(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリ乳酸樹脂は、60,000〜200,000の数平均分子量および100,000〜400,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らは、その末端のヒドロキシ基とジイソシアネート化合物の反応で形成されたウレタン結合を媒介として線状連結されてポリウレタンポリオール繰り返し単位をなしている、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らの末端ヒドロキシ基:ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の反応モル比が1:0.50〜1:0.99である、請求項4に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
前記ポリ乳酸樹脂は、その100重量部に対して、前記ハードセグメントの80〜95重量部と、ソフトセグメントの5〜20重量部を含む、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール(Hindered phenol)系酸化防止剤、アミン(amine)系酸化防止剤、チオ(thio)系酸化防止剤およびホスファイト(phosphite)系酸化防止剤からなる群より選択された1種以上の酸化防止剤を含む、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態によるポリ乳酸樹脂組成物およびこれを含む包装用フィルムについて説明する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1のポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントと、下記化学式2のポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らがウレタン結合を媒介として線状連結されているポリウレタンポリオール繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含むポリ乳酸樹脂;および
前記ポリ乳酸繰り返し単位の形成のための単量体添加量に対して、100〜1,500ppmwの含量で酸化防止剤を含むポリ乳酸樹脂組成物が提供される:
【0017】
【化4】
前記化学式1および2中、Aは、炭素数2〜5の線状または分枝状アルキレン基であり、mは、10〜100の整数であり、nは700〜5000の整数である。
【0018】
このようなポリ乳酸樹脂組成物は、所定のポリ乳酸樹脂および一定の含量の酸化防止剤を含むが、前記ポリ乳酸樹脂は、基本的に前記化学式1で表されるポリ乳酸繰り返し単位をハードセグメントとして含む。また、前記ポリ乳酸樹脂は、ポリウレタンポリオール繰り返し単位をソフトセグメントとして含むが、このようなポリウレタンポリオール繰り返し単位は、前記化学式2で表されるポリエーテルポリオール繰り返し単位らがウレタン結合(−C(=O)−NH−)を媒介として線状連結されている構造を有するものである。
【0019】
このようなポリ乳酸樹脂は、基本的にポリ乳酸繰り返し単位をハードセグメントとして含むことによってバイオマス由来樹脂特有の生分解性を示す。また、本発明者らの実験の結果、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位をソフトセグメントとして含むことによって、前記ポリ乳酸樹脂は大幅に向上した柔軟性(例えば、長さおよび幅方向で測定した時、比較的低いヤング率の合計)を示すばかりか、優れた透明性および低いヘーズ値を示すフィルムの提供を可能にすることが明らかになった。
【0020】
また、本発明者らは、前記ポリ乳酸樹脂と共に特定含量の酸化防止剤を含むポリ乳酸樹脂組成物を提供することによって、前記ポリ乳酸樹脂の黄変を抑制することができ、外観が良好な樹脂組成物およびフィルムを提供することができることを明らかにして本発明を完成した。このために、前記一実施形態の樹脂組成物は、前記ポリ乳酸樹脂のポリ乳酸繰り返し単位の形成のための単量体(例えば、乳酸またはラクチド)添加量に対して、約100〜1,500ppmwの含量、好ましくは約500〜1,500ppmw、より好ましくは約1,000〜1,500ppmwの含量で酸化防止剤を含むことができる。もし、酸化防止剤の含量が過度に低くなる場合、前記ソフトセグメントのような柔軟化成分の酸化などによりポリ乳酸樹脂が黄変され得、前記樹脂組成物およびフィルムの外観が不良になり得る。また、酸化防止剤の含量が過度に高くなる場合、このような酸化防止剤がラクチドなどの重合速度を低下させて前記ポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントが良好に生成されないこともあり、前記ポリ乳酸樹脂の機械的物性などが低下し得る。
【0021】
これとは異なり、前記酸化防止剤を最適化した含量で含む一実施形態の樹脂組成物を利用する場合、例えば、ポリ乳酸樹脂製造のための重合時に前記酸化防止剤を最適化した含量で添加して前記ポリ乳酸樹脂および一実施形態の樹脂組成物を得る場合には、ポリ乳酸樹脂の重合収率(Conversion of polymerization)および重合度(Degree of Polymerization)を向上させて生産性を増大させることができる。また、樹脂組成物に対する180℃以上の加熱を必要とするフィルム製膜工程で、前記樹脂組成物が優れた熱安定性を示すことができるため、ラクチドまたは乳酸のような単量体や環状オリゴマーチェーン状態の低分子物質生成を抑制することができる。したがって、前記ポリ乳酸樹脂の分子量の低下やフィルムの色変化(黄変)などが抑制される結果、優れた外観を有するばかりか、大幅に向上した柔軟性を示し、機械的物性、耐熱性および耐ブロッキング性など諸般物性も優秀に発現する包装用フィルムの提供が可能になる。
【0022】
一方、上述した一実施形態のポリ乳酸樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂のハードセグメントに含まれている化学式1のポリ乳酸繰り返し単位は、ポリ乳酸単一重合体(homopolymer)またはこれをなす繰り返し単位を称すことができる。このようなポリ乳酸繰り返し単位は、当業者によく知られたポリ乳酸単一重合体の製造方法により得ることができる。例えば、L−乳酸またはD−乳酸から環状2単量体であるL−ラクチドまたはD−ラクチドを生成しこれを開環重合する方法で得たり、L−乳酸またはD−乳酸を直接脱水縮重合する方法で得たりすることができ、この中でも開環重合法を通じてより高い重合度のポリ乳酸繰り返し単位を得ることができるため好ましい。また、前記ポリ乳酸繰り返し単位は、L−ラクチドおよびD−ラクチドを一定の比率に共重合して非結晶性を有するように製造されることもできるが、前記ポリ乳酸樹脂を含むフィルムの耐熱性をより向上させるために、前記L−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一つを使用して単一重合する方法により製造することが好ましい。より具体的には、光学純度98%以上のL−ラクチドまたはD−ラクチド原料を使用して開環重合することによって前記ポリ乳酸繰り返し単位を得ることができ、光学純度がこれに至らないと前記ポリ乳酸樹脂銀の溶融温度(Tm)が低くなり得る。
【0023】
また、前記ポリ乳酸樹脂のソフトセグメントに含まれているポリウレタンポリオール繰り返し単位は、前記化学式2のポリエーテルポリオール繰り返し単位らがウレタン結合(−C(=O)−NH−)を媒介として線状連結されている構造を有する。より具体的には、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らは、アルキレンオキシドのような単量体を開環(共)重合して得られる重合体またはこれをなす繰り返し単位を称すものであって、その末端にヒドロキシ基を有することができる。このような末端ヒドロキシ基がジイソシアネート化合物と反応して前記ウレタン結合(−C(=O)−NH−)を形成することができ、このようなウレタン結合を媒介として前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らが互いに線状連結されて前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位をなすことができる。このようなポリウレタンポリオール繰り返し単位をソフトセグメントとして含むことによって、前記ポリ乳酸樹脂を含むフィルムの柔軟性を大幅に向上することができる。また、このようなポリウレタンポリオール繰り返し単位は、前記ポリ乳酸樹脂組成物またはこれを含むフィルムの耐熱性、耐ブロッキング性、機械的物性または透明性などを低下させることなく、優れた諸般物性を示すフィルムの提供を可能にする。
【0024】
一方、従来はポリエステルポリオール繰り返し単位がウレタン結合で連結されたソフトセグメントを含むポリ乳酸系共重合体やこれを含む樹脂組成物またはフィルムが知られている。しかし、このようなポリ乳酸系共重合体は、ポリエステルポリオールとポリ乳酸の低い相溶性などにより、フィルムの透明性が低下し、ヘーズ値が高くなるなどの問題点があった。また、このようなポリ乳酸系共重合体は、分子量分布が広く、溶融特性が不良でフィルム押出状態が良くないし、フィルムの機械的物性、耐熱性および耐ブロッキング性も充分ではなかった。
【0025】
そして、3官能以上のイソシアネート化合物を使用してポリエーテルポリオール繰り返し単位がポリ乳酸繰り返し単位と分枝状で共重合されているポリ乳酸系共重合体や、前記ポリエーテルポリオール繰り返し単位およびポリ乳酸繰り返し単位を共重合した後、これをウレタン反応で鎖延長させた形態のポリ乳酸系共重合体も従来知られていた。しかし、これらの従来知られていたポリ乳酸系共重合体もまた前記ハードセグメントに対応するポリ乳酸繰り返し単位のブロックの大きさが小さいため、フィルムの耐熱性、機械的物性および耐ブロッキング性などが充分ではないばかりか、分子量分布が広く、溶融特性が不良でフィルム押出状態が不良になるなどの問題点を依然として有していた。
【0026】
これに比べて、多数のポリエーテルポリオール繰り返し単位がウレタン結合を媒介として線状連結されたポリウレタンポリオール繰り返し単位およびポリ乳酸繰り返し単位を含むポリ乳酸樹脂およびこれを含む一実施形態の樹脂組成物は、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位による優れた柔軟性を示すフィルムの提供を可能にしながらも、大きい分子量および狭い分子量分布を示し、ポリ乳酸繰り返し単位を大きいセグメントサイズに含み、前記フィルムが優れた機械的物性、耐熱性および耐ブロッキング性などを示すことができるようにする。したがって、前記ポリ乳酸樹脂およびこれを含む一実施形態の樹脂組成物は、従来知られていた共重合体が有する問題点を全て解決して優れた諸般物性を示すと同時に大幅に向上した柔軟性を有するフィルムの提供を可能にすることが明らかになった。
【0027】
前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位およびジイソシアネート化合物は、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らの末端ヒドロキシ基:ジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル比が約1:0.50〜約1:0.99になるように反応して、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位を形成することができる。好ましくは、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らの末端ヒドロキシ基:ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の反応モル比が約1:0.60〜約1:0.90、より好ましくは約1:0.70〜約1:0.85になることができる。
【0028】
以下でより詳しく説明するが、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位は、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らがウレタン結合を媒介として線状連結されることによってなった重合体またはこれをなす繰り返し単位を称すものであって、その末端にヒドロキシ基を有することができる。これによって、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位は、ポリ乳酸繰り返し単位の形成のための重合過程で開始剤として作用することができる。しかし、前記ヒドロキシ基:イソシアネート基の反応モル比が0.99を超えて過度に高くなると、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位の末端ヒドロキシ基の個数が不足するようになり(OHV<3)、開始剤として良好に作用できないこともある。また、前記ヒドロキシ基:イソシアネート基の反応モル比が過度に低くなると、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位の末端ヒドロキシ基の個数が過度に多くなり(OHV>21)、高分子量のポリ乳酸繰り返し単位およびポリ乳酸樹脂を得にくくなる。
【0029】
一方、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、例えば、1種以上のアルキレンオキシドを開環(共)重合して得られたポリエーテル系ポリオール(共)重合体またはその繰り返し単位になることができる。前記アルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはテトラヒドロフランなどが挙げられ、これから得られたポリエーテル系ポリオール繰り返し単位の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)の繰り返し単位;ポリ(1,2−プロピレングリコール)の繰り返し単位;ポリ(1,3−プロパンジオール)の繰り返し単位;ポリテトラメチレングリコールの繰り返し単位;ポリブチレングリコールの繰り返し単位;プロピレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体であるポリオールの繰り返し単位;エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体であるポリオールの繰り返し単位;またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体であるポリオールの繰り返し単位などが挙げられる。ポリ乳酸樹脂フィルムに対する柔軟性付与、ポリ乳酸繰り返し単位との親和力および含湿特性などを考慮する時、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位としては、ポリ(1,3−プロパンジオール)の繰り返し単位またはポリテトラメチレングリコールの繰り返し単位を使用することが好ましい。
【0030】
また、このようなポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、約450〜9,000、好ましくは約1,000〜3,000の数平均分子量を有することができる。もし、このようなポリエーテル系ポリオール繰り返し単位の分子量が過度に大きいかまたは小さくなると、前記ポリ乳酸樹脂および一実施形態の樹脂組成物から得られるフィルムの柔軟性や機械的物性などが不十分になり得る。また、前記ポリ乳酸樹脂が適切な分子量特性などを満たしにくくなり得るため、樹脂組成物の加工性が低下したり前記フィルムの柔軟性または機械的物性が低下したりし得る。
【0031】
そして、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位の末端ヒドロキシ基と結合してウレタン結合を形成することができるジイソシアネート化合物は、分子中に2個のイソシアネート基を有する任意の化合物になることができる。このようなジイソシアネート化合物の例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビスフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたは水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられ、その他にも当業者に広く知られた多様なジイソシアネート化合物を特別な制限なく使用することができる。ただし、ポリ乳酸樹脂フィルムに対する柔軟性付与などの側面から1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0032】
一方、本発明の一実施形態の樹脂組成物に含まれているポリ乳酸樹脂は、上述したハードセグメントのポリ乳酸繰り返し単位が前記ソフトセグメントのポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合されたブロック共重合体を含むことができる。より具体的には、このようなブロック共重合体では、前記ポリ乳酸繰り返し単位の末端カルボキシ基が前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位の末端ヒドロキシ基とエステル結合を形成することができる。例えば、このようなブロック共重合体の化学構造は、下記一般式1で表され得る:
[一般式1]
ポリ乳酸繰り返し単位(L)−Ester−ポリウレタンポリオール繰り返し単位(E−U−E−U−E)−Ester−ポリ乳酸繰り返し単位(L)
前記一般式1中、前記Eは、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を示し、Uは、ウレタン結合を示し、Esterは、エステル結合を示す。
【0033】
前記ポリ乳酸繰り返し単位とポリウレタンポリオール繰り返し単位が結合されたブロック共重合体を含むことによって、前記柔軟性付与のためのポリウレタンポリオール繰り返し単位などがブリードアウトされることを抑制することができ、前記樹脂組成物で形成されたフィルムの透明性、機械的物性、耐熱性または耐ブロッキング性などの諸般物性が優秀になり得る。また、前記ポリ乳酸繰り返し単位およびポリウレタンポリオール繰り返し単位の少なくとも一部がブロック共重合体形態を帯びることによって、前記ポリ乳酸樹脂の分子量分布、ガラス転移温度(Tg)および溶融温度(Tm)などが最適化してフィルムの機械的物性、柔軟性および耐熱性などをより向上させることができる。
【0034】
ただし、前記ポリ乳酸樹脂および樹脂組成物に含まれているポリ乳酸繰り返し単位らの全てが前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合されたブロック共重合体の形態を帯びる必要はなく、ポリ乳酸繰り返し単位らのうちの少なくとも一部は、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合されず、ポリ乳酸単一重合体の形態を帯びることもできる。この場合、前記ポリ乳酸樹脂は、上述したブロック共重合体と、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合されていないポリ乳酸繰り返し単位、つまり、ポリ乳酸単一重合体を含む混合物形態になることができる。
【0035】
一方、前記ポリ乳酸樹脂は、その全体100重量部(上述したブロック共重合体の重量と、選択的にポリ乳酸単一重合体が含まれる場合、このような単一重合体との重量合計の100重量部)を基準に、上述したハードセグメントの約80〜95重量部と、ソフトセグメントの約5〜20重量部を含むことができ、好ましくはハードセグメントの約82〜92重量部と、ソフトセグメントの約8〜18重量部、より好ましくはハードセグメントの約85〜90重量部と、ソフトセグメントの約10〜15重量部を含むことができる。
【0036】
前記ソフトセグメントの含量が過度に高くなると、高分子量のポリ乳酸樹脂およびこれを含む樹脂組成物の提供が難しくなり得、これによって前記フィルムの強度などのような機械的物性が低下し得る。また、ガラス転移温度が低くなってフィルムを利用した包装加工時にスリップ性(slipping)、取り扱い性または形態維持特性などが劣り得る。反対に、ソフトセグメントの含量が過度に低くなると、ポリ乳酸樹脂およびそのフィルムの柔軟性を向上させることに限界がある。特に、ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度が過度に高くなってフィルムの柔軟性が低下し得、ソフトセグメントのポリウレタンポリオール繰り返し単位が開始剤としての役割を良好に果たしにくいため、重合転換率が落ちたり高い分子量のポリ乳酸樹脂が良好に製造されなかったりすることもある。
【0037】
上述した一実施形態のポリ乳酸樹脂組成物は、上述したポリ乳酸樹脂と共に特定含量の酸化防止剤を含む。このような酸化防止剤は、すでに詳述したように、特定含量に含まれてポリ乳酸樹脂の黄変を抑制して樹脂組成物およびフィルムの外観を良好にすることができる。また、前記酸化防止剤は、ソフトセグメントなどが酸化または熱分解されることを抑制することができる。
【0038】
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール(Hindered phenol)系酸化防止剤、アミン(amine)系酸化防止剤、チオ(thio)系酸化防止剤またはホスファイト(phosphite)系酸化防止剤などの1種以上を使用することができ、その他ポリ乳酸樹脂組成物に使用可能であると知られた多様な酸化防止剤を使用することができる。
【0039】
ただし、前記一実施形態の樹脂組成物は、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らを有するため、高温重合反応時、高温押出加工または成形時に酸化または熱分解されやすい傾向にある。したがって、前記酸化防止剤としては、前記に羅列された系列の熱安定剤、重合安定剤または酸化防止剤などを使用することが好ましい。このような酸化防止剤の具体的な例としては、リン酸、トリメチルホスフェートまたはトリエチルホスフェートのようなリン酸系熱安定剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラビス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)またはBis[3,3−bis−(4’−hydroxy−3’−tert−butyl−phenyl)butanoicacid]glycol esterのようなヒンダードフェノール(Hindered phenol)系1次酸化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたはN,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミンのようなアミン(amine)系2次酸化防止剤;ジラウリルジスルフィド、ジラウリルチオプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、メルカプトベンゾチアゾールまたはテトラメチルチウラムジスルフィドテトラビス[メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート]メタンなどのチオ(Thio)系2次酸化防止剤;またはトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソデシルホスファイト、Bis(2,4−di−tbutylphenyl)Pentaerythritol Diphosphiteまたは(1,1’−Biphenyl)−4,4’−Diylbisphosphonous acid tetrakis[2,4−bis(1,1−dimethylethyl)phenyl]esterのようなホスファイト(phosphite)系2次酸化防止剤が挙げられる。この中でも、ホスファイト系酸化防止剤と他の酸化防止剤を組み合わせて使用することが最も好ましい。
【0040】
すでに詳述したように、前記酸化防止剤は、前記樹脂組成物中の前記ポリ乳酸繰り返し単位の形成のための単量体添加量に対して、約100〜1,500ppmwの含量、好ましくは約500〜1,500ppmw、より好ましくは約1,000〜1,500の含量で含まれ得る。前記酸化防止剤の含量が過度に低くなると、前記ソフトセグメントのような柔軟化成分に酸化などによりポリ乳酸樹脂が黄変され得、前記樹脂組成物およびフィルムの外観が不良になり得る。また、酸化防止剤の含量が過度に高くなると、このような酸化防止剤がラクチドなどの重合速度を低下させて前記ポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントが良好に生成されないこともあり、前記ポリ乳酸樹脂の機械的物性などが低下し得る。
【0041】
上述した酸化防止剤以外にも、前記ポリ乳酸樹脂は、その効果を損傷させない範囲で公知の各種可塑剤、紫外線安定剤、着色防止剤、無光沢剤、脱臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料、無機または有機粒子などの各種添加剤をさらに含むこともできる。
【0042】
前記可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジ−1−ブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルオクチルなどのリン酸エステル系可塑剤;アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチルなどのヒドロキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤;アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸イミルなどの脂肪酸エステル系可塑剤;グリセリントリアセテートなどの多価アルコールエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ系可塑剤などが挙げられる。また、着色顔料の例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料;シアニン系、リン系、キノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系などの有機顔料などが挙げられる。その他フィルムの耐ブロッキング性などを向上させるために無機または有機粒子をさらに含めることもできるが、その例としては、シリカ、コロイド状(colloidal)シリカ、アルミナ、アルミナsol、滑石(talc)、雲母(mica)、炭酸カルシウム、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコンなどが挙げられる。その他にもポリ乳酸樹脂またはそのフィルムに使用可能であると知られた多様な添加剤を含ませることができ、その具体的な種類や入手方法は当業者に自明に知られている。
【0043】
上述した樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂、例えば、これに含まれているブロック共重合体は、約50,000〜200,000の数平均分子量、好ましくは約50,000〜150,000の数平均分子量を有することができる。また、前記ポリ乳酸樹脂は、約100,000〜400,000の重量平均分子量、好ましくは約100,000〜320,000の重量平均分子量を有することができる。このような分子量は上述した樹脂組成物の加工性やフィルムの機械的物性などに影響を与えることができる。分子量が過度に小さい場合、押出などの方法で溶融加工する時、溶融粘度が過度に低くてフィルムなどへの加工性が落ちることがあり、フィルムへの加工が可能であっても強度など機械的物性が低下することがある。反対に、分子量が過度に大きい場合、溶融加工時に溶融粘度が過度に高くてフィルムへの生産性および加工性などが大幅に落ちることがある。
【0044】
そして、前記ポリ乳酸樹脂、例えば、これに含まれているブロック共重合体は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比と定義される分子量分布(Mw/Mn)が約1.60〜2.20、好ましくは約1.80〜2.15の値を有することができる。前記ポリ乳酸樹脂がこのような狭い分子量分布を示すことによって、押出などの方法により溶融加工する時、適切な溶融粘度および溶融特性を示し、これによる優れたフィルム押出状態および加工性を示すことができる。また、前記ポリ乳酸樹脂を含むフィルムは優れた強度など機械的物性を示すことができる。これに比べて、分子量分布が過度に狭くなる(小さくなる)場合、押出などのための加工温度で溶融粘度が過度に大きくなってフィルムとしての加工が困難になることがあり、反対に、分子量分布が過度に広くなる(大きくなる)場合、フィルムの強度などの機械的物性が低下したり溶融粘度が過度に小さくなるなど、溶融特性が不良でフィルムとしての成形自体が困難になったりフィルム押出状態が良くないこともある。
【0045】
また、前記ポリ乳酸樹脂は、溶融温度(Tm)が約160〜178℃、好ましくは約165〜175℃になることができる。溶融温度が過度に低くなると、ポリ乳酸樹脂を含むフィルムの耐熱性が低下し得、過度に高くなると、押出などの方法により融加工時に高温が必要になったり粘度が過度に高くなってフィルムなどとしての加工特性が悪化し得る。
【0046】
そして、前記ポリ乳酸樹脂、例えば、これに含まれているブロック共重合体は、約25〜55℃のガラス転移温度(Tg)、好ましくは約30〜55℃のガラス転移温度(Tg)を有する。このようなポリ乳酸樹脂がこのようなガラス転移温度範囲を有することによって、本発明の一実施形態の樹脂組成物を含むフィルムの柔軟性やスチフネス(stiffness)が最適化してこれを包装用フィルムとして非常に好ましく使用することができる。もし、前記ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度が過度に低くなると、フィルムの柔軟性は向上し得るが、スチフネスが過度に低くなることによってフィルムを利用した包装加工時にスリップ性(slipping)、取り扱い性、形態維持特性または耐ブロッキング性などが不良になり得、そのため、包装用フィルムとしての適用が不適当になり得る。反対に、ガラス転移温度が過度に高くなると、フィルムの柔軟性が低く、スチフネスが過度に高いため、フィルムが簡単に折れてその跡が残ったり、包装時に対象製品に対する密着性が不良になったりし得る。また、フィルム包装時にノイズが激しく発生して、包装用フィルムとしての適用に限界が生じ得る。
【0047】
一方、上述した本発明の一実施形態による樹脂組成物は、これに含まれている前記ポリ乳酸樹脂の重量に対して、約1重量%未満の単量体(例えば、ポリ乳酸繰り返し単位の製造のために使用されたラクチド単量体など)が残留しているものになることができ、より好ましくは約0.01〜0.5重量%の単量体のみが残留しているものになることができる。前記樹脂組成物は、特定の構造的特性を有するブロック共重合体およびこれを含むポリ乳酸樹脂と、特定含量の酸化防止剤とを含むことによって、製造過程中に使用されたラクチド単量体の大部分が重合に参加してポリ乳酸繰り返し単位をなし、前記ポリ乳酸樹脂の解重合または分解も実質的に起きない。そのため、前記一実施形態のポリ乳酸樹脂組成物は、最小化した含量の残留単量体、例えば、残留ラクチド単量体などを含むことができる。
【0048】
もし、残留単量体含量が約1重量%以上になると、樹脂組成物を利用したフィルム加工時に臭気問題が発生し、また、フィルム加工によるポリ乳酸樹脂の分子量の減少で最終フィルムの強度低下を招き、特に、食品包装用の適用時にも残留単量体がブリードアウトされて安定性の問題を起こすこともある。
【0049】
一方、前記ポリ乳酸樹脂組成物は、チップ状態でcolor−b値が6未満になり、好ましくは5以下になることができる。前記一実施形態の樹脂組成物は、最適化した含量の酸化防止剤を含むことによって、ポリ乳酸樹脂の黄変が抑制されるため、前記6未満のcolor−b値を示すことができる。もし、前記樹脂組成物のcolor−b値が6以上になると、フィルム用途展開時にフィルム外観が不良になって商品価値が落ち得る。
【0050】
一方、上述したポリ乳酸樹脂組成物は、1種以上のアルキレンオキシドなどの単量体を開環(共)重合してポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を形成する段階;触媒の存在下に、前記(共)重合体をジイソシアネート化合物と反応させてポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を形成する段階;および前記酸化防止剤およびポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体の存在下に、乳酸(DまたはL−乳酸)を縮重合したり、ラクチド(DまたはL−ラクチド)を開環重合する段階を含む製造方法により製造され得る。
【0051】
特に、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体とジイソシアネート化合物をウレタン反応させて、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位らがウレタン結合を媒介として線状連結されたポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を得た後、これを乳酸またはラクチドと重合することによって、上述した優れた物性を有するポリ乳酸樹脂や、これに含まれるブロック共重合体が製造され得る。しかも、前記ラクチドなどを重合させる時、特定含量の酸化防止剤と共に使用することによって、前記黄変が抑制されたポリ乳酸樹脂および酸化防止剤を含む一実施形態の樹脂組成物が製造され得る。このような樹脂組成物は、ポリウレタンポリオール繰り返し単位による大幅に向上した柔軟性を示しながらも、優秀な機械的物性、耐熱性および耐ブロッキング性などを示し、黄変が抑制されてその外観も良好なフィルムの提供を可能にする。
【0052】
一方、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位ではなく、ポリエステル系ポリオール繰り返し単位を導入したり、反応順序を異にしてポリエーテル系ポリオールを乳酸またはラクチドなどと先に重合した後、鎖延長(あるいは分枝状延長)させるなどの場合には、上述した優れた特性を有するブロック共重合体およびこれを含むポリ乳酸樹脂が製造されにくく、一実施形態の樹脂組成物も製造されないことはもちろんである。
【0053】
以下、このようなポリ乳酸樹脂組成物の製造方法についてより具体的に説明する。
【0054】
まず、1種以上のアルキレンオキシドなどの単量体を開環(共)重合してポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を形成するようになるが、これは通常のポリエーテル系ポリオール(共)重合体の製造方法により行うことができる。
【0055】
以降、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体、ジイソシアネート化合物およびウレタン反応触媒を反応器に充填させ、加熱および攪拌してウレタン反応を行う。このような反応によって、前記ジイソシアネート化合物の2個のイソシアネート基と、前記(共)重合体の末端ヒドロキシ基が結合してウレタン結合を形成する。その結果、ポリエーテルポリオール繰り返し単位らが前記ウレタン結合を媒介として線状連結された形態のポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体が形成され得、これは上述したポリ乳酸樹脂のソフトセグメントとして含まれる。この時、前記ポリウレタンポリオール(共)重合体は、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位(E)らがウレタン結合(U)を媒介としてE−U−E−U−Eの形態に線状結合されて両末端にポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する形態に形成され得る。
【0056】
前記ウレタン反応は、通常のスズ系触媒、例えば、第一スズオクトアート(Stannous Octoate)、ジブチルスズジラウレート(Dibutyltin Dilaurate)、ジオクチルスズジラウレート(Dioctyltin Dilaurate)などの存在下に行われ得る。また、前記ウレタン反応は、通常のポリウレタン樹脂の製造のための反応条件下で行われ得る。例えば、ジイソシアネート化合物とポリエーテル系ポリオール(共)重合体を窒素雰囲気下で加えた後、前記ウレタン反応触媒を投入して反応温度70〜80℃で1〜5時間反応させてポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を製造することができる。
【0057】
次に、前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体および特定含量の酸化防止剤の存在下に、乳酸(DまたはL−乳酸)を縮重合したり、ラクチド(DまたはL−ラクチド)を開環重合すれば、上述したブロック共重合体(あるいはこれを含むポリ乳酸樹脂)と、所定含量の酸化防止剤を含む一実施形態のポリ乳酸樹脂組成物が製造され得る。つまり、このような重合反応を経るようになると、酸化防止剤によりソフトセグメントの酸化などによる黄変が抑制されながらハードセグメントとして含まれているポリ乳酸繰り返し単位が形成されて、前記ポリ乳酸樹脂が製造され、この時、少なくとも一部のポリ乳酸繰り返し単位末端に前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位が結合されてブロック共重合体が形成され得る。その結果、ポリエーテルポリオールとポリ乳酸を先に結合させたプレポリマー(prepolymer)を製造した後、このようなプレポリマーらをジイソシアネート化合物で鎖延長させた形態の公知のポリ乳酸系共重合体や、前記プレポリマーらを3官能以上のイソシアネート化合物と反応させた公知の分枝状共重合体とは異なる構造および特性などを示すブロック共重合体およびこれを含む樹脂組成物が形成され得る。特に、前記ブロック共重合体は、ポリ乳酸繰り返し単位が比較的大きい単位(分子量)で互いに結合されたブロック(ハードセグメント)を含むことができるため、これを含むポリ乳酸樹脂で形成されたフィルムが狭い分子量分布および適切なTgと、これによる優れた機械的物性および耐熱性などを示すことができる。これに比べて、前記公知の共重合体は、小さい単位(分子量)のポリ乳酸繰り返し単位がポリエーテルポリオール繰り返し単位などとランダムに交互配列された構造を有せざるを得ないため、これから得られたフィルムは、上述した分子量分布など特性を満たさず、機械的物性や耐熱性などが不十分になる。しかも、前記ブロック共重合体は、その重合中に酸化防止剤により黄変が抑制されながら製造され得るため、これを含む樹脂組成物およびフィルムも優れた外観状態を示すことができる。
【0058】
一方、前記ラクチド開環重合反応は、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、アルミニウム、ゲルマニウム、スズまたはアンチモンなどを含む金属触媒の存在下に行われ得る。より具体的には、このような金属触媒は、これら金属のカルボン酸塩、アルコキシド、ハロゲン化物、酸化物または炭酸塩などの形態になることができる。好ましくは、前記金属触媒として、オクチル酸スズ、チタンテトライソプロポキシドまたはアルミニウムトリイソプロポキシドなどを使用することができる。
【0059】
上述したポリ乳酸樹脂組成物は、特定のハードセグメントおよびソフトセグメントが結合されたブロック共重合体(ポリ乳酸樹脂)を含むことによって、ポリ乳酸樹脂の生分解性を示しながらも、より向上した柔軟性を示すことができる。また、柔軟性を付与するためのソフトセグメントがブリードアウトされることも最小化することができ、このようなソフトセグメントの付加によりフィルムの機械的物性、耐熱性、透明性またはヘーズ特性などが低下することも大幅に減少させることができる。
【0060】
また、前記ポリ乳酸樹脂は、特定含量の酸化防止剤と共に含まれて、製造または使用過程中の黄変が抑制され得、これら成分を含む樹脂組成物は、優れた外観および商品を示しながらも、大幅に向上した柔軟性および優れた機械的物性など諸般物性を示す包装用フィルムの提供を可能にする。
【0061】
そこで、本発明の他の実施形態によると、上述したポリ乳酸樹脂組成物を含む包装用フィルムが提供される。このような包装用フィルムは、上述したポリ乳酸樹脂組成物を含むことによって、機械的物性、耐熱性、耐ブロッキング性、透明性および加工性などが優れているばかりか、最適化した柔軟性およびスチフネスを示すことができ、黄変されない良好な外観を示すことができるため、多様な分野の包装用材料として非常に好ましく使用され得る。
【0062】
このような包装用フィルムは、各用途により多様な厚さを有することができ、約5〜500μmの厚さを有することができる。例えば、ラップフィルムや封筒などの包装用フィルムとして使用される場合、柔軟性、取り扱い性および強度の側面から約5〜100μmの厚さ、好ましくは約7〜50μmの厚さ、より好ましくは約7〜30μmの厚さを有することができる。
【0063】
また、前記包装用フィルムは、温度20℃、相対湿度65%下で、Instron 1123 UTM万能試験器を使用して延伸速度300mm/分、グリップ間距離100mmの条件で、幅10mm、長さ150mmの試片に対して引張試験した時、その長さ方向および幅方向のヤング率合計が約350〜750kgf/mm
2になることができ、好ましくは約450〜650kgf/mm
2、より好ましくは約500〜600kgf/mm
2になることができる。このようなヤング率合計の範囲は、前記包装用フィルムの最適化した柔軟性およびスチフネスを反映することができ、このような柔軟性およびスチフネスは、前記ポリ乳酸樹脂が上述した構造的特性およびガラス転移温度などを満たすことによるものと見られる。
【0064】
ただし、前記ヤング率の合計が過度に低くなる場合、フィルムの製膜および加工工程時に拡散や緩さが発生し、取り扱い性、工程透過性、スリット(Slit)加工性または形態維持特性が不良になり得る。また、ラップフィルムの使用時、フィルムのスリップ性の不足で離型性が不足するようになったり、容器などの物品や食品を包む前にフィルム変形で効率的な包装が困難になったりし得る。反対に、ヤング率の合計が過度に高くなる場合、包装加工時にフィルムが折られると、折り線(folding line)がそのまま残って外観上不良になったり、包装する物品や食品の形状により変形されないことから、包装に困難を招いたりし得る。
【0065】
そして、前記包装用フィルムは、前記ヤング率と同一の条件下で引張試験した時、その長さ方向および幅方向で共に約10kgf/mm
2以上の初期引張強度、好ましくは約12kgf/mm
2以上の初期引張強度、より好ましくは約15kgf/mm
2以上、最大30kgf/mm
2以下の初期引張強度を有することができる。もし、初期引張強度がこれに至らない場合、フィルムの取り扱い性が不良になり、包装後にも簡単に破断されて内容物の損傷の危険が発生し得る。
【0066】
また、前記包装用フィルムは、100℃の熱風オーブンで1時間処理した時の重量変化率が約3wt%以下、好ましくは約0.01〜3.0wt%、より好ましくは約0.05〜1.0wt%になることができる。このような特性は、前記包装用フィルムの優れた耐熱性および耐ブリードアウト(Anti−bleed out)特性などを反映することができる。もし、前記重量変化率が約3wt%以上である場合、フィルムの寸法安定性が不良になり、これは可塑剤、残留単量体または添加剤などがブリードアウトされることを意味し、これら成分が包装内容物を汚染させることがある。
【0067】
そして、前記包装用フィルムは、ヘーズが約3%以下であり、透過率が約85%以上になることができ、好ましくはヘーズが約2%以下であり、透過率が約90%以上であり、より好ましくはヘーズが約1%以下であり、透過率が約92%以上になることができる。もし、ヘーズが過度に大きいかまたは透過率が過度に低くなると、フィルム包装時に内容物を簡単に識別することができず、印刷層が使用される多層フィルム適用時に印刷イメージが鮮明に現れにくい。
【0068】
上述した包装用フィルムは、その効果を阻害しない範囲で必要に応じて、熱密封性や、水蒸気、酸素または炭酸ガスなどのガスバリア性、離型性、印刷性など食品包装材料として要求される特性を付与しても良い。このために、このような特性を有する重合体が化合物をフィルムに配合させたり、前記包装用フィルムの少なくとも一面にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン系樹脂などの熱可塑性樹脂や帯電防止剤、界面活性剤、離型剤などを塗布したりすることもできる。また、他の方法として、ポリオレフィン系シーラントなどのような機能を有する他のフィルムを共押出して多層フィルムの形態に製造することもできる。その他接着または積層などの方法により多層フィルムの形態に製造することもできる。
【0069】
一方、上述した包装用フィルムは、通常の方法により製造され得る。例えば、上述したポリ乳酸樹脂に対してインフレーション(Inflation)法、逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法などを適用して延伸フィルムの形態に形成した後、これを熱固定することができる。この時、前記延伸フィルム形成工程は、Tダイが装着された押出機で前記ポリ乳酸樹脂をシート状溶融押出し、このようなシート状溶融押出物を冷却および固化して未延伸フィルムを得た後、このような未延伸フィルムを長さ方向および幅方向に延伸する方法で行うことができる。
【0070】
前記フィルムの延伸条件は、熱収縮特性、寸法安定性、強度、ヤング率などにより適切に調整することができる。例えば、最終製造された包装用フィルムの強度および柔軟性の側面から、延伸温度は、ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度以上、結晶化温度以下に調節することが好ましい。また、延伸比率は、長さおよび幅方向にそれぞれ約1.5〜10倍の範囲にすることができ、長さと幅方向延伸比率を互いに異に調節することもできることはもちろんである。
【0071】
このような方法で延伸フィルムを形成した後には、熱固定を通じて包装用フィルムを最終製造するが、このような熱固定は、フィルムの強度、寸法安定性のために100℃以上で約10秒以上処理することが好ましい。
【0072】
上述した包装用フィルムは、長期間保管時にも優れた柔軟性と透明性を有するばかりか、 十分な強度などの機械的物性と耐ブリードアウト(Anti−bleed out)特性などを示すことができる。また、ポリ乳酸樹脂特有の生分解性を示すことができる。したがって、このような包装用フィルムは、多様な分野の包装用材料として好ましく適用され得る。例えば、生活消費材または食料品一般包装紙/封筒、冷蔵/冷凍食品包装、シュリンカブル・オーバーラッピング・フィルム(Shrinkable over−wrapping film)、バンドル(Bundle)束ね用フィルム、生理用ナプキンまたは乳児用品など衛生用品フィルム、ラミネーション(Lamination)フィルム、シュリンカブル・ラベル(Shrinkable Label)包装およびスナック包装用Matフィルムのみならず、農業用マルチフィルム、自動車塗装膜保護シート、ゴミ袋および堆肥袋などの産業資材包装用材料としても広く使用され得る。
[発明の効果]
上述したように、本発明によれば、ポリ乳酸樹脂特有の生分解性を示しながらも、最適化した柔軟性およびスチフネスと、優秀な機械的物性、耐熱性、透明性、耐ブロッキング性およびフィルム加工性などを示すポリ乳酸樹脂および包装用フィルムが提供され得る。したがって、このようなポリ乳酸樹脂および包装用フィルムを多様な分野の包装用材料として好ましく適用して原油由来樹脂から得られた包装用フィルムを代替することができ、環境汚染の防止に大きく寄与することができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明の具体的な実施例を通じて本発明の作用および効果をより詳細に説明する。 ただし、このような実施例は、本発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって本発明の権利範囲が決められるわけではない。
【0074】
*物性の定義および測定方法:後述する実施例で各物性の定義および測定方法は、以下に整理されたとおりである。
【0075】
(1)NCO/OH:ポリウレタンポリオール繰り返し単位の形成のための“ジイソシアネート化合物(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)のイソシアネート基/ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)の末端ヒドロキシ基”の反応モル比を示す。
【0076】
(2)OHV(KOHmg/g):ポリウレタンポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)をジクロロメタンに溶解した後にアセチル化し、これを加水分解してできた酢酸を0.1NのKOHメタノール溶液で適正することによって測定した。これは前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)の末端に存在するヒドロキシ基の個数に対応する。
【0077】
(3)MwおよびMn(g/mol)と、分子量分布(Mw/Mn):ポリ乳酸樹脂をクロロホルム(Chloroform)に0.25重量%濃度に溶解し、Gel permeation chromatography(製造元:Viscotek TDA 305、Column:Shodex LF804*2ea)を利用して測定し、ポリスチレン(Polystyrene)を標準物質として重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ算出した。このように算出されたMwおよびMnから分子量分布値を計算した。
【0078】
(4)Tg(ガラス転移温度、℃):示差走査熱量計(製造元:TA Instruments)を使用し、試料を溶融急冷させた後に10℃/分で昇温させて測定した。吸熱曲線付近のベースラインと各接線の中央値(mid value)をTgにした。
【0079】
(5)Tm(溶融温度、℃):示差走査熱量計(製造元:TA Instruments)を使用し、試料を溶融急冷させた後に10℃/分で昇温させて測定した。結晶の溶融吸熱ピーク(Peak)の最大値(Max value)温度をTmにした。
【0080】
(6)残留単量体(ラクチド)含量(重量%):樹脂0.1gを4mlのクロロホルムに溶かした後、10mlのヘキサン(Hexane)を入れてフィルタリング(filtering)してGC分析して定量した。
【0081】
(7)ポリウレタンポリオール繰り返し単位の含量(wt%):600Mhz核磁気共鳴(NMR)スペクトロメーターを使用して、各製造されたポリ乳酸樹脂内に含まれるポリウレタンポリオール繰り返し単位の含量を定量した。
【0082】
(8)chip color−b:樹脂チップ(Chip)をKonica Minolta Sensing社のChroma meter CR−410を使用して合計5回試験の平均値を表示した。
【0083】
(9)押出状態:未延伸シートの製作のためにTダイ(die)を装着した直径30mmのシングルスクリュー(single screw)押出機でポリ乳酸樹脂を200〜250℃押出温度条件でシート状に押出して5℃に冷却したドラム(drum)の上に静電印加キャスト(cast)した。この時、シート状吐出物の溶融粘度を米国フィジカ(Physica)社のフィジカレオメーター(Physica Rheometer)を利用して測定した。具体的には、25mm平行プレート型(Parallel plate type)剪段力を加えるツールを通じて、吐出物の最初温度を維持しながら剪段率(shear rate、1/s)=1で溶融樹脂の溶融粘度(Complex viscosity、Pa・s)を前記フィジカレオメーター(Physica Rheometer)で測定し、溶融粘度の状態(押出状態)を次の基準により評価した。
◎:溶融点度が良好であって冷却ドラムに巻取が良好である
○:溶融点度が若干低くて難しいが巻取は可能である
×:溶融点度が非常に低くて巻取が不可能である
(10)初期引張強度(kgf/mm
2)MD、TD:長さ150mm、幅10mmのフィルムサンプルを温度20℃、湿度65%RHの雰囲気で24時間熟成し、ASTM D638に準じてUTM(製造会社:INSTRON)万能試験器を使用して延伸速度300mm/分、グリップ間距離100mm条件で引張強度を測定した。合計5回の試験の平均値を結果値で表示した。フィルムの長さ方向をMD、幅方向をTDで表示した。
【0084】
(11)伸び率(%)MD、TD:前記(10)の引張強度のような条件でフィルムが破断するまでの伸び率を測定して合計5回の試験の平均値を結果値で表示した。フィルムの長さ方向をMD、幅方向をTDで表示した。
【0085】
(12)F5(kgf/mm
2)MD、TD:前記(10)の引張試験で得られた応力−歪曲曲線で5%変形時の応力の点を接点とする接線の傾斜を求め、この傾斜から得られる5%伸張時の応力の値を求め、合計5回の試験の平均値を結果値で表示した。フィルムの長さ方向をMD、幅方向をTDで表示した。
【0086】
(13)F100(kgf/mm
2)MD:前記(10)の引張試験で得られた応力−歪曲曲線で100%変形時の応力の点を接点とする接線の傾斜を求め、この傾斜から得られる100%伸張時の応力の値を求め、合計5回の試験の平均値を結果値で表示した。フィルムの長さ方向MDに対してのみ測定した。
【0087】
(14)ヤング率(kgf/mm
2)MD、TD:前記(10)の引張試験と同一の試片でASTM D638に準じてUTM(製造会社:INSTRON)万能試験器を使用して延伸速度300mm/分、グリップ間距離100mm条件でヤング率を測定した。合計5回の試験の平均値を結果値で表示した。このようなヤング率値、特に、長さおよび幅方向で測定したヤング率の合計値はフィルムの柔軟性に対応するものであって、ヤング率合計値が低いほど柔軟性に優れていることを確認できる。フィルムの長さ方向をMD、幅方向をTDで表示した。
【0088】
(15)波紋(横線):互いに分子量の差がある二種類の樹脂または樹脂と可塑剤をコンパウンディングしてフィルムを押出した時、溶融粘度の差により発生される波紋の程度をA4サイズのフィルムサンプルで次の基準により評価した。
◎:波紋(横線)発生なし
○:3個以内の波紋(横線)発生
×:5個以上の波紋(横線)発生
(16)100℃重量変化率(%):事前にフィルムサンプルを温度23℃、湿度65%RHの雰囲気で24時間熟成し、熱処理前の重量を測定した。以降、100℃の熱風オーブン中で60分間処理した後、再び処理前と同一の条件で熟成を実施した後、重量を測定した。熱処理の前後での重量変化に対する処理前の重量比率で結果値を算出した。
【0089】
(17)ピンホール(Pin Hole)発生および耐ブリードアウト特性:前記(12)の熱処理後、フィルムサンプルの表面を観察してピンホール発生の有無を測定した。また、触感により低分子量可塑剤成分がフィルム表面にブリードアウトされた程度をA4サイズのフィルムサンプルで次の基準により評価した。
◎:ピンホールおよびブリードアウト発生なし
○:ピンホール5個以内またはブリードアウトの発生があるが、激しくない
×:ピンホール5個以上またはブリードアウトの発生が激しい
(18)ヘーズ(%)および透過率(%):事前にフィルムサンプルを温度23℃、湿度65%RHの雰囲気で24時間熟成し、JIS K7136に準じてHaze meter(モデル名:日本NDH2000)を利用して異なる部分3ヶ所に対して測定して平均値を結果値で算出した。
【0090】
(19)耐ブロッキング性:スタンピング箔のCOLORIT Pタイプ(クルツ社製)を使用して、フィルムサンプルの帯電防止面と印刷面を合わせ、40℃の温度および1Kg/cm
2圧力下で24時間放置した後、帯電防止層と印刷面のブロッキング状態を観察した。このような観察結果を基に次のような基準で帯電防止層(A層)とインモールド用転写箔の印刷面との耐ブロッキング性を評価した。この時、○までが実用性能を満たす。
◎:変化なし
○:若干の表面変化あり(5%以下)
×:5%超過剥離
(20)フィルムの黄変着色度:フィルムサンプルを破砕機で粉砕して120℃で除湿乾燥および結晶化した後、小型シングルスクリュー押出機(Haake社、Rheomics 600 extruder)により約200℃で溶融し、再びチップ(chip)化した。前記フィルム加工前/後のチップのColor−b値の差を測定して次の基準により黄変着色度を評価した。
◎:2以下であって黄変が殆どない
○:5以下であって黄変が若干発生する
×:5超過であって黄変の発生が激しい
下記の実施例および比較例で使用された原料は次の通りである:
1.ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)またはその対応物質
−PPDO 2.4:ポリ(1,3−プロパンジオール);数平均分子量2,400
−PPDO 2.0:ポリ(1,3−プロパンジオール);数平均分子量2,000
−PPDO 1.0:ポリ(1,3−プロパンジオール);数平均分子量1,000
−PTMEG 3.0:ポリテトラメチレングリコール;数平均分子量3,000
−PTMEG 2.0:ポリテトラメチレングリコール;数平均分子量2,000
−PTMEG 1.0:ポリテトラメチレングリコール;数平均分子量1,000
−PEG 8.0:ポリエチレングリコール;数平均分子量8,000
−PBSA 11.0:1,4−ブタンジオールおよび琥珀酸とアジピン酸の縮合体から作られた脂肪族ポリエステルポリオール;数平均分子量11,000
2.ジイソシアネート化合物(あるいは3官能以上のイソシアネート化合物)
−HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
−D−L75:Bayer社のDesmodur L75(TRIMETHYLOL PROPANE+3トルエンジイソシアネート)
3.ラクチド単量体
−L−ラクチドまたはD−ラクチド:光学純度99.5%以上のPurac社製品
4.酸化防止剤など
−TNPP:Tris(nonylphenyl) phosphite
−U626:Bis(2,4−di−tbutylphenyl)Pentaerythritol Diphosphite
−S412:Tetrakis[methane−3−(laurylthio)propionate]methane
−PEPQ:(1,1’−Biphenyl)−4,4’−Diylbisphosphonous acid tetrakis[2,4−bis(1,1−dimethylethyl)phenyl]ester
−I−1076:octadecyl 3−(3,5−di−tert−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate
−O3:Bis[3,3−bis−(4’−hydroxy−3’−tert−butyl−phenyl)butanoicacid]glycol ester
A.ポリ乳酸樹脂A〜Jの製造
窒素ガス導入管、攪拌機、触媒投入口、流出コンデンサと真空システムを装着した8リットルの反応器に、下記表1に示したような成分および含量の反応物を触媒と共に充填させた。触媒としては、全体反応物含量対比130ppmwのジブチルスズジラウレート(Dibutyltin Dilaurate)を使用した。窒素気流下で反応器温度70℃で2時間ウレタン反応を進行し、4kgのL−(またはD−)ラクチドを投入して窒素フラッシング(Flushing)を5回実施した。
【0091】
以降、150℃まで昇温してL−(またはD−)ラクチドを完全溶解し、触媒投入口を通じて全体反応物含量対比触媒Tin 2−ethylhexylate 120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。1kgの窒素加圧状態で185℃で2時間反応を進行し、リン酸200ppmwを触媒投入口で添加および15分間混合して残留触媒を不活性化させた。次に、0.5torrに到達するまで真空反応を通じて未反応L−(またはD−)ラクチド(最初投入量の約5重量%)を除去した。得られた樹脂の分子量、TgおよびTmなどを測定して表1に示した。
【0092】
B.ポリ乳酸樹脂Lの製造
窒素ガス導入管、攪拌機、触媒投入口、流出コンデンサと真空システムを装着した8リットルの反応器に、下記表1に示したようなポリオールと4kgのL−ラクチドを投入し、 窒素フラッシングを5回実施した。150℃まで昇温してL−ラクチドを完全溶解し、触媒投入口を通じて触媒Tin 2−ethylhexylate 120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。次に、1kgの窒素加圧状態で185℃で2時間反応を進行し、リン酸200ppmwを触媒投入口で添加および15分間混合して残留触媒を不活性化させた。0.5torrに到達するまで真空反応を通じて未反応L−ラクチドを除去した。得られた樹脂の分子量、TgおよびTmなどを測定して表1に示した。
【0093】
C.ポリ乳酸樹脂Mの製造
窒素ガス導入管、攪拌機、触媒投入口、流出コンデンサと真空システムを装着した8リットルの反応器に、下記表1に示したような6gの1−ドデカノール(Dodecanol)と4kgのL−ラクチドを投入し、窒素フラッシングを5回実施した。150℃まで昇温してL−ラクチドを完全溶解し、触媒投入口を通じて触媒Tin 2−ethylhexylate 120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。次に、1kgの窒素加圧状態で185℃で2時間反応を進行し、リン酸200ppmwを触媒投入口で添加および15分間混合して残留触媒を不活性化させた。0.5torrに到達するまで真空反応を通じて未反応L−ラクチドを除去した。分子量、TgおよびTmなどを測定して表1に示した。
【0094】
D.ポリ乳酸樹脂Oの製造
窒素ガス導入管、攪拌機、触媒投入口、流出コンデンサと真空システムを装着した8リットルの反応器に、下記表1に示したようなPBSAポリオールとHDIを投入して窒素フラッシングを5回実施した。触媒としては、全体反応物含量対比130ppmwのジブチルスズジラウレートを使用した。窒素気流下で反応器温度190℃で2時間ウレタン反応を進行し、4kgのL−ラクチドを投入し、窒素雰囲気で190℃でL−ラクチドを完全溶解し、触媒投入口を通じて全体反応物含量対比付加重合触媒Tin 2−ethylhexylate 120ppmwとEsterおよび/またはEster amide交換触媒としてジブチルスズジラウレート 1,000ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。1kgの窒素加圧状態で190℃で2時間反応を進行し、リン酸200ppmwを触媒投入口で添加および15分間混合して残留触媒を不活性化させた。次に、0.5torrに到達するまで真空反応を通じて未反応L−ラクチド(最初投入量の約5重量%)を除去した。得られた樹脂の分子量、TgおよびTmなどを測定して表1に示した。
【0095】
E.ポリ乳酸樹脂Pの製造
窒素ガス導入管、攪拌機、触媒投入口、流出コンデンサと真空システムを装着した8リットルの反応器に、下記表1に示したようなPEGと3.6kgのL−ラクチドと0.4kgのD−ラクチドを投入して窒素フラッシングを5回実施した。150℃まで昇温してラクチドを完全溶解し、触媒投入口を通じて触媒Tin 2−ethylhexylate 120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。次に、1kgの窒素加圧状態で185℃で2時間反応を進行し、リン酸200ppmwを触媒投入口で添加および15分間混合して残留触媒を不活性化させた。0.5torrに到達するまで真空反応を通じて未反応L−ラクチド(最初投入量の約5重量%)を除去した。その後、触媒投入口を通じて下記表1に示したようなHDIと触媒130ppmwのジブチルスズジラウレート120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。窒素雰囲気下で190℃で1時間反応を進行し、得られた樹脂の分子量、TgおよびTmなどを測定して表1に示した。
【0096】
F.ポリ乳酸樹脂Qの製造
窒素ガス導入管、攪拌機、触媒投入口、流出コンデンサと真空システムを装着した8リットルの反応器に、下記表1に示したようなPEGと3.6kgのL−ラクチドと0.4kgのD−ラクチドを投入して窒素フラッシングを5回実施した。150℃まで昇温してラクチドを完全溶解し、触媒投入口を通じて触媒Tin 2−ethylhexylate 120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。次に、1kgの窒素加圧状態で185℃で2時間反応を進行し、リン酸200ppmwを触媒投入口で添加および15分間混合して残留触媒を不活性化させた。0.5torrに到達するまで真空反応を通じて未反応L−ラクチド(最初投入量の約5重量%)を除去した。その後、触媒投入口を通じて下記表1に示したようなD−L75と触媒130ppmwのジブチルスズジラウレート120ppmwをトルエン500mlで希釈して反応容器内に添加した。窒素雰囲気下で190℃で1時間反応を進行し、得られた樹脂の分子量、TgおよびTmなどを測定して表1に示した。
【0097】
G.フィルムの実施例1〜5、比較例1および6〜8の製造
前記A〜Fで製造されたポリ乳酸樹脂を80℃で6時間1torrの真空雰囲気で減圧乾燥した後、Tダイ(die)を装着した直径30mmのシングルスクリュー押出機で表2に示す押出温度条件でシート状で押出した。5℃に冷却したドラム(drum)上に静電印加キャスト(cast)して未延伸フィルムを製作した。この未延伸フィルムを表2に示す延伸条件で加熱ロールの間で長さ方向に3倍延伸した後、長さ方向に延伸されたフィルムをクリップ(clip)で固定し、テンター(Tenter)内に導いて幅方向に4倍延伸し、幅方向に固定した状態で120℃、60秒間の熱処理を進行した。これによって、厚さ20umの2軸延伸ポリ乳酸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に共に示した。
【0098】
H.フィルムの実施例6、比較例2〜5の製造
表2に示す樹脂混合物またはポリオールを80℃で6時間1torrの真空雰囲気で減圧乾燥した後、2軸混練押出機で190℃の温度で溶融混練してチップ化した組成物を得た。この組成物を80℃で6時間1torrの真空雰囲気で減圧乾燥した後、前記Gの方法と同一に厚さ20umの2軸延伸ポリ乳酸樹脂フィルムを製造して評価結果を表2に共に示した。
【0099】
【表1】
【0100】
前記表1を参照すると、樹脂A〜Eは、分子量1,000〜2,400のポリ(1,3−プロパンジオール)または数平均分子量1,000〜3,000のポリテトラメチレングリコールをNCO/OHVが0.5〜0.99の比率になるように1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−Hexametylene diisocyanate)とウレタン反応させて前記ポリ(1,3−プロパンジオール)などのポリエーテルポリオール繰り返し単位らが線状連結されたポリウレタンポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)を得て、これを開始剤およびソフトセグメントとして使用して得られたポリ乳酸樹脂(ブロック共重合体)に該当する。また、このようなポリ乳酸樹脂は、特定含量の酸化防止剤と共に混合された後に重合されたものであって、黄変が抑制されて低いcolor−b値を示しながら残留ラクチド含量も低いことが確認された。
【0101】
このようなポリ乳酸樹脂において前記ポリウレタンポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)は、OHV3〜20の値を有することによって、ポリ乳酸繰り返し単位の形成のための重合過程で開始剤としての役割を好ましく果たせることが確認された。また、最終製造されたポリ乳酸樹脂A〜Eは、重量平均分子量100,000〜400,000、分子量分布1.80〜2.15、Tg25〜55℃およびTm160〜178℃であるものであって、チップ化が可能であるばかりか、単独でフィルム押出温度200℃以上で溶融点度が適当であるため、フィルム生成が可能であることが確認された。また、樹脂内残留ラクチド含量も1重量%未満で低いばかりか、color−b値も6未満で低いため、黄変がほとんど観察されないことが確認された。
【0102】
これに比べて、樹脂Fは、前記ソフトセグメントのポリウレタンポリオール繰り返し単位(または(共)重合体)の含量および使用量が5重量%に至らないものであって、ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度が55℃を上回る状態で得られることが確認された。また、その分子量が充分ではなく、酸化防止剤の含量がポリ乳酸繰り返し単位の形成のための単量体(ラクチド)添加量に対して25ppmwで低いため、color−b値も比較的に高いことが確認された。
【0103】
また、樹脂Lは、分子量2,000のポリ(1,3−プロパンジオール)と分子量8000のポリエチレングリコールをウレタン反応なしに直ちにL−ラクチドの開環重合で開始剤として活用してポリ乳酸樹脂の製造を試みたものである。しかし、このような場合、開始剤のOHVが高くて所望の重量平均分子量のポリ乳酸樹脂を得ることができなかった。また、前記樹脂Lは、酸化防止剤が添加されないため、残留ラクチド含量も非常に高く、Tgが15℃に過ぎず、重合コンバージョン(Conversion)が低く、フィルム押出温度200℃以上では溶融点度が過度に低くて単独ではフィルム生成が不可能であることが確認された。
【0104】
樹脂Mは、樹脂内柔軟化成分(ポリウレタンポリオール繰り返し単位)の導入なしに、一般的なポリ乳酸樹脂製造方法により少量の1−ドデカノールを開始剤として活用してL−ラクチドを開環重合して製造されたポリ乳酸樹脂に該当する。このようなポリ乳酸樹脂の場合、フィルム押出温度200℃以上で単独でフィルム生成は可能であった。ただし、このようなポリ乳酸樹脂は、分子量分布が2.30で、非常に広いことが確認された。
【0105】
また、樹脂Oは、ポリエーテルポリオール繰り返し単位ではなく、PBSAのようなポリエステルポリオール繰り返し単位から形成されたポリウレタンを樹脂内柔軟化成分として使用する一方、開環重合触媒と、エステル交換触媒および/またはエステルアミド交換触媒の存在下に、前記ポリウレタンとラクチドを共重合して得られたポリ乳酸系共重合体である。このようなポリ乳酸系共重合体では、前記エステルおよび/またはエステルアミド交換反応が起こりながら、前記ポリウレタンが小さいセグメントサイズでランダムに導入されてポリ乳酸繰り返し単位と共重合された形態を帯びるようになる。このような樹脂Oは、分子量分布が2.85で非常に広く、Tgが低く、Tmも比較的低いことが確認された。また、前記樹脂Oも酸化防止剤が添加されないため残留ラクチド含量が比較的に高く、color−b値が非常に高いことが確認された。
【0106】
最後に、樹脂PとQは、ポリエーテルポリオール繰り返し単位にラクチドを先に付加重合して前記ポリエーテルポリオール繰り返し単位とポリ乳酸繰り返し単位が共重合されたプレポリマーを製造した後、このようなプレポリマーをジイソシアネート化合物で鎖延長させた共重合体(樹脂P)および前記プレポリマーらを3官能以上のイソシアネート化合物と反応させた分枝状共重合体(樹脂Q)に該当する。このような樹脂PおよびQは、分子量分布が2.50および3.91で広く、Tgが低く、Tmも比較的低いことが確認された。また、前記樹脂Oも酸化防止剤が添加されないため残留ラクチド含量が比較的に高く、color−b値が非常に高いことが確認された。
【0107】
【表2】
【0108】
前記表2を参照すると、実施例1〜5は、ポリ乳酸樹脂内の柔軟化成分(ポリウレタンポリオール繰り返し単位)の含量が5〜20wt%になり、color−b値が低く、適正含量の酸化防止剤を含み、重量平均分子量100,000〜400,000、分子量分布1.80〜2.15およびTm160〜178℃などの物性を有する本発明のポリ乳酸樹脂組成物を使用して製造されたものである。また、実施例6も本発明の範疇に属するポリ乳酸樹脂(樹脂E)および一般的なポリ乳酸樹脂(樹脂M)と酸化防止剤が混合された組成物を利用して製造されたものである。
【0109】
このような実施例1〜6のフィルムは、全て長さおよび幅方向で初期引張強度が10kgf/mm
2以上であって、優秀な機械的物性を有するばかりか、長さおよび幅方向のヤング率合計が750kgf/mm
2以下であって、優れた柔軟性を示すことが確認された。また、このようなヤング率合計が過度に低くもなく、適切な範囲を維持して、スチフネスも適切な水準を示すことが確認された。そして、100℃の熱風オーブンで1時間処理した時の重量変化率が3wt%以下であり、ヘーズが5%以下、および透過率が90%以上であり、耐ブロッキング性にも優れているなど、透明性、ヘーズ、耐ブロッキング性および耐熱性などの諸般物性に優れていることが確認された。加えて、実施例1〜6のフィルムは、外観も良好であり、熱安定性に優れてフィルム押出工程の後にもcolor−b値変化(黄変着色度)が激しくなかった。
【0110】
これに比べて、一般的なポリ乳酸樹脂Mで製造された比較例1のフィルムは、長さおよび幅方向ヤング率の合計が750kgf/mm
2を超えることによって、柔軟性が不十分で包装用フィルムとして使用されにくいことが確認された。また、このような樹脂Mと樹脂Lを共に使用して製造された比較例3のフィルムの場合には、二つの樹脂間の溶融粘度差が過度に大きくて押出状態が不良であり、最終フィルムに波紋が発生する問題も発生した。しかも、高い残留ラクチド含量によって、フィルム上にピンホールが発生してフィルム外観が不良であり、また、樹脂LのTgが過度に低くて耐ブロッキング性などの問題が発生し、初期引張強度、透過率および黄変着色度も不良であった。
【0111】
そして、比較例4および5は、樹脂内柔軟化成分であるポリウレタンポリオール繰り返し単位を使用せず、可塑剤成分としてそれぞれ数平均分子量2,400のポリ(1,3−プロパンジオール)と数平均分子量11,000の1,4−ブタンジオールおよびコハク酸とアジピン酸の縮合体から作られた脂肪族ポリエステルポリオールを樹脂Mに単純にコンパウンディング混合してフィルム化したものである。このような比較例4および5のフィルムは、前記可塑剤成分の樹脂内分散程度が完全ではないためフィルムのヘーズが高く、黄変着色度が不良であり、時間の経過後にフィルム表面で可塑剤成分がブリードアウトされる現象が発見された。
【0112】
また、比較例2は、樹脂Fの低い分子量により単独でフィルム押出は不可能であり、柔軟化成分がない一般のポリ乳酸樹脂Mとコンパウンディングしてフィルム化して適用した結果、フィルム押出は可能であったが、二つの樹脂間の溶融粘度差が過度に大きくて押出状態が不良であり、最終フィルムに波紋が発生して外観が不良であった。これによって、初期引張強度および透過率(Transmittance)が不良であった。また、低い酸化防止剤含量などによりフィルム加工時などに一部黄変着色が発生することが確認された。
【0113】
そして、比較例6のフィルムは、ポリエステルポリオール繰り返し単位が導入され、分子量分布が広い共重合体で製造されたものである。このようなフィルムは、柔軟化成分であるポリウレタンが小さいセグメントサイズにランダムに導入されることによって比較的優れた柔軟性を示してはいたが、ポリ乳酸繰り返し単位も比較的小さいセグメントサイズに導入されることによって、低いTgおよびTmなどによる劣悪な耐熱性を示し、ブロッキングの問題でフィルム化が困難であることが確認された。また、柔軟化成分の形成のために使用されたポリエステルポリオールとポリ乳酸の低い相溶性によりフィルムのヘーズ値が高く、低い透明性を示すことが確認され、樹脂製造中のエステルおよび/またはエステルアミド交換反応により分子量分布が広くなって溶融特性が不均一であり、フィルム押出状態の不良および機械的物性の低下を招くことが確認された。
【0114】
比較例7および8のフィルムは、ポリエーテルポリオールにラクチドを付加重合したプレポリマーをジイソシアネートまたは3官能以上のイソシアネート化合物でウレタン反応させて得られた樹脂を含むものであって、このような樹脂も分子量分布が広く、ポリエーテルポリオール繰り返し単位らがウレタン結合で線状連結されており、これと共に比較的高い分子量のポリ乳酸繰り返し単位をハードセグメントで含む本発明の構造的特性を満たすことができない。このようなフィルムは、不均一な溶融粘度および劣悪な機械的物性を示すことが確認された。また、樹脂中のハードセグメントとソフトセグメントのブロック化特性が低下して低いTmおよびTgによる低い耐熱性を示し、ブロッキングの問題でフィルム化が困難であることが確認された。
【0115】
また、比較例6〜8のフィルムは、高い残留ラクチド含量および比較的に高いcolor−b値などによって、フィルム状態でも相当な外観の不良が観察され、商業的に適用することが不適切な100℃重量変化率などが観察された。しかも、比較例6〜8のフィルムは、樹脂製造中に過剰の触媒使用が要求されることによって、フィルム製造または使用中にポリ乳酸樹脂の分解が誘導されると見られ、そのため、フィルムの黄変着色度が不良であり、ピンホールの生成または高温での重量変化率を高めてフィルムの安定性が劣悪であることが確認された。