(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960601
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】バイオマスの粉砕および分離装置
(51)【国際特許分類】
B02C 7/08 20060101AFI20160719BHJP
B07B 7/083 20060101ALI20160719BHJP
B02C 7/11 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B02C7/08
B07B7/083
B02C7/11 Z
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-539426(P2012-539426)
(86)(22)【出願日】2010年11月16日
(65)【公表番号】特表2013-510716(P2013-510716A)
(43)【公表日】2013年3月28日
(86)【国際出願番号】IB2010002924
(87)【国際公開番号】WO2011061595
(87)【国際公開日】20110526
【審査請求日】2013年11月15日
(31)【優先権主張番号】09014344.7
(32)【優先日】2009年11月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512128357
【氏名又は名称】ビオヒスト オベルセアス ソチエタ ア ガランツィア リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】ウンベルト マノラ
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−291652(JP,A)
【文献】
特開平07−024417(JP,A)
【文献】
米国特許第04734960(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第00812292(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 7/00 − 7/18
B07B 4/00 −11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状のバイオマス(100)のためのマイクロメトリック分離機(1)であって、
粒子が、搬送用流動床において分散された状態で導入される、少なくとも1つの第1の粉砕ステージ(2)と、
前記搬送用流動床において粒子を運ぶための第1の手段(110)と、を備え、
前記少なくとも1つの第1の粉砕ステージ(2)は、粒子を相互に衝突させるための第1の粉砕チャンバ(5)を有し、
前記第1の粉砕チャンバ(5)は、
前記搬送用流動床において少なくとも1つの乱流を発生させるための第1の部材(9)を含む、少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)と、
前記少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)と対向する少なくとも1つの第1の対照体(8)と、
前記搬送用流動床のための1以上の流出開口(22)と、を有し、
前記第1の対照体(8)は、前記少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)と実質交わる軸を有する流入領域を含む、少なくとも1つの第1の流入口(6)を有し、
前記マイクロメトリック分離機(1)は、前記第1の粉砕ステージ(2)の下流側に設置され、該第1の粉砕ステージ(2)と流体的に連結された、少なくとも1つの第2の粉砕ステージ(3)を備える、マイクロメトリック分離機において、
前記少なくとも1つの第2の粉砕ステージ(3)は、粒子を相互に衝突させるための少なくとも1つの第2の粉砕チャンバ(15)を有し、
前記第2の粉砕チャンバ(15)は、
前記搬送用流動床において少なくとも1つの乱流を発生させるための第2の部材(19)を含む、少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)と、
前記少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)と対向する、少なくとも1つの第2の対照体(18)と、
前記搬送用流動床のための1以上の流出開口(23)と、を有し、
前記第2の対照体(18)は、前記少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)と実質交わる軸を有する流入領域を含む、少なくとも1つの第2の流入口(16)を有し、
対応する対照ケース(30)内において前記搬送用流動床に回転流および渦流の少なくとも一方を発生させるための手段を含む、少なくとも1つの回転体(31)を有し、前記第1の粉砕ステージ(2)および前記第2の粉砕ステージ(3)の少なくとも一方の下流側に配置される、さらなるステージ(4)を備え、
前記少なくとも1つの回転体(31)は、前記バイオマス(100)の選定された粒子のための第1の流出口(32)を含み、
前記搬送用流動床において粒子を運ぶための第1の手段(110)は、前記粒子を、前記第1の粉砕ステージ(2)または前記第2の粉砕ステージ(3)から、前記さらなるステージ(4)へ運ぶとともに、前記第1の流出口(32)から流出した前記選定された粒子を運び、
前記少なくとも1つの回転体(31)は、垂直軸に沿って軸方向に回転し、かつ軸対称であり、前記少なくとも1つの回転体(31)は、それぞれの小径の端部で連結された2つの円錐台形状として形成され、前記回転流および渦流の少なくとも一方を発生させるための手段は、前記回転体から突出する複数のフィンを含むことを特徴とする、マイクロメトリック分離機(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの乱流を発生させるための第1の部材は、前記少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)から前記第1の粉砕チャンバ内に突出する複数の突出体(9)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項3】
前記突出体は、前記少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)上に配置され、前記第1の対照体(8)の対向する壁面に実質接触するまで延在する、実質円筒状の円筒体(9)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項4】
前記実質円筒状の円筒体(9)の間において放射状の開口(21)が設けられることを特徴とする、請求項3に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項5】
前記少なくとも1つの乱流を発生させるための第2の部材は、前記第2の粉砕チャンバ内において前記少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)の表面に設けられた複数のダクト(19)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項6】
前記複数のダクト(19)は、相互に異なる領域を有する分岐ダクトを含むことを特徴とする、請求項5に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項7】
前記ダクト(19)の少なくとも一部の深さは、前記少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)と、該第2の回転ディスク(17)の前に位置する、前記少なくとも1つの第2の対照体(18)の面との間の距離よりも大きいことを特徴とする、請求項5または6に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項8】
粉砕用の前記第1の粉砕ステージ(2)および前記第2の粉砕ステージ(3)の少なくとも一方は、内部環境を冷却するための手段(14)を有する容器(10)内に収容されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項9】
前記内部環境を冷却するための手段は、外気を流入させるための1以上の気体流入口(14)を含むことを特徴とする、請求項8に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項10】
前記第1の回転ディスク(7)および前記第2の回転ディスク(17)の少なくとも一方の位置を、対応する前記第1の粉砕チャンバ(5)または前記第2の粉砕チャンバ(15)内においてそれぞれ調整するための手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)および前記少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)の少なくとも一方は、関連する自らの幾何学的中心を通過する実質垂直の回転軸を有しつつ、実質水平に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項12】
少なくとも1つの前記対照ケース(30)は、前記バイオマス(100)の選定されなかった粒子のための少なくとも1つの第2の流出口(36)を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項13】
流動床において粒子を運ぶための第2の手段(120)を備え、
前記搬送用流動床において粒子を運ぶための第2の手段(120)は、前記選定されなかった粒子のための少なくとも1つの第2の流出口(36)と、前記第1の粉砕ステージ(2)の前記第1の流入口(6)とを連結することを特徴とする、請求項12に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項14】
前記少なくとも1つの回転体(31)に設けられた、前記選定された粒子のための第1の流出口(32)の流出領域の寸法を選択するための手段(34、35)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項15】
前記選定された粒子のための第1の流出口(32)の流出領域の寸法を選択するための手段(34、35)は、前記バイオマス(100)の前記第1の流出口(32)を部分的に遮断するための少なくとも1つの要素(35)を有することを特徴とする、請求項14に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項16】
前記部分的に遮断するための少なくとも1つの要素(35)は、前記少なくとも1つの回転体(31)に設けられた粒子のための前記第1の流出口(32)に対して位置調整可能な方法で、前記対照ケース(30)の内部に固定されることを特徴とする、請求項15に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項17】
前記少なくとも1つの回転体(31)は、実質垂直である回転軸を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項18】
前記搬送用流動床において粒子を運ぶための第1の手段(110)および第2の手段(120)の少なくとも一方における流体の流れの、流量、圧力、および流速の少なくとも1つを調整するための手段を備えることを特徴とする、請求項13に記載のマイクロメトリック分離機。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第1の回転ディスク(7)、少なくとも1つの第2の回転ディスク(17)、および少なくとも1つの回転体(31)のうちの少なくとも1つの回転速度を調整するための手段を備える、請求項1〜18のいずれか1項に記載のマイクロメトリック分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、相互に分離された異なるタンパク質含有物のような、異なる活性成分を備える有機基質を得る目的を有し、バイオマスを粉砕し、その結果粉砕された粒子を選定(仕分け)する主機能を有する、バイオマスのためのマイクロメトリック分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前述したタイプの分離機を実現する技術が知られている。このような分離機においては、圧縮動作、摩擦、または衝突のために、このような装置の適当に成形された部分と、工程中のバイオマスとの間の相互作用によって装置内部に導入されたバイオマスの機械的な粉砕を可能とするように、特定の機械装置が動作する。例えば、サイクロンタイプのような基質分離機が、予め粉砕された粒子の選定を可能とするために、下流側にさらに設置される。
【0003】
例えば、MANOLAによる欧州特許出願EP−A−1712286号公報は、回転中において、自らの軸と中央シリンダの周りを回転可能な成形ローラを使用する旨を開示している。ここで、該成形ローラは、回転中に、衝突と、その結果生じる圧縮のために、バイオマスと、回転成形ローラおよび中央シリンダとの間の相互作用によって、特に有機乾燥材から構成されたバイオマスを粉砕する。
【0004】
このような装置は、乾燥バイオマス(例えば、ヘーゼルナッツ殻、または木質繊維)から有機基質を抽出するのに特に効果的であるが、以下の欠点を有する。すなわち、タンパク質を含む基質が、容易に劣化する有機材から抽出される場合において、バイオマスと、ローラの粉砕面およびシリンダとの接触によって、抽出されるべき有機基質の活性成分の変異が、引き起こされてしまう。
【0005】
例えば、HANHによる米国特許出願US−A−2002/0117564号公報において、マイクロメトリック分離機を実現する方法が知られている。ここでは、必ずしもバイオマスから構成されていない粉砕されるべき材料が流動床内において運ばれ、この流動床は、適当なチャンバ内にて、急激な加圧および減圧に交互に曝される。このような圧力の変化は、例えば、流体によって運ばれた材料を共振によって粉砕するように圧力波を生成可能なサーボ制御ロータによって得られる。
【0006】
これらの装置は、硬い材料を粉砕するのには効率的であるが、利便性の高い活性成分を含む選定された基質を得る最終段階までバイオマスを粉砕するのを調整することが困難であり、これらは、技術的に複雑且つ高価となる。
【0007】
例えば、国際特許出願WO2008/053475号公報から公知であるように、他の技術によれば、活性成分を含む有機基質を抽出するためのバイオマス粉砕は、気流内で渦流運動を生成可能な装置によって実行される。これにより、バイオマスは、粒子へと分散される。このような渦流運動は、円筒状のチャンバ内で生成され得るものであり、このチャンバは、高圧且つ予め定義された流量の接線方向の流体の流れを導入する。
【0008】
このような装置は、これらのプロセスの間に、導入されたバイオマスの粒子が、円筒容器の壁面に衝突する、または、このような壁面と接触して留まってしまうことを防ぐことができず、結果として起こり得る、有機基質に包含された抽出されるべき活性成分の変異を伴うこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前述した公知技術の欠点を有することのない、粒子状のバイオマスのマイクロメトリック分離のための装置を実現することである。
【0010】
また、本発明の目的は、バイオマスの効率的な粉砕と、その後の対応する選定とを可能とし、例えば極高純度のタンパク質といった活性成分を含む有機基質を提供可能な、バイオマスのためのマイクロメトリック分離機を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、極高い生産性を得ることを可能とする、バイオマスのためのマイクロメトリック分離機を実現することである。
【0012】
本発明のさらなる他の目的は、構造が簡易であり、技術的に容易に製造することができる、バイオマスのためのマイクロメトリック分離機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的、および他の目的は、請求項1および他の従属請求項に係る、バイオマスのためのマイクロメトリック分離機によって得られる。
【0014】
本発明に係る、粒子状のバイオマスのためのマイクロメトリック分離機は、少なくとも1つの第1の粉砕ステージを備え、該第1の粉砕ステージにおいて、バイオマスの粒子は、搬送用流動床に導入されて拡散される。また、マイクロメトリック分離機は、上記流動床を通して粒子を運ぶための第1の手段を備える。
【0015】
このような第1の粉砕ステージは、粒子を相互衝突させるための第1の粉砕チャンバを有し、該第1の粉砕チャンバは、流動床において少なくとも1つの乱流を発生させるための第1の部材が設けられた第1の回転ディスクを含む。上記第1の部材は、例えば、回転ディスクから第1の粉砕チャンバまで突出する円筒体から構成される。また、第1の粉砕ステージは、第1の回転ディスクと対向する少なくとも1つの第1の対照体と、流動床の一以上の流出口とを備える。前述の第1の対照体には、さらに、上記回転ディスクが設置される平面に対して実質交わる軸を含む流入領域を有する、少なくとも1つの流入口が設けられている。
【0016】
「回転ディスク」という語は、本稿では、平面視で幾何学的に不規則、または規則性のある形状を有し得る、2次元(3次元を含む)の如何なる回転体をも意図している点に留意されたい。限定はされないが、好ましくは、このような回転ディスクは、平面視で円形形状を有する。
【0017】
本発明のさらなる他の態様によれば、マイクロメトリック分離機には、さらに、第2の粉砕ステージが設けられ、該第2の粉砕ステージは、上記第1のステージの下流に配置され、第1のステージと流体的に連結される。第2の粉砕ステージは、粒子を相互衝突させるための第2の粉砕チャンバを有し、該第2の粉砕チャンバは、流動床において少なくとも1つの乱流を発生させるための第2の部材が設けられた、少なくとも一つの第2の回転ディスクを含む。第2の部材は、例えば、第2の回転ディスク上に設けられた、異なる横方向領域を有する分岐溝から構成される。また、第2の粉砕ステージは、さらに、上記のような第2の回転ディスクに対向する少なくとも一つの第2の対照体と、流動床のための一以上の流出口とを有する。第2の対照体には、第2の回転ディスクが設置される平面に対して実質交わる軸を含む流入領域を有する、少なくとも1つの第2の流入口が設けられている。
【0018】
出願人が着想したように、処理されるべきバイオマスの粒子寸法に応じて選択された寸法を有するチャンバ内部における、例えば、突出体または溝といった、乱流を発生させる適当な部材が設けられたディスクの単なる回転による渦流の形成によって、通常は金属からなる装置のチャンバ、対照体、またはディスクの壁面に対してバイオマスが衝突して粉砕してしまうことなく、バイオマスを相互に衝突させることによって粉砕することを可能とする。前述したように、このことにより、粉砕された粒子(有機基質)に含まれる活性成分の劣化が起こってしまうことを防止するとともに、工程の最後に得られる有機基質の生産量および品質を高めることが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、前述した第1および第2のステージは、例えば、外気を流入させるための一以上の気体流入口を有する、内部環境を冷却するための手段が設けられた容器内に、収容される。
【0020】
本発明によれば、工程中におけるバイオマスの冷却が、排出される有機基質の高純度、および分離機における高い生産性を主に決定する特徴の一つとなることが、発見された。
【0021】
本発明のさらなる好ましい態様によれば、マイクロメトリック分離機は、第1のステージおよび/または第2のステージの下流側に設置された第3のステージを備える。この第3のステージは、対応するケース内において、流動床に回転流および/または渦流を発生させるための手段が設けられた、少なくとも一つの回転体を有する。このような回転体は、さらに、上記第1または第2のステージから送られる前述のバイオマスの選定された粒子のための第1の流出口を含む。同様に、回転体は、流動床において粒子を運び、上記粒子を上記第1のステージまたは第2のステージから上記さらなるステージへ運び、且つ、上記第1の流出口から排出される上記選定された粒子を運ぶための、前述の第1の手段を備える。好ましくは、回転流および/または渦流を発生させるための前述の手段は、前述の回転体から突出する複数のフィンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のある特定の態様に係るマイクロメトリック分離機の側方断面図である。
【
図2】
図1に示す分離機に接続された粉砕ステージの側方断面図である。
【
図3】
図1に示す分離機の第1の粉砕チャンバの側方断面図である。
【
図4】
図1に示す分離機の第2の粉砕チャンバの側方断面図である。
【
図5】
図1に示す分離機の第1の粉砕チャンバ内部における、第1の回転ディスクの内向面を示す上面図である。
【
図6】
図1に示す分離機の第2の粉砕チャンバ内部における、第2の回転ディスクの内向面を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明をより包含するために、非限定的な説明のために、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態が、以下に説明される。
【0024】
添付図面を概して参照して、本発明に係るマイクロメトリック分離機1は、特徴的な官能特性(特に、タンパク質の特徴)を有する有機基質を得る目的を有し、バイオマス2のマイクロメトリック微小化、および、その後の、粒子状に導入されたバイオマス2の最終的な選定を行うために構成されたタイプのものである。
【0025】
図1に示されているように、本発明のある特定の態様に係るマイクロメトリック分離機1は、マルチステージタイプの粉砕手段2、3と、粉砕されたバイオマス100のための選定手段4と、流動床として運ぶための第1の手段110とを備える。例えば第1の手段110は、好ましくは、吸込みまたは吹き出し気流を発生させるための装置と、分離機1の異なるステージ2、3、4を連結する、適切なダクトとから構成される。
【0026】
このような手段110は、搬送流体として代替的に不活性ガスを用い得るものであり、導入されたバイオマス100を継続して保持し、分離機1の種々のステージ2、3、4に沿ってバイオマス100を搬送するような流れ率および圧力を有する流体の流れを発生させるような方法で、形成される。
【0027】
まず、粉砕手段2、3に関して、特に
図2、
図3、および
図5に示されているように、本発明の好ましい実施形態によれば、粉砕手段2、3は、少なくとも一つの第1の粉砕ステージ2を備え、第1の粉砕ステージ2は、第1の粉砕チャンバ5から構成され、適当なケース10内に収容されている。粒子状のバイオマス2は、エントランス11から導入され、バイオマス2自身の間の相互衝突によって引き起こされる第1の粉砕工程に供される。ここで、バイオマス2の間の相互衝突は、主に、流動床内に生成された乱流によって引き起こされ、粉砕の後、バイオマス2は、対応する流出開口22から外へと流出する。
【0028】
バイオマス2の相互衝突によって引き起こされる粉砕工程が、本発明に係る分離機1によって得られるバイオマスの粉砕および選定プロセスの基本的な態様となっていることが理解されよう。何故ならば、通常は金属製である機械の外部面によって形成される圧縮、摩擦、または衝突によるバイオマス100の粉砕では、非常に高い純度、または十分な生産量の官能特性を有する有機基質を得ることができないからである。
【0029】
ここで説明されている分離機1のこのような第1の粉砕チャンバ5は、バイオマス100を運ぶ流動床において乱流を発生させるための突出部材9が設けられた第1の回転ディスク7と、回転ディスク7の前に配置され、流動床のための流入口6が設けられた、対応する対照体8と、ディスク7に対して実質放射状である、該流動床のための複数の流出開口22とによって、定義される。
【0030】
未だ述べてはいないが、ここで説明される本発明のある特定の実施形態においては、チャンバ5は、ケース10の内部に挿入され、対照体が、該チャンバ5に固定される。この実施形態においては、対照体は、軸方向の孔6を含む円形領域を有する円筒体の形状を有し、孔6は、粒子状のバイオマス100用の該チャンバ5への流入口として機能する。
【0031】
流動床用の粉砕チャンバ5への流入口6は、特に
図2に示されているように、前述したケース10のエントランス11と、連結チャンバを介して、流体的に連通している。そして、流入口6は、対照体8において、その通過領域が回転ディスク7の設置される平面と交わる(好ましくは直交する)軸を有するように、設けられている。
【0032】
特に
図3および
図5に示されているように、回転ディスク7は、水平面に設置され、適当なモータ手段によって、自身の垂直軸周りに回転駆動される、円形状の金属ディスクから構成されている。このような回転ディスク7は、チャンバ5の内部において理想的には回転ディスク7の表面の外縁部に沿って、実質円筒状の複数の突出体9を有する。この突出体9は、チャンバ5内で対照体8に向けて、該ディスク7の前にて対照体8の壁面にほぼ接触するまで延在している。このような円筒状体9間において、放射状の開口21が形成され、この開口21内にて、流動床が前述の流出開口22に向けて流出する。
【0033】
本稿において、水平方向に延びる回転ディスク7と、固定された対照体8が説明されているが、このような要素の他の如何なる配置および形状、ならびに、チャンバ5、およびチャンバ5の流入口と流出口の他の如何なる配置および形状も、回転ディスク7、対照体8、およびチャンバ5が添付の請求項1に準ずる限り、本発明にて請求される保護範囲に属するものであり、これにより、バイオマス100を運ぶ流動床において、バイオマス100自身の相互衝突によってバイオマスを粉砕可能な、適切な乱流を形成することができることに留意されたい。
【0034】
例えば、ここで示されていない本発明の代替的な実施形態において、対照体8は、ディスク、または他の回転要素から構成されてもよく、例えばディスク7(本体8も同様)は、水平ではない傾斜面上に設置されてもよく、また、チャンバ5に繋がる流動床用の流入口も、さらに設けられてもよい。
【0035】
同様に、以下に示すように、乱流を発生させるための部材9は、突出する円筒部材から選択されるのみならず、放射状、横方向、または周方向に延びる溝、フィン、リブ等から構成されてもよい。そして、これらは、回転ディスク7上に設けられるのみならず、対照体8上に設けられてもよい。
【0036】
また、単体の粉砕ステージ2は、粉砕チャンバ5内において、より多くの回転ディスクを有してもよく、対照体8は、チャンバ5の内部における適切な乱流の発生を確保する、如何なる適切な形状を有してもよい。
【0037】
特に
図4および
図6を参照して、本発明の好ましい実施形態によれば、前述した粉砕ステージ2の後には、第1の粉砕ステージ2に対して下流側に設置された第2の粉砕ステージ3が設けられている。第2の粉砕ステージ3は、第1の粉砕ステージ2と同様に、第2の粉砕チャンバ15を有している。この粉砕チャンバ15は、前述のケース10の内部に設置され、流入口16と、好ましくは放射状である流出開口23とを含む。そして、粉砕チャンバ15は、さらに、第2の回転ディスク17の前に配置された対照体18から構成され、第2の回転ディスク17は、チャンバ15を通過する流動床において乱流を発生させるための第2の部材19を含む。
【0038】
第1の粉砕チャンバ5と同様に、このような乱流は、ケース10の壁面、またはディスク17と対照体18の互いに対向する面に対してバイオマス100の粒子が衝突してしまうことを最小限に抑えつつ、バイオマス100の粒子を、さらなる粉砕のために互いに衝突させる目的を有する。
【0039】
第2の対照体18は、ここで示されている本発明のある特定の実施形態においては、円錐台形状を有する、貫通孔が設けられたディスクの形状を有しており、バイオマス100のチャンバ15への流入のための軸方向の孔16を画定している。ここで孔16は、ディスク17が設置された水平面に対して交わる(特に、実質的に直交する)軸を含む流入領域を有している。
【0040】
このようなバイオマス用の流入開口16は、
図2に示されているように、第1の粉砕ステージ2の第1のチャンバ5の流出開口22と、ダクト12によって、流体的に連通している。ダクト12は、バイオマス100が存在する流動床の通過を可能とし、最初に第1のチャンバ5にて粉砕された後に開口22から流出したバイオマス100自体を、第2の粉砕ステージ3の第2の粉砕チャンバ15に向けて運ぶためのコレクタとして機能する。
【0041】
第2の回転ディスク17は、モータ手段13によって自身の垂直軸周りに回転駆動される金属製の円形ディスクから構成され、上記と同様に、チャンバ16の内面上に、流動床に乱流を発生させるための第2の部材を有する。ここで、該第2の部材は、ここで説明される特定の実施形態においては、相互に寸法および配置の異なる、複数の分岐したダクト19から構成されている。これらの間の断面は、概して異なっており、あるダクトは放射状に延び、他のものは横方向に延び、他のものは閉鎖され、そして最後に、他のダクトは、ディスク17の外側端で外部に開口している。
【0042】
好ましくは、
図6に示されているように、ダクト19は、主に、一端が閉鎖されたより大きな領域を有する放射状ダクトと、放射状ダクトから分岐し、より小さな領域を有し、且つ、ディスク17の外側端に配置された自らの端部にて外部に開口する、横方向ダクトとから構成される。
【0043】
このような分岐ダクト19は、本発明の好ましい態様によれば、第2の回転ディスク17と、対応する対照体18の互いに対向する面との間の軸方向距離よりも大きな(軸方向)深さを有する。未だ述べてはいないが、ここで説明された本発明の実施形態においては、第1の粉砕ステージ2および第2のステージ3の双方とも、同じケース10の内部に収容されており、該ケース10は、装置と、特に相互衝突によって粉砕されるバイオマス100とを冷却する目的で、外気を該ケース10内へ流入および流出可能とするための気体流入口14を含む。
【0044】
粉砕工程に供されるバイオマスのための他の如何なる冷却手段も、本発明で請求される保護範囲から逸脱することなく、同様に用いられ得ることが、理解されるべきである。相互衝突による粉砕工程の間のバイオマス100の冷却は、高純度の有機基質を最終的に得るために、重要な要素となることが明らかとなった。
【0045】
ここでは示してはいないが、本発明のある特定の態様によれば、第1の回転ディスク7と、対応する対照体8の相互距離、および/または、第2の回転ディスク17と、対応する対照体18の相互距離を調整するための手段が設けられてもよい。これにより、対応する粉砕チャンバ5および15の寸法を修正することができる。本発明によれば、この構成により、分離機の最初の2つの粉砕ステージ2および3を、処理されるべき特定のタイプのバイオマス100に、容易に適応させることが可能となる。
【0046】
ここで説明した分離機1の最初の2つの粉砕ステージ2および3にて粉砕されたバイオマスは、チャンバ15の流出開口23から流出し、前述の流動床によって運ばれて、ケース10を対照ケース30に連結するダクト20内に流入する。対照ケース30は、垂直方向に延びる構造を有しており、該対照ケース30には、前述した分離機1の第3の分離(または選定)ステージ4が収容されている。
【0047】
このような分離ステージ4は、対照ケース30において、バイオマス100用の搬送用流動床に回転流および/または渦流を発生させるための手段と、分離機1のステージ2および3から移動する粒子のための流入口33と、該ステージ4内に流入し選定された粒子を流出させるための第1の流出口32とが設けられた回転体31を有する。このような流出口32、35は、好ましくは、回転体31の内部にて軸方向に設けられ、その上方および下方端部にて開口するダクト32を含む。そして、流出口32、35は、回転体31の上方端部にて、バイオマス100用の流動床によって、前述の第1の搬送手段110に連結される。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、分離機1の分離ステージ4は、バイオマス100の第1の流出口32、35を部分的に遮断するための、調整可能な要素34を有する。この調整可能な要素34は、第3のステージ4の流出口32、35の流出領域の寸法を選択するための手段を形成している。また、分離ステージ4は、選定されなかった粒子のための第2の流出口36を有し、この第2の流出口36は、前述の対照ケース30において、対照ケース30の下方端部に設けられている。このような第2の流出口36は、バイオマス100の選定されなかった粒子の流動床における第2の搬送手段120に、流体的に連結されている。第2の搬送手段120は、後述するように、第2の流出口36に到達した、このようなバイオマス100の選定されなかった粒子を、ケース10のエントランス11に再度運ぶように構成される。ここで、分離機1の2つの粉砕ステージ2、3は、ケース10に収容されており、これにより、バイオマス100の選定されなかった粒子は、第1の粉砕ステージ2のチャンバ5の第1の開口6に運ばれる。
【0049】
より具体的には、
図1に示す分離機の特定の実施形態においては、対照体30は、円筒状、または軸対称であるいずれかの形状のケースであり、前述の開口33は、実質接線方向に向けて開口している。また、本体31は、垂直軸に沿って軸方向に回転し、同様に軸対称の形状を有し、それぞれの
小径の端部で連結された2つの円錐台形状として形成される。前述した、ケース30内で回転流および/または渦流を発生させるための手段は、回転体31が設けられており、好ましくは、回転体31の外面から、該回転体31の軸に対して横方向に突出する、複数のフィンまたはリブ(図示せず)から構成されてもよい。
【0050】
前述した部分的に遮断する要素34は、ここで説明されている実施形態においては、準円錐体34から構成されている。この準円錐体34は、その基端部が回転体31の下方端部の前に位置するように配置されており、本稿では説明を省略する適切な手段によって、回転体31自身に対する準円錐体34の位置が、調整可能となっている。
【0051】
準円錐体34は、回転体31の下端部とともに、垂直ダクト32と流体的に連通する、選定された粒子のためのエントランス35を画定し、このエントランス35は、選定されたバイオマス100の粒子のための流出口を構成する。準円錐体34の位置調整によって、エントランスチャンバ35の寸法が明確に変化し、これにより、ダクト32から流出する粒子の寸法に対して相当の効果を与えつつ、該チャンバ35とダクト32とによって構成された流体回路によって決定される流体動抵抗が、変化することとなる。
【0052】
このことは、準円錐体34の位置を調整することにより、流出口32に到達すべきバイオマス100の粒子寸法を、実用上容易に調整することが可能となることを意味している。
【0053】
しかしながら、準円錐体34がない場合においても、下流側に設置された粉砕ステージにて粉砕されたバイオマス100の粒子に回転体31によって与えられる、実質サイクロン式の流れが、(流体搬送手段
110によって)流出口32を通って排出される粒子と、その他方として、対照ケース30内に残留し、第2の流体搬送手段120によって第2の開口36を通って排出されるべき粒子とを選定するものとして機能することが、理解されるべきである。
【0054】
したがって、分離機1の2つの粉砕ステージ2、3から流出したバイオマス100の粒子は、以下のような方法で、回転体31によって第3の分離ステージ4の内部で選定される。すなわち、高精細な寸法を有する粒子(限られた大きさの塊)は、手段110によって適宜生成された流体の流れによって、流出口32、35から排出される一方、粗い寸法を有する粒子(より大きな塊)は、ケース30内において第2の開口36に集められ、上記したように、第2の搬送手段120によって、該開口36から、分離機1の最初の2つの粉砕ステージ2、3内に、再度導入され得る。
【0055】
当業者が推測するように、分離機1には、バイオマス100を流動床において搬送するための第1の手段110および第2の搬送手段120の双方によって生成される流量、および/または圧力、および/または流速を調整するための(ここでは説明しない)手段が設けられてもよい。
【0056】
さらに、分離機1は、好ましくは互いに分離された形態で、ディスク7、17、および回転体31の回転速度を調整するための手段も有してもよい。
【0057】
前述の分離機の動作について、以下に説明する。
【0058】
バイオマス100は、第1の搬送手段110により生成される流動床によって粒子状に適宜運ばれ、第2の搬送手段120が関与した場合、ケース10のエントランス11、次いで流入口6を通過し、チャンバ5内に流れ込む。
【0059】
次いで、ディスク7と、対応する円筒状の本体9の回転によって、バイオマス100を搬送する流動床の内部において、乱流運動が発生する。その結果、該チャンバ5内に存在するバイオマス100の粒子の相互衝突が引き起こされる。
【0060】
バイオマス100の粒子間の相互衝突によって、分離器1の壁面のような外部材料によってバイオマス100に対して摩擦、衝突、または圧縮を行う機械的動作を必要とすることなく、粒子における最初の粉砕が可能となる。
【0061】
このように粉砕された粒子は、流出開口22から流出し、流体の流れにより、ダクト12と前述した第2の流入口16を通過して、第2の粉砕チャンバ15内に流れ込む。
【0062】
このチャンバ15においても、分岐溝19が設けられたディスク17の回転によって乱流が発生し、これにより、該チャンバ15内に運ばれて流体的に保持されたバイオマス
100の粒子の相互衝突を生じさせる。この相互衝突によって、これら粒子がさらに粉砕される。
【0063】
通気用気体流入口14により、相互衝突による粉砕工程の間に、該バイオマス100を冷却可能であることに留意されたい。
【0064】
第2の粉砕チャンバ15の流出開口23を介して流出するので、粉砕された粒子は、チューブ20および開口33を通って、分離ステージ4の垂直ケース30内へと運ばれる。
【0065】
横方向に突出するフィンを含む回転体31の回転によって、粒子の流動床において渦流運動が形成され、バイオマス100自身の粒子間においてさらなる衝突が引き起こされるが、回転体31の回転は、サイクロン運動を発生させるという主機能を発揮する。これにより、微小寸法を有する最軽量の粒子は、チャンバ35を通過して、流出ダクト32から、第3のステージ4の外部へと排出される。その一方で、より大きな寸法を有する最重量の粒子は、対照ケース30の底部の方向に向けて掛かる重力により、下方へと落ちていき、第2の流体搬送手段120によって、第2の流出口36を通って、対照ケース30の底部から最初の2つの粉砕ステージ2、3内に戻される。そして、これら粒子は、ケース10のエントランス11内に新たに導入される。
【0066】
出願人が検証したように、温度制御を伴った、バイオマス100の相互衝突による粉砕は、極高純度の官能特性を備えた、高精細な有機粒子(基質)の選定に繋がる。