特許第5960713号(P5960713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5960713血管枝部位におけるステントグラフトの生体位(INSITU)開窓のためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960713
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】血管枝部位におけるステントグラフトの生体位(INSITU)開窓のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20160719BHJP
【FI】
   A61F2/07
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-539867(P2013-539867)
(86)(22)【出願日】2011年11月2日
(65)【公表番号】特表2014-502191(P2014-502191A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】US2011058948
(87)【国際公開番号】WO2012067823
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年11月4日
(31)【優先権主張番号】61/414,065
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/286,980
(32)【優先日】2011年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100186370
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 菜里
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−504349(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/124824(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0106175(US,A1)
【文献】 特表2010−500915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/06 − A61F 2/07
A61F 2/82 − A61F 2/0945
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管壁に係合するように構成された第一の径を有する第一の部分と、
前記第一の径よりも小さく、該血管壁に係合しないように構成された第二の径を有する第二の部分
該第一の部分と該第二の部分との間に設けられ、内部表面を有すると共に、第一の径から第二の径にかけて狭まる移行部分と、
該移行部分に設けられ、血流を許容するように構成された灌流窓と、
該移行部分内に配置されることにより該移行部分の内部表面に適合し、該灌流窓を遮断すると共に、該灌流窓を介した血流を防止するように構成されたオクルーダーとを備えるステントグラフト。
【請求項2】
更なる灌流窓が、該第一の部分又は該第二の部分形成されている、請求項に記載のステントグラフト。
【請求項3】
該第一の部分と該第二の部分との間の該移行部分が、円錐台形状である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項4】
開窓可能で側枝ステントグラフトを受容する開窓可能標的部分をさらに備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項5】
該ステントグラフトが、腸骨動脈の治療に展開可能である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項6】
該第二の部分に結合し腸骨動脈に挿入することができる腸骨部分をさらに備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項7】
該灌流窓を通して灌流する造影剤の存在下で、生体位(in situ)で可視の標的部分をさらに備える、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項8】
該ステントグラフトが開窓デバイスにより開窓され、側枝ステントグラフトに結合されるように構成された、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項9】
ステントグラフトとオクルーダーとを備えるキットであって、
該ステントグラフトが、
血管壁に係合する第一の径を有する第一の部分と、
前記第一の径よりも小さく、該血管壁に係合しない第二の径を有する第二の部分と、
該第一の部分と該第二の部分との間に設けられ、内部表面を有すると共に、第一の径から第二の径にかけて狭まる移行部分と、
該移行部分に設けられ、血流を許容するように構成された灌流窓とを備え、
オクルーダーが、該移行部分内に配置されることにより該移行部分の内部表面に適合し、該灌流窓を遮断すると共に、該灌流窓を介した血流を防止するように構成されてなる、キット。
【請求項10】
開窓ツール及び側枝ステントグラフトのうち少なくとも1つをさらに備える、請求項に記載のキット。
【請求項11】
該第二の部分に結合し腸骨動脈に挿入することができる腸骨部分をさらに備える、請求項に記載のキット。
【請求項12】
更なる灌流窓が、該ステントグラフトの該第一の部分又は該第二の部分形成されている、請求項に記載のキット。
【請求項13】
第一の部分と該第二の部分との間の該移行部分が、円錐台形状である、請求項に記載のキット。
【請求項14】
該ステントグラフトが、開窓可能で側枝ステントグラフトを受容する開窓可能標的部分をさらに備える、請求項に記載のキット。
【請求項15】
該ステントグラフトが、該灌流窓を通して灌流する造影剤の存在下で、生体位(in situ)で可視の標的部分をさらに備える、請求項に記載のキット。
【請求項16】
該ステントグラフトの標的部分を開窓し、側枝ステントグラフトを据え付ける開窓デバイスをさらに備える、請求項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Devices and Methods For in situ Fenestration of a Stent-Graft at the Site of a Branch Vessel」という名称で、2010年11月16日に出願された、米国仮特許出願第61/414,065号の非仮出願であり、かつ米国仮特許出願第61/414,065号の優先権を主張しており、これは参照することによりその全体が本明細書の一部となる。
【0002】
本開示は概して、血管系疾患の治療用ステントグラフトに関する。
【背景技術】
【0003】
ステントグラフトは、損傷した、異常な、又は罹患した血管の一部を補強、置換、又はブリッジするために構成された医療用デバイスである。ステントグラフトはこのように、その円筒形の内部構造により規定された管腔を通して、血流を誘導することができる。しかしながら、患者の体内のステントグラフトが移植されたところでは、血液は通常、ステントグラフトの外側部分にリークする又は流れることができない。
【0004】
時折、ステントグラフトは患者の体の一部に、それが1以上の血管側枝(すなわち、ステントグラフトが移植された主血管に交わる血管)を閉塞する又は遮断する形で設置される場合がある。例えば、腹部大動脈瘤(「AAAs」)を患う患者は、ステントグラフトを移植されることが多い。このタイプの治療をする間、ステントグラフトは患者の腹部大動脈に移植される場合がある。しかしながら、このようなステントグラフトは、患者の腹部大動脈から分岐する患者の腎動脈への血流を、部分的に又は完全に閉塞する場合がある。
【0005】
一般に、血流を患者の血管側枝に向かわせるために、ステントグラフトは、1以上の血管側枝の位置の近傍に開窓又は窓を備えて製造され、又は生体位(in situ)で開窓又は窓を備えるように改造され、そうしなければステントグラフトはそれらの血管を閉塞してしまうおそれがある。このように、作動中、開窓を通過して1以上の血管側枝に血液を逃がすことができる。
【0006】
開窓式ステントグラフトは、外科的移植の前に開けられた開窓を備えて製造されている。より詳細には、開窓式ステントグラフトは、あらかじめサイズの決められた大量生産の在庫部品としてのみならず、術前の解剖学的情報(例えば、X線システムにより収集されたイメージングデータなど)に基づいて開窓された、よりカスタマイズされた部品として製造されている。しかしながら、いずれの場合も、開窓式ステントグラフトは患者の解剖学的形態にうまく適合できない場合がある(いずれも、デバイスの、あらかじめサイズが決められているという性質に起因する、及び/又は不十分な若しくは不明確な術前の解剖学的データの結果である)。さらに、ステントグラフトが生体位(in situ)で開窓されるところでは、前記ステントグラフトの方向を調節して様々な解剖学的形態とアライメントをとるのは同様に困難である。
【0007】
これらの欠点をふまえ、医師は、ステントグラフトに形成された開窓と、これらの開窓が最終的に血流を向かわせる血管枝との間を確実にアライメントするのに苦心している。例えば、これまで、アライメントは主に、多数のガイドワイヤ、及びある症例では血管造影用カテーテルを使用することにより達成されている(及び/又は試みられている)。ステントグラフトは前述の通り、それらの各解剖学的形態に不十分にしか適合しない場合があるため、これらの手段は必須である。加えて、ステントグラフトが血管側枝の近傍に移植されたところでは、医師は、1以上の開窓とこれらの血管とのアライメントより前に、これらの血管のステントグラフトによる閉塞に苦心している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
より適した開窓式ステントグラフトがそれゆえ望まれている。より詳細には、患者の解剖学的形態において、より注意深く配置するのに適したステントグラフトが望まれている。同様に、患者の解剖学的形態における手術用機器の削減の必要性もある。さらに、アライメントの前に血管側枝を閉塞しないステントグラフトが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、血管壁に係合するように構成された第一の部分、該血管壁に係合しないように構成された第二の部分、及び血液が流れることができるように構成された灌流窓を備えるステントグラフトを含む。該ステントグラフトは、さらに該第一の部分と該第二の部分との間に移行部分を備えてもよく、該灌流窓は、該第一の部分、該第二の部分、及び/又は該移行部分に形成されていてもよい。様々な実施形態において、該第一及び該第二の部分のうち一方が、他方よりも小さい直径を有してもよい。同様に、様々な実施形態において、該移行部分は円錐台の形状をしていてもよい。
【0010】
さらに、様々な実施形態において、該ステントグラフトは、それが側枝ステントグラフトを受容することができるような形で開窓可能な、開窓可能標的部分を備えてもよい。該標的部分は、該灌流窓を通して灌流する造影剤の存在下で、生体位(in situ)で可視であってよい。より詳細には、開窓デバイスは該ステントグラフトの標的部分を開窓し、側枝ステントグラフトの据え付けを助ける。様々な実施形態において、該ステントグラフトは腸骨動脈の治療に展開可能であってよい。該灌流窓を遮断するオクルーダーを設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の特徴及び利点は、図面と合わせた際に、下記の詳細な説明からより明らかとなるだろう。
【0012】
図1図1は、血管内で展開されたステントグラフトの一実施形態を示している。
【0013】
図2図2は、ステントグラフトの透視図を示している。
【0014】
図3図3は、ステントグラフト及びステントグラフト内の開窓ツールの透視図を示している。
【0015】
図4図4は、デリバリーカテーテルにマウントされ束縛された側枝ステントグラフトの側面図を示している。
【0016】
図5図5は、展開時の側枝ステントグラフトの透視図を示している。
【0017】
図6図6は、ステントグラフトの壁に対して展開された時の側枝ステントグラフトの側面図を示している。
【0018】
図7図7は、複数の灌流窓を遮断するオクルーダーを含む、完全に組み立てられたモジュール式ステントグラフトを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図される機能を果たすように構成された任意の数の方法及び器具により実現されうるということを、容易に理解するだろう。つまり、他の方法及び器具が、意図される機能を果たすためにここに組み込まれてもよい。また、注目すべきは、ここで参照される添付図面の図が、全て縮尺通りに描かれておらず、誇張されて本開示の様々な態様を示している場合があることであり、またその関連で、図面の図は限定的に解釈されるべきではない。最後に、本開示は様々な原理及び確証に関連して説明されうるが、本開示は理論に縛られるべきではない。
【0020】
本明細書全体にわたり、及び請求項において、「遠位の」という用語は、腔内デバイスの別の部分よりも血流についてさらに下流となる位置又は移植された(ステントグラフトなどの)腔内デバイスの部分を意味する。同様に、「遠位に」という用語は、血流の方向又は血流の方向にさらに下流を意味する。
【0021】
「近位の」という用語は、血流についてさらに上流となる位置又は移植された腔内デバイスの部分を意味する。同様に、「近位に」という用語は、血流の方向とは反対の方向又は血流の方向よりも上流を意味する。
【0022】
さらに「近位の」及び「遠位の」という用語に関して、本開示が末梢の及び/又は中枢のアプローチに限定されていないため、本開示は、これらの用語に関して狭く解釈されるべきではない。むしろ、本明細書中で説明されたデバイス及び方法は、患者の解剖学的形態に応じて変更及び/又は調節されてよい。
【0023】
「血管枝」、「側枝」及び/又は「血管側枝」という用語は、主血管から分岐している血管を意味する。例えば、胸部及び腹部動脈の「血管枝」は、腹腔動脈、下横隔動脈、上腸間膜動脈、腰動脈、下腸間膜動脈、正中仙骨動脈、中副腎動脈、腎動脈、内精索動脈、卵巣動脈(女性の場合)、腕頭動脈、左頸動脈、及び左鎖骨下動脈を含むが、これらに限定されない。別の例としては、内腸骨動脈は、この文脈においては主血管である総腸骨動脈の血管枝である。このように、「血管枝」及び「主血管」は、相対的な用語であると理解されるべきである。
【0024】
具体的な実施形態が以下により詳細に説明されているが、一般に、本開示は第一に、上行大動脈、大動脈弓、及び下行大動脈の疾患を治療するためのデバイス及び方法に着目する。しかしながら、これらのデバイス及び方法は血管系の他の疾患に適用されてもよく、例えば、より大きな血管及び1以上の血管枝が治療されるべき、任意の疾患を含む。
【0025】
このように、様々な実施形態は、血管壁に係合するように構成された第一の部分、血管壁に係合しないように構成された第二の部分、及び血液が流れることができるように構成された灌流窓を有するステントグラフトを含んでもよい。様々な実施形態において、第一の部分は例えば、患者の血管の一部分(例えば患者の大動脈)に係合してもよく、一方で第二の部分は、それが血管壁に係合又は接触しないような形で、血管内を遠位に延在してもよい(及び半径方向に先細になっていてもよい)。さらに、様々な実施形態において、第一の部分は、それ自体が1以上の灌流窓を備えていてもよい移行部分によって、第二の部分から隔てられていてもよい。
【0026】
灌流窓は、血液及び/又は他の液体が、ステントグラフトの第一の部分の内部領域から、ステントグラフトの第二の部分の外部領域に流れることができるようにしてもよい。例えば、灌流窓は、様々な実施形態において、血液の他に1以上の造影剤も、第二の部分の外側表面を流れることができるようにしてもよい。
【0027】
造影剤は、例えば、蛍光透視及び/又はX線不透過性の物質、色素及び/又は同種のものを含んでもよい。造影剤に関しては、一般に、これらは血管側枝(例えば腎動脈)を識別するために用いてよい。さらに具体的には、造影剤は、ステントグラフトの移植の間に、腎動脈などの循環器構造のリアルタイムX線画像を観察するのに用いてよい。例えば、造影剤は、1以上の灌流窓を通過して及びステントグラフトの第二の部分を超えて流れてよく、その上に血中の造影剤の蛍光透視画像を現すことができる。これらの画像は、様々な実施形態において、静止画像及び/又はリアルタイム動画像を含んでもよい。これらの画像はさらに、例えば、血管(例えば大動脈)の位置及び/若しくは解剖学的配置、任意の血管側枝(例えば腎動脈)、(様々な実施形態において、ステントグラフトの標的部分を含む)ステントグラフトの第二の部分、並びに/又はプロテーゼ若しくはステントグラフト自体などの2次元視覚化を可能にすることができる。さらに、様々な実施形態において、ステントグラフトの1以上の特性(例えば、位置、方向など)が、1以上のX線不透過性又はエコーを発生するマーカー又は指示薬を用いて決定されうる。これらはステントグラフトの中又は上に組み込まれてもよい。X線不透過性マーカーは、様々な実施形態において、ステントグラフトの送達又は展開の間及び/又は後で、イメージング及び/又は検出を向上するX線不透過性成分を含んでもよい。X線不透過性マーカーは、放射線の存在下で可視の又は検出可能な、タングステン、金、白金、及び/若しくは任意の他の材料又は材料の組み合わせのうち1又は複数を含んでもよい。
【0028】
1以上の血管、1以上の血管中に移植されたステントグラフトの位置及び/若しくは方向、並びに/又はステントグラフトの一部分を可視化しながら、医師は開窓デバイスを用い、生体位(in situ)で、移植されたステントグラフトの1以上の部分において、開窓を形成してもよい。例えば、医師は患者の血管側枝又は血管(例えば1以上の腎動脈)に隣接する及び/又は架かる位置において、ステントグラフトを開窓してもよい。さらに、ステントグラフトが開窓された後、医師は開窓の1以上の点においてステントグラフトと結合している1以上の側枝ステントグラフトを、送達及び/又は移植してもよい。このように、患者は、生体位(in situ)で可視化及び開窓される第一のステントグラフト、及び開窓の1以上の点において結合している1以上の側枝ステントグラフトを移植されてもよい。
【0029】
図1には、近位の端部112及び遠位の端部114を有するステントグラフト102が、大動脈100内に移植された状態で示されている。より詳細には、図1において、ステントグラフト102は、腸骨動脈108及び110の近位にある大動脈100内に位置づけられた状態で示されている。しかしながら、様々な実施形態において及び本明細書中の他の場所で説明されているように、ステントグラフト102は、1以上の血管枝を含む、患者の体内の任意の血管(例えば任意の主血管)内に移植されてもよい。
【0030】
図2には、ステントグラフト102の透視図が示されている。ステントグラフト102は、複数の区域又は部分200、202及び204に分けてもよい。第一の区域200は、血管100の壁に係合することのできる、より大きな直径を備えてもよい。血管100の壁の係合は、ステントグラフト102が血管100内で展開されると、動かないように、ステントグラフト102を適切な位置で支えてよい。様々な実施形態において、第一の区域200は、ステントグラフト102を血管100に固定する又は付着させるのを助ける摩擦ばめ、1以上のフック、1以上のバーブ、及び/又は1以上の隆起したステント頂部により、血管100に係合してもよい。
【0031】
移行区域202は、第一の区域200と、より小さい直径の第二の区域204との間で先細になっていてよい。移行区域202は、少なくとも1つの灌流窓116を備えてもよく、それを通過して血液及び/又は他の液体(例えば造影剤)が流れてよい又は灌流してよい。灌流窓116を通過する液体の流れの方向及び様態は、矢印118により表されている。図において灌流窓116は三角形として描かれているが、灌流窓116は、様々な実施形態において任意の形状を備えていてよく、例えば、円、楕円、長方形、正方形、ひし形、多面体、それらの任意の組み合わせなどがある。灌流窓116はさらに、レーザーを使用してステントグラフト102を貫き灌流窓116を切り取ることを含む、当技術分野において既知の任意の方法により製造されてもよい。
【0032】
第二の区域204は、第一の区域200よりもより小さい直径を備えてもよい。また、本明細書中の他の場所で説明されているように、第二の区域204は、血管100の壁に係合しないよう構成されてもよい。例えば、第二の区域204は、第一の区域200及び/又は移行区域202よりも直径が小さくてよい。このように、第二の区域204は血管100の壁に係合しない、なぜならば第二の区域204は血管100の壁から間隔を空けて配置されているからである。
【0033】
ステントグラフト102が上述の構成を有するため、血液は灌流窓116を通過して灌流し、血管枝104及び106へ流れ続けてよい(すなわち、本明細書中の他の場所で説明されている通り、開窓するよりも前)。灌流窓116を出ていく血液は、さらに先、例えば、腸骨動脈108及び110にも流れてよい。さらに、本明細書中の他の場所で用いられている通り、ステントグラフト102が主血管(上記参照)内に移植されている並びに/又は灌流窓116及び/若しくは3つの区域200、202、204を備えて構成されている場合、ステントグラフト102を、(例えば、側枝ステントグラフトに対しての)一次ステントグラフトと呼んでもよい。
【0034】
作動中、ステントグラフト102は、少なくとも1つの血管枝104及び/又は106を備える又はこれらと交わる血管100内で展開させてもよい。例えば、ステントグラフト102は、1以上の血管枝104及び/又は106に隣接する及び/又は架かるように展開させてもよい。より詳細には、ステントグラフト102の第一の区域200は、血管枝104及び/又は106のうち片方又は両方に隣接する及び/又は架かるように展開させてもよい。第二の区域204は、第一の区域200よりもより小さい直径を有していてよいが、完全に(又は部分的に)血管100の壁と係合しなくてもよい。それゆえ、血液がステントグラフト102へ流れる際に、矢印120で示されるように、血液はステントグラフト102を通過して、近位の端部112から遠位の端部114まで流れてよい。血液がこの方向へ流れ続ける際に、いくらかの血液を、灌流窓116を通して迂回させてもよい。ステントグラフト102のこの特徴により、血液はステントグラフト102と血管100との間の間隙を流れ続けることができる。すなわち、血液が第二の区域204と血管100との間を流れることができるように、血液は灌流窓116を通って灌流してもよい。さらに、前述の通り、血液が第二の区域204の外表面を流れる際に、いくらかは迂回させてもよい又は矢印118aにより示される通り血管枝104及び/若しくは106を灌流してもよい。
【0035】
様々な実施形態において、造影剤は、該造影剤が血流に入る及び/又は血流と混ざり合うような形で、ステントグラフト102の近位の端部112及び/又は遠位の端部114に送達されてもよい。造影剤は、さらに、患者の体内で全身に送達されてよい。血液が造影剤を運ぶ際に、造影剤を含む血液のいくらかは迂回させられ、灌流窓116に入り通過して、第二の区域204と血管100との間の間隙に入ってよい。より遠位では、血液がステントグラフト102と血管100との間の領域を通って流れ続ける際、血液及び造影剤のいくらかは迂回させられ、血管枝104及び/又は106に入ってよい。医師は、様々な蛍光透視画像法を用い、患者の血管枝104及び/又は106中の造影剤を生体位(in situ)で検出してもよい。言い換えれば、医師は、灌流窓116を通って灌流する造影剤を利用して、患者の血管系の一部分並びに/又はステントグラフト102の位置、配置、及び/若しくは方向を生体位(in situ)で撮像してもよい。さらに、様々な実施形態において、ステントグラフト102の1以上の特性(例えば位置、方向など)は、1以上の、X線不透過性又はエコーを発生する、マーカー又は指示薬を用いて決定されてよい。これらはステントグラフト102の中又は上に組み込まれてもよい。
【0036】
さらに、様々な実施形態において、造影剤はステントグラフト102の1以上の標的部分を照らし出す又は可視化することができる。標的部分は、例えば、1以上の血管側枝と隣接する及び/若しくは架かるところに位置するステントグラフト102の一領域、並びに/又は例えば、ステントグラフト102のより頑丈若しくはより耐久性のある部分よりも容易に開窓可能な、ステントグラフト102の一部分を備えてもよい。様々な実施形態において、標的部分は、より軟質なグラフト材料及び/又は造影剤の存在下でより目に見えやすい、より明るい、若しくは別の方法でより区別しやすいグラフト材料を含んでもよい。例えば、標的部分は、1以上のX線不透過性又はエコーを発生するマーカー又は指示薬を含んでもよい。ステントグラフト102を可視化しながら、医師はステントグラフト102に関して得られた様々な詳細情報(例えば、患者の血管系に関する情報並びに/又はステントグラフト102の位置、配置、方向及び/若しくは特性)を活用し、綿密にステントグラフト102を操作してよい(例えば、患者の血管枝104及び/又は106の場所又は位置に応じて)。
【0037】
次に図3であるが、ステントグラフト102が展開され血管側枝104及び106が可視化されると、前述の通り、医師は開窓ツール又はデバイス300を挿入し、1以上の血管枝104及び/若しくは106の位置において、並びに/又は1以上の標的部分において、ステントグラフト102を開窓してよい。本明細書中の他の場所で説明されているように、患者の血管側枝104及び/又は106並びに患者の血管側枝104及び/又は106に対するステントグラフト102の配置は、入念に及び正確に可視化されることができる。このように、医師は1以上の血管側枝104及び/又は106に隣接する1以上の位置において、ステントグラフト102をより的確に開窓し、より完全に以下に説明されている通り、1以上の側枝ステントグラフトを取り付けてよい。様々な実施形態において、この端部に、開窓デバイス300は、開窓デバイス300のチップ304をセンタリングし、ロケーティングし及び/又係合させるだけでなく、チップ304がステントグラフト102の側壁を貫いて押し込まれ又は該側壁に開窓を形成できるように、てこの作用又は反力を提供する、ロケーティング又はセンタリングツール302を備えてもよい。
【0038】
従って、ステントグラフト102が開窓されると、1以上の側枝ステントグラフト、すなわち第二のステントグラフトが、1以上の血管側枝104及び/又は106内に送達及び展開されてよい。例えば、図6及び7に特に関連し、側枝ステントグラフト400の一部分は血管側枝104及び/又は106内で展開されてもよい。さらに、展開の間、側枝ステントグラフト400の一部分はステントグラフト102に取り付けられ又は結合されてもよい。すなわち、例えば、側枝ステントグラフト400の一部分は、開窓デバイス300により形成された1以上の開窓を経由して又は通って、ステントグラフト102と結合されてもよい。加えて、ある実施形態において、ステントグラフト102の開窓の後、側枝ステントグラフト400を展開する前に、バルーンを開窓に設置して膨らませ、開窓をさらに画定及び/又は拡大してもよい。
【0039】
このように、1以上の側枝ステントグラフト400が、患者の血管系内で正確に展開されてよい。各側枝ステントグラフト400は、造影剤を患者の血管系に導入することで医師により収集されたイメージングデータに基づき、生体位(in situ)で切られ又は形成されうる開窓点において、ステントグラフト102に固定される又は取り付けられてよい。すなわち、及び言い換えれば、側枝ステントグラフト400は、イメージングデータに基づき、患者の血管側枝104及び/又は106の位置に正確に、ステントグラフト102に取り付けられてよい。さらに、側枝ステントグラフト400は患者の血管系に挿入され、単一の開窓デバイス300のみを用いてステントグラフト102に結合されてよい。このように、この開示されたデバイス及び方法は、生体位(in situ)で開窓し患者の実際の解剖学的形態に適応させることができず、それらの固有の不正確さに起因して複数の(例えば、経皮の)据え付けデバイス(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)を必要とし、移植中に患者の血管側枝104及び/又は106を閉塞するおそれのある、先行技術のデバイス及び方法を上回る、重要な利点を含む。
【0040】
概して、次は特に図4、5、及び6に関して、側枝ステントグラフト400は、様々な視点から、様々な構成で図示されている。例えば、図4に関しては、側枝ステントグラフト400はデリバリーカテーテル411上に拘束された構成で描かれている。デリバリーカテーテル411は、オリーブ416及び/又はガイドワイヤ414を備えてもよい。拘束された構成において、側枝ステントグラフト400はさらに、拘束された又は束縛された構成において側枝ステントグラフト400を隔てる又は束縛する拘束スリーブを備えてもよい。
【0041】
特に図4に関して、様々な実施形態において、側枝ステントグラフト400は複数のステント並びに/又はステントグラフト部材402a、b、c及び/若しくは406を備えてもよい。1以上のグラフト部材404a、b、cは、1以上のステント部材402a、b、c及び/又は406と相互に連結していてよい。例えば、ステント部材402a、b、c及び/又は406は、ステントリングを含んでもよく、またこれらはグラフト区域404a、b、cにより相互に連結されてもよい。本構造は、高い可撓性の側枝ステントグラフト400を可能にする(なぜなら、グラフト区域404a、b、cは、ePTFEなどの可撓性材料を含んでもよいためである)。しかしながら、本構造にかかわらず、本明細書中で説明されている及び/又は本技術分野において既知の様々な他の構造を用いてもよい。さらに、様々な実施形態において、追加のグラフト材料及び/又はカフが、ステント部材402a、b、c、406及び/又はグラフト区域404a、b、cの外表面の少なくとも一部分にゆるく取り付けされ又は結合されていてもよい。
【0042】
続いて、図5及び6に関して、側枝ステントグラフト400は拡張された構成で示されている。図5に示される通り、側枝ステントグラフト400が拡張される際に、ステント部材406は拡張して、平らな円盤形状を形成してもよい(例えば、被覆されている又はされていないワイヤフレームを備えていてもよい)。さらに、ステント部材406が拡張する際に、グラフト404a、b、c及び/又はカフ(ゆるく設置されたグラフト材料を備えていてもよい)は、矢印412により示される方向に「スクランチ(scrunch)」又は移動してもよい(図4参照)。
【0043】
この「スクランチング(scrunching)」は、グラフト404a、b、c及び/又はカフのグラフト材料において、外側へ放射状に伸びるひだを形成してもよい。これらのひだは、次に、開窓デバイス300が開窓604又は穿刺を形成させたステントグラフト102の壁602に対して、側枝ステントグラフト400をシールするのを助けてもよい。すなわち、図6に注目すると、ステント部材406は、それがステントグラフト102の壁602に対して平らに広がる際に、フランジ型シールを形成してもよい。この構成において、また様々な実施形態において、血液は開窓604から全くリークできないか、ほんの最低限の血液がリークすることができる。さらに、グラフト404a、b、c及び/又はカフを含む材料が「スクランチ(scrunches)」しひだを形成した後、このひだは、ステントグラフト102の外側及び/又は内側の壁上に生じ、開窓604の周りに追加のシールを形成してもよい。
【0044】
様々な実施形態において、ステントグラフト102が開窓され、1以上の第二の任意のステントグラフト400が送達及び展開されると、灌流窓116を遮断又は別な方法で閉塞することが有益である場合がある。それに応じ、次は図7に関して、「窓覆い」又はオクルーダー700が、ステントグラフト102へ送達され及び/又はその中で展開されてもよい。より詳細には、オクルーダー700は、ステントグラフト102の、第一の区域200の内側若しくは内部及び/又は移行区域202の内側若しくは内部で展開され、灌流窓116を遮断又は閉塞してよい。オクルーダー700は、様々な実施形態において、概してステントグラフト102の第一の区域200及び/又は移行区域202と同じ形状であってよい。すなわち、オクルーダー700は、ステントグラフト102の内部表面に一致してよい。しかしながら、オクルーダー700は灌流窓を有さない。実際には、オクルーダー700は硬質な又は不浸透性の壁を備えてよく、これが完全に又は部分的に灌流窓116を覆う及び/又は閉塞する。
【0045】
オクルーダー700の送達及び展開に関しては、オクルーダー700は束縛された構成で送達され、ステントグラフト102内で拡張されてもよい。オクルーダー700はさらにステントグラフト102内の束縛された位置から解放され、灌流窓116をシール又は閉塞してもよい。こうして、展開された構成において、オクルーダー700は、血液がステントグラフト102及び/又は1以上の側枝ステントグラフト400のみを通って流れるように強いる又は束縛してもよい。
【0046】
このように、様々な実施形態において、1以上の血管側枝104及び/又は106の場所において、ステントグラフト102を生体位(in situ)で開窓する方法が開示されている。この方法は、血管100内のステントグラフト102を展開することを含んでもよく、そこでステントグラフト102は、1以上の血管側枝104及び/又は106よりも少なくとも部分的に遠位に架かる及び/又は延在する。様々な実施形態において、本方法はさらに、ステントグラフト102の開窓後に、少なくとも1つの血管側枝104及び/又は106において少なくとも1つの側枝ステントグラフト400を展開することを含んでもよい。さらにまた、本方法は少なくとも1つの灌流窓116を、様々な実施形態においてステントグラフト及び/又はグラフト及び/又はグラフト材料を備えてもよいオクルーダー700で覆うことを含んでもよい。様々な実施形態において、ステントグラフト102及び/又は側枝ステントグラフト400は、ePTFEなどのポリマー、1以上の自己拡張型ステント、チタン-ニッケル合金(例えば、ニチノール)、波型構造を有する1以上のステントなどを備えてもよい。さらに、様々な実施形態において、本明細書中の他の場所で説明されているように、1以上の灌流窓116の形状は、三角形、円、楕円、長方形、正方形、ひし形、多面体、これらの組み合わせなどを含んでもよい。加えて、様々な実施形態において、ステントグラフト102の第一の区域200は、ステントグラフト102を血管100に固定及び/又は付着させるのを補助する、フック、バーブ及び/又は隆起したステント頂部を備えていてもよい。
【0047】
少し図2に戻ると、任意のグラフト及び/又は上述のステントグラフトを備えるグラフト214は、選択された体の管腔内でグラフトとして用いるのに適した任意の材料で構成されていてよい。グラフト214は、1又は様々な材料を含んでよい。その上、グラフト214は材料の多重層を備えていてよく、それは同一材料又は異なる材料が可能である。グラフト214は、材料のいくつかの層を有していてよいが、このグラフトはチューブへと形成された層(最内チューブ)及びチューブへと形成された最外層(最外チューブ)を有していてよい。いくつかの実施形態において、グラフト214は開窓ツールで開窓されてよい。
【0048】
多くのグラフト材料が知られており、様々な実施形態において、これらの材料は組み合わせで用いられ、共に組み立てられてグラフトを構成することができる。これらの材料はさらに、押し出され、被覆され、及び/若しくはラップされたフィルムから形成され、並びに/又はそれらの組み合わせが実施されてもよい。ポリマー材料、生分解性材料、及び/又は天然材料を、特定の用途に用いることができる。
【0049】
様々な実施形態において、グラフトは、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロ(chlor)エチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、弾性有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、それらの混合物、ブレンド、及びコポリマーを含む合成ポリマーを含んでもよい。様々な実施形態において、グラフトはDACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル類、KEVLAR(登録商標)などのポリアラミド類、共重合されたヘキサフルオロプロピレン含有及び非含有のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(TEFLON(登録商標)又はGORE-TEX(登録商標))などのポリフッ化炭素、並びに多孔質又は非多孔質ポリウレタンより製造されてよい。さらに、様々な実施形態において、グラフトは延伸フッ化炭素ポリマー(特にPTFE)、英国特許第1,355,373号;第1,506,432号、又は米国特許第3,953,566号;第4,187,390号;若しくは第5,276,276号中に説明されている材料を含んでいてよく、これらの全ては参照によりその全体が本明細書の一部となる。
【0050】
様々な実施形態において、フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PEA)のコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー及びそのTFEとのコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)・ポリフッ化ビニリデン(PVDF)・ポリフッ化ビニル(PVF)のコポリマーを含んでよい。様々な実施形態において、グラフトは先に挙げた材料の任意の組み合わせを含んでよい。さらに、様々な実施形態において、グラフトは体液に対して実質的に不浸透性及び/又は浸透性であってよい。実質的に不浸透性のグラフトは、体液に対して実質的に不浸透性の材料から作られるか、又は(例えば、上述若しくは当技術分野において既知の、異なる種類の材料を積層することにより)体液に対して実質的に不浸透性になるよう処理若しくは加工された浸透性の材料から構成されてよい。様々な実施形態において、ステントグラフト102、側枝ステントグラフト400及び/又はオクルーダー700は、前述の通り、ePTFEを含む上述の材料の任意の組み合わせから作られてよい。
【0051】
ステント212並びに/又はステント部材402a、b、c及び/若しくは406を含む任意のステントは、本明細書中の他の場所で説明されているように、拘束されている及び/又は拘束されていない際は概して円筒形であってよく、複数のヘリカルターンを有する、らせん状に配置された波型構造を備えていてよい。様々な実施形態において、波型構造は、例えば、図1において示されている通り、それらがお互いに「同相」になるように配列されていてよい。さらに具体的には、波型構造は、逆向きの第一及び第二の方向に頂部を備えていてよい。これらの波型構造が同相の場合、隣接するヘリカルターンの頂部は、頂部が、隣接するヘリカルターンの対応する波型構造の各頂部の中に移動させることができるように配列される。ある実施形態において、波型構造は、米国特許第6,042,605号において記述されるように、正弦波形状、U字状、V字状、及び/又は卵形状を有していてよく、これらは両方とも参照によりその全体が本明細書の一部となる。
【0052】
様々な実施形態において、ステントは、埋め込み型医療用デバイスの製造において用いられている周知の材料(又は材料の組み合わせ)を含む、様々な生物適合性材料から製造されてよい。前記材料は、316Lステンレス鋼、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン-鉄合金(「コバルト-クロム」)、L605などの他のコバルト合金、タンタル、ニチノール、又は他の生物適合性金属を含んでよい。いくつかの実施形態において、本明細書において記述されている任意のステント及び/又はステントグラフトは、バルーン拡張型ステント及び/若しくはステントグラフト並びに/又は自己拡張型ステント及び/若しくはステントグラフトを含んでもよい。さらに、ある実施形態において、ステントはワイヤ巻回ステントを備えていてもよく、これは波型構造を備えていてもいなくてもよい。
【0053】
前述の説明において、デバイス及び/又は方法の構造及び機能の細部と共に、様々な代替手段を含む、多数の特性及び利点が説明されている。本開示は、実例としてのみ意図されており、包括的なものとは意図されていない。当業者にとって、特に、組み合わせを含む構造、材料、要素、部品、形状、サイズ、及びパーツの配列の事柄について、本発明の原則の範囲内において、添付の請求項が表されている用語の幅広く一般的な意味により示される最大限の範囲まで、様々な変更がなされうることは明白だろう。これらの様々な変更が添付の請求項の精神及び範囲を逸脱しない範囲において、それらはここに包含されるものと意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7