【実施例】
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施例について詳細に説明する。
【0016】
以下の実施例においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施例に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施例において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0017】
さらに、以下の実施例において、その構成要素(動作、タイミングチャート、要素ステップ、動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施例において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0018】
なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する部位や部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
上記実施の形態に係るAD変換器1及び半導体集積回路装置10の具体例を以下に実施例及び変形例として説明する。
【0020】
(実施例1)
1.構成
図1Aは実施例1に係るAD変換器のブロック図である。
図1Bはバッファ部の出力信号の波形図である。
図1Cは補正係数探索回路のブロック図である。
図1Aに示すように、AD変換器(ADC)1Aは、バッファ部(BUFU)4AとAD変換部(ADCU)2Aとデジタル補正部(DCU)3Aとを有する。AD変換器1Aは1つの半導体基板上に半導体集積回路装置10Aの一部として形成される。
【0021】
デジタル補正部3Aは、デジタル補正回路31A,32Aと補正係数探索回路(CCSC)33Aと遅延回路(DL)34Aとを有する。ここで、デジタル補正回路31Aとデジタル補正回路32Aは同じ回路である。
【0022】
デジタル入力信号(DAC-IN)をバッファ部4Aは受け、AD変換のためのテスト信号として出力信号(DAC-OUT)を生成する。AD変換部2Aは出力信号(DAC-OUT)を受けてAD変換処理し、デジタル補正部3Aに出力する。ここで、出力信号(DAC-OUT)は、
図1Bに示すように、AD変換部2Aの2変換周期(2/fs)ごとに値が変わる信号となっている。言い換えると、2変換周期(2/fs)は同じ値が保持されている。AD変換部2Aは同じ値となっている出力信号(DAC-OUT)を2回AD変換処理する。1回目は同じ値の出力信号(DAC-OUT)が保持されている2変換周期(2/fs)のうちの初めの1変換周期(1/fs)の時となる第一期間にAD変換処理を行い、その結果として第一AD変換結果(D1R)がデジタル補正部3Aに出力される。2回目は同じ値の出力信号(DAC-OUT)が保持されている2変換周期(2/fs)のうちの後ろ側の1変換周期(1/fs)の時となる第二期間にAD変換処理を行い、その結果として第二AD変換結果(D2R)がデジタル補正部3Aに出力される。第一AD変換結果(D1R)、第二AD変換結果(D2R)のうちの少なくともいずれかには、ディザー信号成分(Dither)(値はα)が含まれている。デジタル補正部3Aは第一AD変換結果(D1R)及び第二AD変換結果(D2R)に対してデジタル補正処理を行い、この第一AD変換結果(D1R)の補正結果(DC1R)と第二AD変換結果(D2R)の補正結果(DC2R)に基づいて、デジタル補正処理のための補正係数(CC)を算出する。遅延回路34Aは、第一AD変換結果(D1R)の補正結果(DC1R)と第二AD変換結果(D2R)の補正結果(DC2R)とをデジタル補正部3Aが並列に処理するために、第一AD変換結果(D1R)の補正結果(DC1R)又は第一AD変換結果(D1R)を1変換周期(1/fs)だけ遅延させる。
【0023】
2.テスト動作
図2は実施例1の半導体集積回路装置の構成及びAD変換器のAD変換テスト動作時におけるタイミングフローを表す図である。
図2及び
図1Cを用いて実施例1の半導体集積回路装置の構成及びAD変換器のAD変換テスト動作時の動作について説明する。
【0024】
半導体集積回路装置10Aは動作モードを設定するためのモードレジスタ(ModeRES)5Aを有する。AD変換テスト動作時には、モードレジスタ5AにAD変換補正モード(CM)が設定される。
図2に示されているのは、AD変換テスト動作時における動作である。
【0025】
バッファ部4A部は、AD変換器1Aに入力される入力信号(ADC-IN)を受ける入力バッファ回路としての機能と、AD変換部2Aに入力される出力信号(DAC-OUT)を生成するDA変換器としての機能を持つ。モードレジスタ5Aからのモード信号(Mode)に従って、バッファ部4Aが入力バッファ回路として機能するか、DA変換器として機能するかが選択される。以下、デジタルアナログ変換をDA変換と、デジタルアナログ変換器をDA変換器という。
【0026】
AD変換部2Aは、バッファ部4Aからの出力をAD変換処理して後段にデジタル出力信号(D
i)を出力する。AD変換部2Aには第一ディザー信号(Dither1)と第二ディザー信号(Dither2)が入力されることが可能となっている。第二ディザー信号(Dither2)は、第一ディザー信号(Dither1)と符号が異なり絶対値が等しいものである。ここでディザー信号とは、直流的なオフセット印加電圧であり、デジタル補正処理のための補正係数(CC)を効果的に算出するためのものである。尚、このディザー信号は第一ディザー信号(Dither1)と第二ディザー信号(Dither2)のように2つあるのがより好ましいが、どちらか一方がある場合でもよい。さらに、補正係数探索に時間がかかってもよい場合は、ディザー信号がなくてもよい。
【0027】
デジタル補正部3Aは、後で説明するAD変換本番動作時においては、AD変換部2Aからの出力をデジタル補正し、出力信号(ADC-OUT)を生成する。AD変換テスト動作時には、AD変換部2Aからの出力に基づいて、補正係数探索回路33Aは補正係数(CC)を算出する。
【0028】
第二デジタル補正回路32AはAD変換部2からのデジタル出力をデジタル補正処理して後段に出力する。第一デジタル補正回路31AもAD変換部2Aからのデジタル出力をデジタル補正処理して後段に出力する。但し、第一デジタル補正回路31Aに入力されるデジタル出力は、遅延回路34Aによって1変換周期(1/fs)だけ第二デジタル補正回路32Aに入力されるデジタル出力に比べて遅延されている。
【0029】
図1Cに示すように、補正係数探索回路33Aは変換誤差生成回路EGCと係数探索回路(CSC)331Aとを有する。変換誤差生成回路EGCは、第一デジタル補正回路31Aからの出力と第二デジタル補正回路32Aからの出力との間の差分から更に2αを引くことで、変換誤差(e)を出力する。ここで、2αは第一ディザー信号(Dither1)から第二ディザー信号(Dither2)を引いたもので、αはディザー信号(Dither)の値を示す。
【0030】
係数探索回路331Aは補正係数レジスタ(CCRES)3311Aと補正係数算出回路(CCRev)3312Aとを有する。補正係数算出回路3322Aは変換誤差(e)に基づいて、補正係数(CC)を定めるために探索する。補正係数(CC)は係数探索回路331A内の補正係数レジスタ3321Aに格納される。
【0031】
AD変換テスト動作時においては、バッファ部4Aにデジタル入力信号(DAC-IN)が入力され、デジタル入力信号(DAC-IN)がDA変換処理されて、アナログ信号としての出力信号(DAC-OUT)がAD変換部2Aに出力される。ここで、デジタル入力信号(DAC-IN)はmビット(mは自然数)のデジタル信号である。尚、本明細書全体では、AD変換用のデジタル補正処理のための補正係数を生成する動作をAD変換テスト動作とする。
【0032】
図2の上段のタイミングフローに示すように、サンプリング期間(S)にて出力信号(DAC-OUT)をAD変換部2Aがサンプリングする。その後AD変換部2Aは、サンプリングされた出力信号(DAC-OUT)と、AD変換部2Aに加えられた第一ディザー信号(Dither1)とを、第一AD変換期間(A/D1)にてAD変換処理を行い、デジタル信号として第一AD変換結果(D1R)を出力する。更にその後AD変換部2Aは、サンプリング期間(S)にて出力信号(DAC-OUT)をサンプリングする。その後AD変換部2は、サンプリングされた出力信号(DAC-OUT)と、AD変換部2Aに加えられた第二ディザー信号(Dither2)とを、第二AD変換期間(A/D2)にてAD変換処理を行い、デジタル信号として第二AD変換結果(D2R)を出力する。遅延回路34Aは1変換周期(1/fs)だけ第一AD変換結果(D1R)を遅延させて第一デジタル補正回路31に出力する。ここで、1変換周期(1/fs)は、サンプリング期間(S)に第一AD変換期間(A/D1)を足し合わせた期間である。又、第一AD変換期間(A/D1)と第二AD変換期間(A/D2)とは等しくなっている。その結果第一デジタル補正回路31Aに第一AD変換結果(D1R)が入力されるタイミングと、第二デジタル補正回路32に第二AD変換結果(D2R)が入力されるタイミングとが同一期間となる。ここで第一AD変換結果(D1R)を求めるために用いられる出力信号(DAC-OUT)、第二AD変換結果(D2R)を求めるために用いられる出力信号(DAC-OUT)とは
図2に示すように同じ値となっている。これはバッファ部4Aが2変換周期(2/fs)だけ出力信号(DAC-OUT)を保持しているからである。
【0033】
第一デジタル補正回路31A及び第二デジタル補正回路32Aそれぞれは補正係数(CC)(
図2でWi(OLD)と記載されている。)を用いて第一AD変換結果(D1R)及び第二AD変換結果(D2R)それぞれをデジタル補正した結果を変換誤差生成回路EGCに出力する。補正係数(CC)は第一デジタル補正回路31A及び第二デジタル補正回路32Aをデジタル補正するための係数である。
【0034】
ここで第一AD変換結果(D1R)や第二AD変換結果(D2R)をDiとする。そして、補正係数(CC)をWiとする。そのとき、以下の式(1)のような値が第一デジタル補正回路31A及び第二デジタル補正回路32Aから出力される。ここで、iは0〜N−1であり、iはi番目のAD変換部2Aのデジタル出力信号のビットを表す。Nは2以上の自然数で、ビット数を表す。
【0035】
【数1】
【0036】
変換誤差生成回路EGCは、第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)から第二AD変換結果(D2R)をデジタル補正した結果(DC2R)を引いて、更に2αを引くことで変換誤差(e)を生成する。第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)が入力されるタイミングと、第二AD変換結果(D2R)をデジタル補正した結果(DC2R)が入力されるタイミングは、遅延回路34Aによる遅延動作により同じ期間となる。この変換誤差(e)に基づいてLMSアルゴリズムにより補正係数算出回路3312Aが補正係数(CC)を定めるために探索する。ここでLMSアルゴリズムとはLeast Means Squareアルゴリズムの略称であり、適応制御方式の一つである。LMSアルゴリズムは入力データをDi、出力をA、係数をWiとしたとき、A=ΣWi・Diが成り立つことが分かっているものに関して、DiとAの多数サンプルからWiを推定するものである。
【0037】
補正係数算出回路3312Aは変換誤差(e)、第一AD変換結果(D1R)、第二AD変換結果(D2R)及び補正係数(CC)に従ってLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにて補正係数(CC)を算出する。ここで、補正係数(CC)は補正係数レジスタ3311Aにあらかじめ格納されていたものである(
図2でWi(OLD)と記載されている。)。新たに算出された補正係数(CC)(
図1CでWi(NEW)と記載されている。)は補正係数レジスタ3311Aに新たに格納される。
【0038】
更に次の出力信号(DAC-OUT)がAD変換部2Aに入力される。この出力信号(DAC-OUT)は2変換周期(2/fs)後のものなので、前回のものとは値が異なっている。これによって、補正係数レジスタ3311Aの値が更新される。このような更新動作がAD変換テスト動作時には繰り返される。
【0039】
このように補正係数算出回路3312Aにより補正係数(CC)が探索される補正係数探索期間(CCS)は、遅延回路34Aにて遅延された第一AD変換結果(D1R)のデジタル補正された結果(DC1R)と、第二AD変換結果(D2R)のデジタル補正された結果(DC2R)とに基づいて補正係数(CC)が探索されるために、第二AD変換期間(A/D2)が発生するごとに発生する。
【0040】
3.本番動作
図3は実施例1の半導体集積回路装置の構成及びAD変換器のAD変換本番動作時におけるタイミングフローを表す図である。
【0041】
半導体集積回路装置10Aの回路構成としては
図2と同じである。モードレジスタ5AにはAD変換本番モード(RM)が設定される。
【0042】
AD変換本番動作時においては、バッファ部4Aには入力信号(ADC-IN)が入力されることにより出力信号(BUF-OUT)が出力される。
図3の上部のタイミングフローに示すように、サンプリング期間(S)にて出力信号(BUF-OUT)がサンプリングされる。その後のサンプリングされた出力信号(BUF-OUT)を、第二AD変換期間(A/D2)にてAD変換部2AはAD変換処理を行い、デジタル信号として第二AD変換結果(D2R)を出力する。次にデジタル補正回路32AはAD変換テスト動作時にて求められた補正係数(CC)を用いて第二AD変換結果(D2R)をデジタル補正する。このデジタル補正された結果が出力信号(ADC-OUT)となってAD変換器1のAD変換処理結果として出力される。このような動作が変換周期(1/fs)ごとに繰り返される。点線で示したブロックである、第一デジタル補正回路31Aと、遅延回路34Aと、補正係数探索回路33AとはAD変換本番動作時には基本的に動作しない。しかしながら補正係数探索回路33Aには補正係数(CC)が保持され、この補正係数(CC)が第二デジタル補正回路32Aに出力される。また、バッファ部4AのDA変換回路も動作しない。さらにAD変換部2Aにはディザー信号は加えられない。本明細書において、AD変換本番動作とは、入力されたアナログ信号をAD変換処理した後、このAD変換処理結果をAD変換テスト動作時に求められた補正係数(CC)用いてデジタル補正処理することで、AD変換器のAD変換処理を実行することである。
【0043】
1.AD変換部
図4AはAD変換部の構成を表す図である。
図4Bはサンプルホールド回路と電荷シェアのためのスイッチ回路を表す図である。
図4Cはディザー信号用ビットセルの回路図である。
図4Dはビットセルの回路図である。
【0044】
実施例1においては、AD変換部2Aは単相信号を取り扱うものとなっているが、差動信号を取り扱うものであるとしても問題はない。
図4Aに示すAD変換部2Aは入力信号が差動信号を出力信号は単相信号を取り扱う構成となっている。
【0045】
(1)構成
図4Aに示すように、AD変換部(ADCU)2Aはサンプリング回路(SU)21Aと変換回路(CU)22Aとを有する。変換回路22Aは、比較器CS−CMPと制御回路(CS-CTRL)221Aと複数のビットセル(BCell)BC0,BCN−1,BCαを有する。ここで、BCell とは、最小ビット用ビットセル(LSBCell)から最大ビット用ビットセル(MSBCell)までの複数のビットセルと、ディザー信号用ビットセル(DBCell)との総称である。AD変換部2Aはアナログ信号(NP-RA)と、アナログ信号(NP-RA)と反転関係にあるアナログ信号(RP-RA)と、により構成される受信アナログ差動信号を受ける。ここでアナログ信号(NP-RA)は、AD変換テスト動作時においては出力信号(DAC-OUT)の非反転信号であり、AD変換本番動作時においては出力信号(BUF-OUT)の非反転信号である。アナログ信号(RP-RA)は、AD変換テスト動作時においては出力信号(DAC-OUT)の反転信号であり、AD変換本番動作時においては出力信号(BUF-OUT)の反転信号である。
【0046】
図4Bに示すように、スイッチNP−SHSWはアナログ信号(NP-RA)を受ける。スイッチRP−SHSWはアナログ信号(RP-RA)を受ける。容量NP−SHCはアナログ信号(NP-RA)をサンプリングして保持する。容量RP−SHCはアナログ信号(RP-RA)をサンプリングして保持する。容量NP−SHCとビットセル(BCell)との間にて電荷をシェアするためのスイッチNP−CSSWが容量NP−SHCに接続されている。容量RP−SHCとビットセル(BCell)との間にて電荷をシェアするためのスイッチRP−CSSWが容量RP−SHCに接続されている。
【0047】
比較器CS−CMPの非反転入力端子と容量NP−SHCとの間はノードNPCS−Nとなっている。比較器CS−CMPの反転入力端子と容量RP−SHCとの間はノードRPCS−Nとなっている。比較器CS−CMPはノードNPCS−NとノードRPCS−Nとの間の電圧を比較する。
【0048】
制御回路221Aは、比較器CS−CMPの比較結果を受けて、AD変換部2Aのデジタル出力信号(Di)を生成しデジタル補正部3Aに出力し、ビットセル(BCell)を制御する。
【0049】
ビットセル(BCell)は、デジタル出力信号(Di)のビット数分+1のビットセルを有する。すなわち、ビットセル(BCell)はディザー信号用ビットセル(DBCell)BCαとデジタル出力(Di)のビット数分のビットセル(その他のビットセル(LSBCell、MSBCell等))BC0,BCN−1とを有する。
図4Cに示すように、ディザー信号用ビットセルBCαはディザー信号用容量C
αと、スイッチCA−SW1と、スイッチCA−SW2と、スイッチDC−SW3とを有する。さらに、ディザー信号用ビットセルBCαは2つのスイッチSW4a、SW4bと、2つのスイッチSW5a、SW5bとを有する。接続関係は同図に示す通りである。ディザー信号用容量C
αの容量値はディザー信号にて与えるべき電圧値に従った容量値を持っている。
【0050】
その他のビットセルBC0,BCN−1はN個のセルがあり、構造はディザー信号用ビットセルBCαと基本的に同じであるが、
図4Dに示すように、スイッチDC−SW3が無いこと及びデータ出力信号(Di)及び制御信号(CSi)が入力されることが異なる点である。更にディザー信号用容量C
αとの代わりにビットセル容量Ciがあり、このビットセル容量Ciが以下の関係を満たす。
(い)0≦i≦N−1、iは0又は自然数、Nは2以上の自然数
(ろ)i+1番目のビットセルのビットセル容量C
i+1の容量値は、i番目のビットセルのビットセル容量C
iの容量値の約2倍
尚、デジタル出力信号(Di)の最大ビットに対応するN−1番目のビットセル(BCell)が最大ビット用ビットセル(MSBCell)BCN−1であり、最小ビットに対応する0番目のビットセル(BCell)が最小ビット用ビットセル(LSBCell)BC0である。ビットセル(BCell)にはグランド電圧(GND)と電源電圧(VDD)とが供給されている。
【0051】
(2)動作
(a)AD変換テスト動作
AD変換テスト動作実行時の動作を以下に説明する。
【0052】
(い)第一タイミング
第一タイミングで、制御信号(CSSH)に基づいて容量NP−SHC及び容量RP−SHCにアナログ信号(NP-RA)及びアナログ信号(RP-RA)をそれぞれサンプリングする。そして、全てのビットセル(BCell)のビットセル容量Ci,C
αに電源電圧(VDD)−接地電圧(GND)間に相当する電荷をチャージするために、制御信号(CSi、CSα)に基づいてスイッチCA−SW1及びスイッチCA−SW2をオン(ON)にする。
【0053】
(ろ)第二タイミング
第一タイミング後の第二タイミングで、制御信号(CSSH)に基づいてスイッチNP−SHSWとスイッチRP−SHSWとをオフにし、制御信号(CSα)に基づいてディザー信号用ビットセルBCαのスイッチCA−SW1とスイッチCA−SW2とをオフにする。そして、制御信号(CSSH)に基づいてスイッチNP−CSSWとスイッチRP−CSSWとをオンにし、制御信号(CSα)に基づいてディザー信号用ビットセルBCαのスイッチSW4aとスイッチSW4bとをオンにする。このオン、オフ制御によって、ディザー信号用容量C
αの一端と容量NP−SHCの一端とをノードNPCS−Nに接続させる。ディザー信号用容量C
αの他端と容量RP−SHCの一端とをノードRPCS−Nに接続させる。このことによって、ディザー信号用容量C
α内の電荷と容量NP−SHC内の電荷とがチャージシェアされてノードNPCS−Nに電荷配分される。ディザー信号用容量C
α内の電荷と容量RP−SHC内の電荷とがチャージシェアされてノードRPCS−Nに電荷配分される。電荷配分されたノードNPCS−Nの電圧と電荷配分されたノードRPCS−Nの電圧とが比較器CS−CMPにより比較される。比較器CS−CMPは、例えば、比較結果が正であれば1、負であれば0を出力する。この比較結果に基づいて、制御回路221Aが最大ビットであるN−1番目のデジタル出力信号(D
N−1)を決定する。
【0054】
(は)第三タイミング
第二タイミングの後の第三タイミングにて、制御信号(CS
N-1)及びデジタル出力信号(D
N−1)に基づいて、最大ビット用ビットセルBC
N−1のスイッチが制御される。D
N−1が1のとき、スイッチSW5a及びSW5bをオンにする。このことで、最大ビット用ビットセルBC
N−1のビットセル容量C
N−1内の電荷量がノードNPCS−Nの電荷量から差し引かれる。更に、最大ビット用ビットセルBC
N−1のビットセル容量C
N−1内の電荷量がノードRPCS−Nの電荷量から差し引かれる。D
N−1が0のとき、スイッチSW4a及びSW4bをオンにする。このことで、最大ビット用ビットセルBC
N−1のビットセル容量C
N−1内の電荷量がノードNPCS−Nに足し合わされる。更に、最大ビット用ビットセルBC
N−1のビットセル容量C
N−1内の電荷量がノードRPCS−Nに足し合わされる。このことによりノードNPCS−Nにおいて電荷配分が行われ、ノードRPCS−Nにおいて電荷配分が行われる。電荷配分されたノードNPCS−Nの電圧と電荷配分されたノードRPCS−Nの電圧が比較器CS−CMPにより比較される。比較器CS−CMPは、例えば、比較結果が正であれば1、負であれば0を出力する。この比較結果に基づいてN−2番目のデジタル出力信号(D
N−2)を制御回路22が決定する。
【0055】
以下このような動作を繰り返してデジタル出力信号(D
0)まで決定する。
【0056】
尚、印加したいディザー電圧を反転させたいとき(第二ディザー信号(Dither2)を印加するとき)は、第二タイミングにてディザー信号用ビットセルBCαDのスイッチSW4a及びスイッチSW4bの代わりにスイッチSW5a及びスイッチSW5bをオンにすればよい。
【0057】
(b)AD変換本番動作
AD変換本番動作時の動作はAD変換テスト動作時と基本的に同じであるが、ディザー信号用ビットセルBCαを用いないため、ディザー信号用ビットセルBCαのスイッチCA−SW2及びスイッチDC−SW3をオンのままにて動作させる。
【0058】
このように動作させることで、AD変換テスト動作時にはディザー信号成分を重畳させた形にてAD変換動作させ、AD変換本番動作時にはディザー信号成分をなしにしてAD変換動作させる。
【0059】
(3)まとめ
逐次比較型のAD変換部であるので、50MS/s以下で数mW以下の低消費電力が可能である。参照電圧へのアクセス頻度が、第一AD変換結果(D1R)や第二AD変換結果(D2R)を1回出すごとに1回でよいように少ないので、参照電圧の生成を容易化できる利点がある。更に参照電圧を生成するレギュレータの消費電力を削減でき、設計も容易化できる。ここで述べる参照電圧とは、全てのビットセルBCellのビットセル容量Ciに電源電圧(VDD)−接地電圧(GND)間に相当する電荷をチャージするための電圧である。尚電荷シェア型のAD変換部とは、アナログ信号がサンプリングされる容量である容量NP−SHCや容量RP−SHCに蓄えられた電荷を、ディザー信号用容量C
αやビットセル容量Ciとアナログ信号がサンプリングされる容量である容量NP−SHCや容量RP−SHCとでシェアする(分け合う)ことでAD変換動作を行うAD変換部である。
【0060】
5.バッファ部
図5はバッファ部の構成を表す図である。バッファ部4Aは抵抗R1と、スイッチADC−SWと、抵抗R2と、容量FB−Cと、オペアンプOP−AMPと、DA変換回路(CAL m-bit DAC)41Aとを有する。ここで、バッファ部は、保持部又は保持回路ということもある。
【0061】
抵抗R1の一端には入力信号(ADC-IN)が入力され、抵抗R1の他端はスイッチADC−SWの一端に接続されている。スイッチADC−SWの他端はオペアンプOP−AMPの反転入力端子(−)に接続されている。抵抗R2の一端はオペアンプOP−AMPの反転入力端子(−)に接続されており、抵抗R2の他端はオペアンプOP−AMPの出力端子に接続されている。容量FB−Cは抵抗R2と並列接続されている。オペアンプOP−AMPの非反転入力端子(+)には電源電圧(VDD)の半分の電圧である電源電圧(VDD/2)が入力されている。DA変換回路41Aにはmビットの(mは自然数)デジタル入力信号(DAC-IN)が入力されることで、オペアンプ51の出力端子から抵抗R2を通ってオペアンプOP−AMPの反転入力端子(−)を通り、DA変換回路41Aに至る電流(I
DAC)が流される。DA変換回路41AとオペアンプOP−AMPと抵抗R2と容量FB−CとでDA変換器を構成する。また、抵抗R1と抵抗R2と容量FB−CとオペアンプOP−AMPとで入力バッファ回路を構成する。
【0062】
AD変換テスト動作時には、モードレジスタ5AにAD変換補正モード(CM)が設定されることにより出力されるモード信号(Mode)に基づいて、スイッチADC−SWがオフされる。DA変換回路41Aにはmビットの(mは自然数)デジタル入力信号(DAC-IN)が入力されることで、このmビットの設定値に従った電流(I
DAC)が流される。この電流(I
DAC)により抵抗R2の他端に出力信号(DAC-OUT)が発生する。この出力信号(DAC-OUT)はmビットの(mは自然数)デジタル入力信号(DAC-IN)により生成されるために、精度は低いものの補正係数(CC)を定めるためには十分に多様な値を持つものとなる。又、電流(I
DAC)はmビットに対応した複数の電流源に流れる電流量に従ったものとなる。これはそれぞれの電流源に電流が流れるか否かがmビットの値によりスイッチ制御される形態となっているために、mビットの値に比例した電流(I
DAC)を流す構成にDA変換回路41Aがなっているからである。よって2変換周期(2/fs)の間には一定となり、出力信号(DAC-OUT)も2変換周期(2/fs)の間は一定となる。よってバッファ部4Aによって出力信号(DAC-OUT)を2変換周期(2/fs)の間に高精度に保持する。このようにバッファ部4Aが2変換周期(2/fs)の間出力信号(DAC-OUT)を保持することで、第一AD変換期間(A/D1)にてサンプリングされる出力信号(DAC-OUT)と第二AD変換期間(A/D2)にてサンプリングされる出力信号(DAC-OUT)とが同じ電圧となるために、AD変換部として電荷シェア型のAD変換部2Aを用いることができる。電荷シェア型のAD変換部はサンプリングされる入力電圧をAD変換処理の際に破壊してしまうために、出力信号(DAC-OUT)を保持することが必要となるからである。十分に多様な出力信号(DAC-OUT)を生成するためにmビットのデジタル入力信号(DAC-IN)は2変換周期(2/fs)ごとに変更され、この変更されたmビットの設定値に従った電流(I
DAC)が流されることで、出力信号(DAC-OUT)が生成される。
【0063】
AD変換本番動作時には、モードレジスタ5AにAD変換本番モード(RM)が設定されることにより出力されるモード信号(Mode)に基づいて、スイッチADC−SWがオンされる。入力信号(ADC-IN)が入力されることで、出力信号(BUF-OUT)が出力される。出力信号(BUF-OUT)の入力信号(ADC-IN)に対する利得は−(抵抗R2の抵抗値/抵抗R1の抵抗値)倍となっている。容量FB−Cは雑音抵抗用である。AD変換本番動作時には電流(I
DAC)が0になるように、mビットのデジタル入力信号(DAC-IN)が設定される。
【0064】
このようにバッファ部4Aは、AD変換テスト動作時には補正係数(CC)を算出するための出力信号(DAC-OUT)をDA変換処理することで生成し、AD変換本番動作時には入力信号(ADC-IN)を上述した利得の倍率にて変換することで出力信号(BUF-OUT)を生成する。よってバッファ部4Aは補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(DAC-OUT)の生成機能と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成機能とを両方有している。また、入力バッファ回路とDA変換器とで、オペアンプOP−AMPと抵抗R2と容量FB−Cとを共有するため面積オーバヘッドが少なくなる。
【0065】
以上まとめると実施例1による半導体集積回路装置10Aは、AD変換部2Aとデジタル補正部3Aとバッファ部4Aとを有する。AD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)に、AD変換部2Aがディザー信号(Dither1)及び出力信号(DAC-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第一AD変換結果(D1R)を出力する。更にその後の第二AD変換期間(A/D2)に、AD変換部2Aが出力信号(DAC-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第二AD変換結果(D2R)を出力する。第一AD変換結果(D1R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC1R)と第二AD変換結果(D2R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC2R)に基づいてAD変換用の補正係数(CC)を決定する。バッファ部4AによりAD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)及び第二AD変換期間(A/D1)には出力信号(DAC-OUT)は保持されている。
【0066】
このように、AD変換テスト動作時に、第一AD変換期間(A/D1)と第二AD変換期間(A/D2)との間にて、バッファ部が出力信号(DAC-OUT)を保持している。よって、AD変換部を電荷シェア型のAD変換部を用いることができ、参照電圧へのアクセス頻度が少ないので、参照電圧の生成を容易化できる利点がある。更に参照電圧を生成するレギュレータの消費電力を削減でき、設計も容易化できる。更にアナログ回路であるAD変換部2Aは1つでいいので、面積の増大も抑えられる。
【0067】
また、バッファ部4Aは補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(DAC-OUT)の生成機能と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成機能とを両方有している。よって、補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(DAC-OUT)の生成するための回路と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成するための回路とを別個に設ける必要がなく、面積を削減できる。
【0068】
さらに、ディザー信号(Dither)により、AD変換補正モード(CM)において、第一AD変換結果(D1R)のデジタル補正ための補正係数(CC)と、第二AD変換結果(D2R)のデジタル補正のための補正係数(CC)とは、上位ビットが互いに異なる状態となる。よって確実に早く補正係数(CC)の探索を行うことが出来る。
【0069】
(変形例1)
図24は実施例1の変形例に係るデジタル補正部にブロック図である。実施例1のデジタル補正部3Aのデジタル補正回路は2つ設けられたが、変形例1のデジタル補正部3AAでは1つにしている。デジタル補正部3AAは、
図24に示すように、第一デジタル補正回路31Aを削除し、遅延回路34Aを第二デジタル補正回路32Aの後段に移動させている。更に、AD変換テスト動作時において変換誤差生成回路EGCは、初めのAD変換結果(D1R)のデジタル補正処理結果(DC1R)が遅延回路34Aを通して入力され、1変換周期(1/fs)後のAD変換結果(D2R)をデジタル補正処理した結果(DC2R)を直接入力され、ディザー信号成分に相当する値2αを引くことで、変換誤差(e)を生成する。AD変換本番動作時には2回目のAD変換結果(D2R)をデジタル補正処理した結果(DC2R)を出力信号(ADC-OUT)とするような態様とする。この場合はデジタル補正回路が共通化されて実施例1に比べて面積が削減される。この構成は、後述する実施例2及び実施例3のデジタル補正部にも適用することができる。
【0070】
(実施例2)
図25Aは実施例2に係るAD変換器のブロック図である。
図25Bはバッファ部の出力信号の波形図である。
図6は実施例2の半導体集積回路装置の構成及びAD変換器のAD変換テスト動作時におけるタイミングフローを表す図である。
【0071】
図25Aに示すように、実施例2に係るAD変換器1Bと実施例1に係るAD変換器1Aとの違いは、バッファ部4Aがバッファ部4Bに変更されており、AD変換部2AがAD変換部2Bに変更されていることである。
【0072】
この変更に伴い、AD変換テスト動作時にバッファ部4Bから出力される信号は、
図25Bに示すように2変換周期(2/fs)ごとに値が変更される階段状の波形(テスト信号(TEST-S)という。)に、2αの振幅で1変換周期(1/fs)ごとに値が変更する波形が重畳された出力信号(DAC-OUT)となる。テスト信号(TEST-S)は、実施例1の出力信号(DAC-OUT)と同一の波形となる。テスト信号(TEST-S)は、バッファ部4Bによって2変換周期(2/fs)の間は値が保持されている形となっている。
図6の上段においては、テスト信号(TEST-S)は点線にて表現されており、出力信号(DAC-OUT)は実線にて表現されている。バッファ部4Bには第一ディザー信号(Dither1)及び第二ディザー信号(Dither2)は入力され、AD変換部2Bには第一ディザー信号(Dither1)及び第二ディザー信号(Dither2)は入力されない。
【0073】
それ以外は実施例1のAD変換器1Aと実施例2のAD変換器1Bは特に違いがないので、重複する説明は省略する。
【0074】
図7は実施例2のAD変換部の構成を表した図である。実施例2に係るAD変換部2Bと実施例1のAD変換部2Aとの違いは、変換回路にディザー信号用ビットセル(DBCell)が無く、このディザー信号用ビットセル(DBCell)に入出力される信号もないことである。これに伴い、制御信号が異なるため、制御回路221Aが制御回路221Bに変更になっている。それ以外は実施例1のAD変換部2AとAD変換部2Bとの間に違いは無いので、重複する説明は省略する。
【0075】
図8は実施例2のバッファ部の構成を表した図である。
【0076】
実施例2に係るバッファ部4Bと実施例1のバッファ部4Aとの違いは、新たにDA変換回路(CAL 1-bit DAC)42Bが設けられることである。DA変換回路42Bにはディザー信号(Dither)に対応する1ビットの入力信号(±α)が入力されることで、電流(I
Dither)が流される。この電流(I
Dither)に電流(I
DAC)が重畳されることより抵抗R2の他端に出力信号(DAC-OUT)が発生する。この出力信号(DAC-OUT)はmビット(mは自然数)の入力信号(DAC-IN)及び1ビットの入力信号(±α)により生成されるために、精度は低いものの補正係数(CC)を定めるためには十分に多様な値を持つものとなる。又、電流(I
DAC)はmビットに対応した複数の電流源に流れる電流量に従ったものとなるために、2変換周期(2/fs)の間には一定となる。電流(I
Dither)は1ビットに対応した複数の電流源に流れる電流量に従ったものであり、1変換周期(1/fs)ごとに変更されるものである。よって電流(I
DAC)に対応した2変換周期(2/fs)の間に高精度に保持された出力電圧(テスト信号(TEST-S))に、電流(I
Dither)に対応した1変換周期(1/fs)ごとに変更される出力電圧(ディザー信号(Dither))が重畳されたような、出力信号(DAC-OUT)がバッファ部4Bから出力される。
【0077】
このようにディザー信号はAD変換部に必ずしも直接入力する必要はなく、その前段のバッファ部の出力信号(DAC-OUT)に重畳させる形としてもよい。また、実施例1と同様にディザー信号は第一ディザー信号(Dither1)と第二ディザー信号(Dither2)のように2つあるのがより好ましいが、どちらか一方がある場合でもよい。さらに、補正係数探索に時間がかかってもよい場合は、ディザー信号がなくてもよい。
【0078】
以上まとめると実施例2による半導体集積回路装置10Bは、AD変換部2Bとデジタル補正部3Aとバッファ部4Bとを有する。AD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)に、AD変換部2Bが出力信号(DAC-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第一AD変換結果(D1R)を出力する。更にその後の第二AD変換期間(A/D2)に、AD変換部2Bが出力信号(DAC-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第二AD変換結果(D2R)を出力する。第一AD変換結果(D1R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC1R)と第二AD変換結果(D2R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC2R)に基づいてAD変換用の補正係数(CC)を決定する。バッファ部4BによりAD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)及び第二AD変換期間(A/D1)には出力信号(DAC-OUT)のうちのテスト信号(TEST-S)は保持されている。バッファ部4BでDA変換回路42Bの出力に第一ディザー信号(Dither1)が重畳されて出力信号(DAC-OUT)が出力される。
【0079】
これにより、AD変換テスト動作時に、第一AD変換期間(A/D1)と第二AD変換期間(A/D2)との間にて、バッファ部4Bが出力信号(DAC-OUT)のうちのテスト信号(TEST-S)を保持している。よって、AD変換部を電荷シェア型のAD変換部を用いることができ、参照電圧へのアクセス頻度が少ないので、参照電圧の生成を容易化できる利点がある。更に参照電圧を生成するレギュレータの消費電力を削減でき、設計も容易化できる。更にアナログ回路であるAD変換部2Bは1つでいいので、面積の増大も抑えられる。
【0080】
また、バッファ部4Bは補正係数(CC)を算出するためのテスト信号(TEST-S)にディザー信号(Dither)が重畳された出力信号(DAC-OUT)の生成機能と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成機能とを両方有している。よって、補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(DAC-OUT)の生成するための回路と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成するための回路とを別個に設ける必要がなく、面積を削減できる。
【0081】
さらに、ディザー信号(Dither)により、AD変換補正モード(CM)において、第一AD変換結果(D1R)のデジタル補正ための補正係数(CC)と、第二AD変換結果(D2R)のデジタル補正のための補正係数(CC)とは、上位ビットが互いに異なる状態となる。よって確実に早く補正係数(CC)の探索を行うことが出来る。
【0082】
(実施例3)
図26Aは実施例3に係るAD変換器のブロック図である。
図26Bは実施例3に係るAD変換部を表す図である。
図26Cは実施例3に係る補正係数探索回路のブロック図である。
図9は実施例3の半導体集積回路装置の構成及びAD変換器のAD変換テスト動作時におけるタイミングフローを表す図である。
【0083】
図26Aに示すAD変換器1Cは実施例1のAD変換器1Aとは以下の点が異なる。バッファ部4Bは実施例2のものを用いている。AD変換部2Cが実施例1のAD変換部2Aとは異なる。遅延回路34Cが実施例1の遅延回路34Aとは異なる。補正係数探索回路(CCSC)33Cが実施例1の補正係数探索回路(CCSC)33Aとは異なる。第二デジタル補正回路(DCC)32Aの出力(DC2R)が利得補正回路35Cに入力される形となっており、利得補正回路35Cの出力(GC2R)が補正係数探索回路33Aに入力される形となっている。第一デジタル補正部(DCC)31Aの出力(DC1R)と利得補正回路35Cの出力(GC2R)とがマルチプレクサ(MUX)36Cにより選択されて出力信号(ADC-OUT)として出力される形となっている。よってデジタル補正部3Cは、デジタル補正部3Aに比べると新たにマルチプレクサ36Cと、利得補正回路35Cを有する形となる。
【0084】
図26Bに示すように、AD変換部2CはAD変換処理のインターリーブ動作を可能とするために、サンプリング回路(SU)21Cと変換回路(CU)22Cとを持つ。サンプリング回路21CはスイッチSHSW1と容量SHC1とスイッチCSSW1とを有する。さらに、サンプリング回路21CはスイッチSHSW2と容量SHC2とスイッチCSSW2とを有する。
【0085】
スイッチSHSW1及びスイッチSHSW2はバッファ部4Bからの出力信号(DAC-OUT/BUF-OUT)を受ける。容量SHC1及び容量SHC2はバッファ部4Bからの出力信号(DAC-OUT/BUF-OUT)をサンプリングして保持する。容量SHC1と後に説明する変換回路22Cのビットセル(BCell)との間にて電荷をシェアするためのスイッチCSSW1が容量SHC1に接続されている。容量SHC2と後に説明する変換回路22Cのビットセル(BCell)との間にて電荷をシェアするためのスイッチCSSW2が容量SHC2に接続されている。
【0086】
遅延回路(DL)34CはAD変換部2Cからの出力信号(Di)をAD変換テスト動作時において1変換周期(1/fs)だけ遅らせ、AD変換本番動作時においてはAD変換部2Cからの出力信号(Di)を実質的に遅延させないでマルチプレクサ(MUX)36Cに出力する。
【0087】
利得補正回路(GC)35Cはインターリーブ動作に起因する容量SHC1と容量SHC2との間の容量値の製造ばらつきによる差や、温度や配置による差に起因して、第一デジタル補正回路(DCC)31Aからの出力信号(DC1R)と第二デジタル補正回路(DCC)32Aからの出力信号(DC2R)がずれるのを補正するためのものである。この補正はデジタル補正により行い、補正係数レジスタ(CCRES)3321Cに格納されている補正係数(GCC)(
図9等にてW
0にて表示されているもの)を用いて実施される。
【0088】
AD変換テスト動作時においては、バッファ部4Bにデジタル入力信号(DAC-IN)及び1ビットのディザー入力信号(Dither)が入力され、デジタル入力信号(DAC-IN)及びディザー入力信号(Dither)がDA変換処理されて、アナログ信号としての出力信号(DAC-OUT)がAD変換部2Cに出力される。ここで、デジタル入力信号(DAC-IN)はmビット(mは自然数)のデジタル信号である。ディザー入力信号(Dither)の値は±αである。AD変換テスト動作時にバッファ部4Bから出力される信号は、2変換周期(2/fs)ごとに値が変更される階段状の波形に、2αの振幅で1変換周期(1/fs)ごとに値が変更する波形が重畳された出力信号(DAC-OUT)となる。階段状の波形成分(テスト信号(TEST-S))は、バッファ部4Bによって2変換周期(2/fs)の間は値が保持されている形となっている。
図9の下段においては、テスト信号(TEST-S)は点線にて表現されており、出力信号(DAC-OUT)は実線にて表現されている。
【0089】
図9のタイミングフローに示すような以下の処理が実行される。
【0090】
(1)サンプリング期間(SHC1-S)
1変換期間(1/fs)の長さがあるサンプリング期間(SHC1-S)にてAD変換部2Cは、補正係数(CC)及び補正係数(GCC)を算出するための出力信号(DAC-OUT)をサンプリングする。出力信号(DAC-OUT)の波形は実施例2で説明した出力信号(DAC-OUT)の形となる。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンし、スイッチCSSW1、スイッチSHSW2、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC1に出力信号(DAC-OUT)を蓄積することで実行される。
【0091】
(2)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)
上記(1)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後AD変換部2Cは、サンプリング期間(SHC2-S)にて出力信号(DAC-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC1に蓄えられた出力信号をAD変換処理してその結果を第一AD変換結果(D1R)として遅延回路34Cに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオフにし、スイッチCSSW1オンにし、スイッチSHSW2をオンにし、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC2に出力信号(DAC-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路23Cによって容量SHC1に蓄積されていた出力信号(DAC-OUT)がAD変換処理されて変換回路23Cから第一AD変換結果(D1R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC2-S)はAD変換期間(SHC1-C)と重なっている。尚、この期間の出力信号(DAC-OUT)にはディザー信号成分のαが重畳されている。
【0092】
(3)サンプリング期間(SHC1-S)&変換期間(SHC2-C)
上記(2)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後AD変換部2Cは、サンプリング期間(SHC1-S)にて出力信号(DAC-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC2に蓄えられた出力信号をAD変換処理してその結果を第二AD変換結果(D2R)としてデジタル補正部3Cに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンにし、スイッチCSSW1オフにし、スイッチSHSW2をオフにし、及びスイッチCSSW2をオンにすることで、容量SHC1に出力信号(DAC-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路23Cによって容量SHC2に蓄積されていた出力信号(DAC-OUT)がAD変換処理されて変換回路23Cから第二AD変換結果(D2R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC1-S)はAD変換期間(SHC2-C)と重なっている。尚、この期間の出力信号(DAC-OUT)にはディザー信号成分の−αが重畳されている。
【0093】
第二デジタル補正結果(D2R)は遅延回路34Cにて遅延させられないので、第一デジタル補正回路(DCC)31A部に第一AD変換結果(D1R)が入力されるタイミングと、第二デジタル補正回路(DCC)32Aに第二デジタル補正結果(D2R)が入力されるタイミングとが同一期間の中に入ってくる。
【0094】
次にデジタル補正について説明する。第一デジタル補正回路31Aは補正係数(CC)(
図9でWi(OLD)と記載されている。)を用いて第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)を補正係数探索回路33Cに出力する。第二デジタル補正回路(DCC)32Aは補正係数(CC)(同図でWi(OLD)と記載されている。)を用いて第二AD変換結果(D2R)をデジタル補正した結果(DC2R)を利得補正回路(GC)35Cに出力する。
【0095】
ここで第一AD変換結果(D1R)や第二AD変換結果(D2R)をDiとする。そして、補正係数(CC)をWiとする。そのとき、実施例1で述べた式(1)のような値が第一デジタル補正回路31A及び第二デジタル補正回路32Aから出力される。ここで、iは0〜N−1であり、iはi番目のチャージシェア型AD変換部2Cのデジタル出力信号のビットを表す。Nは2以上の自然数で、ビット数を表す。
【0096】
また、利得補正回路35Cは補正係数(GCC)(
図9でW
0(OLD)と記載されている。)を用いて第二デジタル補正回路32Aからの出力(D2R)をデジタル補正した結果(GC2R)を補正係数探索回路33Cの変換誤差生成回路EGCに出力する。
【0097】
ここで利得補正回路35Cの出力は以下のような式(2)にて表される。
【0098】
【数2】
【0099】
図26Cに示すように、変換誤差生成回路EGCは、第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)から利得補正回路35Cからの出力(GC2R)を引いて、更に2αを引くことで変換誤差(e)を生成する。この変換誤差(e)に基づいてLMSアルゴリズムにより補正係数算出回路3312Cが補正係数(CC)及び補正係数(GCC)を探索する。
【0100】
補正係数算出回路3312Cは変換誤差(e)、第一AD変換結果(D1R)、第二AD変換結果(D2R)及び補正係数(CC)に従ってLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにて補正係数(CC)を算出する。ここで、補正係数(CC)は補正係数レジスタ3311Cにあらかじめ格納されていたものである(
図26CでWi(OLD)と記載されている。)。新たに算出された補正係数(CC)(同図でWi(NEW)と記載されている。)は補正係数レジスタ3311Cに新たに格納される。
【0101】
更に補正係数算出回路3312Cは変換誤差(e)、第二AD変換結果(D2R)及び補正係数(GCC)に従ってLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにて補正係数(GCC)を算出する。ここで、補正係数(GCC)は補正係数レジスタ(CCRES)3311Cにあらかじめ格納されていたものである(
図26CでW
0(OLD)と記載されている。)。新たに算出された補正係数(GCC)(同図でW
0(NEW)と記載されている。)は補正係数レジスタ3311Cに新たに格納される。なお、係数探索回路331Cには補正係数レジスタ3311Cと補正係数算出回路3312Cが含まれる。
【0102】
(4)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)以降
以降、上記(3)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、上記(2)の処理を行い、次に上記(2)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、上記(3)の処理を行うような動作を繰り返す。これによって、補正係数レジスタ3311Aの値が更新される。よって補正係数探索期間(CCS)は、AD変換期間(SHC2-C)が発生するごとに発生する。
【0103】
図10は実施例3の半導体集積回路装置の構成及びAD変換器のAD変換本番動作時におけるタイミングフローを表す図である。
【0104】
AD変換器2Cの回路構成としては
図9と同じである。モードレジスタ5AにはAD変換本番モード(RM)が設定される。
【0105】
AD変換本番動作時においては、バッファ部4Bには入力信号(ADC-IN)が入力されることにより出力信号(BUF-OUT)が出力される。
【0106】
図10のタイミングフローに示すような以下の処理が実行される。
【0107】
(1)サンプリング期間(SHC1-S)
1変換期間(1/fs)の長さがあるサンプリング期間(SHC1-S)にて入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)をAD変換部2Cがサンプリングする。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンし、スイッチCSSW1、スイッチSHSW2、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC1に出力信号(BUF-OUT)を蓄積することで実行される。
【0108】
(2)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)
上記(1)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、AD変換部2Cがサンプリング期間(SHC2-S)にて出力信号(BUF-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC1に蓄えられた出力信号をAD変換処理してその結果を第一AD変換結果(D1R)として遅延回路34Cに出力する。この際、遅延回路34Cは遅延機能をディセーブルとしているので、第一AD変換結果(D1R)は実質的に遅延されないで第一デジタル補正回路31Aに出力される。第一AD変換結果(D1R)は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(CC)を第一デジタル補正回路31Aが用いることでデジタル補正し、その結果として補正結果(DC1R)を出力する。この補正結果(DC1R)がマルチプレクサ36Cに出力される。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオフにし、スイッチCSSW1オンにし、スイッチSHSW2をオンにし、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC2に出力信号(BUF-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路23Cによって容量SHC1に蓄積されていた出力信号(BUF-OUT)がAD変換処理されて変換回路23Cから第一AD変換結果(D1R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC2-S)はAD変換期間(SHC1-C)と重なっている。第一AD変換結果(D1R)は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(CC)を第一デジタル補正回路31Aが用いることでデジタル補正され、その補正結果がマルチプレクサ36Cに出力される。マルチプレクサ36Cは第一デジタル補正回路31Aからの補正結果を選択して出力信号(ADC-OUT)として出力する。
【0109】
(3)サンプリング期間(SHC1-S)&変換期間(SHC2-C)
上記(2)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後にAD変換部2Cが、サンプリング期間(SHC1-S)にて出力信号(BUF-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC2に蓄えられた出力信号(BUF-OUT)をAD変換処理してその結果を第二AD変換結果(D2R)として第二デジタル補正回路32Aに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21CスイッチSHSW1をオンにし、スイッチCSSW1オフにし、スイッチSHSW2をオフにし、及びスイッチCSSW2をオンにすることで、容量SHC1に出力信号(BUF-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路23Cによって容量SHC2に蓄積されていた出力信号(BUF-OUT)がAD変換処理されて変換回路23Cから第二AD変換結果(D2R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC1-S)はAD変換期間(SHC2-C)と重なっている。第二AD変換結果(D2R)は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(CC)を第二デジタル補正回路32Aが用いることでデジタル補正され、その補正結果(DC2R)が利得補正回路35Cに出力される。第二デジタル補正回路32Aからの出力は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(GCC)を利得補正回路35Cが用いることでデジタル補正され、その補正結果がマルチプレクサ36Cに出力される。マルチプレクサ36Cは利得補正回路35Cからの補正結果(GC2R)を選択して出力信号(ADC-OUT)として出力する。
図10に示すように、点線で示した遅延回路34C、係数探索回路33CはAD変換本番動作時は動作しない。しかしながら、補正係数探索回路33Cは補正係数(CC)や補正係数(GCC)を保持しデジタル補正回路31A,32Aや利得補正回路35Cに出力する。
【0110】
(4)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)以降
以降、上記(3)にて示した処理の1変換期間1/fs後、上記(2)の処理を行い、次に上記(2)にて示した処理の1変換期間1/fs後、上記(3)の処理を行うような動作を繰り返す。
【0111】
このように、AD変換器1Cはインターリーブ動作を行う。ここで言うインターリーブ動作とは、2ペアの容量を持ち、一方の容量に入力信号をサンプリングして蓄積しているときに、他方の容量に蓄積された入力信号を処理することである。インターリーブ動作によりAD変換器1Cは、実施例1や実施例2のAD変換器1AやAD変換器1Bに比べて、低速に動作しても高速に信号処理が可能となり、低消費電力となる。これはAD変換器1AやAD変換器1Bは1変換周期(1/fs)の間に入力信号のサンプリングの後にAD変換処理を行う必要があり、高速動作が必要になるからである。AD変換器1Cは1変換周期(1/fs)の間にサンプリングとAD変換処理を並行して実施するために低速動作となる。
【0112】
インターリーブ動作によって、容量SHC1と容量SHC2の間の容量値ばらつきに起因して第一AD変換結果(D1R)と第二AD変換結果(D2R)との間の変換利得が変わり歪が生じる。この歪の補正を利得補正回路35Cにて行い、補正係数(GCC)を用いることで、インターリーブ動作に伴う歪を低減できる。
【0113】
図11Aは実施例3のAD変換部の詳細図である。
図11B、
図11Cはサンプリング回路の回路図である。
【0114】
実施例3においては、AD変換部2Cは単相信号を取り扱うものとなっているが、差動信号を取り扱うものであるとしても問題はない。
図11Aに示すAD変換部2Cは入力信号が差動信号を出力信号は単相信号を取り扱う構成となっている。
【0115】
変換回路22C内の各構成要素は、制御回路を除いて、
図7の変換回路22Bの符号が同じである各構成要素と対応している。
【0116】
図11Bに示すサンプリング回路(SU-G1)211Cの各構成要素と
図7のサンプリング回路21A(
図4Bのサンプリング回路21A)の各構成要素とは以下のように対応している。スイッチNP−SHSW1と、スイッチNP−SHSWが対応している。容量NP−SHC1と容量NP−SHCが対応している。スイッチNP−CSSW1とスイッチNP−CSSWが対応している。スイッチRP−SHSW1とスイッチRP−SHSWとが対応している。容量RP−SHC1と容量RP−SHCが対応している。スイッチRP−CSSW1とスイッチRP−CSSWが対応している。アナログ信号NP−RA1とアナログ信号NP−RAとが対応している。アナログ信号RP−RA1とアナログ信号RP−RAとが対応している。
【0117】
図11Cに示すサンプリング回路(SU-G2)212Cの各構成要素と
図7のサンプリング回路21A(
図4Bのサンプリング回路21A)の各構成要素とは以下のように対応している。スイッチNP−SHSW2と、スイッチNP−SHSWが対応している。容量NP−SHC2と容量NP−SHCが対応している。スイッチNP−CSSW2とスイッチNP−CSSWが対応している。スイッチRP−SHSW2とスイッチRP−SHSWとが対応している。容量RP−SHC2と容量RP−SHCが対応している。スイッチRP−CSSW2とスイッチRP−CSSWが対応している。アナログ信号NP−RA2とアナログ信号NP−RAとが対応している。アナログ信号RP−RA2とアナログ信号RP−RAとが対応している。
【0118】
以下にAD変換部2Cの動作について説明する。
【0119】
(1)サンプリング期間(SHC1-S)
サンプリング期間(SHC1-S)には、サンプリング回路211Cの各構成要素は、対応する
図7のAD変換部2Bの各構成要素と以下のような同様の動作を行う。
【0120】
図4の説明箇所の(2)動作の(a)AD変換テスト動作の第一タイミングでの動作を行う。
【0121】
(2)変換期間(SHC1-C)
AD変換期間(SHC1-C)には、サンプリング回路211Cの各構成要素及び変換回路22Cの各構成要素は、対応する
図7のAD変換部2Bの各構成要素と以下のような同様の動作を行う。
【0122】
図4の説明箇所の(2)動作の(a)AD変換テスト動作の第二タイミング及び第三タイミングでの動作を行う。ディザー信号用ビットセル(DBCell)に関する動作は当然に無い。
【0123】
(3)サンプリング期間(SHC2-S)
サンプリング期間(SHC2-S)には、サンプリング回路212Cの各構成要素は、対応する
図7のAD変換部2Bの各構成要素と以下のような同様の動作を行う。
【0124】
図4の説明箇所の(2)動作の(a)AD変換テスト動作の第一タイミングでの動作を行う。
【0125】
(4)変換期間(SHC2-C)
AD変換期間(SHC2-C)には、サンプリング回路212Cの各構成要素及び変換回路22Cの各構成要素は、対応する
図7のAD変換部2Bの各構成要素と以下のような同様の動作を行う。
【0126】
図4の説明箇所の(2)動作の(a)AD変換テスト動作の第二タイミング及び第三タイミングでの動作を行う。ディザー信号用ビットセル(DBCell)に関する動作は当然に無い。
【0127】
実施例3において、バッファ部4Bをバッファ部4Aとし、AD変換部2Cにディザー信号用ビットセル(DBCell)を設ける(変換回路22Cに替えて変換回路22Aを用いる)形としてもよい。
【0128】
以上まとめると実施例3による半導体集積回路装置10Cは、AD変換部2Cとデジタル補正部3Cとバッファ部4Bとを有する。AD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)に、AD変換部2Cが出力信号(DAC-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第一AD変換結果(D1R)を出力する。更にその後の第二AD変換期間(A/D2)に、AD変換部2Cが出力信号(DAC-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第二AD変換結果(D2R)を出力する。第一AD変換結果(D1R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC1R)と第二AD変換結果(D2R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC2R)に基づいてAD変換用の補正係数(CC)を決定する。バッファ部4BによりAD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)及び第二AD変換期間(A/D1)には出力信号(DAC-OUT)のうちのテスト信号(TEST-S)は保持されている。バッファ部4BでDA変換回路42Bの出力に第一ディザー信号(Dither1)が重畳されて出力信号(DAC-OUT)が出力される。
【0129】
これにより、AD変換テスト動作時に、第一AD変換期間(A/D1)と第二AD変換期間(A/D2)との間にて、バッファ部4Bが出力信号(DAC-OUT)のうちのテスト信号(TEST-S)を保持している。よって、AD変換部を電荷シェア型のAD変換部を用いることができ、参照電圧へのアクセス頻度が少ないので、参照電圧の生成を容易化できる利点がある。更に参照電圧を生成するレギュレータの消費電力を削減でき、設計も容易化できる。更にアナログ回路であるAD変換部2Bは1つでいいので、面積の増大も抑えられる。
【0130】
また、バッファ部4Bは補正係数(CC)を算出するための出力信号(DAC-OUT)の生成機能と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成機能とを両方有している。よって、補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(DAC-OUT)の生成するための回路と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成するための回路とを別個に設ける必要がなく、面積を削減できる。
【0131】
さらに、ディザー信号(Dither)により、AD変換補正モード(CM)において、第一AD変換結果(D1R)のデジタル補正ための補正係数(CC)と、第二AD変換結果(D2R)のデジタル補正のための補正係数(CC)とは、上位ビットが互いに異なる状態となる。よって確実に早く補正係数(CC)の探索を行うことが出来る。
【0132】
また、インターリーブ動作によりAD変換部2Cは、実施例1や実施例2のAD変換部2AやAD変換部2Bに比べて、低速に動作しても高速に信号処理が可能となり、低消費電力となる。AD変換部2Cは1変換周期(1/fs)の間にサンプリングとAD変換処理を並行して実施するために低速動作となる。
【0133】
インターリーブ動作によって、容量SHC1と容量SHC2の間の容量値ばらつきに起因して第一AD変換結果(D1R)と第二AD変換結果(D2R)との間の変換利得が変わり、歪が生じる。この歪の補正を利得補正回路35Cにて行い、補正係数(GCC)を用いることで、インターリーブ動作に伴う歪を低減できる。
【0134】
(実施例4)
図27は実施例4に係るAD変換器のブロック図である。
図12は実施例4に係る半導体集積回路装置の構成及び動作を表す図である。
【0135】
図27に示すAD変換器1Dは実施例1のAD変換器1Aとは以下の点で異なる。バッファ部4Aの変わりにバッファ部4Dを有する。又、バッファ部4Dに入出力される信号は、AD変換テスト動作時には、デジタル入力信号(DAC-IN)の変わりにテスト入力信号(TEST-IN)が入力され、出力信号(DAC-OUT)の変わりに出力信号(TEST-OUT)が出力される。出力信号(DAC-OUT)の波形と出力信号(TEST-OUT)の波形とは同じ形となっている。これら以外は、AD変換器1Dと実施例1のAD変換器1Aとは同じである。
【0136】
図13Aは実施例4のバッファ部の構成及び動作を表す図である。
図13Bは実施例4に係るバッファ部の制御クロックのタイミングを示す図である。
【0137】
バッファ部(BUFU)4Dは、サンプルホールド回路S/HCと、入力バッファ回路BUFと、スイッチS/H−SWと、スイッチBUF−SWと、制御回路(CTL)43Dとを有する。サンプルホールド回路S/HCは、スイッチS/H−SW1と、スイッチS/H−SW2と、スイッチS/H−SW3と、容量Cと、オペアンプS/H−OP−AMPとを有する。入力バッファ回路BUFは
図5のバッファ部4Aと基本的に同じであるが、構成要素のDA変換回路41Aは有さない。
【0138】
スイッチS/H−SW1の一端には三角波のテスト入力信号(TEST-IN)が入力され、スイッチS/H−SW1の他端は容量Cの一端に接続される。スイッチS/H―SW2の一端はオペアンプS/H−OP−AMPの反転入力端子(−)に接続され、スイッチS/H−SW2の他端はオペアンプS/H−OP−AMPの非反転入力端子(+)に接続される。オペアンプ容量Cの一端はスイッチS/H−SW3の一端に接続され、容量Cの他端はオペアンプS/H−OP−AMPの反転入力端子(−)に接続される。スイッチS/H−SW3の他端はオペアンプS/H−OP−AMPの出力端子に接続される。オペアンプS/H−OP−AMPの非反転入力端子(+)には電源電圧(VDD)の半分の電圧である電源電圧(VDD/2)の電圧が入力される。入力信号(TEST-IN)は三角波に限られず、正弦波でもよい。
【0139】
スイッチS/H−SWはオペアンプS/H−OP−AMPの出力端子に接続される。スイッチS/H−SWがオンのときには、サンプルホールド回路S/HCの出力信号がバッファ部4Dの出力信号として出力される。スイッチBUF−SWはオペアンプOP−AMPの出力端子に接続される。スイッチBUF−SWがオンのときには、入力バッファ回路BUFの出力信号がバッファ部4Dの出力信号として出力される。
【0140】
AD変換テスト動作時には、モードレジスタ5AにAD変換補正モード(CM)が設定されて、モード信号(Mode)が制御回路43Dに入力されることにより、スイッチBUF−SWがオフされ、スイッチS/H−SWがオンされる。
図13Bに示すように、スイッチS/H−SW1の制御クロックが第一クロック(CLK1)となっており、スイッチS/H−SW2の制御クロックが第二クロック(CLK2)となっており、スイッチS/H−SW3の制御クロックが第三クロック(CLK3)となっている。第一クロック(CLK1)がハイレベルのとき、スイッチS/H−SW1はオンし、第一クロック(CLK1)がロウレベルのとき、スイッチS/H−SW1はオフする。第二クロック(CLK2)がハイレベルのとき、スイッチS/H−SW2はオンし、第二クロック(CLK2)がロウレベルのとき、スイッチS/H−SW2はオフする。第三クロック(CLK3)がハイレベルのとき、スイッチS/H−SW3はオンし、第三クロック(CLK3)がロウレベルのとき、スイッチS/H−SW3はオフする。第一クロック(CLK1)及び第二クロック(CLK2)は周期が2変換周期(2/fs)であり、デューティーが小さくなっており、スイッチS/H−SW1及びスイッチS/H−SW2のオン期間が小さくなっている。第三クロック(CLK3)は周期が2変換周期(2/fs)であり、デューティーが大きくなっており、スイッチS/H−SW2のオン期間が大きくなっている。基本的には、第一クロック(CLK1)(第二クロック(CLK2))と第三クロック(CLK3)とは相補的な関係となっているが、スイッチS/H−SW1(スイッチS/H−SW2)とスイッチS/H−SW3とが同時にオフするようなデッドタイムが設けられる態様になっている。
【0141】
第一クロック(CLK1)(第二クロック(CLK2))がハイレベルで第三クロック(CLK3)がロウレベルのとき、容量Cにテスト入力信号(TEST-IN)がサンプリングされる。第一クロック(CLK1)(第二クロック(CLK2))がロウレベルで第三クロック(CLK3)がハイレベルのとき、容量Cに保持されたテスト入力信号(TEST-IN)が出力信号(TEST-OUT)として出力される。
図13Bのタイミングチャートに矢印にて示されるサンプリング期間(S)は第二クロック(CLK2)がハイレベルのときに当てはまるようになっている。これはそれ以外の期間は出力信号(TEST-OUT)が保持されている形となっていないからである。よって
図12における説明において、出力信号(TEST-OUT)は出力信号(DAC-OUT)と同じと記載をしたが、厳密には異なり、第二AD変換期間(A/D2)においては、出力信号(DAC-OUT)の値は一定となっていない。
【0142】
AD変換本番動作時には、モードレジスタ5AにAD変換本番モード(RM)が設定されて、モード信号(Mode)が制御回路43Dに入力されることにより、スイッチBUF−SWがオンされ、スイッチS/H−SWがオフされる。入力バッファ回路BUFに入力信号(ADC-IN)が入力されることにより、出力信号(BUF-OUT)が出力される。
【0143】
以上まとめると実施例4による半導体集積回路装置10Dは、AD変換部2Aとデジタル補正部3Aとバッファ部4Dとを有する。AD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)に、AD変換部2Aがディザー信号(Dither1)及び出力信号(TEST-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第一AD変換結果(D1R)を出力する。更にその後の第二AD変換期間(A/D2)に、AD変換部2Aが出力信号(TEST-OUT)をAD変換処理することでデジタル信号として第二AD変換結果(D2R)を出力する。第一AD変換結果(D1R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC1R)と第二AD変換結果(D2R)がデジタル補正されたデジタル出力(DC2R)に基づいてAD変換用の補正係数(CC)を決定する。バッファ部4DによりAD変換テスト動作時の第一AD変換期間(A/D1)及び第二AD変換期間(A/D1)には出力信号(TEST-OUT)は保持されている。
【0144】
このように、AD変換テスト動作時に、第一AD変換期間(A/D1)と第二AD変換期間(A/D2)との間にて、バッファ部が出力信号(TEST-OUT)を保持している。よって、AD変換部を電荷シェア型のAD変換部を用いることができ、参照電圧へのアクセス頻度が少ないので、参照電圧の生成を容易化できる利点がある。更に参照電圧を生成するレギュレータの消費電力を削減でき、設計も容易化できる。更にアナログ回路であるAD変換部2Aは1つでいいので、面積の増大も抑えられる。
【0145】
また、バッファ部4Dは補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(TEST-OUT)の生成機能と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成機能とを両方有している。よって、補正係数(CC)を算出するためのテスト信号としての出力信号(TEST-OUT)の生成するための回路と、入力信号(ADC-IN)に基づいた出力信号(BUF-OUT)の生成するための回路とを別個に設ける必要がなく、面積を削減できる。
【0146】
さらに、ディザー信号(Dither)により、AD変換補正モード(CM)において、第一AD変換結果(D1R)のデジタル補正ための補正係数(CC)と、第二AD変換結果(D2R)のデジタル補正のための補正係数(CC)とは、上位ビットが互いに異なる状態となる。よって確実に早く補正係数(CC)の探索を行うことが出来る。
【0147】
(変形例2)
図14は実施例2の変形例に係るバッファ部の構成を表す図である。
【0148】
変形例2のバッファ部4Eは入力バッファ回路BUFと、DA変換器DACと、スイッチBUF−SWと、スイッチDAC−SWとを有している。入力バッファ回路BUF及びスイッチBUF−SWは実施例4のバッファ部4D(
図13A)のものと同じである。スイッチDAC−SWがオンのときには、DA変換器DACの出力信号がバッファ部4Eの出力信号として出力される。
【0149】
DA変換器DACは、抵抗DAC−Rと、容量DAC−FB−Cと、オペアンプDAC−OP−AMPと、DA変換回路41Aと、DA変換回路42Bとを有している。DA変換回路41Aは実施例1のバッファ部4A(
図5)のものと同じであり、DA変換回路42Bは実施例2のバッファ部4B(
図8)のものと同じである。抵抗DAC−Rは
図5の抵抗R2に対応し、容量DAC−FB−Cは
図5の容量FB−Cに対応し、オペアンプDAC−OP−AMPはオペアンプOP−AMPに対応する。
【0150】
AD変換テスト動作時には、モードレジスタ5AにAD変換補正モード(CM)が設定されて、モード信号(Mode)が制御回路(CTL)43Dに入力されることにより、スイッチBUF−SWがオフされ、スイッチDAC−SWがオンされる。更にAD変換テスト動作時には、バッファ部4Eは実施例2のバッファ部4Bと同様の動作を行う。ただし、スイッチADC−SWの動作は当然にない。
【0151】
AD変換本番動作時には、モードレジスタ5AにAD変換本番モード(RM)が設定されて、モード信号(Mode)が制御回路43Dに入力されることにより、スイッチBUF−SWがオンされ、スイッチDAC−SWがオフされる。入力バッファ回路BUFの動作は実施例4のバッファ部4D(
図13A)のものと同様である。
【0152】
このバッファ部4Eは実施例2のバッファ部の代わりとして適用することができる。また、実施例3のバッファ部にも適用することができる。バッファ部4EからDA変換回路42Bを無くして、実施例1のバッファ部4Aに適用してもよい。
【0153】
(実施例5)
図15は実施例5のマイクロコンピュータの構成を表す図である。
【0154】
マイクロコンピュータ(MCU)10Fは1つの半導体基板上に形成された半導体集積回路装置である。マイクロコンピュータ10Fは、アナログフロントエンド部(AFE)151と、AD変換器(ADC)1Fと、内部制御部(IOU)152とを有する。また、マイクロコンピュータ10Fは、位相同期回路(PLL)153と、第一分周器(DIV1)154と、第二分周器(DIV1)155と、ランダムアクセスメモリ(RAM)156と、不揮発性メモリ(ROM)157とを有する。内部制御部152はモードレジスタ(ModeRES)5Aと、初期値設定レジスタ(ICCSRES)158と、中央演算装置(CPU)159とを有する。
【0155】
アナログフロントエンド部151は外部からのアナログ信号(AIN)を受けて、例えば複数のアナログ入力信号から1つを選択する等の信号処理し、生成した入力信号(ADC-IN)をAD変換器1Fに出力する。AD変換器1Fは、実施例1及びその変形例のAD変換器1A、実施例2及びその変形例のAD変換器1B、実施例3及びその変形例のAD変換器1C、実施例4及びその変形例のAD変換器1Dのいずれでもよい。AD変換器1Fは入力信号(ADC-IN)をAD変換処理して出力信号(ADC-OUT)を内部制御部152に出力する。外部からクロック信号(RefCLK)を受け、位相同期回路153はこのクロック信号(RefCLK)を基準としてクロック信号(I-CLK)を生成する。分周器154はクロック信号(I-CLK)を分周して内部制御部152の動作のためのクロック信号(CLKI)を生成し出力する。分周器155はクロック信号(I-CLK)を分周してAD変換器1Fの動作のためのクロック信号(CLKA)を生成し出力する。内部制御部152はマイクロコンピュータ1F全体を制御し、出力信号(ADC-OUT)も処理する。中央演算装置159は、内部制御部152全体を制御し、ランダムアクセスメモリ156及び不揮発性メモリ157と各種データ(DATA1、DATA2)の読み出し、書き込みを行う。SRAM等で構成されるランダムアクセスメモリ156は中央演算装置159のワーク領域として用いられ、各種データの一時格納場所として用いられる。フラッシュメモリ等で構成される不揮発性メモリ157には中央演算装置159にて用いられるプログラムや各種データが保存されている。モードレジスタ5Aに対して中央演算装置159が各種モードを設定し、初期値設定レジスタ158に対して中央演算装置159がマイクロコンピュータ10Fの制御に必要な各種の初期値を設定する。この各種の初期値の中には、AD変換テスト動作を行うために初めに補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに設定される補正係数(CC)が含まれる。
【0156】
以上まとめると実施例5によるマイクロコンピュータ10Fは、実施例1から実施例4及びそれらの変形例に係るAD変換器を用いているので、実施例1から実施例4及びそれらの変形例の作用効果を奏する。
【0157】
(実施例6)
図16Aは実施例6の半導体集積回路装置と、この半導体集積回路装置を含む通信システムの構成図である。
図16Bはデジタル処理部に含まれるレジスタを示す図である。
【0158】
(1)通信システム
通信システム101は、アンテナANTと無線通信用の半導体集積回路装置(RFIC)10Gとベースバンド処理部(BBU)161とを有する。アンテナANTは外部からの通信信号としての高周波信号(HFS)を受ける。無線通信用の半導体集積回路装置(RFIC)10Gは、高周波信号HFSをダウンコンバートしてベースバンド信号に復調する。ベースバンド処理部161はベースバンド信号を受けてデジタル処理を行って通信信号の解析やデータ処理を行う。尚、半導体集積回路装置10Gは、GSM(Gobal System Mobile Communication)、WCDMA(Wide Band CDMA)、及びLTE(Long Term Evolution)に対応したものである。
【0159】
(2)半導体集積回路装置
半導体集積回路装置10Gは、アナログ回路R−ACとAD変換器(I-ADC)I1GとAD変換器(Q-ADC)Q1Gとテスト信号生成部(ADC-TSGC)162とデジタル処理部(DOU)163とアナログ回路T−ACとを有する。アナログ回路R−ACは、アンテナANTを介して高周波信号(HFS)を受け、アナログI信号(R-IA)とアナログI信号(R-IA)と位相が90度ずれているようなアナログQ信号(R-QA)とを生成する。アナログI信号(R-IA)とアナログQ信号(R-QA)とは直交しているともいうが、現実にはプロセスばらつき等のばらつきにて厳密に90度ずれているわけではない。AD変換器I1Gは、入力信号(ADC-IN)に対応するアナログI信号(R-IA)を受けて、AD変換処理を行うことにより出力信号(ADC-OUT)に対応するデジタルI信号(R-ID)を生成する。AD変換器Q1Gは、入力信号(ADC-IN)に対応するアナログQ信号(R-QA)を受けて、AD変換処理を行うことにより出力信号(ADC-OUT)に対応するデジタルQ信号(R-QD)を生成する。デジタル処理部163は、デジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)を受け、デジタル処理を行い、ベースバンド信号を生成してベースバンド処理部161に出力する。アナログ回路T−ACは、ベースバンド処理部161からのベースバンド信号に基づいたデジタルI信号(T-ID)及びデジタルQ信号(T-QD)をデジタル処理部163から受け、変調処理を行って出力用高周波信号(HFS)を生成する。
【0160】
テスト信号生成部(ADC-TSGC)162は、実施例1から実施例5の半導体集積回路装置10A,10B,10C,10D,10Eにも適用することができる。
【0161】
尚、アナログI信号はアナログのI信号であり、アナログQ信号はアナログのQ信号である。デジタルI信号はデジタルのI信号であり、デジタルQ信号はデジタルのQ信号である。更にI信号は同相信号(In phase信号)であり、Q信号は直交信号(Quadrature phase信号)である。
【0162】
ここで、アナログ回路R−AC、AD変換器I1G、AD変換器Q1G、デジタル処理部163、及び後に説明するパワーアンプPAを除いたアナログ回路T−ACは第一の半導体基板上に形成される。パワーアンプPAは第二の半導体基板上に形成される。第一及び第二の半導体基板を1つのパッケージにて封止して半導体集積回路装置10Gとしている。尚、第の二半導体基板を無くしてパワーアンプPAは半導体集積回路装置10Gと別としてもよい。更にベースバンド処理部161は、半導体集積回路装置10Gとは別の半導体集積回路装置であり、アンテナANTもまた半導体集積回路装置10Gとは別の回路装置である。
【0163】
(a)受信用アナログ回路
アナログ回路R−ACは送受信切替スイッチ(TR-SW)164とローノイズアンプLNAとミキサRI−MIXとフィルタI−FILとフィルタQ−FILとを有する。また、アナログ回路R−ACはI可変増幅器I−PGAと可変増幅器Q−PGAとクロックパルス生成器(CPG)165とループスイッチL−SWとを有する。送受信切替スイッチ164はアンテナANTを介した高周波信号(HFS)の必要な信号成分がアナログ回路R−AC内部に入力するものである。また、送受信切替スイッチ164はアナログ回路T−ACからの不要な信号成分がアナログ回路R−ACに入力されないようにカットするものである。ローノイズアンプLNAは送受信切替スイッチ164からの高周波信号(HFS)をベースバンド処理部161により指定された倍率にて低ノイズにて増幅する。ミキサRI−MIXはローノイズアンプLNAからの高周波信号(HFS)に対して高周波信号であり所定の周波数を持つ第一ミキサ信号をミキシングすることで低周波に周波数変換するようなダウンコンバートを行って、アナログI信号(R-IA)を生成する。ミキサRQ−MIXはローノイズアンプLNAからの高周波信号(HFS)に対して高周波信号であり所定の周波数を持ち第一ミキサ信号と位相が90度異なる第二ミキサ信号をミキシングすることで低周波に周波数変換するようなダウンコンバートを行って、アナログQ信号(R-QA)を生成する。フィルタI−FILは受信用IミキサRI−MIXからのアナログI信号(R-IA)を受け、ベースバンド処理部161により指定された帯域の周波数を通すことによりアナログI信号(R-IA)を出力する。フィルタQ−FILはミキサRQ−MIXからのアナログQ信号(R-QA)を受け、ベースバンド処理部161により指定された帯域の周波数を通すことによりアナログQ信号(R-QA)を出力する。可変増幅器I−PGAはフィルタI−FILからのアナログI信号(R-IA)を受け、ベースバンド処理部161により指定された倍率にて増幅したアナログI信号(R-IA)を出力する。可変増幅器Q−PGAはフィルタQ−FILからのアナログQ信号(R-QA)を受け、ベースバンド処理部161により指定された倍率にて増幅したアナログQ信号(R-QA)を出力する。クロックパルス生成器165は、第一ミキサ信号及び第二ミキサ信号を生成する。
【0164】
(b)I信号用のAD変換器及びQ信号用のAD変換器
(い)構成
AD変換器I1Gは、実施例1及びその変形例のAD変換器1A、実施例2及びその変形例のAD変換器1B、実施例3及びその変形例のAD変換器1C、実施例4及びその変形例のAD変換器1Dのいずれでもよい。また、AD変換器Q1Gは、実施例1及びその変形例のAD変換器1A、実施例2及びその変形例のAD変換器1B、実施例3及びその変形例のAD変換器1C、実施例4及びその変形例のAD変換器1Dのいずれでもよい。ただし、AD変換器Q1GはAD変換器I1Gと同じ形態のものであるのが好ましい。なお、補正係数レジスタ(I−CCRES)I3311はAD変換器I1Gの補正係数レジスタであり、補正係数レジスタ(Q−CCRES)Q3311はAD変換器Q1Gの補正係数レジスタである。
【0165】
(ろ)AD変換テスト動作
初めにAD変換テスト動作を行うために、補正係数(I-CC)、補正係数(Q-CC)が、後で説明する初期値設定レジスタ(ICCSRES)から補正係数レジスタ(I−CCRES)I3311及び補正係数レジスタ(Q−CCRES)Q3311に設定される。ここで補正係数(I-CC)はAD変換器I1Gのための補正係数(CC、GC)であり、補正係数(Q-CC)はAD変換器Q1Gのための補正係数(CC、GC)である。AD変換器I1GやAD変換器Q1Gの形態に合わせたテストのための信号(mビット(mは自然数)の入力信号(DAC-IN)や1ビットのディザー信号(Dither))がテスト信号生成回路162から入力される。ここで、ディザー信号(Dither)の値は±αである。AD変換器I1GやAD変換器Q1Gの形態に合わせた上述したようなAD変換テスト動作時における動作が実行される。その結果、補正係数レジスタ(I−CCRES)I3311や補正係数レジスタ(Q−CCRES)Q3311の補正係数が更新される。この際、テスト信号生成回路162から入力されるテストのための信号は、共通でもよいし、別々でもよい。ただ、特段分ける必要がないために、共通にしたほうが扱いやすくなる。
【0166】
(は)AD変換本番動作
AD変換テスト動作時に求められた補正係数(I-CC)を用いて、AD変換器I1GはアナログI信号(R-IA)を入力信号(ADC-IN)としてAD変換処理してデジタルI信号(R-ID)を出力信号(ADC-OUT)として出力する。テスト信号生成回路162は動作しない。
【0167】
AD変換テスト動作時に求められた補正係数(Q-CC)を用いて、AD変換器Q1GはアナログQ信号(R-QA)を入力信号(ADC-IN)としてAD変換処理してデジタルQ信号(R-QD)を出力信号(ADC-OUT)として出力する。
【0168】
(c)デジタル処理部
デジタル処理部163はIQ間補正回路(I/QCC)1631とキャリブレーション信号生成回路(I/QCC-CSG)1632とレジスタ(RES)1633とを有する。
図16Bに示すように、レジスタ(RES)1633は頻度設定レジスタ(ADC-FSRES)16331と期間設定レジスタ(ADC-PSRES)16332と頻度設定レジスタ(I/QC-FSRES)16333と期間設定レジスタ(I/QC-PSRES)16334とを有する。また、レジスタ(RES)1633はモード設定レジスタ(ModeRES)16335と初期値設定レジスタ(ICCSRES)16336とを有する。IQ間補正回路(I/QCC)1631はアナログ回路R−ACにおけるミキサRI−MIXから可変増幅器I−PGAまでのパスに起因する利得や位相、直流オフセットのミスマッチを検出し、補正する。また、IQ間補正回路(I/QCU)1631はミキサRQ−MIXから可変増幅器Q−PGAまでのパスに起因する利得や位相、直流オフセットのミスマッチを検出し、補正する。キャリブレーション信号生成回路(I/QCC-CSG)1632はIQ間補正(I/QCC)1631のための補正係数を算出するためのテスト信号(I/QC-TS)を生成する。初期値設定レジスタ(ICCSRES)16336に対してベースバンド処理部(BBU)161が半導体集積回路装置(RFIC)10Gの制御に必要な各種の初期値を設定する。この各種の初期値の中には、AD変換テスト動作を行うために初めに補正係数レジスタ(I-CCRES)I3311及び補正係数レジスタ(Q-CCRES)Q3311に設定される補正係数(I-CC)、補正係数(Q-CC)が含まれる。IQ間補正の詳細については後述する。
【0169】
(d)送信用アナログ回路
アナログ回路T−ACはDA変換器(I-DAC)166とDA変換器(Q-DAC)167とローパスフィルタ(I-LPF)168とローパスフィルタ(Q-LPF)169とを有する。さらに、アナログ回路T−ACはミキサTI−MIXとミキサTQ−MIXと出力足し合わせ部T−OAUとパワーアンプPAとを有する。DA変換器(I-DAC)166はベースバンド処理部161からのベースバンド信号に基づいており、デジタル処理部163から出力されたデジタルI信号(T-ID)を受け、DA変換処理してアナログI信号(T-IA)を生成する。DA変換器(Q-DAC)167はベースバンド処理部163からのベースバンド信号に基づいており、デジタル処理部163から出力されたデジタルQ信号(T-QD)を受け、DA変換処理してアナログQ信号(T-QA)を生成する。ローパスフィルタI−LPFはDA変換器(I-DAC)166からのアナログI信号(T-IA)を受け、ベースバンド処理部161により指定された周波数よりも低周波領域の信号を通して出力する。ローパスフィルタQ−LPFはDA変換器(Q-DAC)167からのアナログQ信号(T-QA)を受け、ベースバンド処理部161により指定された周波数よりも低周波領域の信号を通して出力する。ミキサTI−MIXはローパスフィルタI−LPFからのアナログI信号(T-IA)に対して高周波信号であり所定の周波数を持つ第三ミキサ信号をミキシングすることで高周波に周波数変換するようなアップコンバートを行って出力する。ミキサTQ−MIXはローパスフィルタI−LPFからのアナログI信号(T-IA)に対して高周波信号であり所定の周波数を持ち第三ミキサ信号と位相が90度異なる第四ミキサ信号をミキシングすることで高周波に周波数変換するようなアップコンバートを行って出力する。出力足し合わせ部T−OAUはミキサTI−MIX及びミキサTQ−MIXからの出力を足し合わせて通信用の送信用高周波信号を生成する。パワーアンプPAは出力足し合わせ部T−OAUからの出力を増幅する。
【0170】
尚、クロックパルス生成器165、ループスイッチL−SW、及び送受信切替スイッチ164はアナログ回路R−ACと共用されている。パワーアンプPAからの出力は送受信切替スイッチ164によってアナログ回路R−ACに雑音が入力されないように所定周波数領域がカットされる。なお、アンテナANTを介した高周波信号(HFS)も送受信切替スイッチ164によってパワーアンプに雑音が入力されないように所定周波数領域がカットされる。パワーアンプPAからの出力で送受信切替スイッチ164を通った送信用高周波信号の信号成分がアンテナANTを介して外部に送信される。
【0171】
(3)IQ間補正
(い)半導体集積回路装置としてのIQ間補正テスト動作
補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)を算出するとき、以下のように動作する。尚、実施例6においては、このときの動作をIQ間補正テスト動作と称する。本明細書全体では、キャリブレーション信号生成回路(I/QCC-CSG)1632からの出力に基づいて、IQ間補正用補正係数を算出する動作をIQ間補正テスト動作とする。
【0172】
IQ間補正テスト動作を行うために、初めに初期値設定レジスタ(ICCSRES)から、補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)が、補正係数レジスタ(I-I/QCCRES)181及び補正係数レジスタ(Q-I/QCCRES)183に設定される。ループスイッチL−SWがオン(ON)する。キャリブレーション信号生成回路(I/QCC-CSG)1632からDA変換器(I-DAC)166に対してキャリブレーション信号(I-CS)が出力される。また、キャリブレーション信号生成回路(I/QCC-CSG)1632からDA変換器(Q-DAC)167に対してキャリブレーション信号(Q-CS)が出力される。AD変換本番動作が実施される。その結果、以下のように動作する。
【0173】
キャリブレーション信号(I-CS)及びキャリブレーション信号(Q-CS)がアナログ回路T−ACに出力される。キャリブレーション信号(I-CS)及びキャリブレーション信号(Q-CS)がアナログ回路T−ACにより各種変換処理される。そして、各種変換処理の結果が出力足し合わせ部T−OAUからループスイッチL−SWを介してアナログ回路R−ACに入力される。この入力がアナログ回路R−ACのミキサRI−MIX及びミキサRQ−MIXに入力されて各種変換処理がなされる。この各種変換処理の結果としてアナログI信号(R-IA)がAD変換器I1Gに出力され、アナログQ信号(R-QA)がAD変換器Q1Gに出力される。AD変換器I1G及びAD変換器Q1GはAD変換本番動作を行い、デジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)をIQ間補正回路1631に出力する。IQ間補正回路1631はデジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)を補正処理し、この補正結果に基づいて補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(I-I/QCC)を算出する。IQ間補正回路1631の詳細構成及び動作は後述する。
【0174】
(ろ)半導体集積回路装置としてのIQ間補正本番動作
IQ間補正テスト動作にて求められた補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)を用いて、上述したような利得や位相、直流オフセットのミスマッチを検出し、補正するとき、以下のように動作する。尚、実施例6においては、このときの動作をIQ間補正本番動作と称する。本明細書全体では、IQ間補正用テスト動作にて求められたIQ間補正用補正係数を用いて、AD変換器からの受信デジタル信号に対しデジタル補正処理を行って補正デジタル信号を生成する動作をIQ間補正本番動作とする。
【0175】
ループスイッチL−SWがオフ(OFF)する。キャリブレーション信号生成回路1632はディセーブル状態となる。AD変換本番動作が実施される。その結果、以下のように動作する。
【0176】
アンテナANTを介して高周波信号(HFS)を受け、アナログ回路R−ACがアナログI信号(R-IA)とアナログQ信号(R-QA)とを生成する。AD変換器I1GがアナログI信号(R-IA)を受けて、AD変換処理を行うことによりデジタルI信号(R-ID)を生成する。AD変換器Q1GがアナログQ信号(R-QA)を受けて、AD変換処理を行うことによりデジタルQ信号(R-QD)を生成する。IQ間補正回路1631は、デジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)を受け、上述したような利得や位相、直流オフセットのミスマッチを検出し、デジタル補正処理を行う。ミスマッチはIQ間補正テスト動作のときに求められた補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)を用いて検出する。この結果IQ間補正回路1631は、補正デジタルI信号(CID)、及び補正デジタルQ信号(CQD)を生成する。デジタル処理部163は補正デジタルI信号(CID)及び補正デジタルQ信号(CQD)に対して必要なデジタル処理を施してベースバンド信号を生成してベースバンド処理部161に送信する。デジタル処理が不必要なら何らのデジタル処理を施さない。その場合は補正デジタルI信号(CID)及び補正デジタルQ信号(CQD)は復調されたベースバンド信号となる。
【0177】
(4)IQ間補正回路
図18は実施例6の半導体集積回路装置内のIQ間補正回路を表す図である。
【0178】
(い)構成
図18に示すように、IQ間補正回路(I/QCC)1631は補正係数レジスタ(I-I/QCCRES)181とデジタル補正回路(I-I/QDCC)182と補正係数レジスタ(Q-I/QCCRES)183とデジタル補正回路(I-I/QDCC)184と補正係数探索回路(I/QCC-CSC)185とを有する。デジタル補正回路182は、補正係数(I-I/QCC)に従ってデジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行い、補正デジタルI信号(CID)を出力する。補正係数(I-I/QCC)は補正係数レジスタ181に格納されたものである。デジタルI信号(R-ID)はAD変換器I1Gからの信号である。デジタルQ信号(R-QD)はAD変換器G1Gからの信号である。デジタル補正回路184は、補正係数(Q-I/QCC)に従ってデジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行い、補正デジタルQ信号(CQD)を出力する。補正係数(Q-I/QCC)は補正係数レジスタ183に格納されたものである。補正係数探索回路185は、補正デジタルI信号(CID)と補正デジタルQ信号(CQD)とに従ってLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにより補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)を探索する。
【0179】
デジタル補正回路182のデジタル補正処理により、デジタルI信号(R-ID)のデジタルQ信号(R-QD)に対する、利得、位相又は直流オフセットのミスマッチの検出と、補正とが実行される。ここで、利得、位相又は直流オフセットのミスマッチはアナログ回路R−ACにおけるミキサRI−MIXから可変増幅器I−PGAまでのパスと、ミキサRQ−MIXから可変増幅器Q−PGAまでのパスに起因するものである。デジタル補正回路184のデジタル補正処理により、デジタルQ信号(R-QD)のデジタルI信号(R-ID)に対する、利得、位相又は直流オフセットのミスマッチの検出と、補正とが実行される。ここで、アナログ回路R−ACにおけるミキサRI−MIXから可変増幅器I−PGAまでのパスと、ミキサRQ−MIXから可変増幅器Q−PGAまでのパスに起因するものである。
【0180】
(ろ)デジタル補正処理
デジタル補正回路182は、補正係数(I-I/QCC)に従ってデジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行い、補正デジタルI信号(CID)を出力する。
【0181】
デジタル補正回路184は、補正係数(Q-I/QCC)に従ってデジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行い、補正デジタルQ信号(CQD)を出力する。
【0182】
ここで、デジタルI信号(R-ID)、デジタルQ信号(R-QD)、補正デジタルI信号(CID)、及び補正デジタルQ信号(CQD)は以下の式(3)の関係を持つ。なお、式(3)では、デジタルI信号(R-ID)はR−IDと、デジタルQ信号(R-QD)はR−QDと表示している。
【0183】
【数3】
【0184】
ここで、H
11、H
22は1に近い値で、デジタルI信号(R-ID)と、デジタルQ信号(R-QD)との間の振幅ミスマッチを補正するための係数である。H
12、H
21は0に近い値で、デジタルI信号(R-ID)と、デジタルQ信号(R-QD)との間の位相ミスマッチを補正するための係数である。kI、kQは、デジタルI信号(R-ID)、デジタルQ信号(R-QD)それぞれの直流オフセットを取り除くための係数である。
【0185】
(は)IQ間補正テスト動作
IQ間補正テスト動作時、以下の動作が実行される。また、IQ間補正テスト動作時、AD変換本番動作が実行される。
【0186】
デジタル補正回路182がAD変換器I1GからのデジタルI信号(R-ID)及びAD変換器Q1GからのデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行う。ここで、デジタル補正処理は補正係数レジスタ181に格納された補正係数(I-I/QCC)(
図18ではH11、H12、kIとも記載されている。)に従って行われる。そして、デジタル補正回路182は補正デジタルI信号(CID)を補正係数探索回路185に出力する。
【0187】
デジタル補正回路184がAD変換器I1GからのデジタルI信号(R-ID)及びAD変換器Q1GからのデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行う。ここで、デジタル補正処理は補正係数レジスタ183に格納された補正係数(Q-I/QCC)(同図ではH21、H22、kQとも記載されている。)に従って行われる。そして、デジタル補正回路184は補正デジタルQ信号(CQD)を補正係数探索回路185に出力する。
【0188】
補正係数探索回路185はLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにより補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)を探索する。ここで、探索は、デジタル補正回路182からの補正デジタルI信号(CID)と、デジタル補正回路184からの補正デジタルQ信号(CQD)と、補正係数(I-I/QCC)と、補正係数(Q-I/QCC)とに従って行われる。探索に使用される補正係数(I-I/QCC)は補正係数レジスタ181に予め格納されていたものである。また、探索に使用される補正係数(Q-I/QCC)は補正係数レジスタ183に予め格納されていたものである。探索された補正係数(I-I/QCC)(
図18ではH11、H12、kI(New)と記載されている。)は補正係数レジスタ181に新たに格納される。また、補正係数(Q-I/QCC)(同図ではH21、H22、kQ(New)と記載されている。)は補正係数レジスタ183に新たに格納される。
【0189】
次にデジタルI信号(R-ID)及びデジタルQ信号(R-QD)がデジタル補正回路182及びデジタル補正回路184に入力される。これにより、補正係数レジスタ181及び補正係数レジスタ183の値が更新される。このような更新動作がIQ間補正テスト動作時には繰り返えされる。
【0190】
(に)IQ間補正本番動作
IQ間補正本番動作時、以下の動作が実行される。また、IQ間補正本番動作時、AD変換本番動作が実行される。
【0191】
デジタル補正回路182がAD変換器I1GからのデジタルI信号(R-ID)及びAD変換器Q1GからのデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行う。ここで、デジタル補正処理は、IQ間補正テスト動作時に求められ、補正係数レジスタ181に格納された補正係数(I-I/QCC)に従って行われる。そして、デジタル補正回路184が補正デジタルI信号(CID)をデジタル処理部163内部に出力する。そして、デジタル処理部163がベースバンド信号をベースバンド処理部161に出力する。
【0192】
デジタル補正回路184がAD変換器I1GからのデジタルI信号(R-ID)及びAD変換器Q1GからのデジタルQ信号(R-QD)に対してデジタル補正処理を行う。ここで、デジタル補正処理は、IQ間補正テスト動作時に求められ、補正係数レジスタ183に格納された補正係数(Q-I/QCC)に従って行われる。そして、デジタル補正回路184が補正デジタルQ信号(CQD)をデジタル処理部163内部に出力する。そして、デジタル処理部163がベースバンド信号をベースバンド処理部161に出力する。
【0193】
(5)通信システムの動作
図17は実施例6の半導体集積回路装置を含む通信システムの動作を示す図である。この図を用いて実施例6の通信システムの動作について説明する。
【0194】
(い)動作シーケンス
動作シーケンスとして、通信システムの起動後に発生する初期シーケンス期間(ISP)と、初期シーケンス期間後に発生する無信号期間(NSP)と、無信号期間の後に発生する受信信号処理期間(RSP)とを有する。2回目の無信号期間(NSP(2))と受信号処理期間(RSP(2))とのセットである繰り返し期間は一定周期にて繰り替えされる。
【0195】
初期シーケンス期間(ISP)は通信システム内のフリップフロップのリセット動作や、通信システム内の電源立ち上げ処理や、通信システム内の各要素回路の各種オフセットをキャンセルするためのキャリブレーション処理を行う期間である。代表的なキャリブレーション処理を行う回路はアナログ回路R−ACとアナログ回路T−ACとである。キャリブレーション処理を行う回路は、ローノイズアンプLNAとフィルタI−FILとフィルタQ−FILと可変増幅器I−PGAと可変増幅器Q−PGAとクロックパルス生成器(CPG)165とである。その他に、キャリブレーション処理を行う回路は、DA変換器(I-DAC)166とDA変換器(Q-DAC)167とローパスフィルタ(I-LPF)168とローパスフィルタ(Q-LPF)169とパワーアンプPAとである。
【0196】
無信号期間(NSP)は外部からの高周波信号(HFS)が来ない期間である。
【0197】
受信信号処理期間(通常動作期間)(RSP)は外部からの高周波信号(HFS)をダウンコンバートしてベースバンド信号に復調する期間である。
【0198】
(ろ)動作モード
デジタル処理部(DOU)163のモード設定レジスタ(ModeRES)16335にベースバンド処理部(BBU)161により値が設定されることにより動作モードが決定される。動作モードは送受信系それぞれにおいて、I信号用のパスとQ信号用のパスは同一に設定される。
【0199】
動作モードとしては、AD変換補正モード(CM)とIQ間補正モード(I/Q-CM)と受信信号処理モード(RSPM)とを有する。AD変換補正モード(CM)はAD変換処理用の補正係数(I-CC)及び補正係数(Q-CC)を算出するためのモードである。IQ間補正モード(I/Q-CM)はIQ間補正回路1631のための補正係数(I-I/QCC)及び補正係数(Q-I/QCC)を算出するためのモードである。受信信号処理モード(RSPM)は外部からの高周波信号(HFS)をダウンコンバートしてベースバンド信号に復調するモードである。
【0200】
以上にて説明した動作モード以外のモードも存在し、以上にて説明した動作モードに当てはまらないものは、その他モード(OM)と総称して記載している。尚、通信システム起動直後のその他モード(OM)では、通信システム内のフリップフロップのリセット動作や、通信システム内の電源立ち上げ処理が実行される。
【0201】
AD変換補正モード(CM)においては、AD変換テスト動作が実行される。IQ間補正モード(I/Q-CM)においては、AD変換本番動作が実行されかつ、IQ間補正テスト動作が実行される。受信信号処理モード(RSPM)においては、AD変換本番動作が実行されかつ、IQ間補正本番動作が実行される。
【0202】
同図においては、初期シーケンス期間(ISP)にAD変換補正モード(CM)が設定される。また、無信号期間(NSP、NSP(2))にAD変換補正モード(CM)とIQ間補正モード(I/Q-CM)とが設定される。また、受信信号処理期間(RSP、RSP(2))に受信信号処理モード(RSPM)が設定される。
【0203】
(は)レジスタ
頻度設定レジスタ(ADC-FSRES)は初期シーケンス期間(ISP)にAD変換テスト動作があるのか否かが設定可能である。更に、毎無信号期間(NSP)ごとにAD変換テスト動作があるのか、M個の無信号期間(NSP)ごとにAD変換テスト動作があるのかどうかが設定可能である。ここで、Mは2以上の自然数である。
【0204】
期間設定レジスタ(ADC-PSRES)は初期シーケンス期間(ISP)にAD変換テスト動作がどれだけの長さにて実行されるのかが設定可能である。更に、無信号期間(NSP)でのAD変換テスト動作がどれだけの長さにて実行されるのかが設定可能である。
【0205】
頻度設定レジスタ(I/QC-FSRES)は初期シーケンス期間(ISP)にIQ間補正テスト動作があるのか否かが設定可能である。更に、毎無信号期間(NSP)ごとにIQ間補正テスト動作があるのか、N個の無信号期間ごとにIQ間補正テスト動作があるのかどうかが設定可能である。ここで、Nは2以上の自然数である。
【0206】
期間設定レジスタ(I/QC-PSRES)は初期シーケンス期間(ISP)ISPにIQ間補正テスト動作がどれだけの長さにて実行されるのかが設定可能である。更に、無信号期間(NSP)でのIQ間補正テスト動作がどれだけの長さにて実行さるのかが設定可能である。
【0207】
尚、初期シーケンス期間(ISP)にAD変換補正モード(CM)とIQ間補正モード(I/Q-CM)の両方が実行される場合には、必ずAD変換補正モード(CM)が始めに実行される。その後にIQ間補正モード(I/Q-CM)が実行される。各無信号期間(NSP)においてもAD変換補正モード(CM)とIQ間補正モード(I/Q-CM)の両方が実行される場合には、必ずAD変換補正モード(CM)が始めに実行される。その後に、IQ間補正モード(I/Q-CM)が実行される。
【0208】
なお、同図の一番下のグラフは温度又は電源電圧値が時間経過に伴ってどのように変化するのかを表す一例であり、下から2番目のグラフはAD変換器用の補正係数値が時間経過に伴ってどのように変化するのかを表す一例である。
【0209】
(6)実施例6のまとめ
(い)半導体集積回路装置(RFIC)は、アナログI信号(R-IA)を受けデジタル補正処理することによりAD変換処理を行って第一デジタル信号(デジタルI信号(R-ID))を生成する第一AD変換器(AD変換器(I-ADC))とアナログQ信号(R-QA)を受けデジタル補正処理することによりAD変換処理を行って第二デジタル信号(デジタルQ信号(R-QD))を生成する第二AD変換器(AD変換器(Q-ADC))とを有する。第一AD変換器と第二AD変換器はフォアグラウンド補正を実行する。フォアグラウンド補正の第一モードの実行期間は第一AD変換器と第二AD変換器とで同じである。すなわち、フォアグラウンド補正の第一モードの実行期第一AD変換器と第二AD変換器とで並行して行う。また、フォアグラウンド補正の第二モードの実行期間が第一AD変換器と第二AD変換器とで同じである。すなわち、フォアグラウンド補正の第一モードの実行期間は第一AD変換器と第二AD変換器とで並行して行う。ここで、フォアグラウンド補正とは、デジタル補正処理用の補正係数を算出する第一モードと、この算出された補正係数を用いてAD変換処理を行う第二モードとが時間的に分かれている態様にて補正係数の算出が行われることをいう。
【0210】
第一AD変換器と第二D変換器とは第一モードの実行期間が同じであり、第二モードの実行期間も同じであることにより、第一モードや第二モードの設定シーケンスが共通にできるために簡単になる。更に第一モードでのAD変換用補正係数の算出や第二モードでのAD変換処理が効果的に行える。
【0211】
1つの高周波信号(HFS)からアナログ回路R−ACがアナログI信号(R-IA)及びアナログQ信号(R-QA)を生成する場合、第一モードと第二モードを第一AD変換器と第二AD変換器の間で同じとすることができる。
【0212】
(ろ)半導体集積回路装置(RFIC)は、第一モードにおいて、第一及び第二AD変換器のAD変換用補正係数が求められた後、第三モード(IQ補正モード(I/Q-CM))において、以下のようにIQ間補正用補正係数を算出する。デジタル誤差補正回路(IQ間補正回路(I/QCC))は、第一デジタル信号を第二モードにて動作する第一AD変換器から受け、第二デジタル信号を第二モードにて動作する第二AD変換器から受ける。第一デジタル信号及び第二デジタル信号に対してデジタル補正処理を行うことにより第三補正係数(補正係数(I-I/QCC))及び第四補正係数(補正係数(Q-I/QCC))を算出する。
【0213】
これにより、第一モードにおいてAD変換用補正係数が求められるため、第二モードにおいては、第一及び第二AD変換器に最適なAD変換器補正係数を用いることができる。よって第三モードにおいては、第一及び第二AD変換器の出力が最適化されているために、第三補正係数及び第四補正係数をより正しく得ることができる。
【0214】
(は)半導体集積回路装置(RFIC)は、初期シーケンス期間(ISP)において、第一及び第二AD変換器が第一モードにて動作可能に構成されており、無信号期間(NSP)においても、第一及び第二AD変換器が第一モードにて動作可能に構成されている。受信信号期間(RSP)と無信号期間(NSP)は定期的に交互に繰り替えされる。
【0215】
これにより、初期シーケンス期間において、第一及び第二AD変換器が第一モードにて動作することにより、プロセスばらつき等の静的なばらつきを反映したAD変換用補正係数を取得できる。無信号期間においても、第一及び第二AD変換器が第一モードにて動作することにより、温度や電源電圧の変動に追従した最適なAD変換用補正係数を取得できる。
【0216】
(に)半導体集積回路装置(RFIC)は、初期シーケンス期間(ISP)において、デジタル誤差補正回路(I/QCC)が第三モードにて動作可能に構成されており、無信号期間(NSP)においても、デジタル誤差補正回路が第三モードにて動作可能に構成されている。受信信号期間(RSP)と無信号期間(NSP)は定期的に交互に繰り替えされる。
【0217】
これにより、初期シーケンス期間にデジタル誤差補正回路が第三モードにて動作することにより、プロセスばらつき等の静的なばらつきを反映した第一補正係数(補正係数(I-CC))(及び第二補正係数(補正係数(Q-CC)を取得できる。無信号期間においても、デジタル誤差補正回路が第三モードにて動作することにより、温度や電源電圧の変動に追従した最適な第一補正係数及び第二補正係数を取得できる。
【0218】
(ほ)半導体集積回路装置(RFIC)は、頻度設定レジスタ(ADC-FSRES)及び期間設定レジスタ(ADC-PSRES)を有する。
【0219】
これにより、ベースバンド部(BBU)や半導体集積回路装置(RFIC)やアンテナANTが組み込まれた携帯電話等の通信システムの特性に合わせて頻度設定レジスタ(ADC-FSRES)及び期間設定レジスタ(ADC-PSRES)を設定することで、通信システムに合わせた適切な精度及び消費電力にてAD変換用補正係数を求めることができる。
【0220】
(へ)半導体集積回路装置(RFIC)は、頻度設定レジスタ(I/Q-FSRES)及び期間設定レジスタ(I/Q-PSRES)を有する。
【0221】
これにより、ベースバンド部(BBU)や半導体集積回路装置(RFIC)やアンテナANTが組み込まれた携帯電話等の通信システムの特性に合わせて頻度設定レジスタ(I/Q-FSRES)及び期間設定レジスタ(I/Q-PSRES)を設定することで、通信システムに合わせた適切な精度及び消費電力にて第三補正係数及び第四補正係数を求めることができる。
【0222】
(と)半導体集積回路装置(RFIC)は、実施例1から実施例4及びそれらの変形例に係るAD変換器を用いているので、実施例1から実施例4及びそれらの変形例の作用効果を奏する。
【0223】
(変形例3)
図19Aは実施例6の変形例に係るI信号用AD変換器とQ信号用AD変換器とテスト信号生成部の構成を示す図である。
図19Bは実施例6の変形例に係る補正係数探索部のブロック図である。
【0224】
図19Aに示される変形例3のAD変換器(I-ADC)I1HとAD変換器(Q-ADC)Q1Hとテスト信号生成部(ADC-TSGC)162Hは、対応する実施例6に適用される。なお、変形例3に係るAD変換器は実施例4に係るAD変換器の変形例でもある。
【0225】
AD変換器(I-ADC)I1Hについて説明する。AD変換器(Q-ADC)Q1HはI信号処理の代わりにQ信号処理を行うものであり、それ以外はAD変換器(I-ADC)I1Hと基本的には変わらない。よって重複する説明を省略する。
【0226】
AD変換器(I-ADC)I1Hは実施例3のAD変換器1Cを改良したものであり、以下の点が異なる。AD変換器1Cのデジタル補正部(DCU)3Cは第一デジタル補正回路(DCC)31Aと第二デジタル補正回路(DCC)32Aの2つのデジタル補正回路を持っていたが、
図19Bに示すように、デジタル補正部(DCU)3Hはデジタル補正回路(DCC)32C1つに共通化されている。この共通化に伴って、以下のような形の構成要素に対する信号の入出力関係とされている。
【0227】
AD変換部2Cの出力がデジタル補正回路(DCC)32Cに入力される。デジタル補正回路(DCC)32Cの出力はマルチプレクサ(MUX)36C、遅延回路(DL)34C、及び利得補正回路(GC)35Cに入力される。利得補正回路35Cの出力がマルチプレクサ36Cに入力される。変換誤差生成回路EGCで、遅延回路34Cからの出力から利得補正回路36Cからの出力及びディザー信号(Dither)成分である2αが差し引かれることで、変換誤差(e)が生成され、この変換誤差(e)が補正係数算出回路(CCRev)3312Cに入力される。これら以外は基本的に実施例3のAD変換器1Cと同じである。よって、デジタル補正部3Hの構成要素は、実施例3のデジタル補正部3Cの第一デジタル補正回路31Aと第二デジタル補正回路32Aがデジタル補正回路32Aに共通化された形となっている。
【0228】
AD変換テスト動作時においては以下のような動作を行う。
【0229】
AD変換テスト動作時のタイミングフローを表す図は、実施例3の
図9に記載されたタイミングフローの図と同じとなる。
【0230】
(1)サンプリング期間(SHC1-S)
1変換期間(1/fs)の長さがあるサンプリング期間(SHC1-S)にて、テスト信号生成部162Hからmビット(mは自然数)の入力信号(DAC-IN)及び1ビットのディザー信号(Dither)が入力されることにより、バッファ部4Bから出力信号(DAC-OUT)が出力される。ここで、ディザー信号(Dither)の値は±αである。補正係数(CC)及び補正係数(GC)を算出するためのテスト用信号としての出力信号(DAC-OUT)を、AD変換部2Cがサンプリングする。出力信号(DAC-OUT)の波形は実施例2で説明した出力信号(DAC-OUT)の形となる。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンし、スイッチCSSW1、スイッチSHSW2、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC1に出力信号(DAC-OUT)を蓄積することで実行される。
【0231】
(2)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)
上記(1)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後にAD変換部2Cが、サンプリング期間(SHC2-S)にて出力信号(DAC-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC1に蓄えられた出力信号をAD変換処理してその結果を第一AD変換結果(D1R)としてデジタル補正部3Hに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21のスイッチSHSW1をオフにし、スイッチCSSW1オンにし、スイッチSHSW2をオンにし、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC2に出力信号(DAC-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路22Cによって容量SHC1に蓄積されていた出力信号(DAC-OUT)がAD変換処理されて変換回路22Cから第一AD変換結果(D1R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC2-S)はAD変換期間(SHC1-C)と重なっている。尚、この期間の出力信号(DAC-OUT)にはディザー信号(Dither)成分のαが重畳されている。デジタル補正部2Cは、補正係数(CC)(
図19BでWi(OLD)と記載されている。)を用いて第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)を遅延回路34Cに出力する。
【0232】
(3)サンプリング期間(SHC1-S)&変換期間(SHC2-C)
上記(2)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後にAD変換部2Cが、サンプリング期間(SHC1-S)にて出力信号(DAC-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC2に蓄えられた出力信号をAD変換処理してその結果を第二AD変換結果(D2R)としてデジタル補正部3Hに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンにし、スイッチCSSW1オフにし、スイッチSHSW2をオフにし、及びスイッチCSSW2をオンにすることで、容量SHC1に出力信号(DAC-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路22Cによって容量SHC2に蓄積されていた出力信号(DAC-OUT)がAD変換処理されて変換回路22Cから第二AD変換結果(D2R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC1-S)はAD変換期間(SHC2-C)と重なっている。尚、この期間の出力信号(DAC-OUT)にはディザー信号(Dither)成分の−αが重畳されている。デジタル補正部3Hは補正係数(CC)(
図19BでWi(OLD)と記載されている。)を用いて第二AD変換結果(D2R)をデジタル補正した結果を利得補正回路35Cに出力する。更に利得補正回路35Cは補正係数(GC)(同図でW
0(OLD)と記載されている。)を用いてデジタル補正回路32Cからの出力(DC2R)をデジタル補正した結果(GC2R)を変換誤差生成回路EGCに出力する。利得補正回路35Cでデジタル補正した結果(GC2R)は遅延回路34Cにて遅延させられないので、第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)が変換誤差生成回路EGCに入力されるタイミングと、第二AD変換結果(DC2R)に基づく利得補正回路35Cでデジタル補正した結果(GC2R)が変換誤差生成回路EGCに入力されるタイミングとが同一の期間内に入っている。
【0233】
変換誤差生成回路EGCは、第一AD変換結果(D1R)をデジタル補正した結果(DC1R)から利得補正回路35Cからの出力(GC2R)を引いて、更に2αを引くことで変換誤差(e)を生成する。この変換誤差(e)に基づいてLMSアルゴリズムにより補正係数算出回路3312Cが補正係数(CC)及び補正係数(GC)を探索する。
【0234】
補正係数算出回路3312Cは変換誤差(e)、第一AD変換結果(D1R)、第二AD変換結果(D2R)及び補正係数(CC)に従ってLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにて補正係数(CC)を算出する。ここで、補正係数(CC)は補正係数レジスタ(CCRES)3311Cに予め格納されていたものである(補正係数(GC)と合わせて
図19BでW(OLD)と記載されている。)。新たに算出された補正係数(CC)(補正係数(GC)と合わせて同図でW(NEW)と記載されている。)は補正係数レジスタ3311Cに新たに格納される。
【0235】
更に補正係数算出回路3312Cは変換誤差(e)、第二AD変換結果(D2R)及び補正係数(GC)に従ってLMSアルゴリズム等の所定のアルゴリズムにて補正係数(GC)を算出する。ここで、補正係数(GC)は補正係数レジスタ3311Cに予め格納されていたものである(補正係数(CC)と合わせて
図19BでW(OLD)と記載されている。)。新たに算出された補正係数(GC)(補正係数(CC)と合わせて同図でW(NEW)と記載されている。)は補正係数レジスタ3311Cに新たに格納される。
【0236】
(4)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)以降
以降、上記(3)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、上記(2)の処理を行い、次に上記(2)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、上記(3)の処理を行うような動作を繰り返す。これによって、補正係数レジスタ3311Cの値が更新される。よって補正係数探索期間(CCS)は、サンプリング期間(SHC1-S)が発生するごとに発生する。
【0237】
AD変換本番動作時においては、バッファ部4Bには入力信号(I-ADC-IN)が入力されることにより出力信号(I-ADC-OUT)が出力される。
【0238】
AD変換本番動作時のタイミングフローを表す図は、実施例3の
図10に記載されたタイミングフローの図と同じとなる。よってタイミングフローに示すような以下の処理が実行される。
【0239】
(1)サンプリング期間(SHC1-S)
1変換期間(1/fs)の長さがあるサンプリング期間(SHC1-S)にて入力信号(I-ADC-IN)に基づいた出力信号(I-ADC-OUT)をサンプリングする。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンし、スイッチCSSW1、スイッチSHSW2、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC1に出力信号(BUF-OUT)を蓄積することで実行される。
【0240】
(2)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)
上記(1)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、AD変換部2Cがサンプリング期間(SHC2-S)にて出力信号(BUF-OUT)をサンプリングしつつ、容量SHC1に蓄えられた出力信号をAD変換処理してその結果を第一AD変換結果(D1R)として、AD変換部2Cがデジタル補正部3Hに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオフにし、スイッチCSSW1オンにし、スイッチSHSW2をオンにし、及びスイッチCSSW2をオフにすることで、容量SHC2に出力信号(BUF-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路22Cによって容量SHC1に蓄積されていた出力信号(BUF-OUT)がAD変換処理されて変換回路22Cから第一AD変換結果(D1R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC2-S)はAD変換期間(SHC1-C)と重なっている。第一AD変換結果(D1R)は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(CC)をデジタル補正回路32Cが用いることでデジタル補正され、その補正結果がマルチプレクサ36Cに出力される。マルチプレクサ36Cはデジタル補正回路32Cからの補正結果(DC1R)を選択して出力信号(I-ADC-OUT)として出力する。
【0241】
(3)サンプリング期間(SHC1-S)&変換期間(SHC2-C)
上記(2)にて示した処理の1変換期間1/fs後にAD変換部2Cが、サンプリング期間(SHC1-S)にて出力信号(BUF-OUT)Bをサンプリングしつつ、容量SHC2に蓄えられた出力信号(BUF-OUT)をAD変換処理してその結果を第二AD変換結果(D2R)としてデジタル補正回路32Cに出力する。このサンプリングはサンプリング回路21CのスイッチSHSW1をオンにし、スイッチCSSW1オフにし、スイッチSHSW2をオフにし、及びスイッチCSSW2をオンにすることで、容量SHC1に出力信号(BUF-OUT)を蓄積することで実行される。さらにこのサンプリングと並行して変換回路22Cによって容量SHC2に蓄積されていた出力信号(BUF-OUT)がAD変換処理されて変換回路22Cから第二AD変換結果(D2R)が出力される。よってサンプリング期間(SHC1-S)はAD変換期間(SHC2-C)と重なっている。第二AD変換結果(D2R)は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(CC)をデジタル補正回路32Cが用いることでデジタル補正され、その補正結果(DC2R)が利得補正回路35Cに出力される。デジタル補正回路32Cからの出力(DC2R)は、AD変換テスト動作時に算出された補正係数(GC)を利得補正回路35Cが用いることでデジタル補正され、その補正結果(GC2R)がマルチプレクサ36Cに出力される。マルチプレクサ36Cは利得補正回路35Cからの補正結果(GC2R)を選択して出力信号(I-ADC-OUT)として出力する。
図19Bに示すように、点線にて囲まれた遅延回路34C、補正係数算出回路3312C、変換誤差生成回路EGCはAD変換本番動作時は動作しない。
【0242】
(4)サンプリング期間(SHC2-S)&変換期間(SHC1-C)以降
以降、上記(3)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、上記(2)の処理を行い、次に上記(2)にて示した処理の1変換期間(1/fs)後、上記(3)の処理を行うような動作を繰り返す。
【0243】
変形例3においては、テスト信号生成部162Hから入力されるテスト用の信号はAD変換器I1HとAD変換器Q1Hで同一になっているが、異なる形であってもよい。
【0244】
(変形例4)
図20は補正係数探索回路の変形例に係る補正係数平均化回路の構成を示す図である。
【0245】
補正係数平均化回路(CCAU)332Jは実施例1から実施例4、変形例1から変形例2の補正係数探索回路(CCSC)に適用される。
【0246】
(1)構成
第一デジタル補正回路31A、及び第二デジタル補正回路32A部にて用いられる補正係数(CC)を平均化するため、補正係数探索回路(CCSC)はさらに補正係数平均化回路(CCAC)332Jを有する。
【0247】
補正係数平均化回路(CCAC)332Jはサンプリング回路SCと積分回路(IC)3321と平均化回路SAVCと精度設定レジスタ(CCARES)3322とを有する。サンプリング回路CCSCは補正係数(CC、Wi(OLD))と、サンプリングの開始時刻を表すサンプリングスタート時刻(SST)とサンプリングの終了時刻を表すサンプリング終了時刻(SET)との間のXサンプル期間とで乗算を行う。ここで、Xは正の整数である。これによって、Xサンプル期間にX回のサンプリングを補正係数(CC、Wi(OLD))に対して行い、Xサンプル期間以外の補正係数(CC、Wi(OLD))に対しては0を乗算することで補正係数(CC、Wi(OLD))をマスクする。ここで、補正係数(CC、Wi(OLD))は補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに格納されたものである。積分回路(IC)3321は足し合わせ回路ACと遅延回路DCとで構成され、出力としてX回の補正係数(CC、Wi(OLD))のサンプル値の総和を出力する。ここで、足し合わせ回路ACはサンプリング回路SCからの補正係数(CC、Wi(OLD))と前の補正係数(CC、Wi(OLD))とを足し合わせる。遅延回路DCは足し合わせ回路ACからの補正係数(CC、Wi(OLD))を1サンプル期間遅延させて足し合わせ回路ACに戻すように出力する。平均化回路SAVCは積分回路(CCIC)3321からの出力をXにて除算する。これにより、Xサンプル期間の補正係数(CC、Wi(OLD))の平均値を補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに対して出力する。精度設定レジスタ(CCARES)3322はXの値を設定することにより、補正係数(CC、Wi(OLD))の算出精度を設定する。
【0248】
(2)動作
AD変換テスト動作において、補正係数(CC、Wi(OLD))が随時更新される。この際、第一デジタル補正回路31A又は第二デジタル補正回路32Aが補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに格納された補正係数(CC、Wi(OLD))を用いてデジタル補正処理を行う。そして、デジタル補正処理の結果により求められた変換誤差(e)に基づいて係数探索回路331Aが補正係数(CC、Wi(OLD))を定めるために探索する。そして、探索結果に基づいて補正係数レジスタ(CCRES)3311A内の補正係数(CC、Wi(OLD))が更新されるという探索ループが動作する。この探索ループの動作と並行して、補正係数平均化回路332Jが動作する。このとき、平均化回路SAVCは動作を止めており、補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに対して出力を行わない。探索ループの動作が止まったときに、平均化回路SAVCが除算処理を行ってAD変換器用補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化を行い、その結果の出力を補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに対して行う。
【0249】
(3)まとめ
LMSアルゴリズム等のアルゴリズムを用いた場合、補正係数(CC、Wi(OLD))を早く収束させるために、補正係数(CC、Wi(OLD))算出ための上述したような探索ループの制御利得である制御ループ利得を大きくする。そうすると、収束後であっても制御ループ利得は大きく振動してしまう。熱雑音や量子化雑音の影響でも収束後の制御ループ利得は振動してしまう。この振動の影響を補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化により低減できる。尚、探索ループ内には補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化処理のための回路は配置していない。ここで、平均化処理のための回路は補正係数平均化回路332Jである。これは探索ループの動作が遅くなるからである。よってこの探索ループ外に補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化処理のための回路を配置している。動作として、探索ループが動作しているときには平均化回路SAVCは動作を止めており、補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに対して出力を行わない。探索ループの動作が止まったときに、平均化回路CCSAVCが除算処理を行って補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化を行い、その結果を補正係数レジスタ(CCRES)3311Aに対して行う。このことで、探索ループの動作の応答を早くしつつ、補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化処理を行うことができる。
【0250】
尚、精度設定レジスタ(CCARES)3322のXを大きくした場合、サンプル数を増やして平均化効果を高め高精度の補正係数(CC、Wi(OLD))を得ることができる。Xが小さい場合は低精度であるが、サンプル数が少ないため、補正係数(CC、Wi(OLD))の平均化処理の時間を短くできる。又、Xの値を2のべき乗と制限した場合、平均化回路SAVCは除算動作ではなく、ビットシフト動作にて動作可能となる。
【0251】
(変形例5)
図21は補正係数探索回路の変形例に係る補正係数平均化回路の構成を示す図である。
【0252】
変形例5の補正係数平均化回路(GCAC)333Jは実施例3及び変形例3に係る補正係数探索回路に適用される。また、変形例5の補正係数平均化回路(GCAC)333Jは実施例3及び変形例3に係る補正係数探索回路に変形例4の補正係数平均化回路332Jと併せて適用される。
【0253】
利得補正回路35Cにて用いられる補正係数(GC)を平均化するため、補正係数探索回路はさらに補正係数平均化回路(GCAC)333Jを有する。
【0254】
補正係数平均化回路333Gの構成は、
図21に示すように、変形例3の補正係数平均化回路332Jと基本的には同じである。すなわち、補正係数平均化回路333Jはサンプリング回路SCと積分回路(IC)3321と平均化回路SAVCと精度設定レジスタ(GCARES)3332とを有する。変形例3の補正係数平均化回路332Jから変更になっている点は、入出力される補正係数(CC、Wi(OLD))が補正係数(GC、Wo(OLD))になり、精度設定レジスタ(CCARES)3322が精度設定レジスタ(GCARES)3332となっている。また、精度設定レジスタ(CCARES)3322はXの値を設定することにより、補正係数(CC、Wi(OLD))の算出精度を設定するが、精度設定レジスタ(GCARES)3332はYの値を設定することにより、補正係数(GC、Wo(OLD))の算出精度を設定する。ここでYは正の整数である。すなわち、変形例3の(1)構成、(2)動作及び(3)まとめの説明において、補正係数平均化回路332Jを補正係数平均化回路333Jに、精度設定レジスタ(CCARES)を精度設定レジスタ(GCARES)3332に、XをYに、補正係数(CC、Wi(OLD))を補正係数(GC、Wo(OLD))に読み替えると、変形例4の構成、動作及びまとめの説明となる。
【0255】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態及び実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、種々変更可能であることは言うまでもない。