(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヒンジ蓋付きボックス型パッケージは、ヒンジを介してパッケージ本体に回動(旋回)自在に蓋部材が連結されているため、蓋部材の開閉操作時に蓋部材が開閉する感覚が得られにくい上、蓋部材を開放した姿勢で保持することはできない。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされてものであって、その目的は、蓋部材の開閉操作時に蓋部材が開閉するときの感覚を良好に得ることができ、且つ、蓋部材を開放した際には使用者が把持しなくても蓋部材を開放姿勢のまま保持することが可能なボックス型パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記課題を解決するために以下の手段を採用する。本発明に係るボックス型パッケージは、上部に開口端を有するパッケージ本体と、前記開口端の後側開口縁にヒンジを介して回動可能に連結され、前記開口端を開閉する蓋部材と、パッケージ内に配置されて、一端側が前記パッケージ本体の内面に固定されると共に他端側が前記蓋部材の内面に固定される平板バネ部材と、を備え、前記平板バネ部材は前記ヒンジと平行な屈曲線を有し、前記蓋部材の開閉動作に伴い、前記屈曲線を境に前記パッケージ本体に固定される第1領域部と前記蓋部材に固定される第2領域部が相対的に屈曲することにより、前記第1領域部に対して前記第2領域部が前方に傾倒した第1傾倒状態と、前記第1領域部に対して前記第2領域部が後方に傾倒した第2傾倒状態との間で姿勢を反転させる。
【0007】
上記構成のボックス型パッケージによれば、パッケージ本体と蓋部材とを回動自在に連結するヒンジと平行な屈曲線を有する平板バネ部材がパッケージ内に配設される。そして、平板バネ部材は、一端側がパッケージ本体の内面に固定され、他端側が蓋部材の内面に固定されるため、蓋部材の開閉動作に伴い屈曲することで、第1領域部と第2領域部とが屈曲線を中心に相対的に旋回(回動)する。このようにして、平板バネ部材が、第1傾倒状態と第2傾倒状態との間で、その姿勢を反転させることにより、その反転に伴う反動が使用者の手に伝わり、反転時に発生する音が使用者の聴覚を刺激する。これにより、使用者がパッケージの蓋部材を開閉する際に、蓋部材の開閉感覚を好適に得る事ができる。
【0008】
本発明に係るボックス型パッケージのヒンジは、開口端の後側開口縁に設けられているため、平板バネ部材は、蓋部材が閉鎖状態のときに第1傾倒状態となり、開放状態のときに第2傾倒状態となる。平板バネ部材は、パッケージ本体側と蓋部材との相互に固定され、蓋部材の自由な回動動作を制限するため、蓋部材を開放した状態の姿勢で保持する事ができる。
【0009】
ここで、前記平板バネ部材の前記屈曲線は、前記ヒンジよりも高い位置に形成されていると好ましい。また、前記平板バネ部材において前記第1領域部が前記パッケージ本体に固定される第1固定部位と前記屈曲線とを結ぶ直線の寸法である第1寸法と、前記平板バネ部材において前記第2領域部が前記蓋部材に固定される第1固定部位と前記ヒンジとを結ぶ直線の寸法である第2寸法との合計が、前記第1固定部位と前記ヒンジとを結ぶ直線の寸法である第3寸法と、前記第2固定部位と前記ヒンジとを結ぶ直線の寸法である第4寸法との合計よりも長いことが好ましい。これによれば、蓋部材の開閉動作に伴い、平板バネ部材を、第1傾倒状態と第2傾倒状態との間で、より確実に反転させることができる。
【0010】
ボックス型パッケージは、前記パッケージ本体に設けられ、前記蓋部材が閉じられる際に前記平板バネ部材の前記第1領域部と当接し、該第1領域部が前方に移動することを規制する規制手段を更に備えていても良い。このような規制手段を備えることで、パッケージに収容する被収容物の種類、収容量などに左右されず、蓋部材を閉じる際に、平板バネ部材を第2傾倒状態から第1傾倒状態へと、より確実に反転させる事が可能となる。
【0011】
ボックス型パッケージに収容する被収容物は特に限定されるものではないが、棒状物品の集合体、例えばたばこ商品を被収容物として好適に例示できる。すなわち、本発明に係る被収容物はたばこ商品であっても良い。なお、たばこ商品とは、例えば紙巻たばこ(フィルタシガレット、両切たばこ(フィルタ無し))、シガー(葉巻)、シガリロ、スヌース、嗅ぎたばこ、チューイングたばこ、電子たばこ等が例示できる。
【0012】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボックス型パッケージにおいて、蓋部材の開閉操作時に蓋部材が開閉するときの感覚を良好に得ることができ、且つ、蓋部材を開放した際には使用者が把持しなくても蓋部材を開放姿勢のまま保持することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明に係るボックス型パッケージの実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明が適用されるボックス型パッケージに収容する被収容物は特定のものに限定されないが、ここでは、フィルタシガレットや両切シガレット等のたばこ商品をパッケージに収容する場合を例に説明する。また、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
<実施例1>
図1は、実施例1に係るボックス型パッケージ(以下、単に“パッケージ”という)1の斜視図である。パッケージ1は、略直方体形状をなした所謂ヒンジ蓋付きボックス型パッケージである。パッケージ1は、パッケージ本体2と、パッケージ本体2にヒンジを介して回動自在に連結される蓋部材3とを含んで構成されている。この蓋部材3は、“リッド”と称呼される場合もある。
【0017】
図1は、蓋部材3が開放されたパッケージ1を正面側から眺めた状態を示している。
図2は、蓋部材3が閉じられたパッケージ1を背面側から眺めた斜視図である。以下、本明細書において、パッケージ1の正面側を“前方”と定義し、背面側を“後方”と定義する。本実施例におけるパッケージ本体2や蓋部材3は、例えば紙材からなっているが、これには限定されない。
【0018】
パッケージ本体2は、アウタボックス21と、インナフレーム22とを備える。アウタボックス21は、直方体形状の上端側が斜めに切り欠かれた形状を有する箱体である。
図1および2を参照してパッケージ本体2を詳しく説明すると、パッケージ本体2は、前壁23、後壁24、側壁25、底壁26を有する。前壁23および後壁24は夫々矩形状を有し、後壁24は前壁23に比べて高さ寸法が長尺の矩形状をなし、前壁23と対向配置されている。一組の側壁25は、前壁23および後壁24の両側縁を相互に連結しており、矩形状の上端が斜辺となった台形状をなしている。すなわち、側壁25の上端縁25aは、前壁23の上端と後壁24の上端とを結ぶように傾斜している。底壁26は、矩形状をなしており、前壁23および後壁24の下端に連結されている。
【0019】
また、アウタボックス21の後壁24の上端にはヒンジ27が形成されている。このヒンジ27は、両側壁25の上端縁25aの後部間に亘って延伸し、後壁24と蓋部材3とを相互に回動自在に連結している。以上のように構成されるアウタボックス21は、その上端に、斜めの開口端21aを備えている。そして、この開口端21aの後側開口縁に、ヒンジ27を介して蓋部材3が、回動(旋回)自在に連結されている。
【0020】
インナフレーム22は、略U字形状をなした前面フレーム28と、この前面フレーム28の両側縁に連結された側面フレーム29とを有する。インナフレーム22は、アウタボックス21の上部の開口端21aから部分的に上方へ突出した状態で、アウタボックス21の内面、すなわち、前壁23および側壁25の内面に接着されている。インナフレーム22は、アウタボックス21の開口端21aを補強するとともに、蓋部材3の開閉を案内するガイドとしても機能する。ここで、前面フレーム28は、
図1から明らかなように略矩形状の切欠き凹部28aを有する。切欠き凹部28aは、インナフレーム22の前面を大きく開き、たばこ商品(被収容物)の取り出しを容易にしている。
【0021】
蓋部材3は、ヒンジ27に連結されている矩形状の後壁31と、後壁31に直交するように連結されている矩形型の天板32と、天板32に直交するように連結されている矩形状の前壁33と、一組の側壁34とを有している。一組の側壁34は、それぞれ台形状をなしており、後壁31、天板32および前壁33の各側縁を連結している。上記のように蓋部材3はヒンジ27を中心に回動自在となっており、蓋部材3が閉じたときに、その側壁34の斜辺、すなわち側壁34の傾斜下端縁は、上述したアウタボックス21における側壁25の上端縁25aと互いに合致する。
【0022】
パッケージ1は、パッケージ本体2の収容空間側に設けられた平板バネ部材4を備えている。
図3は、平板バネ部材4のブランク材を示す。平板バネ部材4は、薄い平板部材であって、本実施例では、パッケージ本体2や蓋部材3と同様に、紙材、例えばカード紙やマニラボール紙からなっている。平板バネ部材4のブランク材は矩形状をなしており、第1領域部41、第2領域部42から構成されている。第1領域部41および第2領域部42における夫々の外端側には、本体側固着部43および蓋側固着部44が形成されている。
【0023】
パッケージ1の製造(組立)過程において、第1領域部41における本体側固着部43には接着剤が塗布され、本体側固着部43がパッケージ本体2に固定(固着)される。同様に、第2領域部42における蓋側固着部44には接着剤が塗布され、蓋側固着部44が蓋部材3に固定(固着)される。また、第1領域部41および第2領域部42の境界には、平板バネ部材4のブランク材の短辺方向に平行な屈曲線(折れ線)45が形成されている。このブランク材は、屈曲線45を境に、山折りと谷折りのいずれに対しても屈曲することが可能に構成されている。
【0024】
図4Aおよび
図4B、
図5Aおよび
図5Bを参照して平板バネ部材4について説明する。
図4Aは、蓋部材3が閉じた状態のパッケージ1の透視斜視図である。
図4Bは、蓋部材3が開放された状態のパッケージ1の透視斜視図である。
図5Aは、蓋部材3が閉じた状態のパッケージ1の縦断面図である。
図5Bは、蓋部材3が開放された状態のパッケージ1の縦断面図である。
図4Aおよび
図4Bにおいては、平板バネ部材4を実線で示し、他の部材を二点鎖線にて図示している。また、
図5Aおよび
図5Bでは、インナフレーム22の図示を割愛している。
【0025】
平板バネ部材4は、その第1領域部41の外端側に形成される本体側固着部43が、パッケージ本体2におけるアウタボックス21の内面、より詳しくは後壁24の内面に接着されている。そして、平板バネ部材4は、第2領域部41における外端側に形成される蓋側固着部44が、蓋部材3における天板32の内面に接着されている。以上より、平板バネ部材4は、パッケージ1の内部、すなわちパッケージ本体2の収容空間側に設けられ、その内面に固定される。
【0026】
平板バネ部材4の屈曲線45は、ヒンジ27(ヒンジ線)と平行となるように形成されている。言い換えると、平板バネ部材4は、その屈曲線45がヒンジ27と平行になるように、パッケージ本体2および蓋部材3の夫々に接着されている。そして、平板バネ部材4は、第1領域部41がパッケージ本体2側に設けられ、第2領域部42が蓋部材3側に設けられる。また、平板バネ部材4は、パッケージ1の高さ方向(底壁26から天板32に向かう方向、前壁23及び後壁24に沿った方向に相当する)において屈曲線45がヒンジ27よりも高い位置に配置されるように、パッケージ1の内面に固定されている。したがって、平板バネ部材4は、パッケージ本体2のアウタボックス21の上部から第1領域部41の一部が突出した態様で設置される。
【0027】
ここで、パッケージ1の各部寸法について説明する。平板バネ部材4の屈曲線45と直交する方向を、平板バネ部材4の長さ方向として定義する。そして、平板バネ部材4のうち、第1領域部41の本体側固着部43が本体パッケージ2におけるアウタボックス21の内面(本実施例では、後壁24)に固定される部位を「第1固定部位P1」として定義し、第1固定部位P1と屈曲線45とを結ぶ直線の寸法を“第1寸法S1”と定義する。なお、本実施例のように、本体側固着部43がある程度の接着代を有する場合には、第1固定部位P1は、第1領域部41における本体側固着部43の内端位置を指す。
【0028】
一方、平板バネ部材4において、第2領域部42の蓋側固着部44が蓋部材3の内面(本実施例では、天板32)に固定される部位を「第2固定部位P2」と定義し、第2固定部位P2と屈曲線45とを結ぶ直線の寸法(距離)を“第2寸法S2”と定義する。本実施例のように、蓋側固着部44がある程度の接着代を有する場合には、第2固定部位P2は、第2領域部42における蓋側固着部44の内端位置を指す。第1固定部位P1、第2固定部位P2、第1距寸法S1、第2寸法S2は、
図5Bに示す。
【0029】
次に、
図5Aを参照して、第3寸法S3および第4寸法S4について説明する。ここで、第1固定部位P1とヒンジ27とを結ぶ直線の寸法を“第3寸法S3”と定義する。一方、第2固定部位P2とヒンジ27とを結ぶ直線の寸法を“第4寸法S4”と定義する。
【0030】
ここで、第1寸法S1、第2寸法S2、第3寸法S3、第4寸法S4の各寸法は、いずれも対象となる2点間、ヒンジ27および屈曲線45に直交する方向の最短距離を指すものである。第1寸法S1は、平板バネ部材4の表面上で、屈曲線45と直交する方向に、第1固定部位P1と屈曲線45とが離間する距離に相当する。第2寸法S2は、平板バネ部材4の表面上で、屈曲線45と直交する方向に、第2固定部位P2と屈曲線45とが離間する距離に相当する。また、第3寸法S3は、パッケージ本体2(より詳しくは、アウタボックス21)の後壁24の表面上で、第1固定部位P1とヒンジ27とがヒンジ27と直交する方向(パッケージ本体2の高さ方向)に離間する距離に相当する。第4寸法S4は、第2固定部位P2とヒンジ27とを直線的に結ぶ最短距離である。つまり、第4寸法S4は、蓋部材3の表面上に沿った距離ではない。
【0031】
本実施例におけるパッケージ1では、第1寸法S1と第2寸法S2との合計が、第3寸法S3と第4寸法S4との合計よりも長くなるように、構成されている(S1+S2>S3+S4)。
【0032】
以上のように構成されるパッケージ1において、使用者による蓋部材3の開閉操作時における平板バネ部材4の動作について説明する。平板バネ部材4は、第1領域部41側がパッケージ本体2の内面に固定され、第2領域部42側が蓋部材3の内面に固定されることで、蓋部材3のパッケージ本体2に対する自由な回動を制限する。
【0033】
図4A、5Aに示すように、蓋部材3が閉鎖位置にある状態では、平板バネ部材4は、第1領域部41がパッケージ本体2の後壁24に沿って配置され、この第1領域部41に対して第2領域部42がパッケージ1の前方に傾倒した第1傾倒状態に維持されている。
【0034】
使用者は、例えばたばこ商品をパッケージ1から取り出す際には蓋部材3を閉鎖位置から
図4B、5Bに示すような開放位置まで開放旋回させる。この蓋部材3の開放動作に伴い、蓋部材3はヒンジ27を中心にパッケージ1の背面側に向かって旋回する。平板バネ部材4は、第1領域部41がパッケージ本体2(アウタボックス21)における後壁24の内面に固定され、第2領域部42が蓋部材3における32の内面に固定されている。よって、平板バネ部材4は、蓋部材3の開放動作に付随して、屈曲線45を中心に第1領域部41と第2領域部42が相対的に屈曲する。その結果、第1領域部41に対する第2領域部42の傾倒角度が徐々に緩やかになる(浅くなる)。
【0035】
蓋部材3が閉鎖位置から開放位置へと回動する過程において、第1傾倒状態にある平板バネ部材4は、自身の曲げ剛性によって適度の撓り(しなり)を伴いながら屈曲線45を中心に屈曲する。つまり、平板バネ部材4が板バネとして機能して、第1領域部41および第2領域部42を撓らせながら屈曲し、第1領域部41に対する第2領域部42の傾倒角度が徐々に緩やかになる方向に姿勢を変化させる。そして、蓋部材3の旋回角度が一定角度以上になると、平板バネ部材4が屈曲線45を境に反転し、第1領域部41に対して第2領域部42がパッケージ1の後方側に傾倒した第2傾倒状態へとその姿勢を変化させる。
【0036】
平板バネ部材4が屈曲線45を境に反転すると、それまでは、平板バネ部材4を撓らせながら蓋部材3を旋回させることで使用者に伝達されていた抵抗が一瞬開放されるため、その反動が使用者の手に伝達される。これにより、使用者は、パッケージ1の開蓋操作を行う際に、蓋部材3が所定の開放位置まで開放したという感覚を得る事ができ、達成感を喚起することができる。また、平板バネ部材4は、屈曲線45を境に反転するときに音が発生するため、その音を知覚することによっても、使用者は蓋部材3が開放したという感覚を得る事ができる。なお、上記の開放位置とは、
図4A、5Bに示すように、パッケージ1内のシガレットを円滑に取り出せる姿勢まで蓋部材3が開放された状態が例示できる。
【0037】
図4B、5Bに示すように、蓋部材3が開放位置にある状態では、平板バネ部材4が第2傾倒状態に維持される。この状態では、平板バネ部材4の第2領域部42によって蓋部材3における天板32の内面が保持されることで、蓋部材3の自由な回動が制限される。これにより、蓋部材3が自重や紙の反発力などによってぐらつくことがなく、使用者は蓋部材3を把持しなくても、パッケージ1を
図4B、5Bに示す開放状態に維持することができる。なお、ここでいう蓋部材3の回動の制限とは、開いた蓋部材3が自重によって勝手に閉じようとする回動動作を制限することを指し、使用者が板バネ部材4の付勢力に抗して意図的に蓋部材3を閉じる際には、蓋部材3の回動動作が許容されるのは言うまでもない。
【0038】
ところで、パッケージ1にはシガレット等のたばこ商品が収容されるため、平板バネ部材4の第1領域部41が、シガレットによってパッケージ本体の後壁24側に押し付けられる。パッケージ本体2に収容するシガレットが第1領域部41を後壁24側に押し付ける押圧力は、第1領域部41から第2領域部42、蓋部材3へと伝達され、蓋部材3を開放状態に保持するために利用される。そのため、パッケージ1においては、使用者が蓋部材3を開放した場合に、蓋部材3がぐらつくことがなく、蓋部材3を安定して開放状態に保持する事ができる。
【0039】
開放状態にある蓋部材3を閉じる場合には、使用者は、例えば蓋部材3を適度な力でパッケージ1の前方側に押すなどの操作を行う。その結果、第2傾倒状態に維持されている平板バネ部材4が蓋部材3の内面を付勢する付勢力に抗して、蓋部材3がヒンジ27を中心に閉鎖方向に回動(旋回)する。
【0040】
その際、平板バネ部材4の第1領域部41がパッケージ本体2に収容されているシガレットと干渉し、シガレットに押圧されるため、第1領域部41が後壁24から自由に離間することが規制される。その結果、平板バネ部材4は、第1領域部および第2領域部42を撓らせながら屈曲線45を中心に屈曲する。このようにして、平板バネ部材4は、第1領域部に対して第2領域部42が後側に傾倒する傾倒角度が徐々に緩やかとなり、最終的に、屈曲線45を境に反転することで、第2傾倒状態から第1傾倒状態へとその姿勢を変化させる。
【0041】
そして、蓋部材3の閉蓋操作の際に平板バネ部材4が屈曲線45を境に反転すると、開放操作時と同様、平板バネ部材4が反転する際の反動や反転時に発生する音などが使用者に伝達されることで、使用者は、蓋部材3が確実に閉じられるという感覚を得る事ができる。
【0042】
以上のように、パッケージ1では、平板バネ部材4を備えることによって、ヒンジ27を中心とする蓋部材3の自由旋回を制限する。これにより、蓋部材3が閉鎖位置にある状態と、開放位置にある状態の双方において、その姿勢を安定して維持することができる。特に、使用者が蓋部材3を把持しなくても、蓋部材3が開放された状態に保持されるため、使用者は円滑に被収容物をパッケージ1から取り出すことができる。よって、非常に使い勝手の優れたパッケージ1を提供する事ができる。
【0043】
そして、蓋部材3の開閉操作時においては、平板バネ部材4を、第1傾倒状態と第2傾倒状態との間で姿勢を反転させる構造を採用したので、蓋部材3が確実に開閉するという感覚を使用者に付与することができる。これにより、パッケージ1の操作感、使用感などを向上させることができ、パッケージ1の商品的価値を高める事ができる。
【0044】
更に、本実施例のパッケージ1は、屈曲線45がヒンジ27よりも高くなるように平板バネ部材4を設置し、かつ、第1寸法S1と第2寸法S2との合計が第3寸法S3と第4寸法S4との合計よりも長くなるように平板バネ部材4を構成した。これによれば、蓋部材3を開放する際に、第1傾倒状態にある平板バネ部材4の屈曲線45の近傍部位を、パッケージ1の後方側から前方側に向かって押し出しやすく、逆に蓋部材3を閉じる際には、第2傾倒状態にある平板バネ部材4の屈曲線45の近傍部位をパッケージ1の前方側から後方側に向かって押し出しやすくなるという効果が得られる。これにより、蓋部材3の開閉時に、第1傾倒状態および第2傾倒状態との間で、平板バネ部材4をより確実に反転させることができる。
【0045】
なお、
図5Aに示すように、蓋部材3を閉じた状態において、平板バネ部材4の屈曲線45と、蓋部材3の天板32との間には適度な隙間が形成されていると良い。蓋部材3を閉じた状態で、屈曲線45と天板32との間に形成される隙間は特定の寸法に限定されるものではないが、例えば3mm〜7mm程度とすると好適である。
【0046】
また、本実施例におけるパッケージ1では、平板バネ部材4の第1領域部41における本体側固着部43を、アウタボックス21の後壁24内面に固定しているが、例えば、第1領域部41における屈曲線45と逆側に位置する端部の両側縁部にフラップ片を設け、このフラップ片を各側25に接着しても良い。また、本実施例では、平板バネ部材4の蓋側固着部44を蓋部材3の天板32に接着したが、これに代えて前壁33に接着しても良い。また、平板バネ部材4は、第1領域部41がパッケージ本体2(アウタボックス21)の内面と一体的に固定され、第2領域部42が蓋部材3の内面と一体的に固定されていれば良く、その固定方法は本実施例で採用した接着、固着による方法には限定されない。したがって、例えば、平板バネ部材4を蓋部材3およびパッケージ本体2とは別部材とせずに、単一のブランク材を折り込むことにより、平板バネ部材4を備えたパッケージ1を製造しても良い。
【0047】
<実施例2>
次に、
図6および
図7を参照して、実施例2に係るパッケージ1Aについて説明する。
図6は、実施例2に係るパッケージ1Aを構成するブランク材100の一部を示す図である。
図7は、実施例2に係るパッケージ1Aの断面図である。パッケージ1Aにおいて、実施例1に係るパッケージ1と共通する部材は、共通の符号を付すことで詳しい説明を割愛する。
図7は、パッケージ本体2における側壁25に平行な面でパッケージ1Aを切断した場合の切断面を示している。
【0048】
実施例2におけるパッケージ1Aでは、実施例1において説明した平板バネ部材4と同等の機能を有する平板バネ部材4Aを、その内部に設けている。平板バネ部材4Aは、蓋部材3およびパッケージ本体2と同一のブランク材100から形成されており、これら蓋部材3およびパッケージ本体2との接続態様が実施例1と相違する。
【0049】
図6に示すブランク材100は、平板バネ部材4Aおよび蓋部材3の一部に対応する部分を主に示している。ブランク材100は、例えばカード紙やマニラボール紙などの紙材を用いて構成されている。ブランク材100の一端側には、後述する位置決め部46を形成する位置決めパネル101が形成されている。そして、位置決めパネル101には、第1領域パネル102、第2領域パネル103、前壁内側パネル104、前壁外側パネル105が、天板パネル106が、これらの並び順に連なっている。図中の破線は、ブランク材100を織り込むときの折り込み線である。
【0050】
位置決め部46の詳細については後述する。第1領域パネル102および第2領域パネル103は、ブランク材100がパッケージ1Aとして組み上がった状態で、平板バネ部材4Aの第1領域部41および第2領域部42を形成する。また、第1領域部41と第2領域部42との境界部分には、屈曲線45が形成されている。ブランク材100において、屈曲線45に対応する部分には、上述した折り込み線に加えてスリットが形成されており、山折り方向と谷折り方向の何れの方向にも屈曲可能となっている。なお、第1領域部41、第2領域部42および屈曲線45の技術的な特徴点については、実施例1において述べた通りである。また、前壁内側パネル104および前壁外側パネル105は互いに折り返されることで、蓋部材3の前壁33を2重壁として構成する。天板パネル106は、蓋部材3の天板32を形成するパネルである。
【0051】
前壁33のうち、前壁外側パネル105によって形成される部分を外璧部33Aと称し、前壁内側パネル104によって形成される部分を内壁部33Bと称する。パッケージ1Aにおいては、平板バネ部材4Aにおける第2領域部42と前壁33の内壁部33Bとの境界部が実施例1において述べた第2固定部位P2に対応し、蓋部材3の天板32に接着される。更に、パッケージ1Aにおいて、平板バネ部材4Aにおける第1領域部41と位置決め部46とは、図示のように折り曲げられて配置される。また、パッケージ1Aでは、平板バネ部材4Aにおける第1領域部41と位置決め部46との境界部が第1固定部位P1に対応し、パッケージ本体2の後壁24に接着される。
【0052】
図6に示すように、ブランク材100における位置決めパネル101の長さ寸法(図中、符号X)は、第1領域パネル102の長さ寸法(図中、符号Y)よりも大きい。上記の“長さ寸法”とは、例えば、ブランク材100において、第1領域パネル102および第2領域パネル103の境に形成される屈曲線45と直交する方向の寸法を指す。
【0053】
ここで、位置決め部46は、パッケージ1Aの製造時に、平板バネ部材4Aの第1領域部41を後壁24に接着する位置が所望の位置からずれないようにするための部材である。すなわち、パッケージ1Aの製造時において、第1領域部41に対して折り返された位置決め部46は、その先端側が蓋部材3の天板32の内面に突き当てられる。このようにして、位置決め部46の先端側が天板32内面に突き当てられた状態で、第1領域部41と位置決め部46との境界部(第1固定部位P1)がパッケージ本体2の後壁24に接着される。このようにすれば、平板バネ部材4Aの第1領域部41がパッケージ本体2に固定される第1固定部位P1を、予め定められた適正位置へと容易に接着することができる。つまり、パッケージ1Aに位置決め部46を備えることで、平板バネ部材4Aの第1領域部41をパッケージ本体2に接着する際に、その接着箇所である第1固定部位P1の位置ずれを起こり難くすることができる。
【0054】
更に、平板バネ部材4Aは、蓋部材3を閉じた状態において、屈曲線45の上部には隙間空間が形成されるところ、天板32内面と屈曲線45との間に形成される隙間の寸法は、位置決めパネル101(位置決め部46)の長さ寸法Xと第1領域パネル102(第1領域部41)の長さ寸法Yとの差分に概ね等しくなる。したがって、本実施例に係るパッケージ1Aによれば、長さ寸法Yと寸法Xの差分を調節しておくことにより、屈曲線45の高さが所望の高さとなるように、平板バネ部材4Aを容易に配置することができる。
【0055】
<実施例3>
次に、
図8および
図9を参照して、実施例3に係るパッケージ1Bについて説明する。本実施例に係るパッケージ1Bは、インナフレーム22Aが実施例1に係るインナフレーム22と相違する。ここでは、実施例1のパッケージ1との相違点を中心に説明し、パッケージ1と共通する部材については、共通の符号を付すことでその詳しい説明を割愛する。
【0056】
図8および
図9は、実施例3に係るパッケージ1Bの斜視図である。パッケージ1Bは、アウタボックス21およびインナフレーム22Aを含んで構成されている。アウタボックス21は、実施例1と共通である。また、インナフレーム22Aは、略U字形状をなした前面フレーム28、前面フレーム28の両側縁に連結された側面フレーム29、各側面フレーム29の先端側に連結された背面フレーム29Aを有する。すなわち、本実施例におけるパッケージ1Bは、インナフレーム22Aにおいて背面フレーム29Aを備えている点を特徴とする。
【0057】
インナフレーム22Aの前面フレーム28はアウタボックス21の前壁23の内法寸法と等しく、一対の側面フレーム29は、アウタボックス21の側壁25の内法寸法と等しい。また、背面フレーム29Aは、各側面フレーム29が前面フレーム28と連結されていない方の端部に連結している。また、背面フレーム29Aは、側面フレーム29と直交する方向かつ収容空間内側に折り込まれ、背面フレーム29Aの背面が平板バネ部材4の第1領域部41の表面に沿って対向するように配置されている。
【0058】
このように構成されたインナフレーム22Aは、実施例1において説明したように、アウタボックス21の開口端を補強し、蓋部材3の開閉を案内するガイドとして機能する他、開放状態の蓋部材3を閉じる際に、第2傾倒状態の平板バネ部材4が第1傾倒状態へと反転するときの動作を補助する部材として機能する。
【0059】
上記のように、パッケージ1Bに収容された被収容物は、蓋部材3の閉蓋操作時に、平板バネ部材4の第1領域部41と干渉することで、第2傾倒状態から第1傾倒状態への平板バネ部材4の反転が促される。しかし、例えばパッケージ本体2に収容されるシガレットの本数が少ない場合には、蓋部材3の閉蓋操作時に、平板バネ部材4の第1領域部41の動きをシガレットによって規制し難くなり易い。
【0060】
これに対して、本実施例に係るパッケージ1Bでは、背面フレーム29Aを備えたインナフレーム22Aがパッケージ本体2に設置されている。そして、背面フレーム29Aは、蓋部材3が開放位置から閉鎖位置へと回動する際に平板バネ部材4の第1領域部41と当接し、この第1領域部41がパッケージ本体2の後壁24側から前壁23側に向かって移動することを規制することができる。本実施例においては、背面フレーム29Aが規制手段に対応する。
【0061】
以上の様に、本実施例のパッケージ1Bによれば、蓋部材3の閉蓋操作時に、平板バネ部材4の第1領域部41が前方に移動することを背面フレーム29Aが規制するため、第1領域部41に対して第2領域部42を相対的に屈曲させ易くなる。その結果、平板バネ部材4の反転を促すことができ、第2傾倒状態から第1傾倒状態に移行しやすくなる。つまり、パッケージ1Bによれば、被収容物の種類、収容量などに左右されず、蓋部材3の閉蓋操作時に平板バネ部材4をより一層確実に反転させる事ができる。よって、使用者にとって、蓋部材3を開閉する際の感覚を良好に得ることのできるボックス型パッケージを提供することが出来る。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係るボックス型パッケージは、可能な限り各実施例を組み合わせて実施することができる。また、本実施形態では、ボックス型パッケージに収容する被収容物の好適な適用例として、フィルタシガレットや両切シガレット等のたばこ商品をパッケージに収容する場合を説明したが、これには限定されず、たばこ商品以外の物品を収容しても良い。