特許第5960602号(P5960602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5960602ディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960602
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/022 20060101AFI20160719BHJP
   F02M 25/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   F02M25/022 T
   F02M25/00 K
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-540259(P2012-540259)
(86)(22)【出願日】2010年11月22日
(65)【公表番号】特表2013-511656(P2013-511656A)
(43)【公表日】2013年4月4日
(86)【国際出願番号】CN2010001863
(87)【国際公開番号】WO2011060622
(87)【国際公開日】20110526
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】200910109797.8
(32)【優先日】2009年11月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512134875
【氏名又は名称】フ ユ トゥ ケミカル テクノロジー (シェンチェン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン スイチュアン
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−079071(JP,A)
【文献】 実開平04−001650(JP,U)
【文献】 特開2008−309455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/022
F02M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムであって、
水と油水結合剤とを充分に混合した粘性油水を入れるための粘性油水タンクと、
粘性油水タンク及びディーゼル油タンクに接続された、粘性油水とディーゼル油とを混合して乳化油を得るための乳化油混合装置と、
ディーゼル油タンク、乳化油混合装置、エンジン油戻し管及び主油管にそれぞれ接続された二元燃料油戻し促進装置と、
主油管に設けられ、二元燃料油戻し促進装置と接続し、エンジン冷却水が流れて二元燃料油戻し促進装置からの乳化油を加熱する熱交換装置と、
ディーゼル油タンクと主油管の油流入端とを接続する第一浄化配管、及び主油管の油流出端と二元燃料油戻し促進装置とを接続する第二浄化配管と、
乳化油混合装置、二元燃料油戻し促進装置及び熱交換装置とそれぞれ通信接続し、エンジンにディーゼル油を供給するかエンジンに乳化油を供給するかを冷却水の温度に基づいて切り換えるために用いられ、ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになった後、ディーゼルエンジンを設定時間延長運転させるように制御し、ディーゼル油が副油管を介してエンジン内に流入して燃焼し、エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油を除去するように制御するとともに、主油管及び主油管に設けられた装置内の乳化油を除去するために、ディーゼル油が第一浄化配管、主油管及び第二浄化配管を順に流れるように制御する二元燃料管理装置と、
を備えることを特徴とするディーゼルエンジン乳化油生成促進システム。
【請求項2】
前記粘性油水タンク及びディーゼル油タンクと乳化油混合装置との間には、スタティックミキサが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム。
【請求項3】
前記乳化油混合装置は乳化油混合ドラムと、霧化装置と、液面センサとを備え、前記霧化装置と乳化油混合ドラムとは連通しており、液面センサは乳化油混合ドラム内に設けられ、前記霧化装置と液面センサとは、共に二元燃料管理装置と通信接続していることを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム。
【請求項4】
前記二元燃料油戻し促進装置は、二元燃料油戻し促進ドラムと、前記二元燃料油戻し促進ドラムに設けられた油戻し弁及び給油弁とを備え、前記油戻し弁の設置位置は前記給油弁の設置位置より高いことを特徴とする、請求項1に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム。
【請求項5】
ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法であって、
(1)ディーゼルエンジン始動スイッチがオンになると、副油管を介してディーゼル油タンクからディーゼルエンジンへディーゼル油を供給し、エンジンの回転数が安定した後、二元燃料管理装置が乳化油混合装置に乳化油を循環させて混合させるように制御するステップと、
(2)設定時間が経過すると、前記二元燃料管理装置が前記副油管の弁を閉じ、主油管の弁を開くように制御するステップと、
(3)ディーゼルエンジンの冷却水の温度を検出し、ディーゼルエンジンに乳化油を供給するかディーゼル油を供給するかを前記二元燃料管理装置が当該冷却水の温度に基づいて選択し、冷却水の温度が設定温度を上回る場合、前記二元燃料管理装置はディーゼルエンジンに乳化油を供給するように制御し、冷却水の温度が設定温度を下回る場合、前記二元燃料管理装置はディーゼルエンジンにディーゼル油を供給するように制御するステップと、
(4)主油管を介して乳化油をディーゼルエンジンに供給する前に、乳化油をディーゼルエンジンの冷却水により熱交換装置を介して加熱するステップと、
(5)ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになると、前記二元燃料管理装置が、ディーゼルエンジンを設定時間延長運転させるように制御し、且つ主油管の弁を閉じ、副油管の弁を開き、副油管を介してディーゼルエンジンにディーゼル油を供給し、該ディーゼル油がエンジン内に流入して燃焼し、エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油を除去するように制御するとともに、前記二元燃料管理装置が、ディーゼル油に主油管及び主油管に設けられた装置内の乳化油を除去させるように制御するステップと、
を備えることを特徴とするディーゼルエンジン乳化油生成促進方法。
【請求項6】
粘性油水とディーゼル油とは、スタティックミキサによって混合された後に前記乳化油混合装置へ流入することを特徴とする、請求項5に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進方法。
【請求項7】
前記乳化油混合装置はディーゼルエンジンの燃料所要量に応じてリアルタイムで乳化油を生成することを特徴とする、請求項5に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進方法。
【請求項8】
前記ディーゼルエンジンの燃料所要量に応じたリアルタイムでの乳化油の生成は、
(1)粘性油水とディーゼル油とがスタティックミキサで混合された後に乳化油混合ドラムへ流入するように、前記二元燃料管理装置が制御するステップと、
(2)乳化油混合ドラム内に流入した乳化油が、霧化装置の駆動により循環して霧化するステップと、
(3)前記乳化油混合ドラム内の液面センサが液位情報を検出して前記二元燃料管理装置に送信し、生成した乳化油が設定した高液位に達した場合、前記二元燃料管理装置は粘性油水タンク内の粘性油水とディーゼル油タンク内のディーゼル油とが前記乳化油混合ドラムへ流入するのを停止するように制御し、生成した乳化油が設定した低液位に達した場合、前記二元燃料管理装置は粘性油水タンク内の粘性油水とディーゼル油タンク内のディーゼル油とが前記乳化油混合ドラムへ流入するように制御するとともに、前記霧化装置は一定時間延長してから動作を停止するステップと、
を備えることを特徴とする、請求項7に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進方法。
【請求項9】
前記ディーゼル油タンク、前記乳化油混合装置、エンジン油戻し管及び前記主油管にそれぞれ接続された二元燃料油戻し促進ドラムを有する二元燃料油戻し促進装置を備え、
前記二元燃料油戻し促進装置の二元燃料油戻し促進ドラム内には、油戻し弁と給油弁とが設けられ、前記油戻し弁の設置位置は前記給油弁の設置位置より高く、前記油戻し弁と給油弁とには共にボールタップが用いられ、前記二元燃料油戻し促進ドラム内の液位が給油弁より低くなると、給油弁が開き、前記二元燃料油戻し促進ドラムに乳化油又はディーゼル油を供給し、前記二元燃料油戻し促進ドラム内の液位が給油弁より高くなると、給油弁が閉じ、二元燃料油戻し促進ドラムへの乳化油又はディーゼル油の供給を停止することを特徴とする、請求項5に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進方法。
【請求項10】
ディーゼルエンジン乳化油生成促進システム内に、
(1)前記乳化油混合装置が故障した場合、
(2)エンジン冷却水の温度が設定温度を下回る場合、
(3)粘性油水を入れる粘性油水タンクの液位が設定液位以下である場合、及び
(4)ディーゼル油タンクの液位が設定液位以下である場合
のうちの1種類以上が発生すると、前記二元燃料管理装置は主油管を介してディーゼルエンジンにディーゼル油を供給するように制御することを特徴とする、請求項6に記載のディーゼルエンジン乳化油生成促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの技術分野に関し、ディーゼル油も乳化油も燃焼でき、各種のディーゼルエンジンやボイラーの分野に用いることのできるディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
乳化油は省エネルギーで排出量を削減できる環境に優しい燃料であり、燃料を節約するとともに二酸化炭素の放出を低減することができ、広く用いられている。従来の乳化油には多数の種類があるが、使用中には以下の問題があった。即ち、一、乳化油は貯蔵中の性状が不安定で、複数の層に分離して品質や濃度が不均一になりやすい。二、乳化油が燃焼して生み出す動力は不十分で、現時点の研究報告において、乳化油の含水量が多いほど動力が低くなることが証明されている。三、乳化油は粘度が高すぎる。四、エンジンのアイドリングが不安定になる。五、エンジンにおいて乳化油を使用した後、ディーゼル油に交換するのに手間がかかる。例えば、中国特許第03227816.0号に開示された「ディーゼル油乳化装置」は、使用する油を選べるだけであって、油流路の変更はできない。六、乳化油は販売網が普及しておらず、ブランドが違えば品質も異なり、混合して使用することができない。七、現在のところ、乳化油は使用しているユーザーが少なくて普及しておらず、ごく一部の市内バス、遠洋船舶、ボイラー、発電所でしか用いられていない。八、現在のところ、エンジンにはディーゼル油と乳化油との完全な二元燃料システムがない。例えば、中国特許出願第200820089521.9号に開示された「ディーゼルエンジン乳化油ディーゼル油二元燃料給油システム」は、戻り油の問題を完全には解決しておらず、当該システムの戻り油には空気とディーゼル油又は乳化油とが含まれ、これが全て乳化油タンク又はディーゼル油タンクに戻るとタンク内の燃料の品質が変わってしまうため、実際には使用できない。もし油戻しドラムを別に1つ設けると、使用するのが二元燃料であるため、油戻しドラムが同一の時間にディーゼル油タンク又は乳化油タンクと互いに連通してしまい、各容器内の液面が水平になるように戻り油がディーゼル油又は乳化油と互いに入り混じってしまう。九、現在のところ、乳化油の生産はコストが高く、原料中のディーゼル油の価格も不安定で、且つ、乳化油の販売はフランチャイズ制となっている。十、エンジンに乳化油を使うと、起動が困難である。以上の問題を解決することが、ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムの研究開発及び製造においての重要な任務になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における不十分な点を回避するためにディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法を提供し、元のエンジンを変えることなく、それをディーゼル油と乳化油との二元燃料エンジンに変えることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、次のようにして実現することができる。
【0005】
即ち、ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムであって、
水と油水結合剤とを充分に混合した粘性油水を入れるための粘性油水タンクと、
粘性油水タンク及びディーゼル油タンクに接続された、粘性油水とディーゼル油とを混合して乳化油を得るための乳化油混合装置と、
ディーゼル油タンク、乳化油混合装置、エンジン油戻し管及び主油管にそれぞれ接続された二元燃料油戻し促進装置と、
主油管に設けられ、二元燃料油戻し促進装置と接続し、エンジン冷却水が流れて二元燃料油戻し促進装置からの乳化油を加熱する熱交換装置と、
ディーゼル油タンクと主油管の油流入端とを接続する第一浄化配管、及び主油管の油流出端と二元燃料油戻し促進装置とを接続する第二浄化配管と、
乳化油混合装置、二元燃料油戻し促進装置及び熱交換装置とそれぞれ通信接続し、エンジンにディーゼル油を供給するかエンジンに乳化油を供給するかを冷却水の温度に基づいて切り換えるために用いられ、ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになった後、ディーゼルエンジンを設定時間延長運転させるように制御し、ディーゼル油が副油管を介してエンジン内に流入して燃焼し、エンジン内の乳化油、すなわち、エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油を除去するように制御するとともに、主油管及び主油管に設けられた装置内の乳化油を除去するために、ディーゼル油が第一浄化配管、主油管及び第二浄化配管を順に流れるように制御する二元燃料管理装置と、
を備えるディーゼルエンジン乳化油生成促進システムを設計、製造する。
【0006】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムは、さらに次の特徴を有する。即ち、前記粘性油水タンク及びディーゼル油タンクと乳化油混合装置との間には、スタティックミキサが設けられている。
【0007】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムは、さらに次の特徴を有する。即ち、前記乳化油混合装置は乳化油混合ドラムと、霧化装置と、液面センサとを備え、前記霧化装置と乳化油混合ドラムとは連通しており、液面センサは乳化油混合ドラム内に設けられ、前記霧化装置と液面センサとは、共に二元燃料供給制御装置と通信接続している。
【0008】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムは、さらに次の特徴を有する。即ち、前記二元燃料油戻し促進装置は、二元燃料油戻し促進ドラムと、前記二元燃料油戻し促進ドラムに設けられた油戻し弁及び給油弁とを備え、前記油戻し弁の設置位置は前記給油弁の設置位置より高い。
【0009】
また、本発明は、ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法であって、
ディーゼルエンジン始動スイッチがオンになると、副油管を介してディーゼル油タンクからディーゼルエンジンへディーゼル油を供給し、エンジンの回転数が安定した後、二元燃料管理装置が乳化油混合装置に乳化油を循環させて混合させるように制御するステップと、
設定時間が経過すると、前記二元燃料管理装置が前記副油管の弁を閉じ、主油管の弁を開くように制御するステップと、
ディーゼルエンジンの冷却水の温度を検出し、ディーゼルエンジンに乳化油を供給するかディーゼル油を供給するかを前記二元燃料管理装置が当該冷却水の温度に基づいて選択し、冷却水の温度が設定温度を上回る場合、前記二元燃料管理装置はディーゼルエンジンに乳化油を供給するように制御し、冷却水の温度が設定温度を下回る場合、前記二元燃料管理装置はディーゼルエンジンにディーゼル油を供給するように制御するステップと、
主油管を介して乳化油をディーゼルエンジンに供給する前に、乳化油をディーゼルエンジンの冷却水により熱交換装置を介して加熱するステップと、
ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになると、前記二元燃料管理装置が、ディーゼルエンジンを設定時間延長運転させるように制御し、且つ主油管の弁を閉じ、副油管の弁を開き、副油管を介してディーゼルエンジンにディーゼル油を供給し、該ディーゼル油がエンジン内に流入して燃焼し、エンジン内の乳化油、すなわち、エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油を除去するように制御するとともに、前記二元燃料管理装置が、ディーゼル油に主油管及び主油管に設けられた装置内の乳化油を除去させるように制御するステップと、
を備えることを特徴とするディーゼルエンジン乳化油生成促進方法を提供する。
【0010】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法は、さらに次の特徴を有する。即ち、粘性油水とディーゼル油とは、スタティックミキサによって混合された後に前記乳化油混合装置へ流入する。
【0011】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法は、さらに次の特徴を有する。即ち、前記乳化油混合装置はディーゼルエンジンの燃料所要量に応じてリアルタイムで乳化油を生成する。
【0012】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法は、さらに次の特徴を有する。即ち、リアルタイムでの乳化油の生成は、
粘性油水とディーゼル油とが比率に従ってスタティックミキサで混合された後に乳化油混合ドラムへ流入するように、前記二元燃料管理装置が制御するステップと、
乳化油混合ドラム内に流入した乳化油が、霧化装置の駆動により循環して霧化するステップと、
前記乳化油混合ドラム内の液面センサが液位情報を検出して前記二元燃料管理装置に送信し、生成した乳化油が設定した高液位に達した場合、前記二元燃料管理装置は粘性油水タンク内の粘性油水とディーゼル油タンク内のディーゼル油とが前記乳化油混合ドラムへ流入するのを停止するように制御し、生成した乳化油が設定した低液位に達した場合、前記二元燃料管理装置は粘性油水タンク内の粘性油水とディーゼル油タンク内のディーゼル油とが前記乳化油混合ドラムへ流入するように制御するとともに、前記霧化装置は一定時間延長してから動作を停止するステップと、
を備える。
【0013】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法は、さらに次の特徴を有する。即ち、前記ディーゼル油タンク、前記乳化油混合装置、エンジン油戻し管及び前記主油管にそれぞれ接続された二元燃料油戻し促進ドラムを有する二元燃料油戻し促進装置を備え、前記二元燃料油戻し促進装置の二元燃料油戻し促進ドラム内には、油戻し弁と給油弁とが設けられ、前記油戻し弁の設置位置は前記給油弁の設置位置より高く、前記油戻し弁と給油弁とには共にボールタップが用いられ、前記二元燃料油戻し促進ドラム内の液位が給油弁より低くなると、給油弁が開き、前記二元燃料油戻し促進ドラムに乳化油又はディーゼル油を供給し、前記二元燃料油戻し促進ドラム内の液位が給油弁より高くなると、給油弁が閉じ、二元燃料油戻し促進ドラムへの乳化油又はディーゼル油の供給を停止する。
【0014】
前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進方法は、さらに次の特徴を有する。即ち、ディーゼルエンジン乳化油生成促進システム内に、
(1)前記乳化油混合装置が故障した場合、
(2)エンジン冷却水の温度が設定温度を下回る場合、
(3)粘性油水を入れる粘性油水タンクの液位が設定液位以下である場合、及び
(4)ディーゼル油タンクの液位が設定液位以下である場合
のうちの1種類以上が発生すると、前記二元燃料管理装置は主油管を介してディーゼルエンジンにディーゼル油を供給するように制御する。
【発明の効果】
【0015】
従来の技術と比較して、本発明の技術的効果は以下の点にある。即ち、用いる乳化油の含水量が33%にも達し、且つ、ディーゼルエンジンの動力は基本的に変わらず、省エネルギー及び排出量削減の目的を達成でき、また、エンジンの起動が容易で、運転が安定しており、乳化油という環境に優しい燃料の普及や使用を現実化し、極めて大きな商業的価値を有するという点である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法の模式図である。
図2】前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムの乳化油混合装置の模式図である。
図3】前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムの二元燃料油戻し促進装置の模式図である。
図4】前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムの熱交換装置の模式図である。
図5】前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムの乳化ディーゼル油浄化配管の模式図である。
図6】前記ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムの二元燃料管理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態についてさらに詳述する。
【0018】
本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法は、図1〜6に示す通り、以下のものを備えている。
【0019】
即ち、本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法は、乳化油混合装置を備えている。当該乳化油混合装置は、比率に従い粘性油水とディーゼル油とを用いてミキサで連続的に乳化油を生産し、エンジンに供給するためのものである。粘性油水は、油水結合剤と水とを1:(40〜90)の体積比で充分に混合してなる溶剤であり、あらかじめ調製した粘性油水はいかなるディーゼル油とも迅速に混合することが可能で、品質の安定した均質な乳化油を生産することができ、それによって生成促進システム全体の機器を小型化且つ精密化することが可能である。その中で、油水結合剤は界面活性剤の一種であり、米LUBRIZOL社製又は伊GECAM社製の油水結合剤を用いることができる。図2及び図6に示す通り、ディーゼルエンジン始動スイッチがオンになり、回転数が安定した後、二元燃料管理装置の制御によって電磁弁8を開くとともに霧化ポンプ24を起動させると、ドラム内の乳化油が霧化ポンプ入口40から流れ出て、霧化ポンプ24を通って霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。また、乳化油混合ドラム内の乳化油は電磁弁8、霧化ポンプ24を流れて霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。設定時間が経過すると、霧化ポンプ24は動作を停止し、電磁弁8が閉じられる。このようにする目的は、ドラム内の乳化油を均質化することにある。ディーゼルエンジン始動スイッチがオンになった後の設定時間において、電磁弁6は常に閉じられている。冷却水の温度が設定温度に達したことを冷却水温度センサ49が検知すると、電磁弁1を開いて自動圧力スイッチポンプ25をオンにし、電磁弁3を閉じ、乳化油の供給を開始する。乳化油は乳化油混合ドラム18、電磁弁1及び自動圧力スイッチポンプ25を流れて次の装置に流入する。乳化油混合ドラム18内の油の量は液面センサ34で検出し、低液位に達すると、二元燃料管理装置におけるプログラミング可能型コントローラが、動作を開始するように制御する。当該動作の第1のステップは、比率に従って油を配合し、混合することである。粘性油水とディーゼル油との体積比は1:(1.5〜3)とする。粘性油水は粘性油水タンク30から流れ出て、フィルタ11、流量計28、手動流量弁37、電磁弁9、油配合ポンプ22及び逆止弁50を通過する。ディーゼル油はディーゼル油タンク31から流れ出て、フィルタ12、手動流量弁38、流量計29、電動流量弁39、電磁弁10、油配合ポンプ23及び逆止弁51を通過する。粘性油水及びディーゼル油は、スタティックミキサ20によって混合された後、噴射ヘッド35を通って乳化油混合ドラム18に入る。第2のステップは、霧化動作によって乳化油の粒子を細かくし、さらに均質なものにすることである。霧化ポンプ24を起動させると、乳化油混合ドラム18内の乳化油が霧化ポンプ入口40から流れ出て、霧化ポンプ24を流れ乳化油霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。ドラム内の乳化油が液面センサ34で検知する高液位に達したら油の配合を停止し、設定時間経過後に霧化ポンプ24の動作を停止させる。当該乳化油混合ドラムの低液位は、ドラム壁面下部の約3分の1の位置に設定され、乳化油循環出口は低液面センサより低い位置にある。ドラム天井部には、排気ボールタップ41と、各配管のメンテナンス口とが設けられている。上記の乳化油混合装置を用いると、以下の効果が得られる。即ち、1.粘性油水の生産工程が簡単なものになり、品質管理をしやすく、産業上の利用推進が容易になり、粘性油水を一般的な商品にして販売網を普及させることができる。2.品質の安定した乳化油を短時間で生産することができる。3.乳化油混合ドラムの上半分で乳化油を混合し、下半分で乳化油を貯蔵及び供給するため、生成促進機器を小型化及び精密化でき、普及促進に役立つ。
【0020】
また、本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法は、二元燃料油戻し促進装置を備えている。図3及び図6に示す通り、エンジンの戻り油は二元燃料油戻し促進ドラムに入る。2つのボールタップ又は電磁弁が、戻り油を乳化油混合ドラム及びディーゼル油タンクから隔離し、戻り油の流入を回避し、乳化油及びディーゼル油の品質を保障するとともに、両容器内の液体が互いに混ざり合うのを回避し、戻り油に含まれる空気を排出する。図3に示す通り、ディーゼル油乳化油二元燃料エンジンの戻り油には空気並びにディーゼル油又は乳化油が含まれ、エンジン油戻し管46を介して油戻し弁43を通過し、二元燃料油戻し促進ドラム19に流入する。戻り油に含まれる空気は排気ボールタップ42によって排出され、戻り油は続いて主油管47に流入する。燃料は給油弁44によって供給を制御されている。制御は主に2つの弁によって行う。即ち、給油弁44は燃料の補充を制御し、油戻し弁43は戻り油の導入に用いられる。油戻し弁43の設置位置は給油弁44の設置位置より高く、油戻し配管と給油配管とを分けており、且つ戻り油を優先的に流出させて燃焼させる。二元燃料油戻し促進器19内の油の量が少ないとき、給油弁44が開かれ、自動圧力スイッチポンプ25が起動して、燃料を導入する。また、二元燃料油戻し促進器19内の油面が給油弁44より高くなると、給油弁44が閉じられ、油戻し配管と給油配管とが隔離され、自動圧力スイッチポンプ25が動作を停止する。二元燃料油戻し促進装置は、戻り油に含まれる空気を排出し、戻り油を優先的に使用した後にディーゼル油又は乳化油を補充するため、以下の効果を有している。即ち、1.戻り油がディーゼル油タンク及び乳化油混合ドラムに流入することを回避し、戻り油と燃料とが互いに混ざり合うことによる燃料の品質低下を防ぐことができる。2.各容器内の液面が水平になるように各容器内の液体が互いに混ざり合ってしまうのを回避できる。3.戻り油に含まれる空気を排出することができる。4.自動圧力スイッチポンプは圧力によって給油するため、乳化油混合ドラム及び二元燃料油戻し促進器の設置の面で融通がきく。
【0021】
また、本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法は、熱交換装置を備えている。当該熱交換装置は、冷却水におけるエンジンによって発生した廃熱を排出し、当該熱交換器によって乳化油の含水量及び乳化油の温度を高め、乳化油の粘度を低くするのに用いられる。エンジンによって発生した熱は冷却水によってラジエータを介して排出される。冷却水の温度はサーモスタット及びラジエータにより、摂氏80度前後に制御され、利用する冷却水の熱エネルギが安全で環境に優しいようにしている。図4に示す通り、ディーゼルエンジン始動スイッチがオンになるとき、二元燃料管理装置の制御によって電磁弁7が閉じ、電磁弁2が開いて副油管45を介しディーゼル油を供給する。例えば1分の設定時間が経過した後、電磁弁2が閉じ、電磁弁7が開き、主油管47を介して燃料を供給する。そして、水温が設定温度より高くなっていることをエンジン冷却水温度センサが検知すると、乳化油の供給を開始し、乳化油は熱交換器21で加熱された後、主油管47、フィルタ13、電磁弁7、送油ポンプ26及びエンジン送油ポンプ27を介してエンジンに供給される。当該熱交換装置を用いると、以下の効果が得られる。即ち、1.乳化油の粘度が低くなり、噴霧の質が向上し、充分に燃焼させるのに都合がよくなる。2.乳化油の含水量が上がる。3.乳化油の給油量が増える。4.乳化油が生み出す動力をディーゼル油が生み出す動力に近づけられる。5.エンジンが乳化油を用いる際のアイドリングが安定する。
【0022】
また、本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法は、浄化配管を備えている。当該浄化配管は、装置停止時にディーゼル油によって油流路及びエンジン内の乳化油を除去し、乳化油がエンジンの高圧ポンプや噴射ヘッドにおいて水分を分離して部品を傷めることを避けるためのものである。また、当該浄化配管は、エンジンがディーゼル油を使用した際に正常に起動することを保障している。図5に示す通り、当該浄化配管のシステムは2本の経路に分かれ、ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになると、二元燃料管理システム内の定時継電器によってエンジン延長運転設定時間を設定し、このとき浄化動作を開始する。第1の経路における電磁弁2を開き、電磁弁7を閉じ、ディーゼル油はディーゼル油タンク31から副油管45、フィルタ14及びエンジン送油ポンプ27を介しエンジン内に流入して燃焼し、エンジン内の乳化油(エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油)及び送油ポンプ26出口からエンジン送油ポンプ27までの配管内の乳化油を除去する。もう一方の経路においては、電磁弁3、4、5が開かれ、電磁弁1、6が閉じられて、ディーゼル油はディーゼル油タンク31からフィルタ15、電磁弁3、自動圧力スイッチポンプ25、浄化配管48、電磁弁4、熱交換器21、フィルタ13及び電磁弁5を介して二元燃料油戻し促進器19に流入し、主油管内の乳化油を除去する。逆止弁17は、ディーゼル油が主油管から二元燃料油戻し促進器19へ逆流するのを回避している。ディーゼル油によってエンジン及び主油管を浄化すると、以下の効果が得られる。即ち、1.乳化油から分離した水分がエンジンの部品を傷めることを防止できる。2.エンジンがディーゼル油を使用する際、より起動しやすくなる。3.主油管内にディーゼル油が流れており、エンジン起動後の運転に便利である。
【0023】
また、本発明のディーゼルエンジン乳化油生成促進システム及び方法は、二元燃料管理装置を備えている。当該二元燃料管理装置は、ディーゼルエンジン乳化油生成促進システム全体が協調して秩序だった運転を行うように制御し、乳化油とディーゼル油とをスムーズに入れ替え、ディーゼル油と乳化油とを用いるというエンジンの二元燃料に対するニーズを満たすとともに、エンジンの正常な運転を保障するためのものである。図1及び図6に示す通り、ディーゼルエンジンが起動するときには、二元燃料管理装置の制御により、まず副油管を介してディーゼル油を供給する。回転数が安定した後、ディーゼルエンジン乳化油生成促進装置が動作の準備を始める。電磁弁8を開くとともに霧化ポンプ24を起動させると、ドラム内の乳化油は霧化ポンプ入口40から流れ出て、霧化ポンプ24を流れ霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。乳化油給油管内の乳化油は乳化油起動循環管から電磁弁8及び霧化ポンプ24を流れて霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。設定時間経過後、ポンプ24は動作を停止し、電磁弁8が閉じられる。エンジンが起動して設定時間が経過すると、主油管による給油に切り換えられる。冷却水の温度が設定温度に達したことをエンジン冷却水温度センサが検知すると、二元燃料管理装置の制御によって、乳化油の供給に切り換えられる。冷却水の温度が設定温度を下回ることをエンジン冷却水温度センサが検知すると、二元燃料管理装置の制御によって、ディーゼル油の供給に切り換えられる。乳化油混合装置においては、流量弁、流量計、ポンプへの管理制御により、設定した比率の基準に従って粘性油水とディーゼル油とが混合される。ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになるとき、エンジンがさらに運転すべき設定時間をプログラミング可能型コントローラによって設定する。このとき、浄化動作も開始し、ディーゼル油で油流路及びエンジン内の乳化油(エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油)を除去する。システムにおける電子機器が以下の情報をフィードバックされたとき、エンジンの正常な運転を保障するため、二元燃料管理システムは状況に応じて優先的にディーゼル油を供給する。その情報とは、(1)前記乳化油混合装置が故障した場合、(2)エンジン冷却水の温度が設定温度を下回る場合、(3)粘性油水を入れる粘性油水タンクの液位が設定液位以下である場合、又は(4)ディーゼル油タンクの液位が設定液位以下である場合、である。上記の二元燃料管理装置を用いると、以下の効果が得られる。即ち、1.乳化油生成促進システム全体を協調させて制御することができる。2.エンジン起動時はディーゼル油を用い、タイミングを見て乳化油に切り換えるというように、ディーゼル油と乳化油との切り替えを制御できる。また、機械をオフにするとき、ディーゼル油でエンジン及び油流路内の乳化油を除去できる。3.ひとたびシステムに故障が起これば、優先的にディーゼル油を供給できる。
【0024】
本発明に係るシステムは、例えば米カミンズ社(Cummins Inc.)製の400馬力の直列6気筒ディーゼルエンジンに取り付けられ、例えば造船所での電気溶接に用いられる。ディーゼルエンジンが起動するとき、まず副油管によってディーゼル油を供給する。そして、電磁弁2が開かれ、電磁弁7が閉じられ、ディーゼル油は副油管、フィルタ及びエンジン送油ポンプを流れてエンジンに流入する。回転数が安定した後、ディーゼルエンジン乳化油生成促進システムが動作を開始する。二元燃料管理装置の制御によって、電磁弁8が開かれるとともに、霧化ポンプ24が起動される。ドラム内の乳化油は、霧化ポンプ入口40から流れ出て、霧化ポンプ24を流れ霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。乳化油給油管内の乳化油は、乳化油起動循環管から電磁弁8及び霧化ポンプ24を流れ霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。2分後に霧化ポンプ24は動作を停止し、電磁弁8が閉じられる。エンジンは、1分間動作した後に主油管による給油に切り替わり、電磁弁3、6、7を開き、電磁弁1、2、4、5を閉じる。ディーゼル油は、フィルタ、自動圧力スイッチポンプ、主油管、二元燃料油戻し促進ドラム、熱交換器、送油ポンプ及びエンジン送油ポンプを流れてエンジンへ流入する。水温が60度に達したことをエンジン冷却水温度センサが検知すると、二元燃料管理装置の制御により、乳化油の供給に切り替わる。電磁弁1を開いて自動圧力スイッチポンプ25をオンにし、電磁弁3を閉じて、乳化油の供給を開始する。乳化油は乳化油混合ドラム18、電磁弁1及び自動圧力スイッチポンプ25を流れて次の装置へ流入する。乳化油混合ドラム18内の油の量は液面センサ34によって検出され、低液位に達すると、二元燃料管理装置におけるプログラミング可能型コントローラが、油の配合を開始するように制御する。粘性油水とディーゼル油との体積比は1:2とする。粘性油水は粘性油水タンク30から流れ出て、フィルタ11、流量計28、手動流量弁37、電磁弁9、油配合ポンプ22及び逆止弁50を通過する。ディーゼル油はディーゼル油タンク31から流れ出て、フィルタ12、手動流量弁38、流量計29、電動流量弁39、電磁弁10、油配合ポンプ23及び逆止弁51を通過する。粘性油水及びディーゼル油は、スタティックミキサ20によって混合された後、噴射ヘッド35を通って乳化油混合ドラム18に入る。それとともに霧化ポンプ24を起動させると、ドラム内の乳化油が霧化ポンプ入口40から流れ出て、霧化ポンプ24を流れ乳化油霧化噴射ヘッド36に至り、ドラム内に噴射される。2種類の液体を充分に混合する。ドラム内の乳化油が液面センサ34で検知される高液位に達したらすぐに油の配合を停止し、2分後に電磁弁8を閉じて、霧化ポンプ24の動作を停止させる。エンジンの戻り油は、エンジン油戻し管を流れて油戻し弁を通過し、二元燃料油戻し促進ドラムへ流入する。戻り油に含まれる空気は排気ボールタップを介して排出され、戻り油は引き続き主油管に流入する。燃料は給油弁によって給油を制御される。戻り油が少ないとき、給油弁が開かれ、燃料が導入される。ディーゼルエンジン始動スイッチがオフになるとき、二元燃料管理装置内の定時継電器を介してエンジンにあと1分間延長運転させるように設定し、このとき浄化動作を開始する。第1の経路においては、電磁弁2が開かれ、電磁弁7が閉じられ、ディーゼル油はディーゼル油タンク31から副油管45、フィルタ14及びエンジン送油ポンプ27を流れ、エンジン内に流入して燃焼し、エンジン内の乳化油、すなわち、エンジンの高圧ポンプ及び噴射ヘッドの乳化油及び送油ポンプ26出口からエンジン送油ポンプ27までの配管内の乳化油を除去する。もう一方の経路においては、電磁弁3、4、5が開かれ、電磁弁1、6が閉じられて、ディーゼル油はディーゼル油タンク31からフィルタ15、電磁弁3、自動圧力スイッチポンプ25、浄化配管48、電磁弁4、熱交換器21、フィルタ13及び電磁弁5を流れて二元燃料油戻し促進ドラム19に流入し、主油管内の乳化油を除去する。そして、1分後に全て停止する。逆止弁17は、ディーゼル油が主油管から二元燃料油戻し促進器19へ逆流するのを回避している。再び始動すると、エンジンは正常に起動し、以上の動作手順を繰り返す。以上の容器及び配管は全てステンレス製であり、高圧に耐えることができ、配管はホースである。全ての継手はワンタッチ挿入式の継手である。プロセス全体において、乳化油とディーゼル油とは自動的且つスムーズに切り替わり、エンジンの運転も正常で、回転数は1500rpmに保たれる。乳化油の含水量が33%にも達するので、省エネルギー及び排出量削減の目的を達成している。また、ディーゼルエンジンが乳化油とディーゼル油との二元燃料を使用する際に存在する、技術上及び市場での普及促進上の全ての問題を解決しており、乳化油という環境に優しい燃料の普及や使用を現実化し、極めて大きな商業的価値を有している。
図1
図2
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図4
図5
図6