【実施例】
【0014】
特に記載のない限り、全ての試薬はSigma−Aldrich Company,St.Louis,Missouriから得られ若しくは入手可能であるが、既知の方法で合成してもよい。特に報告のない限り、全ての比は、重量パーセント基準である。
【0015】
次の略称は、実施例を説明するために使用される。
【0016】
【表1】
【0017】
BDOは、Alfa Aesar,Ward Hill,Massachusettsから得られる1,4−ブタンジオールを指す。
【0018】
DBTDLは、Air Products & Chemicals,Inc.,Allentown,Pennsylvaniaから商標名「DABCO T−12」で得られるジブチルスズジラウレートを指す。
【0019】
IPDIは、Evonik Industries,Essen,Germanyから商標名「VESTANAT IPDI」で得られるイソホロンジイソシアネートを指す。
【0020】
N2329は、150℃炉内にて30分間乾燥することにより測定された場合の40%固形分で与えられ、Nalco Company,Naperville,Illinois.から商標名「NALCO 2329」で得られる70〜150nmの平均粒径を有する水性コロイダルシリカゾルを指す。
【0021】
PPT 8542HSは、3M Company,St.Paul,Minnesotaから商標名「PPT 8542HS」で得られるポリウレタン保護テープを指す。
【0022】
PPT 8663 MB HSは、3M Companyから商標名「PPT 8663MB HS」で得られるポリウレタン保護テープを指す。
【0023】
PPT 8671HSは、3M Companyから商標名「PPT 8671HS」で得られるポリウレタン保護テープを指す。
【0024】
PTMEGは、Invista S.ar.L.,Wichita,Kansasから商標名「TERATHANE 1000」で得られる、平気分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを指す。
【0025】
TEPSは、Sigma−Aldrich Company,St.Louis,Missouriから得られるn−トリエトキシプロピルシランを指す。
【0026】
TESPIは、Sigma−Aldrich Companyから得られる3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネートを指す。
【0027】
TONE 2221は、Dow Chemical Company,Midland,Michiganから商標名「TONE 2221」で得られる低粘度の線状ポリカプロラクトンポリオールを指す。
【0028】
TX10693は、150℃炉内にて30分間乾燥することにより測定された場合の32.5%固形分で与えられ、Nalco Company,Naperville,Illinoisから商標名「TX10693」で得られる90nmの水性シリカゾルを指す。
【0029】
熱重量分析(TGA)
以下のシリカ−シラン分散液のシリカ含有率を、TGAにより測定した。分散液のサンプル約20mgを、白金TGA皿内に入れた。この皿を、熱重量分析計、TA Instruments,Inc.,New Castle,Delaware製のモデル「Q500」内に装填し、空気パージ中にて速度20℃/分で30℃から900℃へ徐々に昇温させた。残留した不燃性材料の重量パーセントは、シリカ−シラン分散液中の全シリカの重量パーセントとして報告する。
【0030】
シリカ−シラン分散液:
PTMEG 80グラムを乾燥酢酸エチル35グラムに70°F(21.1℃)で溶解し、ここにTESPI 9.9グラムをゆっくり加えた。次いで、DBTDLを4滴加え、混合物を16時間撹拌し続ける間、温度を40℃未満に保った。次いで、65℃の油浴内にセットしたビュッヒ回転蒸発器(Buchi rotoevaporator)を使用して真空蒸留することにより、残留酢酸エチルを除去した。混合物のシラン当量は、2250g/molと計算された。次いで、シラン混合物57.1グラムを1−メトキシ−2−プロパノール1,500グラム及びTEPS 1.75グラムと混合することによりプレミックスを調製した。
【0031】
オーバーヘッドスターラー、温度計及び凝縮器を備えた3口フラスコに、TX10693 750グラムを加えた。撹拌しながら、プレミックスを10分間かけてゆっくり添加し、混合物を90〜95℃で20時間保った。冷却後、混合物をアルミニウム箔皿内に注ぎ、70°F(21.1℃)で48時間乾燥した。結果として得られた白色シリカ−シラン粉末のシリカ含有率は、TGAにより85.5重量%と決定された。
【0032】
乾燥シリカ−シラン粉末290グラムを、出力75%にセットした、Silverson Machines,Inc.,East Longmeadow,Massachusettsから得た高速せん断ミキサー、モデル「L4R」を使用して重量基準で50:50のアセトン:テトラヒドロフラン混合物1,000グラム中に70°F(21.1℃)で90秒間分散させた。10分間静置した後、Spectrum Laboratories,Inc.,Rancho Domenguez,Californiaから商標名「SPECTRA MESH 100μm WOVEN FILTER」で得られる100μmナイロンメッシュを通して分散液を濾過した。分散液のシリカ−シラン含有率は、150℃の炉内にて30分間乾燥することにより測定し、23.5重量%であると分かった。
【0033】
シリカ−シラン分散液1,000グラムをPTMEG 340グラムと混合した後、ビュッヒ回転蒸発器内で65℃で約90分間、次いで120℃で30分間ストリッピングした。シリカ%固形分は、TGAにより測定して39.0重量%と決定された。
【0034】
ポリウレタンフィルム:
本開示のポリウレタンフィルムの実施例と比較配合物とを、表1に列記した組成に従って、以下のように調製した。PTMEG、シリカ−シラン分散液及びBDOを50mlポリエチレンビーカー内で混合した後、真空炉内にて70℃及び0.97気圧(98.3kPa)で3時間乾燥して、微量の水を全て除去した。IPDIを加えた後、DBTDLを加え、均質となる迄混合した後、厚さ3−mil(7.26μm)の2枚のポリエチレン剥離ライナー間に、厚さ12mil(304.8μm)迄流し込み、70℃で2時間硬化させた。結果として得られたポリウレタンフィルムからポリエチレンライナーを除去し、シリコーンコーティング紙を適用し、そのフィルムをホットプレス、Wabash Metal Products,Inc.,Wabash,Indiana製のモデル番号「50−2424−2TM」内にて120℃で20mil(508μm)に再プレスした。
【0035】
【表2】
【0036】
砂侵食試験:
上記で調製したポリウレタンフィルムの3×2.67インチ(7.62×6.78cm)の試料を、3M Companyから商標名「965 Adhesive Transfer Film」で得た接着剤転写フィルムに積層し、3×2.67インチ(7.62×6.78cm)のアルミニウムパネルに貼り付けた。初期質量を記録した後、サンドブラストガン、Altas Handling Systems,LLC製のモデル番号「SBC 420」に対して3インチ(7.62cm)及び30度の角度にセットしたアルミニウム板に、そのパネルを取り付けた。Grainger,Lake Forest,Illinoisから商標名「46 GRIT BLAST MEDIA」で得られる酸化アルミニウム2kgを、圧力70psi(482.6kPa)で試験試料に約2分間発射した後、パネルを取り外し、再秤量した。各試料を4回試験した。侵食された累積質量、及び対応する侵食された累積体積(シリカ密度2.1グラム/cm
3に基づいて)を、表2に報告する。
【0037】
【表3】
【0038】
砂侵食結果から明らかなように、ポリウレタン配合物中に表面修飾ナノシリカを加えることにより、表面修飾ナノシリカを有さない試料と比較して体積損失が減少した。体積減少が比較的少ないため、表面修飾ナノシリカを含有する試料を介した摩損には、より多量の侵食物質を要し、結果としてフィルム又はコーティングのより長時間の稼働寿命がもたらされる。
【0039】
(実施例3)
更なるシリカ−シラン分散液を以下のように調製した。
【0040】
A.Tone 2221 Polyol(DOW Chemical)80グラムを酢酸エチル25グラム中に入れ、よく混合した。磁気撹拌棒を加え、室温で撹拌しながら、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート(3-triethoysilylpropylisocyanate)9.9グラムをゆっくり添加し、その後スズ(ジ−n−ブチルジラウレート)(Alfa Aesar Lot FO9N01)を4滴加えた。水浴を使用して初期発熱を制御した。次いで、溶液を一晩撹拌し、ビュッヒ回転蒸発器(Buchi rotovap)を60〜65℃に設定した油浴と共に使用して、酢酸エチルを除去した。混合物のシラン当量は、2250g/molと計算された。
【0041】
B.イオン交換したNalco 2329コロイダルシリカ(Lot BP6C0673A2、150℃炉内にて30分間乾燥することによる測定で40重量%シリカ)の水性溶液150グラムを、オーバーヘッドスターラー、サーモウォッチ、温度計及び凝縮器を備えた3口フラスコ内に入れた。室温で撹拌しながら、1−メトキシ−2−プロパノール75グラムを添加し、その直後、十分に濃縮された水性水酸化アンモニウムを加えてpHを急速に9〜9.5とした。溶液が依然として均質かつ流動状態にある時に、メトキシプロパノール155グラム、Aで調製したシラン混合物13.2グラム、及びトリエトキシプロピルシラン0.4グラムからなるプレミックスを加え、溶液を90〜95℃で20時間反応させた。得られた溶液を箔皿内に注ぎ、室温で風乾して白色粉末とした。粒子のシリカ残渣は、TGAにより81.0%と決定された。
【0042】
C.Bで調製した材料18グラムをアセトン50グラムに加え、Silverston(3/4速度で1分間)を使用して高せん断混合した後、53μmナイロンメッシュを通して濾過した。測定された(150℃炉内にて30分間乾燥することにより)シリカ/シラン固形分は27.5%であり、シリカ固形分は22.2%と計算された。
【0043】
D.Cで調製した材料85グラムをTone 2221 35グラム中に入れ、よく混合した後、ビュッヒ回転蒸発器及び65℃に設定した油浴を使用してストリッピングして、揮発性物質を除去した。最終的なシリカ固形分は、TGAにより測定して34.7重量%であった。
【0044】
実施例3のシリカ−シラン分散液は、上述したように使用してもよい。
【0045】
本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また、本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に不当に限定して理解すべきではない。
本開示は以下も含む。
[1] a)ポリウレタンポリマーと、
b)前記ポリウレタンポリマー中に分散され、かつ前記ポリウレタンポリマーに共有結合されている表面修飾シリカナノ粒子と、を含むポリウレタンナノコンポジット。
[2] 12重量%を越えるシリカ含有率を有する、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[3] 18重量%を越えるシリカ含有率を有する、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[4] 30重量%を越えるシリカ含有率を有する、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[5] 前記シリカナノ粒子が、シラン官能基とポリオールセグメントとを含む表面修飾化合物に由来する結合を介して、前記ポリウレタンポリマーに共有結合されている、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[6] 前記ポリオールセグメントが少なくとも500の分子量を有する、上記[5]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[7] 上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジットを含むフィルム。
[8] 上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット及び感圧性接着剤を含むテープ。
[9] a)第1のポリオールと、
b)前記第1のポリオール中に分散されている表面修飾シリカナノ粒子であって、シラン官能基及びヒドロキシ官能基を含む表面修飾化合物との反応により表面修飾されている表面修飾シリカナノ粒子と、を含む、ポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[10] 18重量%を越えるシリカ含有率を有する、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[11] 30重量%を越えるシリカ含有率を有する、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[12] 50重量%を越えるシリカ含有率を有する、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[13] 前記シリカナノ粒子が、シラン官能基と第2のポリオール由来のポリオールセグメントとを含む表面修飾化合物との反応により表面修飾されている、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[14] 前記ポリオールセグメントが少なくとも500の分子量を有する、上記[13]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[15] 少なくとも1種の第2のポリオールが、少なくとも1種の第1のポリオールと同一である、上記[13]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[16] 前記第2のポリオールが前記第1のポリオールと本質的に同一のポリオールである、上記[13]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[17] a)上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体を、イソシアネートポリウレタン前駆体と混合して、反応性混合物を作製する工程と、
b)前記反応性混合物を基材に塗布する工程と、
c)前記反応性混合物を硬化させる工程と、を含む方法。
[18] 前記表面修飾シリカナノ粒子が、5〜500ナノメートル(nm)の数平均粒径を有する、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[19] 前記表面修飾シリカナノ粒子が多峰性粒径分布を有する、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[20] 前記表面修飾シリカナノ粒子が、5〜500ナノメートル(nm)の数平均粒径を有する、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[21] 前記表面修飾シリカナノ粒子が多峰性粒径分布を有する、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[22] 前記表面修飾シリカナノ粒子が、シラン官能基を含み、かつ350未満の分子量を有する第2の表面修飾化合物との反応により表面修飾されている、上記[5]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[23] 前記第2の表面修飾化合物がポリオールセグメントを含まない、上記[22]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[24] 前記表面修飾シリカナノ粒子が、シラン官能基を含み、かつ350未満の分子量を有する第2の表面修飾化合物との反応により表面修飾されている、上記[13]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。
[25] 前記第2の表面修飾化合物がポリオールセグメントを含まない、上記[24]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[26] 前記ポリウレタンが、放射線誘導架橋が可能なアクリレート構成成分を含む、上記[1]に記載のポリウレタンナノコンポジット。
[27] 前記ポリウレタンが、放射線誘導架橋が可能なアクリレート構成成分を含む、上記[9]に記載のポリウレタンナノコンポジット用の前駆体。