(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960784
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】オープンシールド工法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
E21D9/06 331
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-255932(P2014-255932)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-113872(P2016-113872A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000189903
【氏名又は名称】植村 誠
(73)【特許権者】
【識別番号】501200491
【氏名又は名称】植村 賢治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】竹川 廣明
(72)【発明者】
【氏名】植村 誠
(72)【発明者】
【氏名】植村 賢治郎
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−064779(JP,A)
【文献】
実開昭54−063904(JP,U)
【文献】
特開2012−122242(JP,A)
【文献】
特開2005−180010(JP,A)
【文献】
特開2009−108571(JP,A)
【文献】
特開2004−176432(JP,A)
【文献】
特開2002−188392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00〜 9/14
E02D 17/00〜 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体をフロント部、ミドル部、テール部となる第1、第2、第3の分割体ブロックとし、フロント部とミドル部とを推進ジャッキとしての第1の推進・牽引ジャッキで連結し、ミドル部とテール部とを推進ジャッキとしての第2の推進・牽引ジャッキで連結するオープンシールド機を使用し、フロント部は、ミドル部とテール部の自重と土圧による摩擦抵抗を反力にして前進させ、ミドル部は、前記第1の推進・牽引ジャッキと第2の推進・牽引ジャッキでフロント部とテール部に反力をとって伸長することで前進させ、テール部は、第2の推進・牽引ジャッキを作動してフロント部とミドル部の分割体ブロックを反力として第2の推進・牽引ジャッキで前方に牽引して前進させるオープンシールド工法において、ミドル部、テール部間に、推進反力をコンクリート函体設置の際にコンクリート函体下に形成するコンクリート函体の敷設基礎を兼ねる反力体より得る推進補助ジャッキを設け、推進ジャッキである第1の推進・牽引ジャッキ、第2の推進・牽引ジャッキを操作する油圧系統に圧力計を設け、圧力計による検知圧力を信号としてPC(パーソナルコンピュータ)に取り込み、PCに予め入力しておいた推進ジャッキの仕様と使用台数により得られるシールド機の推進力がPCに予め入力しておいた一定値を下回った場合に制御信号を発し、推進補助ジャッキ用の操作盤とそのポンプの間のバイパスラインに設けた電磁弁を開いてこの推進補助ジャッキの推進力を加え、推進ジャッキの仕様と使用台数により得られるシールド機の推進力がPCに予め入力しておいた一定値を上回っている場合には制御信号を発し、推進補助ジャッキ用の操作盤とそのポンプの間のバイパスラインに設けた電磁弁を閉じて推進補助ジャッキを作動させないことを特徴とするオープンシールド工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市街地に上下水道、地下道等の地下構造物を施工するオープンシールド工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オープンシールド工法は開削工法(オープンカット工法)とシールド工法の長所を生かした合理性に富む工法であり、このオープンシールド工法のうち、オープンシールド機1の機体を前後方向に複数に分割して、他の分割体ブロックから反力をとってESA工法(ENDLESS SELF ADVANCING METHOD)「無限自走前進工法」と同様の方式で個々に自走して前進する自走式のオープンシールド機1が下記特許文献に示すように、提案されている。
【0003】
なお、ESA工法(ENDLESS SELF ADVANCING METHOD)「無限自走前進工法」は、その原理は、尺取虫の動きに似ていて、尾部を固定(反力)して頭部を前進させる。次に頭部を固定(反力)して尾部を引き寄せるように動いて行く。これを繰り返し行ない前進するもので、複数の(3個以上)のボックスカルバートを貫いてPC鋼線で連結し、各ボックスカルバート間と最後部に油圧ジャッキを設置してESA設備を構成する。ジャッキ圧力は各々のボックスカルバートに伝えるようにする。1つのボックスカルバートを推進する時は、他の複数のボックスカルバートの土圧及び自重による摩擦抵抗力を反力抵抗体として、1函体づつ順次推進して行くものである。
【特許文献1】特開2000−64779号公報
【特許文献2】特開2002−349187号公報
【0004】
これらは、
図2、
図3、
図4に示すように、オープンシールド機1は機体を前後方向に複数に分割するもので、本実施形態では刃口11を先端に有するフロント部1d、ミドル部1e、コンクリート函体4が吊り降ろされるテール部1cの3つに分割し、フロント部1dとミドル部1eとの間に第1の推進ジャッキ12を、ミドル部1eとテール部1cとの間に第2の推進ジャッキ13を、フロント部1dとテール部1cとの間に第3の推進ジャッキ14をそれぞれ配設した。これらの推進ジャッキ12、13、14にはピンジャッキを使用する。
【0005】
前記特許文献2の例では、フロント部1d、ミドル部1e、テール部1cの機体本体の横幅は、ミドル部1eをフロント部1dよりも小さく、テール部1cをミドル部1eよりもさらに小さく形成し、推進方向に対して後方にいくに従い順次小さくなるように形成している。
【0006】
フロント部1dの底部に複数に分割された鋼製のフリクションカッター15を配設し、該フリクションカッター15を前進するためのフリクションカッタージャッキ19をフロント部1dの底部に配設する。
【0007】
ミドル部1eの側部にはアウトキー(スリット)16を側方の地山に張出て地山に貫入させ、地山から反力を得るためのアウトキージャッキ17を配設する。
【0008】
さらに、ミドル部1eの後部に後方のコンクリート函体4から反力を得るためのストッパージャッキ18を配設する。
【0009】
このようなオープンシールド機1を使用するオープンシールド工法は、オープンシールド機1の前進方法は、まず第1工程としてテール部1c内にコンクリート函体4を布設する。
【0010】
次に第2工程としてフロント部1dの底部に配設してあるフリクションカッタージャッキ19を伸長してフリクションカッター15を前進させる。
【0011】
その後、第3工程として第1の推進ジャッキ12を伸長し、フロント部1dのみを第1の推進ジャッキ12のストローク分だけ前進させる。このとき、第1の推進ジャッキ12は後方のミドル部1eとテール部1cの自重と土圧による摩擦抵抗を反力として伸長する。
【0012】
この場合、フロント部1dは前工程で先進させてあるフリクションカッター15の上を前進するから、ともに鋼製のフリクションカッター15とフロント部1dの底部との摺動摩擦となり、フロント部1d掘進のための摩擦抵抗は少なく、フロント部1dは滑るようにして前進できる。このフロント部1dの掘進時、フリクションカッタージャッキ19はリリーフ状態としておき、フロント部1dの推進速度と同速度で戻す。
【0013】
なお、フロント部1dの前進時には側方の地山との間にも摩擦抵抗が生じることから、反力が不足する場合は、ミドル部1eに配設してあるアウトキージャッキ17を伸長してアウトキー(スリット)16を側方の地山に張出て地山に貫入させる。これによりミドル部1eが地山に固定され、反力の増加を図ることができる。
【0014】
前記アウトキー(スリット)16ではまだ反力が不足する場合は、ストッパージャッキ18を後方に伸長して、先端をコンクリート函体4に当接し、これによりフロント部1dの前進時にミドル部1eやテール部1cが後方に戻ることを阻止して、不足分の反力をコンクリート函体4から得る。この場合、ストッパージャッキ18は前記のように不足する反力をコンクリート函体4から得るためのものであり、このストッパージャッキ18で推進することはない。
【0015】
次に、第4工程として第2の推進ジャッキ13を伸長してミドル部1eをフロント部1dの方向に前進させる。
【0016】
このミドル部1eの前進時、第1の推進ジャッキ12はリリーフ状態としておき、ミドル部1eの推進速度と同速度で戻す。また、フロント部1dの推進時にアウトキージャッキ17を使用した場合は、この引き戻しを行う。そして、第2の推進ジャッキ13の伸長ストロークによって中折れ量を確保でき前進方向を修正できる。
【0017】
さらに第5工程として第2の推進ジャッキ13と第3の推進ジャッキ14とでテール部1cを前進させる。このとき、テール部1cは第3の推進ジャッキ14でフロント部1dと直結されているから、容易に引き込める。また、テール部1cはミドル部1eよりもさらに機体幅を狭く形成してあるから、側方の地山との間に摩擦抵抗が生じることはなく、第2の推進ジャッキ13および第3の推進ジャッキ14はテール部1cの自重だけを引き込めばよく、推進は楽に行える。
【0018】
かかる工程を繰り返して複数のコンクリート函体4を縦列に布設する。
【0019】
このように、各分割体ブロックであるフロント部1d、ミドル部1e、テール部1cはそれぞれ推進ジャッキの伸長や牽引により、他の分割体から反力をとってESA工法と同様の方式で個々に自走して前進する。
【0020】
よって、各分割体が単独で容易に方向変換でき、曲線施工も可能となるだけでなく、基本的には後方のコンクリート函体4に反力をとる必要がなく、また、反力壁を設置した発進坑も不要となるから、施工が容易となり工期も短縮できる。特に、自走式のオープンシールド機を用いる利点は、従来のオープンシールド工法およびオープンシールド機では、発進に反力をとるための反力壁を必要とするので、反力壁を設けた発進坑を形成しなければならない。しかも、地中に残置したコンクリート函体4に反力をとって前進するもので、コンクリート函体4はオープンシールド機1の前進のための反力体となり、ジャッキの推力を受けるので、クラックが入り易く、強度が要求される。このクラックの発生は曲線施工を行う際に、左右に推進ジャッキの伸長度が異なり、アンバランスな外力をコンクリート函体4に加える場合に起こり易い。その結果、鉄筋量を多くすることや、鋼板で表面を被覆するなど高価なものとなることが解消できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前記特許文献2では、ミドル部とテール部を前進させる際の、側部の地山との間に摩擦抵抗も低減できて楽に掘進できるものであるが、従来のオープンシールド機の自走タイプは、フロント部である第1ブロック推進時の刃口抵抗が大きく、フロント部の推進は大きな推進推力が必要となり、土質条件等によってはフロント部の前進ができなくなったり、ミドル部とテール部である第2ブロック、第3ブロックが後退してしまう場合がある。
【0022】
前記特許文献2では、フリクションカッターを用いてフロント部の摩擦軽減を図るが、底部のみの配慮であり十分ではなく、フロント部の前進時には側方の地山との間にも摩擦抵抗が生じる。
【0023】
そこで、ミドル部の反力が不足することがあり、その場合は、このミドル部にアウトキージャッキ、アウトキーの配設が必要となる。
【0024】
さらに、前記アウトキーではまだ反力が不足する場合は、ストッパージャッキの配設が必要となり、これを後方に伸長して、先端をコンクリート函体に当接し、これによりフロント部の前進時にミドル部やテール部が後方に戻ることを阻止する。
【0025】
このようなアウトキージャッキ、アウトキーやストッパージャッキの配設を行わなければならないのでは、面倒であり、施工の手順も複雑なものとなる。
【0026】
本発明は前記従来例の不都合を解消し、フロント部、ミドル部、テール部の3分割体ブロック、もしくは2分割体ブロックでオープンシールド機の機体を構成して、他の分割体ブロックから反力をとってESA工法(ENDLESS SELF ADVANCING METHOD)「無限自走前進工法」と同様の方式で個々に自走して前進する場合、周面摩擦が十分に得られない場合でも、抵抗に対して必要最小限の補助反力を推進補助ジャッキにより得られ、かつ、この推進補助ジャッキの要否を機械的に判断し、自動的に作動させることができるので、反力体に不要な負荷を掛けずに施工できるオープンシールド工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、機体をフロント部、ミドル部、テール部となる第1、第2、第3の分割体ブロックとし、フロント部とミドル部とを推進ジャッキとしての第1の推進・牽引ジャッキで連結し、ミドル部とテール部とを推進ジャッキとしての第2の推進・牽引ジャッキで連結するオープンシールド機を使用し、フロント部は、ミドル部とテール部の自重と土圧による摩擦抵抗を反力にして前進させ、ミドル部は、前記第1の推進・牽引ジャッキと第2の推進・牽引ジャッキでフロント部とテール部に反力をとって伸長することで前進させ、テール部は、第2の推進・牽引ジャッキを作動してフロント部とミドル部の分割体ブロックを反力として第2の推進・牽引ジャッキで前方に牽引して前進させるオープンシールド工法において、ミドル部、テール部間に、
推進反力をコンクリート函体設置の際にコンクリート函体下に形成するコンクリート函体の敷設基礎を兼ねる反力体より得る推進補助ジャッキを設け、推進ジャッキである第1の推進・牽引ジャッキ、第2の推進・牽引ジャッキを操作する油圧系統に圧力計を設け、圧力計による検知圧力を信号としてPC(パーソナルコンピュータ)に取り込み、PCに予め入力しておいた推進ジャッキの仕様と使用台数により得られるシールド機の推進力がPCに予め入力しておいた一定値を下回った場合に制御信号を発し、推進補助ジャッキ用の操作盤とそのポンプの間のバイパスラインに設けた電磁弁を開いてこの推進補助ジャッキの推進力を加え、
推進ジャッキの仕様と使用台数により得られるシールド機の推進力がPCに予め入力しておいた一定値を上回っている場合には制御信号を発し、推進補助ジャッキ用の操作盤とそのポンプの間のバイパスラインに設けた電磁弁を閉じて推進補助ジャッキを作動させないことを要旨とするものである。
【0028】
請求項1記載の本発明によれば、PCを使用して推進補助ジャッキの要否を推進補助ジャッキの要否を機械的に判断し、自動的に作動させることができるので、反力体に不要な負荷を掛けずに施工できる。このように掘進抵抗が不足した時も自動的に補助反力が得られるため、遅滞なく施工できる。
【0029】
また、推進補助ジャッキの推進反力はこれをコンクリート函体より直接得るのではなく、コンクリート函体にジャッキ推力を加えることがないのでコンクリート函体を痛めるおそれがない。特に、後方のコンクリート函体に反力をとる必要がなく、また、反力壁を設置した発進坑も不要となるから、施工が容易となり工期も短縮できるという自走前進式のオープンシールド工法の利点を損なわないですむ。
【0030】
さらに、推進補助ジャッキは常時は無負荷に近い状態で反力体にあてがわれ、掘進抵抗が不足した際に反力体を支圧することになる。
【発明の効果】
【0031】
以上述べたように本発明のオープンシールド工法は、フロント部、ミドル部、テール部の3分割体ブロック、もしくは2分割体ブロックでオープンシールド機の機体を構成して、他の分割体ブロックから反力をとってESA工法(ENDLESS SELF ADVANCING METHOD)「無限自走前進工法」と同様の方式で個々に自走して前進する場合、周面摩擦が十分に得られない場合でも、抵抗に対して必要最小限の補助反力を推進補助ジャッキにより得られ、かつ、この推進補助ジャッキの要否を機械的に判断し、自動的に作動させることができるので、反力体に不要な負荷を掛けずに施工できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のオープンシールド工法の1実施形態を説明図であり、前記従来例を示す
図2〜
図4と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0033】
使用するオープンシールド機1も基本構成は従来例と同様であり、先端を刃口として形成し、また側壁板の中央または後端近くに推進ジャッキを後方に向け上下に並べて配設した。
【0034】
本実施形態では、オープンシールド機1は機体を前後方向に複数に分割するものであり、刃口11を先端に有するフロント部1d、ミドル部1e、コンクリート函体4が吊り降ろされるテール部1cの3つの分割体ブロックに分割した。
【0035】
第1の分割体ブロックであるフロント部1dと第2の分割体ブロックであるミドル部1eとの間に第1の推進・牽引ジャッキ12を、ミドル部1eと第3の分割体ブロックであるテール部1cとの間に第2の推進・牽引ジャッキ13をそれぞれ配設した。これらの推進・牽引ジャッキ12、13(以下これらを推進ジャッキAと称する)には端部を回動自在に軸着するピンジャッキを使用する。
【0036】
本発明は、ミドル部1eとテール部1c間に、これらミドル部1eとテール部1cを跨るようにして推進補助ジャッキ19を設けた。
【0037】
この推進補助ジャッキ19は、テール部1cにおいては、コンクリート函体4が吊り降ろされる場所よりも前側で、その伸長ロッドを後方に向けて設置されることになる。
【0038】
図中21は前記第1の推進・牽引ジャッキ12や第2の推進・牽引ジャッキ13(推進ジャッキA)を駆動するための油圧ポンプ、22はその操作盤であるが、これら推進ジャッキAを操作する油圧系統に圧力計23を設け、その圧力検知信号を変換器24を介してPC(パーソナルコンピュータ)25に取り込む。
【0039】
PC(パーソナルコンピュータ)25では、推進ジャッキAの仕様、使用台数に関連する数値、推進補助ジャッキ19が作動する掘進抵抗などが入力され、予め入力しておいた推進ジャッキAの仕様と使用台数を基にした適正推進力である適正設定値と前記圧力計23で計測される実際の推進力とを比較する手段が形成されている。
【0040】
また、図中27は前記推進補助ジャッキ19の油圧ポンプ、28は操作盤、29は、この推進補助ジャッキ19の操作盤28と油圧ポンプ27の間のバイパスラインに設けられた電磁弁で、開閉操作を行う電磁弁29に対する制御信号を前記PC(パーソナルコンピュータ)25から変換器26を介して送るようにする。
【0041】
オープンシールド機1を使用する本発明のオープンシールド工法について説明すると、発進坑を形成しての最初の発進に関しては図示は省略するが、発進坑の土留壁を一部鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進坑の前方部分に地盤改良を施しておき、反力壁を設置し、適宜、ストラットを介在させて、推進・牽引ジャッキAで推進させる。
【0042】
オープンシールド機1を掘進させ、テール部1cにコンクリート函体4を敷設するスペースを確保したならば、コンクリート函体4の敷設スペースの下方で、反力体30を構築する。
【0043】
この反力体30はコンクリート函体4の敷設基礎を兼ねるもので、テール部1c内に砕石を敷き均し、この函体基礎の上にコンクリート板を敷設する。コンクリート板には、現場打設コンクリートによる型枠作成のものを用いてもよいが、PC板(プレキャストコンクリート板)を使用する。
【0044】
該コンクリート板は前に敷設したコンクリート板に接続するように敷設するし、その上に新たなコンクリート函体4をセットするとともに、このコンクリート板の連続体を反力にして推進ジャッキを伸長してシールド機を前進させるものとする。
【0045】
下記表1にオープンシールド機1の推進のサイクルを示す。
【表1】
【0046】
オープンシールド機1の前進方法は、まず第1工程として、フロント部1dの推進として、ミドル部1eとテール部1cの土圧と自重を反力に、推進・牽引ジャッキ12を伸縮(伸長)させることによりフロント部1dを推進させる。なお、バック防止および補助反力として推進補助ジャッキ19を固定して介在させることもできる。
【0047】
第2工程として、ミドル部1eの推進として、フロント部1dとテール部1cの土圧と自重を反力に、推進・牽引ジャッキ12、推進・牽引ジャッキ13を伸縮(推進・牽引ジャッキ12は縮小、推進・牽引ジャッキ13は伸長)させることによりミドル部1eを推進させる。バック防止および補助反力として推進補助ジャッキ19を固定して介在させることもできる。
【0048】
第3工程として、テール部1cの推進として、フロント部1dとミドル部1eの土圧と自重を反力に、推進・牽引ジャッキ13を伸縮(縮小)させることによりテール部1cを推進させる。バック防止および補助反力として推進補助ジャッキ19を固定して介在させることもできる。
【0049】
前記第1工程から第3工程を繰り返し、1函体分オープンシールド機1を掘進させ、同様のテール部1c内に基礎砕石を敷き均し、コンクリート板を設置して、基礎を築造する。
【0050】
オープンシールド機1の後方よりクレーンにてコンクリート函体4を設置する。
【0051】
このようにして、初期段階においては発進立坑の受動土圧により反力を得、ある程度掘進した段階でオープンシールド機1の周面摩擦抵抗から反力を得る。
【0052】
そして、周面摩擦が十分に得られなり場合には、掘進抵抗に対して必要最小限の補助反力を推進補助ジャッキ19から得るようにする。
【0053】
前記PC(パーソナルコンピュータ)25では、圧力計による検知圧力を信号として取り込み、PC25に予め入力しておいた推進ジャッキAの仕様と使用台数により得られるシールド機の推進力がPCに予め入力しておいた一定値を下回った場合に制御信号を発し、電磁弁29を開いてこの推進補助ジャッキ19の推進力を加える。
【0054】
なお、推進ジャッキの仕様と使用台数により得られるシールド機の推進力がPC25に予め入力しておいた一定値を上回っている場合には制御信号を発し、前記電磁弁29を閉じて推進補助ジャッキ19を作動させないものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明のオープンシールド工法の1実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1…オープンシールド機
1c…テール部
1d…フロント部
1e…ミドル部
4…コンクリート函体
11…刃口
12…第1の推進・牽引ジャッキ
13…第2の推進・牽引ジャッキ
15…フリクションカッター
16…アウトキー
17…アウトキージャッキ
18…ストッパージャッキ
19…推進補助ジャッキ
21…油圧ポンプ
22…操作盤
23…圧力計
24…変換器
25…PC(パーソナルコンピュータ)
26…変換器
27…油圧ポンプ
28…操作盤
29…電磁弁
30…反力体