【文献】
Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic,2000年,8,275-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記方法が、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、リモネン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシド又はそれらの混合物から選択された溶媒中で行われる、請求項4に記載の方法。
式2により表されるヒドロキシアルカン酸又はその短鎖エステルが、3−ヒドロキシ酪酸エチル又は3−ヒドロキシ酪酸メチルのうちの1種以上を含む、請求項4に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
レチノール(ビタミンA)及びその誘導体は皮膚の全体としての外観を改良するための化粧品組成物における活性成分として長い歴史を有する。レチノール自体は不安定であり、過度の使用時に刺激性がある。長鎖レチニルエステルはより安定しておりかつ皮膚への刺激が少ないため、長鎖レチニルエステルは、したがって、時に好ましい。これらのエステルは、代謝を行い、そしてこのようにして効力を与えるレチノールを提供するように皮膚の中で容易に加水分解されることが期待される。レチニルエステルの脂肪酸部分によって、脂肪酸加水分解生成物はさらなる利点を提供することができる。脂肪酸に加えて、様々な生物学的特性を有する他の構造も、また、生物学的な利点を改良及び/又は拡張するレチニル複合体において望まれている。
【0003】
レチニルエステルの化学調製は、長鎖酸、酸塩化物又はエステルとレチノールとの反応、又は、短鎖レチニルエステルと長鎖脂肪酸エステルとのエステル交換のいずれかを伴う。これらの方法は、過酷な試薬又は高温のいずれかを用い、それにより、これらのタイプの反応条件に対するレチノール又はレチニルエステルの不安定による分解が引き起こされる可能性がある。さらに、これらの方法は、一般に、アルコールなどの反応性官能基を有する成分とは、アルコールが保護されない限り、適合性がない。脱保護は、これらのタイプの分子の合成に対して、コスト、時間及び廃棄物を追加する。
【0004】
レチノールからのレチニルエステルの生体触媒合成のいくつかの報告がなされている(O'Connorら Aust. J. Chem. 1992, 45, 641 ; Maugardら J. Mol. Catal. B: Enzymatic 2000, 8, 275; Maugardら, Biotechnol. Prog. 2000, 16, 358; Maugardら Biotechnol. Prog. 2002, 18, 424)。これらの方法は、通常、エステル形成を容易にし、そして複雑な反応性基を有しない長鎖酸を使用する。例外は乳酸レチニルであり、それは乳酸メチルを用いたレチノールの酵素的エステル化により調製されたものである(Maugardら. J. Mol. Catal. B: Enzymatic 2000, 8, 275; Maugardら, Biotechnol. Prog. 2000, 16, 358; Maugardら Biotechnol. Prog. 2002, 18, 424)。これは稀なケースであり、乳酸のヒドロキシル基の周りの立体障害が酵素的エステル化への反応性を比較的に非反応性とするからである。
【0005】
レチニルエステルはレチノール自体よりも安定しておりかつ無害である傾向がある。酸部分はこれらの目的で選択することができ、又は、他の生物学的な考察によって影響され得る。例えば、3−ヒドロキシ酪酸及びそのエステル(オリゴマーを含む)は、Biochemistry, 4
th edition (1995), p613においてStryerにより述べられているとおり、細胞エネルギー源であることがよく知られており、ここで、「アセトアセテート及びβ−ヒドロキシブチレートは呼吸の通常栄養であり、エネルギー源として定量的に重要である」("Acetoacetate and β-hydroxybutyrate are normal fuels of respiration and are quantitatively important as sources of energy.")と述べられている。β−ヒドロキシブチレート又はそのオリゴマーとレチノールとのカップリングは細胞内で構成酸及びアルコールに加水分解すると、二重の効果を有することができ、レチノールは分化を促進し、ヒドロキシブチレートはエネルギーを提供するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにして、3−ヒドロキシブチレート及び3−ヒドロキシブチレートオリゴマーだけでなく、他のヒドロキシアルカノエートのレチニルエステルは、化粧品アンチエイジング組成物に有利であるべき新規材料であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、本発明は、一般式1:
【化1】
【0008】
[式中、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和二価C
1〜C
22アルキル、置換及び非置換の二価C
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換の二価C
6〜C
20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換の二価C
4〜C
20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C
1〜C
22アルキル、置換及び非置換のC
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換のC
6〜C
20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換のC
4〜C
20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、nは0〜10である。]
により示されるレチニルエステル及び上記エステルの混合物に関する。
【0009】
別の態様において、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和二価C
1〜C
18アルキル、又は、飽和もしくはモノ不飽和の直鎖状C
1〜C
10アルキルから選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C
1〜C
18アルキルから選択され、nは0〜10である。
【0010】
別の態様において、Rは、置換もしくは非置換の分岐鎖状もしくは直鎖状の飽和、不飽和もしくはポリ不飽和二価C
1〜C
10アルキル、又は、飽和もしくはモノ不飽和の直鎖状C
1〜C
4アルキルであり、R
1は、水素、置換又は非置換の分岐鎖状又は直鎖状の飽和、不飽和又はポリ不飽和C
1〜C
18アルキル又はC
1〜C
12アルキル又はC
1〜C
4アルキルであり、nは0〜6であり、あるいは、それらの混合物である。
【0011】
さらに別の態様において、Rは、メチル、エチル又はプロピルであり、R
1はメチル、エチル又はプロピルであり、nは0〜6であり、あるいは、それらの混合物である。さらなる態様において、Rはメチレンであり、R
1はメチルであり、nは1、2、3及び4である。すなわち、レチニルエステルは、長さが様々であり、そして繰り返し単位を含むエステルの混合物であってよい。
【0012】
別の態様において、レチニルエステルは、レチノールと、1種又は2種以上のヒドロキシ置換カルボン酸(例えば、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、3−ヒドロキシオクタン酸、リンゴ酸、3−フェニル−3−ヒドロキシプロパン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸又はリシノール酸のうちの1種又は2種以上)とから誘導されうる。
【0013】
別の態様において、エステルとしては、1種又は2種以上のヒドロキシ置換カルボン酸に由来する複数の繰り返し単位を含むオリゴマーが挙げられる。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、ここまで説明してきたレチニルエステルの製造方法に関し、該方法は、レチノールを、酵素の存在下で、式2:
【化2】
【0015】
[式中、R及びR
1は、すでに示したとおりであり、R
5は、水素、又は直鎖状もしくは分岐鎖状C
1〜C
5アルカンもしくはアルケンから選択される。]
により表されるヒドロキシアルカン酸又はその短鎖エステルと反応させることを含む。
【0016】
本方法は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、リモネン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシド又はそれらの混合物から選択された溶媒中で行うことができる。
【0017】
別の態様において、本方法は、トルエン、リモネン、ヘプタン又はアセトニトリルのうちの1種又は2種以上の中で行うことができる。あるいは、本方法は、溶媒の非存在下で行うことができる。本発明の方法によって有用な酵素としては、リパーゼ、エステラーゼ又はプロテアーゼのうちの1種又は2種以上が挙げられ、特にリパーゼが挙げられる。
【0018】
1つの態様において、式2により表されるヒドロキシアルカン酸又はその短鎖エステルは、3−ヒドロキシ酪酸エチル又は3−ヒドロキシ酪酸メチルのうちの1種又は2種以上を含むことができる。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、本発明のレチニルエステルを含む化粧品組成物に関する。
【0020】
本発明のさらなる態様は、本明細書において開示され、そして特許請求されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される用語「アルキル」及び「アルキル基」は、基が結合炭素及び水素原子を含むかぎり、炭素が単結合、二重結合又は三重結合で結合されているかどうかに関係なく、広くヒドロカルビル基に適用されることが意図され、有機化学の技術分野でよく知られているように、その水素原子のいくつかは、他の原子又は原子団によって置換されていてもよい。
【0022】
したがって、1つの態様において、本発明は、一般式1:
【化3】
【0023】
[式中、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和二価C
1〜C
22アルキル、置換及び非置換の二価C
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換の二価C
6〜C
20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換の二価C
4〜C
20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C
1〜C
22アルキル、置換及び非置換のC
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換のC
6〜C
20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換のC
4〜C
20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、nは0〜10である。]
により表されるレチニルエステル又はそれらの混合物に関する。
【0024】
本発明の化合物は、ラセミ体であってもよいし、鏡像異性的に濃縮されていてもよいし、ジアステレオマー的に濃縮されていてもよいし、実質的にジアステレオマー的に純粋であってもよいし、あるいは、実質的に鏡像異性的に純粋であってもよい。
【0025】
別の態様において、本発明は、構造1により表される化学種又はそれらの混合物に関し、ここで、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和二価C
1〜C
18アルキル、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の二価C
2〜C
18アルケニル、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の二価C
4〜C
18ジエニル、置換及び非置換の二価C
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換の二価C
6〜C
12炭素環式アリール、置換及び非置換の二価C
4〜C
12複素環式基から選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和C
1〜C
18アルキル、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状のC
2〜C
18アルケニル、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状のC
4〜C
18ジエニル、置換及び非置換のC
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換のC
6〜C
12炭素環式アリール、置換及び非置換のC
4〜C
12複素環式基から選択され、nは0〜6である。
【0026】
Rにより表すことができる、飽和、不飽和及びポリ不飽和アルキル及びシクロアルキル基は、約22個以下の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐鎖状の二価炭化水素基であることができ、また、例えば、C
1〜C
6−アルコキシ、カルボキシル、アミノ、C
1〜C
15アミノカルボニル、C
1〜C
15アミド、シアノ、C
2〜C
6−アルコキシカルボニル、C
2〜C
6−アルカノイルオキシ、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、チオール、チオエーテル、C
2〜C
10ジアルキルアミノ、C
3〜C
15トリアルキルアンモニウム及びハロゲンから選択される1〜5個の基により置換されていてよい。用語「C
1〜C
6−アルコキシ」、「C
2〜C
6−アルコキシカルボニル」及び「C
2〜C
6−アルカノイルオキシ」は、それぞれ、構造−OR
2、−CO
2R
2及び−OCOR
2に対応する基を表すために使用され、ここで、R
2はC
1〜C
6−アルキル又は置換C
1〜C
6−アルキルである。用語「C
1〜C
15アミノカルボニル」及び「C
1〜C
15アミド」は、それぞれ、構造−NHCOR
3、−CONHR
3に対応する基を表すために使用され、ここで、R
3はC
1〜C
15−アルキル又は置換C
1〜C
15−アルキルである。用語「C
3〜C
8−シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する飽和炭素環式炭化水素基を示すために使用される。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むように使用される。
【0027】
R
1により表すことができる、飽和、不飽和及びポリ不飽和アルキル基は、約22個以下の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基であることができ、また、例えば、C
1〜C
6−アルコキシ、カルボキシル、アミノ、C
1〜C
15アミノカルボニル、C
1〜C
15アミド、シアノ、C
2〜C
6−アルコキシカルボニル、C
2〜C
6−アルカノイルオキシ、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、チオール、チオエーテル、C
2〜C
10ジアルキルアミノ、C
3〜C
15トリアルキルアンモニウム及びハロゲンから選択される1〜5個の基により置換されていてよい。用語「C
1〜C
6−アルコキシ」、「C
2〜C
6−アルコキシカルボニル」及び「C
2〜C
6−アルカノイルオキシ」は、それぞれ、構造−OR
2、−CO
2R
2及び−OCOR
2に対応する基を表すために使用され、ここで、R
2はC
1〜C
6−アルキル又は置換C
1〜C
6−アルキルである。用語「C
1〜C
15アミノカルボニル」及び「C
1〜C
15アミド」は、それぞれ、構造−NHCOR
3、−CONHR
3に対応する基を表すために使用され、ここで、R
3はC
1〜C
15−アルキル又は置換C
1〜C
15−アルキルである。用語「C
3〜C
8−シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する飽和炭素環式炭化水素基を示すために使用される。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むように使用される。
【0028】
R及びR
1の分岐及び/又は置換が結合して環を形成してもよい。
【0029】
Rが表すことができるアリール基としては、二価のフェニル、ナフチル又はアントラセニル、並びに、C
1〜C
6−アルキル、置換C
1〜C
6−アルキル、C
6〜C
10アリール、置換C
6〜C
10アリール、C
1〜C
6−アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、C
1〜C
6−アルカノイルオキシ、C
1〜C
6−アルキルチオ、C
1〜C
6−アルキルスルホニル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C
2〜C
6−アルコキシカルボニル、C
2〜C
6−アルカノイルアミノ及び−OR
4、−S−R
4、−SO
2−R
4、−NHSO
2R
4及び−NHCO
2R
4から選択される1〜5個の置換基により置換された二価のフェニル、ナフチル又はアントラセニルが挙げられ、ここで、R
4は、フェニル、ナフチル、又は、C
1〜C
6−アルキル、C
6〜C
10アリール、C
1〜C
6−アルコキシ及びハロゲンから選択される1〜3個の基により置換されたフェニルもしくはナフチルである。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むように使用される。
【0030】
R
1が表すことができるアリール基(又は任意のアリール置換基)としては、フェニル、ナフチル又はアントラセニル、並びに、C
1〜C
6−アルキル、置換C
1〜C
6−アルキル、C
6〜C
10アリール、置換C
6〜C
10アリール、C
1〜C
6−アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、C
1〜C
6−アルカノイルオキシ、C
1〜C
6−アルキルチオ、C
1〜C
6−アルキルスルホニル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C
2〜C
6−アルコキシカルボニル、C
2〜C
6−アルカノイルアミノ及び−OR
4、−S−R
4、−SO
2−R
4、−NHSO
2R
4及び−NHCO
2R
4から選択される1〜5個の置換基により置換されたフェニル、ナフチル又はアントラセニルが挙げられ、ここで、R
4は、フェニル、ナフチル、又は、C
1〜C
6−アルキル、C
6〜C
10アリール、C
1〜C
6−アルコキシ及びハロゲンから選択される1〜3個の基により置換されたフェニルもしくはナフチルである。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むように使用される。
【0031】
Rが表すことができる二価の複素環式基としては、酸素、硫黄及び窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5員環又は6員環が挙げられる。このような複素環式基の例は、ピラニル、オキソピラニル、ジヒドロピラニル、オキソジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリルなどである。複素環式基は、例えば、C
1〜C
6−アルキル、C
1〜C
6−アルコキシ、置換C
1〜C
6−アルキル、ハロゲン、C
1〜C
6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、アリールオキシ、C
2〜C
6−アルコキシカルボニル及びC
2〜C
6−アルカノイルアミノなどの3個以下の基により置換されていてよい。また、複素環式基は、非置換であってもよいし、又は、例えば、上述した3個以下の基により置換されていてもよい縮合環系、例えば、ベンゾ又はナフト残基により置換されていてもよい。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むように使用される。
【0032】
R
1が表すことができる複素環式基(又は任意のヘテロアリール置換基)としては、酸素、硫黄及び窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5員環又は6員環が挙げられる。このような複素環式基の例は、ピラニル、オキソピラニル、ジヒドロピラニル、オキソジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリルなどである。複素環式基は、例えば、C
1〜C
6−アルキル、C
1〜C
6−アルコキシ、置換C
1〜C
6−アルキル、ハロゲン、C
1〜C
6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、アリールオキシ、C
2〜C
6−アルコキシカルボニル及びC
2〜C
6−アルカノイルアミノなどの3個以下の基により置換されていてよい。また、複素環式基は、非置換であってもよいし、又は、例えば、上述した3個以下の基により置換されていてもよい縮合環系、例えば、ベンゾ又はナフト残基により置換されていてもよい。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むように使用される。
【0033】
本発明の化合物の例としては、Rがメチレンであり、R
1がメチルであり、nが0〜6である、式1により示される化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
別の態様において、本発明は、一般式1:
【化4】
【0035】
[式中、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和二価C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜
12アルキルもしくはC
1〜
10アルキル、又は、飽和もしくはモノ不飽和の直鎖状C
1〜C
10アルキルもしくはC
1〜C
4アルキルから選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜
12アルキルもしくはC
1〜
4アルキルから選択され、nは0〜10もしくは1〜6もしくは1〜4である。]
により表されるレチニルエステル又はそれらの混合物に関する。
【0036】
様々なさらなる態様において、本発明の化合物の例としては、Rがメチル、エチル又はプロピルであり、R
1がメチル、エチル又はプロピルであり、nが0〜6である、式1により表される化合物及びそれらの混合物が挙げられる。もし異なるヒドロキシル置換酸を本発明の方法において使用するならば、R及びR
1基の各々は互いに独立に存在することができるが、もし単一のヒドロキシル置換酸を使用するならば、定義されるR及びR
1基の各々は同一であり、そして製造されるレチニルエステルが、n=0、n=1、n=2、n=3などである化合物の混合物となるように、様々な長さを有するオリゴマーを含むことができる。しかしながら、例えば、nが0〜6として定義されるときには、通常、n=7、n=8などである化合物が存在するとしても少量で存在するであろうが、そのような化合物を含む混合物を排除することを意図しない。
【0037】
本発明のレチニルエステルの他の例としては、Rがメチレンであり、R
1がメチルであり、nが0〜6である、式1により表される化合物及び混合物が挙げられ、そして、それらの混合物は、n=0、n=1、n=2、n=3及びn=4である化合物を含む。
【0038】
本発明の別の態様において、レチニルエステルは、一般式1:
【化5】
【0039】
[式中、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和二価C
1〜C
22アルキルもしくはC
1〜C
18アルキルもしくはC
1〜
12アルキル、又は、不飽和、モノ不飽和もしくはポリ不飽和の直鎖状C
2〜C
22アルキルもしくはC
4〜C
18アルキルから選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C
1〜C
18アルキル又はC
1〜
12アルキル又はC
1〜
4アルキルから選択され、nは0〜10又は1〜6又は1〜4である。]
に相当するか、又は、それらの混合物に相当する。この態様において、レチニルエステルは、レチノール及び1種又は2種以上のヒドロキシ置換カルボン酸、例えば、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、3−ヒドロキシオクタン酸、リンゴ酸、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタル酸、3−フェニル−3−ヒドロキシプロパン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸又はリシノール酸から誘導されうる。
【0040】
これらのヒドロキシル置換酸から製造されるレチニルエステルは、酸のヒドロキシル置換部分の反応性に応じて、脂肪酸に由来する複数の繰り返し単位を含むオリゴマーを含むことができる。
【0041】
本発明の別の実施形態は、一般式1:
【化6】
【0042】
[式中、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和二価C
1〜C
22アルキル、置換及び非置換の二価C
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換の二価C
6〜C
20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換の二価C
4〜C
20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、R
1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C
1〜C
22アルキル、置換及び非置換のC
3〜C
8シクロアルキル、置換及び非置換のC
6〜C
20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換のC
4〜C
20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、式1により表される化合物はラセミ体であってもよいし、鏡像異性的に濃縮されていてもよいし、ジアステレオマー的に濃縮されていてもよいし、実質的にジアステレオマー的に純粋であってもよいし、又は、実質的に鏡像異性的に純粋であってもよく、そしてnは0〜10である。]
により表されるレチニルエステル化合物又はそれらの混合物の調製のための新規な酵素的方法であり、レチノールを、リパーゼ、エステラ−ゼ又はプロテアーゼの存在下で、一般式2:
【0044】
[式中、R及びR
1は、上記に示したとおりであり、R
5は、水素、又は直鎖状もしくは分岐鎖状C
1〜C
5アルカンもしくはアルケンから選択される。]
により表されるヒドロキシアルカン酸又はその短鎖エステルと反応させることによる方法である。
【0045】
本方法は、溶媒なしに行われるか、あるいは、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル又はテトラヒドロフランなどの環式又は非環式エーテル溶媒、ベンゼン、トルエン又はキシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン又はリモネンなどの脂肪族又は脂環式飽和又は不飽和炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、テトラクロロエチレン又はクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドなどの極性非プロトン性溶媒、又はそれらの混合物から選択される不活性溶媒中で行われる。
【0046】
好ましい溶媒は、溶媒なし、トルエン、リモネン、ヘプタン及びアセトニトリルである。本方法は、約−100℃から溶媒の沸点の間の温度、好ましくは約0〜60℃、最も好ましくは20〜50℃で行うことができる。酸又は短鎖エステル(式2)の量は、レチノールを基準として0.85〜20当量であることができ、そして、好ましくは1〜10当量であり、最も好ましくは1〜4当量である。
【0047】
本方法に使用する酵素は、様々な加水分解酵素、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ又はエステラーゼから選択することができる。好ましい酵素としては、リパーゼが挙げられる。これらのリパーゼは、全細胞の形態、単離された天然酵素の形態、又は支持体上に固定化された形態であることができる。
【0048】
好適なリパーゼの例としては、これらに限定されるわけではないが、リパーゼPS(シュードモナス属sp.由来)、リパーゼPS−C(シュードモナス属sp.由来、セラミックに固定化)、リパーゼPS−D(シュードモナス属sp.由来、珪藻土に固定化)、リポプライム50T、リポザイムTL IM、又はノボザイム435(カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパーゼB、アクリル樹脂に固定化)が挙げられる。水又はアルコール副生成物の除去は、所望であれば、水又はアルコール吸収剤(例えば、モレキュラーシーブ)により化学的に行ってもよいし、あるいは、水又はアルコールの物理的除去により行ってもよい。この副生成物の除去は、好ましくは、蒸発により、例えば、窒素、アルゴン又はヘリウムなどの不活性ガスで反応混合物をパージすること、又は、減圧で反応を行うことのいずれか、又は、その両方によって行われ、これらの条件によって、レチノールの式1への>95%転化が可能となる。反応のため好ましい圧力は、1トル〜周囲圧力であり、より好ましくは50トル〜周囲圧力である。この方法に含まれる任意の有機溶媒は、水又はアルコールと共に除去してもよいし、除去しなくてもよい。式2の例としては、3−ヒドロキシ酪酸エチル及び3−ヒドロキシ酪酸メチルが挙げられる。
【0049】
本方法の生成物(式1)は、当業者に知られている方法、例えば、抽出、ろ過又は結晶化を用いて単離することができる。
【0050】
本発明に係るレチニルエステルは、例えば、化粧品組成物、スキンケア組成物などの組成物に使用することができる。組成物は、例えば、肌荒れ、小じわ及びしわを低減するために、光損傷した皮膚を改良するために、皮膚を再生するために、皮膚の色素沈着過剰を減少させるために、並びに、皮膚の刺激及び/又は炎症反応を低減するために有用であることができる。
【0051】
本発明の典型的な化粧品及び/又はスキンケア組成物は、本発明に係る炭酸塩を少なくとも0.001重量%の量で含む。例えば、組成物は、本発明に係るレチニルエステルを約0.001重量%〜約20.0重量%、又は約0.01重量%〜約10.0重量%の量で含むことができる。より低い濃度は、あまり顕著でない症状のために使用することができ、より高い濃度は、より急性の症状で使用することができる。推奨範囲も組成物に使用される任意の添加成分に依存する。
【0052】
本発明の化粧品及びスキンケア組成物は、また、レチニルエステルに加えて、他の皮膚コンディショニング成分を含有してもよい。そのような組成物は、これらに限定されるわけではないが、スキンケア成分、例えば、レチノール、レチニル脂肪酸エステル、テトロン酸、テトロン酸誘導体、ハイドロキノン、コウジ酸、没食子酸、アルブチン、α−ヒドロキシ酸、アスコルビン酸及びアスコルビン酸の脂肪酸エステルを含むことができる。そのような他の成分は、当業者によく知られている。
【0053】
典型的には、皮膚部位への局所適用はキャリアとともに行われる。使用されるときに、活性成分又は補助成分の脱活性化又は酸化をもたらすことがないという点、及び、それが適用された皮膚領域に重大な悪影響をもたらすことがないという点で、キャリアは不活性であることが望ましい。例えば、本発明に係る化合物は、局所適用を容易にするように、皮膚科学的に許容可能なキャリア又はビヒクルとの混合物(例えば、ローション、クリーム、軟膏、石鹸、スティックなど)として塗布することができ、そして、ある場合には、例えば、患部皮膚領域を保湿することによって、もたらされることがある追加の有益な効果を提供することができる。
【0054】
好適な製剤としては、オイル及び/又はアルコール並びに皮膚軟化剤、例えば、オリーブ油、炭化水素油及びワックス、シリコーン油、他の植物油、動物油又は海洋性油脂又は油、グリセリド誘導体、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル又はアルコールもしくはアルコールエーテル、レシチン、ラノリン及び誘導体、多価アルコール又はエステル、ワックスエステル、ステロール、リン脂質などを含み、そして、幾つかの皮膚軟化剤は生来的に乳化特性を有するけれども、一般には、乳化剤(非イオン性、カチオン性又はアニオン性)をも含むローションが挙げられる。これらの同一の一般的な成分はローションでなく、クリームへと配合することができ、あるいは、成分の異なる割合を利用して及び/又はガム又は他の形態の親水コロイドなどの増粘剤を含ませることによって、ゲル又は固体スティックへと配合することができる。
【実施例】
【0055】
本発明によって提供される新規の方法を以下の実施例によってさらに説明する。
[実施例1]3−ヒドロキシ酪酸レチニル(1a)オリゴマー(n=0〜4)の調製
バイアルに、レチノールのヘプタン溶液(58%レチノール,25.9g,15.0gレチノール,52.4ミリモル)、3−ヒドロキシ酪酸エチル(20.76g,157ミリモル,3当量)及びノボザイム435(1.5g)を添加した。混合物を室温で撹拌し、混合物を通して窒素流で48時間パージし、レチノールの3−ヒドロキシ酪酸レチニルオリゴマーの混合物への96.7%転化率が達成された。この混合物を、トルエン(30mL)で希釈し、ろ過し、そして固形分をトルエン(30mL)で洗浄した。トルエン溶液を1:1の水:メタノール(60mL)で洗浄し、そして水性デカントをヘプタン(25mL)で逆抽出した。合わせた有機層を水:メタノール(60mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、17.79gの1a(R=CH
2,R
1=CH
3)を濃縮黄色オイルとして得た。HPLC分析によって、3.7%のレチノール及び95.5%の1aオリゴマーが示された。HPLCによる割合は、1a,n=0(53.7%)、1a,n=1(32.9%)、1a,n=2(7.1%)、1a,n=3(1.4%)及び1a,n=4(0.3%)である。
【0056】
HPLC及びHPLC−MS(4.6×150mm Zorbax SB−C8カラム[Agilent],3.5μ厚さ,80:20 メタノール:水(0.1%のトリフルオロ酢酸を含む)で20分,325nmで検知):t
R6.6分(レチノール);t
R8.0分(1a,n=0,M
+=372);t
R8.8分(1a,n=1,M
+=458);t
R9.7分(1a,n=2,M
+=544);t
R10.6分(1a,n=3,M
+=630);t
R11.8分(1a,n=4,M
+=716)。
【0057】
[実施例2]リシノール酸レチニルの調製(1b)
バイアルに、レチノールのトルエン溶液(54%レチノール,1.852g,1.0gのレチノール,3.49ミリモル)、リシノール酸(80%,1.250g,4.19ミリモル,1.2当量)及びノボザイム435(1g)を添加した。混合物を室温にてシールし、そして21時間攪拌し、レチノールの1bへの83%転化率を達成した。
【0058】
HPLC(4.6×150mm Zorbax SB−C8カラム[Agilent],3.5μ厚さ,90:10 メタノール:水(0.1%のトリフルオロ酢酸を含む)で7分,1分にわたって95:5 メタノール:水(0.1%のトリフルオロ酢酸を含む)へ勾配,12分保持,1分にわたって100%メタノールへ勾配,100%メタノールで保持,325nmで検知):t
R3.9分(レチノール);t
R14.2分(1b)。
【0059】
[実施例3]3−ヒドロキシ酪酸レチニル(1a)オリゴマー(n=0〜4)の酵素加水分解
3−ヒドロキシ酪酸レチニルオリゴマー(1a;100mg)を2mLのトルエン中に溶解させた。pH7緩衝液(2mL)を添加した。ノボザイム435(100mg)を添加し、そして混合物を周囲温度で激しく撹拌した。上部層を、1時間、24時間及び48時間でサンプリングし、そしてHPLCにより分析した。結果は、表1に示されるように、48時間にわたるレチノールへの有意な加水分解を示している。酵素なしのコントロール反応は48時間後に加水分解を示さなかった。
【0060】
【表1】
本開示は以下も包含する。
[1] 一般式1:
【化1】
[式中、Rは、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和又はポリ不飽和二価C1〜C22アルキル、置換及び非置換の二価C3〜C8シクロアルキル、置換及び非置換の二価C6〜C20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換の二価C4〜C20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、
R1は、水素、置換及び非置換の分岐鎖状及び直鎖状の飽和、不飽和及びポリ不飽和C1〜C22アルキル、置換及び非置換のC3〜C8シクロアルキル、置換及び非置換のC6〜C20炭素環式アリール、並びに、置換及び非置換のC4〜C20複素環式基であって、ヘテロ原子が硫黄、窒素及び酸素から選択される複素環式基から選択され、そして
nは0〜10である。]
により表されるレチニルエステル又はそれらの混合物。
[2] Rが、置換もしくは非置換の分岐鎖状もしくは直鎖状の飽和、不飽和もしくはポリ不飽和二価C1〜C10アルキル、又は、飽和もしくはモノ不飽和の直鎖状C1〜C4アルキルであり、R1が、水素、置換又は非置換の分岐鎖状又は直鎖状の飽和、不飽和又はポリ不飽和C1〜C18アルキル又はC1〜C12アルキル又はC1〜C4アルキルであり、nが0〜6である、上記態様1に記載のレチニルエステル又はそれらの混合物。
[3] Rがメチレン、エチレン又はプロピレンであり、R1がメチル、エチル又はプロピルであり、nが0〜6である、上記態様1に記載のレチニルエステル又はそれらの混合物。
[4] Rがメチレンであり、R1がメチルであり、nが0、1、2、3及び4である、上記態様1に記載のレチニルエステル。
[5] 前記レチニルエステルが、レチノール及び1種又は2種以上のヒドロキシ置換カルボン酸から誘導される、上記態様1に記載のレチニルエステル。
[6] 前記1種又は2種以上のヒドロキシ置換カルボン酸が、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、3−ヒドロキシオクタン酸、リンゴ酸、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタル酸、3−フェニル−3−ヒドロキシプロパン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸又はリシノール酸のうちの1種又は2種以上を含む、上記態様5に記載のレチニルエステル。
[7] 前記エステルが、1種又は2種以上のヒドロキシ置換カルボン酸に由来する複数の繰り返し単位を含むオリゴマーを含む、上記態様5に記載のレチニルエステル。
[8] 上記態様1に記載のレチニルエステルの製造方法であって、レチノールを、酵素の存在下で、式2:
【化2】
[式中、R及びR1は、上記態様1に示したとおりであり、R5は、水素、又は直鎖状もしくは分岐鎖状C1〜C5アルカンもしくはアルケンから選択される。]
により表されるヒドロキシアルカン酸又はその短鎖エステルと反応させることを含む、方法。
[9] 前記方法が、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、リモネン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシド又はそれらの混合物から選択された溶媒中で行われる、上記態様8に記載の方法。
[10] 前記溶媒が、トルエン、リモネン、ヘプタン又はアセトニトリルのうちの1種又は2種以上の中から選択される、上記態様9に記載の方法。
[11] 前記方法が、溶媒の非存在下で行われる、上記態様8に記載の方法。
[12] 前記酵素が、リパーゼ、エステラーゼ又はプロテアーゼのうちの1種又は2種以上を含む、上記態様8に記載の方法。
[13] 前記酵素がリパーゼである、上記態様8に記載の方法。
[14] 式2により表されるヒドロキシアルカン酸又はその短鎖エステルが、3−ヒドロキシ酪酸エチル、3−ヒドロキシ酪酸メチル又はリシノール酸のうちの1種又は2種以上を含む、上記態様8に記載の方法。
[15] 上記態様1に記載のレチニルエステルを含む、化粧品組成物。