(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960797
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両用屋上アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20160719BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20160719BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20160719BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
H01P5/08 Z
B60R11/02 A
【請求項の数】29
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-503010(P2014-503010)
(86)(22)【出願日】2012年3月15日
(65)【公表番号】特表2014-514834(P2014-514834A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012001164
(87)【国際公開番号】WO2012136306
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2015年1月5日
(31)【優先権主張番号】102011016294.1
(32)【優先日】2011年4月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500387342
【氏名又は名称】カトライン−ベルケ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ミールケ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュタットラー・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブッチャー・フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】フォクト・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】フリッシュ・ヨハン
【審査官】
岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−085386(JP,A)
【文献】
特表2008−534341(JP,A)
【文献】
特開2001−345620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00− 1/52
H01P 5/00− 5/22
B60R 9/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置は、基台(7)を有し、
回路基板(9)は、基台上側(7a)に配置され、
単一又は複数のアンテナ(13a,13b,13c,13d)は、回路基板上側(9a)に設けられ、
少なくとも1本の同軸導線(21)は、回路基板下側(9c)に設けられかつ回路基板下側(9c)から離間して横方向又は垂直に延伸し、
少なくとも1本の同軸導線(21)は、外部導体(27)により包囲される誘電体(25)により包囲される内部導体(23)を有し、
外部導体(27)は、回路基板に電気的に接続されかつ機械的に係止される外部導体円筒を有し、
内部導体(23)は、回路基板(9)に電気的に導通可能に接続され、
基台(7)は、導電性材料により形成され又は導電性材料により被覆される屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置において、
基台(7)は、基台下側(7e)から突出する基台脚部(17)を有し、
基台脚部(17)は、通電可能に又は基台(7)と共に導電層により被覆されて、基台(7)の他の部分と一体に形成され又は結合され、
基台脚部(17)は、基台基部(7)に対して横方向又は垂直に、嵌合方向及び接合方向(Z)に脚部(17)を貫通して形成されかつ少なくとも1本の同軸導線(21)を収容する収容通路(117)を有し、
同軸導線(21)の外部導体(27)の外周面の少なくとも一部は、基台脚部(17)の収容通路(117)の導電性の内壁に対し機械的に圧接されて、同軸導線(21)が基台脚部(17)の少なくとも1つの収容通路(117)内に通電可能に接触して挿入され、
少なくとも1本の同軸導線(21)の他に、同軸導線(21)に対してかつ互いに平行に延伸する複数の個別導線(29b)を有するバス接続線(29)を設け、基台脚部(17)を貫通する別体の収容通路(117)内に個別導線(29b)を収容したことを特徴とする屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項2】
外部導体(27)の外部導体円筒は、回路基板下側(9c)に電気的に接続されかつ機械的に係止される請求項1に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項3】
互いに平行に配置される複数の同軸導線(21)は、回路基板下側(9c)から離間して延伸し、基台脚部(17)内で互いに平行にかつ互いに離間して延伸する複数の収容通路(117)内に各同軸導線(21)を配置した請求項1又は2に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項4】
互いに平行に配置される複数の同軸導線(21)は、回路基板(9)の平面(E-LP)に対して垂直方向に延伸する請求項3に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項5】
脚部(17)内に設けられる少なくとも1つの他の収容通路(117’)内にバス接続線(29)を配置した請求項1〜4の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項6】
少なくとも1つの他の収容通路(117’)は、他の収容通路(117)から分離して脚部(17)内に設けられる請求項5に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項7】
バス接続線(29)は、互いに平行に並置されかつ非導電性の保持ブロック(33)により保持される複数の個別導線(29b)を有し、保持ブロックは、個別導線(29b)の一部を個別に配置する孔を有する請求項5又は6に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項8】
個別導線(29b)の回路基板側の端部は、回路基板(9)に半田付けされる接続端部(29c)を有する請求項7に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項9】
接続端部(29c)は、屈曲する導線端部形式である請求項8に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項10】
それぞれ同軸導体(21)を固定して配置する少なくとも単一又は複数の孔又は収容通路(117)が形成される保持ブロック(33)が設けられ、かつ/又は保持ブロック(33)は、バス接続線(29)を配置する少なくとも1つの収容通路(117’)を有する請求項1〜9の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項11】
回路基板下側(7e)上に保持ブロック(33)を係止した請求項10に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項12】
回路基板側に突出する小脚、ピン又はリブ(33a)を介して回路基板下側(7e)上に保持ブロック(33)を係止した請求項11に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項13】
基台(7)の基台底(7b)に形成される切欠又は凹部(133)内に少なくとも一定の高さで摺動不能かつ/又は回動不能に保持ブロック(33)を配置した請求項10又は11に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項14】
少なくとも1本の同軸導体(21)及び/又はデータ接続(29)は、回路基板(9)とは逆側で保持ブロック(33)を越えて延伸し、保持ブロック(33)を越えて延伸する少なくとも1本の同軸導線(21)及び/又は保持ブロック(33)の保持ブロック拡幅部(33c)及び保持ブロック拡幅部内に配置されるデータ接続(29)を脚部(17)内の該当する収容通路(117乃至117’)内に配置した請求項10〜13の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項15】
少なくとも1本の同軸導線(21)の回路基板(9)とは反対側の端部に、接続具内部導体(37a)を有する接続具(37)を接続し、接続具(37)の内部導体(37a)を同軸導体(21)の内部導体(23)に通電可能に接続し、脚部(17)の孔(40,41)内に接続具(37)の外部導体(37c)を機械的に挿入して、脚部(17)に通電可能に接続した請求項1〜14の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項16】
脚部(17)を構成する材料に形成された孔(40,41)内に接続具(37)の外部導体(37c)を圧入し又はねじ連結した請求項15に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項17】
内部導体(37a)を包囲する誘電体(37b)により接続具(37)の内部導体(37a)を保持した請求項15又は16に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項18】
対応する同軸導線(21)の軸方向延伸に対して径方向、横方向又は垂直に接続具(37)の長手方向を配置した請求項15〜17の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項19】
回路基板(9)とは反対側の同軸導線(21)の端部に設けた屈曲接続部を接続具(37)に接続し、同軸導線(21)の軸方向延伸に対して径方向、横方向又は垂直に接続具を配置した請求項1〜18の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項20】
接続具(37)の内部導体(37a)の長手方向延伸に対して径方向に延伸する孔、スロット又は開口部(39)を内部導体(37a)に形成し、組立状態では、同軸導体(21)の内部導体(23)が開口部(39)を貫通する請求項19に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項21】
接続具(37)の内部導体(37a)と同軸導線(21)の内部導体(23)とは、脚部(17)内に延伸し、脚部(17)は、同軸導線の保護材及び/又は外部導体となる請求項15〜20の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項22】
接続具(37)の内部導体(37a)と同軸導線(21)の内部導体(23)との間の接続領域(37’a)を誘電体となる空気で包囲した請求項19〜21の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項23】
少なくとも1つの接続具(37)及び/又はバス(29)の接続端部に、接続構造体(インターフェース)を有する電子装置(3)を接続でき、接続具(37)の軸方向の延伸に対して平行な平面を有する回路基板(109)を電子装置(3)に設けた請求項15〜22の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項24】
回路基板(9,109)に対して平行な差込及び接合運動(S)により、電子装置(3)を接続具(37)に接続できる請求項23に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項25】
回路基板(9)に対して垂直な接続運動により、少なくとも1つの接続具(37)及び/又はバス接続線に電子装置(3)を嵌合接続できる請求項23又は24に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項26】
案内部(17d)を有しかつ基台脚部(17)を固定する固定装置が設けられ、組立状態では、脚部(17)の延伸長手方向に対して横方向又は径方向に案内部(17d)を電子装置(3)の対応するガイド装置(3c)に嵌合又は係合できる請求項23〜25の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項27】
案内部(17d)は、脚部(17)の2つの対向する側壁(17e)に形成される請求項26に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項28】
回路基板(9)の反対側で少なくとも1つの同軸導線(21)の軸方向延長上で、脚部(17)の孔(40,41)内に接続具(37)を圧入し又は接続した請求項15〜17の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【請求項29】
少なくとも1本の同軸導線(21)の軸方向の延長上で、脚部(17)に形成された開口部又は孔は、導電性材料で被覆された閉鎖キャップ(17c)により閉鎖され、脚部(17)内の開口部(17b)内に閉鎖キャップ(17c)を圧入し又はねじ連結した請求項1〜28の何れか1項に記載の屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載する屋上アンテナ装置又は接続装置を有する車両用屋上アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動可能な無線領域内での動作に適すると同時に、ラジオ番組の受信に適する車両(自動車)用屋上(ルーフトップ)アンテナ装置は、今日特に車両技術に多用されている。また、現行規格によるGPS(グローバルポジショニングシステム)受信器を構成して車両の現在位置を決定する受信システム(衛星測位システム)も車両用屋上アンテナ装置内に通常収容される。
【0003】
この種の車両用アンテナ装置は、通常車両に取り付けられかつ適切な基台上に取り付けられるアンテナフードを有するアンテナハウジング内に収容される。回路基板は、基台に対して通常平行に基台に取り付けられ、その後、各アンテナ要素が基台上に位置決めされ、回路基板に電気的に接続される。
【0004】
通常、組込可能な適切な機械的保持部材により下方の車両室内から適切な箇所に自動車アンテナ装置を取り付けることができる。その場合に、通常車両の屋根に形成される開口部に通して必要な配線(ケーブルハーネス)を回路基板に接続できる。その場合、少なくとも1本の配線(ケーブル)、好ましくは同軸ケーブルがアンテナ毎に通常設けられる。
【0005】
また、ケーブルハーネスの終端側に設けられる必要な数の他のプラグコネクタをアンテナ装置の接続構造体(インターフェース)に接続し、アンテナハウジングに必要な数の同軸プラグコネクタを搭載して、取付工数と配線工数を削減する自動車用屋上アンテナ装置が公知である。
【0006】
その限りでは、比較可能な構造を有する同様な屋上アンテナ装置は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3又は特許文献4からも公知である。
【0007】
固定装置を有するアンテナ装置は、特許文献5からも公知である。自動車用屋上アンテナ装置の外枠は、自動車用屋根内の開口部を通して自動車の内部に導入されて、例えば把持装置により自動車の内部に固定される固定部を有する。
【0008】
その場合に、屋根の開口部に挿通できる枠内で、基部に固定され配置される少なくとも1つのプラグを有する複数の高周波(HF)又は無線周波接続具が設けられる。また、ケーブルハーネスに取り付けられる接続具を無線周波接続具に装着することができる。
【0009】
しかしながら、特に自動車屋根の下方の組込空間は、通常極めて低いので、比較的高く構成される取付装置の全体構造が、常に問題となる。
【0010】
特許文献6は、基台部分に対して平行な上方に回路基板を有する自動車用の高集積の多周波帯フカヒレアンテナ装置を開示する。
【0011】
先行側中央と後続側に側部領域に向かって変位して回路基板に設けられるプラグ接点に自動車内側の下方からプラグコネクタを装着することができる。
【0012】
また、回路基板に接続されて回路基板から垂直に離間して延伸する個別の3本の接続導線は、隣接して配置される2つのプラグコネクタ間に設けられ、矩形のプラグハウジングに接続される。
【0013】
また、特許文献7は、車両アンテナ装置の構造と車両アンテナ装置の係止法を示す。特許文献7の車両アンテナ装置は、基台と、基台上側に設けられる回路基板と、回路基板に接続されて基台から下方に延伸する少なくとも1本の同軸導線とを有し、共通に通電可能に材料の接続により基台部に外部導体を固定することが好ましい。内部導体は、誘電体を介して分離して同軸の外部導体内に配置される。その代替実施の形態では、まず製造時に材料の結合により外部導体を基台部に結合して固定し、全部形成した後に、外部導体を機械的に分離して絶縁することが好ましい。
【0014】
ばね接点により回路基板に接続される外部導体と同様に、内部導体は、基台の上方に配置される回路基板に接続される。
【0015】
下方に延伸する少なくとも1つの同軸の外部導体は、最終的にプラグハウジングにより保護され被覆され、他の形成工程で、射出法により外部導体の周囲にプラグハウジングを形成することができる。また、プラグハウジングを別に形成して、外部導体上に取り付けることもできる。
基本概念を形成する自動車用屋上アンテナ装置は、国際公開第WO2006/108624A1号公報から知られている。このアンテナ装置は、基台と基台上に配置された回路基板を有し、単一又は複数のアンテナ装置が回路基板上に設けられる。回路基板の下側で回路基板から離間する方向に1本又は複数本の同軸導線を案内することができる。同軸導線の外部導体は、回路基板側で、好ましくは回路基板下側に電気的に接続され、機械的に係止される外部導体円筒を有する。同軸導線の内部導体は、回路基板上に通電可能に接続され、基台は、導電性材料により成形され又は導電性材料が被覆される。
【0016】
また、高周波(HF)信号用のプラグ装置は、特許文献8に開示される。特許文献8は、1本又は複数本の同軸導体が貫通する基台又は基台に類似する板構造を有する部品を示す。その場合、材料結合により部品の壁に堅固に外部導体を固定することが好ましい。
【0017】
特許文献8では、基台と外部導体との材料結合により通路を形成し、その通路は、コイルばねを介して互いに結合される2部分に分割され、その通路内に収容される内部導体は、外部導体の内部に延伸する。基台に堅固に結合される外部導体の他に、他の付加的な基台部分は設けられない。
【0018】
それに対して、高周波(HF)接続装置を有する改良された自動車アンテナ装置は、特許文献9乃至特許文献10から公知である。
【0019】
基本概念を開示する前記特許文献では、少なくとも幾つかの同軸のプラグコネクタに嵌合(差込)方向に延伸する突出部又は必要な突出部を備える導電性の付加部分が設けられ、例えば回路基板の挿入孔内に突出部が延伸して、回路基板に対するプラグコネクタ装置の良好な機械的固定を実現できる。プラグコネクタを挿入孔に完全に接触できることが好ましい。通常、回路基板に形成される大面積の電位面又は接地面に突出部の端部を半田付けして、導電性の被覆体が形成される。それにより、電気的接地接続のみならず、回路基板を有する集積された同軸のプラグコネクタとプラグコネクタ装置との間の堅固な機械的結合も達成される。
【0020】
高周波(HF)用内部導体は、回路基板に形成される孔を通して回路基板上側に突出せず又は回路基板上側を越えて突出せず、回路基板下側とリフローにより平坦に半田付けされるので、前記特許文献では、例えば、標準セラミックパッチアンテナ装置をプラグコネクタ装置の上方に、即ち、回路基板の反対側にプラグコネクタの内部導体の端部を配置し、半田付け領域内に位置決めすることができる。
【0021】
また、特許文献11では、アンテナハウジングに設けられる嵌合(差込)型接続構造体内に必要な数の第1の同軸プラグコネクタを固定し、また、他のプラグコネクタにより第2の同軸プラグコネクタを保持して、全同軸導線の電気的な接続部を形成して相互に両プラグコネクタを嵌合・装着することができる。
【0022】
2つ又はそれ以上の同軸のプラグコネクタを装着することが、常に許容誤差問題となるので、特許文献11では、嵌合接続構造体に保持されて位置決めされるプラグコネクタを、特に弾性ばね部材を使用してばね変位可能に組み込み、位置決めすることが提案される。第2の同軸プラグコネクタは、所定の各位置に許容誤差偏差に合わせて予め位置決めされ、その位置から平面内で差込方向に対して垂直に弾性的にばね変位して変位可能に配置される。
【0023】
また、特許文献12は、自動車アンテナ装置の組込方向に対して横方向に、通常自動車用屋根に対して平行に接続構造体が延伸する車両室内用プラグコネクタを示す。同軸プラグコネクタは、車両屋根に対して平行に延伸するケーブル端子から導出される線状導体(ストリップライン)形式の信号導体素子を有し、信号導体素子は、垂直に配置された他の同軸プラグコネクタに接続され、自動車用屋根に設けられるアンテナ装置への同軸接続具を形成する。
【0024】
また、特許文献13と特許文献14は、車体薄板外部のアンテナ装置と車体薄板内部の第2のアンテナ装置形式の他の構成要素とを有するアンテナ上部構造を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】独国特許出願公開DE4336191A1号公報
【特許文献2】独国実用新案第DE29500961U1号公報
【特許文献3】独国特許第DE2032619号公報
【特許文献4】独国特許第DE102004046979号公報
【特許文献5】国際公開第WO2006/087225A1号公報
【特許文献6】独国特許出願公開第DE102009051605A1号公報
【特許文献7】独国特許出願公開第DE102007050109A1号公報
【特許文献8】独国実用新案第DE202004015503U1号公報
【特許文献9】欧州特許第EP1801932B1号公報
【特許文献10】独国実用新案第DE202005020107U1号公報
【特許文献11】独国実用新案第DE202005004658U1号公報
【特許文献12】独国実用新案第DE202004004658U1号公報
【特許文献13】欧州特許第EP1903632B1号公報
【特許文献14】欧州特許第EP1863119B1号公報
【特許文献15】独国特許出願公開第DE102006025176A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
前記公知技術に対し、本発明の課題は、高い機械的安定性を有すると同時に、良好な電気的接続及び結合可能性を有し、屋根の下方、特に自動車用屋根の下方に極力小型又は最小の組込空間で設置できる改良された屋上アンテナ装置又は自動車用屋上アンテナ装置を提供することにある。この課題は、本発明では、請求項1に記載される特徴により解決される。本発明の好適な実施の形態は、下位請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の技術的範囲内では、屋上アンテナ装置は、特に高周波(HF)用接続装置により、屋根の下方に設けられ、場合により他の回路基板を有する内部ユニット(電子装置)に対して極めて効果的に接続することができる。同時に、必要な取付開口部及び車両外殻の下方の接合空間の大きさを最小限に抑制して、アンテナ装置形式の外部ユニットと、外部ユニットから導出される同軸−及び高周波(HF)導線(従来技術とは異なり、別々に敷設する必要がない)を実現できる。また、屋上アンテナ装置と内部ユニットとの直接接続の副次効果として、比類ない解決法で形成されて、通常車両内のいずれかに取り付けられる車両内の他の内部ユニットへの極めて長い(取付費用を要する)同軸導線を省略できる。
【0028】
その場合に、本発明の技術的範囲内では、ある程度の許容誤差が発生しても、接続(カップリング)不具合を確実に回避して、同軸導線の最適化高周波(HF)特性を実現できる。
【0029】
本発明による解決法では、特に、前記のように、電子的な内部ユニット(例えば電子信号乃至HF信号の処理に用いられる)をアンテナ装置から離間して車両内に収容する(離間収容に長い導線を要する)必要はなく、車両用屋上アンテナ装置を配置する車両外殻の下方の屋根開口部を通過する脚部の領域内に電気的及び電子的構成要素を直接位置決めして接続できる他の利点が得られる。
【0030】
回路基板に電気的に接続されかつ回路基板に機械的に連結される(車両用屋根の反対側のアンテナ外枠上に回路基板が通常設けられる)、本発明に使用する高周波(HF)接続装置の垂直領域は、既知の内部導体と、内部導体を包囲する誘電体と、外部導体とを備える同軸導線を有し、小型に寸法設計されるピン形式の脚点を介して回路基板に外部導体を半田付けして機械的に結合することが好ましい。
【0031】
本発明の技術的範囲内では、外部導体の遮蔽体としてアンテナ装置の外枠を使用して、改良された機械的な保持及び電気的遮蔽体を実現できる。この目的に対し、車体に形成される取付開口部を通して下方に延伸する外枠の一部は、連結プラグソケット用の支持体及び保持装置として用いられる。連結プラグソケットは、外部導体と、内部導体と、誘電体とを備え、嵌合(差込)方向又は接合方向に延伸して外枠内に形成される(垂直の)必要な通路内に連結プラグソケットが圧入され、圧入嵌合構造により、外部導体は、通路内に機械的に堅固に係止されかつ保持され、外枠の延長部は、通電可能接触により遮蔽体としてかつ/又は外部導体としても用いられる。
【0032】
本発明の特に好適な実施の形態では、プラグコネクタへの90°の屈曲接続部を形成する接続構造体(インターフェース)が同軸導線の下方の各端部に設けられ、接続構造体を介して、例えば、車両外殻(通常車両用屋根)に対して、多少の差があってもほぼ平行に移動して嵌合(差込)操作により、車両内部ユニット(電子装置)をアンテナ装置に接続することができる。この場合も、車両用屋根の取付開口部を貫通する外枠の脚部は、遮蔽体を形成する。
【0033】
その場合に、本発明の技術的範囲内では、回路基板から延伸する外部導体は、接合過程間に−前記のように−外枠の脚部内、即ち外枠の脚部の垂直に形成される通路内に圧入され、外枠に対して通電可能に外部導体を連結することができる。前記のように、第1の内部導体(垂直領域)に対して好ましくは直角に配置される後続の内部導体(水平領域)(回路基板から延伸する第1の内部導体(垂直領域)に対して径方向かつ好ましくは直角に、即ち車両の取付開口部を有する外殻に対して多少の差があってもほぼ平行に延伸する)に形成されるスロット(挿入孔)内に第1の内部導体(垂直領域)の先行する尖端を圧入して、第1の内部導体(垂直領域)を後続の内部導体(水平領域)に接合し接触させることができる。その場合に、互いに直角に配置される第1の内部導体と後続の内部導体との間の接続領域内にある空気は、通常誘電体となる。
【0034】
また、下方に配置される屈曲部を有しかつ互いに平行に延伸する複数のデータ線を介して、例えば複数のデータ線形式のバス接続線を形成でき、車両アンテナ装置の回路基板へ通じる垂直領域に対して直角、即ち水平にデータ線の端部が配置される。
【0035】
同軸導線とデータバスの端部は、角度90°屈曲する屈曲接続部を介して延伸し、車両外殻の内側には、高周波(HF)信号を処理する他の電子組立体を収容する平坦な構造の電子装置のハウジングが配置され、例えば、水平の嵌合(差込)方向に電子装置のハウジングを水平に移動して、同軸導線とデータバスとに直接接続することは、問題なく可能である。
【0036】
従って、本発明は、特に、電気信号と高周波信号を処理する車両内部ユニットを高周波接続可能に電気的に接続できる屋上アンテナ装置に関する。全装置を収容可能な組込空間条件を考慮して、アンテナ装置に内部ユニットを直接接続できることが好ましい。本発明の技術的範囲内では、特に車両外殻と対応する車両天井との間に最小の空間しか確保できなくても、車両外殻内の最少の取付開口部で内部ユニットとアンテナ装置との接続を実現することもできる。
【0037】
その場合に、好適な実施の形態では、角度90°の屈曲接続部が設けられ、車両アンテナ装置から下方に延伸する脚部を車両外殻の取付開口部内に配置し、データ処理及び高周波処理に用いられる内部ユニットを、脚部の取付方向に対して好ましくは直角の接合方向に移動して、車両アンテナ装置の接続端子に接続することができる。
【0038】
また、本発明の技術的範囲内で、個別構成要素の許容誤差を最小限に抑制するプラグブロックに個別プラグを纏めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図面について本発明を以下詳細に説明する。
【0040】
【
図1】屋上アンテナ装置及びそれに接続できる内部ユニットを図式的に示す斜視図
【
図2】特にアンテナ装置のハウジングカバーを除去して、複数の構成要素を示す
図1と同様の斜視図
【
図3】アンテナフードを除去したアンテナ装置を車両内部ユニットに接続した図式的に示す側面図
【
図4】アンテナ装置及びそれに接続すべき車両内部構成要素又は重要な交換可能な車両内部部品を示す分解斜視図
【
図5】車両用屋上アンテナ装置を取り付ける取付開口部を示す車体薄板(車両外殻)の部分斜視図
【
図6】6本の個別導線を有するバス接続構造を示す斜視図
【
図7】3本の同軸導線と、保持ブロックを介して機械的に保持されるデータ接続構造とを示す斜視図
【
図8】内部ユニットの対応する接続具に接続される同軸導体の接続装置(カップリングユニット)を有する本発明のアンテナ装置の断面図
【
図9】並置された同軸導体の内部導体を通りかつ
図8に示す断面に対して直角な平面の断面図
【
図10】
図10aは、外枠に内蔵されるデータ接続用のプラグハウジングを部分的に示す斜視図、
図10bは、データ接続用プラグハウジングに接続するソケットプラグの図式的斜視図
【
図11】
図11aは、アンテナ装置と車両内部ユニットとを有する本発明による構造を図式的に示す断面図、
図11bは、
図11aのXIb−XIb線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、車両の屋根に形成される透孔の領域内で電子装置(内部ユニット又は内部モジュール)3に直接電気的に接続して最終的に取り付けるアンテナ装置(アンテナモジュール)1、即ち特に屋上アンテナ装置又は車両アンテナ装置1を示す本発明の第1の実施の形態の斜視図を示す。
【0042】
図示の実施の形態では、アンテナ装置1は、通常通り電磁波を透過するアンテナフード5aを有するアンテナハウジング5を備える。
【0043】
図示の実施の形態では、アンテナフード5aは、通常のように、金属製又は他の導電性の材料により構成され又は導電性材料を有する基台又は外枠7上に取り付けられ又は堅固に固定される。図示の実施の形態では、基台又は外枠7を金属製鋳造部品により構成することが好ましいが、同様に、切削加工品又は射出成形可能な導電性樹脂製品としても構成できる。
【0044】
図2は、
図1に示すアンテナハウジング5のアンテナフード5aを除去して、車両用屋根の下方又は底部に取り付けられる車両側の電子装置3に取り付けられるアンテナ装置1の斜視図を示す。
【0045】
図3は、アンテナ装置1に接続されかつアンテナ装置1に取り付けた内部回路を構成する電子装置3に対し垂直に延伸する垂直平面Eに平行な断面を示し(例えば、回路基板9又はアンテナ13a,13bの一方又は両方を垂直平面E内に又はそれに平行に配置できる)、平面Eは、回路基板9の平面E-LPに垂直なアンテナハウジング5の中心垂直平面に相当する。
【0046】
従って、基台又は外枠7に対して平行にかつ基台又は外枠7の上側7aに回路基板9が配置され、通常のように、基台−外枠7の横寸法及び縦寸法より小さい横寸法と縦寸法を有する外側輪郭9aが回路基板9に設けられる(
図3及び
図4)ので、基台7に取り付けられるハウジングフード5aは、基台7上に固定されて、回路基板9を完全に包囲しかつアンテナハウジング5の内部空間5b内に回路基板9を収容する。
【0047】
種々の設備を動作させる単一又は複数のアンテナを回路基板9の上側9b上に設けることができる。
【0048】
この場合、例えば、垂直に直立する他の回路基板13’a形式で回路基板9上に設けられる第1のアンテナ13aに、例えば、移動式(モバイル式)無線通信に適合して送信と受信に要する金属化表面を形成することができる。
【0049】
また、同様に、回路基板9に対して垂直に直立して配置される第2のアンテナ13bを他の回路基板13’b形式で回路基板9上に設けて、走行方向前方に配置される先行する第1のアンテナ13aとは異なり、走行方向に後続する後方領域内に第2のアンテナ13bを配置して、他の設備動作の実施に使用することができる。
【0050】
更に、例えば、通信衛星放送番組の受信に用いられかつ特に通信衛星を介して放射されるラジオ番組を受信するパッチアンテナ形式の第3のアンテナ13cが、第1のアンテナ13aと第2のアンテナ13bとの間に設けられる。
【0051】
図2及び
図3に示す実施の形態では、第1のアンテナ13aの第1の回路基板13’aの切欠部13”の下方領域に配置されるGPSアンテナ、即ち、第4のアンテナ13dは、基台7に対して平行に延伸する回路基板9上に位置決めされかつ回路基板9に電気的に接続され、ほぼ正方形の上面外形を有する。
【0052】
外枠又は基台7は、基部又は底部7bと、基部又は底部7bから上方にかつ基部又は底部7bの外周に沿って一周して所定の高さで隆起する周縁部7cと、周縁部7cの頂部に形成される上縁部7aとを有する。底部7bと回路基板9の下側9cとの間で隆起する周縁7cにより収容空間12(
図4)が形成され、回路基板9上の配線導体に電気的に接続される電気部品及び電子部品は、収容空間12内に収容される。
【0053】
図4は、アンテナ装置1と、アンテナ装置1に接続すべき重要な電子装置3の分解斜視図を示す。
図4では、基台又は外枠7に一周する周縁部7cに加えて、周縁部7cの上縁部7aとほぼ同一高さに通常底部7bから垂直に直立して隆起する多数の基台隔壁(ウェブ)7dが金属製の外枠、即ち基台7の底部7bに設けられ、基台隔壁7dにより、本来の収容空間12を種々の複数の収容空間領域12aに分割することができる。従って、複数の収容空間領域12aを互いに遮蔽する基台隔壁7d(基台7の一部を形成し、同様に導電性材料により構成され又は導電性材料により被覆される)により、複数の空間領域12aは、互いに分離される。
【0054】
図4に示すように、脚部又は係止部17は、例えば、統合された金属部分として基台7全体と一体に(即ち材料結合で)固定されて、基台下側7eに形成され、底部7bの下側から下方に突出する。別法として、本来の基台7から分離して形成した脚部又は係止部17を、その後、機械的及び通電可能に基台7に接合することもできる。従って、装置全体と、基台7及び脚部又は係止部17の構造を複数の異なる部分に分割して形成し、その後、機械的及び通電可能に各部分を結合すれば、基台7と同様に、脚部又は係止部17を遮蔽部材とし、同時に外部導体としても作用する。
【0055】
一般的に車両外殻(ボディ)の屋根16には、
図5に示す取付開口部15が通常形成され、最終的に車両の屋根16にアンテナ装置1を取り付けるとき、基台7の底部7bを越えて下方に延伸する脚部又は係止部17を取付開口部15内に配置して、車両内部に脚部又は係止部17を突出させて、アンテナ装置1の基台7を車両の屋根16上に載置又は配置することができる。
【0056】
図4及び
図7に示す実施の形態では、互いに平行に配置される複数、即ち3本の同軸導体21は、回路基板9の下側9cから下方に延伸する。
【0057】
図示の実施の形態では、各同軸導体21は、内部導体23と、内部導体23とは延伸長さが相違しかつ長手方向の段を形成して内部導体23を包囲する誘電体25と、誘電体25を収容する外部導体27とを有する。
【0058】
図示の実施の形態では、円筒状の各外部導体27の周方向に互いに変位して配置される外部導体27の4つの脚部又はピン27aは、回路基板9側に向かって上方に突出し、即ち、回路基板9をピン27aに接近する方向(Z)とは逆方向(回路基板9に対して垂直)に延伸し、回路基板9上の接続箇所に設けられる孔内にピン27aを嵌合して、半田付けにより回路基板9にピン27aを接合し、固定することができる。
【0059】
外部導体27と同様に、内部導体23は、通常回路基板9の対応する孔を通して延伸して、回路基板9に接続されるか又は回路基板9の下側9c上に内部導体23の端面を直接接続し、内部導体23は、接続される接点で回路基板9に半田付けされる。
【0060】
前記のように、各同軸導体21の内部導体23と外部導体27は、通電可能に回路基板9に接続されるので、各同軸導線21は、回路基板9に電気的に接続されかつ機械的に保持される。特に金属製円筒体又は金属製管として形成される外部導体27は、周方向に変位して配置される複数の係止脚又はピン27aにより、堅固にかつ安定して回路基板9に通電可能に接続され、しかも、機械的にも強固に回路基板9に固定され、同軸導体21全体が比較的安定して回路基板9に整合して保持される。
【0061】
また、
図6に示す実施の形態では、例えば、互いに離間して保持される6本の個別ワイヤ又は個別導線29bを有する複数のデータ線29a形式のバス接続線又はバス29が設けられる。本明細書では、用語「バス」、「バス接続線」又は「バス構造」の概念は、未被覆のデータ線、信号線及び/又は電圧供給線を意味し、少なくとも1本、好ましくは複数本の個別データ線を有する。図示の実施の形態では、6本の個別導線29b(並置された3本の個別導線29bをそれぞれ有する2列で形成される)を有するデータバス29aは、3本の同軸導線21に直接隣接して接続される。
【0062】
バス接続線29のデータ線29a,29bは、実際に信号伝達又は電流伝達に用いられ、同軸導線21、特に内部導体23は、高周波(HF)信号の伝達、特に様々な設備動作信号の伝達に用いられる。
【0063】
また、特に
図7、
図8及び
図9の中、
図7は、並置された3本の同軸導線21と、同軸導線21に隣接して配置されたバス接続線29の下部の斜視図を示し、同軸導線21とバス接続線29は、下記に詳述する保持ブロック(樹脂製支持体)33内に部分的に配置され、保持されかつ固定される。
図8は、各同軸導体21の最終的な組立状態、配置状態、取付状態の断面図を示す。
図9は、内部導体23とデータ接続線29aの各中心軸及び保持ブロック33の長手方向中心を通る
図8の断面図に対して直角の他の断面図を示す。
【0064】
従って、非導電性の絶縁体、例えば樹脂材料により保持ブロック33を形成し、図示のように、回路基板9に隣接して保持ブロック33により各同軸導線21、即ち同軸導線21の外部導体27を保持し、保持位置を調整することが好ましい。回路基板9に向かって保持ブロック33から突出する複数の凸部、軸部又は突起33aを同様に回路基板9の対応する孔内に嵌合して、更にずれ及び捩れに対して保持ブロック33を固定することができる。また、保持ブロック33の対応する孔33b内に挿入される同軸導体21の互いに対する側方のずれ、任意方向の湾曲若しくは屈曲に対して又は装置全体のずれ、湾曲、屈曲若しくは捩れに対しても、その上、同軸導体21を機械的に固定しかつ保持することができる。
【0065】
このように、下方に延伸する同軸導線21と、バス接続線29と、保持ブロック33とが回路基板9に設けられ、その後、基台7の底部7bの対応する凹部133内に保持ブロック33が嵌合されて、回路基板9は、外枠乃至基台7上に嵌合され、基台7の底7b内の凹部133の縦寸法と、横寸法と、付与形状は、保持ブロック33の縦寸法と、横寸法と、付与形状に少なくともほぼ相当するので、保持ブロック33の周面輪郭の少なくとも一部は、基台7の底部7bの対応する凹部133内に嵌合されて、回路基板9のずれ又は捩れが阻止されて、回路基板9は、基台7に対して確実に保持される。
【0066】
同軸導線21は、
図7に示す保持ブロック33を越えて
図4及び
図8に示すZ方向(下方)に延伸し、同軸導線21と同様に、保持ブロック33の拡幅部33cは、保持ブロック33を越えてZ方向に延伸(保持ブロック33の拡幅部33cの内部に形成される長手通路内を貫通するバス接続線29は、拡幅部33cにより保護される点は後述する)し、垂直に延伸する複数の収容通路117及び117’が脚部17内に形成され、同軸導線21と拡幅部33cとをZ方向に移動すると、同軸導線21と拡幅部33cは、同時に脚部17内の収容通路117及び117’内へ挿入されかつ遮蔽されて、バス接続線29と脚部又は係止部17との嵌合接合工程が完了する。換言すると、基台7の底部7bの凹部133(
図8及び
図9)内に収容通路117及び117’が対応する開口部及び孔として形成され、同軸導線21とバス(データ)接続線29は、基台7の底部7bと脚部又は係止部17に形成される収容通路117及び117’内を延伸する。
【0067】
その場合に、上方から下方に向かって脚部17内で垂直に延伸する収容通路117を、下方へ向かって少なくとも僅かに細く縮径してテーパ状又は段状に形成でき(特に、脚部17を有する基台7を鋳造形成することもある)、同軸導線21を収容通路117内に嵌合するとき、接触部27b(他の外径より僅かに広く拡径して形成できる)は、嵌合方向に先行し、脚部17内の嵌合方向に細く縮径される収容通路117の内壁を乗り越え、嵌合運動の最後に、十分な接触力を発生させて、外部導体27と金属製の脚部17との間及び外部導体27と基台7との間に全体として通電可能な接続構造を確保する寸法で同軸導体21の外部導体27を設計できる。内部導体23、誘電体25及び外部導体27を有する同軸導線21を、嵌合前の脚部17内の対応する収容通路117内に同軸導体21を嵌合し配置した状態の断面図を
図8と
図9に示す。
【0068】
図示の実施の形態では、接触周縁27b(
図7及び
図9)の先行端部による脚部17に対する機械的な接触と通電可能な接触とにより、同軸導体21の固定と外部導体27の通電可能な結合を行い、接触周縁27bは、収容通路117の断面を形成する縮径された狭い内壁に対して十分に高い締め付け力を発生して、収容通路117内に圧入され、締り嵌合される。また、周方向に離間して形成される複数のスロット又は切欠27c(
図7)が先行する接触周縁27に形成され、接触周縁27bの周縁に沿う切欠27cにより弾性変形可能な接触舌片127が形成され、本実施の形態では、接触舌片127が必要な大きさの締め付け力を発生して、収容通路117の下方に縮径されて形成される端部117aの内壁(
図8)に同軸導線21を収容通路117内に嵌合することもできる。
【0069】
本発明の屋上アンテナ装置では、基台7の脚部17内の付属の各収容通路117内に同軸の導線21を固定しかつ保持し、これにより、高い機械的強度と安全性とを確保することができる。また、基台7の脚部17と同軸導体21との接続(保持)構造により、同軸導体21と金属製の脚部17との間及びそれに伴う同軸導体21と基台又は外枠7との全体的に最適な通電可能な接触構造が得られ、互いに分離して配置される複数の収容通路117には、同軸導線21の外部導体27が圧入嵌合され、複数の同軸導線21間及びバス接続線29を収容する収容通路117’との間に最適な保護部が脚部17により形成される。
【0070】
内部導体23と回路基板9との間及び外部導体27と回路基板9との間を位置決めして半田で接合するとき、許容範囲内の誤差が生じても、基台7の脚部17の対応する収容通路117内に外部導体27を嵌合しかつ接合する位置を調整して誤差を補償し又は許容でき、それにより各同軸導線21の内部導体23の下方の露出する端部を高精度で確実に形成し位置決めすることができる。
【0071】
前記及び図示の実施の形態では、特に、車両の外殻(通常は屋根)下方の接合空間と必要な嵌合孔との大きさを最小限に抑制すると同時に、アンテナ装置1と電子装置(内部ユニット)3との間の最適な直接嵌合連結により、屋上アンテナ装置1を形成することができる。
【0072】
図示の装置では、アンテナハウジング5内に収容される第1の回路基板9に対して他の回路基板109(
図4)を平行に配置し、アンテナハウジング5内の第1の回路基板9を車両外殻16(例えば、屋根)の外部に配置し、車両外殻16の下方でかつ車両の内部116に内部ユニット3を車両外殻16に直接隣接させて配置して、電子装置3の枠内で同様に回路基板109を電子装置3に設けることができる。
【0073】
本発明の技術的範囲内では、特に、回路基板9,109に対して垂直な嵌合接合方向Zではなく、嵌合接合方向Zに対して横方向又は特に垂直な嵌合方向、接続方向又は滑動方向Sにアンテナ装置1と電子装置3とを相対的に移動して、同軸ケーブル及びデータバスの対応するアンテナ装置1の端子と電子装置3とを接続できれば、電子装置3の平坦構造が可能になる。その場合に、嵌合方向、接続方向又は滑動方向Sは、同軸導体21、脚部17及び複数の収容通路117の同軸長手方向に対して垂直又は径方向、即ち回路基板9及び109に対して平行であることが好ましい。勿論、回路基板9と109との間の多少の角度のずれは、可能であり、角度ずれがあっても必要に応じて回路基板9と109との接合を実現できる。
【0074】
図1〜
図4及び
図6〜
図8に示すように、内部導体37aと外部導体37bとを備えるプラグ形式又はソケット形式の接続具(プラグコネクタ)37がアンテナ装置1に設けられ、接続具37は、各同軸導線21の下端から水平にかつ回路基板9、109に対して平行に延伸する接続具を構成する。
【0075】
同軸導体21の内部導体23と外部導体27とを有する同心に配置される同軸装置では、内部導体23及び外部導体27は、それぞれ切断部のない一体成形物又は連続成形物であるから、角度90°で湾曲する外部導体27内に内部導体23を挿入することはできない。このため、本発明の技術的範囲内では、内部導体23、外部導体27及び誘電体25に対して横方向に、即ち特に互いに対して垂直に延びる構成要素内で分離され、その場合に通常、本明細書では、組立状態でほぼ垂直に延伸する同軸導線21及び電子装置3に接続可能なほぼ水平に延伸する構成要素をそれぞれ「垂直の構成要素」及び「水平の構成要素」と指称し、組立状態で正確に垂直でも、水平でもなく又は必ずしも互いに直角に配置されるとは限らず、少なくとも僅かな角度ずれて又は傾斜して前記構成要素を配置してもよい。必要に応じて、90°とは異なる角度、例えば85°から95°等の角度でずれて又は傾斜して前記構成要素を配置することもできる。その限りでは、前記構成要素の配置及び形状等の形態に対する原則的に制限はない。
【0076】
そのため、本実施の形態では、特に
図8に特殊な断面構造を示す。
【0077】
通常樹脂材料製(空気間隙ではない)の各誘電体25は、同軸導体21の下部の角度90°の屈曲接続部51の直前で切断され、屈曲接続部51から各内部導体37aが電子装置3に向かって延伸するので、図示の実施の形態では、各内部導体37aは、接続具37の一部として、同軸導線21に対して垂直又は径方向に延伸することが好ましい。図示の実施の形態では、少なくとも内部導体37aの接続範囲内及び/又は結合領域37’a内で、各同軸導体21の内部導体23の直径よりも大きい直径で内部導体37aが形成される。図示の実施の形態では、内部導体37aの接続範囲内及び結合領域37'a内で、内部導体37aの軸方向に対して垂直な径方向の挿入孔又はスロット39等を内部導体37aに設け、組立状態で同軸導体21の内部導体23を挿入孔39内に挿入又は嵌入し、それにより、同軸導体21の内部導体23と接続具27に属する内部導体37aとを通電可能な接続構造を確実に形成することができる。
【0078】
例えば、挿入孔39の代わりに、内部導体37aの厚み全体を貫通するスロット形式等の適切な開口部を内部導体37aに形成して、内部導体23と接続させてもよい。
【0079】
前記のように、特に脚部17を貫通する収容通路117内に同心の同軸導体21を高度に正確に位置決めしかつ方向付けして、収容通路117内に固定できる(回路基板9と同軸導体21との接続に対する許容誤差が当初から存在しても)ので、この方法では、まず脚部17の下方の端部に設けられる対応する横孔40,41内に接続具37の外部導体37cを圧入し、その後、接続具37の内部導体37aを接続領域37’a内に挿入して、同軸導体21の内部導体23の軸方向の直接延長部に内部導体37aを貫通する挿入孔39(又は対応するスロット等)を配置することができる。続いて、回路基板9を下降するか又は回路基板9の下側9c上に接続されかつ保持される同軸導体21を収容通路117内に嵌合し接合することにより、各同軸導体21の外部導体27と脚部17内の付属の収容通路117の内側に配置される表面との間で確実に通電可能な結合を行うと共に、同軸導体21の各内部導体23を挿入孔39内に挿入して、接続具37に付属する内部導体37aに対し通電可能に接続することができる。
【0080】
内部導体23と37aとを機械的に結合しかつ通電可能に接続するため、脚部又は係止部17は、収容通路117及び同軸導線21の軸方向延長線上で脚部又は係止部17の底17aを貫通して形成される貫通孔17bを有し、製造工程間に貫通孔17bを通じて内部導体23と37aに接近して、内部導体23と37a間を接続(接合運動)することができる。貫通孔17bに蓋17cを圧入し又はねじ連結することにより、貫通孔17bは、適切な蓋17cにより閉鎖される。同様に導電性材料、金属又は金属合金又は少なくとも導電性樹脂材料により蓋17cを形成することが好ましく、又は少なくとも遮蔽機能を発生しかつ同時に脚部又は係止部17の他の部分に通電可能に接触して、外部導体全体の一部を形成する導電性の外側層を蓋17cに設けることができる。
【0081】
図8に示すように、接続結合37’aの領域内に樹脂製の誘電体は設けられず、空気が誘電体として使用される。その場合に、接続具37の誘電体37bが内部導体37aに接続されて、内部導体37aは、接続具37内に保持される。
【0082】
基台7の金属製の脚部17は、外部導体37bと共に接続具37の領域全体を遮蔽する被覆体を形成する。
【0083】
前記のように、接続具を収容する段付きの横孔40,41が、脚部17の下端に形成され、相補的形状を有する外部導体37cの外周部が、横孔40,41に嵌入される。段付きの横孔40,41内に接続具37の外部導体37cを圧入して、脚部17と外部導体37cとの良好な機械的結合と、最適な通電可能な接触を達成することが好ましい。これにより、脚部17に挿入する前に接続領域37’aの内部導体37a内に挿入孔39を形成しても、接合工程で挿入孔39内に嵌入すべき同軸導線21の内部導体23の中心軸を挿入孔39の中心軸に正確に整合させて、接続具37を方向付けすることができる。その場合に、同軸導体21及び脚部17内の対応する嵌合及び収容通路117に対して径方向かつ好ましくは垂直に脚部17の段付きの横孔40,41の中心軸を方向付けして、横孔40,41の軸方向の方向付けが行われる。
【0084】
原則的に、接続具37に設けた外ねじを段付きの孔40,41内の対応する内ねじ内にねじ連結することもできる。しかし、接合工程では、同軸導体21の内部導体23が貫通する内部導体37aの端部の挿入孔39を正確に方向付けするには、付加的な措置が必要である。
【0085】
6本の個別導線29bを有するバス接続線29を示す
図6の実施の形態を次に説明する。
【0086】
各個別導線29bは、角度90°屈曲する屈曲部を形成して回路基板9側に配置される接続端部29cを有し、各接続端部29cは、互いに平行に並置されるが、2列の個別導線29aは、互いに離間する方向に延伸する。
【0087】
互いに分離する複数の個別導線29bの各接続端部29cは、必要な半田付け箇所で回路基板9の下側9cに設けられる対応する接続箇所に半田付けすることができる。
【0088】
樹脂製の保持ブロック33の屈曲する接続端部29cの近傍に横梁233を設けることが好ましく(
図9)、横梁233により互いに分離しかつ隣接する2つの開口部が形成される。一方のグループの3本のデータ線29b(その屈曲部29cは全て1方向を向く)は、一方の開口部を通って延伸し、他のグループの3本のデータ線29b(その屈曲部29cは全て他の方向を向く)は、他方の開口部を通って延伸する。
【0089】
また、図示の実施の形態では、個別導線29aが貫通する6つの孔を有する少なくとも1つの保持固定ブロック43が設けられる。車両側に配置されかつ回路基板9,109に対して平行に延伸する接続端部29dを互いに非接触間隔に保持する保持固定ブロック43−絶縁体、好ましくは樹脂製の−が各ワイヤ29bの角度90°屈曲部の後方に配置される。
【0090】
前記の通り、保持ブロック33は、対応する孔33b内に同軸導体21を固定保持する。保持ブロック33の一方の横側に、嵌合方向、即ち接合方向Zに比較的大きい長さ又は高さで延伸する保持ブロック部分33cが形成され、図示の実施の形態では、横断面では好ましくはほぼ矩形形状に形成される内側通路33’cは、6本の個別導線29aを有するバス接続線29を収容する。
【0091】
図9に示す脚部17に保持ブロック33を組み立てる際に、まず、同軸導線21、バス接続線29及び同軸導線21及びバス接続線29を固定する保持ブロック33を備える回路基板9を準備する。同軸導体21と、拡幅部33cとは保持ブロック33を越えて延伸する。また、収容通路117,117’が形成された脚部17を有する基台7を準備する。その後、嵌合方向及び接合方向Zに、同軸導体21と保持ブロック33の拡幅部33cを脚部17内の収容通路117,117’内に嵌合させて、基台7に保持ブロック33を取り付ける(このとき、同軸導体21の内部導体23は、接続具37の内部導体37aに通電可能に接触する)と、例えば、回路基板9及び109に対して全て平行に並置される3つの同軸接続具37と多線接続具137形式のバス接続具137を有する構造が得られる。回路基板9,109に対して電子構成要素形式で形成される電子装置3を平行な接続方向又は滑動方向Sに移動して、アンテナ装置1の接続構造体(インターフェース)に対して電子装置3を直接接続できる。
【0092】
その目的で、
図8に示す脚部17内の接続具37と同様に、電子装置3は、
図4に示すように、複数の接続具37に対し適切な箇所に等軸間隔で配置される複数の接続具47を有し、嵌合方向、接続方向乃至滑動方向Sに電子装置3を移動して、アンテナ装置1の対応する接続構造体(インターフェース)に電子装置3を電気的に接続することができる。この目的で、例えば、ソケット形状の差し込み収容部を有する必要な他の接続具(バスインターフェース)147(
図10b)が電子装置3内に設けられ、回路基板109に対して平行な嵌合方向、接合方向及び滑動方向Sに平行に延伸するバス接続線29の接続端部29dを他の接続具147の差し込み収容部内に挿入して、接続端部29dを他の接続具147の導体に電気的に接触させ、接続することができる。
【0093】
その限りでは、
図10a及び
図10bのうち、
図10aは、脚部17に設けられる接続具37と、外枠内に内蔵されるデータ接続用のデータ接続具137とを示す。
図10bは、電子装置3内に形成されて、データ接続用の接続具137のプラグハウジングを組立状態に装着する接続具(ソケットプラグ)147を示す。
【0094】
その場合に、例えば、
図2と
図3に示すように、電子装置3に設けられる他の接続具53の形式の他の接続構造体(インターフェース)に、必要なケーブル、特に同軸ケーブルを接続して、例えば、非手持式(ハンズフリー)電話通話装置、ラジオ、ナビゲーション器具に接続される表示装置を有するマイクロプロセッサ等車両室内116(
図3)の他の構成要素にケーブルを接続することができる。
【0095】
図示の実施の形態では、脚部17は、車両外殻(車体薄板)の屋根16内の取付開口部15内に配置され、脚部17の対向する各両側面17eに案内部17d(
図1)が形成され、案内部17dは、差込方向、接合方向及び滑動方向Sに対して横方向、特に直角な方向の脚部17の角度90°をなす外面に形成される。電子装置3は、差込方向、接合方向及び滑動方向Sに先行する側で内側に窪む凹部103を有し、凹部103は、滑動方向Sに延伸しかつ凹部103内に突出して凹部103の対向する一対の側面に形成される2つのガイド装置3c(
図4及び
図9)を備え、取付状態では、ガイド装置3cは、脚部17の案内部17dに嵌合され、協働して、脚部17を電子装置3に固定する。換言すれば、ガイド装置3cに対して脚部17の案内部17dを嵌合し滑動させて、場合により他の電子構成要素を含む電子装置3を電気的に脚部17に接続すると、同時に電子装置3の接続領域と車両の室内116で下方に延伸する脚部17との間、即ち電子装置3とアンテナ装置1との間で機械的な嵌合連結構造が形成され、差込方向及び接合方向Zとは逆の上方にアンテナ装置1を電子装置3から上昇移動することはできない。
【0096】
従って、好適な実施の形態について説明したが、高さV(
図11a)だけ離間して配置される2つの回路基板9,109との間で平行な接合方向Sに装着嵌合できる差込結合構造を直接形成できる本発明の基本原理は、明らかであろう。その場合、車両外側のアンテナ装置1内に一方の回路基板9を収容し、車両内側に収容される電子装置3内に他方の回路基板109を収容することができる。必要な接続具(結合部材)37は、アンテナ装置1から下方に突出しかつ角度90°屈曲する。例えば、特に、同軸導体21の内部導体23及び内部導体37aから回路基板109上の導体路への移行領域内の構造を50オームのインピーダンス時に、6GHz以下の周波数領域に最適化することにより、水平から垂直へのバス接続線29の方向変換及び同軸導体21から必要に応じて設けられるマイクロストリップ構造(電子装置3内に収容される回路基板109の領域内)への接続形態変換を適合させることができる。
【0097】
その目的で、前記のように、同軸領域内で誘電体を全部又は部分的に空気に置換でき、内部導体23,37aの直径を適合させることができる。その場合に、外部導体27, 37b, 37cの形態及び配置構造により、回路基板9上への移行領域を最適化することができる。
【0098】
本明細書では、「垂直領域」は、回路基板9から延伸する同軸導体21を備えるアンテナハウジング5内の回路基板9(必ずしも垂直に延伸する必要のないものも、「垂直の部分」と略称する)と、回路基板附属装置、保持ブロック33及びアンテナモジュールの回路基板9上に垂直に植設される表面実装(SMD)可能な複数の内部導体23と、内部導体23を被覆する誘電体25及び外部導体27とを含む。外部導体27は、回路基板9上に半田付けされる脚点又はピン27aを有する。
【0099】
本明細書では、「水平領域」は、接続具37により垂直領域に対して水平に又は径方向に接続される外枠7が脚部17と共に遮蔽体及び外部導体37b,37cとして使用される接続構造部を含む。この目的で、脚部17の形式の外枠7の一部は、車両外殻16内の取付開口部15を通り下方に延伸して、車両の内部116に突出する。その場合に、脚部17形式の外枠7の下方への延長部は、同時に外部導体37bと内部導体37aとを含む接続具37の差込栓套管構造(連結プラグソケット)の支持体として用いられる。組立時に、接続具37は、外枠7内の対応する段付きの挿入孔39内に圧入され、被覆された所望の電気的接触部を形成する。
【0100】
装備された回路基板9(プラグブロックを含む)を外枠7に取り付けると、垂直領域と水平領域との間が連結され、連結工程では、内部導体23(垂直領域の)の先端は、接続具37(水平領域の)の対応する内部導体37aの挿入孔39内に貫通して嵌合され、電気的に接続される。
【0101】
図1から
図10bについて説明した実施の形態を、高さVの距離で2つの回路基板9,109を離間して配置した
図11aと
図11bに図式的な断面で示す(
図11bは、
図11aのXIb−XIb線に沿う断面を示す)。
図12aは、接続前及び接続状態の電子装置3をそれぞれ実線と破線で示す。
【0102】
その場合に、アンテナ装置1に属する装置で最終的に角度90°で屈曲する垂直領域と水平領域を有するアンテナ装置1の半プラグ片Aに対し、接合方向Zに電子装置3側の半プラグ片Bを移動して、半プラグ片Bを半プラグ片Aに対し機械的及び電気的に接続することができる。
【0103】
接合方向Zの接合過程間に、外枠7内及び脚部17の収容通路117内に垂直領域の外部導体27を圧入して、通電可能な接続体が形成される。接続具37又は接続具37に属する内部導体37aの挿入孔39内に内部導体23の先行する各端部の尖端部分を圧入して、内部導体23と接続具37の電気的接触が形成される。内部導体23の結合の領域内には、誘電体として空気が存在する。
【0104】
アンテナ装置1の外枠7の脚部17は、取付開口部15を通って下方に延伸し、更に、一方では、接合過程間に、脚部17は、同軸導体21と接続部37とを接続する構成要素を案内すると共に、例えば案内終了状態で、回路基板9等の電気部品に対する負荷又は応力を機械的に除去する特徴を有する。
【0105】
外枠7を有する脚部17を介して、電子装置3とアンテナ装置(外部ユニット)1との間、電子装置3を構成する電気構造組立体と、車両アンテナ装置1の形式で形成される外部ユニットとの間に安定な機械的結合が形成される。
【0106】
前記実施の形態により、外枠7に対し最小の組立高さで外枠7上に車両外側のアンテナ装置1内の回路基板9を取り付け、アンテナ装置1内の回路基板9に対して平行な滑動方向Sに車両室内116の他の電子構成要素を有する電子装置3を移動して、アンテナ装置1内の回路基板9と電子装置3とを極めて簡単に接続できる本発明の変形例を説明した。
【0107】
他の実施の形態では、前記90°角度接続を省略して、差込又は接合方向Zとは逆方向に延伸する前記構造とは異なる同軸又はバス接続構造が車両内部に形成される。
【0108】
図12aと
図12b(
図11aと
図11bに示す異なる構造の実施の形態と比較できる)は、同軸導体21の内部導体23の軸方向延長上に接続具37の内部導体37aを配置し、差込方向及び接合方向Zとは逆方向に下方から脚部17の対応する孔内に対応する接続具37を圧入して、異なる同軸又はバス接続構造を形成する実施の形態を図式で示す。この場合、より大きい直径で形成される接続具37の内部導体37aの端面に軸方向の袋孔を形成し、接合過程間に同様に射出形成された内部導体23の接続端部を内部導体37aの袋孔内に嵌合し、圧入することが好ましい。
【0109】
同様に、本実施の形態では、バス接続線29は、屈曲部45が形成されずに回路基板9から直線的に差込及び接合方向Zとは逆方向に延伸する個別導線29bのみを有し、個別導線29bを接続具147に嵌合接続できる。
【0110】
この場合で、各個別導線29bは、保持ブロック33及び保持固定ブロック43により互いに離間して機械的に固定され、保持ブロック33は、非導電性材料、好ましくは樹脂材料(誘電体)により形成され、
図9bのIXb−IXb線に沿う断面図及び
図9を参照された。
【符号の説明】
【0111】
(3)・・電子装置、 (7)・・基台、 (7a)・・基台上側、 (7b)・・基台底、 (7e)・・基台下側、 (9)・・回路基板、 (9b)・・回路基板上側、 (9c)・・回路基板下側、 (13a,13b,13c,13d)・・アンテナ、 (17)・・基台脚部、 (17c)・・側壁(案内部、閉鎖キャップ)、 (21)・・同軸導線、 (23)・・内部導体、 (25)・・誘電体、 (27)・・外部導体、 (29)・・バス接続線、 (29b)・・個別導線、 (33)・・保持ブロック、 (33a)・・リブ、 (29c)・・接続端部、 (29)・・データ接続線、 (33c)・・保持ブロック拡幅部、 (37)・・接続具、 (37a)・・内部導体、 (37’a)・・接続領域、 (37b)・・誘電体、 (37c)・・外部導体、 (39)・・開口部、 (40,41)・・孔、 (109)・・回路基板、 (117,117’)・・収容通路、 (133)・・凹部、