特許第5960615号(P5960615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5960615移動式タイル自動化倉庫の最大詰め込み密度を特定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960615
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】移動式タイル自動化倉庫の最大詰め込み密度を特定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20160719BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20160719BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20160719BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   B65G1/137 Z
   G06Q10/08
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-7161(P2013-7161)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-159488(P2013-159488A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2016年1月18日
(31)【優先権主張番号】13/363,693
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502096543
【氏名又は名称】パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ビン・ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】サーダー・ウカン
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−197128(JP,A)
【文献】 特開2001−335122(JP,A)
【文献】 特開平07−315521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサが、自動化倉庫の、複数のセルを含むレイアウトを生成することと、
前記プロセッサが、前記レイアウトの最大詰め込み密度を特定する自動化されたプロセスを利用して前記自動化倉庫の前記レイアウトを分析することと、
前記レイアウトの前記最大詰め込み密度を表示することと、
を含む、少なくとも1つのプロセッサが、自動化倉庫の最大詰め込み密度を決定する方法。
【請求項2】
前記複数のセルが、少なくとも1つの占有されたセルと、少なくとも1つの空白セルと、少なくとも1つの運搬セルと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最大詰め込み密度が、前記自動化倉庫内の前記占有されたセルのすべてから目的物を取り出すのに必要な空白セルの最小個数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記レイアウトを分析することが、前記複数のセルのそれぞれと前記複数のセルの他のセルとの間にある、1つ以上の2個連結された構成要素を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レイアウトを分析することが、前記2個連結された構成要素の各々と運搬セルとの間の距離を決定することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本例示的実施形態は、一般に、倉庫管理システムに関する。本例示的実施形態は、移動式タイル自動化倉庫内の最大詰め込み密度を特定することに関連して特別な用途があり、本例示的実施形態は、その特別な用途を特に参照して説明されるであろう。しかしながら、本例示的実施形態には、また他の利用シナリオにおける用途もあり、本例示的実施形態は必ずしも上述の用途に限定されないことを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
自動化倉庫は、物流管理において、ますます重要な役割を果たしている。現在の最良の実践は、パレットを棚から積み降ろしできるクレーン用のシャフトを備えた棚を交互配置する方法で、このような倉庫を設計することである。これにより自動化倉庫の制御が比較的簡単にはなるが、自動化倉庫の体積の3分の1がクレーン構造のために通常必要となるため、それほど高い保管密度を実現しない。
【0003】
この実践を改良する1つの方法が、設備の棚自体の上を移動するパレットを追加することであり、これにより、棚(または床)上でのパレットの多層保管が可能になる。このような設計では、自動化倉庫は移動式タイル床を利用し、各階はセルの二次元格子で構成され、セルのそれぞれはパレットを保持できるとともに、パレットと任意の隣接するセルの間に壁が無い場合には、パレットを任意の隣接するセルに移動できる。また、自動化倉庫は、セルのうちの少なくとも1つの中にあって、各階と、自動化倉庫の荷積み口/荷降ろし口と他の階の両方と、をつなぐエレベータを含んでいる。このような設計は、エレベータのために最小空間のみを必要とする。例えば、400個のセルと、たった1台のエレベータだけを備えた床面配置では、エレベータのために空間の1/400が必要となるだけであり、現在の最良の実践と比較して自動化倉庫の詰め込み密度をほぼ50%増加させる。
【0004】
例えば、床用タイルの格子を含む自動化倉庫は、南北方向および東西方向にパレットを保管して移動させることができる。これは、自動化倉庫が、より高い詰め込み密度を実現することを可能にする。しかしながら、この高い詰め込み密度を実現するためには、すべてのパレットを取り出せることを依然として確保した状態で、パレットをどれくらい密に詰め込むことができるかを判断するために自動化倉庫を分析する必要がある。これは、いくつかの移動を妨害する壁のような付加的な制約条件の存在により、さらに複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような自動化倉庫からパレットを取り出すには、多くの場合、目的のパレットがエレベータに到達できるように、多くのパレットをあちこち移動させる必要がある。いったん目的のパレットがエレベータに入れば、パレットを自動化倉庫の荷積み口/荷降ろし口まで移動させることができる。特定のパレットをエレベータまで移動できるかどうかは、1)パレットが特定の隣接するセルの間を移動するのを妨害する壁に関するその階のレイアウトと、2)その階の空白セルの個数と、に依存する。例えば、階のセルのすべてがパレットにより占有されている場合には、現時点でエレベータ上にあるパレットだけを取り出すことができる。したがって、パレットのすべてを取り出すことができるようにする最適な移動式タイル床面配置を決定する必要性が存在している。
【0006】
本明細書は、上述の問題などを克服する改良された新しいシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一態様に基づいて、自動化倉庫の最大詰め込み密度を決定するための方法を提供する。この方法は、自動化倉庫の、複数のセルを含むレイアウトを決定することと、レイアウトの最大詰め込み密度を特定するための自動化されたプロセスを利用して自動化倉庫のレイアウトを分析することと、レイアウトの最大詰め込み密度を表示することと、を含んでいる。
【0008】
本明細書の他の態様に基づいて、倉庫管理システムを提供する。倉庫管理システムは、自動化倉庫の、少なくとも1つの占有されたセルと、少なくとも1つの空白セルと、を含むレイアウトを決定するレイアウトモジュールと、自動化倉庫内の占有されたセルのすべてから目的物を取り出すのに必要な空白セルの最小個数を決定するために、自動化倉庫のレイアウトを分析する分析モジュールと、を含む。
【0009】
本明細書の他の態様に基づいて、倉庫管理システムを提供する。倉庫管理システムは、少なくとも1つの占有されたセルを含む複数の移動式タイルセルと、複数のセルのレイアウトを決定するレイアウトモジュールと、倉庫内の少なくとも1つの占有されたセルのすべてから目的物を取り出すのに必要な空白セルの最小個数を決定するために、複数のセルのレイアウトを分析する分析モジュールと、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本明細書の態様の移動式タイル自動化倉庫の図式的説明図である。
図2図2は、移動式タイル自動化倉庫の見取り図の例示的説明図である。
図3図3は、本明細書の態様の倉庫管理システムのブロック図である。
図4図4は、移動式タイル自動化倉庫の分析された見取り図の例示的説明図である。
図5図5は、緩衝セルを含む移動式タイル自動化倉庫の分析された見取り図の例示的説明図である。
図6図6は、本明細書の態様の移動式タイル自動化倉庫の最大詰め込み密度を特定するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的実施形態が、自動化倉庫内の最適の移動式タイル床面配置を決定するための方法を提供し、この方法は自動化倉庫内のパレットのすべてを取り出すのに必要な空白セルの最小個数を決定することを含んでいる。この方法の利点は、その効率と、自動化倉庫の中のパレットすべてを取り出すのに必要な空白セルの個数の精度とである。この方法は、所与のセルに対して必要な空白の決定された個数が本当に最小で、かつ十分であることを確保する。例えば、最適の移動式タイル床面配置が、空白の個数がK個であることを要求する場合には、床面上でK個の空白セルが利用できるときパレットのすべてが取り出される可能性がある。したがって、この方法は、特定の詰め込み密度を逸脱せずに倉庫収容力の最適利用を実現しながら、すべてのパレットが取り出し可能であることを確保する。
【0012】
後述の議論では、このシステムおよび方法を倉庫管理システムおよび倉庫管理方法の観点から説明することになるが、しかしながら、このシステムは、他の用途、特に、船舶港湾管理システム、列車車庫管理システムなどにおいて利用してもよいことを理解されたい。
【0013】
図1を参照すると、移動式タイル自動化倉庫100が、それぞれ、セル104の二次元格子で構成された複数の階102を含んでいる。3つの階だけを図示しているが、より多くの、またはより少ない階を想定している。各セルは、二次元格子の二次元方向のそれぞれにパレットを保存し、移動させることができる。具体的には、階102のそれぞれは移動式タイルを含み、この移動式タイルは、任意の占有されたセル106がパレットを任意の隣接する空白セル108までコンベヤベルトなどにより移動させることを可能にする。特定の個数の占有されたセルおよび空白セルを図示しているが、階のそれぞれが、より多くの、またはより少ない占有されたセルおよび空白セルを含むことを理解すべきである。各階のセルのうちの少なくとも1つが、各階と、自動化倉庫の荷積み口および荷降ろし口と他の階の両方と、をつなぐ少なくとも1つのエレベータを含んでいる。図示のように、倉庫100は、各階と、倉庫100の荷積み口112とをつなぐ荷積み用エレベータ110と、各階と、倉庫100の荷降ろし口116とをつなぐ荷降ろし用エレベータ114と、の2台の別々のエレベータを含んでいる。倉庫が、より多くの、またはより少ないエレベータと、より多くの、またはより少ない荷積み口および荷降ろし口と、を含むことを理解すべきである。また、単一の荷降ろし用/荷積み用エレベータが、各階と、単一の荷降ろし口/荷積み口とをつなぐと想定すべきである。通常、倉庫100から特定の目的のパレットを取り出すには、目的のパレットが荷降ろし用エレベータ114に到達でき、最終的に倉庫110の荷降ろし口116に到達できるように、多くの他のパレットを移動させる必要がある。倉庫の中のパレットのすべてを取り出すには、移動式タイル見取り図は特定の個数の空白セル108を必要とする。上述のように、目的のパレットを荷降ろし用エレベータまで移動できるかどうかを判断することは、パレットが特定の隣接するセルの間を移動するのを妨害する壁に関するその階のレイアウトと、その階の空白セルの個数と、に依存する。
【0014】
図2を参照すると、移動式タイル自動化倉庫100の例示的見取り図200を示している。見取り図200は、4×4のセルレイアウト内に合計16個のセル204を含んでいる。また、見取り図200は、自動化倉庫100の複数の外壁206に加えて、太線で示した複数の内壁202を含んでいる。上述のように、パレットと任意の隣接する空白セルの間に壁が無い場合には、各セル104内の移動式タイルは、任意の占有されたセルがパレットを任意の隣接する空白セルに移動させることを可能にする。パレットの移動を容易にするために、移動式タイルはコンベヤベルト、荷物運搬用円形コンベヤ、およびその種の他のものを含んでいる。セルのうちの少なくとも1つが、他の階および自動化倉庫の荷降ろし/荷積み口へのアクセスを可能にするためにエレベータを含むことを理解すべきである。各階が、さまざまなレイアウトにおけるより多くの、またはより少ないセルと、より多くの、またはより少ない内壁と、より多くの、またはより少ない外壁と、を含むと想定すべきである。
【0015】
図3を参照すると、倉庫管理システム300が、倉庫の中のすべてのパレットを取り出せることを確保した状態で最大詰め込み密度を実現するのに必要な空白セルの最適個数を決定する。倉庫管理システム300は、レイアウトの中に任意の障害物または壁を含む倉庫の階または空間のレイアウトを生成したり、または決定したりするレイアウトモジュール302を含んでいる。また、レイアウトモジュール302は、任意のエレベータならびに/または倉庫の荷積み口および荷降ろし口の位置を含む、任意の荷積み位置または荷降ろし位置を生成したり、または決定したりする。レイアウトモジュール302は、手動入力に基づいて、および/または自動的に、倉庫の階または空間のレイアウトを生成したり、または決定したりする。前者、すなわち、手動入力に基づいて倉庫の階または空間のレイアウトを生成したり、または決定したりすることについては、レイアウトモジュール302は、レイアウトの生成または決定を制御する使用者に関連している。使用者がレイアウトを生成したり、または決定したりするのを容易にするために、倉庫管理システムは、キーボード、カーソル、制御装置、タッチスクリーンなどの1つ以上のユーザ入力装置304、および/またはディスプレイなどの1つ以上のユーザ出力装置306を、通常それぞれ含んでいるか、またはそれらに関連している。後者、すなわち、自動的に倉庫の階または空間のレイアウトを生成したり、または決定したりすることについては、レイアウトモジュール302は、メモリ内に保存され、プロセッサにより実行されるソフトウェアコンポーネントを含み、このソフトウェアコンポーネントは倉庫の階または空間のレイアウトを生成したり、または決定したりするようにあらかじめプログラムされている。レイアウトを生成したり、または決定したりした後に、レイアウトモジュール302は倉庫管理システム300がアクセスできるレイアウトメモリ308内にレイアウトを保存する。
【0016】
また、倉庫システム300は、レイアウトに対する最大詰め込み密度を特定するための自動化されたプロセスを用いて倉庫の階または空間のレイアウトを分析する分析モジュール310を含んでいる。階に対する最大詰め込み密度を分析するとき、分析モジュール310は、倉庫の中のすべてのパレットを取り出せることを確保した状態で最大詰め込み密度を実現するのに必要な空白セルの最適個数を決定する。新しい壁を取り付けたり、もしくは取り外したりするたびに、またはレイアウトを取り換えたり、もしくは変更したりするたびに、分析モジュール310は、各セルのパレットを取り出すのに必要な空白の個数を、各セルに対して再計算する。レイアウトを分析するために、分析モジュール310は、レイアウトメモリ308から現在の階または空間レイアウトを取り出す。分析モジュール310は、手動入力に基づいて、および/または自動的に、倉庫の階または空間のレイアウトを分析する。手動入力を容易にするために、分析モジュール310は、1つ以上のユーザ入力装置304および/または1つ以上のユーザ出力装置306を利用する。後者、すなわち、自動的に倉庫の階または空間のレイアウトを分析することについては、分析は最適化アルゴリズムを利用し、分析については詳細に後述する。最適化アルゴリズムは、倉庫のレイアウトに基づいて、すべてのパレットを取り出せることを確保した状態で最大詰め込み密度を実現するのに必要な空白セルの最適個数を決定する。分析モジュール310は、メモリ内に保存され、プロセッサにより実行されるソフトウェアコンポーネントを含み、このソフトウェアコンポーネントは倉庫の階または空間のレイアウトを分析するようにあらかじめプログラムされている。レイアウトを分析した後に、分析モジュール310は倉庫管理システム300がアクセスできる分析メモリ312内に分析結果を保存する。また、分析モジュールが1つ以上のユーザ出力装置306上に分析結果を表示することもまた同様に想定される。
【0017】
倉庫管理システム300、レイアウトモジュール302、および分析モジュール310は、通信網に接続されたさまざまなモジュールと通信するための通信ユニットをさらに含んでいる。1つ以上のシステムバスが、プロセッサ、メモリ、および通信ユニットなどの、管理システム300、レイアウトモジュール302、および分析モジュール310の構成要素を結び付ける。管理システム300、レイアウトモジュール302、および分析モジュール310は、通信網28を介して接続された、例えば、サーバ上に常駐していてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、レイアウトモジュール302および分析モジュール310を、管理システム300と一体化している。
【0018】
上述のように、最適詰め込み密度と、必要な空白セルの最小個数を決定するために、分析ユニットは最適化アルゴリズムを利用する。具体的には、最適化アルゴリズムは、それぞれ下記のアルゴリズムで表される。
【表1】
【0019】
本明細書で使用する場合、グラフGは、ノードN(節点N)の集合と、ノードNの間のエッジE(枝E)の集合とにより定義される。2つのノードの間にエッジがあるとき、2つのノードは連結されていると呼ばれる。2つのノードの間にパス(道)(エッジの連続)が無いような2つのノードが無いとき、グラフは連結されていると呼ばれる。adj(c)は、cに連結されたすべてのノードの集合を示している。|adj(n)|≧3のとき、ノードnは3方向ノードである。グラフGに対するkラベリングは全単射(1対1写像)L(N)→O∪{□1,...,□k}であり、ここで、Oは目的物識別子の集合であり、□は空白である。したがって、|O|=|N|−Kである。下記のどちらかの場合、すなわち、
1.すべてのn∈N¥{n,n}に対してL(n)=L’(n)であり、かつL(n)=L’(n)であり、L(n)=L’(n)、かつL(n)が□であるような2つの異なるノードn、nがある場合、または
2.
【数1】
かつ
【数2】
であるようなラベリング’L’がある場合、のどちらかの場合、ラベリングLはラベリングL’に移行でき、
【数3】
と表される。
ラベリングLを仮定すると、L(n)=oであるとき、かつL’(n)=oかつ
【数4】
であるようなラベリングL’があるとき、目的物oをnからnまで移動できる。本明細書の残りの部分に対して、Gが連結グラフであると仮定する。
【0020】
Gが連結されているとき、L(n)が空白であるノードnがあるような任意のラベリングLでは、G内の任意のn’に対して、L’(n’)が空白でありかつ
【数5】
であるようなラベリングL’がある。Gが2個連結されているとき、L(n)が空白でありかつ任意のノードn≠nであるノードnがあるような任意のラベリングLでは、G内の任意のn’に対して、L’(n’)が空白であり、かつ
【数6】
であり、かつL(n)=L’(n’)であるようなラベリングL’がある。これは、(少なくとも)1つの他のノードの位置に影響を与えずに、空白を他の任意の位置に移動させることを可能にする。
【0021】
と、nと、nとがGの二重連結した下位構成要素内にある場合かつその場合に限り、L(n1)=oかつただ1つの空白のL(n)=□であるような目的物oを有するラベリングLを、n≠nに対してL’(n)=oであるL’に移行できる。このことは下記のように示すことができる。基本の事例では、nはnに隣接しており、空白を含んでいる。oは、n=nのときにだけ移動できることは自明である。目的物がnからn’まで1つの移動を行った後には、空白はn上にあることに注目すべきである。目的物をnに戻さずに、n’’と呼ばれるnへのパス上の目的物の前のノードまで空白を移動させるには、nからn’’への別の道が必要である。したがって、nとn’’とは、2個連結された構成要素上にある。
【0022】
Gの任意の構成要素ci内の任意のノードnに対して、仮に、n’を、i’<iでありかつi’はこの特性を有する最大数である構成要素ci’に属する3方向であるとし、またはこのようなノードが存在しない場合には仮にn’=nとする。最適化アルゴリズムがmark(n)=(k,k)を出力するとき、構成要素ci’、...、ci内に少なくともk個の空白がある場合かつその場合に限り、目的物oをnから任意のノードn’’∈adj(n’)まで移動できる。このことは下記のように示すことができる。2つの基本の事例があり、これら両方の事例でi=i’であり、したがって、n、n’、および少なくとも1つの空白(これらのノードのどちらかと一致する可能性がある)は2個連結された構成要素ci内にある。i=1のときには、k=1であり、たった1つの空白により目的物oをnまで移動させることができる。それ以外の場合は、i>1のときには、k≧2であり、目的物oをnまで移動させることができ、もう1つの空白により目的物oをn’’まで移動させることができる。
【0023】
誘導ステップに対して、この結果はi−i’=mに対して持続し、結果的にi−i’=m+1になると仮定する。したがって、nはci’+m+1内にあり、ci’+mとci’+m+1とが共有するノード
【数7】
が存在している。仮に
【数8】
とする。仮定により、
【数9】
である。したがって、最適化アルゴリズムにより、
【数10】
となる。ci’+m+1内に少なくとも1つの空白があれば、目的物oを
【数11】
まで移動させることができる。目的物oを
【数12】
まで移動させた後には、ci’+m+1内に1つの空白があるが、この空白は、唯一の共有されたノード
【数13】
から目的物oを引き戻さないと、より下方の構成要素へは移動できない。
したがって、k∩/1個の空白が構成要素ci’、...、ci’+m.内にとどまる。
【0024】
さらに、Gの任意の構成要素c内の任意のノードnに対しては、最適化アルゴリズムがmark(n)=(k,k)を出力する場合、構成要素c、...、c内に少なくともmax(k,k)個の空白があるとき、かつそのときに限り、目的物oはnからnまで移動できる。このことは、切点n...npに関して誘導することにより、下記のように示すことができる。基本の事例では、3方向(p=0)であるc、...、ci内には切点はない。誘導ステップに対して、この特性はpに対して持続し、結果的にp+1になると仮定する。目的物oは、わずかk個の空白を用いてnからn’’∈adj(np)まで移動できる。
【数14】
は3方向であるため、
【数15】
とnの間の構成要素内にとどまっている空白のすべてを構成要素c,…,c’の中に移動させることができ、ここで、c’は
【数16】
の構成要素である。したがって、c,…,c’内にはmax(k,k)個の空白がある。最適化アルゴリズムから、k=maxmark(n’’)である。したがって、max(k,k)≧maxmark(n’’)により、c,…,c’内の利用できる空白が、n’’からnまでoを移動させることを可能にする。
【0025】
言い換えれば、グラフGと、G内の区別されたノードnとを、最適化アルゴリズムに入力する。グラフGは倉庫の階または空間のレイアウトを記述しており、グラフGはセルの位置を示すノードNの集合により定義される。区別されたノードnは、エレベータまたは荷降ろし口の位置を表している。この情報から、最適化アルゴリズムは、倉庫の中のすべてのパレットまたは目的物を取り出せることを確保した状態で最大詰め込み密度を実現するのに必要な空白セルの個数を決定する。最適化アルゴリズムは、グラフGの2個連結された構成要素c,…,cnを決定することから始める。最適化アルゴリズムは、2個連結された構成要素c,…,cnを決定するために、当技術分野で周知の深さ優先探索法およびその種の他のものを利用する。任意の2つの構成要素が、それらを連結する少なくとも2つのパスとともに配置されるときにはいつでも、2個連結された構成要素が存在している。その後、2個連結された構成要素c,…,cnを、それらの低い数字の順に並べて、2個連結された構成要素Cの集合を生成する。この低い数字は、区別されたノードnからの構成要素からの距離に対応している。例えば、構成要素cに低い数字1を割り当てて、区別されたノードnの位置に構成要素cを配置する。区別されたノードnから4連結ほど離れたところに位置する構成要素には低い数字4を割り当てる。
【0026】
2個連結された構成要素Cの集合を生成した後に、それぞれの特定のノードnからパレットまたは目的物を取り出して、区別されたノードnまでそれを運搬するのに何個の空白ノードが必要かを最適化アルゴリズムが決定する。例えば、cは、区別されたノードnに位置していることが分かっている。したがって、最適化アルゴリズムは、区別されたノードnまでの距離を表すノードcおよびcからパレットまたは目的物を取り出すことを要求する空白ノードの個数に印を付ける。その後、最適化アルゴリズムは、すべての近接または隣接する構成要素を処理して、それらの構成要素に印を付ける。このマーキングは、区別されたノードまでの距離と、そのノードから、区別されたノードnまでパレットを移動させるのに必要な最低限の1つの空白ノードと、を表している。その後、最適化アルゴリズムは、グラフGの構成要素のすべてに印を付けるまで、このプロセスをグラフGのノードの残りに対して広げる。構成要素のすべてを処理した後に、最適化アルゴリズムは、グラフGの任意の特定のノードからパレットを取り出すのに必要な空白の所要個数に関してグラフGの最適詰め込み密度を出力する。
【0027】
用語「ソフトウェア」は、本明細書で使用する場合、コンピュータまたは他のデジタルシステムにより実行可能な命令の任意の収集物または集合を含み、ソフトウェアの目的であるタスクを実行するためにコンピュータまたは他のデジタルシステムを構成するよう意図されている。用語「ソフトウェア」は、本明細書で使用する場合、RAM、ハードディスク、または光ディスクなどの記憶媒体に保存されたこのような命令を含むよう意図されており、また、ROMなどに保存されたソフトウェアである、いわゆる「ファームウェア」を含むよう意図されている。このようなソフトウェアは、さまざまな方法で構成してもよく、ライブラリとして構成されたソフトウェアコンポーネント、リモートサーバなどに保存されたインターネットベースのプログラム、ソースコード、解釈コード、オブジェクトコード、および直接実行可能なコードなどを含んでいてもよい。特定の機能を実行するために、ソフトウェアがシステムレベルコード、またはサーバもしくは他の場所に常駐する他のソフトウェアへの呼び出しを起動してもよいということを想定する。
【0028】
用語「モジュール」は、本明細書で使用する場合、プロセッサおよびメモリを含むよう意図されている。用語「ユーザ入力装置」は、本明細書で使用する場合、マウス、キーボード、タッチ・スクリーン・ディスプレイ、1つ以上のボタン、1つ以上のスイッチ、および1つ以上のトグルスイッチなどのうちの1つ以上を含むよう意図されている。用語「ユーザ出力装置」は、本明細書で使用する場合、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、投写型ディスプレイ、タッチ・スクリーン・ディスプレイなどのうちの1つ以上を含むよう意図されている。用語「通信網」は、本明細書で使用する場合、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラーネットワーク、ならびにUSBおよびI2Cのようなデータバスなどのうちの1つ以上を含むよう意図されている。用語「通信ユニット」は、本明細書で使用する場合、モデム、Ethernet(登録商標)アダプタ、WiFiアダプタ、3Gモデム、ケーブルモデム、DSLモデム、およびネットワークとの通信を容易にする他の任意のアダプタまたはモデムのうちの1つ以上を含むよう意図されている。
【0029】
用語「プロセッサ」は、本明細書で使用する場合、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、図形処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのうちの1つ以上を含むよう意図されている。さらに、上述のプロセッサは、それぞれ、シングル・コア・プロセッサ、デュアル・コア・プロセッサ(またはより一般に多重コアプロセッサにより)、デジタルプロセッサおよび協働する数値演算コプロセッサ、またはデジタルコントローラなどにより、さまざまに具体化できる。
【0030】
用語「メモリ」は、本明細書で使用する場合、一時的ではないコンピュータ読み込み可能媒体か、磁気ディスクもしくは他の磁気記憶媒体か、光ディスクもしくは他の光記憶媒体か、フラッシュメモリか、ホログラムメモリか、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、または他の電子メモリ素子もしくはチップもしくは動作的に相互接続したチップセットか、または保存された命令をそこからインターネット/イントラネットもしくはローカル・エリア・ネットワークを介して取り出してもよいインターネット/イントラネットサーバか、などのうちの1つ以上を含むよう意図されている。一実施形態では、上述のメモリのそれぞれが、ランダム・アクセス・メモリと読み出し専用メモリの組み合わせを含んでいる。例示的メモリが、例示的方法を実行するための命令と、例示的方法の中で使用され、生成されるデータと、また各コンピュータを操作するための操作命令も同様に保存する。
【0031】
図4を参照すると、移動式タイル自動化倉庫100の分析された例示的見取り図400を示している。見取り図400は、16個のセル402と、2つの内壁404とを含んでいる。見取り図のエレベータまたは荷降ろし口が、セル406内にある。また、見取り図400は、セル402とセル402の間の2個連結された構成要素を示すための多角形408を含んでいる。上述のように、分析モジュールが、任意の特定のセルからパレットを取り出すための空白セルの所要個数を決定する。見取り図は、各セルからパレットを取り出すのに必要な空白の最小個数を示すマーキング410を含んでいる。見取り図400に示すように、それぞれの追加のセルに対して、追加の空白ノードが必要である。これは、エレベータからエレベータの後方の空白セルまでの通路を、移動中のパレットがふさぐためである。いったん通路が、より広い空間に向かって広くなると、それ以上の追加の空白は必要ない。
【0032】
図5を参照すると、移動式タイル自動化倉庫100の他の分析された例示的見取り図500を示している。見取り図500は、16個のセル502と、2つの内壁504とを含んでいる。見取り図のエレベータまたは荷降ろし口が、セル506内にある。また、見取り図500は、セル502とセル502の間の2個連結された構成要素を示すための多角形508を含んでいる。また、見取り図500は、結果的に3方向セル512になる緩衝空間510を含んでいる。上述のように、分析モジュールが、任意の特定のセルからパレットを取り出すための空白セルの所要個数を決定する。見取り図500は、各セルからパレットを取り出すのに必要な空白の最小個数を示すマーキング514を含んでいる。緩衝空間のおかげで、空白セルの個数が減少している。セル516からパレットを取り出すには、最初に緩衝空間510の中にこのパレットを移動できる。いったん、このパレットが緩衝空間510の中に入れば、このパレットの元のセルを使用して、エレベータまでの経路上にあるパレットを保管できる。その理由は、「取り出される予定の」パレット自体が3方向セル512をふさぐことがないためである。
【0033】
図6を参照すると、自動化倉庫の最大詰め込み密度を特定するための方法600のブロック図を示している。ステップ602では、任意の制約条件または障害物と、任意の出入りする位置と、を含むレイアウトまたは空間を生成または決定する。ステップ604では、空間または領域に対する最大詰め込み密度を特定するための自動化されたプロセスを用いて空間または領域のレイアウトを分析する。ステップ606では、分析された空間または領域に対する最適詰め込み密度を出力する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6