特許第5960844号(P5960844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960844
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/00 20060101AFI20160719BHJP
   B62J 11/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B62J9/00 H
   B62J11/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-553874(P2014-553874)
(86)(22)【出願日】2012年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2012008252
(87)【国際公開番号】WO2014102854
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅文
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/132582(WO,A1)
【文献】 特開2012−096594(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043562(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/090246(WO,A1)
【文献】 特開平04−244494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00
B62J 11/00
B60L 11/18
B60K 1/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を駆動するための走行動力を発生する電動モータと、
前記電動モータを供給するための直流電力を蓄える複数のバッテリを内部空間に収容したバッテリケースと、
前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに電力を供給するインバータと、
前記インバータを前記電動モータに接続する電力線と、を備え、
前記電力線は、前記バッテリケースの前記内部空間において複数の前記バッテリ同士の間を通過している、電動車両。
【請求項2】
前記バッテリケースは、前記電動モータと前記インバータとで挟まれる位置に設けられて、前記インバータが配置される空間と前記内部空間とは、前記バッテリケースの壁で仕切られ、
前記電力線は、前記電動モータと前記インバータとで挟まれる前記内部空間を通過している、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
車輪を駆動するための走行動力を発生する電動モータと、
前記電動モータを供給するための直流電力を蓄えるバッテリを内部空間に収容したバッテリケースと、
前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに電力を供給するインバータと、
前記インバータを前記電動モータに接続する電力線と、
前記電動モータを収容したモータケースと、を備え、
前記電力線は、前記バッテリケースの前記内部空間を通過しており、
前記インバータは、前記バッテリケースの上方に配置され、前記電動モータは、前記バッテリケースの下方に配置され、
前記電力線は、前記インバータから前記バッテリケースの前記内部空間を上下方向に通過する通過部分を有し、
前記バッテリケースの下部と前記モータケースとの間には、前記通過部分を前記電動モータに電気的に接続し、前記通過部分に比べて可撓性を有する電力ケーブルが架け渡されている、電動車両。
【請求項4】
車輪を駆動するための走行動力を発生する電動モータと、
前記電動モータを供給するための直流電力を蓄えるバッテリを内部空間に収容したバッテリケースと、
前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに電力を供給するインバータと、
前記インバータを前記電動モータに接続する電力線と、を備え、
前記電力線は、前記バッテリケースの前記内部空間を通過しており、
前記電力線は、前記バッテリケースの内部空間を上下方向に通過する三相交流用の3本のバスバーを有し、
前記3本のバスバーは、互いに絶縁材を介して面接合されてバスバーモジュールを形成している、電動車両。
【請求項5】
前記電力線は、前記バッテリケースの内部を通って前記バッテリケースの上面を貫通して上方に突出する部分を有し、当該部分が前記バッテリケースの上部に配置されたインバータに接続される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動車両。
【請求項6】
前記バッテリケースの前記内部空間では、複数の前記バッテリ同士の間に形成される隙間によって冷却通路が形成され、前記電力線が、前記バッテリケースの前記内部空間において前記冷却通路を通過し、前記冷却通路に沿って配置されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータによる動力で車輪を駆動する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリの電力により電動モータで走行動力を発生させて車輪を駆動する電動車両が開発されている。かかる電動車両は、バッテリの電力で電動モータを駆動するインバータ(モータ駆動装置)、バッテリをインバータに繋ぐ電力線、及びインバータを電動モータに繋ぐ電力線を備える(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の電動二輪車においては、モータ駆動装置をモータに繋ぐ配線は、スイングアームに沿って前後方向に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−264664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリ、インバータ及びモータの間では大きい電流が流れるため、電力線を外界から保護すると共に運転者を電力線から保護できるように配置されていることが好ましい。一方、保護構造を別途設けるとなると、電動車両のスペース効率が悪くなったり、電動車両の美観を損なったりするおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、インバータを電動モータに接続する電力線の保護性を高めながら、当該電力線をコンパクトに取り回すことで電動車両のスペース効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動車両は、車輪を駆動するための走行動力を発生する電動モータと、前記電動モータを供給するための直流電力を蓄える複数のバッテリを内部空間に収容したバッテリケースと、前記バッテリからの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに電力を供給するインバータと、前記インバータを前記電動モータに接続する電力線と、を備え、前記電力線は、前記バッテリケースの前記内部空間において複数の前記バッテリ同士の間を通過している。
【0007】
前記構成によれば、インバータを電動モータに接続する電力線がバッテリケースの内部空間を通過しているので、電力線を外部から容易に保護できるとともにスペース効率が向上する。また、電力線をバッテリケースで隠すことができるので、車両外観の美観も向上する。
【0008】
前記バッテリケースは、前記電動モータと前記インバータとで挟まれる位置に設けられていてもよい。
【0009】
前記構成によれば、バッテリからインバータ及び電動モータまでの各距離を短くできると共に、電動モータとインバータとを繋ぐ電力線をバッテリケース内に通過させて短くすることができる。
【0010】
前記電動モータを収容したモータケースを更に備え、前記インバータは、前記バッテリケースの上方に配置され、前記電動モータは、前記バッテリケースの下方に配置され、前記電力線は、前記インバータから前記バッテリケースの内部空間を上下方向に通過する通過部分を有し、前記バッテリケースの下部と前記モータケースとの間には、前記通過部分を前記電動モータに電気的に接続し、前記通過部分に比べて可撓性を有する電力ケーブルが架け渡されていてもよい。
【0011】
前記構成によれば、インバータと電動モータとがバッテリケースを挟んで上下に離れて配置されていても、ケース外を通過させる場合に比べ、電力ケーブルを極力短くすることができ、それにより配線作業を容易に行うことができる。
【0012】
前記電力線は、前記バッテリケースの内部空間を上下方向に通過する三相交流用の3本のバスバーを有し、前記3本のバスバーは、互いに絶縁材を介して面接合されてバスバーモジュールを形成していてもよい。
【0013】
前記構成によれば、バッテリケース内の限られた空間で三相交流用の電力線をコンパクトに収容することができるとともに、組立時における電力線のハンドリング性が向上する。また、絶縁材を介して積層接合されるので互いにノイズを抑制し合うことができる。
【0014】
前記電力線は、前記バッテリケースの内部を通って前記バッテリケースの上面を貫通して上方に突出する部分を有し、当該部分が前記バッテリケースの上部に配置されたインバータに接続されてもよい。
【0015】
前記構成によれば、バッテリケースの内部空間を通過する電力線がバッテリケースの上方に突出するので、バッテリケースを閉じた状態でインバータを容易に後付けでバッテリケースの上部に組み付けることができる。
【0016】
前記バッテリケースの内部空間では、前記複数のバッテリ同士の間又は前記バッテリと前記バッテリケースとの間に形成される隙間によって冷却通路が形成され、前記電力線が、前記バッテリケースの内部空間において前記冷却通路を通過していてもよい。
【0017】
前記構成によれば、電力線を通過させるために確保されるべきスペースと、バッテリを冷却するために確保されるべきスペースとが兼用されるので、バッテリケースの大型化を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、インバータを電動モータに接続する電力線の保護性を高めながら、当該電力線をコンパクトに取り回して電動車両のスペース効率を高めると共に、車両外観の美観も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る電動二輪車の左側面図である。
図2図1に示す電動二輪車のパワーユニットの右側面図である。
図3図1に示す電動二輪車のパワーユニット(電動モータ装置の図示省略)を左前方から見た分解斜視図である。
図4図1に示す電動二輪車のパワーユニット(電動モータ装置の図示省略)を示す右後方から見た分解斜視図である。
図5図1に示す電動二輪車のパワーユニット(電動モータ装置の図示省略)を左方から見た縦断面図である。
図6図1に示す電動二輪車のバッテリケースの上方領域のECU及びDCDCコンバータ等を取り外した状態を示す斜視図である。
図7図6に示すバッテリケースの上方領域の更にインバータ等を取り外した状態を示す斜視図である。
図8図1に示す電動二輪車のバッテリケース内のバスバーモジュールを説明するための要部斜視図である。
図9図8に示す第1バスバーモジュールの斜視図である。
図10図8に示す第2バスバーモジュールの斜視図である。
図11図8に示す第3バスバーモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る電動二輪車1の右側面図である。図2は、図1に示す電動二輪車1のパワーユニット19の右側面図である。図1及び2に示すように、鞍乗型の電動車両である電動二輪車1は、従動輪である前輪2と駆動輪である後輪3とを備えた自動二輪車である。前輪2は、フロントフォーク4の下端部に回転自在に支持されている。フロントフォーク4の上部はステアリング軸(図示せず)と一体であり、そのステアリング軸は車体側のヘッドパイプ5に内挿された状態で回転自在に支持されている。ステアリング軸には、左右へ延びるバー型のハンドル6が取り付けられて、ハンドル6の右側には、アクセルグリップ(図示せず)が設けられている。
【0022】
電動二輪車1の車体フレーム10は、ヘッドパイプ5から左右に分かれて若干下方に傾斜しながら後方に延びる一対のメインフレーム11を備えている。メインフレーム11の前端部には、そこから下方に延びてから後方に延びる左右一対のダウンフレーム14が接続されている。メインフレーム9の後端部は、枠状のピボットフレーム12の上部に接続されている。ピボットフレーム12には、後輪3を支持するスイングアーム15の前端部が上下に揺動可能に支持されている。スイングアーム15の上方では、メインフレーム11の後端部に接続されたリヤフレーム13が設けられている。ピボットフレーム12の左側には、使用位置と不使用位置との間で傾動可能であり、使用位置において電動二輪車1の車体を側方(本例では左方)に傾斜した状態で支持するサイドスタンド17が設けられている。
【0023】
車体フレーム10は、ヘッドパイプ5とピボットフレーム12との間の空間において、パワーユニット19を支持している。パワーユニット19は、複数のバッテリ40、電動モータ42、インバータ47(図2参照)などを一体化したユニットである。複数のバッテリ40は、バッテリケース20に収容されている。バッテリケース20は、上下が開放された筒状で後側領域の下端が閉鎖されている金属製のミドルケース21と、ミドルケース21の上方開口を塞ぐようにミドルケース21に取り付けられた樹脂製のアッパーケース22と、ミドルケース21の前側領域の下方開口を塞ぐようにミドルケース21に取り付けられた樹脂製のロアケース23とを備えている。
【0024】
バッテリケース20には、ロアケース23の後方で且つミドルケース21の下方においてモータユニット25が取り付けられている。具体的には、モータユニット25は、ブラケット36,37によりミドルケース21の枠体32及びピボットフレーム12に固定されている。モータユニット25は、ケーシング44(モータケース)と、ケーシング44に収容されて走行動力を発生する電動モータ43と、ケーシング44に収容されて電動モータ43から出力される回転動力を変速する変速機43と、ケーシング44の下部に設けられたオイルパン44aと、オイルパン44aに溜まったオイルを吸い上げて吐出するオイルポンプ45とを備えている。変速機43から出力される回転動力は、チェーン16を介して後輪3に伝達される。
【0025】
バッテリケース20の上面には、アッパーケース22との間で電装品群46を収容する電装品空間を形成する電装品カバー26が取り付けられている。電装品カバー26は、絶縁性を有し、例えば、絶縁樹脂材料からなる。電装品カバー26は、従来のエンジン式自動二輪車の燃料タンクに外観を似せたダミータンクであるアッパーカバー28により覆われている。アッパーカバー28は、例えば金属材料からなり、電装品カバー26は、アッパーカバー28よりも強度が低い。アッパーカバー28の後部には、後述する充電コネクタ75(図5参照)を露出させるためのコネクタ開口部28が形成され、コネクタ開口部28はコネクタ蓋部29により塞がれている。アッパーカバー28のうちコネクタ蓋部29のある後部は、アッパーカバー28のうち電装品カバー26を覆う中央部よりも車幅方向の寸法が小さい。アッパーカバー28の後方には、リヤフレーム13により支持された運転者用のシート30が設けられている。シート30に着座した運転者は、アッパーカバー28を両脚で挟めるようになっている。また、バッテリケース20の上面は、シート30の上端よりも低く配置されている。これにより、インバータ47等の電装品群46をバッテリケース20上に配置したとしても、シート30とヘッドパイプ5とを結ぶ仮想線よりも上方に電装品群46が突出する突出量が抑えられる。
【0026】
バッテリ40は、ヘッドパイプ5とシ−ト30との間に配置されている。バッテリ40の少なくとも一部は、車体の足置き部分よりも上方かつ前方に配置され、シート30に着座した両膝の間に配置される。電動モータ42は、ヘッドパイプ5とシート30との間に配置されている。電動モータ42は、ピボットフレーム12側に支持されており、スイングアーム15と共に揺動しない。バッテリケース20は、電動モータ42とインバータ47とで挟まれる位置に設けられている。
【0027】
モータユニット25のケーシング44は、バッテリケース20の底面の周縁よりも平面視で内側に配置され、かつ、インバータ47は、バッテリケース20の上面の周縁よりも平面視で内側に配置されている。これによって、インバータ47と電動モータ42とを接続する電力ケーブル27がバッテリケース20の前後方向および左右方向に突出することが防がれている。
【0028】
図3は、図1に示す電動二輪車1のパワーユニット19(モータユニット25の図示省略)を左前方から見た分解斜視図である。図4は、図1に示す電動二輪車1のパワーユニット19(モータユニット25の図示省略)を示す右後方から見た分解斜視図である。図5は、図1に示す電動二輪車1のパワーユニット19(モータユニット25の図示省略)を左方から見た縦断面図である。図6は、図1に示す電動二輪車1のバッテリケース20の上方領域のECU54及びDCDCコンバータ50等を取り外した状態を示す斜視図である。図7は、図6に示すバッテリケース20の上方領域の更にインバータ47等を取り外した状態を示す斜視図である。
【0029】
図2乃至5に示すように、バッテリケース20の内部空間S2には、電動モータ42に供給するための直流電力を蓄える複数のバッテリ40が整列配置されている。複数のバッテリ40は、筐体41により集合体として一体化されてバッテリ群をなしている。そのバッテリ40群は、車幅方向(左右方向)において、前側部分が後側部分に比べて幅広になるように配置されている。これにより、バッテリ40全体の容量を大きくしつつ、バッテリ40全体の上下方向寸法の大型化が防がれる。これに合わせて、ミドルケース21及びアッパーケース22も、その前側部分が後側部分に比べて幅広になる形状に形成されている。これにより、シート30に着座した運転者が両脚で挟みやすくなっている。
【0030】
ミドルケース21の枠体32で囲まれた領域のうち後部領域は、枠体32に溶接で固定された金属製の底板33で閉鎖されており、前部領域は、ロアケース23の内部空間に連通する開口部32cをなしている。ミドルケース21及びアッパーケース22内には、枠体32及び底板33の上に載置された状態でバッテリ40が収容されているとともに、ロアケース2内にもバッテリ40が収容されている。即ち、ミドルケース21及びアッパーケース22が上側バッテリ収容部をなし、ロアケース23が下側バッテリ収容部をなしている。そして、下側バッテリ収容部であるロアケース23は、上側バッテリ収容部であるミドルケース21及びアッパーケース22よりも前後方向に短く、ミドルケース21の前側下部に接続されており、モータユニット25は、ロアケース23の真後ろで且つミドルケース21の真下に配置されている。
【0031】
言い換えると、電動モータ42は、バッテリケースの下方にあり、本実施形態では、バッテリケース20の後部の下方で且つ前部の後方に配置されている。バッテリケース20は、その前部が下方に突出した形状であり、電動モータ42の上面がバッテリケース20の最下面よりも上方に配置され、電動モータ42の前面がバッテリケース20の最後面よりも前方に配置されている。これにより、バッテリ40と電動モータ42とを近接配置することができると共に、バッテリケース20の下端をなるべく下方に配置できる。また、電動モータ42の端子台がバッテリ40の上面よりも下方に配置されており、インバータ47と電動モータ42とを接続する電力線の少なくとも一部がバッテリケース20内を通過している。
【0032】
バッテリケース20のアッパーケース22の上面には、周状リブ22eで囲まれた電装品配置領域22aが形成されている。アッパーケース22の上面には周状リブ22eに沿って電装品カバー26が被せられ、電装品空間S1が形成されている。電装品カバー26には、アッパーカバー28の窪み部28dに対応して窪み部26aが形成されている。電装品空間S1には、電装品群46が配置されている。即ち、これらの電装品群46は、バッテリ40と平面視で重なるようにバッテリ40の上方に配置されている。電装品群46は、バッテリ40の高電圧の電流に関連する電装品であって、高圧電流が流れる電装品を含んでいる。例えば、電装品群46は、インバータ47(スイッチング装置)、DCDCコンバータ50(変圧器)、漏電センサ51、DCDCコンバータ用リレー52、バリスタ53、放電系リレー55、充電系リレー57、ヒューズ59、プリチャージ抵抗60、サービスプラグ71の少なくとも1つが含まれている。本例では、電装品群46は、それら全てを含んでいる。また、電装品群46は、低電圧の電流に関連する電装品を含んでもよい。本例では、電装品群46は、送風ファン48及びECU54(制御装置)を含んでいる。また、モータユニット25とインバータ47との間には、冷媒配管64,65、オイルポンプ45、オイルクーラ69等を介して冷媒としてのオイルが循環し、インバータ47及び電動モータ43が液冷されている。
【0033】
電装品カバー26の後方において、バッテリケース20のアッパーケース22の上面には台座部22cが上方に突出して設けられている。その台座部22cには、バッテリ40を外部から充電するための充電コネクタ75が取り付けられている。即ち、充電コネクタ75は、バッテリケース20の外側においてバッテリケース20に一体化されて、パワーユニット19の一部をなしており、バッテリ40と平面視で重なるようにバッテリ40の上方に配置されている。電装品カバー26の後壁部には、挿通孔26cが形成されており、充電コネクタ75からの電線は挿通孔26cを通って電装品空間S1に導かれている。充電コネクタ75には、外部電源とケーブル91で繋がったL字形状の電源コネクタ90が接続されるコネクタ接続面76が設けられ、そのコネクタ接続面76は車幅方向(本例では左方)に向いている。コネクタ接続面76には、急速充電用コネクタ部77と通常充電用コネクタ78とが設けられ、それらは上下に並んで配置されている。
【0034】
図5及び7に示すように、バッテリケース20のアッパーケース22の上面の電装品配置領域22aには、その中央にファン48が設置されている。アッパーケース22の上壁には、電装品空間S1と内部空間S2とを連通させるエア流入口22gが形成され、ファン48は、エア流入口22gを介して電装品空間S1のエアを内部空間S2に流入させる。なお、アッパーケース22には、ファン47の吐出口とエア流入口22gとの間の流路を形成するダクト部22fが形成されている。
【0035】
図5に示すように、バッテリケース20の内部空間S2では、エア流入口22gの真下において、上下方向に冷却通路C1を形成するように前後の各バッテリ40が離隔配置されている。即ち、各バッテリ40を筐体41により集合体として一体化しながらも、エア流入口22gからのエア流入方向にバッテリ40間の隙間を位置させ、その隙間をバッテリ40間の他の隙間よりも大きくし、冷却通路C1として利用している。また、バッテリ40とバッテリケース20との間にも隙間を形成して、その隙間も冷却通路C2として利用している。
【0036】
図7に示すように、電装品配置領域22には、バッテリ40とインバータ47との間の通電経路に介設された一対の放電系リレー55,56と、充電コネクタ75とバッテリ40との間の通電経路に介設された一対の充電系リレー57,58とが設置されている。また、電装品配置領域22のその他の箇所には、電源回路に介設されたヒューズ59と、プリチャージ抵抗60とが設置されている。そして、電装品配置領域22には、インバータ47を設置するための複数の支柱部22dが上方に突出している。また、電装品配置領域22には、放電系リレー55,56、ヒューズ59、プリチャージ抵抗60等を介してバッテリ40と電気的に接続される電力線としての一対のバスバー81が上方に突出した状態で設けられている。また、電装品配置領域22に形成された開口22bを通って、内部空間S2から上方に向けて第1バスバーモジュール80(図8も参照)が突出している。この第1バスバーモジュール80は、インバータ47から電動モータ42に三相交流を供給する電力線としての3枚のバスバー94〜96(図9参照)を互いに積層して絶縁接着して一体化したものである。これにより、バスバー80のハンドリング性が良好になるとともに、ノイズ発生も抑制される。
【0037】
図6に示すように、インバータ47は、支柱部22dの上に設置されている。即ち、インバータ47は、アッパーケース22の上面に対して隙間をあけた上方に配置され、バッテリケース20に固定されている。インバータ47で発生した熱は上方へ向かうことから、インバータ47で発生した熱がバッテリ40へ伝わることを防ぐことができる。インバータ47とバッテリケース20との間に上下方向の隙間が形成されることでさらに熱の伝わりを防ぐことができる。インバータ47は、バッテリ40(図3参照)からの直流電力を交流電力に変換して電動モータ42(図3参照)に電力を供給するもので、半導体スイッチング素子を有している。インバータ47は、バッテリケース20と平面視で重なるようにバッテリ40の上方に配置されている。インバータ47は、バッテリケース20に平面視で包含されるようにバッテリケース20の上方に配置されている。インバータ47は、前後寸法及び左右寸法に比べて上下寸法が小さい扁平状に形成されている。インバータ47は、平面視でバッテリケース20及びバッテリ40の集合体の前後縁及び左右縁よりも内側に配置されている。
【0038】
インバータ47は、ファン48、放電系リレー55,56及び充電系リレー57,58に対して平面視で重なるようにそれらの上方に配置されている。即ち、ファン48、放電系リレー55,56及び充電系リレー57,58は、バッテリケース20とインバータ47との間に配置されている。これにより、小さい面積の電装品配置領域22aで多くの電装品を配置できるとともに、それらを相互に接続する電線等やそれらをバッテリ40と接続する電線等を短くすることができる。
【0039】
図5に示すように、インバータ47の上方には、金属板を折り曲げ加工した電磁シールド部材49が設けられている。電磁シールド部材49は、弱電系の電装品と同じ接地電位にアースされている。電磁シールド部材49は、階段状に形成され、インバータ47のうち支柱部22dに対応する部分等に載せられている。電磁シールド部材49は、複数の電装品を支持している。電磁シールド部材49の階段状の上面には、漏電センサ51、DCDCコンバータ用リレー52、バリスタ53、インバータ47、各種リレー52,55〜58等を制御するECU54等が設置されている。電磁シールド部材49の下面には、DCDCコンバータ50が取り付けられ、DCDCコンバータ50はインバータ47とは隙間をあけている。即ち、DCDCコンバータ50とECU54との間は電磁シールド部材49により仕切られている。よって、DCDCコンバータ50やインバータ47から発生する電磁ノイズが電磁シールド部材49で遮蔽され、ECU54に伝わることが防止される。言い換えると、強電系の電装品(インバータ、DCDCコンバータ等)の上方に、金属板を挟んで弱電系の電装品(ECUやセンサ等)を配置することで、弱電系の電装品への電磁ノイズの影響を防止しながら省スペースを図ることができる。ここで、強電系の電装品とは、直列接続されたバッテリ40群の電圧(例えば、200V等)と同じ電圧が印加されるものであり、弱電系の電装品とは、バッテリ40群の電圧よりも低い電圧(例えば、12V等)が印加され、例えば、制御信号等を入力、出力及び/又は演算するものである。
【0040】
バッテリケース20の上方に配置した電装品群46は、平面視で互いに重なるように上下方向に並んで複数層に配置されている。本実施形態では、インバータ47が、ファン48、放電系リレー55,56及び充電系リレー57,58の上方にてそれらに平面視で重なるように配置され、DCDCコンバータ50が、インバータ47の上方にてそれに平面視で重なるように配置され、ECU54が、DCDCコンバータ50の上方にてそれに平面視で重なるように配置され、漏電センサ51、DCDCコンバータ用リレー52及びバリスタ53が、インバータ47の上方にてそれに平面視で重なるようにECU54の側方に配置されている。
【0041】
図8は、図1に示す電動二輪車1のバッテリケース20内のバスバーモジュール80,82〜85を説明するための要部斜視図である。図1,3,6及び8に示すように、電動モータ42(図1参照)とインバータ47とを接続するための電力線の一部である第1バスバーモジュール80は、バッテリケース20(図4参照)の内部空間を上下方向に通過している。第1バスバーモジュール80の下端の端子部80bは、ロアケース23の端子収容部23b(端子ボックス)に配置されている。そして、端子収容部23bの端子部80bと、モータユニット25の端子台44bに収容された電動モータ42の端子部(図示せず)との間には、バッテリケース20の外部において3本の高圧用の電力ケーブル27(図1参照)が架け渡されている。このとき、端子収容部23bを有するロアケース23と電動モータ42とは前後方向に隣接するので、外部に露出する高圧用の電力ケーブル27を短くすることが可能になっている。このように、インバータ47と電動モータ42とを接続する電力線は、第1バスバーモジュール80と電力ケーブル27とを備えており、第1バスバーモジュール80の一部がインバータ47からバッテリケース20の内部空間を上下方向に通過する通過部分をなしている。
【0042】
図1に示すように、電力ケーブル27は、シート30とバッテリ40を挟んだ位置にあり、シート30から離れて配置されている。具体的には、シート30は、バッテリケース20に後上方に配置されているのに対し、電力ケーブル27の一端部が接続されるバッテリケース20の端子収容部23bは、バッテリケース20の前下部に配置されている。そして、電動モータ42のケーシング44に設けた端子台44bは、前方に向くように配置されている。
【0043】
図9は、図8に示す第1バスバーモジュール80の斜視図である。図8及び9に示すように、第1バスバーモジュール80は、三相交流用の3つのバスバー94〜96を互いに積層して絶縁接着して予め一体化したものである。3つのバスバー94〜96の各端部は、互いに終端位置をずらして折り曲げられており、第1バスバーモジュール80のインバータ47側の端子部80aが一列に並べられ、かつ、第1バスバーモジュール80の電動モータ25側の端子部80bが一列に並べられている。端子部80aが並ぶ方向と端子部80bが並ぶ方向とは、異なっており、互いに直交している。バスバー94〜96のうち上下方向に延びる部分は、端子部80bが並ぶ方向(前後方向)に積層されている。鞍乗型車両にあっては、左右方向の車体寸法が小さいので、第1バスバーモジュール80の一方の端子部80a及び他方の端子部80bのうち少なくとも一方は、前後方向に並ぶことが好ましい。
【0044】
第1バスバーモジュール80のうち3つの端子部80aがある上方部分は、バッテリケース20から上方に突出しており、端子部80aがインバータ47の出力端子に接続されている。第1バスバーモジュール80は、前後方向に3列に並んだバッテリ40のうち、前から1列目のバッテリ40と2列目のバッテリ40との間の空間(冷却通路C1)を通過している。即ち、第1バスバーモジュール80は、バッテリ40の集合体の前部に配置されている。インバータ47と電動モータ42とを接続する電力線としての第1バスバーモジュール80は、バッテリ40の集合体の内部(即ち、冷却通路C1)を通過することで、バッテリケース20とバッテリ40との間に第1バスバーモジュール80が配置される場合に比べて、第1バスバーモジュール80を保護することができる。本実施形態では、前後方向に関して、前後に並ぶバッテリ40の間に第1バスバーモジュール80が通過するとともに、左右方向に関して、バッテリ40の集合体の左右端よりも内側を第1バスバーモジュール80が通過することで、第1バスバーモジュール80が好適に保護される。
【0045】
バッテリケース20には、第1バスバーモジュール80と電力ケーブル27(図1参照)と電気的に接続するための端子収容部23b(端子ボックス)が形成されることで、第1バスバーモジュール80と電力ケーブル27とを直接接続する場合に比べて、組立作業性を向上させている。具体的には、端子収容部23bには、第1バスバーモジュール80の端子部80bと接続されるバスバー側端子部93aと、電力ケーブル27(図1参照)と接続されるケーブル側端子部93bとが形成された導電体93が収容されており、バスバー側端子部93aがバッテリケース20の内側に向き、ケーブル側端子部93bがバッテリケース20の外側に向いている。
【0046】
端子収容部23bは、平面視においてバッテリケース20の前後及び左右方向の外縁よりも内側に形成されている。よって、車両転倒時などには、バッテリケース20のうち端子収容部23b以外の部分が先に障害物に当たることになり、端子収容部23bが保護される。同様に、端子収容部23bは、バッテリ40群の最下端よりも上方に配置されているので、車両転倒時などには、端子収容部23bよりも先にバッテリケース20の最下端が障害物に衝突することになり、端子収容部23bが保護される。
【0047】
図10は、図8に示す第2バスバーモジュール98の斜視図である。図8及び10に示すように、ロアケース23に収容されるバッテリ40と、ミドルケース21(図3参照)に収容されるバッテリ40とを接続する複数のバスバー82,83は、それらの中間部分82a,83a同士が互いに絶縁材を介して面接合されることで、予め一体化された第2バスバーモジュール98を構成している。このとき、バスバー82の一端部と他端部とを結ぶ仮想直線と、バスバー83の一端部と他端部とを結ぶ仮想直線とは互いに交差していないため、バスバー82,83の中間部分82a,83aが互いに近接して接触するようにバスバー82,83を屈曲した形状にしている。
【0048】
図11は、図8に示す第3バスバーモジュール99の斜視図である。図8及び11に示すように、バッテリ40群とバッテリケース20(図5参照)の上壁(アッパーケース22の上壁)との間の隙間にも、バッテリ40同士を直接接続するためのバスバー84〜89が配置されており、これらバスバー84〜89についても、互いに近接するバスバー84〜89の中間部分が互いに絶縁材を介して面接合されて第3バスバーモジュール99を構成している。
【0049】
バッテリケース20に収容された各バッテリ40は、第2バスバーモジュール98及び第3バスバーモジュール99を構成する各バスバー82〜89により電気的に相互に直列接続されている。その直列接続されたバッテリ40群の終端の正極端子及び負極端子は、インバータ47に接続するために電装品配置空間に設けられたバスバー81(図7参照)に接続されている。
【0050】
以上のように、第1〜第3バスバーモジュール80,98,99が、複数のバスバーを予め一体化した複数のサブアッシとなっているので、多数のバスバー82〜89,94〜96を組み付ける際の作業性が向上する。
【0051】
そして、第1バスバーモジュール80及び第2バスバーモジュール98は、バッテリケース20の内部空間S2において、冷却通路C1,C2(図5参照)を通過している。即ち、バッテリ40の冷却のために大きめの隙間とした冷却通路C1,C2をバスバー82,83,94〜96の収容空間と兼用している。ファン48から送風されたエアは、エア流入口22gからバッテリケース20内に入って、そのエアが冷却通路C1,C2を流れてバッテリ40及びバスバー82,83,94〜96の熱を奪い、バッテリケース20に形成されたエア流出口(図示せず)から外部に流出する。
【0052】
以上に説明した構成によれば、インバータ47を電動モータ42に接続するための電力線(第1バスバーモジュール80)がバッテリケース20の内部空間を通過しているので、その電力線を外部から容易に保護できるとともにスペース効率が向上する。また、第1バスバーモジュール80である電力線をバッテリケース20で隠すことができるので、車両外観の美観も向上する。また、バッテリケース20は、電動モータ42とインバータ47とで上下から挟まれる位置に設けられているので、バッテリ40からインバータ47及び電動モータ42までの各距離を短くできると共に、電動モータ42とインバータ47とを繋ぐための電力線である第1バスバーモジュール80をバッテリケース20内に通過させて短くすることができる。また、バッテリケース20にインバータ47が隣接配置されているので、バッテリケース20外に延びる電力線を短くできる。
【0053】
また、電動モータ42とインバータ47とを接続するための電力線は、インバータ47からバッテリケース20の内部空間を上下方向に通過する通過部分として第1バスバーモジュール80を有し、バッテリケース20の下部と電動モータ42のケーシング44との間には、第1バスバーモジュール80を電動モータ42に接続する三相交流用の3本の電力ケーブル27が架け渡されている。よって、インバータ47と電動モータ42とがバッテリケース20を挟んで上下に離れて配置されていても、ケース20外を通過させる場合に比べ、太くて曲げにくい高圧用の3本の電力ケーブル27を極力短くすることができ、配線作業を容易に行うことができる。
【0054】
また、三相交流用の3本のバスバー94〜96は、互いに絶縁材を介して面接合されて第1バスバーモジュール80を形成しているので、バッテリケース20内の限られた空間S2で三相交流用のバスバー94〜96をコンパクトに収容することができるとともに、組立時におけるバスバー94〜96のハンドリング性が向上する。また、絶縁材を介して接合されるので互いにノイズを抑制し合うことができる。
【0055】
また、第1バスバーモジュール80は、バッテリケース20の内部を通ってバッテリケース20の上面の開口22bを貫通して上方に突出する部分を有し、その部分がバッテリケース20の上部に配置されたインバータ47に接続されているので、バッテリケース20を閉じた状態でインバータ47等の電装品を容易に後付けでバッテリケース20の上部に組み付けることができる。また、第1〜第3バスバーモジュール80,98,99が、バッテリケース20の内部空間S2において冷却通路C1,C2を通過しているので、電力線(バスバー)を通過させるために確保されるべきスペースと、バッテリ40を冷却するために確保されるべきスペースとが兼用されるので、バッテリケース20の大型化を防ぐことができる。その際、冷却通路C1,C2を流れるエアは、バッテリ40のみならず第1〜第3バスバーモジュール80,98,99からも熱を奪い、第1〜第3バスバーモジュール80,98,99の電気抵抗の増加も抑制される。
【0056】
また、インバータ47及び電動モータ42の端子台は、バッテリ40の集合体及びバッテリケース20の前後縁及び左右縁よりも内側に配置されるので、平面視においてバッテリケース20の内側に電力線を配置して、インバータ47と電動モータ42とを電気的に接続することができる。また、電装品群46がバッテリケース20の外側に配置されることで、バッテリケース20を開かなくてもメンテナンスすることができ、作業性を向上することができる。
【0057】
また、バッテリケース20のうち、ミドルケース21と着脱可能に形成されているアッパーケース22にインバータ47を含む電装品群46が配置されることで、電装品をアッパーケース22にサブアッシとして予め組み付けた状態で、パワーユニット19を組み立てることができ、作業性が向上する。また、バッテリケース20を車体から離脱した場合に、電装品群46もバッテリ40と共に車体から離脱することができ、出荷前及び出荷後において車体に搭載していない状態でバッテリ40を容易に動作確認することができる。
【0058】
また、電装品群46がバッテリ40の上方に配置されるので、バッテリ40の下方に電装品が配置される場合に比べて組立性がよい。また、バッテリケース20のうちミドルケース21と着脱可能に形成されているアッパーケース22にインバータ47を含む電装品群46が配置されることで、電装品群46をバッテリケース20にサブアッシ化した状態で、組み立てることができ作業性を向上できる。また、バッテリケース20を車体から着脱した場合に、電装品群46もバッテリ40と共に車体から着脱することができ、出荷前又は出荷後において車体から取り外した状態でバッテリ40等の動作確認を行いやすい。
【0059】
また、電力ケーブル27は、車体に対してサイドスタンド17と同じ側(本例では左側)に配置されているので、サイドスタンド17を使用状態として車体を傾斜状態で自立させたときに、電力ケーブル27が見えづらくなり、車両の美観を向上することができる。また、ミドルケース21が金属で形成されているので、バッテリケース20内の電力線を好適に保護できるとともにバスバーモジュール80,98,99から放射される電磁ノイズの外部への漏洩を低減できる。また、インバータ47と電動モータ42とを接続する電力線の一部である電力ケーブル27が短く構成されているため、電力ケーブル27を別途カバーで覆う場合でも、そのカバーを小型化できる。
【0060】
また、電力ケーブル27は、バッテリ40を挟んでシート30から離れた位置に配置されているため、運転者近くに電力ケーブルが位置して膝や足などの運転者の下半身と電力ケーブルが干渉することを防ぎ、運転姿勢の自由度を向上させることができる。また、バッテリケース20の後部の左右方向寸法が、バッテリケース20の前部の左右方向寸法よりも小さく形成されており、インバータ47と電動モータ42とを接続する電力線(第1バスバーモジュール80及び電力ケーブル27)がバッテリ40群の前部に配置されているので、運転者によるニーグリップ性を維持しつつ、前記電力線の配置の自由度を高めることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、電動車両として電動二輪車を例示したが、鞍乗型車両であってよく、3輪又は4輪の車輪を備える車両、たとえばATV等でもよい。また、バッテリケース20内を通過する電力線としてバスバーを例示したが、他の形態の電力線(例えば、電力ケーブル)であってもよい。また、インバータ47を含む電装品群46の一部又は全部は、バッテリケース20の中に配置されてもよい。また、冷媒配管64,65は、バッテリケース20の内部を通過せずに外部を通過してもよい。また、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係る電動車両は、上述した顕著な効果を奏し、その意義を発揮できる電動二輪車等の電動車両に適用すると有益である。
【符号の説明】
【0063】
1 電動二輪車(電動車両)
20 バッテリケース
27 電力ケーブル
40 バッテリ
42 電動モータ
44 ケーシング(モータケース)
46 電装品群
47 インバータ
80,98,99 バスバーモジュール
81,82〜89,94〜96 バスバー
C1,C2 冷却通路
S2 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11