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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960747
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   H01L31/04 262
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-88274(P2014-88274)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-216652(P2014-216652A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2014年4月22日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0044370
(32)【優先日】2013年4月22日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】シン ミュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】クォン テヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム ハンサン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヘジョン
【審査官】 濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−228529(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0312367(US,A1)
【文献】 特開平9−293889(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/102122(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/102188(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の前面に形成され、前記半導体基板と異なる導電型を有するエミッタ層と、
前記半導体基板の後面に形成され、前記半導体基板と同一の導電型を有する後面電界層と、
前記エミッタ層に電気的に接続される第1電極と、
前記後面電界層に電気的に接続される第2電極とを含み、
前記後面電界層は、第1方向へ延長し、互いに離隔した複数の第1部分を含み、
前記第2電極が、第1ピッチ(pitch)を有する複数のフィンガー電極を含み、
前記後面電界層の前記複数の第1部分は、それぞれ、前記複数のフィンガー電極に直接接続し、
前記第2電極の前記複数のフィンガー電極及び前記第1方向と交差する第2方向で前記後面電界層の前記複数の第1部分のいずれか一方から突出する接続突出部が形成され、
少なくとも一つの前記接続突出部は互いに第2ピッチで離隔した複数の接続突出部を含み、
前記フィンガー電極と交差する前記第2方向への前記接続突出部の突出長は前記接続突出部の間の近接する2つの接続突出部の間の間隔より短
前記第1電極は、第3ピッチで配置され、前記エミッタ層に直接接続するように、前記第1方向に延長する複数の第2のフィンガー電極を含み、前記複数の第2のフィンガー電極のいずれかから前記第1方向と交差する第2方向に突出する接続突出部は含まない、太陽電池。
【請求項2】
前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方の幅よりも前記接続突出部の幅が小さいか、または同一である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記接続突出部が前記フィンガー電極に形成され、
前記フィンガー電極の幅に対する前記接続突出部の幅の比率が0.3〜1.0である、請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記接続突出部が前記第1部分に形成され、
前記第1部分の幅に対する前記接続突出部の幅の比率が0.1〜1.0である、請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記接続突出部の突出長さは、前記第1ピッチよりも小さい、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ピッチに対する前記接続突出部の突出長さの比率が0.6以下である、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記接続突出部が前記フィンガー電極に形成され、
前記第1ピッチに対する前記接続突出部の突出長さの比率が0.05〜0.3である、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記接続突出部が前記第1部分に形成され、
前記第1ピッチに対する前記接続突出部の突出長さの比率が0.1〜0.6である、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第2ピッチが、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方の幅よりも大きい、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第2ピッチが0.5mm〜2.0mmである、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1ピッチに対する前記第2ピッチの比率が0.5〜3である、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第2電極は、前記複数のフィンガー電極を連結するバスバー電極をさらに含み、
前記接続突出部が複数個備えられ、
前記複数の接続突出部のうち、前記バスバー電極の近くに位置する前記接続突出部が、前記バスバー電極と離隔して形成される、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記接続突出部が複数個備えられ、
前記複数の接続突出部のうち、前記半導体基板の縁部の近くに位置する前記接続突出部が、前記半導体基板の縁部と離隔して形成される、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記接続突出部が、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方の一側に突出する、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記接続突出部が、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方の一側に突出する第1突出部分と、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方の他側に突出する第2突出部分とを含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記第1突出部分と前記第2突出部分は、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方を基準として対称に形成されるか、または互いにずれるように形成される、請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記接続突出部は、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方と直交して形成されるか、または前記接続突出部は、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方に対して傾斜して形成される、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記接続突出部が、前記フィンガー電極に形成される第1接続突出部と、前記第1部分に形成される第2接続突出部とを含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記後面電界層が、前記複数の第1部分からなって局部的構造を有する、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記後面電界層が、前記複数の第1部分と、前記第1部分より低い濃度を有する第2部分とを含む選択的構造を有する、請求項1に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に係り、構造を改善した太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、石油や石炭のような既存エネルギー資源の枯渇が予想されながら、これらに代わる代替エネルギーへの関心が高まっている。その中でも、太陽電池は、半導体素子を用いて太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する次世代電池として脚光を浴びている。
【0003】
太陽電池は、シリコン太陽電池、化合物太陽電池、色素増感太陽電池、薄膜太陽電池などに区分することができる。このような太陽電池は、様々な層及び電極を設計に応じて形成することによって製造できる。ところで、このような様々な層及び電極の設計に応じて太陽電池の効率が決定され得る。一例として、電極の面積が広すぎると、材料の使用量が増加し、表面再結合によって太陽電池の効率が低下することがあり、電極の面積が狭すぎると、電荷を十分に収集しにくいことがある。したがって、電極の面積及び構造などが、太陽電池の効率を最大化できるように設計されることが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた特性を有し、且つ不良率の低い太陽電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例に係る太陽電池は、半導体基板と、前記半導体基板に形成され、前記半導体基板と異なる導電型を有するエミッタ層と、前記半導体基板に形成され、前記半導体基板と同一の導電型を有する後面電界層と、前記エミッタ層に電気的に接続される第1電極と、前記後面電界層に電気的に接続される第2電極と、を含む。前記第2電極が、第1ピッチ(pitch)を有する複数のフィンガー電極を含み、前記後面電界層は、前記複数のフィンガー電極にそれぞれ対応する複数の第1部分を含み、前記フィンガー電極及び前記第1部分のいずれか一方から突出する接続突出部が形成される。
【発明の効果】
【0006】
本実施例に係る太陽電池では、第2電極及び後面電界層のいずれか一方に接続突出部を形成して、第2電極と後面電界層との接続を円滑にすることで、不良率を低くすることができる。これによって、太陽電池の信頼性を向上させ、生産性を大きく向上させることができる。このとき、本実施例では、接続突出部の幅、突出長さ、ピッチ、太陽電池の縁部及びバスバー電極からの距離などを限定して、第2電極の面積を小さく維持しながらも、第2電極と後面電界層との接続がさらに効果的に行われるようにすることができる。これによって、太陽電池の特性を高い水準に維持すると共に、不良率を大きく低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係る太陽電池を示す部分断面図である。
図2図1に示した太陽電池の前面を示す平面図である。
図3】本発明の実施例に係る太陽電池の背面平面図である。
図4】本発明の実施例に係る太陽電池において、アライメント誤差が発生した場合にも、接続突出部によって接続がなされる原理を説明するための図である。
図5】本発明の実施例に係る太陽電池において、接続突出部の一変形例を示す平面図である。
図6】本発明の実施例に係る太陽電池において、接続突出部の他の変形例を示す平面図である。
図7】本発明の実施例に係る太陽電池において、接続突出部の更に他の変形例を示す平面図である。
図8】本発明の実施例に係る太陽電池において、接続突出部の更に他の変形例を示す平面図である。
図9】本発明の他の実施例に係る太陽電池の背面部分平面図である。
図10】本発明の更に他の実施例に係る太陽電池の背面部分平面図である。
図11図10の変形例に係る太陽電池の背面部分平面図である。
図12】本発明の更に他の実施例に係る太陽電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形可能であることは勿論である。
【0009】
図面では、本発明を明確且つ簡略に説明するために、説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書全体において同一又は極めて類似の部分に対しては同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をより明確にするために、厚さ、幅などを拡大または縮小して示しており、本発明の厚さ、幅などは図面に示したものに限定されない。
【0010】
そして、明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとするとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池を示す部分断面図であり、図2は、図1に示した太陽電池の前面を示す平面図である。図1は、図2のI−I線に沿う断面図である。
【0012】
図1を参照すると、本実施例に係る太陽電池100は、基板(一例として、半導体基板)(以下、「半導体基板」)110と、半導体基板110に形成される不純物層20,30と、不純物層20,30に電気的に接続される電極24,34とを含むことができる。不純物層20,30は、エミッタ層20と後面電界層30を含むことができ、電極24,34は、エミッタ層20に電気的に接続される第1電極24と、後面電界層30に電気的に接続される第2電極34とを含むことができる。これに加えて、太陽電池100は、反射防止膜22、パッシベーション膜32などをさらに含むことができる。これについてより詳細に説明する。
【0013】
半導体基板110は、不純物層20,30が形成される領域、及び不純物層20,30が形成されない部分であるベース領域10を含む。ベース領域10は、一例として、第1導電型不純物を含むシリコンを含むことができる。シリコンとしては、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンが使用されてもよく、第1導電型不純物は、一例として、n型であってもよい。すなわち、ベース領域10は、リン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素がドープされた単結晶または多結晶シリコンからなることができる。
【0014】
このように、n型の不純物を有するベース領域10を使用すると、半導体基板110の第1面(以下、「前面」)にp型の不純物を有するエミッタ層20が形成されて、pn接合(junction)をなすようになる。このようなpn接合に光が照射されると、光電効果によって生成された電子が半導体基板110の第2面(以下、「後面」)側に移動して第2電極34により収集され、正孔が半導体基板110の前面側に移動して第1電極24により収集される。これによって電気エネルギーが発生する。すると、電子よりも移動速度の遅い正孔が半導体基板110の後面ではなく前面に移動して、変換効率が向上することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域10がp型を有してもよいことは勿論である。
【0015】
半導体基板110の前面及び/または後面は、テクスチャリング(texturing)されてピラミッドなどの形状の凹凸を有することができる。このようなテクスチャリングにより半導体基板110の前面及び後面に凹凸が形成されて表面粗さが増加すると、半導体基板110の前面及び後面を介して入射する光の反射率を下げることができる。したがって、半導体基板110とエミッタ層20との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができ、光損失を最小化することができる。
【0016】
半導体基板110の前面側には、第2導電型不純物を有するエミッタ層20が形成されてもよい。本実施例において、エミッタ層20は、第2導電型不純物として、3族元素であるボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(G)、インジウム(In)などのp型不純物を使用することができる。このとき、本実施例において、エミッタ層20が、均一なドーピング濃度を有する均一なエミッタ(homogeneous emitter)構造を有してもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、エミッタ層20が、選択的エミッタ(selecdive emitter)構造を有してもよい。これについての詳細は後述する。
【0017】
エミッタ層20は、半導体基板110に様々なドーピング方法により第2導電型不純物をドープすることによって形成できる。一例として、熱拡散法、イオンドーピング法、レーザードーピング法などのドーピング方法を用いることができる。
【0018】
半導体基板110上に、より正確には、半導体基板110に形成されたエミッタ層20上に反射防止膜22及び第1電極24が形成される。
【0019】
反射防止膜22は、第1電極24に対応する部分を除いて、実質的に半導体基板110の前面全体に形成することができる。反射防止膜22は、半導体基板110の前面に入射する光の反射率を減少させ、エミッタ層20の表面またはバルク内に存在する欠陥を不動化させる。
【0020】
半導体基板110の前面を介して入射する光の反射率を下げることによって、半導体基板110とエミッタ層20との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができる。これによって、太陽電池100の短絡電流(Isc)を増加させることができる。そして、エミッタ層20に存在する欠陥を不動化して、少数キャリアの再結合サイトを除去することで、太陽電池100の開放電圧(Voc)を増加させることができる。このように、反射防止膜22によって太陽電池100の開放電圧と短絡電流を増加させることによって、太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0021】
反射防止膜22は様々な物質で形成することができる。一例として、反射防止膜22は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、MgF2、ZnS、TiO2及びCeO2からなる群から選択されたいずれか一つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜構造を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、反射防止膜22が様々な物質を含んでもよいことは勿論である。そして、半導体基板110と反射防止膜22との間にパッシベーションのための別途の前面パッシベーション膜(図示せず)をさらに備えてもよい。これもまた本発明の範囲に属する。このような反射防止膜22は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷またはスプレーコーティングなどのような様々な方法により形成することができる。
【0022】
第1電極24は、反射防止膜22に形成された開口部を通して(すなわち、反射防止膜22を貫通して)エミッタ層20に電気的に接続される。このような第1電極24は、様々な物質によって様々な形状を有するように形成することができ、これについての詳細は再び後述する。
【0023】
半導体基板110の後面側には、半導体基板110よりも高いドーピング濃度で第1導電型不純物を含む後面電界層30が形成される。本実施例において、後面電界層30は、第1導電型不純物として、5族元素であるリン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などのn型不純物を使用することができる。
【0024】
このとき、本実施例において、後面電界層30は、第2電極34と隣接する(一例として、接触する)部分に局部的に形成された第1部分30aからなる。すなわち、後面電界層30は、局部的後面電界(local back surface field)構造を有することで、後面電界層30の形成時に半導体基板110が損傷するなどの問題を防止することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、後面電界層30が、選択的後面電界(selective back surface field)構造を有してもよい。これについての詳細は再び後述する。その他の様々な変形も可能である。
【0025】
後面電界層30は、半導体基板110に様々なドーピング方法により第1導電型不純物をドープすることによって形成できる。一例として、熱拡散法、イオンドーピング法、レーザードーピング法などのドーピング方法を用いることができる。本実施例では、後面電界層30がn型からなるので、追加的なドーピング工程を行って(すなわち、第2電極34の形成工程と別個の工程で)後面電界層30を形成するようになる。参考に、後面電界層30がp型を有する場合には、第2電極34をアルミニウムなどで形成し、第2電極34の形成のための熱処理時にアルミニウムなどを拡散させることによって(第2電極34の形成工程中に)後面電界層30を形成できる。
【0026】
これと共に、半導体基板110の後面には、パッシベーション膜32と第2電極34が形成されてもよい。
【0027】
パッシベーション膜32は、第2電極34が形成された部分を除いて、実質的に半導体基板110の後面全体に形成することができる。このようなパッシベーション膜32は、半導体基板110の後面に存在する欠陥を不動化して、少数キャリアの再結合サイトを除去することができる。これによって、太陽電池100の開放電圧を増加させることができる。
【0028】
このようなパッシベーション膜32は、光が透過できるように透明な絶縁物質から形成することができる。したがって、このようなパッシベーション膜32を通じて、半導体基板110の後面を通しても光が入射できるようにすることで、太陽電池100の効率を向上させることができる。すなわち、本実施例の太陽電池100は、両面に光が入射できる両面受光型方式を有する。
【0029】
一例として、パッシベーション膜32は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、MgF2、ZnS、TiO2及びCeO2からなる群から選択されたいずれか一つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜構造を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、パッシベーション膜32が様々な物質を含んでもよいことは勿論である。このようなパッシベーション膜32は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷またはスプレーコーティングなどのような様々な方法により形成することができる。
【0030】
第2電極34は、パッシベーション膜32に形成された開口部を通して(すなわち、パッシベーション膜32を貫通して)後面電界層30に電気的に接続される。このような第2電極34は、様々な形状を有するように形成することができる。
【0031】
上述した第1電極24は、反射防止膜22に開口部を形成し、開口部内にメッキ法、蒸着法などを行うことによって形成することができる。そして、パッシベーション膜32に開口部を形成し、この開口部内にメッキ法、蒸着法などを行うことによって第2電極34を形成できる。または、第1及び第2電極形成用ペーストを反射防止膜22及びパッシベーション膜32上にそれぞれスクリーン印刷などで塗布した後、焼成(fire through)またはレーザー焼成コンタクト(laser firing contact)などを行って、上述した形状の第1及び第2電極24,34を形成することも可能である。この場合には、別途に開口部を形成する工程を追加しなくてもよい。このとき、上述したように、後面電界層30が第2電極34と別個の工程で形成される場合、太陽電池100の特性を向上させ、不良率を低下させるためには、後面電界層30と第2電極34とのアライメントを精密に行わなければならない。
【0032】
本実施例に係る第1電極24及び第2電極34は、両面受光方式を適用できる様々な平面形状を有することができる。まず、図2を参照して第1電極24の構造を詳細に説明し、図3を参照して第2電極34及び後面電界層30の構造を詳細に説明する。
【0033】
図2を参照すると、第1電極24は、一定のピッチをもって互いに平行に配置された複数のフィンガー電極24aを含むことができる。これと共に、第1電極24は、フィンガー電極24aと交差する方向に形成されてフィンガー電極24aを連結するバスバー電極24bを含むことができる。このようなバスバー電極24bは、一つだけ備えられてもよく、図2に示すように、フィンガー電極24aのピッチよりも大きいピッチをもって複数個備えられてもよい。このとき、フィンガー電極24aの幅よりもバスバー電極24bの幅を大きくすることができるが、本発明がこれに限定されるものではなく、両者は同一の幅を有してもよい。上述した第1電極24の形状は一例として提示したものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0034】
断面から見て、フィンガー電極24a及びバスバー電極24bが全て反射防止膜22を貫通して形成されてもよい。または、フィンガー電極24aが反射防止膜22を貫通し、バスバー電極24bは反射防止膜22上に形成されていてもよい。
【0035】
図3は、本発明の実施例に係る太陽電池の背面平面図である。明確な図示及び説明のために、図3では、後面電界層30及び第2電極34を中心に示す。
【0036】
図3を参照すると、第2電極34は、第1ピッチP1をもって互いに平行に配置される複数のフィンガー電極34aを含むことができる。これと共に、第2電極34は、フィンガー電極34aと交差する方向に形成されてフィンガー電極34aを連結するバスバー電極34bを含むことができる。このようなバスバー電極34bは、一つだけ備えられてもよく、図3に示すように、第1ピッチP1よりもさらに大きいバスバーピッチPをもって複数個備えられてもよい。このとき、フィンガー電極24aの幅W11よりもバスバー電極34bの幅W2を大きくすることができるが、本発明がこれに限定されるものではなく、両者は同一の幅を有してもよい。そして、本実施例では、第2電極34のフィンガー電極34aに接続突出部34c(一例として、第1接続突出部34c)が形成される。すなわち、第2電極34が、バスバー電極34bと、フィンガー電極34aと、フィンガー電極34aからフィンガー電極34aと交差する方向に突出する接続突出部34cとを含む。このような接続突出部34cは、第1部分30aとフィンガー電極34aのアライメント時に、工程誤差などによって第1部分30aとフィンガー電極34aとがずれる場合にも、第1部分30aとフィンガー電極34aとを電気的に接続する役割を果たす。これについて、図4を参照してより詳細に説明する。
【0037】
図4は、本発明の実施例に係る太陽電池において、アライメント誤差が発生した場合にも、接続突出部によって接続がなされる原理を説明するための図である。図4の(a)は、本発明の実施例に係る太陽電池において、アライメント誤差が発生した場合のフィンガー電極34aと第1部分30aを示す平面図であり、図4の(b)は、接続突出部34cを備えていない従来技術において、アライメント誤差が発生した場合のフィンガー電極34aと第1部分30aを示す平面図である。
【0038】
図4の(a)を参照すると、接続突出部34cが備えられた場合には、接続突出部34cの突出長さ(図3の参照符号D1)だけアライメント誤差が発生しても、接続突出部34cによってフィンガー電極34aと第1部分30aとが電気的に接続される。このとき、第2電極34と後面電界層30は、非常に小さい領域で部分的にコンタクトがなされる場合にも作動がなされ得る。したがって、最小限の大きさを有する接続突出部34cによってフィンガー電極34aと第1部分30aとが互いに連結だけなされた場合にも、太陽電池100が十分に作動することができる。これによって、アライメント誤差が発生しても、接続突出部34cによって第2電極34と後面電界層30とを接続することができる。反面、図4の(b)を参照すると、従来の場合には、工程誤差が発生して、フィンガー電極34aが第1部分30aの外部に位置する場合、フィンガー電極34aと第1部分30aとの接続がなされない。フィンガー電極34aと第1部分30aとが完全にずれると、最悪の場合には、シャント(shunt)などによって太陽電池100が作動しないこともある。これによって、太陽電池100の不良率が高くなる。
【0039】
再び図3を参照して、接続突出部34cをより詳細に説明する。上述した接続突出部34cは、バスバー電極34b及び/またはフィンガー電極34aを形成する工程で一緒に形成されてもよい。すなわち、バスバー電極34b及び/またはフィンガー電極34aを印刷、メッキなどで形成するとき、接続突出部34cを共に印刷、メッキなどで形成することができる。したがって、工程の追加なしに、第2電極34を形成する工程で接続突出部34cを共に形成することで、生産性の面で有利である。断面から見て、フィンガー電極34aと、バスバー電極34b及び接続突出部34cが全てパッシベーション膜32を貫通して形成されていてもよい。または、フィンガー電極24a及び接続突出部34cがパッシベーション膜32を貫通し、バスバー電極24bはパッシベーション膜322上に形成されていてもよい。その他の様々な変形が可能であることは勿論である。
【0040】
上述したように、接続突出部34cは、フィンガー電極34aと後面電界層30との接続を助ける役割を果たす。ところが、接続突出部34cが大きくなると、第2電極34の面積が大きくなるため、再結合が増加し、シェーディング損失(shading loss)が増加して、太陽電池100の特性が低下することがある。これによって、接続突出部34cは、フィンガー電極34aと後面電界層30との接続を可能にする最小限の大きさを有することが好ましい。
【0041】
一例として、接続突出部34cの幅W12は、フィンガー電極34aの幅W11よりも小さいか、または同一であってもよい。一例として、フィンガー電極34aの幅W11に対する接続突出部34cの幅W12の比率(W12/W11)は0.3〜1.0であってもよい。前記比率(W12/W11)が0.3より小さいと、接続突出部34cの幅W12が小さくなるため、第2電極34と後面電界層30との接続が円滑に行われず、1.0より大きいと、接続突出部34cの幅W12が大きくなるため、太陽電池100の特性を低下させることがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池100の大きさ、太陽電池100の種類などによって、上述した幅W11,W12の具体的な値、これらの比率などは変化できる。
【0042】
そして、第1部分30aの幅W21に対する接続突出部34cの幅W12の比率(W12/W21)は、一例として、0.2〜1.5であってもよい。前記比率(W12/W21)は、アライメント特性、後面電界層30及び第2電極34の面積などを考慮したものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、上述した比率が他の数値を有してもよいことは勿論である。
【0043】
そして、接続突出部34cの突出長さD1は、フィンガー電極34a間の第1ピッチP1よりも小さくてもよい。このとき、フィンガー電極34aの第1ピッチP1に対する接続突出部34cの突出長さD1の比率(D1/P1)は、0.6以下であってもよい。前記比率(D1/P1)が0.6を超えると、隣り合うフィンガー電極34aの接続突出部34c同士が互いに連結され得、接続突出部34cの長さが長くなるため、太陽電池100の特性が低下することがある。一例として、フィンガー電極34aの第1ピッチP1に対する接続突出部34cの突出長さD1の比率(D1/P1)は、0.05〜0.3であってもよい。前記比率(D1/P1)が0.05より小さいと、接続突出部34cの突出長さD1が小さくなるため、アライメント誤差に十分に対応しにくく、前記比率(D1/P1)が0.3より大きいと、接続突出部34cの突出長さD1が不必要に大きくなることがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池100の大きさ、太陽電池100の種類などによって、上述した幅D1、P1の具体的な値またはこれらの比率は変化できる。
【0044】
このような接続突出部34cは、一定の第2ピッチP12をもって複数個備えられてもよい。すると、工程誤差などの発生時にフィンガー電極34aと後面電界層30とを効果的に接続することができる。より詳細に説明すると、工程誤差は、上下方向または左右方向へのシフト(shift)によって発生するか、または回転によって発生することもある。このとき、左右方向に一定の距離だけシフトされた場合には、一つの接続突出部34cを備えてもフィンガー電極34aと後面電界層30との接続がなされ得る。しかし、回転方向によるアライメント問題の場合は、複数個の接続突出部34cを備える場合には、フィンガー電極34aと後面電界層30との接続がさらに良くなるようにすることができる。すなわち、本実施例では、接続突出部34cを複数個備えることで、様々な形態のアライメント誤差に対応することができる。
【0045】
このとき、第2ピッチP12は、フィンガー電極34aの幅W11よりも大きくすることができる。第2ピッチP12がフィンガー電極34aの幅W11よりも小さいと、接続突出部34cが密に位置して第2電極34の面積が広くなり、これによって、太陽電池100の特性が低下することがある。
【0046】
より詳細には、フィンガー電極34a間の第1ピッチP1に対する接続突出部34c間の第2ピッチP12の比率(P12/P1)が0.5以上(一例として、0.5〜3.0)であってもよい。そして、前記比率が0.5未満であると、接続突出部34cによって第2電極34の全体面積が増加して、太陽電池100の特性が低下することがある。前記比率が3.0を超えると、様々な形態のアライメント誤差が発生したとき、第2電極34と後面電界層30との接続が円滑に行われないことがある。
【0047】
ここで、第2ピッチP12は0.5mm〜2.0mmであってもよい。第2ピッチP12が0.5mm未満であると、太陽電池100の特性が低下することがあり、2.0mmを超えると、様々な形態のアライメント誤差が発生したとき、第2電極34と後面電界層30との接続が円滑に行われないことがある。しかし、太陽電池100の大きさ、種類などによって、このような数値が変わり得る。
【0048】
そして、複数の接続突出部34cのうち、太陽電池100の縁部(または半導体基板110の縁部)の近くに位置する接続突出部34cは、太陽電池100の縁部と離隔して形成されてもよい。太陽電池100の縁部では、アイソレーション(isolation)などの理由で後面電界層を形成しなくてもよいので、この部分に接続突出部34cが位置しないようにして、接続突出部34cの個数を最小化することができる。一例として、該当接続突出部34cと太陽電池100の縁部との間の距離L1は、0.2mm〜1.0mmであってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能であることは勿論である。
【0049】
また、複数の接続突出部34cのうち、バスバー電極34bの近くに位置する接続突出部34cは、バスバー電極34bと離隔して形成されてもよい。これは、バスバー電極34bが相対的に大きい幅を有することで、バスバー電極34bの付近でのアライメント誤差などを補償できるからである。これによって、接続突出部34cとバスバー電極34bとの間を離隔させて、接続突出部34cの個数を最小化することができる。一例として、該当接続突出部34cとバスバー電極34bとの間の距離L2は、0.1mm〜1.0mmであってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能であることは勿論である。
【0050】
図3では、接続突出部34cが、フィンガー電極34aを基準としてフィンガー電極34aの一側に突出する第1突出部分341、及びフィンガー電極34aの他側に突出する第2突出部分342を含み、第1及び第2突出部分341,342が互いに対応する位置で形成されることを例示した。すなわち、第1及び第2突出部分341,342がフィンガー電極34aを基準として対称に形成されることを例示した。これによって、フィンガー電極34aを基準にしてこれと交差する方向にシフトが発生する場合に全て対応することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。一例として、図5に示すように、接続突出部34cが、フィンガー電極34aの一側にのみ突出することも可能である。これによれば、接続突出部34cの一方を除去することで、第2電極34の面積の増加を効果的に防止することができる。または、図6に示すように、接続突出部34cが第1及び第2突出部分341,342を含み、第1及び第2突出部分341,342がフィンガー電極34aを基準として互いにずれるように形成してもよい。すると、第1及び第2突出部分341,342によって熱応力が集中するなどの問題を防止できるので、熱的安定性を向上させることができる。その他にも様々な変形が可能であることは勿論である。
【0051】
そして、図3では、接続突出部34cが、フィンガー電極34aと直交しながら突出し、四角形の形状を有することを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、図7に示すように、接続突出部34cがフィンガー電極34aに対して傾斜するように形成してもよい。
【0052】
このとき、図7の(a)に示すように、接続突出部34cが、フィンガー電極34aの両側にそれぞれ形成され、互いに対応する位置に形成される第1及び第2接続突出部分341,342を含むことができる。このとき、第1及び第2接続突出部分341,342は、互いに反対の方向にフィンガー電極34aを基準として対称に傾斜してもよい。または、図7の(b)に示すように、傾斜した接続突出部34cが、フィンガー電極34aの一側にのみ形成されてもよい。または、図7の(c)に示すように、接続突出部34cが、フィンガー電極34aの両側にそれぞれ形成される第1及び第2接続突出部分341,342を含み、第1及び第2接続部分341,342が互いにずれる位置で交互に形成されてもよい。または、図7の(d)乃至(e)に示すように、接続突出部34cの第1及び第2接続突出部分341,342が同一の傾斜方向を有することも可能である。
【0053】
その他にも、図8に示すように、接続突出部34cが、ラウンド形状(一例として、半円形、半楕円形など)をもって突出することも可能である。その他にも、接続突出部34cは、三角形、五角形などの様々な形状を有することができる。このとき、図7の様々な変形例が、図8にも適用可能であることは勿論である。
【0054】
また、図3では、複数のフィンガー電極34aに形成された接続突出部34cが互いに対応する位置に並んで形成された場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。複数のフィンガー電極34aに形成された接続突出部34cの位置が並んで位置しないことも可能である。
【0055】
本実施例では、接続突出部34cを形成して、第2電極34と後面電界層30との接続を円滑にすることで、不良率を低くすることができる。これによって、太陽電池100の信頼性を向上させ、生産性を大きく向上させることができる。このとき、本実施例では、接続突出部34cの幅W12、突出長さD1及び第2ピッチP12、太陽電池100の縁部及びバスバー電極34bからの距離L1,L2を限定して、第2電極34の面積を小さく維持しながらも第2電極34と後面電界層30との接続がより効果的になされるようにすることができる。これによって、太陽電池100の特性を高い水準に維持すると共に、不良率を大きく低くすることができる。
【0056】
特に、本実施例は、後面電界層30がn型を有し、後面電界層30を第2電極34と別個に形成する場合に適用されて、アライメント誤差に容易に対応できるようにする。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域10がp型を有する場合にも適用できることは勿論である。そして、シェーディング損失などによって太陽電池100の特性に大きく関連する第1電極24には接続突出部34cを形成せず、後面側に位置した第2電極34にのみ接続突出部34cを形成して、前面側に入射する光を最大限使用することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前面側にも接続突出部を形成してもよい。
【0057】
以下では、図9乃至図12を参照して、本発明の他の実施例に係る太陽電池をより詳細に説明する。
【0058】
図9は、本発明の他の実施例に係る太陽電池の背面部分平面図である。
【0059】
図9を参照すると、本実施例では、接続突出部30c(一例として、第2接続突出部30c)が後面電界層30の第1部分30aに形成される。すなわち、後面電界層30が、第1部分30aと、第1部分30aから突出する接続突出部30cとを含むことができる。
【0060】
このとき、接続突出部30cは、第1部分30aを形成する工程で一緒に形成されてもよい。すなわち、イオン注入法、熱拡散法などの様々なドーピング方法により第1導電型不純物をドープする時に、第1部分30aと接続突出部30cに該当する部分を共にドープすることができる。これによれば、別途の工程を追加せずに、単純にドーピング時に使用されるマスクを変更することによって容易に接続突出部30cを形成することができる。また、後面電界層30が接続突出部30cを含むので、太陽電池100の特性などをさらに高い水準に維持することができる。すなわち、フィンガー電極34aの全体面積が相対的に低い特定の基準を超えると、電子と正孔の再結合が急激に発生して、太陽電池100の特性が大きく低下することがある。すなわち、フィンガー電極34aの面積の増加によって、太陽電池100の特性が敏感に変化し得る。反面、後面電界層30は、再結合などが問題となる基準が高い方であるので、後面電界層30の全体面積によって太陽電池100の特性が大きく変化しない。
【0061】
接続突出部30cは、フィンガー電極34aと後面電界層30とが互いに接続できる大きさを有すれば足りる。接続突出部30cを不必要に大きく形成する場合には、ドーピング時間などが増加するか、または表面再結合などが増加するなどの問題が生じ得る。そのため、接続突出部30cは、フィンガー電極34aと後面電界層30との接続が可能なようにする最小限の大きさを有することが好ましい。
【0062】
一例として、接続突出部30cの幅W22は、第1部分30aの幅W21よりも小さいか、または同一であってもよい。一例として、第1部分30aの幅W21に対する接続突出部30cの幅W22の比率(W22/W21)は0.1〜1.0であってもよい。前記比率(W22/W21)が0.1より小さいと、接続突出部30cの幅W22が小さくなるため、第2電極34と後面電界層30との接続が円滑に行われず、1.0より大きいと、接続突出部30cの幅W22が大きくなるため、太陽電池100の特性を低下させることがある。このとき、比率(W22/W21)の下限が0.1であって、フィンガー電極34aに接続突出部34cを形成した場合の0.3よりも低い。これは、後面電界層30の全体面積がフィンガー電極34aの全体面積よりも太陽電池100の特性に及ぼす影響が少ないので、第1部分30aの幅W21を第2電極34のフィンガー電極34aの幅W11よりも大きく形成するからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池100の大きさ、太陽電池100の種類などによって、上述した幅W21,W22の具体的な値、これらの比率などは変化できる。
【0063】
そして、接続突出部30cの突出長さD2は、第1部分30a間の第1ピッチP2(一般に、フィンガー電極34a間の第1ピッチP1と同一)よりも小さくてもよい。このとき、第1部分30aの第1ピッチP2に対する接続突出部30cの突出長さD2の比率(D2/P2)は、0.6以下であってもよい。前記比率(D2/P2)が0.6を超えると、隣り合う第1部分30aの接続突出部30c同士が互いに連結され得、接続突出部30cの長さが長くなるため、太陽電池100の特性が低下することがある。一例として、第1部分30aの第1ピッチP2に対する接続突出部30cの突出長さD2の比率(D2/P2)は、0.1〜0.6であってもよい。前記比率(D2/P2)が0.1より小さいと、接続突出部30cの突出長さD2が小さくなるため、アライメント誤差に十分に対応しにくく、前記比率(D2/P2)が0.6より大きいと、接続突出部30cの突出長さD2が不必要に大きくなることがある。このとき、前記比率(D2/P2)の値が、フィンガー電極34aに接続突出部34cを形成した場合に比べて大きい。これは、上述したように、後面電界層30の全体面積がフィンガー電極34aの全体面積よりも太陽電池100の特性に及ぼす影響が少ないので、突出長さD2の許容長さが相対的に大きいからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池100の大きさ、太陽電池100の種類などによって、上述した幅D2,P2の具体的な値、これらの比率などは変化できる。
【0064】
接続突出部30cは、一定の第2ピッチP22をもって互いに離隔してもよい。このとき、第2ピッチP22は、第1部分30aの幅W21よりも大きくすることができる。第2ピッチP22が第1部分30aの幅W21よりも小さいと、接続突出部30cが密に位置して、太陽電池100の特性が低下することがある。
【0065】
より詳細には、第1部分30a間の第1ピッチP2に対する接続突出部30c間の第2ピッチP22の比率(P22/P2)が0.5以上(一例として、0.5〜3.0)であってもよい。そして、前記比率が0.5未満であると、接続突出部30cによって太陽電池100の特性が低下することがある。前記比率が3を超えると、様々な形態のアライメント誤差が発生した時に、第2電極34と後面電界層30との接続が円滑に行われないことがある。
【0066】
ここで、第2ピッチP22は0.5mm〜2.0mmであってもよい。第2ピッチP22が0.5mm未満であると、太陽電池100の特性が低下することがあり、2.0mmを超えると、様々な形態のアライメント誤差が発生した時に、第2電極34と後面電界層30との接続が円滑に行われないことがある。しかし、太陽電池100の大きさ、種類などによって、このような数値が変わり得る。
【0067】
そして、複数の接続突出部30cのうち、太陽電池100の縁部(または半導体基板110の縁部)の近くに位置する接続突出部30cは、太陽電池100の縁部と離隔して形成されてもよい。太陽電池100の縁部では、アイソレーション(isolation)などの理由で後面電界層を形成しなくてもよいので、この部分に接続突出部30cが位置しないようにして、接続突出部30cの個数を最小化することができる。一例として、該当接続突出部30cと太陽電池100の縁部との間の距離は、0.2mm〜1.0mmであってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能であることは勿論である。
【0068】
また、複数の接続突出部30cのうち、バスバー電極34bの近くに位置する接続突出部30cは、バスバー電極34bと離隔して形成されてもよい。これは、バスバー電極34bが相対的に大きい幅を有することで、バスバー電極34bの付近でのアライメント誤差などを補償できるからである。これによって、接続突出部30cとバスバー電極34bとの間を離隔させて、接続突出部30cの個数を最小化することができる。一例として、該当接続突出部30cとバスバー電極34bとの間の距離は、0.1mm〜1.0mmであってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能であることは勿論である。
【0069】
図9では、図2と同様な形状及び配置を有する接続突出部30aが後面電界層30に形成されたことを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、図5乃至図8の様々な変形例が、図9の接続突出部30aに適用可能であることは勿論である。
【0070】
図10は、本発明の更に他の実施例に係る太陽電池の背面部分平面図である。
【0071】
図10を参照すると、本実施例では、フィンガー電極34aに形成される第1接続突出部34cと、後面電界層30の第1部分30aに形成される第2接続突出部30cとを含む。すなわち、本実施例では、第2電極34に第1接続突出部34cが形成され、後面電界層30に第2接続突出部30cが形成される。これによれば、第1部分30aとフィンガー電極34aとの間で相対的に大きいアライメント誤差が発生しても、後面電界層30と第2電極34とを電気的に接続することができる。
【0072】
図10(a)には、アライメント誤差がない場合を例示として示した。そして、図10(b)には、アライメント誤差が発生した場合に、第1及び第2接続突出部34c,30cによって、第2電極34と後面電界層30とが安定的に接続した場合を例示として示した。このように、第1及び第2接続突出部34c,30cを共に備える場合、図10(b)に示すように、第2電極34と後面電界層30との接続をさらに安定的に達成することができる。
【0073】
このとき、第1接続突出部34cの幅、突出長さ及び第1ピッチ、縁部及びバスバー電極34bからの距離は、図2を参照して説明した接続突出部34cの幅W12、突出長さD1及び第2ピッチP21、縁部及びバスバー電極34bからの距離にそれぞれ該当することができる。そして、第2接続突出部30cの幅、突出長さ及び第2ピッチ、縁部及びバスバー電極34bからの距離は、図9を参照して説明した接続突出部34cの幅W22、突出長さD2及び第2ピッチP22、縁部及びバスバー電極34bからの距離にそれぞれ該当する。これによって、図2及び図9を参照して詳細に説明した内容を、本実施例にそのまま適用できるので、別途の説明を省略する。
【0074】
上述したように、全体面積によって太陽電池100の特性に及ぼす影響が、フィンガー電極34aよりも第1部分30aが少ないので、第1部分30aの幅をフィンガー電極34aの幅よりも小さくすることができる。これによって、アライメント誤差に最大限対応しながらも、太陽電池100の優れた特性は維持することができる。
【0075】
また、図5乃至図8の変形例は、第1接続突出部34c及び/または第2接続突出部30cに全て適用することができる。このとき、図10に示すように、第1接続突出部34c及び第2接続突出部30cに同一または類似の構造を適用することも可能である。または、図11に示すように、第1接続突出部34cと第2接続突出部30cとの構造、形状などを異なるようにすることによって、様々なアライメント誤差に対応するようにすることができる。図11では、第1接続突出部34cが図2の形態及び配列を有し、第2接続突出部30cが図7の(d)の形態及び配列を有することを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形態及び配列を有する第1及び第2接続突出部34c,30cが互いに結合されてもよいことは勿論である。
【0076】
図12は、本発明の更に他の実施例に係る太陽電池の断面図である。
【0077】
図12を参照すると、本実施例に係る太陽電池100では、後面電界層30が、第1部分30aと共に第2部分30bを含む選択的構造を有する。具体的に、後面電界層30は、第2電極34と隣接して(一例として、接触して)形成される第1部分30aと、少なくとも第2電極34が位置しない領域に形成される第2部分30bとを含むことができる。第1部分30aは、第2部分30bよりも高い不純物濃度を有するので、第2部分30bよりも小さい抵抗を有し、第2部分30bは、相対的に低い不純物濃度を有するので、相対的に大きい抵抗を有する。
【0078】
このように、本実施例では、第2電極34の間に対応する部分に相対的に高い抵抗の第2部分30bを形成することで、正孔と電子との再結合を防止することができる。これによって、太陽電池100の電流密度を向上させることができる。これと共に、第2電極34(特に、第2電極34を構成する複数のフィンガー電極34a)と隣接する部分に、相対的に低い抵抗の第1部分30aを形成することで、第2電極34との接触抵抗を低減させることができる。すなわち、本実施例の後面電界層30は、選択的後面電界構造によって太陽電池100の効率を最大化することができる。
【0079】
そして、エミッタ層20が、第1電極24と隣接して(一例として、接触して)形成される第1部分20aと、少なくとも第1電極24が位置しない領域に形成される第2部分20bとを含むことができる。第1部分20aは、第2部分20bよりも高い不純物濃度を有するので、第2部分20bよりも小さい抵抗を有し、第2部分20bは、相対的に低い不純物濃度を有するので、相対的に大きい抵抗を有する。
【0080】
このように、本実施例では、光が入射する第1電極24の間の受光領域に対応する部分に、相対的に大きい抵抗を有する第2部分20bを形成することで、浅いエミッタ(shallow emitter)を具現する。これによって、太陽電池100の電流密度を向上させることができる。これと共に、第1電極24と隣接する部分に、相対的に小さい抵抗を有する第1部分20aを形成することで、第1電極24との接触抵抗を低減させることができる。すなわち、本実施例のエミッタ層20は、選択的エミッタ構造によって太陽電池100の効率を最大化することができる。
【0081】
本実施例では、エミッタ層20及び後面電界層30が全て選択的構造を有しているが、本発明がこれに限定されるものではない。エミッタ層20及び後面電界層30のいずれか一方のみが選択的構造を有することも可能である。
【0082】
上述したような特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせ及び変形に係わる内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
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