特許第5960711号(P5960711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960711
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ハイブリッドソーラーパネル
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/00 20140101AFI20160719BHJP
   H01L 31/052 20140101ALI20160719BHJP
   H02S 40/42 20140101ALI20160719BHJP
   H02S 40/44 20140101ALI20160719BHJP
【FI】
   F24J2/00 A
   H01L31/04 600
   H02S40/42
   H02S40/44
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-539323(P2013-539323)
(86)(22)【出願日】2011年11月21日
(65)【公表番号】特表2014-501900(P2014-501900A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】FR2011052718
(87)【国際公開番号】WO2012069750
(87)【国際公開日】20120531
【審査請求日】2014年7月30日
(31)【優先権主張番号】1059597
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513127249
【氏名又は名称】ソレール ドゥジェ
【氏名又は名称原語表記】SOLAIRE 2G
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ブロティエ,レティシア
(72)【発明者】
【氏名】ムテルドゥ,ジェローム
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/094555(WO,A1)
【文献】 米国特許第06201180(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第0981167(EP,A2)
【文献】 独国特許出願公開第3611543(DE,A1)
【文献】 特表2007−514088(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1310747(EP,A1)
【文献】 米国特許第4361717(US,A)
【文献】 米国特許第5935343(US,A)
【文献】 米国特許第6201179(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第0460872(EP,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10344084(DE,A1)
【文献】 特表2012−524998(JP,A)
【文献】 特開2003−303987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/00 − 2/54
H01L 31/052 − 31/0525
H02S 40/42
H02S 40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドソーラーパネルであって、
−正面および背面を有する太陽電池構成要素(1)と、
−前記太陽電池構成要素(1)の背面と向かい合って配置される熱交換器(E)と、
−前記太陽電池構成要素(1)を冷却するように前記熱交換器(E)の中を循環する冷却液とを含み、
−ここで前記熱交換器(E)は、前記太陽電池構成要素(1)の下に配置され前記冷却液が中を流れる熱交換領域(ZE)を有し、前記熱交換領域は、熱交換領域(ZE)における熱交換を促進するように前記冷却液の流れを攪拌することを可能にする構成要素(20)を呈する、
ハイブリッドソーラーパネルにおいて、
前記熱交換領域(ZE)が、熱伝導性の素材で作られ、かつ前記熱交換領域の中を流れる冷却液の流動の厚み全体に及ぶ組み込まれた攪拌用構成要素(20)を形成するように形作られる、熱交換用の下部板(2)によって形成されること、前記攪拌用構成要素が前記板と同じ素材で作られること、および、
攪拌用構成要素(20)の上部端が太陽電池構成要素(1)の背面と表面接触しており前記太陽電池構成要素が主にこれらの接触点において冷却されるようになっており、
攪拌用構成要素(20)が、冷却液が表面を流れる板(2)の上面において隆起を形成し、前記冷却液と接触せず前記上面と反対側の前記板の下面において穴を形成すること、
を特徴とするハイブリッドソーラーパネル。
【請求項2】
熱交換面積1m2あたり数百個の攪拌用構成要素(20)を有し、前記攪拌用構成要素が、不規則に、特に5点形で分配されている、請求項1に記載のソーラーパネル。
【請求項3】
冷却液が、太陽電池構成要素(1)から発生する熱を、前記太陽電池構成要素の背面においてのみならず、下部板(2)においても回収する、請求項1または2に記載のソーラーパネル
【請求項4】
部板(2)が、金属製であり、攪拌用構成要素(20)を形成するように型打ちされる、請求項1からのいずれか一つに記載のソーラーパネル。
【請求項5】
熱交換器(E)が単一成型の部品であり、下部板(2)が、熱交換領域(ZE)のみならず、冷却液の供給領域(ZA)および排出領域(ZV)も構成するように形作られる、請求項1からのいずれか一つに記載のソーラーパネル。
【請求項6】
下部板(2)が、熱交換領域(ZE)のみならず、太陽電池構成要素(1)が上に乗る台の全部もしくは一部を構成するように形作られる、請求項1からのいずれか一つに記載のソーラーパネル。
【請求項7】
熱交換器(E)が、熱交換領域(ZE)の両側に配置される冷却液の循環路(11、12)を含み、前記循環路の圧力低下により、前記熱交換領域において前記冷却液が均一に配分されることが保障される、請求項1からのいずれか一つに記載のソーラーパネル。
【請求項8】
循環路(11、12)の深さが熱交換領域(ZE)の中を流れる冷却液の流動の厚みを上回る、請求項7に記載のパネル。
【請求項9】
下部板(2)が循環路(11、12)を形成するように形作られる、請求項7または8に記載のソーラーパネル。
【請求項10】
熱交換器(E)の背面が断熱手段を備えない、請求項1からのいずれか一つに記載のソーラーパネル。
【請求項11】
細長いジャンクションボックス(4)が、前記パネルの背面において、太陽電池構成要素(1)の背面と向かい合うことなく配置される、請求項1から10のいずれか一つに記載のソーラーパネル。
【請求項12】
ハイブリッドソーラーパネルであって、
−正面および背面を有する太陽電池構成要素(1)と、
−前記太陽電池構成要素(1)の背面と向かい合って配置される熱交換器(E)と、
−前記太陽電池構成要素(1)を冷却するように前記熱交換器(E)の中を循環する冷却液とを含み、
−ここで前記熱交換器(E)は、前記太陽電池構成要素(1)の下に配置され前記冷却液が中を流れる熱交換領域(ZE)を有し、前記熱交換領域は、熱交換領域(ZE)における熱交換を促進するように前記冷却液の流れを攪拌することを可能にする構成要素(20)を呈する、
ハイブリッドソーラーパネルにおいて、
前記熱交換領域(ZE)が、熱伝導性の素材で作られ、かつ前記熱交換領域の中を流れる冷却液の流動の厚み全体に及ぶ組み込まれた攪拌用構成要素(20)を形成するように形作られる、熱交換用の下部板(2)によって形成されること、前記攪拌用構成要素が前記板と同じ素材で作られること
交換用の上部板(13)が太陽電池構成要素(1)の背面に固定され、攪拌用構成要素(20)の上部端が、前記上部板の低温箇所や高温箇所がなく均一になるように、前記上部板と表面接触していること、および、
攪拌用構成要素(20)が、冷却液が表面を流れる板(2)の上面において隆起を形成し、前記冷却液と接触せず前記上面と反対側の前記板の下面において穴を形成すること、
を特徴とするハイブリッドソーラーパネル。
【請求項13】
冷却液が、太陽電池構成要素(1)から発生する熱を、上部板(13)においてのみならず、下部板(2)においても回収する、請求項12に記載のパネル。
【請求項14】
熱交換面積1m2あたり数百個の攪拌用構成要素(20)を有し、前記攪拌用構成要素が、不規則に、特に5点形で分配されている、請求項12または13に記載のソーラーパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドソーラーパネルを目的としている。本発明はまた、ハイブリッドソーラーパネルの太陽電池構成要素を冷却するための方法、並びにそのようなソーラーパネルの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、(電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させることが可能な)ハイブリッドソーラーパネルの熱制御のための熱交換器の技術分野に関しており、前記熱交換器は冷却液の流れを攪拌するための手段を含む。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電ソーラーパネルは、太陽放射から電気エネルギーを発生させることを可能にする。太陽光発電ソーラーパネルは複数の太陽電池構成要素(典型的には電池あるいは薄膜)を含み、該太陽電池構成要素は光電効果の原理に従って機能する。一般的に、複数の太陽電池構成要素は太陽光発電ソーラーパネル上で相互接続され、複数のパネルはソーラー設備を形成するためにまとめられる。この設備は、その場で消費可能な電力あるいは配電網に供給可能な電力を生産する。
【0004】
太陽光発電ソーラーパネルが電力に変えるのは、太陽放射のごく一部であり(今現在は20%未満)、残りの熱は使用されない。約−0.45%/℃の、温度による太陽電池構成要素の効率低下が確認できるため、この使用されない熱はソーラーパネルの電力性能に不利益をもたらす。それゆえに、太陽光発電ソーラーパネルを冷却することが、二つの理由で有利である。すなわち、太陽電池構成要素の効率が増大するのみならず、多かれ少なかれ複合的な加熱システムにおいて、冷却するためのカロリーを利用することもできる。それゆえ、電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させることができるハイブリッドソーラーパネルが論じられる。
【0005】
一般的に、熱交換器は、太陽電池構成要素を冷却するように太陽電池構成要素の背面と向かい合って配置される。次の特許文献には、かなりの数のソーラーパネル用熱交換器について記述されている:仏国特許発明第2,319,585号明細書(LIEBARD);仏国特許発明第2,566,183号明細書(LUCCIONI);仏国特許発明第2,727,790号明細書(CYTHELIA);米国特許第4,361,717号明細書(GILMORE);米国特許第4,184,543号明細書(KLEINE);米国特許第7,076,965号明細書(LASICH);独国特許発明第197,47,325号明細書(SCHRENK);あるいは独国特許発明第10,2004,002,900号明細書(MASCHKE)。
【0006】
これらすべての熱交換器は、太陽電池構成要素の効率を高めるために太陽電池構成要素を冷却することができる。しかしながら、該熱交換器は、かなりの数の不都合を呈する:該熱交換器の構成は比較的に複合的であり得るためパネルを重くする、該熱交換器は太陽電池構成要素を均一に冷却することができない、カロリーは最も効果的には取り出されない、冷却液を循環するために大量のエネルギーを使用する必要がある、など。
【0007】
より詳細には、仏国特許発明第2,911,997号明細書(DIEMUNSCH)によって、太陽電池構成要素の下に配置され、冷却液が表面を層流状態で流れる底板を有する熱交換器を内部に備えた、ハイブリッドソーラーパネルが既知である。冷却液の流れを攪拌することを可能にする構成要素が、熱交換を促進するように底板に配置されている。攪拌用構成要素は、流れの方向に方向づけられたリブ、フォン・カルマン型の立体の渦を作り出すことを可能にする円筒形または球形の障害物、羽根の縁で渦を作り出すために流れの厚みより高さの低いファン、あるいはまた、流れに直角に交わるように冷却液の流動の中に挿入される羽根車であり得る。
【0008】
これらの様々な攪拌用構成要素は、すべて底板に付け加えられる。したがって、接着、溶接、あるいはねじ留めによってこれらの様々な攪拌用構成要素を固定する必要があるが、これらの工程は構成を複雑化し時間がかかる。そのような熱交換器を工業的にすなわち大量に製造するための費用は、したがって相対的に高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この状況に直面して、本発明の主な目的は、ハイブリッドソーラーパネル用の熱交換器を、より時間のかからない、より少ないコストで工業的に製造できるように、該熱交換器の構成を単純化することである。
【0010】
本発明によって達成されるべき他の目的のうち、以下を挙げることができる:太陽電池構成要素における温度の均一性、カロリーを最も効果的に取り出すこと、重量が抑えられつつ頑丈なソーラーパネル。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によって提案される解決案は、
−正面および背面を有する太陽電池構成要素と、
−前記太陽電池構成要素の背面と向かい合って配置される熱交換器と、
−前記太陽電池構成要素を冷却するように前記熱交換器の中を循環する冷却液と、
を含むハイブリッドソーラーパネルであり、
−前記熱交換器は、前記太陽電池構成要素の下に配置され前記冷却液が中を流れる熱交換領域を有し、前記熱交換領域は、熱交換領域における熱交換を促進するように前記冷却液の流れを攪拌することを可能にする構成要素を呈する。
【0012】
このパネルは以下を特徴とする:
−下部板が、熱交換領域の中を流れる前記冷却液の流動の厚み全体に及ぶ組み込まれた攪拌用構成要素を形成するように形作られる。該熱交換領域は、したがって、その製造時から攪拌用構成要素を組み込み、このことにより熱交換器の製造が大いに単純化される。
−攪拌用構成要素の上部端が、太陽電池構成要素の背面と接触しており、前記太陽電池構成要素が主にこれらの接触点において冷却されるようになっている。
【0013】
一変形実施例において、熱交換用の上部板は、有利にはアルミニウムを主成分とし、太陽電池構成要素の背面に固定され、攪拌用構成要素の上部端は、前記上部板の低温箇所や高温箇所がなく均一になるように、前記上部板と接触している。
【0014】
採用される解決案がいかなるものであっても、技術的な結果は同様である。すなわち、攪拌用構成要素と太陽電池構成要素の背面(あるいは熱交換用の上部板)との間の熱を交換しうるような接触により、下部板の方への効率的な熱の伝達が確実に行われるが、これは前述の仏国特許発明第2,911,997号明細書で記述されているパネルを用いてはできないことである。下部板は、したがって、太陽電池構成要素から発生するカロリーを効率よく取り出すことができ、該カロリーは、続いて冷却液によって排出される。冷却液は、したがって、太陽電池構成要素の背面においてのみならず、下部板においてもカロリーを回収する。
【0015】
攪拌用構成要素は、好ましくは、冷却液が表面を流れる下部板の上面において隆起を形成し、前記冷却液と接触せず前記上面と反対側の前記板の下面において穴を形成する。
【0016】
下部板は、有利には金属製であり、攪拌用構成要素を形成するように型打ちされる。
【0017】
好ましくは、熱交換器は単一成型の部品であり、下部板は、熱交換領域のみならず、冷却液の供給領域および排出領域ともなるように形作られる。
【0018】
下部板は、熱交換器の熱交換領域のみならず、太陽電池構成要素が上に乗る台の全部もしくは一部ともなるように形作られ得る。
【0019】
熱交換器は、好ましくは、熱交換領域の両側に配置される冷却液の循環路を含み、前記循環路の圧力低下により、前記熱交換領域における前記冷却液は均一に分配されることが保障される。下部板は、これらの分配路を形成するように形作られ得る。
【0020】
熱交換領域において冷却液の均一化を最も効果的に行うため、循環路の深さは、好ましくは、前記熱交換領域の中を流れる前記冷却液の流動の厚みを上回る。より一般的には、循環路の中に発生する圧力低下は、熱交換領域においてもたらされる圧力低下に比べてごくわずかである。
【0021】
熱交換器の背面には、いかなる断熱手段も備えないことがあり得る。
【0022】
本発明の別の特徴によると、細長いジャンクションボックスが、前記パネルの背面に、好ましくは前記パネルの背面側の縁に、そして、より一般的には太陽電池構成要素の背面と向かい合うことなく、配置される。この特徴は、先に記述された他の特徴、とりわけ熱交換器の構成とは技術的に独立したものである。
【0023】
本発明の別の局面は、ハイブリッドソーラーパネルの太陽電池構成要素を冷却するための方法に関しており、該方法は以下からなる:
−前記太陽電池構成要素を冷却するように、太陽電池構成要素の下に配置される熱交換領域の中で冷却液を循環させ、
−前記熱交換領域の中で前記冷却液の流れを攪拌する。
【0024】
この方法は、熱交換用の下部板の構造によって得られる攪拌用構成要素を熱交換領域の中に組み込むことによって冷却液が攪拌されること、前記構成要素が、前記熱交換領域の中を流れる前記冷却液の流動の厚み全体に及ぶこと、を特徴とする。
【0025】
本発明のさらに別の局面は、熱交換器がハイブリッドソーラーパネルの太陽電池構成要素の下に配置される前記パネルの製造方法に関しており、前記方法は以下からなる:
−熱交換用の下部板を前記太陽電池構成要素の下に配置し、冷却液が該板の表面を流れるようになっており、前記板は、前記冷却液の流れを攪拌することを可能にする構成要素を呈する熱交換領域を形成し、
−前記熱交換領域の中を流れる前記冷却液の流動の厚み全体に及び得る、組み込まれた攪拌用構成要素を形成するように、前記下部板を形作る。
【0026】
好ましくは、攪拌用構成要素を形成するように型打ちされる金属製の下部板が使用される。
【0027】
本発明の他の利点および特徴は、一例だが非限定的な実施例として作成された添付の図面を参照しながら以下の好ましい実施態様の説明を読むことにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るハイブリッドソーラーパネルの概略断面図である。
図2図1の細部D1の拡大図である。
図3】本発明に係るハイブリッドソーラーパネルの、一変形実施例における概略断面図である。
図4図3の細部D2の拡大図である。
図5図1のパネルのA−A断面図であり、攪拌用構成要素は線状に配置されている。
図6図5のパネルの一変形実施例を示しており、攪拌用構成要素は5点形に配置されている。
図7】本発明に係る熱交換用の下部板の斜視図である。
図8】EDGEジャンクションボックスを備えたソーラーパネルの上面図である。
図9図6のソーラーパネルの底面図である。
図10a】本発明に係る単一成型の熱交換器の製造工程を示す異なる概略図である。
図10b】本発明に係る単一成型の熱交換器の製造工程を示す異なる概略図である。
図10c】本発明に係る単一成型の熱交換器の製造工程を示す異なる概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の対象となるソーラーパネルは、ハイブリッドパネルであり、すなわち、電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させることができる。該ソーラーパネルは、発生させた電気エネルギーおよび熱エネルギーを住宅あるいは施設に利用できるように、単独であるいは他の類似したパネルと組み合わせて使用されることを目的としている。
【0030】
図1から図4を参照すると、ソーラーパネルPは、太陽電池構成要素1を組み込んでおり、該太陽電池構成要素は正面と背面を有している。正面は、太陽放射を受けることができるように、ふさがっていない状態である。背面は、熱交換器Eと向かい合っている。ソーラーパネルPは、直列あるいは並列に接続される複数の太陽電池構成要素1を有する。複数の太陽電池構成要素は、太陽電池、薄膜型太陽電池、などを含み得る。利用されることができる太陽電池構成要素のタイプは、当業者に周知であるので、ここではより正確な詳細説明は行わない。
【0031】
実際には、太陽電池構成要素1は、台の役割を果たす熱交換器Eの上に乗っている。太陽電池構成要素は、熱交換器に直接固定されることもできるし、あるいはまず硬いフレームに固定されて、それが前記熱交換器に固定されることもできる。フレームが存在する場合、しかしながら、このフレームに対する熱交換器の固定は必要ない、すなわち、フレームが台の機能を果たさなくとも、フレームは、太陽電池構成要素の下に配置されるだけで十分である。いずれにせよ、熱交換器Eは、太陽放射の妨げにならないように、太陽電池構成要素1の下に位置づけられる。
【0032】
冷却液は、典型的に水グリコール系であって、太陽電池構成要素1から発生するカロリーを回収するために熱交換器Eの中を循環する。太陽電池構成要素1を冷却液から電気的に守るために、防水性を備えた電気絶縁体10が前記構成要素の背面との境界面をなす。したがって、太陽電池構成要素1の電気関連の構成部品と冷却液との間に直接の接触はない。この絶縁体10は、太陽電池構成要素1にあらかじめ接着されたシート(英語の用語「バックシート」でより知られている)、あるいは、電気絶縁性の接着剤(例えばシリコーンゲルタイプ)から成り得る。本発明の趣旨において、太陽電池構成要素の「背面」は、防水性を備えた電気絶縁体10によっておよび/または以下に記述される上部板13によって電気的に絶縁される、と解釈できる。太陽電池構成要素1の背面は、したがって、電気的に絶縁される。
【0033】
実際には、熱交換器Eは、三つの主な領域を含む:冷却液の供給領域ZA、熱交換領域ZE、そして前記冷却液の排出領域ZVである。太陽電池構成要素1は、好ましくは、熱交換領域ZEの上に配置されるが、供給領域ZAおよび排出領域ZVの上にも配置されることがあり得る。熱交換領域ZEは、例えば、0.5m2と4m2の間に含まれる面積を有する。
【0034】
図7に示されるように、熱交換器Eは、好ましくは単一成型の部品であって、金属製の板の型打ち、鋳造、あるいは別の方法によって得られる。この単一成型の部品の外形は、熱交換領域ZEのみならず、供給領域ZAおよび排出領域ZVをも画定する。
【0035】
図1から図9を参照すると、供給領域ZAと排出領域ZVは、熱交換領域ZEの両側に配置される循環路11、12によって形成される。これらの循環路11、12は、それらの長手方向の縁を通じて熱交換領域ZEにつながる、軒樋の形を有する。これらの循環路は、互いに平行であり、熱交換領域ZEにおける冷却液の流れの方向に直角に方向づけられる。図5図6で、熱交換器Eにおける冷却液の入口eと出口sは、優先的に対角線上に向かい合うが、同じ高さに対称的に配置されることがあり得る。入口eと出口sは、循環路11、12の底に位置づけてもよく、あるいは、該循環路の側面壁に作ることも可能である。循環路11、12は、長方形、正方形、台形、円形、あるいは他の形の断面を有することがあり得、また熱交換領域ZEの圧力低下に比べ、その圧力低下はごくわずかである。実際には、循環路11、12の深さは、熱交換領域ZEの中を流れる冷却液の流動の厚みを上回る。このように、熱交換器Eの両側において圧力低下がほとんどないことにより、分配器としての役割が果たされる。すなわち、冷却液は、まず供給路11を完全に満たし、その後、熱交換領域ZEの中に均一に広がる。冷却液は、熱交換領域から出て、障害物に遭遇することなく、排出路12の中を流れる。このように、冷却液のための優先ルートの発生が回避され、太陽電池構成要素1の下の高温箇所が取り除かれる。
【0036】
熱交換領域ZEは、太陽電池構成要素1の下に配置され冷却液が表面を流れる、熱交換用の下部板2によって形成される。本発明によると、下部板2は、攪拌用構成要素20を形成するように形作られる。板2は、したがって、その製造時から、これらの攪拌用構成要素20を組み込んでおり、該攪拌用構成要素は前記板と同じ素材で作られる。これらの攪拌用構成要素は、二つの機能を有する:
−熱交換領域ZEにおける熱交換を促進するように、冷却液の流れを攪拌し、
−熱交換のための面積を増やし、したがって熱交換に寄与する。
【0037】
実際には、攪拌用構成要素20は、リブ、円形突起、半球、円筒形や多角形の管、ピラミッドなどの形態を有し得る。熱交換領域ZEの面積に応じて、攪拌用構成要素20の数は、数十個から数百個までとさまざまであり得る。例えば、熱交換面積1m2あたり百個から数百個の攪拌用構成要素20が準備され得る。例えば、1m2あたり300個の攪拌用構成要素が準備され得る。攪拌用構成要素は、規則的に、そしてより正確には線状に、分配されることがあり得、図5に示されるように、平行な流れのルートを形成する。この場合、冷却液の流れは、全体的に平行であるが、構成要素20において局部的に攪拌される。図6で示される一変形実施例において、攪拌用構成要素20は、不規則に、そして特に5点形で分配され得る。この場合、冷却液の流れは必ずしも平行になることなく攪拌される。
【0038】
攪拌用構成要素20は、熱交換領域ZEの中を流れる冷却液の流動の厚み全体に及ぶ。さらに詳細に図2および図4を参照すると、攪拌用構成要素20の高さ「h」は、熱交換領域ZEの中を流れる冷却液の流動の厚みに相当する。したがって、攪拌用構成要素20の上を通過できる冷却液の流動はない。実際には、熱交換領域ZEにおける冷却液の流動の厚み(そして攪拌用構成要素20の高さ「h」)は、数ミリメートルである。
【0039】
重量/価格/熱伝導率間のバランスをうまく取るように、アルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の板2が特に選ばれる。しかしながら、熱伝導性で当業者に都合の良い他の素材(炭素;ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロールのような熱可塑性樹脂;金属粉あるいは金属薄片を充填したポリマー;など)あるいは他の金属(銅;亜鉛;鋳鉄;など)が使用され得る。実際には、攪拌用構成要素20を形成するように型打ちされた金属製の板2が使用される。図1から図4を参照すると、攪拌用構成要素20が、冷却液が表面を流れる板2の上面において隆起を形成し、前記冷却液と接触せず前記上面と反対側の前記板の下面において穴を形成することが、明確に分かる。これらの穴は、板2と熱交換領域ZEの下を循環する空気との間の熱交換のための面積を増やす。
【0040】
図1および図2の実施態様を参照すると、攪拌用構成要素20の上部端は、太陽電池構成要素1の背面と直接接触している。攪拌用構成要素20の上部端は、例えば絶縁体10に接着される。太陽電池構成要素1は、したがって、主に、これらの接触点において冷却される。攪拌用構成要素20の上部端は、太陽電池構成要素1の背面との表面接触が確実に行われるように形作られる。この接触面積は、有利には1mm2と10cm2との間に含まれ、好ましくは約3mm2であり、さらに好ましくは約4.5mm2である。攪拌用構成要素の上部端と太陽電池構成要素1の背面との間のこの表面接触により、下部板2の方への効率的な熱の伝達が確実に行われる。冷却液は、したがって、太陽電池構成要素1の背面においてのみならず、下部板2においても熱を回収し、このことにより熱交換は著しく増加し、前記太陽電池構成要素は最も効果的に冷却される。
【0041】
図3および図4で示される一変形実施例において、熱交換用の上部板13が、太陽電池構成要素1の背面に固定される。下部板2についてと同様に、アルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の上部板13が、特に選ばれる。しかしながら、先に記述されたタイプの熱伝導性で当業者に都合の良い素材が利用され得る。
【0042】
攪拌用構成要素20の上部端は、この上部板13との表面接触が確実に行われるように形作られる。この接触面積は、有利には1mm2と10cm2との間に含まれ、好ましくは約3mm2であり、さらに好ましくは約4.5mm2である。上部板13は、例えば、攪拌用構成要素20の上部端および/または熱交換器Eの縁に接着または溶接される。
【0043】
複数の解決案が、上部板13と太陽電池構成要素1とを組み立てることを可能にする。板13を、例えば、太陽電池構成要素1の背面にあらかじめ接着された絶縁シートの下に接着することが可能である。板13を、電気絶縁性の接着剤(例えば:シリコーンゲル)を使用して、太陽電池構成要素1の背面に固定することもまた可能である。さらに、板13を絶縁フィルムで覆い、前記板と剛性を高めるガラス/プラスチックの板との間に隙間を設けてもよく、太陽電池構成要素は当該二つの板の間に配置される。板13は、隙間の吸込みによってガラス/プラスチックの板に押し付けられ、太陽電池構成要素が挟まれた状態となる。いずれにせよ、実施される固定技術がいかなるものであっても、板13は、冷却液を通さない機能を確実に果たす。
【0044】
下部板2は、上部板13よりも冷たい傾向があるが、それは攪拌用構成要素20が下部板をよく冷却することを可能にするためである。攪拌用構成要素20の上部端により、上部板13との適切な、熱を交換しうるような接触が確実に行われる。攪拌用構成要素20の上部端と上部板13との間のこの表面接触により、下部板2の方への効率的な熱の伝達が確実に行われる。冷却液は、したがって、上部板13においてのみならず、下部板2においても熱を回収し、このことにより熱交換は著しく増加し、前記太陽電池構成要素は最も効果的に冷却される。その優れた熱伝導性のため、上部板13の温度は素早く均一化され、前記板は低温箇所や高温箇所を残すことなく完全に冷却される(一方、図1および図2の実施例においては、冷却は、攪拌用構成要素20の上部端において局部的に行われる)。上部板13で均一温度を得ることの主なメリットは、太陽電池構成要素1が、均一に、すなわち高温箇所のないように冷却されることである。太陽電池構成要素1が、最も効率の悪い構成要素、すなわち最も高温の構成要素に合わせてその電気の生産を定めることを踏まえると、つまりパネルの効率は高まる。
【0045】
本発明によると、板2は、該板が攪拌用構成要素20を直接組み込むように形作られる。板2はまた、太陽電池構成要素1が上に乗る台の全部あるいは一部となるように形作られ得る。その外形寸法およびその重量はこうして減少するため、熱交換器Eは、先行技術の既知の熱交換器以上の、パネルのための構造的な利点を有する。板2はまた、分配路11、12(図7)を形成するために形作られ得る。この場合、熱交換器Eは単一成型されており、冷却液の供給領域ZA、組み込まれた攪拌用構成要素を備えた熱交換領域ZE、そして前記冷却液の排出領域ZVを規定する一つの部品で形成される。しかしながら、板2を補強するため該板に他の部品を固定することが想定できる。しかし、いずれにせよ、熱交換器Eを構成する部品の数は、先行技術の既知の熱交換器に比べて少ない。
【0046】
図10aから10cは、攪拌用構成要素だけでなく側面の循環路をも組み込んだ単一成型の熱交換器の、異なる製造工程を図で表している。図示されている技術は、型打ち(あるいは型プレス)である。金属製の板2は、母型201とダイス型202とに合わせて配置される(図10a)。母型201とダイス型202は、製作されるべき部品に相当する幾何学的形状を有する相補的な型を呈する。ダイス型202は、母型201に入り込むことにより、板2を変形させて、該板をしかるべき幾何学的形状に形作る(図10b)。それゆえ、熱交換器Eが得られるように、ダイス型202を母型201から分離するだけでよい。非常に単純で非常に時間のかからない製造方法なので、このタイプの熱交換器は、容易に工業化され得る。
【0047】
鋳造のような別の製造技術を用いて単一成型の熱交換器を得ることも可能であり、その場合、使用される素材は、鋳鉄、熱可塑性樹脂、あるいは充填ポリマーのタイプのものである。
【0048】
太陽光発電ソーラーパネルは、一般的に、バイパスダイオードを収めるためにジャンクションボックスを使用する。これらのジャンクションボックスは、一般的に長方形の形状を有し、パネルの背面に固定される。これらのジャンクションボックスの外形寸法を考慮すると、ハイブリッドパネルは、熱交換器の中に窪みを準備して、その幾何学的形状によって、前記ジャンクションボックスを迂回しなければならない。ジャンクションボックス用のこの窪みにおいて、熱交換は攪拌され、そのうえ減少し、その結果、すぐ上に位置づけられた太陽電池構成要素は最も効果的には冷却されない。このことは、パネル全体が同調するのは、常に、最も高温の、つまり最も効率の悪い太陽電池構成要素であることから、パネルの効率に悪影響を及ぼす。
【0049】
この問題を解決するために、例えば、TYCO(登録商標)の分散型ジャンクションボックス、すなわちEDGEジャンクションボックスのタイプの、細長いジャンクションボックスが使用される。実際には、使用されるジャンクションボックスは、長さ約130mm、幅約12mm、そして高さ約12mmである。図8および図9を参照すると、このジャンクションボックス4は、パネルPの背面に、好ましくは前記パネルの背面側の縁に、そして、より一般的には太陽電池構成要素1の背面と向かい合うことなく、配置される。そのようなジャンクションボックスは細いため、太陽電池構成要素1のジャンクションボックスに対して一列目より完全に「外側に」あることが可能となり、太陽電池構成要素は、したがって、すべて均一に冷却される。
【符号の説明】
【0050】
1 太陽電池構成要素
2 下部板
4 ジャンクションボックス
10 電気絶縁体
11、12 循環路
13 上部板
20 攪拌用構成要素
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】仏国特許発明第2,319,585号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2,566,183号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2,727,790号明細書
【特許文献4】米国特許第4,361,717号明細書
【特許文献5】米国特許第4,184,543号明細書
【特許文献6】米国特許第7,076,965号明細書
【特許文献7】独国特許発明第197,47,325号明細書
【特許文献8】独国特許発明第10,2004,002,900号明細書
【特許文献9】仏国特許発明第2,911,997号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c