特許第5960685号(P5960685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニーの特許一覧

特許5960685蛇腹およびC字形シールを有するフローティングボールバルブのシール
<>
  • 特許5960685-蛇腹およびC字形シールを有するフローティングボールバルブのシール 図000002
  • 特許5960685-蛇腹およびC字形シールを有するフローティングボールバルブのシール 図000003
  • 特許5960685-蛇腹およびC字形シールを有するフローティングボールバルブのシール 図000004
  • 特許5960685-蛇腹およびC字形シールを有するフローティングボールバルブのシール 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960685
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】蛇腹およびC字形シールを有するフローティングボールバルブのシール
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/22 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   F16K3/22 A
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-508047(P2013-508047)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-528755(P2013-528755A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】US2011033305
(87)【国際公開番号】WO2011137008
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】12/771,909
(32)【優先日】2010年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ダラージェ, ポール, ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】デービス, ロニー, オー.
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−531950(JP,A)
【文献】 特開2005−315348(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/032569(WO,A1)
【文献】 特開2005−048853(JP,A)
【文献】 特表2010−538233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と、流出口と、前記流入口および前記流出口に流体連通するバルブ内部とを有するバルブ本体、
前記バルブ本体の頂部分に着脱可能に固定されたボンネット、
前記バルブ内部に枢動可能に取り付けられたボール要素であって、前記ボール要素の外側表面が球体の1部分を画成し、前記ボール要素の前記外側表面上の点の全部が前記ボール要素の自然な回転軸から必ずしも等距離であるとは限らない、ボール要素、
前記バルブ内部内に配置され、前記ボール要素に向かって付勢され、前記ボール要素に密閉状態で係合するよう適応された、シールリング、
前記バルブ内部内に配置され、前記バルブ本体に固定された、アンカーリング、
前記バルブ内部において前記シールリングと前記バルブ本体との間に配置され、前記バルブ内部内に配置された複数のボルトにより前記アンカーリングに着脱可能に固定され、前記バルブ内部内からの挿入および取り外しを行うことができるよう適応されたシール坦持体であって、第1漏出経路が前記シールリングと前記シール坦持体との間に存在し、第2漏出経路が前記シール坦持体と前記バルブ本体との間に存在し、前記第1漏出経路および前記第2漏出経路はバルブ内の流体圧力を受ける、シール坦持体、
前記シールリングと前記シール坦持体との間に配置され、流体流が前記第1漏出経路を通って流れることを妨げる、蛇腹シール、および、
前記シール坦持体と前記バルブ本体との間に配置され、流体流が前記第2漏出経路を通って流れることを妨げる、補助シール、
を備えるバルブ。
【請求項2】
整列間隙が前記シールリングと前記シール坦持体との間に形成され、前記整列間隙は前記第1漏出経路の1部分を画成し、前記整列間隙は、前記ボール要素が前記シールリングに密閉状態で係合するときに前記シールリングが自動整列するよう、前記シールリングが前記シール坦持体に対して径方向に移動することができる空間を、前記シール坦持体と前記シールリングとの間に提供する、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記蛇腹シールは前記シール坦持体の1部分および前記シールリングの1部分に固定される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
前記蛇腹シールは前記シール坦持体の1部分および前記シールリングの1部分の両方に溶接される、請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
蛇腹シュラウドは、前記蛇腹シールが前記蛇腹シュラウドと前記シール坦持体との間に配置されるよう、前記シール坦持体に固定される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記シール坦持体と前記バルブ本体との間に配置された前記補助シールはC字形シールである、請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
前記C字形シールの口状部は前記第2漏出経路を通過する流体流の方向に面し得る、請求項6に記載のバルブ。
【請求項8】
前記C字形シールは前記シール坦持体に形成された凹陥部に配置される、請求項6に記載のバルブ。
【請求項9】
前記C字形シールは、前記バルブ本体の1部分と、前記シール坦持体に形成された前記凹陥部の1部分とに密閉状態で係合し、それにより、流体流が前記第2漏出経路を通って流れることが妨げられる、請求項8に記載のバルブ。
【請求項10】
前記シール坦持体と前記バルブ本体との間に配置された前記補助シールは環状ガスケットである、請求項1に記載のバルブ。
【請求項11】
波形バネが前記シールリングを前記ボール要素に向かって付勢する、請求項1に記載のバルブ。
【請求項12】
前記波形バネは前記シールリングに形成された凹陥部に配置される、請求項11に記載のバルブ。
【請求項13】
前記シールリングが前記シール坦持体から離れる軸方向変位は、前記シール坦持体に連結されたシール保持具により制限される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項14】
前記シール保持具は前記バルブ内部内に配置された複数のボルトにより前記シール坦持体に着脱可能に固定される、請求項13に記載のバルブ。
【請求項15】
前記複数のボルトのそれぞれは、前記シール坦持体のフランジ部分に形成された螺刻ボアおよび前記アンカーリングに形成された螺刻ボアの両方に螺合する、請求項1に記載のバルブ。
【請求項16】
流入口と、流出口と、前記流入口および前記流出口に流体連通するバルブ内部とを有するバルブ本体、および前記バルブ本体の頂部分に近接するボンネット開口部を備えるボールバルブを提供することと、
ボール要素を前記バルブ内部に枢動可能に取り付けることであって、前記ボール要素の外側表面は球体の1部分を画成し、前記ボール要素の前記外側表面上の点の全部が必ずしも前記ボール要素の自然な回転軸から等距離であるとは限らないことと、
内側凹陥部を有するシール坦持体、
前記内側凹陥部内に配置され且つ前記ボール要素に密閉状態で係合するよう適応されたシールリング、
前記シールリングおよび前記シール坦持体の両方に固定された蛇腹シール、および
前記シール坦持体に連結された補助シール、
を備えるシール坦持体サブ組立体を、前記バルブ内部以外の位置に組み立てることと、
前記シール坦持体サブ組立体を、前記シール坦持体サブ組立体が前記バルブ内部内に配置されるよう、前記ボンネット開口部に挿入することと、
前記シール坦持体サブ組立体を、流体が前記シールリングと前記シール坦持体との間に存在する第1漏出経路を通って流れることが前記蛇腹シールにより妨げられるよう、且つ流体が前記シール坦持体と前記バルブ本体との間に存在する第2漏出経路を通って流れることが前記補助シールにより妨げられるよう、前記バルブ本体に取り付けることと、
ボンネットを前記バルブ本体に固定することにより、前記ボンネット開口部をカバーすることと、
を含む、シールリング組立体を設置するための方法。
【請求項17】
前記シール坦持体サブ組立体を前記バルブ本体に固定することは、前記シール坦持体に形成された複数の対応する螺刻ボアに複数のボルトを通して挿入することを含み、前記ボルトのそれぞれは、前記バルブ内部内において前記バルブ本体に固定されたアンカーリングに形成された対応する螺刻ボアと螺合する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シールリングと前記シール坦持体の間に整列間隙を提供することであって、前記整列間隙は前記第1漏出経路の1部分を画成し、前記整列間隙は、前記ボール要素が前記シールリンに密閉状態で係合するときに前記シールリングが自動整列するよう、前記シールリングが前記シール坦持体に対して径方向に移動できる空間を、前記シール坦持体と前記シールリングとの間に提供することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記シールリングが前記シール坦持体から離れる軸方向変位を、前記シール坦持体に連結されたシール保持具により制限することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記補助シールは、前記シール坦持体の外側凹陥部に配置されたC字形シールおよび前記シール坦持体の底壁部に固定されたガスケットのうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置に関し、さらに詳細には、回転式ボール型流体制御バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転式ボールバルブが、流体、ガス、スラリー、その他等のプロセス流体のいくつかのパラメータを制御するために、多数のプロセス制御システム用途において用いられている。プロセス制御システムにおいては、最終的に流体の圧力、レベル、pH、または他の所望のパラメータを制御するために制御バルブが用いられ得るが、制御バルブは基本的には流体流の流速を制御するものである。
【0003】
典型的には、回転式ボールバルブは、流体流入口および流体流出口を画成するバルブ本体を備える。ボール要素が、バルブ本体に取り付けられ、固定軸周りに回転して、シール組立体との当接状態に入るかまたは係る当接状態から脱することにより、バルブを通過する流体流の量が制御される。典型的なボルト締めの直列型ボールバルブにおいては、シール組立体は、流体流入口を通ってバルブ本体に挿入され、シール保護リングによりバルブ本体のフランジの近傍に保持される。
【0004】
バルブ本体、ボール要素、およびシール組立体を含む回転式ボールバルブの構成品は一般に金属製である。これは、高圧用途および/または高温用途に用いられる場合に、特に該当する。しかし、ボール要素およびシール組立体は、バルブの開閉時にボール要素およびシール組立体が反復的に係合するため、摩損が生じ得る。摩損に起因する諸問題は、バルブ構成品の寿命の短縮化、ボール要素とシール組立体との間の摩擦力の増大化、ボール要素とシール組立体との間の、並びにシール組立体とバルブ本体との間の、望ましくない漏出を含むが、これらに限定されない。同様に、摩擦力は、構成品の摩損が大きくなるにつれて、増加する傾向にある。したがって、バルブ内の動的性能および制御特性が悪化し、その結果、バルブにおける効率および正確度が劣化する。これらの諸問題のうちいくつかを軽減するために、いくつかのシール組立体は、閉止位置におけるボールに対するシールの信頼性を改善するために、付勢される。利用されるシール組立体の特定種類に関わらず、従来の回転式ボールバルブの大半は、摩損するかまたは別様に効力を失った場合においてシール組立体を交換するには、ボルトを外して流体プロセス制御システムから取り外すことが必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、バルブは、流入口と、流出口と、流入口および流出口に流体連通するバルブ内部とを備えてもよい。このバルブは、バルブ本体の頂部分に着脱可能に取り付けられたボンネットも備えてよい。ボール要素がバルブ内部に枢動可能に取り付けられ、このボール要素の外側表面は、球体の一部を画成してもよい。ただし、ボール要素の外側表面上の点の全部が、ボール要素の自然な回転軸から等距離であるとは限らない。シールリングがバルブ内部内に配置され、ボール要素に対して付勢されてもよい。ただし、このシールリングはボール要素に密閉状態で係合するよう調整。加えて、アンカーリングがバルブ内部内に配置され、バルブ本体に固定されてもよい。シール坦持体がバルブ内部においてシールリングとバルブ本体との間に配置されてもよく、このシール坦持体は、シールリング内に配置された複数のボルトによりアンカーリングに着脱可能に取り付けられ、バルブ本体内への挿入および取り外しが可能となるよう構成されてもよい。第1漏出経路がシールリングとシール坦持体との間に存在し、第2漏出経路がシール坦持体とバルブ本体との間に存在し、これら第1漏出経路および第2漏出経路のそれぞれがバルブ内の流体圧力を受けてもよい。蛇腹シールがシールリングとシール坦持体との間に配置され、この蛇腹シールは、流体流が第1漏出経路を通って流れることを妨げ得る。補助シールがシール坦持体とバルブ本体との間に配置され、流体流が第2漏出経路を通って流れることは、この補助シールにより妨げられ得る。
【0006】
さらなる態様においては、整列間隙がシールリングとシール坦持体との間に形成され、この整列間隙は第1漏出経路の1部分を画成してもよい。この整列間隙は、ボール要素がシールリングに密閉状態で係合するときにシールリングが自動整列するよう、シールリングがシール坦持体に対して径方向に移動できる空間を、シール坦持体とシールリングとの間に提供してもよい。
【0007】
他の態様においては、蛇腹シールはシール坦持体の1部分およびシールリングの1部分に固定されてもよく、蛇腹シールはシール坦持体の1部分およびシールリングの1部分の両方に溶接されてもよい。
【0008】
さらなる態様においては、蛇腹シールが蛇腹シュラウドとシール坦持体との間に配置されるよう、蛇腹シュラウドがシール坦持体に固定されてもよい。
【0009】
さらなる態様においては、シール坦持体とバルブ本体との間に配置された第2補助は、C字形シールであってもよい。C字形シールの口状部は、第2漏出経路において流体流の方向に向かって開口してもよい。C字形シールはシール坦持体に形成された凹陥部に配置されてもよい。C字形シールは、流体流が第2漏出経路を通ることを防ぐために、バルブ本体の1部分と、シール坦持体に形成された凹陥部の1部分とに密閉状態で係合してもよい。
【0010】
さらなる態様においては、シール坦持体とバルブ本体との間に配置された第2補助シールは、環状ガスケットであってもよい。
【0011】
他の態様においては、波形バネがシールリングをボール要素に向かって付勢し、この波形バネはシールリングに形成された凹陥部に配置されてもよい。
【0012】
さらなる態様においては、シールリングがシール坦持体から離れる軸方向変位は、シール坦持体に連結されたシール保持具により制限されてもよく、このシール保持具は、バルブ内部内に配置された複数のボルトによりシール坦持体に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0013】
他の態様においては、複数のボルトのうちのいくつかは、シール坦持体のフランジ部分に形成された螺刻ボアおよびアンカーリングに形成された螺刻ボアの両方に螺合してもよい。
【0014】
シールリング組立体を設置する方法は、流入口と、流出口と、流入口および流出口に流体連通するバルブ内部とを備えるボールバルブを提供することを含んでもよい。ボンネット開口部がバルブ本体の頂部分の近傍に設けられてもよい。ボール要素がバルブ内部に枢動可能に取り付けられ、このボール要素の外側表面は、球体の一部を画成してもよく、ボール要素の外側表面上の点の全部が、ボール要素の自然な回転軸から等距離であるとは限らない。シール坦持体サブ組立体が、バルブ内部内以外の位置において組み立てられてもよい。このシール坦持体サブ組立体は、内側凹陥部を有するシール坦持体と、内側凹陥部内に配置されたシールリングとを備えてもよく、このシールリングはボール要素に密閉状態で係合するよう適応される。シール坦持体サブ組立体は、シールリングおよびシール坦持体の両方に固定された蛇腹シールをさらに備え、補助シールがシール坦持体に結合されてもよい。シール坦持体サブ組立体は、シール坦持体サブ組立体がバルブ内部内に配置されるよう、ボンネット開口部に挿入されてもよい。 加えて、シール坦持体サブ組立体は、流体流がシールリングとシール坦持体との間に存在する第1漏出経路を通って流れることが蛇腹シールにより妨げられよう、および、流体流がシール坦持体とバルブ本体との間に存在する第2漏出経路を通って流れることが補助シールにより妨げられるよう、バルブ本体に固定されてもよい。ボンネットをバルブ本体に固定することにより、開口部がカバーされてもよい。
【0015】
他の態様においては、シール坦持体サブ組立体をバルブ本体に固定することは、複数のボルトを、シール坦持体に形成された複数の対応する螺刻ボアに通して挿入することを含んでもよい。なお、ボルトのそれぞれは、アンカーリングに形成された対応する螺刻ボアと螺合する。アンカーリングは、バルブ内部内においてバルブ本体に固定されてもよい。
【0016】
さらなる態様においては、整列間隙がシールリングとシール坦持体との間に提供され、この整列間隙は第1漏出経路の1部分を画成してもよい。この整列間隙は、ボール要素がシールリングに密閉状態で係合するときにシールリングが自動整列するよう、シールリングがシール坦持体に対して径方向に移動できる空間を、シール坦持体とシールリングとの間に提供してもよい。
【0017】
さらなる態様においては、シールリングがシール坦持体から離れる軸方向変位は、シール坦持体に連結されたシール保持具により制限されてもよい。加えて、補助シールは、シール坦持体の外側凹陥部に配置されたC字形シールおよびシール坦持体の底壁部に固定されたガスケットのうちの1つである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の原理にしたがって構築された回転式ボールバルブの断面図である。
図2】回転式ボールバルブが開放位置にある状態の回転式ボールバルブのシール組立体の1つの実施形態を示す、図1のサークルIIの部分の部分拡大断面図である。
図3】閉止位置にある回転式ボールバルブを示す、図2と同様の別の部分拡大断面図である。
図4図2と同様であるが、本発明の別の開示例に係る教示にしたがって組み立てられたシール組立体を示す、別の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本開示の原理にしたがって構築され、一般にバルブ本体12と、ボンネット14と、制御組立体16と、シール組立体24とを備える、回転式ボールバルブ10を示す。バルブ本体12は、略円筒形状を有し、流入口部分18と、流出口部分20と、第1流路22と、バルブ本体12の頂部分の近傍に配置されたボンネット開口部25とを備える。矢印により示されるように、第1流路22は、流入口部分18から流出口部分20まで、長手方向軸Aに略平行な方向に延長する。流入口部分18は流入口フランジ26により包囲される。流出口部分20は流出口フランジ28により包囲される。流入口フランジ26および流出口フランジ28は、ボルト、溶接、クランプ、または他の任意の既知の手段等により、ボールバルブ10をプロセス制御管路に連結するよう適応される。
【0020】
ボンネット14は、複数のボンネットボルト27を用いてバルブ本体12のボンネット開口部25にボルト締めされた略円筒形構造体を備える。ボンネット14は、一般に知られる制御組立体16の様々な構成品を支持する貫通ボア29を画成する。制御組立体16は、ボール要素30と、駆動軸32と、支持軸34とを備える。駆動軸32はボンネット14の貫通ボア29を通して配置され、既知の方法で回転式アクチュエータに連結されるよう適応される。支持軸34は、ボンネット開口部25の反対側のバルブ本体12の壁部に形成された盲ボア36内に配置される。ボンネット14の貫通ボア29およびバルブ本体12の盲ボア36は、当該技術分野において周知のベアリングを備え、それにより、ボールバルブ10の作動中において、軸32および軸34は、したがってボール要素30は、一貫して、負荷のない状態で、回転変位することが可能となる。
【0021】
ボール要素30は、典型的には、図1に示す閉止位置にあるときにシール組立体24との反復的シールを支援するために、当該技術分野において周知のカム式のボール要素を含む。さらに詳細には、ボール要素30の外側表面は球体の1部分を画成してもよい。ただし、ボール要素の外側表面上の点の全部が、軸32および軸34のそれぞれの回転軸等の、ボール要素の自然な回転軸から等距離であるとは限らない。
【0022】
示した例において、シール組立体24は、流入口部分18から下流側であり且つボンネット開口部25に略近接する内部位置において、バルブ本体12に取り付けられる。このように構成されるため、シール組立体24の交換が必要となったときは、ボンネット14および制御組立体16をバルブ本体12から取り外すことが可能であり、シール組立体24はボンネット開口部25を通して装着される。このことにより、シール組立体24を交換するにあたり、バルブ10が取り付けられた管路からバルブ10の全体を取り外す必要はない。この点は、バルブ10が突き合わせ溶接されている場合に大いに有利である。
【0023】
シール組立体24を収容するために、バルブ本体12の開示された実施形態は、バルブ本体12の流入口部分18から完全に下流側に配置された内部凹陥部42を画成する。すなわち、内部凹陥部42は、バルブ本体12の流入口部分18と、制御組立体16のボール要素30との間に配置される。開示された実施形態の凹陥部42は、形状において略環状であり、第1円筒形表面38aおよび第2円筒形表面38bと第1横断表面40aおよび第2横断表面40bとを含むバルブ本体12の内部表面により画成される段付プロファイルを有する。
【0024】
第2円筒形表面38bは、図1に示す流路22の方向に対して考慮した場合、バルブ本体12の流入口部分18と第1円筒形表面38aとの間に配置される。同様に、第2軸方向表面40bは、図1に示す流路22の方向に対して考慮した場合、バルブ本体12の流入口部分18と第1軸方向表面40aとの間に配置される。
【0025】
さらに、図示のように、第1円筒形表面38aは、第2円筒形表面38bの第2直径Dbよりも大きい第1直径Daを有する。第1直径Daおよび第2直径Dbのそれぞれは、バルブ本体12の流入口部分18の流入口直径Diよりも大きい。
【0026】
バルブ本体12がこのように構成されるため、シール組立体24は、上述のように、ボンネット開口部25を通してバルブ10に取り付けられる。その結果、流入口フランジ26および流出口フランジ28が、ボルト締め直列型の構成ではなく、直列型突き合わせ溶接が要求される環境において、バルブの使用が可能となる。勿論、この設計はボルト締めのバルブ本体または別様のバルブ本体にも用いられ得る。さらに、開示された実施形態に係るシール組立体24は、図1に示すようにボール要素30が閉止されたときにシール組立体24がボール要素30とバルブ本体12の流入口部分18との間に完全に配置されるよう、内部凹陥部42に配置される。図1に示すバルブ本体12の内部凹陥部42は、2つの内側円筒形表面38aおよび38bと2つの横断表面40aおよび40bとにより画成される段付プロファイルを含むとものとして説明されるが、一方、本開示の代替的な実施形態は、例えば、シール組立体24の特定の設計および/または他の考慮に応じて、3つ以上のまたは1つの内側円筒形表面と、2つの横断表面とを有してもよい。
【0027】
図1のサークルIIの詳細図である図2を参照しつつ、本開示の教示にしたがって構築されたシール組立体24の1つの特定の実施形態について説明する。
【0028】
シール組立体24は、バルブ本体12の内部に配置されたシールリング44を備える。シールリング44はボール要素に向かって付勢され、それにより、ボール要素30に密閉状態で係合する。アンカーリング130はバルブ内部内に配置され、バルブ本体12に固定されてもよい。シール坦持体46がシールリング44とバルブ本体12との間に配置され、このシール坦持体46は、バルブ本体12の内部に配置された複数のボルト48により、アンカーリング130に着脱可能に固定される。第1漏出経路50がシールリング44とシール坦持体46との間に存在し、第2漏出経路52がシール坦持体46とバルブ本体12との間に存在する。第1漏出経路および第2漏出経路の両方が、回転式ボールバルブ10内部の流体圧力を受ける。蛇腹シール54は、流体流が第1漏出経路50を通って流れることを妨げるため、シール坦持体46とシールリング44との間で延長する。加えて、補助シール56がシール坦持体46とバルブ本体12との間に配置され、流体流が第2漏出経路を通って流れることは、補助シールにより妨げられる。
【0029】
上述のように、シール組立体24のシールリング44は、形状において略環状であり、例えば合金6または合金6で表面硬化したステンレス鋼等の耐摩耗性金属から機械加工されてもよい。図2の断面図に示すように、シールリング44は、円筒形シール内側壁部58と円筒形シール外側壁部60とにより横方向に画成され、シール底壁部61が、シール外側壁部60から内側壁部58まで径方向に延長してもよい。シールリング44は、さらに、シール外側壁部60から内側壁部58に向かって延長するシール頂壁部62により画成され、シール頂壁部62は、シール底壁部61に平行であり、シール底壁部61から軸方向に偏位してもよい。シールリング突起64がシール頂壁部62から延長し、このシールリング突起64は、シール頂壁部62から軸方向(すなわち、長手方向軸Aに平行な方向)に延長し得る円筒形側部突起壁部66により画成されてもよい。頂部突起壁部68が、側部突起壁部66からシール頂壁部62に平行な方向で内向きに延長してもよい。底部突起壁部70は、シール内側壁部58から径方向で内向きに延長してもよく、円筒形内側突起壁部72が底部突起壁部70から軸方向に延長してもよい。ボール係合表面74が頂部突起壁部68と内側突起壁部72との間で延長してもよく、このボール係合表面74は形状において凹状であってもよい。さらに詳細には、ボール係合表面74は、回転式ボールバルブ10が閉止位置または着座位置(図3に示す)へと動くとき、シールリング44のボール係合表面74がボール要素30に密閉状態で係合するよう、ボール要素30の球形外側表面の対応する部分と一致する輪郭を有してもよい。ボール係合表面74に耐摩耗加工が施されることにより、シールのサイクル寿命が向上し、着座ラインの摩損を防ぐことができる。
【0030】
シールリング44は、シール内側壁部58とシール外側壁部60との間に配置された環状バネ凹陥部76も備えてよい。バネ凹陥部76は、シール底壁部61からシール頂壁部62に向かって軸方向に延長してもよく、バネ凹陥部76は、略方形の断面形状を有してもよい。一方、バネ凹陥部76は、特定用途に好適である、任意の形状または形状の組み合わせを有してもよい。バネ凹陥部76は、図2および図3に示す波形バネ78等の弾性要素を受容するよう適応されてもよい。
【0031】
図2および図3に示すように、シール組立体24は、バルブ本体12の内部内においてシールリング44とバルブ本体12との間に配置された環状シール坦持体46も備える。シール坦持体46は、例えばステンレス鋼等の、耐蝕性金属から機械加工されてもよい。シール坦持体46は、段付内部プロファイルおよび段付外部プロファイルの両方を備えてもよい。特に、シール坦持体46は、略軸方向に延長する円筒形坦持体外側壁部80と坦持体外側壁部80から内側に偏位した円筒形坦持体内側壁部82とにより横方向に画成されてもよい。円筒形坦持体中間壁部84が坦持体内側壁部82から内向きに偏位し、円筒形坦持体下方壁部86が坦持体中間壁部84から内向きに偏位してもよい。平面坦持体中間頂壁部88が、坦持体内側壁部82から坦持体中間壁部84まで径方向に延長してもよく、平面坦持体下方頂壁部90が、坦持体中間壁部84から坦持体下方壁部86まで軸方向に延長してもよい。平面坦持体底壁部92が坦持体下方壁部86から径方向外向きに延長し、この坦持体底壁部92は、シール坦持体46の最底部表面を画成してもよい。坦持体外側凹陥部94が、坦持体底壁部92から軸方向に延長する円筒形凹陥部側壁部96と、坦持体外側壁部80から凹陥部側壁部96まで径方向に延長する凹陥部頂壁部98と、により画成されてもよい。一方、坦持体外側凹陥部94は、坦持体底壁部92が坦持体外側壁部80と交差する凹陥部を提供する、任意個数または任意形状の表面により形成されてもよい。
【0032】
環状坦持体フランジ100が坦持体外側壁部80から略径方向に離れる方向に延長してもよく、この坦持体フランジ100は、坦持体外側壁部80から軸方向に離れる方向に延長するフランジ底壁部102により画成されてもよい。坦持体フランジ100はさらに、フランジ底壁部102に平行であり且つフランジ底壁部102から偏位し得るフランジ頂壁部104により画成されてもよい。円筒形フランジ外側壁部106がフランジ底壁部102とフランジ頂壁部104との間で軸方向に延長し、円筒形フランジ内側壁部108がフランジ外側壁部106から径方向に偏位し、フランジ頂壁部104と坦持体頂壁部109との間で延長してもよく、坦持体頂壁部109は坦持体内側壁部82まで径方向に延長してもよい。坦持体頂壁部109はフランジ内部壁部108に対して垂直であるため、シール坦持体46の坦持体外側凹陥部94に対して斜め方向に対向する坦持体内側凹陥部110が形成されてもよい。複数のフランジボア112が、坦持体フランジ100の周りに対称的に配置されてもよい。フランジボア112はフランジ頂壁部104からフランジ底壁部102まで軸方向に延長してもよい。各フランジボア112は螺刻部分を有してもよく、各フランジボア112は螺刻係留ボルト48を受容するよう適応されてもよい。加えて、複数の坦持体盲ボア114がシール坦持体46の周りに対称的に配列されてもよく、各盲ボア114はフランジ頂壁部104から坦持体底壁部92に向かって軸方向に延長してもよい。各盲ボア114は螺刻部分を有してもよく、各盲ボア114は押さえネジ116を受容するよう適応されてもよい。
【0033】
図2および図3に示すように、シール組立体24は、シールリング44をシール坦持体46の坦持体内側凹陥部110内に固定するよう適応された環状シール保持具118も備えてよい。シール保持具118は、例えばステンレス鋼等の、耐蝕性金属から機械加工されてもよい。シール保持具118は、それぞれが略軸方向に延長する、円筒形保持具内側壁部120および円筒形保持具外側壁部122により、横方向に画成されてもよい。平面保持具頂壁部124、および保持具頂壁部124に平行であり且つ保持具頂壁部124から軸方向に偏位した平面保持具底壁部126は、略径方向に延長してもよく、保持具内側壁部120および保持具外側壁部122と交差することにより、さらにシール保持具118を画成してもよい。複数の保持具ボア128がシール保持具118の周りに対称的に配列されてもよく、各保持具ボア128は、保持具頂壁部124と保持具底壁部126との間で軸方向に延長してもよい。加えて、各保持具ボア128は、対応する坦持体盲ボア114と軸方向に整列するよう配置され、押さえネジ116は、押さえネジ116の螺刻部分が坦持体盲ボア114の螺刻部分と螺合するよう、各保持具ボア128に挿入されてもよい。それにより、シール保持具118は、シール坦持体46に着脱可能に固定される。
【0034】
シール保持具118の円筒形保持具内側壁部120の直径は、シールリング44の円筒形側部突起壁部66の直径より大きく、シールリング44の円筒形シール外側壁部60の直径より小さくてもよい。したがって、シールリング44がシール坦持体46の坦持体内側凹陥部110内に配置され、シール保持具118がシール坦持体46に固定されると、保持具底壁部126は、円筒形保持具内側壁部120が、シール坦持体46の坦持体内側凹陥部110内におけるシールリング44の径方向移動の度合いに関わらず、径方向においてシールリング44の円筒形側部突起壁部66と円筒形シール外側壁部60との間に配置されるよう、シール坦持体46のフランジ内部壁部108を越えて径方向内向きに延長する。加えて、上述のように組み立てられると、シール頂壁部62とシール底壁部61との間の軸方向距離は、シール保持具118の保持具底壁部126とシール坦持体46の坦持体頂壁部109との軸方向距離より小さい。
【0035】
図2および図3に示すように、シール組立体24は、バルブ本体12に固定されるよう適応された環状アンカーリング130も備えてよい。アンカーリング130は、例えばステンレス鋼等の、耐蝕性金属から機械加工されてもよい。アンカーリング130は、それぞれが略軸方向に延長する、円筒形アンカー内側壁部132および円筒形アンカー外側壁部134により、横方向に画成されてもよい。平面アンカー頂壁部136、およびアンカー頂壁部136に平行であり且つアンカー頂壁部136から軸方向に偏位した平面アンカー底壁部138は、略径方向に延長してもよく、アンカー内側壁部132およびアンカー外側壁部134に交差することにより、さらにアンカーリング130を画成してもよい。アンカーリング130は、バルブ本体12の内部凹陥部42においてバルブ本体12に固定されてもよい。さらに詳細には、アンカー外側壁部134は内部凹陥部42の第1円筒形表面38aに実質的に当接してもよく、アンカー底壁部138は、内部凹陥部42の第1横断表面40aに実質的に当接してもよい。この姿勢において、円筒形アンカー内側壁部132の直径は、内部凹陥部42の第2円筒形表面38bの直径よりもわずかに大きくてもよい。アンカーリング130をバルブ本体12に固定するために、アンカー外側壁部134の螺刻部分(図示せず)を、バルブ本体12の第1円筒形表面38aの螺刻部分(図示せず)に螺合させてもよい。代替的に、1つまたは複数の溶接箇所(図示せず)がアンカーリング130をバルブ本体12に固定してもよく、またはアンカーリング130は、螺合および溶接の組み合わせによりバルブ本体12に固定されてもよい。
【0036】
複数のアンカーボア140がアンカーリング130の周りに対称的に配列されてもよく、各アンカーボア140は、アンカー頂壁部136からアンカー底壁部138に向かって軸方向に延長してもよい。加えて、アンカーリング130がバルブ本体12に固定されると、各アンカーボア140は、シール坦持体46の対応するフランジボア112と軸方向に整列するよう、配置されてもよい。このように構成されるため、係留ボルト48は各フランジボア112に挿入され、係留ボルト48が対応するアンカーボア140に向かって進むよう、回転し得る。シール坦持体46のフランジ底壁部102とアンカーリング130のアンカー頂壁部138との間の間隙を通して延長した後、係留ボルト48の遠位端は、拡大された直径部分142に受容されてから、次いで、アンカーボア140の螺刻部分144と螺合する。作動中、回転式ボールバルブ10内の振動のために、1つまたは複数の係留ボルト48がアンカーボア140の螺刻部分144から離脱し得る。係る離脱にも関わらず、係留ボルト48がシール坦持体46のフランジボア112を通って軸方向に変位することは、フランジボア112の螺刻部分により妨げられる。それにより、係留ボルト48がアンカーボア140からバルブ本体12の内部へと脱落することはない。
【0037】
図2および図3を参照すると、アンカーリング130がバルブ本体12に固定され、シール坦持体46は複数の係留ボルト48により、このアンカーリング130に固定されてもよい。加えて、シールリング44はシール坦持体46の坦持体内側凹陥部110内に配置され、シールリング44は、上述の方法により、シール保持具118により坦持体内側凹陥部110内に固定されてもよい。上述のように、シールリング44のシール頂壁部62とシール底壁部61との軸方向距離は、シール保持具118の保持具底壁部126とシール坦持体46の坦持体頂壁部109との間の軸方向距離より小さい。したがって、第1間隙145がシールリング44とシール坦持体46との間に存在し得る。シールリング44とシール坦持体46との間の第1間隙145が存在するために、シールリング44は、回転式ボールバルブ10が閉止位置へと動くにつれて、流入口部分18に向かって(および波形バネ78の付勢力に抗して)ボール要素30により軸方向に変位され、それにより、シールリング44はボール要素30に確実に密閉状態で係合することが可能となる。図2に示すように回転式ボールバルブ10が開放(すなわちボール要素30がシールリング44のボール係合表面74と接触しない)位置にあるとき、シールリング44のバネ凹陥部76内に配置された波形バネ78は、シールリング44をボール要素30に向かって付勢する。シール保持具118がシール坦持体46に固定されるため、シール坦持体46の坦持体頂壁部109と保持具底壁部126との間の軸方向距離が一定となり、それにより、波形バネ78がシールリング44をボール要素30に向かって軸方向変位させることが制限される。
【0038】
上述の第1間隙145に加えて、整列間隙146がシール坦持体46とシールリング44との間に存在してもよい。さらに詳細には、シールリング44の円筒形シール外側壁部60の直径がシール坦持体46の円筒形フランジ内部壁部108の直径より小さいため、整列間隙146は、シールリング44の表面とシール坦持体46の表面との間に存在し得る。整列間隙146が存在するため、シールリング44は、ボール要素30により係合されると、シール坦持体46に対して軸方向に移動し得る。それにより、シールリング44が径方向および軸方向に自動整列されて、機械加工許容度に起因するボール/シールリング44間のあらゆる整列不良も補償され、その結果、シールリング44とボール要素30との間の密閉状態が改善され得る。
【0039】
回転式ボールバルブ10が閉止されたとき、シールリング44のシール底壁部61はシール坦持体46の坦持体頂壁部109と密閉状態で係合しない場合もある。それにより、第1漏出経路50がシールリング44とシール坦持体46との間で第1間隙145に沿って作られ得る。流路22を通って流れるプロセス流体は、流出口部分20側においてよりも、ボール要素30の流入口部分18側において、より高圧である。したがって、プロセス流体は、ボール要素30の流出口部分20側に流体連通し得る第1漏出経路50を通って流れる傾向を有する。プロセス流体がこの第1漏出経路50を通って流れることを妨げるため、蛇腹シール54がシールリング44とシール坦持体46との間に配置されてもよい。さらに詳細には、蛇腹シール54の第1端部分147がシールリング44のシール内側壁部58に固定され、蛇腹シール54の第2端部分148がシール坦持体46の坦持体中間壁部84に固定されてもよい。シール坦持体46の坦持体中間壁部84はシールリング44のシール内側壁部58と軸方向に整列し得るため、蛇腹シール54は略軸方向に延長し得る。第1端部分147および第2端部分148は、レーザ溶接等の溶接処理により、シールリング44およびシール坦持体46にそれぞれ固定されてもよい。特に、溶接箇所は第1縁部部分147および第2縁部部分148の縁部全体に沿って円周方向に延長されてもよい。代替的に、溶接箇所は第1縁部部分147および第2縁部部分148に沿って部分的にのみ延長してもよく、または、第1縁部部分147および第2縁部部分148に沿う不連続な点が溶接されてもよい。一方、蛇腹シール54は、溶接ではなく、当該技術分野において一般的である任意の手段により、シールリング44およびシール坦持体46に固定されてもよい。蛇腹シール54は、正弦波蛇腹部分150により、径方向に可撓性を有し、軸方向に圧縮可能であるため、蛇腹シール54は、シール坦持体46に対して軸方向および径方向に変位するシールリング44の能力に影響を与えない。
【0040】
図2および図3に示すように、シール組立体24は、蛇腹シール54を保護するために、シール坦持体46に固定された円筒形蛇腹シュラウド152も備えてよい。蛇腹シュラウド152は、軸方向内側壁部154および外側壁部156と、内側壁部154と外側壁部156との間で径方向に延長する頂壁部158および底壁部160と、により画成されてもよい。蛇腹シュラウド152の底壁部160はシール坦持体46の坦持体底壁部92と径方向に整列し、外側壁部156はシール坦持体46の坦持体下方壁部86と軸方向に整列してもよい。加えて、内側壁部154はバルブ本体12の円筒形流入口壁部162と軸方向に整列してもよい。蛇腹シュラウド152の底壁部160の1部分は、レーザ溶接等の溶接処理により、シール坦持体46の坦持体底壁部92の1部分に固定されてもよい。代替的に、蛇腹シュラウド152は、当該技術分野において一般的である任意の手段により、シール坦持体46に固定されてもよい。蛇腹シュラウド152がシール坦持体46に固定された場合、シールリング44のシール底壁部61がシール坦持体46の坦持体頂壁部109に近接する最底部位置にあるとき、小さい軸方向間隙が蛇腹シュラウド152の頂壁部158とシールリング44の底部突起壁部70との間に存在し得る。係る構成により、シールシュラウド152は、直接的な流れの衝撃から蛇腹シール54を保護し、シールリング44付近の流体通路を円滑化する。
【0041】
図3に示すように、ボール要素30が閉止位置へと動くと、ボール要素30は、シールリング44のボール係合表面74と接触し、シールリング44をシール坦持体46の坦持体頂壁部109に向かって変位させる。バルブ10の流入口側18における流体圧力が高いため、プロセス流体は、蛇腹シュラウド152の頂壁部158と底部突起壁部70との間の間隙に入り得る。しかし、蛇腹シール54がシールリング44とシール坦持体46との間で延長するため、プロセス流体がシールリング44とシール坦持体46との間の第1漏出経路50に入ることは妨げられる。
【0042】
図2を参照して、シール坦持体46が前述の方法で複数の係留ボルト48によりアンカーリング130に固定されると、蛇腹シュラウド152の円筒形内側壁部154は、流入口部分18を部分的に画成する円筒形流入口壁部162と実質的に同一の直径を有し得る。加えて、円筒形坦持体外側壁部80の直径はアンカー内側壁部132より小さくてもよく、それにより、横方向間隙164がシール坦持体46とアンカーリング130との間に作られ得る。シール坦持体46がバルブ本体12に直接には固定されないため、第2間隙166が、バルブ本体12の内部凹陥部42の第2横断表面40bとシール坦持体46の坦持体底壁部92および蛇腹シュラウド152の底壁部160の両方との間に存在し得る。第2間隙166および横方向間隙164の両方は、回転式ボールバルブ10が閉止位置にあるとき、シールリング44とボール要素30との間のシールの、流出口部分20の側にあるバルブ内部の1部分に流体連通し得る。流路22を流れるプロセス流体は、流出口部分20の側においてよりも、ボール要素30の流入口部分18の側において、圧力がより高いため、プロセス流体は、回転式ボールバルブ10が閉止位置にあるとき、第2間隙166へと流れ込み、横方向間隙164を通って、シールリング44とボール要素30との間のシールの流出口部分20側にあるバルブ内部の1部分へ、と流れる傾向を有する。したがって、第2漏出経路52がバルブ本体12とシール坦持体46との間に存在し得る。
【0043】
流体流が第2漏出経路52を通って流れることを妨げるために、図2および図3に示すC字形シール168等の補助シール56は、C字形シール168の口状部がバルブ本体12の第2横断表面40bに対して軸方向上向きに面するよう、シール坦持体46の坦持体外側凹陥部94に配置されてもよい。そのため、C字形シールの口状部は第2漏出経路52を通る流体流に面する。プロセス流体が第2漏出経路52の第2間隙166に流れ込むと、流体は坦持体外側凹陥部94および坦持体外側凹陥部94内に配置されたC字形シール168の口状部に入る。比較的高圧の流体が口状部を通してC字形シール168の内部に入るにつれて、C字形シール168は外向きに拡大し、バルブ本体12の内部凹陥部42の第2円筒形表面38bに密閉状態で係合することに加えて、坦持体外側凹陥部94の凹陥部側壁部96および凹陥部頂壁部98に密閉状態で係合し、それにより、流体流がシール坦持体46とC字形シール168の下流側のバルブ本体12との間を流れることが妨げられ、第2漏出経路52がシールされる。C字形シール168がシール坦持体46およびバルブ本体12に対して静止状態にあるため、C字形シール168は静止C字形シールと称されてもよい。
【0044】
前述のように、シール組立体24をバルブ本体12から取り外すことが望まれるとき、バルブ本体12が取り付けられた管路からバルブ本体12を取り外す必要はない。代わりに、複数のボンネットボルト27のそれぞれを緩めて取り外すことにより、バルブボンネット14をバルブ本体12から取り外してもよい。ボンネット14を取り外すと、制御組立体16およびボール要素30を、ボンネット開口部25を通して、バルブ本体12から取り外してもよい。次いで、シール坦持体46をアンカーリング130から取り外してもよい。特に、レンチまたは他の適切な工具をボンネット開口部25を通してバルブ内部に挿入し、各係留ボルト48の螺刻部分がアンカーボア140の螺刻部分144および螺刻フランジボア112から螺合離脱するまで、各係留ボルト48をレンチにより回してもよい。次いで、シール坦持体46を、シールリング44、シール保持具118、蛇腹シール54、および蛇腹シュラウド152がシール坦持体46に依然として取り付けられてシール坦持体46サブ組立体が形成された状態のまま、バルブ本体12の内部凹陥部42から抜き取り、ボンネット開口部25を通して取り外してもよい。バルブ内部から出した後、シール保持具118を、各押さえネジ116を取り外すことにより、シール坦持体46サブ組立体から切り離してもよい。
【0045】
シール保持具118が取り外された状態において、シールリング44を、シール坦持体46の坦持体内側凹陥部110から取り外し、シール坦持体46から離れるよう変位させ、それにより、シールリング44から波形バネ78を取り外しおよび交換することが可能となる。必要に応じて、蛇腹シュラウド152をシール坦持体46から取り外し、次いで、蛇腹シール54を、シール坦持体46およびシールリング44の両方から取り外してもよい。シール保持具118が取り外された状態において、シールリング44をシール坦持体46の坦持体内側凹陥部110から取り外してもよい。
【0046】
シール組立体24をバルブ本体12に設置するために、シール組立体24は、まず、バルブ内部の外部で部分的に組み立てられる。特に、波形バネ78等の弾性要素が前述の方法でシールリング44のバネ凹陥部76に配置される。次いで、蛇腹シール54によりシール坦持体46に連結されたシールリング44がシール坦持体46の坦持体内側凹陥部110に配置され、シール保持具118は、各保持具ボア128が、シール坦持体46に形成された対応する坦持体盲ボア114と軸方向に整列するよう、シールリング44の上方に配置される。次いで、複数の押さえネジ116のそれぞれが、対応する坦持体盲ボア114と螺合するよう回転され、それにより、シール保持具118がシール坦持体46に固定される。次いでC字形シール168がシール坦持体46の坦持体外側凹陥部94内に配置される。次いでシール坦持体46サブ組立体がボンネット開口部25を通してバルブ内部に挿入され、シール坦持体46サブ組立体は、シール坦持体46のフランジ外側壁部106をバルブ本体12の第1円筒形表面38aに整列させることにより、バルブ本体12の内部凹陥部42内において中心に置かれる。次いで、シール坦持体46の各フランジボア112がアンカーリング130の対応するアンカーボア140と軸方向に整列されてもよい。次いで、各係留ボルト48をバルブ内部内から対応するフランジボア112に挿入し、係留ボルト48の螺刻部分がアンカーリング130のアンカーボア140の螺刻部分144と螺合するまで、各係留ボルト48を回転させてもよい。組み立てられたとき、最初は、シールリング44を坦持体内側凹陥部110内に配置しても、シールリング44のボール係合表面74とボール要素30の球状外面の1部分との間で適切な密閉状態が確保されない場合もある。しかし、前述したシールリング44の自動整列特性により、回転式ボールバルブ10の閉止時にボール要素30がボール係合表面130と接触するにつれて、ボール要素30はシールリング44を坦持体内側凹陥部110内で軸方向および径方向に変位させるであろう。
【0047】
図4に示す他の実施形態において、シール組立体224は、上述したシール組立体24と実質的に同等であってもよい。しかし、シール組立体224のシール坦持体246においては、シール坦持体246の円筒形坦持体外側壁部80が坦持体底壁部92まで軸方向に延長するため、坦持体外側凹陥部94は形成されない。したがって、シール組立体224の第2補助シール56は、C字形シール154ではなく、代わって、第2漏出経路52において坦持体底壁部92とバルブ本体12の第2横断表面40bとの間に配置された環状ガスケット170である。取り扱いおよび設置を容易にするために、ガスケット170は、当該技術分野において一般的な任意の方法で、シール坦持体246の坦持体底壁部92に接着されてもよい。したがって、シール組立体224を取り外しまたは設置するプロセスは、上述のプロセスと実質的に同等である。
【0048】
上述のように、シール組立体24および224を用いることにより、従来のシール組立体において用いられるいくつかの部品が省略される。それにより、バルブのコストが低減されることとなる。さらに、シール坦持体46等の使用される部品の機械加工が容易および安価であることに加えて、シール坦持体46サブ組立体をボンネット開口部25を通してバルブ内部に挿入する際、バルブを管路から取り外す必要がない。さらに、上述のように、シールリング44はシール坦持体46に対して軸方向および径方向に移動可能であり、そのため、シールリング44が自動整列することにより、ボールとシールとの整列不良が補償される。加えて、流体流が第1漏出経路50を通って流れることは、蛇腹シール54により完全に妨げられる。それにより、完全な双方向遮断(すなわち、本明細書に説明する、第1流路22に沿った流れの遮断、および、流出口部分20から流入口部分18まで流れる第1流路22と逆向きの流れに対する遮断)が提供される。さらに、蛇腹シール54を用いることにより、弾性シールに依存するバルブ上方の有用な温度性能が拡大され得る。
【0049】
様々な実施形態についてここまで説明してきたが、本開示はこれらの実施形態に限定されることを意図しない。開示された実施形態に対する様々な変化例が、依然として添付の請求項の範囲に含まれ得る。
図1
図2
図3
図4