコーダ50は、外部境界面24fを通して通信し、こうしてハウジング25内部で電子部品52を作動させるための様々なモード及び機能のユーザーによる制御を提供する。
【0019】
スナップドーム20(図2及び3を参照のこと)が、押しボタン16とキャビティボタン24cの間に存在する。スナップドーム20は、内側押しボタンノブ16をキャビティ底面24cから離れるように付勢するために、ハウジング25のインターフェースプレート24から離れるようにその中央部分が湾曲された状態で位置づけされる。Oリング28は回転ノブアセンブリを封止し、回転ノブアセンブリ10の内部に微粒子が蓄積しないように保っている。微粒子による汚染を防ぎ、内側回転ノブ16と外側回転ノブ12(図2及び4参照)の心を合わせるために、外側回転ノブ12と外側回転ノブ12の間にダストシールドが挿入される。
【0020】
外側回転ノブ12は、ハウジング25の内部に侵入することなく、図2に示されている通りにボス24bにおいてハウジング25と係合する。外側回転ノブ12は、スナップ式保持機構12bを含む(図3)。ボス24bを機械加工して、保持機構12bを収容し係合させるための円周方向スロット24dを提供してよい。スナップ式保持機構12bはボス24bの外側面を円周方向に取り囲み、外側回転ノブ12をハウジング25に有効に保持する。この取付け方法は、容易な組立て及び交換を可能にし、ハウジング内部への侵入又は開口部の必要性を無くする。
【0021】
内側回転ノブ16は、ボス24bのキャビティ24e内に収容され定置される。内側回転ノブ16は、その基部を取り囲む唇状部16bを用いてボス24bにより捕捉される。保持リング26及びOリング28も同様に、内側回転ノブ16の捕捉を助ける。この配置は、内側回転ノブと外側回転ノブのいずれかが回転している場合に、これらの回転ノブ間のあらゆるトルクの干渉を有効に排除しながら内側回転ノブを捕捉する。Oリング28及び保持リング26も同様に、回転ノブ間の偶発的の回転を防止する。
【0022】
作動中、内側押しボタンノブアセンブリは、z軸40を中心とする回転動作及びz軸40に沿った並進運動行程を内包する。したがって、少なくとも1つの実施形態において、内側回転ノブ16は押しボタンの機能性を有する。これは、いかなる回転動作からも独立した形で、ハウジング25に向かってz軸40に沿って押圧されてよい。スナップドーム20のバネ様の付勢は、内側押しボタンノブアセンブリを押圧した時点でユーザーに触覚フィードバックを提供して、ハウジング25内部の電子部品52を活動化させる。スナップドーム20は反発して、押しボタンをそれ以前の未押圧状態まで強制する。
【0023】
z軸40との関係における磁石22の角位置及び並進運動位置は、逐次的に回転ノブ16を押圧し、回転させ、解除することにより変化させてよい。この変化は、キャビティ底面24cの下側に配置されたエンコーダ51により判定されてよい(図5)。一例として、内側回転ノブ16を押圧し、所望の角度θだけ回転させてよい。この角度θは、例えばユーザーが機能「A」を活動化することを望んでいるものとして、エンコーダ51により判定されるかもしれない。次に、エンコーダ51は電子部品52内で機能「A」を活動化するかもしれない。別の実施例として、制御機能は、内側押しボタン回転ノブ16を押圧し解除することにより活動化されるかもしれない。押圧と解除の時点で、エンコーダ51は、回転ノブが瞬間的にエンコーダ51に接近するように移動させられるにつれて、磁気強度の変化を検出するかもしれない。この磁気変化は、エンコーダ51により、例えば機能「B」の活動化が所望されているものとして解釈されるかもしれない。
【0024】
機能「A」及び「B」は、電子部品52を制御するのに必要とされる任意の機能であってよい。例えば、機能「A」は、「I.R.モードを活動化する」であってよく、機能「B」は「オン/オフ」であってよい。同様に、z軸40との関係における外側回転ノブ12の相対的角位置を、外側回転ノブを回転させることによって変化させてもよい。この変化は、外部境界面24fの下側に配置されているエンコーダ50(図5)によりデコード、つまり解釈されてよい。例えば、外側回転ノブ12が角度θだけz軸40を中心として回転させられるかもしれない。外側回転ノブ12の位置の相対的変化は、例えば機能「C」の活動化を所望することとしてエンコーダ51により判定されるかもしれない。次に、エンコーダ51は、電子部品52の内部で機能「C」を活動化するかもしれない。
【0025】
図3及び4は、ハウジング25の上面に位置するインターフェースプレート24との関係における二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ10の分解図を示している。図示されているように、磁石22は、内側回転ノブ16の中ぐり内に挿入されていてよい。磁石条片18が、外側回転ノブ12の円周方向スロット内に挿入されてよい。次に、外側回転ノブ12内に上面からダストシールド30を挿入してよい。保持リング26とOリング28を底面から外側回転ノブ12内に挿入し、続いて内側回転ノブ16を挿入してよい。
【0026】
スナップドーム20は、磁石22と押しボタン16の下側でボス24bのキャビティ24e内部に配置されてよい(図2)。すでに記述した通り、スナップドーム20は、内側押しボタンノブ16が押圧された時点でユーザーのための触覚フィードバックを提供する。
【0027】
外側回転ノブ12は、円周方向スロット24dによってボス24bに締結し得る円周方向に配置された保持機構12bを含む。嵌め合せスロット24dは円周方向に保持機構12bを受け入れ、こうしてハウジング25に対し二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ10を捕捉する。
【0028】
図5は、エンコーダ50及び51と、磁石22及び18を含む二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ10の間の関係を示す、本発明の一実施形態の断面図である。エンコーダ50及び51は、完全にハウジング25内に配置され、それぞれ外部境界面24f及びキャビティ底面24cにおいてインターフェースプレート24により押しボタン回転ノブアセンブリ10から離隔されている。磁石22の回転位置及び並進運動位置は、直接的接触は一切無しでエンコーダ51により磁気的に検知される。同様に、磁気条片18の回転も、直接的接触は一切無しでエンコーダ50により磁気的に検知される。こうして、磁石とそのそれぞれのエンコーダの間に非接触式通信が提供される。
【0029】
その非接触式通信能力のため、二重独立押しボタン回転ノブアセンブリ10は、過酷な環境に理想的に適している。それは、高い信頼性を提供し、粉塵、湿気、振動及び電磁干渉などの不利な環境条件に対する免疫性を示す。磁石22及びエンコーダ51は、例えば0.5〜1.8mmの間で変動してよい厚みTだけ、キャビティ底面24cを横断して離隔されていてよい。磁気条片18とエンコーダ50も同様に、例えば0.5〜1.8mmの間で変動してよい厚みTだけ、外部境界面24fを横断して離隔されてよい。
【0030】
本発明について本明細書中で具体的実施形態を参考にしながら図示し記述したが、本発明は、ここで示された詳細に限定されるように意図されていない。むしろ、クレームの等価物の範囲内でかつ本発明から逸脱することなく、詳細に対して様々な修正を加えることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5