(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960766
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ニードルシールディングのフラグ構造
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
A61M5/158 500D
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-196719(P2014-196719)
(22)【出願日】2014年9月26日
(62)【分割の表示】特願2009-538512(P2009-538512)の分割
【原出願日】2007年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-240023(P2014-240023A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2014年9月29日
(31)【優先権主張番号】60/867,047
(32)【優先日】2006年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/943,351
(32)【優先日】2007年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲン ブルーノ ハーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン フレデリック ソーン
(72)【発明者】
【氏名】ベント エリック アンデルス ニルソン
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6749588(US,B1)
【文献】
国際公開第2005/079891(WO,A1)
【文献】
実開昭58−92185(JP,U)
【文献】
米国特許第6702595(US,B2)
【文献】
特表2001−514943(JP,A)
【文献】
特表2006−510460(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0070855(US,A1)
【文献】
米国特許第6616630(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管系にアクセスするための血管外システムであって、
カテーテルと、
前記カテーテルを保持するカテーテルアセンブリと、
前記カテーテル内に配置されたニードルと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリであって、前記ニードルが前記カテーテルからいったん取り外されると、前記ニードルの再穿通を防ぐように構成された少なくとも一のフラグを有するニードルシールドを前記ニードルキャップに収納する、ニードル先端シールドアセンブリと
を備え,
前記ニードルが前記カテーテルから取り外される前は、前記カテーテルアセンブリは前記ニードルキャップに結合されており、及び、前記血管外システムが起動されると、前記カテーテルアセンブリは、前記ニードルシールドとともに前記ニードルキャップから分離され、
前記フラグは第1のフラグおよび第2のフラグを含み、
前記ニードルシールドはV−クリップであり、
前記V−クリップは前記ニードルの軸方向に対し垂直な方向に延在する第1のアームおよび第2のアームを含み、前記第1のフラグは前記第1のアームの途中の所定位置に固定され、前記第2のフラグは前記第2のアームの途中の、前記所定位置と対応する位置に固定される、
システム。
【請求項2】
前記第1のフラグおよび第2のフラグは、係合可能なバリアであって、一旦係合すると、前記ニードルがそれを通って穿通することができない係合可能なバリアを形成する、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記フラグと前記ニードルシールドとの間に屈曲をさらに備え、及び、少なくとも一のへこみを前記屈曲にさらに備える請求項1のシステム。
【請求項4】
複数の前記へこみを前記屈曲にさらに備える、請求項3のシステム。
【請求項5】
前記V−クリップが圧縮すると、前記第1のアームは前記第2のアームに接近する、請求項1のシステム。
【請求項6】
前記V−クリップが拡大し前記バリアが係合すると、前記第1のアームおよび前記第2のアームはお互いに離れるように拡張する、請求項1のシステム。
【請求項7】
前記V−クリップは、前記ニードルが該V−クリップの前記第1のアームに隣接する面から引き抜かれた後に拡大する、請求項1のシステム。
【請求項8】
前記第1のフラグおよび第2のフラグは、前記V−クリップが拡張した後に、前記第1のアームと前記第2のアームとの間にバリアを形成する、請求項1のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ニードルシールドアセンブリ及びカテーテルアセンブリとともに使用される装置を含む血管アクセス装置及び方法に関する。一般に、血管アクセス装置は、患者の血管系と流体を流通させるために使われる。例えば、カテーテルは、生理食塩水、種々の薬剤、完全非経口栄養などの流体の患者への注入、患者からの血液の抜き取り、あるいは、患者の血管系の様々なパラメ−タのモニタ−に使われる。
【背景技術】
【0002】
静脈注射(IV)カテーテルの一般的なタイプは、オーバーザニードル(over-the-needle)型末梢静脈カテーテルである。その名前が意味しているように、オーバーザニードル型カテーテルは、尖った遠位先端を有するイントロデューサニードルに装着される。少なくともカテーテルの遠位端部分の内側の表面は、ニードルの外表面としっかりと係合し、カテーテルのピールバックを防止し、カテーテルの血管への挿入を容易にする。カテーテル及びイントロデューサニードルは、カテーテルの遠位先端を越えて、イントロデューサニードルの遠位先端が、患者の皮膚から離れるように対向するニードルのベベルをもつカテーテルの遠位端を越えて延在するように組み立てられる。カテーテル及びイントロデューサニードルは、一般的に、浅い角度で患者の皮膚を通じて血管に挿入される。
【0003】
血管内におけるニードル及び/又はカテーテルの適切な配置を確認するために、臨床医は、一般に、カテーテルアセンブリのフラッシュバック室に血液の「フラッシュバック」が存在するかを確認する。いったん血管へのカテーテルの適切な配置が確認されると、臨床医は、イントロデューサニードル及びカテーテルの末梢部である血管の上の患者の皮膚を押圧して血管に圧力を加えることがある。この指圧力は血管を閉ざし、イントロデューサニードル及びカテーテルを通じたさらなる血液の流れを最小化する。
【0004】
そして、臨床医はイントロデューサニードルをカテーテルから引き抜くことができる。イントロデューサニードルは、ニードル先端をカバーして不測の針刺しを防止するニードル先端シールド装置へと引き戻すことができる。一般に、ニードルシールドは、ハウジング、スリ−ブ、あるいは、ニードルが患者から引き抜かれたときに、ニードル先端がニードル先端シールド内でトラップ又はキャプチャ−されるように設計された他の同様な装置を含む。これらのニードル先端シールド装置の目的は、患者への静脈内のアクセスを提供するために適所に残されている、安全な位置にあるニードルの先端を覆い、それにより、ニードル及びニードルシールド装置がカテーテルから分離された後の針刺しの可能性を避けることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
種々のシステム及び方法が、ニードル使用の後にニードルの先端からの保護を提供するニードル先端シールドを提供するために必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、現在利用可能な血管アクセスシステム及び方法によっては未だ十分には解決されていない当技術分野における問題とニ−ズに応じて開発された。従って、これらのシステム及び方法は、適切なニードル先端保護を保証可能な、より効率的な血管アクセスシステム及び方法を提供するために開発された。
【0007】
患者の血管系にアクセスするための血管外システムは、カテーテル、前記カテーテル内に配置されたニードル、及び/又はニードル先端シールドアセンブリを含むことができる。このニードル先端シールドアセンブリは、ニードルキャップを有することができ、ニードルキャップはニードルシールドを有することができ、そして、ニードルシールドは1つ以上のフラグを有することができる。1つの実施形態においては、フラグは第1のフラグ及び第2のフラグを含むことができる。第1のフラグ及び第2のフラグは、係合可能なバリアを形成することができ、このバリアがいったん係合すると、ニードルはこのバリアを穿通できない。ニードルシールドはV−クリップであってもよい。
【0008】
V−クリップは第1のアーム及び第2のアームを含むことができ、第2のフラグは第2のアームに固定されることができ、一方で、第1のフラグは第1のアームに固定されることができる。V−クリップが圧縮するにつれて、第1のアームは第2のアームに接近することができる。バリアが係合すると、第1のアーム及び第2のアームは、お互いに離れる向きに広がることができる。V−クリップは、当該V−クリップの第1のアームが隣接した表面からニードルが引き抜かれた後に広がることができる。第1のフラグ及び第2のフラグは、V−クリップが広がった後に、第1のアームと第2のアームとの間のバリアを形成することができる。
【0009】
複数のフラグは横方向のバリアであってもよい。第1及び/又は第2のフラグのいずれかは、第1及び/又は第2のアームの中間、前部、及び/又は、後部に配置されることができる。第1のフラグ及び第2のフラグは、お互いのための構造的な支持を提供することができる。第1のフラグを、第1のフラグと第2のフラグとの間の如何なる衝突も避けるために、第2のフラグと間隔をおいて配置することができる。
【0010】
フラグは、フラグ屈曲における1つ以上のへこみの形成により、構造的強化を受けることができる。フラグは単一のへこみを有してもよく、複数のへこみを有していても良い。へこみを、フラグ屈曲に沿って、所望のどんな位置に配置してもよい。
【0011】
患者の血管系にアクセスするための血管外システムを製造する方法は、ニードルを提供すること、カテーテルを提供すること、テーテル内にニードルを配置すること、ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリを提供すること、及び/又は、ニードルをニードル先端アセンブリ内に配置することを含むことができる。ニードルキャップはニードルシールドを有することができ、ニードルシールドは複数のフラグを有することができる。本方法はまた、ニードルシールドの第1のフラグ及び第2のフラグを形成すること、係合可能なバリアを形成すること(このバリアがいったん係合すると、ニードルはこのバリアを穿通できない)、及び/又は、V−クリップとしてニードルシールドを形成することを含むことができる。
【0012】
本方法はまた、V−クリップ内に第1のアーム及び第2のアームを形成すること、及び、第1のアーム上に第1のフラグを、第2のアーム上に第2のフラグの形成することを含むことができる。本方法はまた、V−クリップを圧縮するにつれて第2のアームを第1のアームに接近させることも含むことができる。本方法はまた、V−クリップを広げること、バリアを係合させること、及び/又は、第2のアームから離れる向きに第1のアームを広げることも含むことができる。本方法はまた、V−クリップの第1のアームに隣接した表面からニードルを引く間、V−クリップを広げること、及び/又は、V−クリップを広げた後の第1のアームと第2のアームとの間の第1のフラグ及び第2のフラグによってバリアを形成することを含むも含むことができる。
【0013】
本方法はまた、横方向のバリアとして複数のフラグを形成することも含むことができる。本方法はまた、第1及び/又は第2のフラグを第1及び/又は第2のアームの中間、前部、及び/又は、後部に形成することも含むことができる。本方法はまた、特にニードルが試みられた再穿通の位置に移動した状況において、第1のフラグ及び第2のフラグを方向付けて、お互いのための構造的な支持を提供することも含むことができる。その状況において、フラグは、ニードルが再穿通に向けて前方に進む力に逆らうように、お互いのための構造的なサポートを提供する。本方法はまた、第1のフラグと第2のフラグとの間のいかなる衝突も避けるように第2のフラグから第1のフラグを引き離すことも含むことができる。
【0014】
患者の血管系にアクセスするための血管外システムは、カテーテル、カテーテル内に配置されたニードル及び/又はニードル先端シールドアセンブリを含むことができる。ニードル先端シールドアセンブリはニードルキャップを有することができる。ニードルはニードルキャップ内に配置されることができる。ニードルキャップはニードルシールドを有することができる。ニードルシールドは、ニードルがニードルキャップに再穿通することを保護するためのバリア手段を有することができる。
【0015】
本発明のこれら及び他の特徴と利点は、本発明の特定の実施形態に組み入れられ、以下の説明及び添付された特許請求の範囲からより十分に明らかになり、あるいは、以下に記述される発明の実施によって学習されうる。本発明は、ここに説明された全ての有利な特徴及び全ての利点が本発明の実施形態毎に組み入れられることを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上で列挙された及び他の特徴と利点が得られる方法が容易に理解されるように、簡潔に説明された本発明のより具体的な記述は、添付図面に図解されたその具体的な実施形態を参照することによりに与えられる。これらの図面は本発明の典型的な実施形態を示しているだけであり、従って、本発明の範囲を制限すると考えるべきでない。
【
図2】
図1のカテーテルアセンブリの分解図である。
【
図3】ニードルキャップの環境内のV−クリップとハウジングカバーの斜視図である。
【
図5】2つのフラグを有するV−クリップの斜視図である。
【
図6】2つのフラグを有するV−クリップの斜視図である。
【
図7】2つのフラグを有するV−クリップの斜視図である。
【
図8】2つのフラグ及びフラグの屈曲における一のへこみとを有するV−クリップの斜視図である。
【
図9】2つのフラグ及びフラグの屈曲における複数のへこみを有するV−クリップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態は、図面の参照により最もよく理解され、この図面においては、類似の参照符号は、同一のまたは機能的に同類似の要素を示す。本発明の構成要素は、図において概略的に記述され、図解されているように、多種多様な様々な構成で形成、設計され得ることが容易に理解される。従って、図に示されているような、以下の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限することを意図しているわけではなく、単に、本発明の好適な実施形態を代表している。
【0018】
図1を参照すると、斜視図は、複数の血管アクセス装置の血管外システム10の一例を示している。この例においては、血管外システム10はカテーテルアセンブリ12とニードルアセンブリ20とを含む。カテーテルアセンブリ12は、カテーテル14などの、挿入部分16とアクセス部分18とを有する血管アクセス装置を含む。アクセス部分18は、配置と解放に先がけて、カテーテル14を適所に固定する際に使用するための位置決め溝(図示せず)を含む。また、
図1において、カテーテルアセンブリ12の上に置かれた保護キャップ22が図解される。保護キャップ22は、カテーテル14へのアクセスを提供するアクセスポートをカバーすることもできる。
【0019】
上述したように、
図1はニードルアセンブリ20も図解している。ニードルアセンブリはニードルキャップ24とニードルハブ26とを含む。ニードルハブ26は、ニードル30がカテーテル14から取り外された際に、ニードル先端28を収容するように構成されている。ニードルハブ26はニードル30にしっかりと取り付けられ、患者の血管系内でのニードル30の操作及びカテーテル14の配置に備える。ニードルハブ26は、ニードルハブ26のより確実なグリップ、及び、技術を要するニードル30の操作を可能にするグリップ32を含むことができる。さらに、ニードルハブ26は、装置の端部に取り付けられるプラグ34を含むことができる。
【0020】
ここで、
図2を参照すると、血管外システム10は分解図において図解される。
図1と同様に、カテーテルアセンブリ12及びニードルアセンブリ20が示されている。上述したように、カテーテルアセンブリは、患者の血管系内の配置のためのカテーテル14を含む。カテーテルアセンブリは、カテーテル14の挿入部分16及びカテーテル14のアクセス部分18を含む。アクセス部分18は、患者への流体の注入のためなどのさらなる医療装置または管にカテーテル14を取り付けることができるように構成されている。これに関連して、図解されたカテーテルアセンブリ12は、カテーテル14へのさらなるアクセスを提供するアクセスポートをカバーする保護キャップ22も有する。
【0021】
また、
図2において、ニードル30がカテーテル14から完全に引き出された位置にあるニードルハブ26が図解される。上述したように、図示されたニードルハブ26は、ニードル30を引き出して、その位置を操作する際に使用するためのグリップ32を有する。ニードルハブ26は、また、その近位端部においてプラグ34により閉塞されている。
【0022】
ニードルキャップ24とニードルハブ26との間で伸張するのは、テザー36である。テザー36の長さは、ニードルハブ26が引き出され、ニードル30がカテーテルから取り外されるときに、ニードル30のニードル先端28がニードルキャップ24内に確実に収納されるように選択される。テザー36はアコーディオン形態のように折りたたむことができ、まっすぐな形態または他の所望の形態も取ることができる。
【0023】
図2に示すように、ニードル先端28はニードルキャップ24内に固定される。テザー36は、ニードルキャップ24とニードルハブ26との間で伸張した位置にある。従って、ニードル30がニードルキャップ24から引き出されることが防止される。ニードルキャップ24の内部はまた、ニードル(図示せず)及びシールド58の構造と協働して、ニードルがニードルキャップ24から前に動くことを防止する。シールド58は、クリップハウジングカバー60と同様に、
図2においても図解され、これら両方は以下でより詳細に記述される。
【0024】
図3を参照すると、V字形状のクリップシールド58と、V−クリップハウジングカバー60が、斜視図においてニードルキャップ24の環境内に示されている。シールド58は、第1のアーム62及び第2のアーム64を有するV−クリップである。第1のアーム62は、延長部66の端部においてツメ68を形成している延長部66を含む。第1のアーム62及び/又は第2のアーム64は、V−クリップ58がかみ合った後にニードル先端44の前進を停止可能なニードル先端シールドフラグ70も含むことができる。シールドフラグ70は、ニードル30がキャップ24によりシールドされた後の、鋭いニードル先端44のニードルキャップ24からの再出現を防止するために使用される。
【0025】
血管外システム10を起動する前に、アーム62,64は、ニードル30近くに近接して保持される。この位置においては、ツメはカテーテルアセンブリ12をニードルアセンブリ20にしっかりとロックする。ニードル30が引き出される時には、V−クリップは、アーム62,64が
図3に概略的に示された位置に戻るように解放される。この位置では、カテーテルアセンブリ12は、
図2に示すように、これら2つが分離され得るように、ニードルアセンブリ20から解放される。同時に、以下でより詳細に説明するように、シールドフラグ、またはシールド、フラグ70,72は、それらがニードル先端28による再穿通をブロックするように配置される。
【0026】
図4を参照すると、ニードルキャップ24とともに血管外システム内で使用するためのシールド58の例が斜視図において示される。シールド58は、第1のアーム62及び第2のアーム64を有するV−クリップである。第1のアーム62は、延長部66の端部にツメ68を形成している延長部66を含む。第1のアーム62及び/又は第2のアーム64は、V−クリップ58が係合した後の、ニードル先端44の前進を停止可能なニードル先端シールドフラグ70を含むことができる。シールドフラグ70は、ニードル30がキャップ24によりシールドされた後の、鋭いニードル先端44のニードルキャップ24からの再出現を防止するために使用される。シールドフラグ70はまた、シールド、フラグ、フラップ及び/又はバリアとも呼ばれる。
【0027】
図5を参照すると、ニードルキャップ24とともに血管外システム内で使用するためのシールド58が斜視図において示される。シールド58は、第1のアーム62及び第2のアーム64を有するV−クリップである。第1のアーム62は、延長部66の端部にツメ68を形成している延長部66を含む。第1のアーム62は、
図4に関連して示され、記述されたフラグ70を含む。第2のアーム64は追加のフラグ72を含む。追加のフラグ72は第1のフラグ70とオーバラップし、ニードル40がそこを通って通過することを防ぐ追加のバリアすなわちシールドを提供し、従って、V−クリップ58の穿通を防止する。第2のフラグ72は、第2のアーム64の幅の中央に位置し、薄板から打ち抜かれ、第2のアーム64の中央部分から曲げられている。フラグ70及び/又は72のいずれかの寸法、形状及び/又は位置は、いったんニードル40がニードルキャップ24に引き込まれてV−クリップ58が係合するとニードル先端44の再穿通を防ぐために必要なシールドを提供するために、修正してもよい。
【0028】
ニードル30のニードル先端28がニードルキャップ24のV−クリップ58と一旦係合すると再穿通しないことを保証することは、オペレータ及び/又は臨床医にとって最大限安全なカテーテルアセンブリ10を提供する。様々なニードルキャップ24のための設計パラメ−タは、血管外システムごとに変わるので、例えば、上で
図5において示されたような各種のフラグ構成は、ニードルキャップ24へ進入した後にニードル先端28が再穿通しないことを保証するために好適であろう。例えば、特定のIVカテーテルにおいては、大きい寸法を有するV−クリップフラグは、ニードルキャップ24を再穿通するためにニードル30が通る経路を完全には遮れないことがある。さらに、大きい寸法のニードルは、ニードル先端28を受け止めることを意図するフラグを大きいニードル30のベベルの先端が通過して延びるにつれて、わずかに異なる軌道を形成する可能性がある。さらに、種々のニードル30は、使用中に曲げられることがあり、曲がった、または、まっすぐなニードル30とそれらを囲む環境との間の遊びは、ニードルが、ニードル先端28の再穿通を防止することを意図したフラグを避ける軌道を取ることを可能にすることがある。従って、ニードル先端28がV−クリップ58のアーム62と64の間でそこを通って移動する可能性のある経路の最大限の保護及び/又は保護範囲が好ましい。
【0029】
カテーテルアセンブリ10内でニードル30が完全に伸張されて、V−クリップ58が係合に先がけて圧縮された時には、ニードル30の表面は第1のアーム62と直接的に接触する。アーム62を越えてニードル30の先端28が引かれるように、ニードル30が引き抜かれた後に、V−クリップ58は、その圧縮された位置からバネ力により開く。その開いた位置では、第1のアーム62は第2のアーム64から離れるように延び、フラグ70と72の少なくとも一部分は、フラグ70と72の少なくとも一部分とオーバラップする。その圧縮された位置では、第1のアーム62は第2のアーム64に接近し、かつ、第2のアーム64に対し潜在的に平行になり、フラグ70と72は実質的にオーバラップする。フラグ70と72の長さ及び/又は幅は、フラグ70と72の表面と、対向する個々のアーム62及び/又は64との接触を生じさせうる。V−クリップ58は、V−クリップ58の圧縮された状態において、平行なアーム62と64との間の距離の結果として特定の幅の一のフラグに適合できるだけであるので、ニードル30の先端28がニードルキャップ24を再穿通することから保護するための増加した表面積を提供するためには、複数のフラグが望ましい。従って、V−クリップ58の設計制約はフラグ70よりはるかに大きいフラグを妨げるので、追加のフラグ72や他の追加のフラグは、第1のアーム62と第2のアーム64との間の必要な表面積の範囲を提供する。前述したように、追加のフラグの配置は、具体的な製品構成と使用にあわせて望み通りに修正することができる。フラグは、ニードル先端44がいずれかのフラグの外側に出る全ての可能性を閉じるために、互いに協働する。
【0030】
図6を参照すると、第1のフラグ74は第1のアーム62の前端に配置することができ、第2のフラグ76はV−クリップ58の第2のアーム64の前端に配置することができる。ニードル40の先端28がフラグ74及び/又は76のうちの1つに対して押されるにつれて、第1のフラグ74及び第2のフラグ76は接近し、及び/又は、直接近接し、そのために、2つのフラグは互いの構造的な支持を提供するようになる。しかしながら、フラグ74と76が著しく接近するため、V−クリップ58の製造は難しくなる可能性がある。例えば、フラグ74と76は、互いに受け止めることができ、第2のアーム64へ向かう第1のアーム62の動きを抑制する。著しい接近及び互いのフラグ表面の受け止めを避けるためには、代替の実施形態、例えば、
図5を参照して説明された実施形態及び/又は以下の
図7を参照して説明される実施形態が好適であろう。
【0031】
図7を参照すると、
図5を参照して説明された第1のフラグ70などの第1のフラグ70が第1のアーム62に備わり、第2のフラグ78が、V−クリップ58の第2のアーム64の後端に備わる。第1のアーム62の前端に第1のフラグ70が形成され、第2のアーム64の後端に第2のフラグ78が形成されるので、フラグ70と78とは互いの構造的な支持を提供しない。しかしながら、第1のフラグ70が第2のフラグ78から離れているので、2つのフラグ70と78の表面は、互いに受け止め、交差し、及び/又は、衝突することなく、第2のアーム64へ向かう第1のアーム62の動きを抑制する。
【0032】
従って、本明細書における実施形態は、ニードル先端がニードルキャップ24に入った後に、カテーテルアセンブリ10のニードルキャップ24の外に再出現することまたは再穿通することから、ニードル30の先端28を保護することができる種々の横方向のバリア及び/又はフラグについて記述している。本明細書で示されたこれらの実施形態は2つのフラグだけを含むが、V−クリップ及び/又はカテーテルアセンブリなどの血管外システムのための他のシールドとの関係において、任意の数のフラグを、任意の姿勢、形状、サイズ及び/又は配置で使用してもよい。
【0033】
ここで
図8及び
図9を参照する。これらの図は、第1のアーム62及び第2のアーム64を有するV−クリップ58を含む。V−クリップは、
図4を参照したものと同様にアーム62から延在しているフラグ70も含む。しかし、
図8において説明された実施形態において、フラグ70とアーム62との間のフラグ屈曲82においてへこみ80が形成される。フラグ屈曲82においてそのようなへこみ80を形成することがフラグ70の構造的な強度を増大させることが分かる。
図9は、フラグ屈曲82に沿って複数のへこみを有する同様なV−クリップ58を示している。複数のへこみの数と位置は制限されない。それらは、屈曲82に沿って、いずれの所望の位置にも配置可能である。
【0034】
本発明は、本明細書において広く説明され、また、特許請求の範囲に記載されたように、その構造、方法、または他の必須の特徴から離れずに他の具体的な形態に変更できる。説明された実施形態は、限定的であるのではなく、単に説明に役立っているとすべての点で考えられることである。従って本発明の範囲は、前述の記載ではなく、添付された特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内にあるすべての改変は、その請求の範囲にあると解釈されるべきである。