【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によるモーションプラットフォームを用いることによって達成されることになる。本発明のモーションプラットフォームは、好ましくは、航空機のシミュレーション運動に適している。
【0008】
本発明のモーションプラットフォームは、少なくとも3つの直立支柱を有する静止フレームと、静止フレーム内に実質的に配置されたサブフレームとを備えている。直立支柱は、一般的には、地面のような支持面に対して垂直方向に延在する細長の構造物である。
【0009】
モーションプラットフォームは、各直立支柱をサブフレームにそれぞれの接続点において接続するための少なくとも3つの接続部材をさらに備えている。通常、直立支柱ごとに、単一の接続部材が配置されている。接続部材がサブフレームに接続されている点は、接続点と称されている。接続点は、サブフレームの質点に対応している。しかし、接続点は、例えば、接続点が空洞内に位置している場合、数学的対象と称されることもある。
【0010】
一般的に、各接続部材は、互いに異なる接続点において、サブフレームに接続されている。従って、典型的な構成では、モーションプラットフォームは、直立支柱の数と同じ数の接続部材を備えている。これは、互いに異なる接続点の数にも当てはまる。
【0011】
モーションプラットフォームは、キャビンをさらに備えている。キャビンは、サブフレームに接続されており、人を収容するのに適するようになっている。キャビンは、必ずしも閉じた構造物である必要がない。キャビンの目的は、人、およびディスプレイシステムおよびジョイステックのような手動操作可能な制御要素が用いられる場合、それらを収容することにある。
【0012】
モーションプラットフォームの構成を変化させるために、複数のアクチュエータが配置されている。すなわち、サブフレーム、接続部材、およびキャビンは、互いに接合された構造物を構成している。この接合構造物を連動または作動させることによって、アクチュエータは、静止フレームに対するキャビンの直進運動および/またはピッチ、ヨー、およびロールからなる群の少なくとも1つ、またはこれらの組合せをもたらすことになる。これらの運動または移動は、必ずしも同時に生じる必要がない。
【0013】
サブフレームおよび接続部材は、好ましくは、使用中、接続点の各々がサブフレームの共通中心点に対して実質的に一定の距離にあるように、構成されている。サブフレームの共通中心点は、必ずしもサブフレームの質点に対応している必要がない。ここでも、共通中心点は、サブフレーム内の空洞にある点のように、数学的対象と称されることもある。
【0014】
加えて、共通中心点は、サブフレームに関連していることに留意されたい。一般的に、共通中心点は、例えば、静止フレームに関連する空間内の絶対的な位置ではない。それどころか、サブフレームが移動するので、共通中心点も移動することになる。同じことが、接続部材およびサブフレームに沿って移動する接続点にも当てはまる。
【0015】
サブフレームは、静止フレーム内に実質的に配置されているので、同じことがキャビンにも当てはまる。モーションプラットフォームの一実施形態では、直立支柱は、三角形の形態で配置されている。この場合、キャビンおよびサブフレームは、(外縁が直立支柱と一致する)仮想的な円筒内に実質的に閉じ込められている。
【0016】
さらに、一般的には、接続点を互いに離間して配置すると好ましい。さらに詳細には、接続点は、好ましくは、キャビンの外縁の近くに配置されている。殆どの場合、各接続点と共通中心点との間の距離は、キャビンの高さ、幅、または長さとほぼ同じであり、または1つまたは複数の方向におけるキャビンの大きさを代表する他の典型的なパラメータとほぼ同じである。もしキャビンが球形状として構成されているなら、各接続点と共通中心点との間の距離は、キャビンの外径のほぼ半分である。キャビンの他の幾何学的形状も本発明から特に排除されるものではない。接続点の全てが1つの平面内にある場合、キャビンが該平面と直交する方向において該平面に投影されたとき、接続点がキャビンの外縁の近くにまたは外縁を超えて位置していると、好ましい。例えば、もしキャビンが箱状であるなら、その投影は、正方形である。このような場合、接続点は、好ましくは、正方形の外縁の近くにまたはその外縁を超えて位置しているとよい。もしキャビンが球であるなら、その投影は、円である、この場合、接続点は、好ましくは、円の外側またはその近くに位置しているとよい。
【0017】
もし接続点が互いに余りにも接近して配置されているなら、種々の望ましい運動を実現することが困難になる。接続部材のポジショニングのわずかな変化によって、キャビンのポジショニングの大きな変化がもたらされる可能性がある。その結果、このポジショニングの変化をもたらすのに必要な力が、著しく大きくなる。さらに他の欠点は、キャビンが、接続部材にすぐ接触することである。接続点を互いに大きく離間して配置することによって、この問題をなくすことができる。
【0018】
接続部材は、ピッチおよび/または直進運動のような所望の運動が実現されるように構成されている。換言すれば、モーションプラットフォームは、システム内の種々の接合部または連結部によってもたらされる十分な自由度を有するべきである。モーションプラットフォームの接合構造体を前提として、アクチュエータによって十分な境界条件をもたらすことによって、安定したシステムを得るようにしなければならない。アクチュエータは、作動されると、システムの種々の構成要素間の特定の相互ポジショニングを規定することになる。コストおよび複雑性を低減させるために、通常、所望の機能性を達成するのに必要な最小限の数のアクチュエータを用いることが望ましい。接合構造体が多くの接合点を有している場合、構造体を安定にするために、多くのアクチュエータが必要になる。本発明のプラットフォームは、プラットフォームを6つの自由度を用いて運動させることを可能にするために、通常、限られた数、例えば、6つのアクチュエータしか必要としないという利点を有している。
【0019】
本発明の文脈において、サブフレームの各接続点と共通中心点との間の距離は、実質的に一定である。この要件は、モーションプラットフォームの実現に機械的な制約条件を加えることになる。しかし、この要件は、共通中心点と1つまたは複数の接続点との間の距離を特定しているにすぎないことに留意されたい。これは、1つまたは複数の接続点または共通中心点の絶対位置を定めるものではない。さらに、それぞれの接続点は、共通中心点に対して一定の距離を保っているが、互いに異なる距離の位置にあってもよい。
【0020】
モーションプラットフォームの実施形態では、接続点は、モーションプラットフォームの使用中に、共通中心点と接続点の各々との間の距離を実質的に一定に保ちながら、共通中心点に対して移動可能になっている。接続点が共通中心点に対して移動可能になっているので、サブフレームは、接続点が共通中心点に対して一定の位置に配置されている場合よりも柔軟になる。その結果、安定したシステムを維持するために、システムの他の構成要素に対する自由度が低減されることになる。
【0021】
一実施形態では、接続点の各々は、同一円状に位置しており、この同一円は、該円の中心点として、共通中心点を有している。ここで、接続点と共通中心点との間の距離が同一であることによって、製造および組立が容易な対称的な構造体をもたらすことが可能になる。
【0022】
前述したように、モーションプラットフォームは、静止フレームに対する前記キャビンの直進運動、すなわち、x,y,および/またはz方向における運動、およびピッチ、ヨー、およびロールからなる群の少なくとも1つをシミュレートすることが可能でなければならない。好ましくは、モーションプラットフォームは、静止フレームに対する前記キャビンのこれらの運動の全て、すなわち、直進運動、ピッチ、ヨー、およびロール、および/またはこれらの組合せを可能にするように構成されている。これらの運動または移動は、必ずしも同時に行われなくてもよい。
【0023】
一実施形態では、各接続部材は、アーム、第1の連結部、および第2の連結部を備えている。第1の連結部は、アームの第1の端を静止フレームの直立支柱に連結しており、第2の連結部は、アームの第2の端を前記接続点においてサブフレームに連結している。
【0024】
一実施形態では、接続部材の少なくとも1つの第1の連結部は、関連する直立支柱に対する第1の連結部の垂直方向の変位を可能にするために、該直立支柱に移動可能に取り付けられている。もし全ての第1の連結部がこのように配置されているなら、垂直方向における直進運動が達成されることになる。これによって、垂直方向における大きな運動範囲を容易に得ることができるという点において、周知のシステムを上回る利点がもたらされることになる。この運動範囲を拡大することによって、残りの構成要素、特に、アクチュエータに条件が課せられることは、全くまたは殆どない。さらに、よりバランスの取れたシステムを得るために、カウンターウエイトまたは他の重量補償システムが用いられてもよい。このようなシステムの例については、後述する。これらのカウンターウエイトを用いることによって、接続部材を上下に移動させるために配置されるアクチュエータを小型化することができる。周知の6脚式解決策では、カウンターウエイトを用いることができない。
【0025】
もし垂直方向の運動が必要でなければ、単一の第1の連結部によって、ピッチまたはロール運動を生じさせることができる。
【0026】
一実施形態では、第1の連結部は、直立支柱に摺動可能に取り付けられている。例えば、直立支柱の側方に沿って延在するループケーブルを用いるプーリーシステムを配置させることができる。このケーブルは、その途中で、第1の連結部に接続されている。ケーブルを駆動することによって、第1の連結部を直立支柱に対して垂直方向に移動させることができる。前述のカウンターウエイトがケーブルに接続されていてもよい。ケーブルは、第1の連結部に接続されたノッチ付きベルトまたは歯付きベルトの形態にあってもよい。
【0027】
他の実施形態では、直立支柱には、その長手方向に沿って、歯付き構造体が設けられていてもよい。駆動可能なギアが、歯付き構造体に係合するために、接続部材に配置されている。このギアを駆動することによって、第1の連結部を直立支柱の上下に移動させることができる。
【0028】
一実施形態では、接続部材の少なくとも1つの第1の連結部は、接続部材の前記少なくとも1つのアームが直立支柱に対して旋回することができるように構成されている。例えば、第1の連結部は、垂直変位を可能にするために直立支柱に接続された第1の部分、および第1の部分に接続された第2の部分を備えることができる。第2の部分は、対応するアームにヒンジ接続されている。第1の連結部は、リング状構造体から構成されていてもよく、該リング状構造体を通って直立支柱が延在することになる。これによって、第1の連結部は、直立支柱の周りを回転することが可能になる。
【0029】
前述の旋回を生じさせるために、個々に制御可能なアクチュエータが接続部材または関連する直立支柱に配置されていてもよい。このアクチュエータを駆動させることによって、直立支柱に対するアームの旋回角度を規定することができる。
【0030】
接続部材のアームは、種々の方法によって、直立支柱に対して旋回させることができることに留意されたい。第1に、アームは、直立支柱と平行に延在する軸を中心として旋回することができる。第2に、アームは、直立支柱と直交する軸を中心として旋回することもできる。これらの旋回の各々は、直立支柱または接続部材に配置されたアクチュエータによって駆動されるとよい。
【0031】
一実施形態では、キャビンは、該キャビンを回転軸を中心として回転させるために、サブフレームに旋回可能に取り付けられている。従って、この実施形態では、サブフレームは、静止フレームに対して移動することができ、キャビンは、サブフレームに対して移動することができるようになっている。
【0032】
一実施形態では、回転軸は、共通中心点と交差している。これによって、バランスの取れた構造体を得ることが可能になる。何故なら、共通中心点は、通常、サブフレームの中心部に対応しているからである。
【0033】
本発明の文脈において、回転軸は、数学的対象に対応しており、該対象が回転する方向を定めている。回転軸は、必ずしも軸部またはシャフトのように、材料構造に関連していなくてもよい。例えば、キャビンは、回転軸から離れた位置において、キャビンに回転可能に取り付けられていてもよい、キャビンを支持するサブフレームに、軸受が設けられていてもよい。他のまたはさらなる実施形態では、ケーブルが、共通中心点において、サブフレームに回転可能に取り付けられている。
【0034】
対称的なバランスの取れたモーションプラットフォームを得るために、モーションプラットフォームは、接続点が回転軸と直交して延在する面内に実質的に位置するように構成されているとよい。サブフレームおよび接続部材の運動によって、当該面は、空間内に固定されていないことに留意されたい。回転軸も、同様である。ここでも、当該面は、数学的対象と称されることがある。当該面は、必ずしも接続点内に延在するある種の平面に対応する必要がない。
【0035】
キャビンがサブフレームに回転可能に取り付けられている場合、キャビンをサブフレームに対して回転させるために、アクチュエータが、サブフレームまたはキャビンに設けられているとよい。従って、キャビンは、静止フレームに対して回転することができ、またはサブフレームは、静止フレームに対して回転することができ、または両方が回転することもできる。
【0036】
モーションプラットフォームの一実施形態では、サブフレームは、複数の第1のさらなるアームを備えている。前記複数の第1のさらなるアームの各々は、共通中心点から接続点に向かって延在している。一般的に、第1のさらなるアームの数は、接続点の数に対応しており、接続点の数は、直立支柱の数に対応している。
【0037】
第1のさらなるアームは、共通中心点において、互いにヒンジ接続されているとよい。しかし、これは、必ずしも必要ではない。ここでも、所望の形態の運動を得るには、モーションプラットフォームの種々の構成要素の全体にわたって、必要な自由度を分配させることである。これは、第1のさらなるアームを1つの回転軸のみを中心として互いに旋回させるように構成されたヒンジ付き接続部を有することによって、十分に達成されることにさらに留意されたい。回転軸の数を増やす場合、一般的に、安定したモーションプラットフォームを得るために、アクチュエータの数を増やす必要がある。
【0038】
さらに他の実施形態では、サブフレームは、共通中心点から離間したさらなる共通中心点を備えていてもよい。このさらなる共通中心点から、複数の第2のさらなるアームが接続点に延在している。第1のさらなるアームおよび第2のさらなるアームは、共通中心点とさらなる共通中心点との間に延在するリブを形成し、これらのリブは、一緒になって、キャビンが収容される空洞を画定している。一般的に、第2のさらなるアームの数は、第1のさらなるアームの数に対応している。加えて、第1および第2のさらなるアームは、必ずしも、接続点において互いに直接接続されていなくてもよい。中間的な構成要素が設けられてもよい。このような構成要素は、当該接続点に関連する第2の連結部であってもよい。
【0039】
また、さらなる共通中心点は、一般的に、空間内の絶対位置ではない。それどころか、該位置は、サブフレームに基づく位置である。
【0040】
一実施形態では、第1のさらなるアームは、キャビンの下方を部分的に通っているアームに対応しており、第2のさらなるアームは、キャビンの上方を部分的に通っているアームに対応しており、またはこれらの逆であってもよい。
【0041】
第1のさらなるアームと同様、第2のさらなるアームも、さらなる共通中心点において互いにヒンジ接続されているとよい。
【0042】
一実施形態では、さらなる共通中心点は、回転軸に位置している。キャビンは、共通中心点およびさらなる共通中心点において、サブフレームに回転可能に取り付けられているとよい。
【0043】
一実施形態では、モーションプラットフォームは、個々に制御可能なアクチュエータを備えている。該アクチュエータは、接続部材とキャビンとの間に、前記接続部材と前記キャビンとの間の相対的なポジショニングを変化させる係合をもたらすように、構成されている。または、該アクチュエータは、接続部材とサブフレームとの間に、前記接続部材と前記サブフレームとの間の相対的ポジショニングを変化させる係合状態をもたらすように、構成されている。または、該アクチュエータは、サブフレームとキャビンとの間に、前記サブフレームと前記キャビンとの間の相対的なポジショニングを変化させる係合をもたらすように、構成されている。または、該アクチュエータは、接続部材と該接続部材に接合された第1のさらなるアームとの間に、前記接続部材と前記第1のさらなるアームとの間の相対的なポジショニングを変化させる係合状態をもたらすように、構成されている。または、該アクチュエータは、第1のさらなるアームとキャビンとの間に、前記第1のさらなるアームと前記キャビンとの間の相対的なポジショニングを変化させる係合状態をもたらすように、構成されている。
【0044】
個々に制御可能なアクチュエータの前述の構成の各々によって、関連する接続点を共通中心点に対して一定の距離を保ちながら、共通中心点に対して移動させる駆動力がもたらされることになる。このような運動は、通常、共通中心点に対して円形経路を辿ることになる。しかし、以下に述べるように、アクチュエータの作動は、必ずしも接続点を共通中心点に対して移動させるようになっていなくてもよい。
【0045】
さらに他の実施形態では、前述の個々に制御可能なアクチュエータは、もしサブフレームが運動または移動するようになっているなら、好ましくは、各第1のさらなるアームまたはリブに配置されている。これらのアクチュエータは、キャビンの回転方向においてキャビンに係合するように、さらに構成されている。もし全てのアクチュエータが同じ形態でキャビンに係合するように第1のさらなるアームに配置されているなら、各接続点と共通中心点との間の距離の差が生じるように構成されていても、キャビンは、サブフレームに対して回転し、接続点は移動しないことになる。しかし、もしこれらのアクチュエータがキャビンに対して互いに異なる形態で係合するように第1のさらなるアームに配置されているなら、接続点は、共通中心点に対して移動することになる。いくつかの実施形態では、接続点を共通中心点の周りに個々に移動させることによって、キャビンの水平方向の運動をもたらすことができることに留意されたい。従って、第1のさらなるアームまたはリブに配置されたアクチュエータを用いることによって、キャビンを回転させる別のアクチュエータが省略される点において、サブフレームと接続部材との間にのみ係合状態をもたらすアクチュエータを上回る利点が得られることになる。
【0046】
さらに他の実施形態では、キャビンには、湾曲した歯付きバーがその周囲に配置されており、個々に制御可能なアクチュエータは、各々、個別のギアを駆動させるように構成されている。歯付きバーとギアとの連結は、直接的であってもよいし、またはモーションプラットフォームが、ギアの各々と歯付きバーとの間に伝達をもたらすノッチ付きベルトまたは歯付きベルトを備えていてもよい。
【0047】
一実施形態では、サブフレームは、第2の連結部を周方向に沿って案内するための円形ガイドを備えている。この実施形態では、接続点は、共通中心点に対して同一の一定距離を保って位置している。さらに、共通中心点は、円形ガイドの中心点と実質的に対応している。
【0048】
代替的に、サブフレームは、複数の湾曲ガイドを備えていてもよい。各湾曲ガイドは、接続部材の第2の連結部を案内するように配置されている。これによって、各第2の連結部は、特定の湾曲ガイドに割り当てられることになる。この場合、湾曲は、円またはその一部に対応しており、各円の中心は、共通中心点と一致している。しかし、この構成によって、接続点と共通中心点との間の距離を異ならせることができる。換言すれば、湾曲ガイドの各々は、互いに異なる半径を有する円またはその一部を規定することができることになる。
【0049】
いずれの場合であっても、サブフレームは、キャビンに固定して接続されており、各第2の連結部は、円形ガイド内において案内されることになる。この場合、各第2の連結部は、円形ガイドおよびキャビンに周方向において係合するための個々に制御可能なアクチュエータを備えているとよい。しかし、このようなアクチュエータは、その円形ガイド自体に配置されていてもよい。
【0050】
さらに他の実施形態では、各個々に制御可能なアクチュエータは、個別のギアを駆動させるように構成されており、キャビンおよび/または円形ガイドは、その周囲に配置された湾曲した歯付きバーを備えている。
【0051】
歯付きバーとギアとの間の係合は、直接的であってもよいし、またはモーションプラットフォームが、ギアの各々と歯付きバーとの間に伝達をもたらすノッチ付きベルトまたは歯付きベルトを備えていてもよい。
【0052】
次に、可能な実装例について、さらに詳細に説明する。直立支柱および接続部材の数について制限されていないが、3つの同一の接続部材および3つの同一の直立支柱に関連して、これらの実装例を説明する。さらに、各実装例は、6つの自由度、すなわち、x,y,およびy方向における直進運動、ピッチ、ロール、およびヨーをもたらすように構成されている。これらの実装例は、表1に示されている。
【0053】
ここでは、左欄の数字は、実装例を番号によって示している。「+」の符号は、特定の個々に制御可能なアクチュエータが配置されていることを示している。具体的なアクチュエータの配置は、以下の通りである。
【0054】
「アクチュエータ/垂直/直立支柱」は、アクチュエータが、関連する第1の連結部の垂直変位をもたらすために、接続部材または直立支柱に配置されているかどうかを示している。
【0055】
「アクチュエータ/旋回/直立支柱」は、アクチュエータが、第1の連結部を直立支柱に対して旋回させるために、接続部材または直立支柱に配置されているかどうかを示している。
【0056】
「アクチュエータ/サブフレーム−キャビン間」は、アクチュエータが、サブフレームとキャビンとの間の相対運動、例えば、キャビンに対する接続点の運動をもたらすために、サブフレームまたはキャビンに配置されているかどうかを示している。
【0057】
「アクチュエータ/アーム長さ」は、アクチュエータが、アーム長さを変化させるために、直立支柱または接続部材に配置されているかどうかを示している。
【0058】
「アクチュエータ/キャビンの回転」は、アクチュエータが、キャビンをサブフレームに対して回転させるために、キャビン内またはサブフレーム上に配置されているかどうかを示している。「アクチュエータ/サブフレーム−キャビン間」との違いは、「アクチュエータ/サブフレーム−キャビン間」が、前述したように、モーションプラットフォームのポジショニングを変化させるためにも用いられることである。
【0059】
右欄には、モーションプラットフォーム内のアクチュエータの総数が示されている。この数は、3つの直立支柱および3つの接続部材を有するモーションプラットフォームに基づいている。
【0060】
【表1】
【0061】
第1の実装例(1_1&1_2)では、各接続部材のアームの長さは、一定であり、第1の連結部は、直立支柱に対して旋回可能であり、接続点は、共通中心点に対して移動可能であり、各第2の連結部は、対応するアームとサブフレームとの間の運動に関連する3つの回転軸を備えている。
【0062】
第2の実装例(2_1−2_3)では、各アームの長さは、可変であり、第1の連結部は、直立支柱に対して旋回可能であり、接続点は、共通中心点に対して移動可能であり、各第2の連結部は、対応するアームとサブフレームとの間の運動に関して2つのみの回転軸を備えている。
【0063】
第3の実装例(3_1&3_2)では、各アームの長さは、可変であり、第1の連結部は、対応する直立支柱に対して旋回することができず、接続点は、共通中心点に対して移動可能であり、各第2の連結部は、対応するアームとサブフレームとの間の運動に関する3つの回転軸を備えている。
【0064】
第4の実装例(4_1&4_2)では、各アームの長さは、可変であり、第1の連結部は、直立支柱に対して旋回可能であり、接続点は、共通中心点に対して固定されており、各第2の連結部は、対応するアームとサブフレームとの間の運動に対する3つの回転軸を備えている。一実施形態では、接続部材の少なくとも1つのアームの長さは、調整可能になっている。従って、一定のアーム長さおよび可変アーム長さを有する接続部材の組合せが可能である。
【0065】
実装例2_x、3_x、および4_xでは、アーム長さは、可変である。可変アーム長さを有するモーションプラットフォームの可能な実施形態は、鋏状に互いに絡み合わされてヒンジ接続された複数のアーム部分を備えている。アームは、第1の端アーム部および第2の端アーム部を有している。アームの長さは、第1および第2の端アーム部間の距離をアームの長さ方向と直交する方向において変化させることによって、調整することができる。
【0066】
さらに他の実施形態では、接続部材の少なくとも1つの第1の連結部は、第1および第2の端アーム部を関連する直立支柱に移動可能に連結するために、前記第1の端アーム部および前記第2の端アーム部に対して個別の連結部を備えている。第1および第2の端アーム部の少なくとも1つを直立支柱に沿って移動させるために、個々に制御可能なアクチュエータをアームまたは関連する直立支柱に配置させることができる。しかし、個々に制御可能なアクチュエータを、第1および第2の端アーム部ごとに、アームまたは関連する直立支柱に配置することによって、第1および第2の端アーム部を直立支柱に沿って個々に互いに移動させることができる。これによって、アーム長さを変化させる能力および第1の連結部の垂直位置を変化させる能力が、同時に得られることになる。
【0067】
他の実施形態では、表1に示されていないが、接続部材は、各々、伸縮性アームの形態にある可変長さを有するアームを備えている。アームは、第1の連結部によって直立支柱に接続されている。このような連結部は、アームと対応する直立支柱との間の運動に関連する単一の回転軸を有している。伸縮可能なアームは、管状部内に受け入れられるロッドを備えている。第2の連結部は、この場合、ロッドと管状部との間の連結部に対応している。さらに、接続点は、ロッドが管状部内に受け入れられる開始点である。接続部材の伸縮可能なアームは、共通中心点に向かって延在しており、該共通中心点において、ヒンジ装置を用いて互いにヒンジ接続されている、この装置は、互いに対して旋回するために、伸縮可能なアームに対して1つの回転軸をもたらしている。ただし、2つ以上の回転軸も排除されるものではない。この実施形態では、伸縮可能なアームは、サブフレームおよび関連する接続部材の一部である。例えば、接続部材は、該ロッドから構成されており、管状部は、サブフレームの一部と見なすことができる。これらの2つが交差する点は、接続点と称される。この実施形態におけるキャビンは、通常、ヒンジ装置に対して、好ましくは、旋回可能に接続されている。また、この実施形態では、可能な自由度は少なくなるが、接続点は互いに離間しており、共通中心点に対して移動できるようになっている。
【0068】
実装例1_1,2_1,2_3,3_2に関して、キャビンを回転させるための個別のアクチュエータ(すなわち、「アクチュエータ/キャビンの回転」)は、キャビンをその軸を中心として十分に回転させねばならない。これは、接続点が移動することができない第4の実装例にも当てはまる。これらの実装例では、キャビンは、追加的なアクチュエータなしでは、静止フレームに対して十分な回転を行うことができない。
【0069】
前述の実装例のいくつかでは、アクチュエータの組合せが用いられてもよい。例えば、実装例2_2,2_3は、組み合わされてもよい。このような場合、アーム長さを変化させるために直立支柱に配置された1つのアクチュエータは、垂直変位用のすでに存在しているアクチュエータと組み合わさっているが、キャビンをサブフレームに対して回転させるためにサブフレームに配置された2つのアクチュエータと組み合わされてもよい。当業者であれば、モーションプラットフォームのアクチュエータの数、所望の運動の種類、および自由度が適合している限り、アクチュエータの種々の組合せが可能であることを理解するだろう。
【0070】
前述したように、もし接続点が共通中心点に対して一定の距離を保ちながら該共通中心点に対して移動可能であるなら、6つのアクチュエータを用いて、6つの自由度を得ることができる。しかし、現実の問題として、7つのアクチュエータに代わって、6つのアクチュエータが用いられるかどうかは、アクチュエータの位置に依存している。
【0071】
直立支柱および接続アームを実質的に同じように構成すると、有利である。これによって、モーションプラットフォームを同様の構成要素、例えば、同じ接続部材および同じ直立支柱を用いて作製することができる。その結果、組立プロセスの複雑さが緩和され、各構成要素を作製するためのコストをスケールメリットによって低減させることができる。
【0072】
もしモーションプラットフォームが3つの直立支柱のみおよび3つのみの接続部材を備えているなら、最小の構成ではないにしても、安定したモーションステーションを実現することができる著しく縮小された構成が得られることになる。
【0073】
一実施形態では、モーションプラットフォームは、モーションプラットフォームの各アクチュエータを個々に制御する制御装置を備えている。このような制御装置は、所定のモーションシーケンスが行なわれるようにプログラム化可能であるとよい。可能な商業的実施形態として、例えば、催事会場またはアミューズメントパークのアトラクションが挙げられる。
【0074】
本発明は、前述のモーションプラットフォームを備える航空機シミュレータも提供している。加えて、このシミュレータは、モーションプラットフォームのキャビン内に配置されるジョイステックのような手動操作可能な制御要素を備えている。前記制御装置は、前記制御要素の操作に応じてモーションプラットフォームの各アクチュエータを制御するように構成されている。
【0075】
シミュレータは、モーションプラットフォームのポジショニングおよび方位によって、映像を表示するディスプレイシステムと組み合わされていてもよい。
【0076】
さらに他の態様によれば、本発明は、少なくとも3つの直立支柱を有する静止フレームと、静止フレーム内に実質的に配置されたサブフレームと、各直立支柱をサブフレームにそれぞれの接続点において接続するための少なくとも3つの接続部材と、サブフレームに接続されており、人を収容するのに適するようになっているキャビンと、複数のアクチュエータとを備えるモーションプラットフォームに関する。サブフレーム、接続部材、およびキャビンは、互いに接合された構造体を形成しており、この構造体は、該構造体に係合された複数のアクチュエータによって、静止フレームに対する前記キャビンの直進運動、およびピッチ、ヨー、およびロールからなる群の少なくとも1つを可能とするように構成されている。さらに、サブフレームおよび接続部材は、使用中、接続点の各々がサブフレームの共通中心点に対して実質的に一定の距離にあるように構成されている。さらに、使用中、接続点は、共通中心点と接続点の各々との間の距離を実質的に一定に保ちながら、互いに対してかつ共通中心点に対して移動可能になっている。このモーションプラットフォームは、ここまでに述べた特徴のいずれかによって、さらに特徴付けられるようになっていてもよい。
【0077】
次に、添付の図面を参照して、実施形態について説明する。