特許第5960839号(P5960839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59608396,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960839
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/31 20060101AFI20160719BHJP
   C07C 69/94 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   C07C67/31
   C07C69/94
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-546998(P2014-546998)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(86)【国際出願番号】JP2013080621
(87)【国際公開番号】WO2014077262
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】特願2012-251308(P2012-251308)
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-251309(P2012-251309)
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-251310(P2012-251310)
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-132816(P2013-132816)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-132817(P2013-132817)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-132818(P2013-132818)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】青山 恭子
(72)【発明者】
【氏名】樋田 幸三
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−286771(JP,A)
【文献】 特開昭60−215648(JP,A)
【文献】 特開昭61−001646(JP,A)
【文献】 特開2010−106016(JP,A)
【文献】 特開2001−261601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/31
C07C 69/94
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルをアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の存在下で1,2−ジハロゲン化エタンと反応させて6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを製造する方法において、
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物、および溶媒からなる混合液体に、1,2−ジハロゲン化エタンを前記混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加しながら、90〜200℃の温度にて反応させることを特徴とする6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項2】
前記混合液体中に、前記反応に用いる1,2−ジハロゲン化エタンの一部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項3】
前記直接連続添加を終了させた後も連続添加を行った温度を保ち反応させることを特徴とする請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の使用量が、前記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル1モルに対して0.95〜4.0モル量であることを特徴とする請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項5】
前記1,2−ジハロゲン化エタンの使用量が、前記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル1モルに対して0.4〜5.0モル量であることを特徴とする請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物がアルカリ金属の炭酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ金属の炭酸塩が炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムであることを特徴とする請求項6に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【請求項8】
前記反応開始時の前記混合液体が、1,2−ジハロゲン化エタンを含まない混合液体であることを特徴とする請求項1に記載の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法に関する。本発明で得られる6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルは、機能性ポリマーの原料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの従来の製造方法としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩と1,2−ジハロゲン化エタンとを反応させる製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この製造方法では、得られる6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの収率が25%程度と極めて低い。また、1,2−ジハロゲン化エタンとして、1,2−ジブロモエタンを使用する場合には、反応は常圧でも実施できるが、1,2−ジクロロエタンを使用する場合には、過酷な高温度、高圧下での反応条件の採用が必要である。
【0003】
この低収率の問題を解決するために、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩と1,2−ジハロゲン化エタンとの反応において、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルを添加して反応させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法では、収率良く反応させるためには、高温高圧の過酷な反応条件が必要であり、60%程度の収率で6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを得るためには、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩に対して6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルを50モル%程度添加する必要があるため、効率的な方法とは言えない。
【0004】
また、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルと1,2−ジハロゲン化エタンとの反応を炭酸カリウムの存在下、アルコール系溶媒や非プロトン性極性溶媒中で行う方法が知られている(例えば、特許文献3、4参照。)。しかしながら、この方法では、高温度、高圧下での過酷な反応条件を採用することが必要であるか、または、あるいは高価な18−クラウン−6などを反応促進剤として添加することが必要である。更にその方法であっても、目的化合物の収率は30〜50%程度と低い。
【0005】
また、1,2−ジハロゲン化エタンの代わりに、1位と2位をメタンスルホニル化またはp−トルエンスルホニル化したエタンを用いる製造例もあるが、工業的な実施には困難が伴うことが予想される(例えば、特許文献5参照。)。特に6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルとして、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステルを使用する場合、あるいは1,2−ジハロゲン化エタンとして安価に入手可能な1,2−ジクロロエタンを使用する場合には、高温度、高圧下の反応条件下、反応促進剤を添加しても収率は30〜40%程度と低い。そのため、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを工業的に満足すべきコストおよび収率で製造方法は見出されておらず、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを効率的に高収率で製造する方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−001646号公報
【特許文献2】特公平01−016819号公報
【特許文献3】特公平05−053782号公報
【特許文献4】特開2009−286771号公報
【特許文献5】特開2010−106016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は従来技術では満足できなかった6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、効率的に高収率で6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを製造する方法を提供することにある。また別の目的は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルと1,2−ジハロゲン化エタンを反応させ、ハロゲン化ビニルの発生を抑制することのできる6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルをアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の存在下で1,2−ジハロゲン化エタンと反応させて6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを製造する方法であって、
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物、および溶媒からなる混合液体に、1,2−ジハロゲン化エタンを前記混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加しながら、90〜200℃の温度にて反応させることを特徴とする6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法により、効率的に高収率で6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを製造可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
また好ましくは、本発明は以下の構成を採用する。
2 前記混合液体中に、前記反応に用いる1,2−ジハロゲン化エタンの一部を更に含むことを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
3 前記直接連続添加を終了させた後も連続添加を行った温度を保ち反応させることを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
4 前記アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の使用量が、前記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル1モルに対して0.95〜4.0モル量であることを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
5 前記1,2−ジハロゲン化エタンの使用量が、前記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル1モルに対して0.4〜5.0モル量であることを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
6 前記アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物がアルカリ金属の炭酸塩であることを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
7 前記アルカリ金属の炭酸塩が炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムであることを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
前記反応開始時の前記混合液体が、1,2−ジハロゲン化エタンを含まない混合液体であることを特徴とする前記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、上述の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを効率的かつ高収率で製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、副反応で生成するハロゲン化ビニルの生成を抑制することができる。本発明で得られる6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルは、機能性ポリマーの原料として有用であり、例えば6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を酸成分とし、エチレングリコールをグリコール成分とするポリエステルは295℃に近い融点を有し、かつ高ヤング率の成形品を溶融成形で製造できるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく、直接連続添加する方法に該当する添加方法の一例である。
図2】本発明の混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく、直接連続添加する方法に該当する添加方法の別の一例である。
図3】本発明の混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく、直接連続添加する方法に該当しない添加方法の一例である。
【図面の符号】
【0012】
1 反応槽
2 反応に提供される原料化合物、溶媒、目的化合物および反応中間体等が含まれる混合液体(反応混合液体)
3 気液界面
4 1,2−ジハロゲン化エタンが反応混合液体中へ添加される方向
5 1,2−ジハロゲン化エタンが反応混合液体中へ添加される際に用いられる添加管
6 反応槽に設置された撹拌翼
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。すなわち、本発明は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルをアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の存在下で1,2−ジハロゲン化エタンと反応させて6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを製造する方法において、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物、および溶媒からなる混合液体に、1,2−ジハロゲン化エタンを前記混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加しながら、90〜200℃の温度にて反応させることを特徴とする6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの製造方法である。
ステルの製造方法。
【0014】
本発明において、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのエステル基を構成する官能基としては、直鎖状アルキルエステル基、分岐状アルキルエステル基、環状アルキルエステル基、炭素数6〜10の芳香族エステル基を例示することができる。直鎖状アルキルエステル基としては、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、n−ブチルエステル基、n−ペンチルエステル基、n−ヘキシルエステル基、n−オクチルエステル基、n−デシルエステル基、またはn−ドデシルエステル基(ラウリルエステル基)などを例示することができる。分岐状アルキルエステル基としては、iso−プロピルエステル基、sec−ブチルエステル基、iso−ブチルエステル基、tert−ブチルエステル基、iso−ヘキシルエステル基、iso−オクチルエステル基、またはiso−デシルエステル基などを例示することができる。環状アルキルエステル基としては、シクロペンチルエステル基、シクロヘキシルエステル基、シクロオクチルエステル基、またはシクロデシルエステル基などを例示することができる。環状アルキルエステル基においては、環は2つ以上あっても良い。また炭素数6〜10の芳香族エステル基としては、フェニルエステル基、モノメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、モノエチルフェニル基、ジエチルフェニル基、またはナフチルエステル基などを例示することができる。これらの官能基の中でもメチルエステル基、またはエチルエステル基が好ましい。
【0015】
本発明において使用することができる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのより具体的な化合物の例としては、特に限定するものではないが、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−n−プロピルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−iso−プロピルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−n−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−iso−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−sec−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−n−ヘキシルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−n−オクチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−iso−オクチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸−n−デシルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸シクロヘキシルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸シクロオクチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸シクロデシルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モノメチルフェニルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ジメチルフェニルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モノエチルフェニルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ジエチルフェニルエステル、または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナフチルエステルなどを例示することができる。これらの中でも6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステルが、その化合物の精製が行いやすく純度の高い化合物を得やすいこと、機能性ポリマーの原料としてポリマー製造工程で使用しやすいこと等の観点から好ましい。
【0016】
本発明において、1,2−ジハロゲン化エタンとしては、特に限定するものではないが、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジヨードエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1−ヨード−2−クロロエタン、または1−ヨード−2−ブロモエタンなどを例示することができる。これらの中でも1,2−ジクロロエタンが好ましい。
本発明において、1,2−ジハロゲン化エタンの使用量は、反応に用いる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル1モルに対して、通常、0.4〜5.0モル量であるが、好ましくは0.5〜3.5モル量を使用することである。より好ましくは1.0〜2,8モル量を使用することであり、更により好ましくは1.1〜2.5モル量を使用することである。1,2−ジハロゲン化エタンの使用量が0.4モル量未満の場合には、原料転化率が低下する傾向にあり、一方、1,2−ジハロゲン化エタンの使用量が5.0モル量を超える場合には、反応中間体である6−(2−ハロゲノエトキシ)−2−ナフトエ酸エステルの生成量が増加し、目的化合物である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの収率が低下する傾向にある。一方、0.4〜5.0モル量の1,2-ジハロゲン化エタンを使用する場合には、原料転化率が高く且つ副生成物の収率を抑制することができるので好ましいことがある。
【0017】
本発明において、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を用いることを好ましい特徴として挙げることができる。また、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ金属の炭酸塩であることが好ましい。さらに、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物としては、特に限定するものではないが、具体的には、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物を例示することができる。炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、または炭酸バリウムなどを例示することができる。炭酸水素塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、または炭酸水素バリウムなどを例示することができる。リン酸塩としては、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、またはリン酸マグネシウムなどを例示することができる。水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、または水酸化バリウムなどを例示することができる。上記したアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の内の一部である水酸化物については、空気中の水分で変質することがある。そのような現象が起こることが無いという観点、および精密な計量が可能となるような形態(例えば粉末状)で容易に入手可能であるという観点から、炭酸塩、炭酸水素塩が好ましく用いることができる。精密な計量が可能となることにより、下記のような6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルに対するアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物の使用量を実現することが容易になり、目的化合物の収率を上げることができる場合がある。また、後述する溶媒への溶解性の観点からも炭酸塩、炭酸水素塩を用いることが好ましい態様の1つである。以下、アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物をアルカリ金属化合物等と略称することがある。
【0018】
本発明において、上記のアルカリ金属化合物等の使用量は、反応に用いる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル1モルに対して、通常、0.95〜4.0モル量、好ましくは1.0〜3.5モル量、より好ましくは1.7〜3.2モル量、更により好ましくは2.0〜3.0モル量を使用する。アルカリ金属化合物等の使用量が0.95モル量未満の場合には、原料転化率が低下する傾向にあり、一方、アルカリ金属の弱酸塩の使用量が4.0モル量を超える場合には、1,2−ジハロゲン化エタンが脱ハロゲン化水素などの副反応により消失するため、あるいは反応溶液のスラリー濃度が高くなり撹拌効率が低下するため、目的化合物である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの収率が低下する傾向にある。一方、0.95〜4.0モル量のアルカリ金属化合物等を使用する場合には、原料転化率が高く且つ副生成物、特に1,2−ジハロゲン化エタンの脱離反応に基づき副生する化合物の収率を抑制することができるので好ましいことがある。
【0019】
本発明において、溶媒中で反応を行うが、用いる溶媒は、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、非プロトン性極性溶媒、またはアミド基含有溶媒を挙げることができる。アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、またはオクタノールを挙げることができる。エーテル系溶媒としては、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、またはジオキサンを挙げることができる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、またはイソホロンを挙げることができる。非プロトン性極性溶媒としては特に限定するものではないが、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホロトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、または1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが例示される。アミド基含有溶媒としては、N−モノメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−モノメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、または1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが例示される。これらの各種の溶媒は、1種単独でもあるいは2種以上を併用することもできる。上記の1,2−ジハロゲン化エタン、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属等を十分に溶解させることができるという観点からエーテル系溶媒、ケトン系溶媒、非プロトン性極性溶媒、またはアミド基含有溶媒が好ましいことがある。
【0020】
これらの溶媒の使用量は、通常、反応に用いられる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルの重量に対して重量比で1〜20倍量、好ましくは1〜10倍量である。より好ましくは1〜8倍量である。1倍量未満では、スラリー濃度が高すぎるため撹拌効率が悪くなり、一方、20倍量を超えると、基質濃度低下に伴い、反応速度が遅くなる。すなわち重量比で1〜20倍量とすることで、適正な反応速度を達成することができ、目的化合物の生産性を上げることができる場合がある。
【0021】
本発明において、反応温度としては反応に用いられる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルや1,2−ジハロゲン化エタンの種類により異なるが、通常、90〜200℃の範囲である。好ましくは100〜190℃、より好ましくは110〜180℃、更により好ましくは115〜175℃である。より好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物が炭酸ナトリウムを用いる場合には、140〜175℃の範囲であり、アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物として炭酸カリウムを用いる場合には、90〜120℃の範囲である。反応温度が90℃より低い場合には反応が進行しないかまたは反応時間が非常に長くなる傾向にある。一方、反応温度が200℃より高い場合には、生成物の分解反応および副反応が発生しやすくなる。また上記の反応温度域は1,2−ジハロゲン化エタンの沸点未満の温度ではあるが沸点に近い場合または沸点を超える場合があるので後述するような事項、すなわち混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加を行うことに注意する必要がある。反応は、常圧または加圧下で実施できる。設備等の制約が少ないこと、簡易に操作が行えることから常圧で実施することが好ましい。本発明において、反応時間としては、反応に用いられる上記の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルや1,2−ジハロゲン化エタンの種類、量および反応温度により異なるが、通常、0.5〜48時間、好ましくは1〜30時間である。
【0022】
本発明により得られる上記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルとしては、特に限定するものではないが、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−n−プロピルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−iso−プロピルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−n−ブチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−iso−ブチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−tert−ブチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−n−ヘキシルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジシクロヘキシルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−n−オクチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジ−iso−オクチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジシクロオクチルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジデシルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジシクロデシルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジフェニルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ビス(モノメチルフェニル)エステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ビス(ジメチルフェニル)エステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ビス(モノエチルフェニル)ジフェニルエステル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ビス(ジエチルフェニル)ジフェニルエステル、または6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジナフチルエステルなどが例示される。
【0023】
本発明の製造方法においては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物等および溶媒からなる混合液体に、1,2−ジハロゲン化エタンを添加する。すなわち、反応開始前から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物等および溶媒からなる混合液体を調製する必要がある。しかし、その混合液体の中に1,2−ジハロゲン化エタンは含まれていても、含まれていなくても良い。すなわち、更に必要応じて前記反応に用いる1,2−ジハロゲン化エタンの一部を前記混合液体中に含んでいても良い。好ましくは反応終了時までに反応に用いる1,2−ジハロゲン化エタンの全重量の0〜90重量%、より好ましくは0〜80重量%、更に好ましくは1〜75重量%が反応開始時の前記混合液体中に含まれている場合である。更により好ましくは、反応開始時の混合液体が1,2−ジハロゲン化エタンを含まない混合液体である場合、または反応開始時の混合液体が反応に供給される1,2−ジハロゲン化エタンの30〜75重量%を含む場合である。
【0024】
本発明の製造方法においては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物等および溶媒からなる混合液体(必要に応じて反応に用いられる1,2−ジハロゲン化エタンの一部を反応開始前から含んでいても良い。以下同じ。)に、1,2−ジハロゲン化エタンを前記混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加しながら反応を行う。6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物等および溶媒からなる混合液体は、上記のそれぞれについて具体的に列挙した化合物中から、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルに対して、好ましくは上記のモル倍量または重量倍量に従って構成され、常温あるいは、溶媒の沸点以下の温度まで一旦加熱して撹拌することによって得ることができる。上述した様に、その反応開始時における混合液体中に1,2−ジハロゲン化エタンは含まれていなくても、含まれていても良い。
【0025】
更に本発明の製造方法においては、1,2−ジハロゲン化エタンを6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物等が含まれている混合液体に、1,2−ジハロゲン化エタンを前記混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加を行い、上記した所定温度にて反応させる必要がある。所定温度で反応させる当初から、反応に用いられる1,2−ジハロゲン化エタンの全量が混合液体中に存在すると、混合液体中にアルカリ金属化合物等が多量に存在するので、1,2−ジハロゲン化エタンが脱離反応を起こし、ハロゲン化ビニルが多量に生成することがある。さらに、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルとアルカリ金属化合物等の反応により得られる多量のエステル基含有ナフチルオキシド金属等の塩(エステル基含有ナフラート誘導体のアルカリ金属等の塩)の存在により、1,2−ジハロゲン化エタンが脱離反応を起こすことがある。さらにまた、反応器中の1,2−ジハロゲン化エタンの量が低下するために、反応中間体である6−(2−ハロゲノエトキシ)−2−ナフトエ酸エステルの生成量が増加する。これらの要因が単独または組み合わさって、目的化合物である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの収率が低下するとの考え方も可能であろう。我々出願人も当初はこのように考えていた。
【0026】
しかし、各種の反応条件を変更して種々の製造実験を行った結果、我々は以下の知見を得るに至った。すなわち、混合液体中に存在するアルカリ金属化合物等は1,2−ハロゲン化エタンの脱離反応を起こす前に、まず6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのヒドロキシル基からの脱水素(プロトン)反応に消費され、エステル基含有ナフラート誘導体のアルカリ金属等の塩を生成する。その後、少量のそのエステル基含有ナフラート誘導体のアルカリ金属等の塩が混合液体中に存在しても、脱離反応の著しい進行には大きく寄与しないとの知見を我々は見出した。また反応開始時の混合液体中にある程度の量の1,2−ハロゲン化エタンが存在していた方が反応開始当初の目的化合物を生成する反応速度が上がる、と言った知見も我々は見出すに至った。そこで、反応開始時の混合液体中には、必要に応じて前記反応に用いる1,2−ジハロゲン化エタンの一部を反応開始前に含まれていても目的化合物の十分な収率を上げることができることを見出すに至った。また、同時にこの知見により、目的化合物を大量に製造するために必要となる条件でもある、全体の反応速度を上げることができる条件を見出すに至った。これらの知見を総合することにより、我々は本発明を完成するに至った。但し、反応開始当初から最終的に反応に供給される1,2−ジハロゲン化エタンの全量が、混合液体中に供する場合には、反応中間体である6−(2−ハロゲノエトキシ)−2−ナフトエ酸エステルの生成量が増加したり、脱離反応により、塩化ビニル化合物の生成量が増加することとなり、好ましくない。
【0027】
本発明の製造方法における連続添加とは上記のような1,2−ジハロゲン化エタンの全量が反応開始時から混合液体中に存在する状況を回避するために、反応開始後に混合液体中に供給される1,2−ジハロゲン化エタンを、所定の時間をかけて、少量ずつ反応槽に供給されることを表している。また6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルおよびアルカリ金属化合物等を含む混合液体中の1,2−ジハロゲン化エタンの濃度が必要以上に増加しないように、1,2−ジハロゲン化エタンの連続添加速度は一定速度で行うことが好ましい。1,2−ジハロゲン化エタンは反応中間体である6−(2−ハロゲノエトキシ)−2−ナフトエ酸エステルの製造に消費されるので、反応の進行する間、混合液体中の1,2−ジハロゲン化エタンの濃度は減少するからである。以上の観点から本発明においては、連続添加を必要とするものである。
一方当業者であれば、1,2−ジハロゲン化エタンを連続添加する代わりに、アルカリ金属化合物等を連続添加する方法も考えることができる。しかし、上述の特許文献2にも開示されているように、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルとアルカリ金属化合物等が反応して得られるエステル基含有ナフラート誘導体のアルカリ金属等の塩(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩)が予め反応槽の内部に存在すると、反応槽内に多量に存在する1,2−ジハロゲン化エタンとの反応が促進される。その結果としてハロゲン化ビニルの多量の生成を招く。故に、反応器中には予め6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルとアルカリ金属化合物等を存在させ、当該アルカリ金属塩が生成している条件が好ましく採用される。
【0028】
さらに本発明においては、混合液体に、1,2−ジハロゲン化エタンは前記混合液体の気液界面より上部に存在する気体に接触させることなく添加する必要がある。具体的には、図1図2に掲げたような添加の態様を挙げることができる。一方、図3に掲げたような添加の態様は本発明の上記のような添加方法には該当しない。
本発明に該当する添加方法と該当しない添加方法を、以下図1〜3を用いて説明する。必要な反応を促進させるという観点から、本発明における反応温度は上述のように90〜200℃、好ましくは100〜190℃である。しかし、この温度域にあっては、1,2−ジハロゲン化エタンは、その具体的な化合物の種類により異なるものの、当該1,2−ジハロゲン化エタンの沸点未満の温度ではあるが沸点に近い場合、またはその化合物の沸点を超える場合がある。
【0029】
まず、その1,2−ジハロゲン化エタンの沸点未満の温度ではあるが沸点に近い場合、または沸点を超えるような場合であって、1,2−ジハロゲン化エタンを混合液体の気液界面の上部に存在する気体に接触するように添加した場合を説明する。すなわち本発明の製造方法の要件が満たされていない場合である。具体的な添加の態様としては図3に挙げられるような場合が挙げられる。反応槽1には反応前であれば、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、アルカリ金属化合物等および溶媒からなる混合液体2(必要に応じて反応に用いられる1,2−ジハロゲン化エタンの一部を反応開始前から含んでいても良い。以下同じ。)で満たされ、その混合液体の上部には気液界面3がある。また混合液体2は反応槽に設置された撹拌翼6によって撹拌されている。本発明における製造が開始されると、混合液体2には製造が進行するに従って、1,2−ジハロゲン化エタンが添加管5を介して4で示した矢印の方向から反応槽の内部にある混合液体2に添加され、反応が開始する。反応が進行するに従って反応中間体、目的化合物、および副生成物等が混合液体2中に生成される。この添加管5の先端が気液界面3より上部に存在し、気液界面3より上部に存在する気体に接触させる状態で1,2−ジハロゲン化エタンを添加したとすると、1,2−ジハロゲン化エタンが混合液体2と混合する前に、1,2−ジハロゲン化エタンが90〜200℃の反応温度または反応温度近くまで熱せられた気液界面3上部に存在する気体と接することになる。この現象により、混合液体中に添加されるべき1,2−ジハロゲン化エタンの少なくとも一部が気化し、混合液体中に添加されないことになる。そして、混合液体2中の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルまたは6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩と最終的に反応しない、気化した1,2−ジハロゲン化エタンが、混合液体の気液界面の上部に存在する場合がある。その結果、目的化合物である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルの収率が低下することなり、好ましくない。
【0030】
一方、その1,2−ジハロゲン化エタンの沸点未満の温度ではあるが沸点に近い場合、または沸点を超えるような場合であって、1,2−ジハロゲン化エタンを混合液体の気液界面の上部に存在する気体に接触しないように添加した場合を説明する。すなわち本発明の製造方法の要件が満たされている場合である。体的な添加の態様としては図1および図2に挙げられるような場合が挙げられる。図1に示す添加の態様においては、添加管5の先端が混合液体2中にあり、図3と同様に4で表した矢印の方向から1,2−ジハロゲン化エタンが反応槽の内部にある混合液体2に添加され、反応が開始する。故に1,2−ジハロゲン化エタンは添加管5に囲まれた空間に沿って混合液体2の中へ添加されるので、気液界面3より上部に存在する気体に接触することなく1,2−ジハロゲン化エタンは反応槽1の内部にある混合液体2へ供給される。仮に、添加管5の内部で1,2−ジハロゲン化エタンの一部が気化したとしても、いまだ気化されていない液体状の1,2−ジハロゲン化エタンにより生じている添加管5から反応槽1の内部にある混合液体の方向への流れにより、添加管5に沿って気化された一部の1,2−ジハロゲン化エタンも反応槽1の内部にある混合液体2に添加される。すなわち、気化した1,2−ジハロゲン化エタンが気液界面3より上部の空間に拡散されることはない。そこで反応槽1の内部への添加に提供された全ての1,2−ジハロゲン化エタンが混合液体中の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルまたは6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルのアルカリ金属塩と速やかに反応し、反応中間体や目的化合物の生成に寄与することとなる。また図2に示す添加の態様においては、添加管5が反応槽1の側壁に設置され、且つ添加管5が気液界面3より反応槽1の下方向にある。故に、添加管5から4の矢印の方向に沿って反応槽1の内部にある混合液体2中に、1,2−ジハロゲン化エタンが添加されることになる。すると、1,2−ジハロゲン化エタンは気液界面3の上部に存在する気体に接触することなく反応槽1の内部にある混合液体2に供給されることは明らかである。このように、1,2−ジハロゲン化エタンを前記混合液体の気液界面3より上部に存在する気体に接触させることなく直接連続添加するとは、1,2−ジハロゲン化エタンが6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル(ないしそのアルカリ金属塩)とアルカリ金属化合物等を含む混合液体中に投入される前に混合液体の気液界面3より上部に存在する気体に接触させることなく、直接的に前記混合液体中に添加される場合を指すものである。混合液体の気液界面3より上部に存在する気体とは、詳細には混合液体の気液界面3より上部に存在し、混合液体を構成している溶媒の蒸気が含まれている気体を示す。
【0031】
添加する装置の態様の面からは、本発明に該当する添加方法としては、例えば1,2−ジハロゲン化エタンを滴下ロートから反応槽1の内部に供給する場合であって、その滴下ロートの添加管5の先端に相当する部分が図1に示す様に混合液体中に浸漬されている場合を挙げることができる。一方、本発明の添加方法に該当しない場合としては、反応の開始当初から反応に供給される1,2−ジハロゲン化エタンの全量が反応槽1の内部の混合液体中にある場合を挙げることができる。また更に、液体状の1,2−ジクロロエタンを滴下ロートから反応槽1の内部に供給する場合であって、その滴下ロートの添加管5の先端に相当する部分が図3に示す様に、反応槽中の混合液体の気液界面3より上部にある場合を挙げることができる。このような場合には、添加口の先端が気液界面3より上部にあるため、その添加口の先端から供給される1,2−ジハロゲン化エタンが、気液界面より上部存在する気体に接触しながら添加されることになる。この後者の態様は、通常「滴下」と呼ばれる方法により反応槽の内部のある混合液体に添加される場合が挙げられる。
【0032】
本発明の反応によって得られる6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルは、様々な手法によって反応生成物を含む溶液から単離することができ、蒸留、カラムクロマトグラフィー、晶析、再結晶、洗浄などの不純物除去操作を行うことにより容易に精製することができる。
精製・単離処理操作の詳細としては、以下に挙げる方法を好ましく採用することができる。反応終了後の混合液体中には、反応に用いる、1,2−ジハロゲン化エタン、アルカリ金属化合物等または溶媒の種類と、原料化合物に対する溶媒の量等により、反応温度においても反応溶媒に溶解しない無機塩等が存在する場合がある。これらを迅速に取り除くことは目的化合物を精製する上で好ましい操作である。具体的には、反応時の温度を維持した状態、あるいは反応時温度から室温程度の温度より高い温度まで冷却した状態、具体的には100〜180℃の範囲で固液分離操作(以下、固液分離操作Aと称する。)を行い、それらの無機塩を取り除くことが好ましい。固液分離操作Aとしては具体的には、濾過や遠心分離操作を挙げることができる。
【0033】
その固液分離操作Aをした後には、溶媒に対する溶解度の差を利用して精製処理を行うことが好ましい。目的化合物である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルは溶媒への溶解度が小さい場合が想定できるのに対して、原料の1つである6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルと反応中間体である6−(2−ハロゲノエトキシ)−2−ナフトエ酸エステルは、その溶媒への溶解性が相対的に大きいことが予想されるからである。また他の原料である、1,2−ジハロゲン化エタンはそのハロゲン種により決まる1,2-ジハロゲン化エタン化合物の沸点、融点等の値にもよるが、反応温度雰囲気下では反応器外へと蒸発したり、副反応により原料そのままの状態では反応終了後の反応器中の混合液体中には残存しにくいと考えられる。具体的には、固液分離操作A後の液体成分を10〜50℃にまで冷却することで、上記の原料、反応中間体と目的化合物の分離精製が容易になることがある。好ましくは20〜40℃にまで冷却することである。さらにその溶解度の差を効果的に利用するために、上記の固液分離操作Aを行った後に、溶媒の少なくとも一部を減圧留去により除去し、反応終了後の混合液体中の原料、反応中間体、目的化合物等の濃度を上げる操作を行うことも好ましく採用することができる。したがって、上記のように固液分離操作A後の液体成分を10〜50℃に冷却することで目的化合物のみが沈殿として生成し、これを再び固液分離操作(以下、固液分離操作Bと称する。)を行うことで目的化合物を効率よく精製・単離することができる場合がある。
【0034】
その後は必要に応じて固液分離操作B後の固体成分に対して、再結晶、溶媒による洗浄操作を行うことが好ましい。再結晶または洗浄の溶媒としては、溶解性の高い、ケトン系溶媒、非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。これらの溶媒の種類の中で、ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、またはイソホロンを挙げることができる。非プロトン性極性溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、またはN−メチル−2−ピロリドンを挙げることができる。更に、上記反応溶媒とこの再結晶・洗浄に用いる溶媒は別種の溶媒を用いることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の製造方法によれば、上記の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルを効率的かつ高収率で製造することができる。本発明で得られる6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエステルは、機能性ポリマーの原料として有用であり、例えば6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を酸成分とし、エチレングリコールをグリコール成分とするポリエステルは295℃に近い融点を有し、かつ高ヤング率の成形品を溶融成形で製造できるという特徴を有する。
【0036】
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、化合物の分析については、HPLCを使用し別途入手した標準物質とクロマトグラムを対比することで実施した。ハロゲン化ビニル化合物を含む気体としての発生量はマスフローメーター(株式会社堀場製作所製 SEF−51)にて測定し、0℃、1気圧下に換算した。反応より得られた気体成分5μLを、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製 GC−14B)により定量化を行った。
【0037】
[実施例1]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを12.4g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計37.2g(0.38mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(257g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを24.4g(収率:88.2%)得た。
【0038】
[実施例2]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを12.4g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計37.2g(0.38mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを25.5g(収率:86.5%)得た。
【0039】
[実施例3]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを6.2g/時の一定速度で滴下ロートから6時間(合計37.2g(0.38mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。
その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを24.7g(収率:83.9%)得た。
【0040】
[実施例4]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを5.0g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計15.0g(0.15mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(255.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを23.5g(収率:84.9%)得た。
【0041】
[実施例5]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを5.0g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計15.0g(0.15mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを23.6g(収率:80.1%)得た。
【0042】
[実施例6]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを16.4g(0.17mol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを3.5g/時の一定速度で滴下ロートから6時間(合計21.0g(0.21mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(253.0g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)とシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを22.9g(収率:82.8%)得た。
【0043】
[比較例1]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを12.4g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計37.2g(0.38mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液の気液界面より3cm上方にある状態(図3に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(254.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを20.4g(収率:69.2%)得た。
【0044】
[比較例2]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸カリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタン37.2g(0.38mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を1つの反応器中に一時に加え、170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(252.6g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを15.6g(収率:52.9%)得た。
【0045】
[比較例3]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを5.0g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計15.0g(0.15mol))かけて、NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液の気液界面より3cm上方にある状態(図3に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(254.5g)とをそれぞれ得た。
この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを20.3g(収率:68.9%)得た。
以上の実施例1〜6、比較例1〜3の結果を表1および表2に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
[実施例7]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを9.9g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計29.7g(0.30mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、連続添加の時間を含めて6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(261g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルを24.8g(収率:89.6%)得た。
【0049】
[実施例8]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを13.6g/時の一定速度で滴下ロートから2時間(合計27.2g(0.27mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、連続添加の時間を含めて6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(259g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルを23.9g(収率:86.4%)得た。
【0050】
[実施例9]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを16.1g/時の一定速度で滴下ロートから2時間(合計32.2g(0.33mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、連続添加の時間を含めて3時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(249g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルを25.0g(収率:90.3%)得た。
【0051】
[実施例10]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタン22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを2.5g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計7.5g(0.076mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、連続添加の時間を含めて6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(261g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルを24.9g(収率:90.0%)得た。
【0052】
[実施例11]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを16.4g(0.17mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを4.5g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計13.5g(0.14mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、連続添加の時間を含めて6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(259g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルを24.1g(収率:87.1%)得た。
【0053】
[実施例12]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、1,2−ジクロロエタンを2.5g/時の一定速度で滴下ロートから3時間(合計7.5g(0.076mol))かけて、上記NMP溶液中へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、連続添加の時間を含めて6時間反応させ反応生成物を得た。その連続添加を行っている間、その滴下ロートの滴下口の先端は上記NMP溶液中にある状態(図1に示したような状態)であった。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(249g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルを25.1g(収率:85.2%)得た。
以上の実施例7〜12の結果を表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
[実施例13]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを9.9g/時の一定速度で3時間(合計29.7g(0.30mol))液相へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、6時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は4.7Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(260.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを24.5g(収率:88.5%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.2L(0.054mol、投入した1,2−ジクロロエタンの17.9mol%が変換した。)得た。
【0056】
[実施例14]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを12.4g/時の一定速度で3時間(合計37.2g(0.38mol))液相へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は8.3Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(274g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを24.7g(収率:89.3%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを2.3L(0.103mol、投入した1,2−ジクロロエタンの27.3mol%が変換した。)得た。
【0057】
[実施例15]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを6.2g/時の一定速度で6時間(合計37.2g(0.38mol))液相へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、6時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は5.7Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(257.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを25.7g(収率:87.2%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.7L(0.076mol、投入した1,2−ジクロロエタンの20.2mol%が変換した。)得た。
【0058】
[実施例16]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを12.4g/時の一定速度で3時間(合計37.2g(0.38mol))液相へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は8.6Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(260g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを26.6g(収率:90.3%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを2.6L(0.116mol、投入した1,2−ジクロロエタンの30.9mol%が変換した。)得た。
【0059】
[実施例17]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを2.5g/時の一定速度で3時間(合計7.5g(0.076mol))液相へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、6時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は4.7Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(260.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを25.2g(収率:91.1%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.2L(0.054mol、投入した1,2−ジクロロエタンの17.9mol%が変換した。)得た。
【0060】
[実施例18]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを5.0g/時の一定速度で3時間(合計15.0g(0.15mol))液相へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は8.3Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(274g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを25.0g(収率:90.3%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを2.3L(0.103mol、投入した1,2−ジクロロエタンの27.3mol%が変換した。)得た。
【0061】
[実施例19]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを9.9g(0.10mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを6.6g/時の一定速度で3時間(合計19.8g(0.20mol))液相へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は8.3Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(274g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを24.8g(収率:89.6%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.4L(0.063mol、投入した1,2−ジクロロエタンの20.8mol%が変換した。)得た。
【0062】
[実施例20]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを2.5g/時の一定速度で3時間(合計7.5g(0.076mol))液相へと連続添加しながら150℃、常圧条件下、6時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は5.7Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(257.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを26.1g(収率:88.6%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.7L(0.076mol、投入した1,2−ジクロロエタンの25.3mol%が変換した。)得た。
【0063】
[実施例21]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸ナトリウム21.1g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタンを22.2g(0.22mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを5.0g/時の一定速度で3時間(合計15.0g(0.15mol))液相へと連続添加しながら170℃、常圧条件下、3時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は8.6Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(260g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを26.4g(収率:89.6%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを2.6L(0.116mol、投入した1,2−ジクロロエタンの30.9mol%が変換した。)を得た。
以上の実施例13〜21の結果を表4及び表5に示した。
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
[実施例22]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸カリウム36.8g(0.27mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを6.2g/時の一定速度で6時間(合計37.2g(0.38mol))液相へと連続添加しながら120℃、常圧条件下、9時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は6.2Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を120℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(258.2g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)とシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを25.1g(収率:90.7%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.0L(0.045mol、投入した1,2−ジクロロエタンの11.9mol%が変換した。)得た。
【0067】
[実施例23]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸カリウム36.8g(0.27mol)、N−メチル−2−ピロリドン200g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを9.3g/時の一定速度で3時間(合計27.9g(0.28mol))液相へと連続添加しながら120℃、常圧条件下、8時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は7.7Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を120℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(249.6g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)とシクロヘキサノン150g(1.5mol)と混合し、ろ過により固液分離し、固体成分(c)を濾液とをそれぞれ得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを24.8g(収率:89.6%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.1L(0.049mol、投入した1,2−ジクロロエタンの17.4mol%が変換した。)得た。
【0068】
[実施例24]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸カリウム36.8g(0.27mol)、N−メチル−2−ピロリドン130g(1.8mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを9.3g/時の一定速度で3時間(合計27.9g(0.28mol))液相へと連続添加しながら120℃、常圧条件下、11時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は4.7Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を120℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(247.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン30g(0.30mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)と混合し、ろ過により固液分離し、固体成分(c)と濾液とをそれぞれ得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを26.1g(収率:88.6%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを0.6L(0.027mol、投入した1,2−ジクロロエタンの9.5mol%が変換した。)得た。
【0069】
[実施例25]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸カリウム36.8g(0.27mol)、N−メチル−2−ピロリドン130g(2.0mol)を加え、溶液とした。1,2−ジクロロエタンを14.0g/時の一定速度で2時間(合計28.0g(0.28mol))液相へと連続添加しながら120℃、常圧条件下、9時間反応させ応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は6.6Lであった。)。液相への連続添加操作は、滴下ロートを用い、その滴下ロートの先端が上記NMP溶液中にあるような状態(図1に示したような状態)で行った。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を120℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(247.9g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン30g(0.30mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)と混合し、ろ過により固液分離し、固体成分(c)と濾液とをそれぞれ得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを26.2g(収率:88.9%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを1.3L(0.058mol、投入した1,2−ジクロロエタンの20.5mol%が変換した。)得た。
【0070】
[比較例4]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル26.0g(0.13mol)に、炭酸カリウム27.6g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタン37.2g(0.38mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。この状態で120℃、常圧条件下、10時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は14.3Lであった。)。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を170℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(275.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン60g(0.61mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジメチルエステルを21.1g(収率:76.3%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを4.0L(0.179mol、投入した1,2−ジクロロエタンの47.5mol%が変換した。)得た。
【0071】
[比較例5]
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルエステル27.8g(0.13mol)に、炭酸カリウム27.6g(0.20mol)、1,2−ジクロロエタン37.2g(0.38mol)、N−メチル−2−ピロリドン180g(1.8mol)を加え、溶液とした。この状態で120℃、常圧条件下、10時間反応させ反応生成物を得た。同時に反応中に発生した気体成分をガス捕集瓶に回収した(得られた気体成分の量は13.1Lであった。)。
反応終了後、反応生成物を含む液体の温度を100℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分と濾液(a)(260.5g)とをそれぞれ得た。この濾液(a)からN−メチル−2−ピロリドン20g(0.20mol)を減圧蒸留にて除去した後、蒸留残渣を放冷して35℃とした後、ろ過により固液分離し、固体成分(b)と濾液とをそれぞれ得た。その後、固体成分(b)をシクロヘキサノン150g(1.5mol)で洗浄し、固体成分(c)を得た。この固体成分(c)を90〜100℃のスチーム乾燥機にて12時間乾燥させたところ、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸ジエチルエステルを22.7g(収率:77.0%)得た。また回収した気体成分から、塩化ビニルガスを3.7L(0.165mol、投入した1,2−ジクロロエタンの43.9mol%が変換した。)得た。
以上の実施例22〜25、比較例4〜5の結果を表6に示した。
【0072】
【表6】



図1
図2
図3