(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
血流回路(10)と、流体平衡または内側透析液回路(143)と、流体配向または外側透析液回路(142)と、透析液混合回路(25)とを備える血液透析システムであって、
前記血流回路は、透析装置を通じて血液をくみ出すための2つの隔壁ポンプ(13)を有する血流カセット(22)を含み、該流体平衡回路は、2つ以上の隔壁ポンプ(161,162)、2つ以上の流体平衡チャンバ(341,342;706,708)、および前記透析装置を通じて前記血液からの流体を透析液と交換するための限外濾過ポンプ(35)を含む平衡カセット(700)を含み、前記流体配向回路は、前記平衡カセットに透析液をくみ出すための2つ以上の隔壁ポンプ(159,602/604)を含む配向カセット(600)を含み、前記透析液混合回路は、透析液を混合するとともに透析液容器(1502)に透析液を送るための2つ以上の隔壁ポンプ、混合チャンバ(189;506)、および2つ以上の定量ポンプ(183,184;8030,8032)を含む混合カセット(500)を含み、
前記混合カセット、平衡カセット、および配向カセットは、一体的カセットアセンブリ内へと剛性を備えた流体導管によって相互に連通するとともに連結されることを特徴とする血液透析システム。
前記システムは、水を重炭酸と混合して重炭酸混合物を形成し、酸性溶液を前記重炭酸混合物と混合して透析液を形成し、かつ前記透析液を前記透析液容器に送るべく前記混合カセットを制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の血液透析システム。
前記システムは、新鮮な透析液が透析装置に送られると、使用済みの透析液を前記新鮮な透析液と交換するべく前記平衡カセットを制御するとともに、前記透析装置を通じて前記血流カセットによってくみ出される前記血液から流体を抽出するべく限外濾過ポンプを制御するように構成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の血液透析システム。
前記システムは、前記混合カセットと連通する導電性カセット(1504)をさらに備え、前記導電性カセットは、伝導性センサおよび温度センサが位置される1つ以上の流体路を含み、前記システムは、重炭酸混合物を前記混合カセットから前記導電性カセットに送るとともに、前記混合カセットに戻すべく前記混合カセットを制御するように構成されるとともに、前記重炭酸混合物が前記導電性カセットにおける予め設定された閾値を満たす場合に、酸性溶液を前記重炭酸混合物と混合して透析液を形成するように構成されることを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の血液透析システム。
前記システムは、透析溶液を前記導電性カセットに送るとともに前記混合カセットに戻すべく前記混合カセットを制御するように構成されるとともに、前記透析液が前記導電性カセットにおける予め設定された閾値を満たす場合に、前記透析液を前記透析液容器に送るように構成されることを特徴とする請求項7乃至9のうちのいずれか一項に記載の血液透析システム。
前記システムは、透析液が前記導電性カセットにおける予め設定された閾値を満たさない場合に、前記透析液を排液路に送るべく前記混合カセットを制御するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の血液透析システム。
前記システムは、透析液の温度が前記導電性カセットにおける予め設定された閾値を満たさない場合に、前記透析液を透析液ヒータ(1506)から排液路に送るべく前記配向カセットを制御するように構成されることを特徴とする請求項7乃至11のうちのいずれか一項に記載の血液透析システム。
前記システムは、透析液の導電性が前記導電性カセットにおける予め設定された閾値を満たさない場合に、前記透析液を透析液限外濾過装置(1508)から排液路に送るべく前記配向カセットを制御するように構成されることを特徴とする請求項7乃至12のうちのいずれか一項に記載の血液透析システム。
前記配向カセットと連通する動脈接続ポートおよび静脈接続ポートをさらに備え、これらの前記ポートは、前記血流回路の動脈血液管および静脈血液管を備えた前記配向カセットに接続されるように構成され、前記システムは、前記血流回路からエアトラップからなる再循環流路を通じて前記血流回路に流体を戻すべく前記配向カセットを制御するように構成され、該エアトラップは、排液路に接続され、前記システムは、前記血流回路内で殺菌流体を再循環させるとともに空気を前記エアトラップを通じて排出するように構成されることを特徴とする請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載の血液透析システム。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施例は添付の図面を参照して開示されるが、これらに限定されるものではない。図面は寸法を正確に示すことを意図したものではない。図面において同一の要素又は略同一の要素はそれぞれ通常1つの参照符号にて示される。明瞭に示すために全図面中全ての要素に参照符号が付されているわけではなく、当業者に本発明を理解させるべく本発明の各実施例の全ての要素が示されるわけではない。
【0041】
本発明は血液透析をより効率よく、容易に、且つ/又はより低コストにて実施可能な様々なシステム及び方法を含む血液透析システム及び類似の透析システムに関する。本発明の態様において流体流のための新規な流体回路を示す。実施例において血液透析システムは血流路及び透析液流路を備え、透析液流路は1つ以上の平衡回路、混合回路、及び/又は配向回路を含む。実施例において混合回路による透析液の前処理は、患者の透析とは分離される。実施例において回路は少なくとも部分的に1つ以上のカセット内にて設けられ、任意により導管、ポンプ等と相互に連結される。実施例において流体回路及び様々な流体流路のうち少なくともいずれか一方は血液透析システムの電気的要素から少なくとも部分的に、空間的に、且つ/又は熱的に隔離される。実施例において透析液流路及び透析装置のうち少なくともいずれか一方と連通する気体供給体が設けられる。気体供給体は駆動されると、透析液が透析装置を通過し、血流路の血液が患者の体内に戻るように促すことができる。上記システムは例えばできるだけ多くの血液を患者に戻すことが望ましい緊急の状況(例、停電)において有用である。本発明の別の態様において血液透析システムは空気等の制御流体を使用して駆動可能なポンプ、弁、ミキサー等の1つ以上の流体処理装置を更に含む。実施例において制御流体は取り外し可能な外部のポンプやその他の装置を使用して流体処理装置に搬送される。実施例において1つ以上の流体処理装置は通常堅固(例、球形を有する)であり、任意により装置内に隔壁を備え装置を第1の区画及び第2の区画に分離する。
【0042】
本発明の様々な態様において血液濾過システム、血液透析濾過システム、血漿交換システム等の新規な血液透析システムを示す。血液透析に関する様々なシステム及び方法が開示されるが、この様々なシステム及び方法はその他の透析液システム、及び/又は血液や血漿等のその他の体液を処置することのできる体外のシステムに応用可能であるといえる。
【0043】
上述したように血液透析システムは通常血流路及び透析液流路を備える。上記流路内において流体の流れは必ずしも直線状ではなく、流体が流路の入口から流路の出口に流れるような流路内に任意の数の「枝」があることに留意する必要がある。上記分岐の例を詳細に後述する。血流路において血液は患者からくみ出され、患者に戻るに先立って透析装置を通過する。血液は透析装置によって処理され、排泄分子(例、尿素、クレアチニン等)及び水は血液から透析装置を通じて透析液内に至る。透析液は透析液流路により透析装置を通過する。様々な実施例において血液は2本のライン(例、動脈ライン及び静脈ライン、即ち「2本の針による」流れ)により患者からくみ出されるか、場合により血液は同一の針(例、2本のラインの両者が同一の針内に設けられる、即ち「1本の針による」流れ)を通じて患者からくみ出され、患者に戻される。更なる別例において、「Y」字状分岐や「T」字状分岐が使用される。ここで2つの分岐(1つは血液をくみ出すための流路であり、他方は血液を戻すための流路である)を有する、患者との接続部を通じて血液が患者からくみ出され、患者に戻される。患者は血液透析や類似の処置を要するいかなる対象であってもよいが、患者は通常ヒトである。しかしながら血液透析は犬、猫、猿等の非ヒトの対象に行われてもよい。
【0044】
透析液流路において未使用の透析液が準備され、血流路からの血液を処置すべく透析装置を通過する。透析液は更に透析装置内にて血液の処置のために一様にされ(即ち、透析液及び血液の間の圧力が一様にされる)、即ち、透析装置を通過する透析液の圧力は透析装置を通過する血圧と厳密に、通常正確に適合する。或いは実施例において血圧の少なくとも約1%や約2%内である。透析装置を通過後、使用された透析液は排泄分子(後述する)を含む。実施例において透析液は透析装置内の血液の処置に先立って電気的抵抗ヒータ等の好適なヒータを使用して加熱される。透析液は更に汚染物質、感染性微生物、屑を取り除くべく例えば限外濾過装置を使用して濾過される。限外濾過装置は上記タイプが通過することを防止すべく選択されるメッシュの寸法を有する。例えばメッシュの寸法は約0.3マイクロメートル以下、約0.2マイクロメートル以下、約0.1マイクロメートル以下、或いは約0.05マイクロメートル以下等である。透析液は血液から排泄分子(例、尿素、クレアチニン、カリウム等のイオン、リン酸塩等)及び水を浸透作用を通じて透析液内に引き込むことに使用される。透析液は当業者に周知である。
【0045】
透析液は通常健康な血液中の自然な濃度と同様のカリウム及びカルシウム等の様々なイオンを含む。実施例において透析液は正常な血液中に見られるものより通常高い濃度の重炭酸ナトリウムを含む。通常透析液は1つ以上の材料、即ち(酢酸、ブドウ糖、NaCl、CaCl、KCl、MgCl等の様々なタイプを含む)「酸」、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)及び/又は塩化ナトリウム(NaCl)と、給水からの水とを混合することによって準備される。塩、オスモル濃度、pH等の好適な濃度を使用することを含む透析液の準備は当業者に周知である。詳細に後述するように透析液は透析液が血液を処置することに使用される濃度と同じ濃度に準備する必要はない。例えば透析液は透析と同時に、或いは透析に先立って形成可能であり、透析液保存容器等内に収容される。
【0046】
透析装置内において透析液及び血液は通常相互に物理的に接触するものではなく、半透性の膜によって分離される。通常半透性の膜はセルロース、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル等のポリマーでから形成される。これらはイオンや小さな分子(例、尿素、水等)は膜透過させるが、血液の処置中に嵩のあるものを透過させたり対流させたりしない。実施例においてベータ2ミクログロブリン等の更に大きな粒子も膜を通過する。
【0047】
透析液及び血液は透析装置内において相互に物理的に接触するものではなく、通常半透性の膜によって分離される。通常透析装置は半透性膜から形成される複数の別体の管やファイバ(血液が通過して流れる)、及び透析液が通過して流れ、管やファイバを包囲する大型の「シェル」(或いは実施例においてその逆の構成)からなる「シェルと管(shell-and-tube)」設計により構成される。実施例において透析装置を通過する透析液及び血液の流れは逆流であっても並流であってもよい。透析装置は当業者に周知のものであり、多数の様々な商業的供給源から入手可能である。
【0048】
一態様において透析液流路は1つ以上の回路、即ち平衡回路、混合回路、及び/又は配向回路に分離される。流体の流れに関して、回路は流体と隔離する必要はなく、流体は流体回路の内外に流れることに留意する必要がある。同様に流体は流体回路が連通しているか、或いは相互に連通して連結している場合に流体回路から別の流体回路へと次々に流れる。ここで使用されるように「流体」は流体の特徴を有するものであり、空気等の気体、水等の液体、水溶液、血液、透析液等を含むがこれらに限定されるものではない。
【0049】
流体回路は通常任意の数の流体入力を受承する明確なモジュールであり、実施例において流体を好適に出力させるに先だって流体入力に応じて1つ以上のタスクを実行する。本発明の実施例において後述するように、流体回路はカセットとして形成される。具体例として、透析液流路は平衡回路、配向回路、及び混合回路を含む。別例として血流路は血流回路を含む。平衡回路内において透析液は平衡回路内に案内され、ポンプは上述したように透析装置を通過する透析液の圧力が透析液を通過する血液の圧力の平衡を保つように透析液に作用する。同様に配向回路内において、未使用の透析液は混合回路から平衡回路に移動し、使用済みの透析液は平衡回路から排液管に移動する。混合回路内において、材料と水は混合され未使用の透析液を形成する。血流回路は患者から血液をくみ出すこと、血液に透析装置を通過させること、及び患者に血液を戻すことに使用される。これらの回路は詳細に後述する。
【0050】
図2Aは上記流体回路を有する血液透析システムの例を示す高水準な概略図である。
図2Aは血液が患者から透析装置14に移動し、処置済みの血液が患者に通過して戻される血流回路10を備える透析システム5を示す。この例における血液透析システムは、更に平衡回路又は内側透析液回路143を備え、これは透析液が限外濾過装置73を通過し、透析装置14を通過した後に透析液をくみ出す。使用済みの透析液は透析装置14から平衡回路143に戻る。配向回路又は外側透析液回路142は透析液が限外濾過装置73を通過するに先だって未使用の透析液を処理する。混合回路25は例えば要求に応じて、透析中に、及び/又は透析に先立って様々な原料49及び水を使用して透析液を準備する。配向回路142は更に給水30から水を受承し、透析液の準備のために水を混合回路25に移動させる。配向回路142は更に平衡回路143から使用済みの透析液を受承し、排液管31を通じてシステム5の外方に移動させる。更に血液透析システムの殺菌のために血流回路10及び配向回路142の間を連結する導管67を破線にて示す。実施例において、1つ以上のこれらの回路(例、血流回路、平衡回路、配向回路、及び/又は混合回路)は部分を通過する流れを制御するために要する弁及びポンプを内包するカセットを備える。上記システムの例を詳細に後述する。
【0051】
図2Bは本発明の実施例における血液透析システムを示す概略図である。この図において血流カセット22は血流回路10を通過する流れを制御することに使用され、透析液カセット21は透析液回路を通過する流れを制御することに使用される。血流カセットは少なくとも1つの入口弁24(別例に1つ以上の入口弁が含まれる)を含み、カセット22を通過する血液の流れを制御する。更に抗凝血剤弁又はポンプ12は血中への抗凝血剤の流れを制御し、実施利例において血流ポンプ13は一対のポッドポンプを備える。これらのポッドポンプは2006年8月14日に出願され、発明の名称が「体外の熱的治療システム及び方法」である米国特許出願番号第60/792073号明細書に開示されたタイプや、2007年8月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、及び方法」である米国特許出願第11/787212号明細書に開示されたタイプ(或いはこれらのタイプの変形)のものである。これらの明細書はその全体がここで開示されたものとする。この例によるシステムにおける全てのポンプ及び弁は例えば電子デジタル制御システム等の制御システムによって制御可能であるが、別例においてその他の制御システムも可能である。
【0052】
2つのポッドポンプを設けることにより血液を血流回路10により連続して流すことができるが、別例において1つのポッドポンプも使用可能である。ポッドポンプは動的入口弁及び動的出口弁を含み(入口及び出口における静的逆止め弁に代えて)、これらにより所定の状況下において血流回路10における流れが逆になってもよい。例えば血流回路の流れを逆流させることにより、血液透析システムは血流回路の出口が患者に適切に連結され、処置済みの血液が患者に正しく戻っているか確認することができる。例えば患者の連結点の連結が落下するなどして外れた場合に、血流ポンプを逆転させると血液よりむしろ空気を引き込む。この空気はシステムに組み込まれた標準的な空気検出器によって検出される。
【0053】
別例において透析装置の下流に位置される血液出口弁26及びエアトラップ又はフィルタ19は血流カセット22内に組み込まれる。血流カセット22内のポッドポンプ及び全ての弁(ポッドポンプの入口及び出口に関する弁を含む)は空気圧によって駆動される。実施例において正負の気体の圧力の源はカセットを保持するベースユニットかカセットを保持するその他の装置によって設けられる。しかしながら別例において正負の気体の源はカセットに連通して連結される外部装置や、システム内に組み込まれた装置によって設けられてもよい。ポンプチャンバは上述した2006年8月14日に出願され、発明の名称が「体外の熱的治療システム及び方法」である米国特許出願番号第60/792073号明細書や、2007年8月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、及び方法」である米国特許出願第11/787212号明細書に開示されるように駆動される。例えばポンプは後述するように制御され、ストロークの終わりが検出される。血流カセット22は更に抗凝血剤の小瓶を受承するために一体的に形成されたスパイクを含む。
【0054】
実施例において抗凝血剤ポンプは(制御流体により制御される)3つの流体弁、及び1つのポンプ区画(別例において1つ以上のポンプ区画が設けられる)を備える。弁は区画をフィルタ付き換気口に、抗凝血剤の小瓶に(或いは袋や瓶等のその他の抗凝血剤供給体)、或いは血流路に連結する。抗凝血剤ポンプは流体弁の開閉を順に行い、例えば制御流体によりポンプ区画にて圧力を制御することにより駆動させることができる。抗凝血剤が小瓶から取り除かれると同じ体積の空気によって代えられ、例えば小瓶内の圧力を比較的一定に保持する。上記のように抗凝血剤を空気に代えることは、例えば(i)フィルタ付き換気口からポンプ区画に弁を開放する工程と、(ii)負の圧力源をチャンバに連結することにより空気を区画内に送り込む工程と、(iii)換気口弁を閉じる工程と、(iv)区画を小瓶に連結する弁を開放する工程と、(v)正の圧力源を区画に連結することにより空気を小瓶内に送り込む工程により実施される。抗凝血剤は換気口及び小瓶への弁よりむしろ小瓶及び血流路への弁を使用して同様の順により小瓶から血流路にくみ出される。
【0055】
図3Aは
図2Aに示す態様の実施例を示す概略図である。
図3Aは本発明の実施例において、血流回路141、平衡回路143、配向回路142、及び混合回路25がどのようにカセットに設けられ、相互に関係し、透析装置14、限外濾過装置73、及び/又はヒータ72に関連するかを詳細に示す。
図3Aは
図2Aの実施例における唯一の可能な血液透析システムを示すが、別例において、その他の流体回路、モジュール、流路、レイアウト等も可能であるといえる。上記システムの例は詳細に後述する。更に、これらは2007年2月27日に出願され発明の名称が「血液透析システム及び方法」である米国特許出願第60/903582号明細書、2007年2月27日に出願され発明の名称が「血液透析システム及び方法」である米国特許出願第60/904024号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871680号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871712号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871787号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871793号明細書、或いは2007年10月12日に出願され発明の名称が「カセットシステム一体型装置」である米国特許出願第11/871803号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
【0056】
図3Aに示す要素は後述する。簡明に、血流回路141は抗凝血剤供給体11、及び患者から血液を透析装置14にくみ出す血流ポンプ13を備える。図示の抗凝血剤供給体11は透析装置への血流路内に位置されるが、別例において患者への血流路内に設けられるか、別の好適な位置に設けられてもよい。抗凝血剤供給体11は血流ポンプ13の下流側の位置に設けられる。平衡回路143は2つの同様に透析液を透析装置14にくみ出す透析液ポンプ15と、バイパスポンプ35を含む。配向回路142は透析液を透析液タンク169からヒータ72及び/又は限外濾過装置73を通じて平衡回路にくみ出す透析液ポンプ159を含む。配向回路142は平衡回路143から廃液を排液管31にくみ出す。実施例において血流回路141は後述するように例えば殺菌のために導管67を通じて配向回路142に連結される。透析液は透析液供給体から透析液タンク169に流れる。
図3Aに示すように実施例において透析液は混合回路25にて形成される。給水30からの水は配向回路142を通じて混合回路25内に流れる。透析液原料49(例、重炭酸塩及び酸)は更に混合回路25内に付加され、一連の混合ポンプ180,183,184は透析液を形成することに使用される。透析液は続いて配向回路142に搬送される。
【0057】
この例のシステムにおいて流体回路の1つは血流回路、即ち
図3Aに示す血流回路141である。血流回路において患者からの血液は透析装置を通過してくみ出され患者に戻される。後述するように実施例において血流回路はカセットに設けられるが、そうである必要はない。実施例において血流回路を通過する血液の流れは、透析液流路を通過して流れる透析液の流れと、特に透析装置及び平衡回路を通じて平衡を保たれる。
【0058】
図4に血流回路の一例を示す。通常血液は患者から動脈ライン203を通じて血流ポンプ13を介して透析装置14に流れる(通常の透析における流れの方向が矢印205によって示される。しかしながら操作の別のモードにおいて流れは別の方向である)。任意により、抗凝血剤は抗凝血剤供給体から抗凝血剤ポンプ80を介して血中に案内される。
図4に示すように抗凝血剤は血液が血流ポンプ13を通過した後に血流路に進入する。しかしながら抗凝血剤は別例において血流路に沿った好適な位置に付加される。別例において抗凝血剤供給体11は血流ポンプの下流側の位置に設けられる。透析装置14を通過して透析を受けた後に血液は静脈ライン204を通じて患者に戻る。任意によりエアトラップ又は血液標本ポート19を通過して患者に戻る。
【0059】
図4に示すように血流カセット141は血液を血流カセットを通じて移動させるために更に1つ以上の血流ポンプ13を含む。ポンプは例えば後述する制御流体によって駆動されるポンプである。実施例において例えばポンプ13は2つ(以上)のポッドポンプ、即ち
図4に示すポッドポンプ23からなる。本実施例において各ポッドポンプは、各チャンバを流体区画と制御区画に分離する可撓性を備えた隔壁又は膜を備える堅固なチャンバを含む。これらの区画には4つの入口又は出口弁が設けられ、2つは流体区画に設けられ、他の2つは制御区画に設けられる。チャンバの制御区画の弁は双方向比例弁であり、1つは第1の制御流体源(例、高圧空気源)に連結され、他方は第2の制御流体源(例、低圧空気源)か真空シンクに連結される。区画における流体弁はポッドポンプが駆動している場合に流体を流すべく開閉自在である。これらのポッドポンプの例は2006年8月14日に出願され、発明の名称が「体外の熱的治療システム及び方法」である米国特許出願番号第60/792073号明細書や、2007年8月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、及び方法」である米国特許出願第11/787212号明細書に開示されるがこれらに限定されるものではない。これらはその全体がここで開示されたものとする。ポッドポンプの更なる詳細は後述する。1つ以上のポッドポンプが設けられた場合に、ポッドポンプは好適な態様にて、例えば同期的又は非同期的に、同相又は異相にて操作可能である。
【0060】
本実施例において例えば2つのポンプがポンプの周期に影響を付与すべく異相に回転されてもよい、即ち1つのポンプチャンバは充填され、第2のポンプチャンバは空とされる。0°(ポッドポンプが同じ方向に駆動する)及び180°(ポッドポンプが反対方向に駆動する)の間の位相の関係は所望のポンプの周期を得るべく選択可能である。
【0061】
180°の位相関係により、ポッドポンプの内外に連続的な流れが生じる。例えばこれは連続した流れが要求される場合に、即ち二重針における流れや「Y」字状又は「T」字状の連結部とともに使用する場合に好適である。しかしながら0°の位相関係を設定することは実施例における1本の針の流れにおいて、或いは別例において有用である。0°の関係において、ポッドポンプは針から最初に充填され、同じ針を使用して血液を血流路を通じて患者に戻す。付加的に実施例において透析装置を横断するプッシュ−プル関係(血液透析濾過法か連続した逆流)を得るべく0°乃至180°の間の駆動が使用可能である。
図8A乃至8Cはそのような位相関係の例を示す図である。これらの図において、各ポッドポンプの容量や流れ、各ポッドポンプの容量、ポッドポンプの両者の総容量が時間を軸として示される。これらの時間及び流体速度は任意に選択され、異なった位相におけるポッドポンプ間の関係を示すべく示される。
図8Bに示すように例えば180°の位相関係において総容量は略一定である。
【0062】
実施例において
図14に示すように抗凝血剤(例えば、ヘパリンや当業者に周知のその他の抗凝血剤)は血流カセット141内の血液と混合される。例えば、抗凝血剤は小瓶11(或いは管や袋等のその他の抗凝血剤供給体)に含まれ、血流カセット141は抗凝血剤の小瓶を、小瓶のシールに穴を開けることができる一体的に形成されたスパイク201(一実施例において針である)とともに受承可能である。スパイクはプラスチック、ステンレス鋼、又はその他の好適な材料から形成され、実施例において殺菌可能な材料である。例えば、材料は材料を殺菌するために高温や放射に十分に耐久可能である。一例として
図4に示すように、スパイク201は血流カセット141と一体的に形成され、小瓶11はスパイクに位置されスパイクは小瓶のシールに穴を開ける。これにより抗凝血剤は血流路中の血液と混合され、場合により後述するように透析液と混合されるべく血流カセットに流れ込む。
【0063】
実施例において血流カセット141の、計測チャンバとして機能する第3のポンプ80がカセット内の血液への抗凝血剤の流れを制御することに使用可能である。第3のポンプ80はポンプ13と同じ設計か、或いは別の設計である。例えば第3のポンプ80はポッドポンプであり、且つ/又は第3のポンプ80は空気のような制御流体によって駆動される。例えば
図4に示すように、第3のポンプ80はチャンバを流体区画及び制御区画に分離する可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含む。チャンバの制御区画の弁は第1の制御流体源(例えば、高圧空気源)に連結され、他方の区画は第2の制御流体源(例えば、低圧の空気源)又は真空シンクに連結される。チャンバの流体区画の弁は制御区画に応じて開閉され、これにより血液への抗凝血剤の流れを制御する。上記ポッドポンプの更なる詳細は後述する。実施例において後述するように空気はフィルタ81を通じて血流路内に案内される。
【0064】
実施例において、抗凝血剤ポンプはFMSポンプである。FMSのアルゴリズムは充填のストロークの終わりと搬送ストロークの終わりに容量を計算するために圧力の変化を使用する。充填のストロークの終わりと搬送ストロークの終わりに計算された容量の違いが実際のストローク容量である。この実際のストローク容量は所定の寸法のチャンバに対して予期されたストローク容量と比較することができる。実際の容量及び予期される容量が大きく異なる場合にストロークは適切に完了せず、エラーメッセージが生成される。
【0065】
ストローク容量が尺度により収集された場合に、計算がバックグラウンドにて行われ、基準チャンバに対する較正値が決定される。FMSシステムはFMSの測定のための大気に退出する。これに代えてシステムはFMSの測定のための高圧な正の源そして低圧な負の源に退出してもよい。これにより後述する効果が得られる。(1)高圧源が制御された圧力による圧力タンクである場合に、チャンバがタンクに開放されている場合に同様であるか確認すべくタンク及びチャンバの圧力センサのクロスチェックをする機会がある。これらは圧力センサの故障や弁の故障を検出することに使用可能である。(2)通気のために高い又は低い圧力を使用することにより、FMSの測定のために大きな圧力の差異が生じるため、よりよい解答を得ることができる。
【0066】
血流回路141は実施例において血流回路141に組み込まれるエアトラップ19を含む。エアトラップ19は血流路内の気泡を取り除くことに使用される。実施例においてエアトラップ19は重力により血液から生じた空気を分離することができる。実施例において、エアトラップ19は更に血液の標本抽出のためのポートを含む。エアトラップは当業者に周知である。
【0067】
付加的な流体連結部82により血流回路10も患者に連結され、且つ/又は血流回路10を含むシステムをプライミング又は殺菌するために流体源に連結される。通常殺菌時に動脈ライン203及び静脈ライン204が配向回路142に導管67を通じて直接連結され、これにより殺菌のための流体(実施例において例えば湯や、湯と1つ以上の化学薬品の組み合わせ)が透析装置14及び血流回路141を通じて再循環のために配向回路142に戻される。この殺菌はKenley等による米国特許第5651898号明細書に開示されたものと同様であり、その全体がここで開示されたものとする。これらは更に後述する。
【0068】
動脈ライン203内の圧力は、実施例において患者から血液をくみ出すために気圧より低い圧力に保持される。ポッドポンプが使用される場合に、血流ポンプ13内の圧力はポンプを駆動させることに使用される正負の圧力タンクから利用可能な圧力に本来限られる。圧力タンクや弁が故障した場合に、ポンプチャンバの圧力はタンク圧力に近接する。これにより流体圧力がポッドポンプ「底」内の隔壁までタンク圧力に一致するように上昇する(即ち、表面に接触するため移動不能である)。流体圧力は安全な限界を超過せず、自然な体液圧力と平衡する。この故障により特別な介入なく自然にポッドポンプの作動が停止する。
【0069】
血流カセットの例が
図30乃至33に示されるがこれらに限定されるものではない。
図30A及び
図30Bは実施例におけるカセットの頂部プレート900の外側を示す。頂部プレート900はポッドポンプ820,828の2分の1を含む。この半分は源の流体が流れる流体の半分である。2本の流路818,812が示される。これらの流路はそれぞれのポッドポンプ820,828に案内される。
【0070】
ポッドポンプ820,828は揚げられた流路908,910を含む。揚げられた流路908,910により、隔壁(図示しない)がストロークの終わりに至った後に流体はポッドポンプ820,828を連続して貫流することができる。従って揚げられた流路908,910は、ポッドポンプ820,828に空気又は流体を捉えさせる隔壁、或いは連続した流れを防止するポッドポンプ820,828の入口又は出口を閉塞する隔壁を最小にする。揚げられた流路908,910は一実施例において所定の寸法を有するが、実施例において寸法は流体路818,812と同等である。しかしながら別例において揚げられた流路908,910はより狭小であり、更なる別例において、目的が流体の望ましい流速か行動流量を得るべく流体を制御することにあるため揚げられた流路908,910はいかなる寸法であってもよい。実施例において、揚げられた流路908,910及び流体路818,812は異なった寸法であってもよい。従って、揚げられた流路、ポッドポンプ、弁や他の態様に関してここに示される寸法は例示及び別例に過ぎない。他の実施例も明らかである。
【0071】
このカセットの一実施例において、頂部プレートは容器の高台904の他、スパイク902を含む。スパイク902はこの例において空であり、流路に流体に連結される。実施例において、針はスパイクに取り付けられる。別例において、針は容器の付属品に連結される。
【0072】
図30C及び30Dは、頂部プレート900の内部を示す。揚げられた流路908,910はポッドポンプ820,828の入口の流路912,916及び出口の流路914,918に連結する。揚げられた流路は詳細に上述される。
【0073】
定量ポンプ(図示しない)はスパイクの空路902への連結部の他、換気口906への連結部も含む。一実施例において、換気口906はエアフィルタ(図示しない)を含む。エアフィルタは実施例において粒子のエアフィルタである。実施例においてフィルタはマイクロ寸法(somicron)の疎水性エアフィルタである。様々な実施例においてフィルタの寸法は変化し、要求される結果に左右される。定量ポンプは空気を換気口906を通して取り入れることにより駆動し、スパイクの空道902を通して第2の流体(図示しない)の容器にポンプで空気を送り、次に容器(図示しない)からスパイクの空道902を通してポイント826にてポンプで第2の流体の容量を流体ライン内に送る。
図30Cの矢印により定量ポンプのためのこの流体路は示されている。
【0074】
図31A及び31Bはミッドプレート1000の流体側を示す。内部の頂部プレートの流路の補足領域を示す。これらの領域は本実施例における製造の一モードのレーザ溶接により導電性を備える表面の仕上げを示す僅かに揚げられた軌跡である。カセットの製造の他のモードを上述した。流体入口810及び流体出口824もこの図に示す。
【0075】
図31C及び31Dに一実施例におけるミッドプレート1000の空気側を示す。
図31Aに示すように弁の穴808,814,816,822の空気側はミッドプレートの流体側の穴に対応する。
図33C及び33Dに示すように、隔壁1220は弁808,814,816,822を完成させ、隔壁1226はポッドポンプ820,828を完成させる。定量ポンプ830は隔壁1224によって完成する。弁808,814,816,822,832,834,836は空気により駆動する。隔壁は穴から張引され取り払われ液体が引き込まれる。隔壁が穴の方に押圧されると、液体が押圧され通過する。流体流は弁808,814,816,822,832,834,836を開閉することにより配向される。
【0076】
図31A及び31Cに定量ポンプが3つの穴1002,1004,1006を含むことを示す。穴1002は定量ポンプに空気を引き込む。第2の穴1004は空気をスパイク又は源容器に押圧して移動させ、更に源容器から液体を引き込む。第3の穴1006は定量ポンプ830から第2の流体を流体ラインのポイント826に押圧して移動させる。
【0077】
弁832,834,836は第2の流体定量ポンプを駆動させる。弁832は第2の流体又はスパイク弁である。弁834は空気弁であり、弁836は流体ラインの領域826への流体の流れを制御する弁である。
【0078】
図32A及び32Bは底部プレート1100の内部を示す図である。ポッドポンプ820,828の内部、定量ポンプ830、及び弁808,814,816,822,832,834,836の駆動又は空気チャンバが示されている。ポッドポンプ820,828、定量ポンプ830、及び弁808,814,816,822,832,834,836は空気源によって駆動する。
図32C及び32Dは底部プレート1100の外側を示す。空気の源はカセットのこの側に取り付けられる。一実施例において管は弁及びポンプ1102の表面に連結される。実施例において弁は連動し、1つ以上の弁が同じエアラインによって駆動する。
【0079】
図33A及び33Bは第2の流体1202の容器(或いは他の源)を備えた組み立てられたカセット1200を示す。本実施例において、第2の流体は上述したように抗凝血剤である。容器1202は第2の流体の源を含み、スパイク(図示しない)に容器の付属品1206によって取り付けられる。図示においてエアフィルタ1204は換気口(図示しない、906として
図30Aに示す)に取り付けられている。
図33Aには図示しないが、容器の高台(904として
図30Aに示す)は容器の付属品1206の下方に位置される。
図33C及び33Dは、
図33A及び12Bに示す組み立てられたカセット1200の分解図である。これらの図において、実施例におけるポッドポンプ隔壁1226が示されている。隔壁のガスケットは液体チャンバ(頂部プレート900の)及び空気又は駆動チャンバ(底部プレート1100の)間をシールする。隔壁1226のドームの窪みを設けたテクスチャはとりわけストロークの終わりに空気及び流体がチャンバを脱出する付加的なスペースを提供する。
【0080】
本発明のシステムは更に平衡回路を含み、例えば、
図3Aに示す平衡回路143を含む。実施例において不要であっても血流回路はカセットに設けられる。平衡回路内において、透析装置を出入りする透析液の流れは、同量の透析液が透析装置に出入りするように(しかしながら、この平衡は所定の場合において後述するようにバイパスポンプの使用により変更されてもよい)。付加的に、実施例において、透析液の流れは透析装置内の透析液の圧力が血流回路を通過する血液の圧力と等しくなるように透析装置により平衡を保持される。
【0081】
図5に平衡回路の例を示すがこれに限定されるものではない。平衡回路143において、透析液は任意の限外濾過膜73から1つ以上の透析液ポンプ15(
図5に示すように2つ)に流れる。この図の透析液ポンプ15は2つのポッドポンプ161,162、2つの平衡チャンバ341,342、平衡チャンバをバイパスするためのポンプ35を含む。平衡チャンバは2つの個別の流体区画にチャンバを分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバから形成され、1つの区画への流体の進入により他の区画から流体が退出するように、またその逆にも構成される。ポッドポンプや平衡チャンバとして使用することができるポンプの例は2006年4月14日に出願され、発明の名称が「体外熱療法システム及び方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、或いは2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、及び方法」である米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されるがこれらに限定されるものではない。これらの全体はここで開示されたものとする。ポッドポンプの付加的な例は詳細に後述する。
図5に示すように弁の多数は「連動」するか、或いは組として同期され、これにより組の全ての弁が同時に開閉する。
【0082】
より詳細に一実施例において流れの平衡は次の通り作用する。
図5は第1に同期され、制御される弁211,212,213,241,242において、弁211,212,213が連動し、弁241及び242が連動すること、同様に第2に同期され、制御される弁221,222,223,231,232において、弁221,222,223が連動し、弁231及び232が連動することを示す。時間の第1のポイントにおいて、第1の連動する組の弁211,212,213,241,242は開かれ、第2の連動する組の弁221,222,223,231,232は閉じられる。未使用の透析液は平衡チャンバ341に流れ、使用済みの透析液は透析装置14からポッドポンプ161に流れ込む。未使用の透析液は弁221が閉鎖しているので平衡チャンバ342に流れない。未使用の透析液が平衡チャンバ341に流れると、平衡チャンバ341内の使用済みの透析液は強制的に押し出され、平衡回路143から退出する(使用済みの透析液は弁223が閉じられているためポッドポンプ161に入ることができない)。同時に、ポッドポンプ162によりポッドポンプ内の透析液は平衡チャンバ342内に強制的に入れられる(開いている弁213を通じ。弁242及び222は閉鎖され、確実に使用済みの透析液は平衡チャンバ342内に流れ込む)。これにより平衡チャンバ342内に含まれる未使用の透析液は平衡回路143を退出し透析装置14内に進入する。更に、ポッドポンプ161は透析装置14から使用済みの透析液をポッドポンプ161に引き込む。これは
図18Aにおいて更に示される。
【0083】
ポッドポンプ161及び平衡チャンバ341が透析液にて充填されると、第1の組の弁211,212,213,241,242は閉鎖して、第2の組の弁221,222,223,231,232は開く。未使用の透析液は弁212が閉鎖し弁221が開いているため、平衡チャンバ341に代えて平衡チャンバ342に流れる。未使用の透析液が平衡チャンバ342に流れると、チャンバ内の使用済みの透析液は弁213が閉まるため強制的に平衡回路を退出される。弁232が閉まり弁222を開くため、使用済みの透析液はポッドポンプ161に流れることを防止される。これにより平衡チャンバ341内に含まれている未使用の透析液は透析装置内に配向される(弁241が開き弁212を閉じているため)。この工程の終わりにポッドポンプ162及び平衡チャンバ342は透析液にて充填される。これによりシステムの状態は本明細書の始めの状態に戻り、周期が繰り返され、確実に透析装置を往復する透析液を一定の流れに保持する。これは
図18Bに更に示される。
【0084】
特定の例が、真空(例えば、4psi(約27.586kPa)の真空)が第1の連動する組の弁に作用され、正の圧力(例20psi(約137.931kPa)(1psiは6.89475kPa)の気圧)が第2の連動する組の弁に作用され、これによりこれらの弁は閉じる(或いはその逆である)。各ポッドポンプは平衡チャンバ341,342の一方の容量の1つに透析液をくみ出す。平衡チャンバの容量へ透析液を強制的に送ることによって、同量の透析液が平衡チャンバにて他の容量から隔壁によって圧搾される。各平衡チャンバにおいて、一方の容量は透析装置の方への未使用の透析液によって占められ、他方の容量は透析装置からの使用済みの透析液によって占められる。従って、透析装置に出入りする透析液の容量は略等しく保持される。
【0085】
隔壁が平衡チャンバの壁に接近すると(これにより平衡チャンバの一方の容量が最小に近づき、他方の容量が最大に近づく)、正の圧力は第1の連動の組の弁に作用され、これによりこれらの弁は閉まる。真空が第2の連動の組の弁に作用され、これによりこれらの弁は開く。ポッドポンプは平衡チャンバ341,342の他方の容量の1つに透析液を送る。再び透析液を平衡チャンバの容量へ強制的に送ることによって同量の透析液が平衡チャンバの他方の容量から隔壁によって圧搾される。各平衡チャンバにおいて一方の容量が透析装置の方への未使用の透析液によって占められ、他方の容量が透析装置からの使用済みの透析液によって占められる。従って透析装置に出入りする透析液の容量は等しく保持される。
【0086】
更に
図5はポッドポンプ161又は162の両者を通過することなく平衡回路143を通じて透析装置14からの透析液の流れを配向可能なバイパスポンプ35を示す。この図において、バイパスポンプ35は上述したものと類似したポッドポンプであり、堅固なチャンバ、並びに流体区画及び制御区画に各チャンバを分ける可撓性を備えた隔壁を備える。このポンプは上述した他のポッドポンプや平衡チャンバと同じであるか異なるものである。例えば、このポンプは2006年4月14日に出願され発明の名称が「体外熱療法システム及び方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、又は2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置及び方法」である米国の特許出願番号第11/787,212号明細書に記述されるようなポンプである。それぞれその全体がここで開示されたものとする。ポッドポンプは更に詳細に後述する。
【0087】
このポンプを駆動させることに制御流体が使用されると、透析液は透析装置を通る血流に対して平衡を保たずに透析装置を通じてくみ出される。これにより患者からの流体の流れを透析装置を通って排液管の方に生じさせる。上記バイパスは例えば、患者が有する流体の量を減少させることに有用である。患者が腎臓を通して流体(主に水)を減少させることができないことにより通常増加する。
図5に示すように、バイパスポンプ35は制御流体(例えば、空気)によってポッドポンプ161及び162の駆動に関係なく制御される。この構成により患者から流体が退出するように平衡ポンプを駆動させることなく患者から流体を取り除くことを容易に制御可能である。
【0088】
透析装置を横断する平衡を保持した流れを得るために、透析装置への流れが通常透析装置からの流れと確実に等しくなるように、血流ポンプ、平衡回路のポンプ、及び配向回路(後述する)のポンプは協動するように駆動される。限外濾過が要求される場合に、望ましい限外濾過速度を得るために、限外濾過ポンプ(1つある場合)は他の血液ポンプや透析液ポンプのいくつか、或いは全てから独立して駆動する。
【0089】
透析液の気体放出を防止するために平衡回路のポンプは常に気圧より大きな圧力に保持される。しかしながらそれに対して、血流ポンプ及び配向回路ポンプは気圧より低い圧力を使用し、充填のストロークのためにチャンバの壁の方に隔壁を張引する。潜在的に流体が透析装置を横断して移動するために、且つ平衡回路のポンプが正の圧力にて駆動するために、平衡回路のポンプは平衡を保持された流れのモードで駆動するために血流ポンプからの情報を使用できる。
【0090】
実施例において、上記平衡を保持したモードにて駆動するとき、血流ポンプからの搬送圧力がない場合に、平衡回路ポンプの隔壁は透析装置を横断して血液に流体を押圧して移動させるため、平衡回路のこれに代わるポッドは完全に充填されない。従って、血流ポンプはいつ動的にストロークがあるか報告する。血流ポンプがストロークしているとき平衡ポンプは駆動する。血流ポンプが血液を搬送していないとき、透析装置から平衡ポンプへの流れを制御する弁(及び上述したようなこれらの弁と連動する他の平衡弁)は閉じられ、血液の側から透析液の側へ流体の移動が生じることを防止する。血流ポンプが搬送していない時に、平衡ポンプは効果的に凍結し、血流ポンプが再度搬送を開始するとストロークは継続する。平衡ポンプの充填圧力はポンプが最低限のインピーダンスにて気圧を超えて確実に駆動するように最小限の正の値に設定される。更に、平衡ポンプの搬送圧力は透析装置の両側の圧力を通常一致させるべく血流ポンプの圧力に設定され、内部のポンプのストロークにおいて透析装置を横断する流れを最小限にする。
【0091】
治療において、停滞した血の流れは凝血を引き起こすため血流をできるだけ一定に保持することが好適である。付加的に血流ポンプの搬送流体の速度が不連続である場合に平衡ポンプはストロークを頻繁に休止する必要があり、これにより透析液の流体の速度は不連続且つ/又は低くなる。
【0092】
しかしながら、様々な理由により血流ポンプを通る流れは不連続となる。例えば、圧力は患者に安全なポンプ圧力を提供すべく血流ポンプ内において+600mmHg(約79.993kPa)乃至−350mmHg(約−46.662kPa)に制限される。例えば、二重の針の流れにおいて、血流ポンプの2つのポッドポンプは相互に位相から180°にて駆動すべくプログラムすることができる。圧力に限界がない場合に、この位相は常に得られる。但し患者に安全な血液の流れを提供するためにこれらの圧力は制限されている。インピーダンスが充填のストロークにて高い場合(小さな針、非常に粘性を有する血液、患者へのアクセスが困難等による)に、負の圧力限界に至り、充填の流体速度は望ましい充填の流体速度より遅くなる。従って搬送ストロークは血流ポンプの搬送流体速度を休止して完了させるために前の充填のストロークを待たなければならない。同様に1本の針の流れにおいて血流ポンプは0°の位相にて駆動し、2つの血流ポンプのポッドポンプが同時に空にされ充填される。ポッドポンプの両者が充填される場合に、2つのポッドポンプの容量が搬送される。従って1本の針の流れは不連続である。
【0093】
圧力の飽和の限界を制御する1つの方法は望ましい流体速度を充填及び搬送のストロークの最も遅いものに制限することである。これにより血液を搬送する流れの速度はより遅くなるが、流れの速度がわかるようになり、常に連続的となり、より正確、且つより連続的な透析液の流れの速度を得られる。血液の流れの速度を1本の針の駆動においてより連続的にさせる別の方法は充填の時間が最小になるようにポッドを充填するために最大の圧力を使用することである。望ましい搬送時間は、所望のストロークの全時間から充填ストロークにかかった時間を引いたものに設定可能である。但し血流の速度を一定にできない場合に、透析液の流れの速度は調整され、透析液の流れを搬送する血流速度が高い場合に、血流ポンプが充填されるときに透析液ポンプが停止する時間を設定された値により補填する。これが正しいタイミングにて実施された場合に、複数のストロークにわたる透析液の流れの速度の平均は所望の透析液の流れの速度に一致可能である。
【0094】
図34乃至36は、平衡カセットの例を示すがこれらに限定されるものではない。
図34Aに示すカセットの1つの構造において弁は同時に駆動するように連動する。一実施例において、4つの連動する弁832,834,836,838が設けられる。実施例において、連動する弁は同一のエアラインによって駆動する。しかしながら別例において、各弁は対応するエアラインを有する。実施例に示すように連動する弁により上述したように流体の流れが生じる。実施例において、更に連動する弁により確実に適切な弁が開閉され、要求される流体路を形成する。
【0095】
本実施例において、流体弁はここで詳細に開示するように火山弁である。特定の流路に関して様々な実施例における流体路の概要が開示されるが、流路は弁及びポンプの駆動に基づいて変化する。付加的に、入口及び出口の他第1の流体及び第2の流体なる用語は記述の目的に限っては使用される(このカセット及び後述する他のカセットにおいて)。別例において、入口は出口であってもよく、更に第1の流体及び第2の流体は異なった流体のタイプ、或いは同じ流体のタイプや構成であってもよい。
【0096】
図35A乃至35Eに、実施例におけるカセットの頂部プレート1000を示す。
図35A及び35Bは、頂部プレート1000の平面図である。本実施例において、頂部プレートのポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822は、同じように形成される。本実施例において、ポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822は、底部プレートと組み立てられた場合に、38mlの総容量を有する。しかしながら、様々な実施例において、総容量は本実施例のものより大きくても小さくてもよい。第1の流体入口810及び第2の流体出口816を図示する。
【0097】
図35C及び35Dは頂部プレート1000の下面図である。流路をこの図に示す。これらの流路は
図34Bに示すミッドプレート900の流路に対応する。頂部プレート1000及びミッドプレートの頂部はポッドポンプ820,828のための、及び平衡ポッド812,822の一方の側のカセットの液体側又は流体側を形成する。従って、流体の流路のほとんどは頂部プレート及びミッドプレートに設けられる。平衡ポッド812,822の反対側は底部プレートの内側に設けられる、
図36A,36Bに示すが、ここに図示しない。
【0098】
図35C及び35Dに更にポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822が溝1002を含むことを示す。図示の溝1002は所定の形状を有する。しかしながら別例において溝1002の形状は好ましいどの形状であってもよい。
図35C及び35Dに実施例における形状を示す。実施例において溝1002は、ポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822の流体入口の側と流体出口側の間の通路を形成する。
【0099】
溝1002は流路をなし、隔壁がストロークの終わりにあるとき入口と出口間に流路があるため、流体又は空気のポケットはポッドポンプや平衡ポッドに捉えられない。溝1002はポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822の液体側及び空気側の両者に含まれる(
図36A,36Bを参照のこと。これらはポッドポンプ820,828の空気側及び平衡ポッド812,822の反対側に関する)。
【0100】
一実施例においてポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822の液体側は入口及び出口の流路が連続し外リング1004も連続するという特徴を含む。この特徴により、保持されるべき隔壁にシール(図示しない)が形成可能となる。
【0101】
図35Eは、実施例における頂部プレート1000の側面図である。ポッドポンプ820,828の連続した外リング1004、及び平衡ポッド812,822を示す。
図36A乃至36Eに、底部プレート1100を示す。
図36A及び36Bに、底部プレート1100の内側表面を示す。内側表面は
図34Eに示すミッドプレート(ここには図示しない)の底面に接触する側である。底部プレート1100はエアライン(図示しない)に取り付けられる。
図34Eに示すポッドポンプ820,928及び弁(ここには図示しない)を駆動させる空気のための対応する入口の穴1106はミッドプレートに設けられる。穴1108,1110は
図34Cに示す、第2の流体入口824、及び第2の流体出口826にそれぞれ対応する。流路のための溝1112のように、ポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822の対応する半分を更に示す。頂部プレートとは異なり、ポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822に対応する底部プレートの半分はポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812、822間の違いを明瞭にする。ポッドポンプ820,828は底部プレートに第2の半分に空気の通路を備え、平衡ポッド812,822は頂部プレートで半分と同一の構造を備える。更に、平衡ポッド812,822は流体の平衡を保持し、これにより図示しない隔壁の両側は液体の流路を含み、ポッドポンプ820,828は液体をくみ出す圧力ポンプであり、これにより一方の側は液体流路を含み、底部プレート1100に示す他方の側は空気駆動のチャンバ又は空気流体路を含む。
【0102】
カセットの一実施例においてポンプでくまれる流体の様々な特性を検知するためにセンサ要素がカセットに組み込まれる。一実施例において、3つのセンサ要素が含まれる。一実施例において、センサ要素はセンサセル1114に設けられる。セル1114はセンサ要素ハウジング1116,1118,1120に3つのセンサ要素を収容する。実施例において、センサハウジング1116,1118の2つは伝導度センサ要素を収容し、第3センサ要素ハウジング1120は温度センサ要素を収容する。伝導度センサ要素及び温度センサ要素は当該技術分野におけるいかなる伝導度センサ要素や温度センサ要素であってもよい。一実施例において、伝導度センサ要素はグラファイトのポストである。別例において、伝導度センサ要素はステンレス鋼、チタニウム、プラチナ又は防蝕のためにコーティングされるがなお電気伝導度を備えるその他の金属から形成される。伝導度センサ要素はコントローラや他の装置にプローブの情報を送信する電線を含むことができる。一実施例において、温度センサはステンレス鋼のプローブに埋め込まれたサーミスタである。これに代わる実施例において、カセットにセンサを設けないか、温度センサのみ設けるか、或いは1つ以上の伝導度センサを設けるか、1つ以上の別のタイプのセンサを設けてもよい。実施例においてセンサ要素はカセットの外側に設けられるか、別体のカセットに設けられるか、流体ラインによってカセットに連結される。
【0103】
図36A及び36Bに更に定量ポンプ830の駆動側の他、ポンプを駆動させる空気のための対応する空気入口の穴1106を示す。
図36C及び36Dに、底部プレート1100の外側を示す。弁、ポッドポンプ820,828、及び定量ポンプ830のエアライン連結ポイント1122が示されている。再び平衡ポッド812,822はエアライン連結ポイントを備えていないので、空気によって駆動しない。更に第2の流体出口824及び第2の流体入口826のための底部プレート1100の対応する開口も示されている。
【0104】
図36Eは底部プレート1100の側面図である。側面図において、縁1124は内側の底部プレート1100を包囲する。縁1124は揚げられ、連続しており、隔壁(図示しない)の連結ポイントとなる。隔壁はこの連続し揚げられた縁1124に載置され、これにより底部プレート1100のポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822の半分及び
図35A乃至35Dに示す頂部プレート(ここには図示しない)のポッドポンプ820,828及び平衡ポッド812,822の半分の間をシールする。
【0105】
上述したように、透析液は配向回路から任意にヒータを通って且つ/又は限外濾過膜を通って平衡回路に流れる。実施例において、必須ではないが配向回路はカセットに設けられる。
図3Aに配向回路の例として配向回路142を示す。配向回路142はこの例においていくつかの異なる機能を実施可能である。例えば透析液は透析液供給体から(後述するように混合回路から等)配向回路を通って平衡回路へ流れ、使用済みの透析液は平衡回路から排液管に流れる。透析液は配向回路内に含まれる1つ以上のポンプの駆動により流れる。実施例において、配向回路は透析液タンクを含み、これは透析液を平衡回路に移動させるに先立って透析液を含む。上記透析液タンクにより実施例において透析液の生産速度がシステム内の透析装置の透析液の使用速度と異なるものとなる。配向回路は更に給水からの水を混合回路(1つある場合に)に配向する。付加的に上述したように、血流回路は消毒等の操作のために配向回路と連通する。
【0106】
従って実施例において透析液は要求に応じて形成されるため、大量の透析液を貯蔵する必要はない。例えば、透析液は準備された後に、透析液タンク169に保持される。透析液弁17はタンク169から透析液回路20への透析液の流れを制御する。透析液は透析装置14に送られるに先だって濾過され、且つ/又は加熱される。汚染物処理弁18が透析液回路20からの使用済みの透析液の流れを制御することに使用される。
【0107】
図6に配向回路の一例を示すがこれに限定されるものではない。この図において、配向回路142は上述したように透析液供給体からの透析液を、透析液ポンプ159、ヒータ72、及び限外濾過膜73を通して平衡回路に入るに先立って透析液タンク169に連通させる。図示のように透析液流路の透析液は透析液供給体から透析液タンク、ポンプ、ヒータ、及び限外濾過膜に(この順番で)流れるが別例においてその他の順番も可能であるものといえる。ヒータ72は透析液を体温に、及び/又は血流回路の血液が透析液によって加熱され、患者に戻る血液が体温と同じになるように、加熱することに使用される。限外濾過膜73は後述するように透析液中にある病原体、発熱物質等を取除くことに使用される。透析液は平衡回路に流れ透析装置に配向される。
【0108】
透析液タンク169は好適な材料からなり、使用に先だって透析液を貯蔵するためにいかなる好適な寸法であってもよい。例えば、透析液タンク169はプラスチック、金属等からなる。透析液タンク上述したようにポッドポンプを形成することに使用される材料と類似した材料からなってもよい。
【0109】
配向回路142を通過する透析液の流れは透析液ポンプ159の操作によって(少なくとも部分的に)制御される。付加的に、透析液ポンプ159は平衡回路を通過する流れを制御する。例えば
図5において上述したように、配向回路からの未使用の透析液は平衡回路143の平衡チャンバ341及び342に流れる。ポンプ159は未使用の透析液をこれらの平衡チャンバに流すことに使用される。実施例において、透析液ポンプ159は上述したものに類似したポッドポンプを備える。ポッドポンプは各チャンバを流体区画及び制御区画に分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含む。制御区画は空気源のような制御流体源に連結される。ポッドポンプや平衡チャンバとして使用されるポンプの例は2006年4月14日に出願され発明の名称が「体外熱療法システム及び方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、或は2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置及び方法」である米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されるが、これらに限定されるものではない。これらはその全体がここで開示されたものとする。ポッドポンプは更に詳細を後述する。
【0110】
ポンプ159を通過後に、透析液はヒータ、例えば、
図6のヒータ72に流れる。ヒータは例えば当業者に周知の電気抵抗ヒータのような透析液の加熱に好適な加熱装置である。ヒータは
図3Aに示すように配向回路から分離して設けられるか、或いはヒータは配向回路に、或いは別の回路(例えば、平衡回路)に組み込まれる。
【0111】
実施例において、透析液は透析装置を通る血液が冷めないような温度に加熱される。例えば、透析液の温度は透析液が透析装置を通る血液の温度に、或いはこれより大きい温度になるように制御される。上記例において、血液が血流回路の様々な要素を通過することによって引き起こされる熱の損失を相殺するために上述したように血液は幾分加熱される。付加的に後述するように実施例においてヒータは制御システムに連結され、これにより不正確に加熱された透析液(即ち、透析液を加熱しすぎたか、或いは冷たい場合)はライン731を経由して透析装置を通過することに代えて再循環する(例えば、透析液タンクに戻る)。ヒータは配向回路や平衡回路のような流体回路の一部として一体的に形成されるか、或いは
図3Aに示すようにヒータは透析液流路内の別体の要素であってもよい。
【0112】
実施例においてヒータは消毒又は殺菌のためにも使用される。例えば水は血液透析システムを通過し、ヒータを使用して消毒や殺菌が可能な温度に加熱される。温度は例えば少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃等である。実施例において後述するように水は様々な要素を再循環し、且つ/又はシステム内の熱の損失はヒータが上記消毒又は殺菌の温度に水を加熱して最小となる(後述する)。
【0113】
ヒータは上述したようにヒータを制御できる制御システムを含む(例えば、患者を透析するために透析液を体温まで加熱し、システムを浄化するために水温を消毒の温度まで加熱する)。
【0114】
ヒータのコントローラの例を後述するがこれに限定されるものではない。コントローラは様々な入口の流体温度の他脈動流の速度や様々な流体速度を取扱うことができるように選択される。付加的にヒータ制御は流れが異なった流路(透析、消毒、再循環等)のそれぞれに配向される場合に適切に機能する必要がある。一実施例において、ヒータのコントローラはSIP1基板において使用され、限外濾過膜にIR(赤外線)温度センサ、タンクに赤外線温度センサを備える。別例において、基板はより熱の損失の少ない箱に設けられ入口の温度センサのための伝導度センサを使用する。別例におけるコントローラとしてタンク(ヒータの入口)及び限外濾過膜(ヒータの出口)の両者の温度を使用する単純な比例コントローラが使用される。例えば:
powerHeater=massFlow*((tankPGain*errorTank)+(UFPGain*errorUF)
PowerHeater=ヒータの使用率命令(0乃至100%);
MassFlow=流体質量流速度;
TankPGain=タンク又は入口の温度センサのための比例ゲイン;
ErrorTank=タンク又は入口の温度センサ及び望ましい温度の間の差異;
UFPGain=限外濾過膜又は出口の温度センサのための比例ゲイン;
ErrorUF=uf又は出口の温度センサ及び望ましい温度の間の差異。
【0115】
ヒータの使用率命令(0乃至100%)からPWM命令が生成される。実施例において、このコントローラは所定の温度が保持されずヒータが飽和すする場合に質量流速度を減少させる。
【0116】
上述したヒータ制御は例示に過ぎず、本発明の別例においてその他のヒータの制御システム及び他のヒータが可能であるものといえる。
透析液は更に例えば限外濾過膜を使用して汚染物、感染性の生物、病原体、発熱物質、残骸等を取除くべく濾過される。フィルタは
図3Aに示すように配向回路と平衡回路の間にて、透析液流路の好適な位置に配置され、且つ/又は限外濾過膜は配向回路か平衡回路に組み込まれる。限外濾過膜が使用される場合に、フィルタを通して上記タイプを防止する網寸法を有すべく選択される。例えば、網寸法は約0.3マイクロメートル以下、約0.2マイクロメートル以下、約0.1マイクロメートル以下、或いは約0.05マイクロメートル以下等である。当業者は限外濾過膜のようなフィルタは、多くの場合、市場にて容易に入手可能であることを認識するだろう。
【0117】
実施例において、限外濾過膜はフィルタ(例えば、未透過物の流れ)からの汚染物が
図6の汚染物ライン39のような汚染物の流れに移動するように操作される。実施例において未透過物の流れに流れる透析液の量は制御可能である。例えば未透過物が余りにも冷たい場合(即ち、ヒータ72が駆動しなかったり、ヒータ72が透析液を十分な温度に加熱しない)に、透析液の流れ全体(或いは透析液の少なくとも一部)は汚染物ライン39に転換され、任意によりライン48を使用して透析液タンク169に再循環される。フィルタからの流れは様々な理由により温度センサ(例えば、センサ251及び252)、伝導度センサ(透析液の濃度確認用、例えば、センサ253)等を使用して更に監視される。上記センサの例は後述する。これら以外の例は発明の名称が「センサの器具システム、装置及び方法」である(事件番号F63)の米国特許出願第12/038,474号明細書に開示されるがこれに限定されるものではない。同文献はその全体がここで開示されたものとする。
【0118】
限外濾過膜及び透析装置が汚染物、感染性の生物、病原体、発熱物質、残骸の除去のための冗長な選別法であるものといえる(別例において限外濾過膜は設けられない)。従って、透析液から患者に至る汚染物のために汚染物は限外濾過膜及び透析装置の両者を通過する必要がある。一方が濾過できなくても、他方はなお殺菌可能であり、汚染物が患者の血液に至ることを防止する。
【0119】
配向回路142は更に使用済みの透析液を平衡回路を通じて排液管に、例えば、
図6の汚染物ライン39を通じて排液管31に案内可能である。排液管は、を含むための例えば、局所的な排液管又は好適に位置させるべき汚染物(例えば、使用済みの透析液)を収容する別体の容器である。実施例において、1つ以上の点検弁又は「一方向の」弁(例えば、点検弁215及び216)が配向回路とシステムからの汚染物の流れの制御に使用される。更に実施例において血液の漏出センサ(例えば、センサ258)が、血液が透析装置を通って透析液流路に漏出しているかどうか判断することに使用される。
【0120】
付加的に、配向回路142は給水30、例えば袋のような水の容器から、及び/又は販売されている逆浸透装置等の水を作り出すことのできる装置から水を受承する。実施例において当業者に周知であるように、システムに進入する水は所定の純度に設定され、例えば所定の値以下のイオン濃度を有する。配向回路142に進入する水は様々な位置に移動し、例えば未使用の透析液を作り出すための混合回路へ、及び/又は汚染物ライン39に移動する。実施例において後述するように、排液管31、様々な再循環ラインへの弁が開かれ、水がシステムの全体を連続して流れるように導管67が配向回路142及び血流回路141の間に連結される。ヒータ72も駆動される場合に、システムを通過する水はシステムを消毒するために十分な温度に連続して加熱される。上記消毒方法は詳細を後述する。
【0121】
図41乃至45に配向カセットの例を示すがこれらに限定されるものではない。
図41A及び41Bに、一実施例におけるカセットの頂部プレート900の外側を示す。頂部プレート900はポッドポンプ820,828の2分の1を含む。この半分は流体又は液体源の半分であり源流が流れる。入口及び出口のポッドポンプ流路が示されている。これらの流路は各ポッドポンプ820,828に案内する。
【0122】
ポッドポンプ820,828は揚げられた流路908,910を含む。揚げられた流路908,910により隔壁(図示しない)がストロークの終わりに達した後に流体はポッドポンプ820,828を貫流し続けることができる。従って、揚げられた流路908,910によりポッドポンプ820,828に空気や流体を捉えさせる隔壁や、流れを防止するポッドポンプ820,828の入口や出口を閉塞する隔壁を最小にする。本実施例において揚げられた流路908,910は所定の寸法を有する。これに代わる実施例において、揚げられた流路908,910はより大きいかより狭い。更なる別例において、揚げられた流路908,910は、目的が流体の望ましい流体速度を得るか流体の望ましい駆動を得るために流量を制御することにあるのでいかなる寸法であってもよい。従って、揚げられた流路、ポッドポンプ、弁、又は他の態様に対してここに開示された寸法は例示に過ぎず、これに代わる実施例に過ぎない。他の実施例は明瞭である。
図41C及び41Dは本実施例におけるカセットの頂部プレート900の内側を示す。
図41Eは頂部プレート900の側面図である。
【0123】
図42A及び42Bにミッドプレート1000の流体又は液体側を示す。
図41C及び41Dに内側の頂部プレートの流路を補足する領域を示す。これらの領域は本実施例における製造の一モードのレーザ溶接により導電性を備える表面の仕上げを示す僅かに揚げられた軌跡である。カセットの製造の他のモードを上述した。
【0124】
図42C及び42Dに、本実施例におけるミッドプレート1000の空気側又は
図43A乃至43Eに示す底部プレート(ここでは図示しない)に面する側を示す。空気側の弁の穴802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856は
図42A及び42Bに示すミッドプレート1000の流体側の穴に対応する。
図44C及び44Dに示すように、隔壁1220はポッドポンプ820,828を完成させ、隔壁1222は弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856を完成させる。弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856は、空気圧により駆動され、隔壁が穴から張引されると、液体又は流体が流れる。隔壁が穴の方に押圧されると、流体流は防止される。流体流は弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856の開閉によって配向される。
図43A及び43Bは、底部プレート1100の内側の図である。ポッドポンプ820,828の内部、及び弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856の駆動又は空気チャンバが示されている。ポッドポンプ820,828、及び弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856は空気の空気源によって駆動する。
図43C及び43Dに、底部プレート1100の外側を示す。空気源はカセットのこの側面に取り付けられる。一実施例において、管は弁及びポンプ1102の管に連結される。実施例において、弁は連動し、複数の弁が同じエアラインによって駆動する。
【0125】
図44A及び44Bに、組み立てられたカセット1200を示す。
図44A及び44Bに示す組み立てられたカセット1200の分解図が
図12C及び12Dに示されている。これらの図において、実施例におけるポッドポンプ隔壁1220が示されている。隔壁のガスケットは液体チャンバ(頂部プレート900の)及び空気又は駆動チャンバ(底部プレート1100の)間をシールする。実施例において、隔壁1220のドームのテクスチャは特にストロークの終わりに空気及び液体がチャンバを脱出する付加的なスペースを提供する。これに代わる実施例におけるカセットにおいて、隔壁はダブル・ガスケットを含む。好適な実施例におけるダブル・ガスケットの特徴はポッドポンプの両側が液体を含むことにあり、又はチャンバの両側をシールすることが望まれる。これらの実施例においてガスケットや他の特徴(図示しない)を補足する縁が内部の底部プレート1100に付加され、これによりガスケットは底部プレート1100のポッドポンプチャンバをシールする。
【0126】
図45はカセットのポッドポンプ828の断面図である。隔壁1220の付属品の詳細を示す。再び、本実施例において、隔壁の1220のガスケットはミッドプレート1000及び底部プレート1100によって挾持される。ミッドプレート1000の縁はガスケットが頂部プレート900に取付けられたポッドポンプ828のチャンバをシールすることができるという特徴を有する。
【0127】
図45は組み立てられたカセットの弁834,836の断面図である。本実施例において隔壁1220が組み立てられ、ミッドプレート1000と底部プレート1100の間に挾持されることによって配置されることを示す。更に、
図45の断面図は組み立てられたカセットの弁822を示す。隔壁1222がミッドプレート1000と底部プレート1100との間に挾持されて配置されていることを示す。
【0128】
実施例において、透析液は別に準備され、配向回路にて使用するためにシステムに搬送される。しかしながら実施例において透析液は混合回路にて準備される。混合回路は好適なときに透析液を形成するために駆動する。例えば、透析液は患者の透析の間に、及び/又は透析に先だって作り出される(例えば透析液は透析液タンクに収容される)。混合回路の中において透析液を形成するために、水(例えば、給水から任意に配向回路によって混合回路に提供される)は様々な透析液の原料と混合される。例えば当業者には上述したように重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び/又は酸の好適な透析液の原料が周知である。透析液は要求に応じて形成されるため、特定の場合透析液タンク内に収容されるが大量に収容する必要はない。
【0129】
図7Aは実施例においてカセットに設けられる混合回路の例を示すがこれに限定されるものではない。
図7Aにおいて、配向回路からの水はポンプ180の駆動により混合回路25に流れる。実施例において、水の一部は例えば混合回路を通して原料の輸送に使用するために、原料49に搬送される。
図7Aに示すように、水は重炭酸塩源28(更に実施例において塩化ナトリウムを含む)に搬送される。実施例において塩化ナトリウムや重炭酸ナトリウムは水の作用によって移動されるが粉状或いは粒状の形態にて提供される。重炭酸塩源28からの重炭酸塩は重炭酸塩ポンプ183により混合ライン186に搬送されるが、混合ライン186には配向回路からの水も流れる。酸源29からの酸(流体の形態)も酸ポンプ184により混合ライン186にくみ出される。原料(水、重炭酸塩、酸、塩化ナトリウム等)は混合チャンバ189にて混合回路25から流れる透析液を形成すべく混合される。各原料が混合ラインに付加されるときに確実に好適な濃度にて付加されるように伝導度センサ178及び179が混合ライン186に沿って設けられる。
【0130】
実施例において、ポンプ180は上述したものと類似の1つ以上のポッドポンプにより構成される。ポッドポンプは各チャンバを流体区画及び制御区画に分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含む。制御区画は空気源のような制御流体源に連結される。ポッドポンプの例は2006年4月14日に出願され、発明の名称が「体外熱療法システム及び方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、或いは2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置及び方法」である米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されているがこれらに限定されるものではない。これらの文献はここでその全体が開示されたものとする。同様に、実施例において、ポンプ183及び/又は184はそれぞれポッドポンプである。ポッドポンプの更なる詳細は後述する。
【0131】
実施例において、1つ以上のポンプはポンプの圧力を監視する圧力センサを有する。この圧力センサによりポンプ区画が完全に確実に充填され搬送が行われる。例えば、ポンプが流体の完全なストロークを行うことを確実にすべく、(i)区画を充填し、(ii)流体弁の両者を閉じ、(iii)正の空気のタンクと区画の間の弁を開くことにより圧力を区画に作用させ、(iv)この正の圧力弁を閉じ、弁と区画の間の通路における加圧された空気を残し、(v)流体弁を開き、流体をポンプ区画から流し、(vi)ポンプ区画から流体が流れたときに区画の圧力降下を監視する。完全なストロークに相当する圧力降下は一貫しており、最初の圧力、弁及び区画の間を占める容量、及び/又はストローク容量によって左右される。しかしながらここに開示されるポッドポンプの別例において基準容量区画が使用され、容量が圧力及び容量データによって画定される。
【0132】
水ポンプや他のポンプによって搬送される容量は、伝導度の測定に直接関係するため、容量測定が形成される透析液の構成のクロスチェックとして使用される。これにより治療において導電性測定が不正確な場合においても透析液の構成は確実に安全に保持される。
【0133】
図7Bは実施例においてカセットに設けられる混合回路の別例を示す概略図である。この図の混合回路25はライン186に沿って給水から水をくみ出すポッドポンプ181を備える。透析液を作るための様々な原料が水に案内される。別のポンプ182は給水から重炭酸ナトリウムを保持する源28(例えば、容器)に、及び/又は塩化ナトリウムを保持する源188にくみ出す。第3のポンプ183は分解された重炭酸塩を混合ライン186に(混合チャンバ189にて混合される)案内し、第4ポンプ185は分解された塩化ナトリウムをライン186に(混合チャンバ191で混合される)案内する。第5ポンプ184は第1のポンプ181を通るに先だって水に酸を案内する。混合は伝導度センサ178,179,177を使用して監視される。各伝導度センサは所定の原料が混合ライン186付加された後に伝導度を計測し、確実に適切な量や濃度の原料が付加されたことを検知する。上記センサの例は後述する。更なる例が発明の名称が「センサの器具システム、装置及び方法」である事件要領書番号第F63の米国特許出願第12/038,474号明細書に開示されるがこれに限定されるものではない。上記文献はここでその全体が開示されたものとする。
【0134】
図3Bに本実施例において混合回路25が2つの源、酸の濃縮物の源27、並びに重炭酸ナトリウム(NaHCO3)及び塩化ナトリウム(NaCl)の結合された源を使用して透析液を構成することを示す。
図3Bに示す実施例において、透析液構成システム25は各源の倍数を含む。実施例におけるシステムが連続して駆動する方法において、余分な透析液の源によりシステムは連続して機能可能であるため、1組の源が枯渇すると、システムは余分な源を使用可能となり、源の最初の組は取り替えられる。この工程は、例えばシステムが中断するまで必要に応じて繰り返される。
【0135】
図34乃至36に平衡カセットの例を示すがこれらに限定されるものではない。
図37に示す流体流路カセットにおいて弁はそれぞれ開いている。この実施例において、弁は空気圧により開く。更に本実施例において、流体弁は本明細書に詳細に開示するように火山弁である。
【0136】
図38A,38Bに、一実施例におけるカセットの頂部プレート1100を示す。本実施例において、頂部プレート1100のポッドポンプ820,828及び混合チャンバ818は、同様に形成される。本実施例において、ポッドポンプ820,828及び混合チャンバ818は、底部プレートと組み立てられた場合に、総容量が38mlの容量となる。しかしながら別例において、混合チャンバは要求されるいかなる寸法であってもよい。
【0137】
図38Bは、頂部プレート1100の下面図である。流路はこの図に示す。これらの流路は
図39A乃至39Bに示すミッドプレート1200の流路に対応する。頂部プレート1100及びミッドプレート1200の頂部はポッドポンプ820,828のための、且つ混合チャンバ818の1つの側面のためのカセットの液体又は流体側を形成する。従って、流体の流路のほとんどは頂部プレート1100及びミッドプレート1200にある。
図39Bに第1の流体入口810及び第1の流体出口824を示す。
【0138】
図38A及び38Bにポッドポンプ820,828は溝1002を含む(これに代わる実施例において、これは溝である)。図示の溝1002は所定の寸法及び形状を有するが、別例において溝1002の寸法及び形状はいかなる好適な寸法や形状であってもよい。
図38A及び38Bに一実施例における寸法及び形状を示す。全実施例において溝1002はポッドポンプ820,828の流体入口側及び流体出口側の通路を形成する。これに代わる実施例において、溝1002はポッドポンプの内部ポンプチャンバの壁の溝である。
【0139】
溝1002は流路を形成するため、隔壁が終りのストロークにある場合においても流体又は空気のポケットがポッドポンプに捉えられないように入口と出口間に流路がなお位置される。溝1002はポッドポンプ820,828の液体又は流体側、及び空気又は駆動側の両者に含まれる。実施例において溝1002は混合チャンバ818に更に含まれる(ポッドポンプ820,828の空気又は駆動側及び混合チャンバ818の反対側に関する
図40A,40Bを参照のこと)。これに代わる実施例において、溝1002はポッドポンプ820,828の一方の側にのみ含まれるか、全く含まれていない。
【0140】
これに代わる実施例におけるカセットにおいて、ポッドポンプ820,828の液体又は流体側は、入口及び出口の流路が連続的であり、ポンプチャンバの周囲にモールド成形される堅固な外リング(図示しない)が更に連続的であるという特徴(図示しない)を含む。この特徴により、隔壁(図示しない)と形成されるシールが保持される。
図38Eは、本実施例における頂部プレート1100の側面図である。
【0141】
図39A,39Bに実施例におけるミッドプレート1200を示す。ミッドプレート1200は
図37A乃至37Fに更に示され、これらは
図39A乃至39Bと対応する。従って、
図37A乃至37Fは様々な弁及び弁路の位置を示す。各ポッドポンプ820,828のための隔壁(図示しない)の位置の他混合チャンバ818の位置も示される。
【0142】
図39Aに一実施例におけるカセットにおいて、センサ要素がポンプでくまれる流体の様々な特性を検知するためにカセットに組み込まれることを示す。一実施例において、3つのセンサ要素が含まれる。しかしながら、本実施例において、6つのセンサ要素(2組の3つ)が含まれる。センサ要素はセンサセル1314,1316に設けられる。本実施例において、センサセル1314,1316はセンサ要素のためのカセットの領域として含まれている。一実施例において、2つのセンサセル1314,1316の3つのセンサ要素はそれぞれセンサ要素ハウジング1308,1310,1312、及び1318,1320,1322に収容される。一実施例において2つのセンサ要素ハウジング1308,1312及び1318,1320伝導度センサ要素を収容し、第3のセンサ要素ハウジング1310,1322は温度センサ要素を収容する。伝導度センサ要素及び温度センサ要素は当該技術分野におけるいかなる伝導度又は温度センサ要素であってもよい。一実施例において、伝導度センサはグラファイトのポストである。別例において、伝導度センサ要素はステンレス鋼、チタニウム、プラチナ又は防蝕のためにコーティングされるがなお電気伝導度を備えるその他の金属から形成される。伝導度センサ要素はコントローラや他の装置にプローブの情報を送信する電線を含むことができる。一実施例において、温度センサはステンレス鋼のプローブに埋め込まれたサーミスタである。しかしながら、これに代わる実施例において、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「センサの器具システム、装置及び方法」である米国特許出願(DEKA−024XX)に開示されるものと類似の温度センサ要素及び伝導度センサ要素の組合せが使用される。
【0143】
これに代わる実施例において、カセットのセンサは使用されないか、温度センサ1つのみが使用されるか、1つ以上の伝導度センサのみが使用されるか、1つ以上の別のタイプのセンサが使用される。
【0144】
図39Cは本実施例におけるミッドプレート1200の側面図である。
図40A及び40Bに底部プレート1300を示す。
図40Aに底部プレート1300の内側又は内側表面を示す。内側又は内側表面はミッドプレート(図示しない)の最下表面に接触する面である。底部プレート1300空気又は駆動ライン(図示しない)に取り付けられる。ミッドプレート1300のポッドポンプ820,828及び弁(ここには図示しない、
図37A乃至37Fを参照のこと)を駆動させる空気のための対応する入口の穴が図示される。穴810,824は
図39Bにそれぞれ示す第1の流体入口810及び第1の流体出口824に対応する。ポッドポンプ820,828、及び混合チャンバ818の対応する半分の他流路のための溝1002が図示される。ポンプの駆動の穴も図示される。頂部プレートとは異なり、ポッドポンプ820,828及び混合チャンバ818の対応する底部プレート1300の半分はポッドポンプ820,828及び混合チャンバ818間の差異を明瞭にする。ポッドポンプ820,828は底部プレート1300の空気又は駆動路を含み、混合チャンバ818は頂部プレートで半分と同一の構造体を有する。混合チャンバ818は液体を混合するため、隔壁(図示しない)及び空気又は駆動路の両者を含まない。3つのセンサ要素ハウジング1308,1310,1312及び1318,1320,1322を備えるセンサセル1314,1316も図示する。
【0145】
図40Bに、外側の底部プレート1300の、又は底部プレート1300の外側の駆動ポート1306を示す。駆動源はこれらの駆動ポート1306に連結される。また空気によって駆動しないので、混合チャンバ818には駆動ポートが設けられない。
図40Cは実施例における底部プレート1300の側面図である。
【0146】
上述したように、発明の様々な態様において、血流回路、平衡回路、配向回路、及び/又は混合回路等の1つ以上の流体回路がカセットに設けられる。他のカセット、例えば検知カセットが、発明の名称が「センサの器具システム、装置及び方法」である(事件要領書第F63号、米国特許出願第12/038,474号明細書)に開示され、その全体がここで開示されたものとする。実施例においていくつか又は全てのこれらの回路は1つのカセットにて結合する。これに代わる実施例において、これらの回路はそれぞれ各カセットにおいて形成される。更なる別例において、2つ以上の流体回路が1つのカセットに含まれる。実施例において、2つ、3つ、又はそれ以上のカセットが相対移動不能に設けられ、任意によりカセット間は連通する。例えば、一実施例において、2個のカセットが上述したようなポッドポンプ等のポンプにより連結される。ポッドポンプは各チャンバを第1の側及び第2の側に分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含み、上述したように各側は様々な目的に使用される。
【0147】
本発明において使用されるカセットの例は2007年10月12日に出願され、発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,680号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,712号明細書、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,787号明細書、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,793号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「カセットシステム統合装置」である米国特許出願第11/871,803号明細書、及び発明の名称が「カセットシステム統合装置」である米国特許出願(事件要領書第F62号)に開示されるが、これらに限定されるものではない。これらはそれぞれその全体がここで開示されたものとする。
【0148】
カセットは更にポッドポンプ、流体ライン、弁等の様々な特徴を含む。本明細書に開示される実施例におけるカセットは様々なこれに代わる実施例を含む。しかしながら、類似の機能を含むカセットが考えられる。ここに開示される実施例におけるカセットは図示のような流体の設計の実施であり、別例においてカセットは様々な流路及び/又は弁の配置及び/又はポッドポンプの配置及び数を含み、これらは本発明の範囲に含まれる。
【0149】
一実施例において、カセットは頂部プレート、ミッドプレート及び底部プレートを含む。各プレートのための様々な実施例がある。通常、頂部プレートはポンプチャンバ及び流体ライン含み、ミッドプレートは補足する流体ラインを含み、定量ポンプ及び弁及び底部プレートは駆動チャンバを含む(及び実施例において、頂部プレート及び底部プレートは平衡チャンバ又はポッドポンプの補足する部分を含む)。
【0150】
通常、隔壁はミッドプレートと底部プレートの間に設けられるが、平衡チャンバやポッドポンプに対して、隔壁の一部はミッドプレートと頂部プレートの間に設けられる。実施例において隔壁はカセットに取り付けられ、この取付には、オーバーモールド、捕捉、接着、プレスフィット、溶接、その他のいかなる工程又は方法により行われるが、実施例において、隔壁はプレートが組み立てられるまで頂部プレート、ミッドプレート及び底部プレートとは分離される。
【0151】
カセットは様々な材料により組み立てられる。通常、様々な実施例において、使用される材料は固体であり、且つ非可撓性を備える。一実施例において、プレートはポリスルホンから形成されるが、別例においてカセットは他の固体材料から形成される。実施例において、熱可塑性又は熱硬化性の材料から形成される。
【0152】
一実施例においてカセットは隔壁を正確な位置に設け(例えば、1つ以上のポッドポンプが設けられるならこれらのポッドポンプのために)、プレートを順番に組み立て、プレートを連結することにより形成される。一実施例において、プレートはレーザ溶接技術を使用して連結される。しかしながら別例においてプレートは接着され、機械的に固定され、共に紐で縛られるか、超音波によって溶接されるか、或いはプレートを連結するその他の方法を使用して連結される。
【0153】
実施においてカセットは源から位置に様々なタイプの流体をポンプでくみ出すことに使用される。流体のタイプは流体もの栄養を備えたもの、栄養を備えないもの、無機化学薬品、有機性化学薬品、体液又は他のいかなるタイプの流体も含む。付加的に実施例において流体は気体を含む、従って、実施例において気体をポンプでくむことにカセットが使用される。
【0154】
カセットは好適な位置から好適な位置へ流体をポンプでくみ配向すべく機能する。しかしながら実施例において、外側ポンプはカセットに流体をポンプで送り、カセットは流体をポンプで退出させる。しかしながら実施例において、ポッドポンプは流体をカセットに引き込み、カセットから流体をポンプで退出させるべく機能する。
【0155】
上述したように弁の位置によって、流路は制御される。従って、弁は異なった位置に設けられ、或いは別例において付加的な弁がカセットに設けられる。付加的に上述した図示の流体ライン及び流路は流体ライン及び流路の例に過ぎない。別例において、より多くの、又はより少ない、且つ/又は異なる流路が設けられる。更なる別例において弁はカセットに設けられない。
【0156】
上述したポッドポンプ(ポッドポンプがカセット内に設けられる場合)の数は実施例によっても変わる。例えば、上述した様々な実施例は2つのポッドポンプを含むが、別例においてカセットは1つのポッドポンプを含む。更なる別例において、カセットは2つ以上のポッドポンプを含み、或いはポッドポンプは設けられない。ポッドポンプは1つのポンプであっても多数のポッドポンプが連続的な流れを形成すべく連動するように設けられてもよい。カセットのいずれか、或いは両者が様々な実施例において使用可能である。しかしながら上述したように実施例において、カセットにポッドポンプは設けられないか、2つ以上のカセットの間にポッドポンプが含まれる。上記システムの例は発明の名称が「カセットシステム統合装置」である米国特許出願(事件要領書第F62号)に開示されるがこれに限定されるものではない。同文献はその全体がここで開示されたものとする。
【0157】
ここに開示される様々な流体入口及び流体出口は実施例において流体ポートである。実施において弁の構成及び制御により、流体入口は流体出口である。従って、流体入口又は流体出口として流体ポートを示すことは記載の目的のためにのみである。様々な実施例において交換可能な流体ポートが設けられる。流体ポートはカセットに特定の流路を付与すべく設けられる。これらの流体ポートは必ずしも全てが全ての時間にわたって使用される必要はない。これに代えて、様々な流体ポートを使用することにより、実施においてカセットを柔軟に使用可能となる。
【0158】
図46にカセットの別例を示すがこれに限定されるものではない。
図46Aに、一体的に形成され、組み立てられたカセットシステムを示す。混合カセット500、中間カセット600、及び平衡カセット700は流体ラインか導管によって接続される。ポッドはカセットの間に設けられる。
図46B及び46Cにおいて、様々な図により一体的に設けられたカセットシステムの効果を示す。
図50A、
図50B及び
図50Cに流体ライン即ち導管1200,1300,1400をそれぞれ示す。流体はこれらの流体ライン即ち導管を通じてカセット間を流れる。
図50A及び50Bは、これらのより大きい流体ライン即ち導管1300、及びより小さい流体ライン即ち導管1200が点検弁の流体ラインを示す。実施例において、点検弁はアヒル手形弁であるが、別例においていかなる点検弁も使用可能である。
図50Cに、流体ライン即ち導管1400が点検弁を含まない流体ライン即ち導管であることを示す。記載のために、用語「流体ライン」及び「導管」は1200、1300、及び1400、に関して交換可能に使用される。
【0159】
図46B及び46C、並びに
図51Aに、一実施例において様々なカセットを通過する流体の流れを示す。記載が容易になるように、流体流は混合カセット500から開始する。
図46B及び
図51Aに、混合カセット500の流体側を示す。流体側面は複数のポート8000,8002,8004,8006,8008、及び流体入口又は流体出口でのいずれかある8010乃至8026を含む。様々な実施例において1つ以上の流体入口及び流体出口は逆浸透(「RO」)水8004、重炭酸塩、酸及び透析液8006のための1つ以上の流体入口を含む。更に、排液管を含む1つ以上の流体出口は酸8002及び透析液タンクのための出口として少なくとも1つの換気口の出口を含む。一実施例において、管(図示しない)は出口の後方に設けられ、出口である(汚染を防止するため)。水、重炭酸塩及び水混合物、透析液の混合物(酸及び水を付加した重炭酸塩)のための付加的な出口が更に含まれる。
【0160】
次に透析液は混合カセット500から透析液タンク(ここには図示しない。1502として
図51Aに示す)に流れ、導管を通じて透析液カセット700(外側の透析液カセット600、ポッドポンプ602及び604によってポンプでくまれる)の内部に流れる(604はここでは図示しない。
図46D及び46Eに示す)。カセット内の流路は変化する。従って、様々な入口及び出口の位置は様々なカセット流路によって変化する。
【0161】
図51Bに一実施例におけるカセットシステムにおいて、コンドセル、伝導度センサ及び温度センサが
図46A乃至46Cに示すカセットシステムの外側の別体のカセット1504に含まれることを示す。この外側センサカセット1504は発明の名称が「センサの器具システム、装置及び方法」である事件要領書第F63号、米国特許出願第12/038,474号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
【0162】
図51Bに本実施例における流体流路を示す。本実施例における透析液のための混合工程において、重炭酸塩の混合物は混合カセット500から離間し、外側センサカセットに流れ、そして次に混合カセット500に再び戻る。重炭酸塩の混合物が所定の閾値に至ると、酸は重炭酸塩の混合物に付加される。次に重炭酸塩及び酸が混合チャンバ506にて混合されると、透析液はカセットからセンサカセットに流れ、混合カセット500に戻る。
【0163】
図46Dに、混合カセット500は空気圧の駆動側を含むことを示す。参照符号500により示されている領域において複数の弁及び2つのポンプチャンバ8030,8032がカセット500に設けられ、酸や重炭酸塩をポンプでくみ出すか、計測する。実施例において、付加的な定量ポンプ、又はより少ない定量ポンプが含まれる。定量ポンプ8030,8032は要求されるいかなる寸法であってもよい。実施例において、ポンプは相互に対して異なった寸法であるが、別例においてポンプは互いに対して同じ寸法である。例えば、一実施例において、酸ポンプは重炭酸塩ポンプより小さい。これは高い濃度の酸を使用する場合に有利且つ効果的である。この理由として正確さのためにより小さいポンプを使用することが望ましいこと、及び部分的なストロークよりもむしろ完全なストロークを制御に使用できるようにより小さいポンプを使用することが好ましいことが挙げられる。
【0164】
導管1200、1300は点検弁を含む。これらの導管1200,1300は一方向の流れが可能である。実施例においてこれらの導管1200,1300は全て排液管に案内される。
図51Aの流路の概略図により、これらの点検弁の導管の位置は明瞭である。図示の実施例において排液管に配向される流体は混合カセット500を通過する。
図46Bに流体排液管ポート8006がカセット500の流体側に設けられることを示す。
【0165】
透析液が混合され、透析液が
図51Bに参照符号1504にて示すセンサカセットに流れた後に、透析液が所定のパラメータ又は閾値内にあるか否かが判断され、続いて透析液は混合カセット500にポンプにより戻され、扁平な導管1400を通過し、外側透析液カセット600に送られ、点検弁導管1200を通じて混合カセット500を通過し、排液管流体出口に移動する。
【0166】
図46D及び46Eに様々なポッド502,504,506,602,604,702,704,706,708を示す。ポッドハウジングのそれぞれは同様に組み立てられるが、ポッドがポッドポンプ502,506,602,604,702,704であるか、平衡チャンバポッド706,708であるか、混合チャンバのポッド504であるかどうかにより、ポッドハウジングの内部は異なっている。
【0167】
図51A及び51Bとともに
図46D及び46Eに、流体流路及びカセットシステムの両者に設けられる様々なポッドを示す。ポッド502は水ポッドポンプであり、504は混合カセット500の重炭酸塩水ポッドポンプ(重炭酸塩に水を送る)である。ポッド506は混合チャンバである。透析液が混合チャンバ506において混合されると、混合カセット500からセンサカセット1504に流れ、透析液が受容可能に好適なものか否かが判断され、透析液は混合カセット透析液タンク出口を通じて透析液タンク1502に流れる。しかしながら透析液が受け入れられないと判断されると、流体は流体カセット500に戻され、導管1400を通じて外側透析液カセット600へポンプにより送られ、点検弁導管1200を通って、混合カセット500を通過して排液管の出口から退出する。
【0168】
図46A乃至46Cに、
図51A及び51Bとともに、混合カセット500と内側透析液カセット700との間の外側透析液カセット600を示す。ポッドポンプ602,604は透析液タンク1502から透析液をポンプでくみ、そして内側透析液カセット700(透析液の原動力)の平衡チャンバ706,708に送る。外側透析液カセット600は透析液を内側透析液カセットに押圧する(即ち、内側透析液カセット700のポンプは透析液をくみ出さない)。従って外側透析液カセット600から透析液は透析液タンク1502からヒータ1506を通して、限外濾過膜1508を通して内側透析液カセット700にポンプにより送られる。
【0169】
更に
図51A,51Bとともに
図46D及び46Eに、内側透析液カセット700が定量ポッド8038(即ち、限外濾過定量ポッド)を含み、平衡ポッド706,708及びポッドポンプ702,704を含むことを示す。内側透析液カセット700は更に流体出口及び流体入口を含む。これらの入口及び出口は透析装置1510への出口、透析装置1510からの入口、及び透析液の入口(限外濾過膜1508は内側透析液カセットのポートに連結する)を含む。流体入口及び流体出口は更にプライミング及び消毒におけるDCA及びDCVの関係のために含まれている。様々な導管(1200,1300,1400)はカセット500,600,700間を連通させるべく流体が流れるように機能し、混合カセット500を通って排水するために流体を流すように機能する。最も大きい点検弁1300は(
図50Bにも示す)、消毒の間に使用される。この管は好適な実施例において消毒の間に水路を貫流する血液の塊、及び他の汚染物を収容するために大型である。
【0170】
実施例においてカセットシステムの弁及びポンプは空気圧により駆動する。別体の管によりカセットへ空気圧源は付加される。従って、各ポンプ、平衡ポッド、又は弁は空気の駆動マニホールドへ個別に連結される(図示しない)。
図52A乃至52Fに実施例において管が少なくとも1つのブロック1600に連結されることを示す。実施例において様々な管を連結することに複数のブロックが使用されている。ブロック1600はマニホールドに落下され、次に空気圧アクチュエーターに好適に連結される。これにより気送管はマニホールドに容易に連結される。
【0171】
図46Dに更に一実施例において、カセットシステムはシステムを一体的に保持することを援助するためのばね8034を含むことを示す。ばね8034は捕捉具8036により混合カセット500及び内側透析液カセット700に掛けられる。しかしながら別例において他の手段や器具も適切なシステムの好適な配向の保持の補助に使用可能であり、例えばラッチ手段、弾性手段等が含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0172】
図47A乃至47Cに実施例におけるポッドを示す。ポッドは2つの流体ポート902,904(入口及び出口)を含み、ポッドは様々な実施例において別様に組み立てられる。様々な実施例における構造体が2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置及び方法」である事件要領書第E78号、米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されるがこれに限定されるものではない。同明細書はその全体がここで開示されたものとする。
【0173】
図47A、47D及び47Eにチャンバの溝906を示す。溝906はポッドハウジングの各半分に含まれている。別例において、溝は含まれておらず、実施例において、溝はポッドの一方の半分にのみ含まれている。
【0174】
図48A及び48Bに実施例においてポッドポンプ502,504,602,604,702,704にて使用される膜を示す。この膜は
図5Aにおいて上述した。別例において
図5B乃至5Dに示す膜が使用される。
図49は実施例におけるポッドポンプの分解図である。
【0175】
発明の様々な態様において1つ以上の「ポッドポンプ」が様々な目的のために使用される。上述したがポッドポンプの構造体を後述する。この構造体はポンプ、平衡チャンバ、混合チャンバ等の様々な使用に応じて変形される。付加的にポッドポンプはシステムのいかなる位置にも配置され、例えばカセットに、或いは2つ以上のカセット間等に配置される。
【0176】
通常、ポッドポンプは堅固なチャンバ(例えば、球形、楕円状等好適な形状を有する)を含み、ポッドポンプは各チャンバを第1の半分及び第2の半分に分ける可撓性を備えた隔壁を含む。実施例において、堅固なチャンバは回転楕円体である。ここで示すように用語「回転楕円体」は三次元形状を示し、これは、主軸、長軸、短軸のうち1本を中心として楕円形を回転させたものに対応し、通常三次元の卵形状、偏平及び扁長の回転楕円体、球及びこれらと略同様の形状を含む。
【0177】
ポッドポンプの各半分は少なくとも1つの入口弁を有し、通常(必須ではないが)少なくとも1つの出口弁を有する(実施例において同じポートが入口及び出口の両者に使用される)。例えば弁は開閉弁や双方向比例弁である。例えば、チャンバの一方の側の弁は双方向比例弁であり、1つは高圧源に連結され、他方は低圧の(又は真空)シンクに連結される。他方の半分の側の弁は流体を配向すべく開閉される。
【0178】
実施例において隔壁は様々な断面の厚みを有する。より薄い隔壁、より厚みのある隔壁、或いは厚みが可変の隔壁が、選択された隔壁材料の堅固さ、屈曲性及びその他の特性を備えるように使用される。薄い隔壁、厚い隔壁、或いは厚みが可変な隔壁の壁の厚みは隔壁の管理に使用され、これにより他の領域と比較して所定の領域における屈曲を促進し、これにより、ポンプ作用及びポンプチャンバの主流体の流れの管理を補助する。本実施例において図示の隔壁は最も厚い横断面の領域は中心部に最も近い。しかしながら別例において、様々な断面を有する隔壁が設けられ、最も厚い領域、及び最も薄い領域が隔壁のいかなる位置に設けられてもよい。従って、例えば、より薄い断面が中心部の近傍に設けられ、より厚い横断が隔壁の周囲の近傍に設けられてもよい。一実施例における隔壁において、隔壁は少なくとも一区分に接する(tangential)斜面を有するが、別例において隔壁は完全に円滑であるか、或いは略円滑である。
【0179】
隔壁は望ましい耐久性を有し、流体と適合する可撓性を備えた材料からなる。隔壁は駆動チャンバに作用する流体、液体又は気体の圧力、真空に応じて屈曲する材料から形成される。隔壁材料は更に生体適合性、温度の適合性、及び隔壁によってくみ出されるか、チャンバに案内されて隔壁を容易に移動させる様々な主流体に対する適合性を備えるように選択される。実施例において隔壁は高延伸シリコーンから形成される。しかしながら別例において隔壁はシリコーン、ウレタン、ニトリル、EPDMを含むエラストマーやゴム、或いはその他のゴム、エラストマーや可撓性を備えた材料を含むがこれらに限定されるものではない。
【0180】
隔壁の形状は様々な条件に左右される。これらの条件は、チャンバの形状、チャンバの寸法、主流体の特性、ストローク1回あたりにポンプでくまれる主流体の容量、及びハウジングへの隔壁の取付の手段やモードを含むがこれらに限定されるものではない。隔壁の寸法は様々な条件に左右される。これらの条件は、チャンバの形状、チャンバの寸法、主流体の特性、ストローク1回あたりにポンプでくまれる主流体の容量、及びハウジングへの隔壁の取付の手段やモードを含むがこれらに限定されるものではない。従って、様々な実施例においてこれらの条件や他の条件によって、隔壁の形状及び寸法は変化する。
【0181】
隔壁はいかなる厚みも有する。しかしながら実施例において厚みの範囲は0.002インチ乃至0.125インチ(約0.00508cm乃至約0.3175cm)(1インチ=2.54cm)の間にある。隔壁に使用する材料によって好適な厚みは変わる。一実施例において高延伸シリコーンは0.015インチ乃至0.050インチ(約0.0381cm乃至約0.127cm)の厚みにて使用される。しかしながら別例において、厚みは変わる。
【0182】
実施例において隔壁の領域の少なくとも一部分に略ドーム形状を含むように、隔壁は予め形成される。更に、ドームの寸法は上述した条件のいくつか又は多くに基づいて変わる。しかしながら別例において、隔壁は予め形成されたドームの形状を含まない。
【0183】
実施例において、隔壁のドームは流体の射出成形を使用して形成される。しかしながら別例においてドームは圧縮モールド成形を使用して形成可能である。これに代わる実施例において、隔壁は略平坦である。別例において、ドームの寸法、幅又は高さは変わる。
【0184】
様々な実施例において、隔壁は様々な手段及び方法によって保持される。一実施例において、隔壁はカセットの部分の間に締め金で止められる。実施例において、カセットの縁は隔壁を把持する特徴を含む。別例において隔壁は少なくとも1つのボルトか別の器具を使用してカセットに締め金で止められる。別例において隔壁はプラスチックの部分とオーバーモールドにて形成され、プラスチックはカセットに溶接されるか、接着される。別例において、隔壁はミッドプレートと底部プレートとの間に挾持される。実施例において隔壁のカセットへの取付を開示したが、カセットに隔壁を取り付けるためのその他の方法や手段が使用されてもよい。これに代わる実施例において隔壁はカセットの一部に直接取り付けられる。実施例において、隔壁は他の領域と比較して端部が厚みを有し、隔壁はプレートによって挾持される。実施例において、このより厚みを有する領域はガスケットであり、実施例においてOリング、リング、或いはその他の形状を備えたガスケットである。
【0185】
実施例におけるガスケットにおいて、ガスケットは隔壁と連続している。しかしながら別例においてガスケットは隔壁とは別体の部分である。実施例において、ガスケットは隔壁と同じ材料から形成される。しかしながら別例においてガスケットは隔壁と別の材料から形成される。実施例においてガスケットは隔壁の周囲にリングをオーバーモールド(over−molding)して形成する。ガスケットは実施例におけるポッドポンプハウジングを補足するためにいかなる形状のリング又は好適なシールであってもよい。実施例において、ガスケットは圧縮タイプのガスケットである。
【0186】
堅固なチャンバにより、ポッドポンプは通常一定の容量を備える。しかしながらポッドポンプ内において、チャンバを分ける撓性を備えた隔壁の位置によって第1の区画及び第2の区画は異なる容量を有する。1つの区画へ流体を強制的に送ることによりチャンバの他の区画内の流体は排出される。しかしながら流体は通常可撓性を備えた隔壁によりポッドポンプ内において相互に直接接触しない。
【0187】
従って一実施例においてポンプによるくみ出しのために使用されるポッドポンプは第1の区画の制御流体及び第2の区画のポンプでくまれるべき流体を受承するように構成される。制御流体は流体であり、即ち液体又は気体である。一実施例において制御流体は空気である。ポッドポンプからの制御流体を退出させることにより(例えば、真空や、少なくともポッドポンプ内の圧力より低い圧力によって)ポッドポンプはポッドポンプの他の区画に流体(例えば、血液、透析液等)を引き込む。同様に、ポッドポンプへの制御流体を強制的に送ることにより(例えば、高圧源から)ポッドポンプは流体を排出する。更に第2の区画の弁を制御することによって、流体は第1の弁を通して搬送され、制御流体の作用により第2の弁を通じて排出される。
【0188】
別例としてポッドポンプは上述したように例えば透析液等の流体の平衡を保持することに使用される。このような場合に、制御流体に代えて、流体はポッドポンプの各区画に配向される。上述したように、ポッドポンプの容量は通常堅固なチャンバにより一定である。従って流体の第1の容量が平衡ポッドの第1の区画にくみ出される場合に、等しい容量の流体が平衡ポッドの第2の区画から排出される(ポッドが駆動する状況下において流体は通常非圧縮性を備えると仮定する)。従って、上記平衡ポッドを使用して、等しい容量の流体が移動可能である。例えば
図5において平衡ポッドにより未使用の透析液は第1の区画に進入し、使用済みの透析液が第2の区画に進入することができる。未使用の透析液及び使用済みの透析液の容量の流れは相互に平衡とされる。
【0189】
実施例においてチャンバを分ける可撓性を備えた隔壁を含んでいないポッドポンプが使用される。上記例において、ポッドポンプは混合チャンバとして使用することができる。例えば、
図7Aの混合チャンバ189は上記ポッドポンプである。
【0190】
図9にポッドポンプの例を示すがこれに限定されるものではない。この図は実施例におけるカセットにおいて使用される空気圧により制御される弁の断面図である。ここで使用する用語「空気圧」は空気やその他の気体を使用して可撓性を備えた隔壁や他の部材を移動させることを示す(空気の使用は例示に過ぎず、別例において窒素(N2)、二酸化炭素、水、オイル等のその他の制御流体が使用される)。3つの堅固な部分が「頂部」プレート91、ミッドプレート92、及び「底部」プレートに使用される(用語「頂部」、「底部」は
図9に示す配向を示すのみである。弁は実施においてあらゆる方向に配向されてもよい)。頂部プレート91及び底部プレート93は両側が平坦であるが、ミッドプレート92には様々な流路、チャンバ及びポートを形成するためにチャネル、刻み目及び穴が設けられている。隔壁90は、ミッドプレート92に沿って弁チャンバ97を形成する。空気ポート96を通じて空気圧力が作用され、正の気体圧力により、弁シート99に対する隔壁90に強制的に弁を閉めさせるか、或いは負の気体圧力により隔壁を弁シートから張引し、弁を開けさせる。制御気体チャンバ98は隔壁90、頂部プレート91、及びミッドプレート92によって形成される。ミッドプレート92は隔壁90が載置される刻み目を備え、これにより制御気体チャンバ98を隔壁の一方の側に形成し、弁チャンバ97を反対側に形成する。
【0191】
空気ポート96は頂部プレート91と共にミッドプレート92の「頂部」表面により形成されるチャネルによって形成される。カセットの複数の弁チャンバ間を連通させることによって、弁は連動し、連動する弁全てが空気圧力の1つの源によって同時に開閉される。ミッドプレート92の「底部」表面に形成されるチャネルは底部プレートと共に弁の入口94及び弁の出口95を形成する。ミッドプレート92を通して形成される穴が入口94及び弁チャンバ97(弁シート99を通して)の間と弁チャンバ及び出口95の間を連通させる。
【0192】
隔壁90には厚みを備えた縁88が設けられ、ミッドプレート92の溝89に堅固に嵌入する。従って、隔壁90は頂部プレート91がミッドプレート92に超音波によって溶接されるに先だって溝88に位置され、溝88によって保持される。従って、隔壁は2つのプレートの超音波による溶接を妨害するものではない。隔壁は所定の位置に正確に超音波により接合される2つのプレートに左右されない。従って、この弁は非常に堅固になされる超音波溶接によることなく容易に製造される。
図9に示すように、頂部プレート91は制御気体チャンバ98に延びる付加的な材料を含み、これにより隔壁が溝89から大きく離間する方向に移動することを防止し、隔壁の厚みを備えた縁88が溝89から退出することを防止する。
【0193】
圧力センサはポッドの圧力を監視することに使用される。例えばチャンバの空気側へ空気圧を代えては作用させることによって、隔壁は総チャンバ容量を横断して前後に循環する。各周期において、空気圧によりポッドに真空を作用させると流体は入口の流体ポートの上流の弁を通じてくみ出される。空気圧がポッドに正の圧力を作用させると、流体は出口ポート及び下流の弁を通じて排出される。
【0194】
図10は実施例における流体制御カセットに組み込まれる一実施例におけるポッドポンプの断面図である。実施例において、カセットは
図9及び10に示す構成の技術によって形成される複数のポッドポンプ及び複数の弁を組み込む。上記実施例において、
図10のポッドポンプは
図9の弁を形成することに使用される同じ3つの堅固な部分のうち異なった部分から形成される。これらの堅固な部分は「頂部」プレート91、ミッドプレート92、及び「底部」プレートである(上述したように、用語「頂部」、「底部」は
図9に示す配向を示すのみである)。ポッドポンプを形成するために、頂部プレート91及び底部プレート9393は一体的に半球状ポッドポンプを形成するように通常半球状部分を含む。
【0195】
隔壁109はポッドポンプの中央キャビティをポンプでくまれる流体を受承するチャンバ(ポンプチャンバ)と、空気圧によりポンプを駆動させる制御気体を受承する別のチャンバ(駆動チャンバ)に分ける。入口94により流体はポンプチャンバに進入可能であり、出口により流体はポンプチャンバを退出可能である。入口94及び出口95はミッドプレート92と底部プレート93の間に形成される。空気ポート106を通じて空気圧力が、正の気体圧力により、ポッドポンプのキャビティの一方の壁に対する隔壁109に付与され、
図10に示すようにポンプチャンバ容量を最小にし、或いは負の気体圧力により、ポッドポンプのキャビティの他方の壁の方への隔壁を張引し、ポンプチャンバ容量を最大にする。
【0196】
実施例におけるポッドポンプにおいて、ポッドポンプのキャビティに晒される1つ以上のプレートの溝を含む様々な構造体が使用される。とりわけ溝を作ることにより隔壁が流体又は空気(又は両者)のための入口又は出口(又は両者)流路を閉塞することを防止できる。
【0197】
隔壁109にはミッドプレート92の溝89に堅固に保持される厚みを備えた縁88が形成される。従って、
図9の弁チャンバのように、隔壁109は頂部プレート91がミッドプレート92に超音波によって溶接されるに先だって溝89に位置され、溝89によって保持される。従って、隔壁は2つのプレートの超音波による溶接を妨害するものではない。隔壁は所定の位置に正確に超音波により接合される2つのプレートに左右されない。従って、この弁は非常に堅固になされる超音波溶接によることなく容易に製造される。
【0198】
図11Aは実施例において
図10に示すようなポッドポンプのための圧力駆動システム110を示す概略図である。この例において、空気は制御流体として使用される(例えば、ポンプが空気圧により駆動される)。上述したように別例において他の流体(例えば、水)が制御流体として使用される。
【0199】
図11Aにおいて、圧力駆動システム110はポッドポンプ101の駆動チャンバ112の気体に正負の圧力を交互に作用させる。空気圧駆動システム110は駆動チャンバの圧力変換器114、可変の正の供給弁117、可変の負の供給弁118、正の圧力気体タンク121、負の圧力気体タンク122、正の圧力タンクの圧力変換器115、負の圧力タンクの圧力変換器116の他、電子コントローラ119を含む。
【0200】
正の圧力タンク121は駆動チャンバ112に制御気体の正の圧力を作用させ、隔壁109をポンプチャンバ111が最低の容量となる位置(即ち隔壁が堅固なポンプチャンバの壁に対する位置)に押圧して移動させる。負の圧力タンク122は駆動チャンバ112に制御気体の負の圧力を作用させ、隔壁109を反対方向のポンプチャンバ111が最高容量となる位置(即ち、隔壁が堅固な駆動チャンバの壁に対する位置)に押圧して移動させる。
【0201】
この例において弁機構がこれらの各タンク121,122及び駆動チャンバ112の間における連通を制御することに使用される。
図11Aにおいて別体の弁が各タンクのために使用される。正の供給弁117が正の圧力タンク121及び駆動チャンバ112間の連通を制御し、負の供給弁118が負の圧力タンク122と駆動チャンバ112間の連通を制御する。これら二つの弁は電子コントローラ119によって制御される(これに代えて、1つの三方向弁が2つの別体の弁117,118に代えて使用される)。実施例において、正の供給弁117及び負の供給弁118は二通りのオンオフ弁に対して可変の制限弁である。可変の弁を使用する利点は後述する。
【0202】
図11Aにコントローラ119が更に3つの圧力変換器、即ち駆動チャンバの圧力変換器114、正の圧力タンクの圧力変換器115、及び負の圧力タンクの圧力変換器116から圧力情報を受承することを示す。名称が示すように、これらの変換器はそれぞれ駆動チャンバ112、正の圧力タンク121、及び負の圧力タンク122の圧力を測定する。コントローラ119は2つのタンク121,122の圧力を監視し、これらは確実に好適に(正又は負に)加圧される。圧縮機タイプポンプやポンプがこれらのタンク121,122の好適な圧力を得るべく使用される。
【0203】
一実施例において正の圧力タンク121によって作用される圧力は通常の条件下において、隔壁109を堅固なポンプチャンバの壁に対して押圧するために十分に強い。同様に、負の圧力タンク122によって作用される負の圧力(即ち、真空)は通常の条件下において、堅固な駆動チャンバの壁に対して隔壁を押圧するために十分に強い。しかしながら実施例においてタンク121,122によって得られるこれらの正負の圧力は十分に安全な限度内にあり、これは正の供給弁117や負の供給弁118のいずれかが開く圧力と同じであり、隔壁109に対して作用される正負の圧力は患者に害をなすほど強くない。
【0204】
一実施例において、コントローラ119は駆動チャンバ圧力変換器114からの圧力情報を監視し、この情報に基づいて、弁機構(弁117,118)を制御し、隔壁109を最小のポンプチャンバ容量の位置に移動させ、この位置に至った後に、隔壁109を張引し、最大のポンプチャンバ容量の位置に移動させる。
【0205】
圧力駆動システム(駆動チャンバの圧力変換器114、正の圧力タンクの圧力変換器115、負の圧力タンクの圧力変換器116、可変の正の供給弁117、可変の負の供給弁118、コントローラ119、正の圧力気体タンク121、及び負の圧力気体タンク122を含む)は
図6の参照符号61にて示す絶縁された容量の完全な外側又は略外側に設けられる。実施例において血液や透析液に接触する要素(即ち、ポッドポンプ101、入口弁105及び出口弁107)はこれらがより容易に消毒されるように絶縁された容量に設けられる。
【0206】
図11Bにポッドポンプのための圧力駆動システム110の別例を示す。この例において、ポッドポンプ101はポンプチャンバ111、駆動チャンバ112、及び2つの側に分ける隔壁109を含む。流体ポート102及び104により流体弁(図示しない)を使用してポンプチャンバ111に出入りする流体にアクセス可能となる。しかしながらポッドポンプ101内において流体ポート102及び104は通常揚げられた形状を有する「火山」ポート126を含み、隔壁109がポートに接触する場合に、隔壁はポートを堅固にシールする。更に
図11Bに圧力タンク121,122を連結する三方向弁を示す。三方向弁123はこの例の1つのポートによって駆動チャンバ112と連通する。
【0207】
図11A,11Bに2つのタンクの気圧による駆動システムに代えて隔壁を前後に動かすことにその他のタイプの駆動システムが使用されることが示されているものといえる。
上述したように、
図11Aの空気の駆動システム110の正の供給弁117、及び負の供給弁118は二通りのオンオフ弁に対して好適に可変的な制限弁である。可変的な弁の使用によって、駆動チャンバ112及び隔壁109に作用される圧力は、隔壁に完全なタンク圧力を作用させることに代えてタンク121,122の僅かな圧力により容易に制御することができる。従ってポッドポンプを駆動させるための圧力がポッドポンプにより異なっても、異なるポッドポンプに対して、同じタンクやタンクの組が使用可能である。タンク圧力は様々なポッドポンプの隔壁に作用される好適な圧力と比較してより大きい必要があるが、1つのポッドポンプは半分のタンク圧力により駆動され、別のポッドポンプは同じタンクにより駆動されるが、四分の一のタンク圧力により駆動する。従って、透析システムの別のポッドが異なった圧力にて駆動するように設計されても、これらのポッドポンプは全て同じタンクか同じ組のタンクを共有するが、様々な弁を使用して異なった圧力にて駆動される。ポッドポンプにて使用される圧力は透析の工程において生じるか、或いは変化する状況に応じて変化する。例えば管が歪むことによりシステムの管が圧縮された場合に、ポッドポンプにおいて使用される正又は負の圧力、或いはその両者が制限の上昇を補うために高められる。
【0208】
図12はポッドポンプに作用される圧力が可変的な弁を使用していかに制御されるかを示すグラフである。縦軸は正のタンク及び負のタンク(
図11Aの符号121及び122)のそれぞれの圧力をPR+及びPR−を使用して示す。PC+及びPC−はそれぞれポッドポンプの隔壁に作用する正負の制御圧力を示す。
図12に示すように時間T0からおおよそ時間T1まで正の圧力が駆動チャンバに作用される(流体をポンプチャンバから強制的に退出させるため)。正の可変的な弁(
図11Aの符号117)によって流れの制限を繰り返し増減することによって、駆動チャンバに作用される圧力は略好適な正の制御圧力PC+に保持される。圧力は好適な制御圧力の周辺を正弦パターンにて変化する。駆動チャンバと連通する駆動チャンバ圧力変換器(
図11Aの符号114)は駆動チャンバの圧力を測定し、駆動チャンバの圧力が好適な制御圧力PC+の周囲にて変化するように、可変的な弁を制御するコントローラ(
図11Aの符号119)に圧力測定情報を送信する。障害状況がなければ、隔壁はポンプチャンバの堅固な壁に対して押圧されこれによりストロークを終える。コントローラは可変的な弁によって形成される制限が減少しても駆動チャンバにて測定される圧力が落ちない場合にストロークの終わりに至ったものと判断する。
図12において、排出のストロークの終わりは時間T1の周囲に生じる。ストロークの終わりが検知されると、駆動チャンバの圧力が好適な制御圧力PC+を越えて増加しないようにコントローラにより可変的な弁は完全に閉まる。
【0209】
正の可変的な弁が閉鎖した後に、負の可変的な弁(
図11Aの符号118)は部分的に開き、負の圧力タンクが駆動チャンバから気体を引き、流体をポンプチャンバに引き込む。
図12に示すようにT1のすぐ後の時間から時間T2まで負の圧力が駆動チャンバに作用される。排出と同じように(正の圧力)、上述したストロークは、可変的な弁によって生じた流れの制限を繰り返し増減することにより、駆動チャンバに作用される圧力は略好適な負の制御圧力PC−(負の圧力タンクの圧力より弱い)に保持されることができる。圧力は好適な制御圧力の周囲を正弦パターンにて変化する。駆動チャンバの圧力変換器はコントローラに圧力測定情報を送信し、コントローラは可変的な弁を制御し、駆動チャンバの圧力を好適な制御圧力PC−の周囲にて変化させる。障害状況がなければ、隔壁は駆動チャンバの堅固な壁に対して張引され、これにより張引(負の圧力)のストロークを終える。上述したように、コントローラは可変的な弁によって形成される制限が減少しても駆動チャンバで測定される部分的な真空が落ちない場合にストロークの終わりに至ったことを判断する。
図12において、張引のストロークの終わりは時間T2の周囲にて生じる。ストロークの終わりが検知された場合に、駆動チャンバの真空が好適な負の制御圧力PC−を越えて上昇しないようにコントローラは可変的な弁を完全に閉じる。張引のストロークが完了すると、正の可変的な弁は部分的に開き、正の圧力により新しい排出のストロークを開始する。
【0210】
従って、この例の各ポッドポンプは2つの可変開口弁を使用し、正の圧力源からの流れを負の圧力へ絞る。駆動チャンバの圧力が監視され、コントローラはこの圧力測定を使用して、駆動チャンバの好適な圧力を得るべく弁の両者に対する好適な命令を判断する。この構成の利点は、圧力の充填及び搬送が正確に制御され、圧力の限度を考慮しつつ所望の流速度を得られること、及び圧力が小さい正弦パターンの特徴の命令(sinusoidal signature command)により変化することにある。この特徴はポンプがストロークの終わりにいつ至るか判断するために監視される。
【0211】
二通りの弁の代りに可変的な弁を上述したように使用するもう一つの利点は、可変的な弁を部分的にのみ開閉することによって弁の消耗が少なくて済むことにある。繰り返して「激しく」二通りの弁を開閉することにより弁の寿命は短縮される。
【0212】
ストロークの終わりが検出され、相関関数の統合された値が非常に小さい場合に、ストロークが妨害され完了しなかったことを示す。充填ストロークか搬送ストロークかを確認することによって、下流の妨害と上流の妨害を区別することができる(これは隔壁がチャンバの壁の近傍に位置されるストロークの終わり付近に生じた妨害においては困難である)。
図13A,13Bは妨害の検出を示す(妨害が検出されたときにチャンバの圧力が0に落ちる)。
【0213】
正常駆動下において、相関関数の統合された値はストロークが進むと増加する。この値が小さいままか上昇しない場合に(非常に低いインピーダンス流れか妨害の場合)、ストロークは非常に短いか、弁の故障又は圧力信号の不良により実際の圧力が要求される正弦パターンの圧力を辿っていない。相関関係の欠如が検出され、これらの場合にエラー処理において使用される。
【0214】
通常の状況下において流れのコントローラが駆動している場合に、制御ループは流体速度の変化に応じて圧力を調整する。回路のインピーダンスが劇的に増加し、流れが目的の率に至る機会を有するに先立って圧力限界が飽和した場合に、流れコントローラは要求される流体速度に至るように圧力を高く調整することができない。これらの状態は凝血が回路に形成された場合等ラインが部分的に閉塞したときに生じる。流れが目的の流速度に至らなかった場合に圧力の飽和が検出された場合にこれらはエラー処理において使用される。
【0215】
流体弁の漏出や圧力信号のノイズ等、弁や空気圧に問題がある場合に、リップルはストロークにて不明瞭に続き、ストロークの終わりのアルゴリズムはストロークの終わりを検出するための圧力リップルの変化を十分に確認できない。従って安全点検が付加され、ストロークを完了する時期が必要以上であるかどうか検出する。この情報はエラー処理に使用することができる。
【0216】
図3Aに示すポンプ13等の二重ポンプにおいて2つのポンプチャンバは反対方向に循環し、ポンプ周期に影響を付与する。0°(チャンバの両者が同じ方向に機能する)から180°(チャンバは反対方向にて機能する)への位相関係が選択可能である。同じ方向にチャンバの両者を同時に動かすことは不可能であるため、位相の動きは実施例において変更可能である。仮に同時に動かす場合に入口弁及び出口弁の両者が開き、ストロークの終わりは適切に検出されない。
【0217】
180°の位相関係を選択することにより、ポッドに出入りする連続的な流れが生じる。これは連続的な流れが要求される場合の名目上のポンプモードである。0°の位相関係に設定することは、1本の針の流れにおいて有用である。ポッドは針で最初に充填され、次に同じ針に搬送される。0°乃至180°の間の位相における駆動は、透析装置を横断する張引関係(血液透析濾過法か連続したバックフラッシュ)を得ることに使用することができる。
図8A乃至8Cは上記位相関係をグラフにより示したものである。
【0218】
ポッドポンプは様々なサブシステムを通過する流体の流れを制御する。例えば、正弦パターンの圧力波形がポッドポンプのために命じられた圧力信号を構成するDC圧力命令に付加される。隔壁が移動している場合に、ポッドの圧力は正弦パターンの命令を追跡する。隔壁がチャンバの壁と接触し、移動しなくなった場合に、ポッドの圧力は一定に保持され、正弦パターンの入力命令を追跡しない。ポッドの続く圧力信号命令の相違がストロークの終わりを検出することに使用される。ストロークの終わりの情報から、各ストロークの時間が計算される。ポッドの容量及びストロークを完了する時期を知ることにより、各ポッドのための流速度は判断される。流速度は次のストロークのための必須DC圧力を計算するためにPIループにフィードバックされる。
【0219】
正弦波入力の大きさは命令を好適に追跡するために実際の圧力に対して十分大きく、DCポンプ圧力から引き算され、ポッドに適用された場合に隔壁が流体粘性、ヘッド高さ及び回路の抵抗の予期された駆動条件の下で移動するために圧力が十分であるように十分に小さくなるように選択される。正弦波入力の周波は確実にストロークの終わりを検出することができるように経験的に選択される。ストローク1回あたりの正弦波の周期が多くなれば、ストロークの終わりの検出のアルゴリズムはより正確なものとなる。
【0220】
ポッド圧力の続く命令の変化を検出するため、ポッドの圧力信号はクロス相関フィルタを通して送られる。クロス相関フィルタのためのサンプリングウィンドウの寸法は入力正弦波の周期と同等である。ウィンドウの全てのサンプルのために命令された圧力信号は実際の圧力の前のサンプルによって掛け合わされ、前の相関関係の値に加算される。ウィンドウは1フレーム分移動し、処理が繰り返される。得られた結果は区別され、入力正弦波の周波と同様のコーナ周波数及び1の制動比にて二次フィルタを通過する。このフィルタの効果は入力正弦波の周波数にて相関関係にある信号を分離するバンドパスフィルタとして機能することにある。このフィルタの出力の絶対値は正弦波周波数と同じ周波数及び3.0の制動比にて二次低域フィルタを通過する。この二次フィルタは区別された信号と得られた信号を統合し、得られた信号のノイズを減少させるために使用される。2つの信号に相関関係がある場合に、得られるフィルタを通過する値は大きくなる。2つの信号に相関関係がない場合(例えばストロークの終わりに)に、得られるフィルタを通過する値は小さくなる。フィルタを通過したクロス相関関係信号が所定の閾値より小さくなるか、ストロークにわたる最大値の1パーセントに低下する場合にストロークの終わりが検出可能である。所定のポンプシナリオのために性能を調整するために、この閾値やパーセントの低下は圧力や流速度の関数として変えることができる。
【0221】
ストロークの終わりを検出するためにストロークの終わりのアルゴリズムは正弦リップルの約1つの周期をとるため、この周期を最小にする(正弦波の振幅を最大にする)ことによりストロークの終わりにおける遅延は減少する。低圧流、高圧流はコントローラによってあまり追跡されるものではない。低圧のストロークは低い流体速度を有する傾向にあるため、ストロークの終わりの遅延は総ストロークの時間の少しのパーセントである。従って、周波は低圧のストロークに対して低い。正弦波の周波は搬送圧力の線形関数として調節することができる。これによりストロークが最も短いとき遅延を最小とすることが保証される。好適な圧力のための正弦波の周波が変わる場合に、クロス相関関数のためのフィルタは更に調節される必要がある。フィルタはこの変化する周波に基づいてフィルタ係数を連続して計算すべく設定される。
【0222】
ポッドチャンバの圧力は更に2つの可変的なソレノイド弁を使用して制御される。ソレノイド弁のうち1つはプレナムをより高い圧力源に連結させ、第2のソレノイド弁はプレナムを低圧(或いは真空)シンクに連結する。ソレノイド弁は大きな中立帯の領域を有する傾向にあるため、補償するために非線形オフセットタームがコントローラに付加される。
【0223】
図14は制御アルゴリズムの例を示す図である。この例のコントローラは標準的な個別のPIレギュレータである。PIレギュレータの出力は2本の通路に分割され、1本は源弁のための通路であり、他方は流し弁への通路である。オフセットタームが弁の中立帯を補償するためにこれらの各通路に付加される。得られる命令はゼロより大きい弁に制限される(シンク弁の場合には反転された後に)。
【0224】
オフセットタームは源弁の場合には負であり、シンク弁の場合には正である。従って弁の両者はエラーがゼロであっても駆動する。これらのオフセットはコントローラへ続く軌跡、及びコントローラの妨害拒絶性能を向上させるが、命令オフセットが実際の弁の中立帯より僅かに大きい場合に定常状態にある弁の両者の漏出も生じさせる。この場合に弁は定常状態にて等しい漏出質量流、及び反対の漏出質量流を有する。
【0225】
制御システムの待機中においてこの漏出質量流を取り除くために、エラータームの絶対値が所定の時間小さい状態を保持する場合に「節電」のブロックが弁を締めるために付加される。これはサーボモータの機械ブレーキの使用に類似している。
【0226】
図15に示すように、この例のコントローラは標準的な分離型PIレギュレータを使用している。PIレギュレータの回路が示されている。積分器はコマンドが飽和するとき、ワインドアップを防止するために、制限されることができる。積分器は常にアンワインドが可能である。ポッドの空気の量は充填のストローク及び搬送のストロークについては異なるため、ポッドの応答は充填のストローク及び搬送のストロークでは非常に異なるものとなる。異なるポッドの応答に対して良好に調整すべく、搬送のストローク及び充填のストロークのために比例利得が別様に調節される。
【0227】
PIレギュレータ飽和限度は、結果として加算されオフセット値を考慮に入れて決定されるべきである。例えば、弁が12Vで飽和し、5Vの固定オフセットがPIループの後に加算されるならば、PIループの飽和限度は7Vに設定されるべきである。この正、負の異なる飽和限度は源流側や下流側の弁にある異なる不感帯に起因する。
【0228】
充填のストロークの間は、上流側の流体弁は閉鎖され、下流側の流体弁は開放され、流体がチャンバ内へ流入することを可能にする。搬送ストロークの間は、上流側の流体弁は開放され、下流側の流体弁は閉鎖され、流体がチャンバ流出することを可能にしている。一方のストロークが終了し、他方のストロークが開始するまでの間は、両流体弁は閉鎖されている。
【0229】
ある特定の態様において述べたように、ポッドポンプを、例えば、空気、窒素、水、オイル、等の制御流体によっての駆動することも可能である。制御流体は比較的に非圧縮性の高いものが選択され、場合によっては比較的に安価及び/又は無毒であるものが選択される。制御流体は一連の管か、他の好適な管路を使用してシステムのポンプに供給される。コントローラは管又は管路内において制御流体の流れを制御する。実施例において、制御流体は管又は管路内で異なった圧力で保持される。例えば、制御流体の一部は正圧(すなわち、大気圧より大)で、制御流体の一部は負圧(大気圧より小)で、更にはゼロ圧力(すなわち、真空)で保持される。
図11Aに示すように、ポッドポンプはコントローラにより操作される制御流体にて制御される。前述したように、コントローラ(119)はポンプ周期の間の異なった時点で、弁(例えば、弁117及び118)を開閉し、ポッドポンプの空圧側の側面を正圧(121)又は真空(122)に対して露出させる。
【0230】
更に特定の実施例において、コントローラは(通常は電子式)様々な流体回路に対して遮断され、コントローラと流体回路とは電気的に接触することはないが、制御流体(例えば、空気)がコントローラと様々なポンプとの間で流れるように構成される。この構成において、メンテナンスの容易である(コントローラ及び様々な回路は別個に修理することができる)等の利点がある。一実施例において、流体回路は消毒の温度にまで加熱され、或いは比較高温か、消毒に効果的は厳しい状況(例えば放射)に晒されても、コントローラが厳しい状況に晒されることなく、絶縁壁(例えば、「防火壁」)等により隔離されるように保持される。
【0231】
従って、ある実施例に、システムは「冷たい」セクション(加熱されない)、と、消毒の為に部分的に加熱される「熱い」セクションとを有する。「冷たい」セクションは「熱い」セクションに対して絶縁材により絶縁されている。一実施例において、発泡材料を型により形成して絶縁材を得ることが可能であるが、噴射により絶縁材を形成することも可能であり、更にはシート材料を切断することにより絶縁材を形成してもよい。
【0232】
実施例において、「熱い」セクションは比較的高温に加熱れる。例えば、「熱い」セクションは、同「熱い」セクション内の部品を殺菌することができる十分な温度にまで加熱される。多くの電子部品では50℃以上に加熱されると他の機能を低下させるため、消毒される他の部品から電子部品を分離しておくことは有益である。従って、時として、消毒される必要がある場合もある部品は「熱い」セクションに、そのような温度に熱することができない部品は「冷たい」セクションに保持される。一実施例において、「冷たい」セクションには、空気が冷たい箱を出入りして流れる循環システム、例えば、ファンやグリッドを設ける。
【0233】
「熱い」セクションは全体的に、或いは部分的に絶縁材で覆われる。実施例において、絶縁材はドア、ポート、ガスケット、等の「熱い」セクションへのアクセスポイントにまで覆うように拡張される。例えば、「熱い」セクションが密封されるとき、絶縁材は完全に「熱い」セクションを覆う。
「冷たい」セクションの内である部品の例をとしては、電源、電子工学部品、送電線、空気制御部品、等が挙げられる。実施例において、「熱い」セクションに出入する流体の少なくとも数種は「冷たい」セクション内を通過する。但し、他の実施例では、流体は「冷たい」セクションを通らないで「熱い」セクションのみを通過する。
【0234】
「熱い」セクションの内にある部品の例を挙げると、カセット、流体ライン、等がある。実施例において、幾つかの電装品は「熱い」セクションに設けられる。これらにはヒータが含まれる。ヒータは流体に加えて、熱い箱自体を加熱する(
図3Aのヒータ72参照)。他の実施例において、ヒータは「熱い」セクション全体を所望の温度にまで加熱する。
【0235】
一実施例において、「熱い」セクションは流体ラインのいくつか又はすべてを含む。更に、「熱い」セクションは温度センサ、導電性センサ、血液漏出センサ、ヒータ、他のセンサ、スイッチ、非常灯、等を含む。
【0236】
ある実施例においては、空気や他の制御流体のためのマニホールドは「冷たい」セクションからの「熱い」セクションに移される。
部品を「熱い」セクションと、「冷たい」セクションとに分けることには複数の利点がある。電装品の使用寿命、信頼性、又は使用効率が挙げられる。例えば、部品を「熱い」セクションと「冷たい」セクションに分けることによって、ホットボックス全体が加熱される。これにより、より優れたエネルギー有効システムを実現するために熱が有効的に使用される。これは熱のよりエネルギー効率が良いシステムをもたらすより有効な使用を可能にする。これはまた低価格に実現すための標準的な、在庫中の電子部品の使用を可能にする。
【0237】
ある実施例において、ポンプ、弁、等を制御するために使用される制御流体は空気であり、この空気は1つ以上の空気圧縮機の稼動によりシステムに導入される。実施例において、空気圧縮機はシステム内の血流路そして透析液流路システムとは別個に保たれ、空気圧縮機からの空気は複数の管路等を介して複数のポンプに導入される。例えば、一実施例において空気インターフェース使用され、同空気インターフェースにより各種ポンプやチェンバに連通する管路等に空気圧縮機から空気が導入される。
【0238】
図16は一実施例における二重ハウジングの構造を略体的に示す。この構成は多数の空気圧駆動されるポンプや弁を含むカセットに適用することが有効である。カセット中のポンプや弁の数が十分に増加すれば、これらのポンプ及び弁を含むカセットは大きくなり、これらポンプや弁に関する圧力も大きくなり、全てのポンプや弁を適切に密封して位置決めすることは困難になる。この難しさは2つ以上の異なったハウジングの使用によって軽減することができる。弁及びポンプは(ポッドポンプ42)主ハウジング41に設けられ、同主ハウジングより気ポート44から連結管45が延びる。主ハウジング41は更に入口管及び出口管43を備え、これら入口管及び出口管43により流体が主ハウジングに対して流入及び流出する。主ハウジング41及び小型の2次的な管保持用ハウジング46内においてポンプと弁とは連結管45により連通されている。管保持用ハウジング46には各管に対応する空気インターフェースが設けられている。各空気インターフェースを容器の基礎ユニットに対して適切に位置決めして、封止するのは、大きな主ハウジング42に直接行うよりは小さな管保持用ハウジング46に行うほうが容易である。
【0239】
ある実施例群においては、制御流体(例えば、空気)は1つ以上の供給タンクか他の圧力源を備えるシステムに供給される。例えば、2つのタンクが使用されれば、1つの供給タンクは正圧タンクであり、設定値が750mmHg(ゲージ圧)(約100kPa、1mmHgは約133.3のパスカル)である。そして、他の供給タンクは負圧、即ち真空タンクであり、設定値は450mmHg(ゲージ圧)(約60kPa)のである。この圧力相違は供給タンクと必須のポッド圧力の間でポッドポンプに可変的な弁の正確な制御を可能にするために使用される。供給圧力限界は可変的な弁の制御に十分な差圧と患者の血流ポンプのために設定することができる最高圧力に基づいて設定することができる。従って、圧力を供給し、全体のシステムのための流体を制御するのに、2つのタンクが使用される。
【0240】
一実施例において、2つの独立した圧縮機が供給タンクに流体を供給する。例えば、タンクの圧力は、簡単なバン・バン・コントローラ(開放状態と、閉鎖状態とを有するコントローラ)か、又は洗練された制御機構を使用するか、あらゆる好適な技術を使用して制御される。正圧タンクのためのバン・バン・コントローラの一例を述べると、実際の圧力が所望の圧力からヒステリシスを減じたものであるなら、正圧タンクを管理する圧縮機は始動する。実際の圧力が所望の圧力にヒステリシスを加えたものであるならば、正圧タンクを整備する圧縮機は停止する。真空タンク及び真空の圧縮機に関しても、ヒステリシスの加減が逆になるが、同一の理屈が適用される。圧力タンクが調整されなければ、圧縮機は停止され、弁は閉鎖される。
【0241】
ヒステリシス帯の寸法を減少させることによって圧力タンクのより確実な制御が可能になる。しかし、このためには圧縮機の運動サイクルを高める必要がある。仮に、これらのタンクの非常に確実な制御が要求されたら、バンバン・コントローラはPIDのコントローラに交換され、圧縮機はPWM信号を使用しもよい。他の制御方法はまた可能である。
【0242】
但し、他の実施例においては他の圧力源が使用されている。即ち、複数の肯正圧源や複数の負圧源が使用さていれる。例えば、漏出を最小にすべく、異なった正圧(例えば、1000mmHg及び700mmHg)(約133.3kPa及び約93.3kPa)を供給する複数の正圧力源が使用される。負圧は−400mmHg(約−53.3kPa)である。実施例において、負圧減は真空ポンプであり、正圧源は空気圧縮機である。
【0243】
本発明のある特定の態様では様々なセンサを含む。例えば、発明の様々な実施例においては、センサマニホールドよりなるセンサ器具システムを用いた流体処理のためのシステム及び方法が開示されている。そのような実施例では、様々な医療状態における診断、処理、或いは改良のシステムや方法に関する。これらの発明では、実施例として様々な種類の透析液のような生化学的流体や治療剤の吐出、計測、制御及び又は分析や体外処理や治療の諸形態に関するシステムは方法についての具体例を含む。更なる例として、水処理システム、水蒸留システム、透析液等の流体を使用した診断、処理、改良を含む流体利用システムを開示する。
【0244】
ここに記述されている発明の実施例には透析システム及び方法が含まれる。より詳述すると、ここに記述されている発明の実施例の例は、2007年10月12日付け出願された米国特許出願第11/871,680号明細書(発明の名:称ポンプカセット)、又は本願と同日付けで出願された米国特許出願(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)に記載された血液透析システム及び方法が含まれる。
【0245】
そのようなシステム及び方法においては、1つ以上のセンサマニホールドが使用されているため、媒体がセンサの読み取りを行うため、ある環境から、より導電性の高い別の環境へ移動する。例えば、カセットマニホールドは様々な環境の条件に応じて、センサプローブのようなセンサ器具のために望ましくない、温度や湿気のような条件に影響されない領域に保持される。また、センサ器具やセンサシステムは敏感であり、システムの他の部品より誤動作する傾向が強い。センサマニホールドを用いて、システムの他の部品からセンサの器具及びセンサ器具システムを分離させることは、点検、計測、修理、又は取り替えに際してセンサ器具及びシステムが他の部品に与える影響を低くする。システムの他の部材に与える影響を最小化して、センサマニホールドの点検、計測、修理、又は交換を行うには、同日付けで出願された米国特許出願(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)と関連づけて使用されると有利であろう。センサマニホールドはシステムの他の部品より多少頻繁に交換される。
【0246】
図53乃至58は、センサマニホールドの様々な実施例を示す。これらの実施例では流体を使用する1つ以上の媒体はセットマニホールド4100内に含まれている。例えば、媒体はコネクタ4101を介してカセットマニホールド4100内に進入し、コネクタ4102を介してカセットマニホールドから退出する。コネクタ4101及び4102間には、カセットを貫通する流路が形成されている(
図54で流路4225として示されている)。同様に、流路は(
図54で流路4223、4220、4222、4224、及び4221でそれぞれ示されている)コネクタ4103及び4104;4105及び4106、4107、4108及び4109;4110及び4111;そして4112及び4113の間で伸びている。ある特定の実施例において、各々の流路は異なった特徴を有する媒体を含む。他の実施例において、1つ以上の流路は同じ又は同じような媒体を含む。ある特定の実施例においてそのような流路によって関連付けられるセンサの器具システムを点検するために及び/又は目盛りを付けるために、同じ媒体は複数の流路を同時に貫流される。
【0247】
図55を参照するに、センサ器具及びセンサ器具システムと共に使用されるセンサマニホールド4100が示される。カセットは頂部プレート4302及び基盤4301を含む。コネクタ4101及び4102の間で延びる流路4225は基盤と頂部プレートの間で伸びる。カセットはいろいろな材料から組み立てられる。通常、使用される材料は硬質で非可撓性を備える。好ましい実施例において、カセットはポリサルフォンで形成されるが、他の実施例において、カセットは他の硬質材料や熱可塑性材料にて形成される。センサマニホールド4100の幾つかの実施例は同日付けで出願された米国特許出願(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)に開示されるシステムと方法を使用して製造され得る。
【0248】
図55を再度参照するに、センサ器具及びセンサ器具システムと共に使用されるセンサマニホールド4100はプリント基板4304(PCB)及びPCBカバー4305を有する。様々な実施例はコネクタ4303を(また
図53及び56Bに示す)有し、このコネクタ4303がカセットマニホールド4100を機械的に血液透析システムのようなシステムに連結する。カセットマニホールド4100はセンサマニホールド4100の層を一体的に保持するために様々な方法を採用する。様々な実施例において、
図43に示すように、4306(また
図56Bに示す)、ねじ、他の実施例に利用されるねじ、溶接、クリップ、クランプ、他の化学的及び機械的な結合方法が採用されている。
【0249】
図56Aはセンサマニホールド4100の例示的実施例を示す。コネクタ4401が媒体を導入するか、流路4402から媒体を取除くのに利用されている。流路4402に伸びるセンサプローブ4404はセンサマニホールド4100に組み込まれ、同センサマニホールドの特定の流路を貫流する媒体の特性を判定する。一実施例において、媒体の温度や他の特性を感知するためにセンサプローバが使用される。別例において、媒体における温度や伝導度や他の特性についてを検出するのにセンサプローブが使用される。それ以上の実施例では、3つ以上のセンサプローブが使用される。ある実施例においては、温度及び伝導度を感知する1つ以上の組合せプローブが利用される。他の実施例において、伝導度センサ及び温度検出器は既存の伝導度センサ又は温度検出器である場合もある。一実施例において、伝導度センサ要素(又はセンサリード)はグラファイトポストである。他の実施例において、伝導度センサの要素はポスト伝導度の測定に通常使用可能なステンレス鋼、チタニウム、又は他のどの材料からでも形成される。ある特定の実施例において、伝導度センサはセンサのメカニズム、コントローラ又は他の装置にセンサからの信号を送信する電気的接続を含む。様々な実施例において、温度検出器は通常、温度検出のために使用される(使用されることができる)の温度検出器である場合もある。
【0250】
図56Aを参照するに、センサプローブ4404はPCB4405に対して電気的に接続される。ある特定の実施例において、適切な電気的接続を保障するのに、当該分野において公知であるセンサの要素4404とPCB4405間の適切な電気的接続方法も使用されるが、センサ要素4404とPCB4405の間において電気的伝導度のエポキシが利用されている。PCB4405はエッジコネクタ4406によって示されている。様々な実施例においてカセットマニホールド4100からの主システムにセンサ情報を送信するのに、エッジコネクタ4406が使用される。エッジコネクタ4406は媒体のエッジコネクタに連結される(
図58に示す媒体のエッジコネクタ4601のような)。様々な実施例において、媒体のエッジコネクタ4601は血液透析機に(図示しない)取付けられている。そのような実施例において、エッジコネクタ4406及び媒体のエッジコネクタ4601の関係を補するのにガイドトラック4310及び4311が(
図55に示すように)利用される。様々な実施例はまた血液透析システムのようなコネクタ4303を(
図53、55及び56Bに示すように)機械的にシステムにカセットマニホールド4100を連結する構成も含む。
【0251】
図56Aには、エアトラップ4410を示す。ある特定の実施例においてシステムの空気を捕捉し、清浄にするのに、エアトラップ4410が利用される。特に、
図54に示すように、媒体はセンサマニホールド4100のコネクタ4107及び4109の間で流路4222を貫流する。媒体の流れが流路4222の周回箇所のまわりで(コネクタ4108の近くで)遅れると同時に、空気は従う媒体からコネクタ4108において取除かれる。
【0252】
図56Bにおいて、PCBカバー4305が示されている。PCBカバー4305はコネクタ4306によってセンサマニホールド4100に連結される。エッジコネクタ4406も示されている。
【0253】
ある特定の実施例に従って、センサマニホールド4100は流量の制御に関して受動である。そのような実施例において、センサマニホールド4100は弁や媒体の流れを制御するためにポンプ機構を含んでいない。そのような実施例において、媒体の流れはセンサマニホールド4100への流体制御装置の外面によって制御される。他の実施例において、センサマニホールドは公知の機械弁、空気弁又は他のタイプの1つ以上を含む。そのような実施例において、センサマニホールドは公知のポンプ機構の空気ポンプ機構、機械ポンプ機構、又は他のタイプを含む1つ以上のポンプ機構含む。そのような弁及びポンプ機構の例はポンプカセットの名称により2007年10月12日に出願された米国の特許出願第11/871,680号明細書、又は本願と同日付けに出願された米国特許出願(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)に記載されている弁及びポンプ機構が含まれる
図57においてコネクタ4401が基盤4301に示される。頂部プレート4302はコネクタ4303と共に示されている。センサプローブ4501は流路4503に頂部プレート4302を介して伸びる。センサプローブ4501は本明細書中でも述べたセンサプローブを含む様々な形状のセンサである。
【0254】
検知プローブ4501のような検知プローブは全て同じであり得るか、実施され得る機能のタイプに基づいて様々なセンサから個々に選択され得るか、或いは、同じプローブが実施されるべき機能のタイプに基づいて個々に修正され得る。同様に、流路の長さ及び流路の形状のような流路の構成は、実施されるべき機能に基づいて選択され得る。一例として、流路内での対象の媒体の温度を検出するために、サーミスタのような温度センサが使用され得る。また、一例として、対象の媒体の伝導度を測定するために、温度及び伝導度を測定するように形成された一つの検知プローブ及び伝導度のみを測定するように形成された一つの検知プローブが利用され得る。その他の実施形態において、温度及び伝導度の両方を測定するように形成された2つ以上の検知プローブが利用され得る。そのような構成の様々な実施形態において、一例として、通常の運転時には使用されない第2の温度センサが存在しているか、又は第2の温度が重複する温度測定のために利用される。
【0255】
再び
図57を参照すると、PCB4502は電気接続部4503とともに示されている。
図58で更に示されているように、PCB4602は(
図57において4501として示されている)検知プローブへの接続のための電気接続部4603とともに示されている。PCB4602はまた頂部プレート(
図57において4305として示されている)に取り付けるための開口部4604を含む。ある特定の実施形態において、電気接続部4603は、空隙4606を備えたPCB4602に取付けられるか、又は空隙4606を備えたPCB4602とともに製造され得る。そのような実施形態において、空隙4606は、PCB4602に対してより衝撃の少ない状態にてセンサマニホールド4100の様々な部品の収縮及び拡張を可能とすることによって、検知プローブ4501及びPCB4602の間の電気接続部に対する保護を提供するために、利用され得る。
【0256】
再び
図58を参照すると、PCB4602はまた、エッジコネクタ4605とともに示されている。本明細書にて記載されているように、エッジコネクタ4605は、センサマニホールド4100とインターフェース接続される血液透析システムのようなシステムに連結され得るエッジコネクタの受信機4601とインターフェース接続され得る。
【0257】
図53乃至58に示される例示的なセンサマニホールド4100の様々な実施形態は、発明の名称がポンプカセット(Pumping Cassette)(代理人の事件整理番号第DEKA−019XX号)である、2007年10月12日に出願され米国特許出願第11/871,680号に記載されている血液透析システム及び方法、或いは本願と同時に出願された発明の名称がカセットシステム一体型装置(Cassette System Integrated Apparatus)(代理人の事件整理番号第F62号)である米国特許出願に記載されている血液透析システム及び方法と組み合わせて使用され得る。ある特定の実施形態において、センサマニホールド4100は
図59に示される温度及び伝導度センサのすべてを含む。
図59は上記に参照された特許出願に記載されている発明の一実施形態に従う流体設計図を示す。
【0258】
一例として、様々な実施形態において、
図59に示されるように位置4701における対象の媒体の温度及び伝導度は、センサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は流路4220(
図54に示されるような)を介して管コネクタ4105(
図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4106(
図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の伝導度は、流路4220内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つはサーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定及び温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、及び/又は関連させる、のに利用される。例えば、
図59の位置4701での様々な実施形態において、対象の媒体は重炭酸塩ベースの溶液が加えられた水からなる。位置4701での対象の媒体の伝導度は、重炭酸塩ベースの溶液の適切な量が、位置4701の前に加えられたかどうか決定するために利用され得る。ある特定の実施形態において、仮に伝導度の測定値が所定の範囲から逸脱するか、又は所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、対象の媒体は、適切な濃度の重炭酸塩ベースの溶液を含んでいないかもしれない。そのような例において、ある特定の実施形態では、血液透析システムは警告を受ける。
【0259】
また、一例として、様々な実施形態において、
図59に示されるように、位置4702での対象の媒体の伝導度はセンサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は流路4221(
図54に示されるような)を介して管コネクタ4112(
図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4113(
図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の伝導度は、流路4221内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つはサーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定及び温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、及び/又は関連させる、のに利用される。例えば、
図59の位置4702での様々な実施形態において、対象の媒体は重炭酸塩ベースの溶液、次いで酸ベースの溶液が加えられた水からなる。位置4702での対象の媒体の伝導度は、酸ベースの溶液(そして、以前の工程における重炭酸塩ベースの溶液)の適切な量が、位置4702の前に加えられたかどうか決定するために利用される。ある特定の実施形態において、仮に伝導度の測定値が所定の範囲から逸脱するか、又は所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、対象の媒体は、適切な濃度の酸ベースの溶液及び重炭酸塩ベースの溶液を含んでいないかもしれない。そのような例において、ある特定の実施形態では、血液透析システムは警告を受ける。
【0260】
更なる例として、様々な実施形態において、
図59に示されるように、位置4703での対象の媒体の温度及び伝導度はセンサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は流路4222(
図54に示されるような)を介して管コネクタ4107(
図53に示されるような)に流出入し、そして管コネクタ4109(
図53に示されるような)に流出入する。本明細書に記載されているように、空気は、流路4222の曲がり角を越えることにより対象の媒体から除去され得る。そのような例において、対象の媒体の一部は、管コネクタ4108を介して排液管に除去され、その際に同対象の一部とともに空気が空隙から排出される。対象の媒体の伝導度は、流路4222内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つはサーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定及び温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、及び/又は関連させる、のに利用される。例えば、様々な実施形態において、
図59の位置4703での伝導度の測定は透析装置の清掃率と関連させるのに利用され得る。そのような例において、ある特定の実施形態では、この情報は次に血液透析システムに送られる。
【0261】
また、更なる例として、様々な実施形態において、
図59に示されるように、位置4704での対象の媒体の温度はセンサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は流路4223(
図54に示されるような)を介して管コネクタ4103(
図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4104(
図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の温度は、流路4223内に伸びる一つ以上の検知プローブ(図示しない)によって測定される。対象の媒体の位置4704における温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、及び/又は関連させる、のに利用される。例えば、
図59の位置4704での様々な実施形態において、対象の媒体の温度は、加熱装置4706の下流側にて決定される。仮に温度が所定の範囲から逸脱するか、又は所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、血液透析システムは警告を受ける。例えばある実施形態において、対象の媒体は、同対象の媒体の温度が所定の範囲内となるまで、加熱装置4706を通って再循環され得る。
【0262】
また、更なる例において、様々な実施形態において、
図59に示されるように、位置4705での対象の媒体の温度及び伝導度はセンサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は流路4224(
図54に示されるような)を介して管コネクタ4110(
図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4111(
図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の伝導度は、流路4224内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つはサーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定又は温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、及び/又は関連させる、のに利用される。例えば、位置4705での温度及び伝導度の測定は、対象の媒体の温度、伝導度、及びその相関関係、組成が、同対象の媒体が透析装置4707に到達する、よって患者に到達する前に許容される範囲内にあるかどうかを決定するための更なる安全チェックとして使用され得る。ある実施形態において、仮に温度及び伝導度の少なくとも一方の測定値が所定の範囲から逸脱するか、又は所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、血液透析システムは警告を受ける。
【0263】
本明細書に記載されている様々な実施形態に対して、カセットはプラスチック及び金属を含む任意の材料から形成され得る。プラスチックは、可撓性のプラスチック、剛性のプラスチック、半可撓性のプラスチック、半剛性のプラスチック、又はそれらの任意のものの組合せであり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、カセットは1つ以上の熱ウェルを含む。いくらかの実施形態において、1つ以上の検知プローブ及びそのような対象の媒体の1つ以上の特徴に関する情報を移すための1つ以上の他の装置のうちの少なくとも一方が、対象の媒体と直接接触した状態とされる。いくらかの実施形態において、流速又は圧力を有する流体を保持するようにカセットは設計されている。他の実施形態において、媒体が流れている場合でさえも大部分が停滞している媒体若しくは導管内に留められる媒体を保持するために、カセットの一つ以上の区画が設計されている。
【0264】
いくらかの実施形態において、センサ装置は検知プローブから対象の媒体を分ける必要性に基づいていて使用され得る。しかしながら、他の実施形態において、検知プローブは、温度、伝導度、及び/又は対象の媒体を直接用いるその他の検出に対して使用され得る。
【0265】
本発明の別の態様は、一般的には本明細書に論議されるように、システムの方法及び操作に関するものである。例えば、血液透析システムは、プライミングされる(primed)、フローが平衡にされる、空にされる、空気でパージされる、消毒されるなどである。
【0266】
一組の実施形態は、流体を備えたシステムをプライミングすることに関する。プライミングされるべき流体は透析液タンク(例えば透析液タンク169)に最初に導入される。次に、限外濾過装置73は、限外濾過73するために、透析液タンク169からの流体を押すことによって最初にプライミングされ、そして、
図17Aの黒い太線にて示されるように、廃液ライン39を介するライン731を通って排液管から排出される。限外濾過装置73に存在するいかなる空気も、プライミングポートまで自然に上昇し、排液管へ洗い流される。
【0267】
次に
図17Bに示されるように、平衡回路及び同平衡回路のポンプ159は、流体を押すことにより、同流体が限外濾過装置73を介して、平衡回路を介して、排液管へと排出され、プライミングされる。ポンプ159は(限外濾過装置を介して排液管まで)流体を上向きに流すことによってプライミングされる。透析装置14に入る空気は、同透析装置の最上部まで気泡化され、透析装置の出口から排液管に排出される。
【0268】
次に、血流ポンプ及び管は、流体を、血流回路及びエアトラップを通って導管67を介して配向回路に戻るように循環させることによって、プライミングされる。
図17Cに見られるように、流体は限外濾過装置及び透析装置を通過し、流体がエアトラップ内を通過させられ、排液管まで下降される。エアトラップは血流回路内を循環する空気をトラップし、排液管に送る。空気センサが空気の検出を止める(そして、幾らかの更なる流体が、安全域としてシステムに流された)時にプライミングが停止され得る。
【0269】
別の組の実施形態は、システムに空気を加えること、例えば、システムの種々の流体を空にすることに関する。例えば、1つの操作にて、透析液タンクは空にされる。透析液タンク169の出口226が開放され、空気がポンプ159で検出されるまで、透析液タンクから排液管まで流体をポンプでくむのにポンプ159が使用される(後に論議される)。これは
図19に示される。
【0270】
空気はまた、ある特定の実施形態において、平衡回路内にポンプでくまれる。これは
図20に示される。空気が透析液タンクに入るように透析液タンク169の出口226は開放される。ポンプ159を使用して、空気が限外濾過装置73の外側を通ってくみ上げられる。この空気圧は、限外濾過装置の外の流体を内側へと移動させ、同流体を透析装置を介して貫流させ、排液管へ下降させる。この操作の間に、ポンプ159及び限外濾過装置の外側は空気で満たされるであろう。
【0271】
加えて、空気は、
図21Aに示されるように、抗凝血剤ポンプ80を通して、血流回路に導入される。最初に、空気はポッドポンプ23(
図21A)に導入され、次いで、同ポッドポンプから動脈ライン203へと指向されて排液管(
図21B)に下降されるか、或いは(透析装置14を介する)静脈ライン204へと配流されて排液管(
図21C)に下降される。
【0272】
一組の実施形態において、完全性試験が実施される。湿潤している場合には空気が容易には通過しない膜材料を用いて限外濾過装置及び透析装置が構成されているので、完全性試験は、水を用いてフィルタをプライミングし、次に圧縮空気をフィルタの一方の側に適用することにより、実施され得る。一実施形態において、空気出口は血流ポンプの一つに含まれ、従って、ポンプチャンバは完全性試験にて使用するための空気をくみ上げるために使用され得る。この実施形態はより大きいポンプの利点を使用する。空気圧はフィルタを介して全ての水を押し通し、水が置き換えられるとすぐに気流を止める。しかしながら、気流が続くと、膜は破裂し、取り替える必要がある。したがって、システムは水を用いてプライミングされる。最初に、混合回路は透析液タンクより前の空気を除去するために最初にプライミングされる。それから限外濾過装置の外側が次にプライミングされるが、それは同外側がプライミングされるまで、限外濾過装置は平衡回路まで水を通さないと考えられることによる。平衡回路及び透析装置が次にプライミングされる。最後に、水は透析装置を越えて、血流回路をプライミングする。
【0273】
混合回路は、最初にポンプ183を使用して水を押し出し、ライン281及び重炭酸塩源28を通り、ポンプの各々及びライン186を介して透析液タンク169へと流れるようにプライミングされる。透析液タンク169は、上への気泡を通して押され、かつ出口226を介して排出されるそのような空気により通気される。空気が透析液タンク169からプライミングされると、タンクは水で満たされ、そしてプライミングの流れは透析液タンクから限外濾過装置73を通って排液管まで続く。これは
図22Aに見られる。次に、既に述べたように水がプライミングされる(
図17を参照)。次に、
図22Cに示されるように、平衡ポンプ15が空にされる間に、
図22Bに示されるように、血流ポッドポンプ23が透析液タンク169からの水で満たされる。
【0274】
試験は、血流ポンプを使用し、水の各チャンバが透析装置14を超えて平衡ポンプチャンバ15まで押し出さることにより実施される。同平衡ポンプチャンバは空の状態から始まって(
図22C)、大気へと通気され、それにより同チャンバは透析装置14の透析液側では大気圧にて存在する。
図22Dを参照されたい。血流回路チャンバの各々は特定の圧力を使用して送達し、ストロークの終わりは流速を決定するために決定される。
【0275】
別の完全性試験は限外濾過装置の流れ試験である。この試験では、透析液タンクは水で満たされ、水を透析液タンクから限外濾過装置を介してライン731にくみ出すことにより限外濾過装置がプライミングされ、且つ水は限外濾過装置を介してくみ上げられ、流量を制御し、流れを維持するために必要とされる送達圧を監視する。
【0276】
別の組の実施形態は、システムを消毒及び洗浄することに関する。この工程は、治療時に蓄積される任意の物質を取り除き、任意の活性を有する病原菌を死滅させることである。いくらかの例では殺菌剤が使用されるが、典型的には熱が使用される。透析液タンクを使用して水が維持され、水が排出されると必要に応じて、補充される。
【0277】
再循環流路が
図23に示されている。この経路に沿った流れは本質的には連続的なものであり、導管67を使用して、血流回路と配向回路とが連結される。主要な流路はヒータ72を使用して加熱され、同ヒータ72は再循環流路内の水温を上昇させる、例えば、存在し得るいかなる活性を有する病原菌をも死滅させることができる温度に上昇させるために使用される。水のいくらかは排水管へと流れるが、大部分は再循環される。この実施例では、ライン48及び731が適切に消毒されることを確実にするために、これらのラインは開放された状態のまま維持されることを明記したい。加えて、限外濾過装置73を介する流路が、空気が限外濾過装置から除去される、及び/又は同経路を介した再循環の流れを提供するために、定期的に選択される。温度センサ(例えば、センサ251及び252)は、適切な温度に適合されることを確実にするために使用され得る。そのようなセンサの非限定的な例は、本願と同時に出願された発明の名称が「センサ装置システム、デバイス及び方法(Sensor Apparatus Systems,Devices and Methods)」(代理人の事件整理番号第F63号、現在では出願番号第12/038,474)である米国特許出願に記載されており、当該出願は、本明細書においては参照により援用される。
【0278】
一組の実施形態において、システムは以下の示すように透析液を用いてプライミングされる。
図22A及び24Aに示すように、この操作において、ポッドポンプ280は水で満たされ(
図24A)、次に水がポンプ183によって後方に押され、重炭酸塩の源28の最上部から空気が吐き出される(
図22A)。空気はポッドポンプ282に回収される。
図24Bを参照されたい。次に、ポッドポンプ282内の空気がポッドポンプ280及びライン186を介して透析液タンク169に排出される(
図22A)。透析液タンク169の出口226は、空気がシステムから排出されるように開放された状態となっている(
図24C)。加えて、酸が酸の源29からポンプでくまれる。次に、重炭酸塩の源28からの重炭酸塩濃縮物及び水と混合される。
図24Bに示されるように、ポンプ183を使用して、重炭酸塩の源28を水で満たすのに十分な水圧を提供する。
【0279】
酸の溶液及び重炭酸塩の溶液(及び、別の塩化ナトリウム源が存在する場合は塩化ナトリウム溶液)が次に、透析液を調製するために、流入する水とともに秤量される。各成分の水との部分的な混合物が正確であることを保障するために、センサ178及び179が使用される。規格に適合しない透析液は排液管へと流される一方で、良好な透析液が透析液タンク14へと注入される。
【0280】
別の組の実施形態において、抗凝血剤ポンプがプライミングされる。同ポンプをプライミングすることによりヘパリンポンプ及び流路から空気が除去され、抗凝血剤小瓶内の圧力が許容可能であることが保障される。抗凝血剤ポンプは、ポンプチャンバ内の空気が小瓶内に流入するように設計され得る。試験は、抗凝血剤ポンプの流体弁の全てを閉じて、外側の体積を測定し、FMSチャンバを真空にして、弁を開放して小瓶からポンプチャンバに導入し、外側の体積を(再び)測定し、FMSチャンバに圧力を作用させて、弁を開放して流体を小瓶内に戻し、そして、外側の体積を(再び)測定することによって、実施される。流体の流れにより生ずる外側の体積の変化は、ポンプチャンバの既知の体積に対応すべきである。仮にポンプチャンバが小瓶から充填できない場合、小瓶の圧力は低すぎるので、空気を内部に導入する必要がある。逆に、ポンプチャンバが小瓶に流入することができない場合は、小瓶の圧力が高すぎるので、抗凝血剤のいくらかを小瓶からくみ出す必要がある。この試験時に小瓶からくみ出される抗凝血剤は、例えば、排液管を介して、廃棄され得る。
【0281】
更に別の組の実施形態において、患者に連結されていない間に、システムは透析液にて洗浄される。これは、治療の前又は後に実施され得る。治療の前に、透析液内に滅菌剤が蓄積されるのを回避するために、同透析液が移動され、その一部は排液管に送られる。治療後、この操作は血流路を透析液で洗浄し、残存するいかなる血液も排液管へと押し出す。この操作にて使用される流路は、既に述べたような水とともに使用される流路と類似している。
【0282】
酸濃縮物は、混合チャンバからポンプでくみ出され得る。
図24Cに示すように、ポンプ184は駆動され、それにより、ポッドポンプ280がポンプ184及び酸の源29からの酸を送り出し、ライン186で混合され、排液管に送られる。同様に、
図25に示されるように、重炭酸塩は混合チャンバからくみ出され得る。ポンプ183を使用して重炭酸塩の源28から水が導入され、次にポッドポンプ280を使用して水がライン186内を通過して、排出管へと流れる。
【0283】
更に別の組の実施形態において、透析液プライム(prime)は血流回路から除去され、患者にプライミング流体が与えられることが回避される。
図26A及び26Bは平衡ポンプチャンバの各々から流体が流出し、排液管に排出されることを示す。次に、透析装置14の透析液側が閉じられる一方で、血液が患者から血流路に導入される(
図26C)。次に、患者の連結部が閉鎖される一方、血流ポンプチャンバ23はプライミング用の流体を、透析装置を超えて平衡回路へと押し出す(
図26D及び26E)。次にこの流体を、既に述べたように排液管へと押し出す。この操作は、プライミング用の流体が十分に除去されるまで必要に応じて繰り返される。その後、平衡ポンプを未使用の透析液で再充填し、
図26Fに示されるように、患者の連結部を閉鎖した状態にて維持する。
【0284】
更に別の組の実施形態において、ボーラス投与用の抗凝血剤が患者に送達され得る。最初に、
図27Aに示されるように、ボーラス投与用の抗凝血剤が小瓶(或いはその他の抗凝血剤供給源)からポンプ13の一つのチャンバにくみ上げられる。抗凝血剤ポンプは、空気を小瓶にくみいれること及び抗凝血剤を小瓶からくみ出すことを交互に行い、それにより圧力が比較的一定に維持される。次に残りの体積が透析液で満たされる(
図27B)。次に、
図27Bに示されるように、組み合わせられた流体が、動脈ライン203を下って患者に送達される。いくらかの例において、同じポンプチャンバが再び透析液で満たされ(
図27Bを参照)、その容量が患者に送達され、そして、全ての抗凝血剤が適切に送達されたことが保障される。
【0285】
更に他の実施例において、システムはプッシュプル式血液透析濾過法を行うことも可能である。このような場合、血流ポンプ13及び平衡ポンプ15を同期させて、透析装置を横断して流体を往復させるようにすることも可能である。血液透析濾過法において、静水圧は、透析装置の膜を通って水及び溶質を血流回路から平衡回路へ運ぶために使用され、そこで排出される。理論によって制約するものではないが、溶質が大きければ、血液透析濾過法における対流力によって、使用される透析液へより容易に運ばれると考えられている。
【0286】
一連の実施例において、溶液の注入は、患者へ流体を送るために使用される。
図28に示すように、配向回路のポンプ159が使用されて、透析装置14から血流回路へ流体を押し出して、これによって患者へ流体(例えば、透析液)が送られる。
【0287】
他の一連の実施例に従って、繰り返し使用された後に、透析装置の膜壁に付着及び蓄積した合成物が原因となって、透析装置は、その効率性や機能する能力を全く失うことがある。透析装置の清掃率を決定する任意の基準測定値を使用してもよい。しかしながら、透析装置にどの程度蓄積されているかを測定する方法、すなわち、透析装置の清掃率がどの程度低下したかを測定する方法では、気体を透析装置の血液側へ押圧する一方で、液体を透析装置の透析液側に留める。透析装置の気体の体積を測定することによって、透析装置の測定された気体の体積に基づいて、透析装置の清掃率が測定される。
【0288】
これに代えて、他の実施例において、本発明のシステムの空気圧によって、清掃率は次の通り決定されてもよい。透析装置に沿って圧力差を生じさせて、透析装置の流体速度を測定することによって、透析装置の清掃率は、圧力差及び流体速度に基づいて、相互に関連付け/測定、又は算出される。例えば、相関表、すなわち数学的関係を含む、周知の相関関係又は前処理プログラム化された基準に基づいて行われる。例えば、参照表が使用されてもよく、あるいは、決定された数学的関係が使用されてもよい。
【0289】
透析装置の清掃率はまた、血液管プラグバック再循環通路において導電性プローブを使用して測定することができる。処置後に、患者は、消毒ポートへ戻す血液管に連結される。血液管及び透析装置内の流体は、これらの消毒ポートの接続部を通って再循環し、この溶液の導電性は、溶液がこの再循環通路の導電性測定セルを通過するときに測定され得る。
【0290】
透析装置の清掃率を測定するためには、純水を透析液通路内において循環させてもよく、血液再循環通路を流れる流体の導電性を継続的にモニターする。純水は、透析装置の清掃率に比例する割合で、血流回路再循環通路の溶液からイオンを除去する。透析装置の清掃率は、血流回路の再循環通路内の溶液の導電性が変化する速度を測定することによって決定することができる。
【0291】
透析装置の清掃率は、一方で純水を、他方で透析液を循環させ、更に、導電性を用いて透析装置を通過する流体の量を測定することによって、測定することができる。
一連の実施例において、停電時には、可能な限り多くの血液を患者に戻すことが好ましい。血液透析システムの一実施例では、使用される様々なポンプや弁を駆動させるために圧縮された気体を使用するため、他の実施例では、このような圧縮された気体を利用して、停電時にシステムの血液を患者へ戻すことができる。この方法に従うと共に、
図29Aを参照して、透析装置14を横切って透析液を注入して、血流回路19内の血液を浄化して患者に戻す。圧縮空気を使用して透析液を透析装置14内へ注入する。弁77が圧縮空気を解放するとこの機能を始動する。この方法は、停電や他の障害によって、透析装置が処置の終わりに通常行う方法で患者の血液を浄化して戻すことが妨げられた場合に、使用することが可能である。
【0292】
圧縮空気を用いて透析装置14の透析液側の圧力を増加させて、透析装置内から透析液を血液側へ送ると、このことによって、患者の血液が患者の体内へ押し戻されるため、患者又は助手は、処置を監視して、適切に浄化された血液が戻されると、血流回路と患者との間の管を固定する。
【0293】
一実施例において、タンク70は、血液透析システムに組み込まれて、処置を始める前に圧縮空気で満たされる。このタンク70は、手動で駆動させられる弁77を介して透析液回路20に連結される。処置が終了又は中断されると、この弁77は患者又は助手によって開放されて、浄化−戻し処置を開始する。透析装置14の膜は、透析液を通過させるが空気を通過させない。圧縮空気は、患者側の管が固定されるまで、又は、透析装置の透析液側が空気で満たされるまで透析液を移動させる。
【0294】
他の実施例において、圧縮空気を含むタンクは、透析装置に付属品として提供される。透析装置の電源異常やシステム障害によって、処置が早く停止した場合には、このタンクは装置の透析液回路に取り付けられて、浄化−戻し処置を開始する。前述の実施例におけるように、患者側の管が固定される、又は、透析装置の透析液側が空気で満たされると、浄化−戻し処置が終了する。
【0295】
図29Bに示す他の実施例において、空気タンク70はシステムに組み込まれ、透析液から空気を分離させる可撓性隔壁76を備えた流体タンク75に取り付けられる。この場合、圧縮空気を透析液回路20へ進入させるよりも、圧縮空気は隔壁76を押圧して、透析液回路20の圧力を増加させる。移動可能な透析液の量は、流体チャンバ75の容積によって決定される。患者側の管が固定される、又は、全ての流体が排出されて、隔壁76が流体チャンバ75の壁に突き当たって底に達すると、浄化−戻し処置が終了する
これらの実施例の何れかにおいて、システムの操作又は方法は、処置の合間に透析液装置のプログラムを実行することによって、周期的に検査される。検査中は、ユーザ・インタフェースによって、使用者は浄化−戻し処置を実行するように促され、装置は、操作が正常に行われるように、透析液回路の圧力を監視する。
【0296】
図29A及び29Bに示されるシステムにおいて、血液は血流ポンプ13によって患者から取り出され、透析装置14内に通されて、そして患者に戻される。これらの部品及びこれらを連結する管は、血流回路10を構成する。血流回路10に含まれる血液は、処置が終了又は中断されると、患者へ戻されなければならない。
【0297】
透析液は、透析液ポンプ159によって透析液タンク169から取り出され、ヒータ72を通過して体温にまで加熱される。透析液は次に、透析液中にあるかもしれない病原体や発熱物質を除去する限外濾過装置73内を流れる。次に、透析液は透析装置を通って治療を行い、そして透析液タンクに戻される。
【0298】
バイパス弁74を使用して、透析液回路20の他の部分から透析装置14を隔離することも可能である。透析装置14を隔離するために、透析液回路20を透析装置に対して連結する2つの弁を閉鎖して、透析装置の周囲で透析液をシャントする1つの弁を開く。
【0299】
透析装置14が隔離されていてもいなくても、この浄化−戻し処置を用いることは可能であり、また、処置が終了又は中断されると使用される。透析液装置の電源が切られて停止すると、ポンプは動かない。患者に浄化−戻し処置の準備ができると、空気弁77は患者か助手によって開放される。圧縮空気タンク70の空気は、透析液回路20の方へ流れて、透析装置14の透析液側の圧力を高める。圧力におけるこの増加は、
図29Aに示すように、空気が透析液回路へ直接進入可能となることによって、あるいは、
図29Bに示す隔壁76を間接的に押すことによって行うことができる。
【0300】
透析装置の透析液側の空気圧によって、透析液の一部が透析装置14から血流回路へ流れる。この透析液は血液を移動させて、浄化して患者に戻す。患者又は助手は、透析装置14及び血液管に注意することによって、浄化処置を観察できる。透析液は透析装置内で始動して、血液を移動させてより清浄にする。このより清浄な溶液は、透析装置から患者の方へ移動する。それが患者に達すると、血液管固定具71を使用して血液管を挾持し、浄化−戻し処置を終了させる。一方のラインの浄化−戻し処置が、他方のラインよりも早ければ、その早いラインを先に固定して、遅いほうのラインを後で固定してもよい。
【0301】
浄化−戻し処置が完了すると、血液ラインは固定されて、患者は透析装置から解放される。
システム及び方法の一実施例の実施は、
図29Aに示されており、使用される材料の親水性を利用して透析装置14内に細い管を形成する。この材料が湿潤していると、透析液は通過できるが、空気は通過できない。
図29Aに示す実施例を実行する場合には、空気は透析装置14に進入できるが、血流回路10を越えて通過しない。
【0302】
どちらを実施する場合においても、透析装置14を通過できる透析液の量は制限されている。この制限は、圧縮空気タンク70の寸法、透析装置14に含まれる透析液の量、更に
図7Bに示す実施例の場合には、流体タンク75の寸法によって、課される。患者に余分な流体を与えることは、治療中に流体を除去するという治療上の利点を妨害するため、透析装置内に注入される透析液の量を制限することは有利である。
【0303】
本発明の別の態様は、システムのためのユーザ・インタフェースに関する。ユーザ・インタフェースは、患者、家族、助手、専門の医療供給者、又は保守技術者等の個人によって操作されて、処置の選択肢等の選択肢を入力し、処置手順、処置の状態、装置の状態/状況、及び/又は患者の状態に関する情報等の情報を受け取る。ユーザ・インタフェースは、処置装置に取付けられ、処置装置の1つ以上のプロセッサによって制御される。他の実施例において、ユーザ・インタフェースは、処置手順、処置の状態、及び/又は患者の状態等に関するデータや命令を受け取り、送信し、又は送受信するリモートデバイスであってもよい。リモートデバイスは、処置装置から又は処置装置にデータや命令を送信及び/又は受け取るために、光無線及び/又は電子無線、ブルートゥース、RF周波数、光周波数、IR周波数、超音波周波数、磁気効果等を利用する無線通信を含む、任意の適した技術によって処置装置に接続されてもよい。実施例によっては、表示装置を使用して、いつデータ及び/又は命令が処置装置やリモートデバイスによって受け取られたか示すことも可能である。リモートデバイスは、処置装置にデータ及び/又は命令を入力するために、キーボード、タッチ画面、容量性入力装置等の入力装置を含んでもよい。
【0304】
幾つかの実施例において、処置装置の1つ以上のプロセッサは固有の識別コードを含んでいてもよく、リモートデバイスは、処置装置の固有の識別コードを読み取り、学ぶための機能を含んでもいてもよい。これに代えて、使用者は、固有の識別コードでプログラムしてもよい。処置装置及びリモートデバイスは、他の処置装置を含む他の受信機との干渉を実質的に回避するために、固有の識別コードを使用してもよい。
【0305】
一連の実施例において、処置装置は、ウェブ対応サーバに接続される1つ以上のプロセッサを備えてもよく、また、このウェブ対応サーバで、ユーザ・インタフェース装置を駆動させてもよい。一実施例において、装置は、インターネット・プロトコルを介して、処置装置に内蔵された又は処置装置に接続されたWEB内蔵サーバと通信するために、外部CPU(例えば、GUIグラフィカルユーザー・インタフェース)を使用する。WEBページを装置内に持ち、また、GUIは、802.11b又は他の同様の有線や無線イーサネット(登録商標)同等物によって直接通信することも可能である。GUIは、患者、家族、助手、専門の医療供給者、又は保守技術者等の個人によって操作されて、処置の選択肢等の選択肢を入力し、処置手順、処置の状態、装置の状態/状況、及び/又は患者の状態に関する情報等の情報を受け取ることも可能である。
【0306】
他の実施例において、処置装置内に内蔵又は処置装置に接続された、内蔵WEBサーバは、インターネットの適切なサイトと通信することも可能である。インターネットサイトは、アクセスするためにパスワード又は他の使用者証明を必要とする。他の実施例において、使用者やアクセス・プロバイダーのタイプによって、使用者は、異なる情報へアクセスすることができる。例えば、患者又は専門の医療供給者は、患者の治療選択肢及び患者情報に対して十分なアクセスが可能な一方で、家族は、所定の処置や処置の頻度に対する状態及び持続期間等の特定の患者情報へのアクセスが認められる。保守技術者、透析センター、又は処置装置提供者は、故障修理、予防保守、臨床試験等の他の情報にアクセス可能である。ウェブ対応サーバの使用によって、一人以上の個人が、様々な目的で患者情報に同時にアクセスすることが可能である。
【0307】
リモートデバイスの使用(例えば、有線又は無線通信、インターネット・プロトコル、又はウェブ対応サーバを利用するインターネットサイトを通して)によって、透析センターは、より効果的に各患者を監視、及び/又は、多数の患者を同時に効率的よく監察することが可能である。実施例によっては、リモートデバイスは、夜間の透析処置の間に患者を監視し、患者の状態が特定のパラメータに合致しない場合には通報するように、夜間モニタや夜間警報として機能できる。実施例によっては、リモートデバイスを用いて、患者、家族、助手、専門の医療供給者、又は保守技術者に通報することも可能である。これらの警報は、限定されるものではないが、流体漏出、閉塞、正常なパラメータ外の温度等の特定の状態を個人に通報することも可能である。これらの警報は、可聴警報、視覚警報、及び/又は振動警報であってもよい。
【0308】
以下の各文献は、全体を参照によって本明細書に組み込まれるものである:2007年2月27日に出願された米国特許出願第60/903,582号、発明の名称「血液透析システム及び方法(Hemodialysis System and Methods)」;2007年2月27日に出願された米国特許出願第60/904,024号、発明の名称「血液透析システム及び方法(Hemodialysis System and
Methods);2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,213号、発明の名称「熱交換システム、装置及び方法(Heat Exchange Systems,Devices and Methods)」;2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,212号、発明の名称「流体ポンプシステム、装置及び方法(Fluid Pumping Sytems,Devices and
Methods)」;2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,112号、発明の名称「熱及び伝導度感知システム、装置及び方法(Thermal and Conductivity Sensing Systems,Devices
and Methods)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,680号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,712号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,787号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,793号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;及び2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,803号、発明の名称「カセットシステム統合装置(Cassette System Integrated Apparatus)」。更に、以下は、全体を参照によって本明細書に組み込まれるものである:1989年2月28日に特許付与された米国特許第4,808,161号、発明の名称「圧力測定フロー制御システム(Pressure−Measurement Flow Control System)」;1989年5月2日に特許付与された米国特許第4,826,482号、発明の名称「強化された圧力測定フロー制御システム(Enhanced Pressure−Measurement Flow Control System)」;1990年12月11日に特許付与された米国特許第4,976,162号、発明の名称「強化された圧力測定フロー制御システム(Enhanced Pressure−Measurement Flow Control System)」;1992年2月18日に特許付与された米国特許第5,088,515号、発明の名称「取り外し可能な流体インターフェースを備えた弁システム(Valve System with Removable Fluid Interface)」;1994年9月27日に特許付与された米国特許第5,350,357号、発明の名称「重力流に逆らう流体の配分及びポンプカセットを用いる腹膜透析システム(Peritoneal Dialysis Systems Employing a Liquid Distribution and Pumping Cassette that Emulates Gravity Flow)」。更に、全体を参照によって本明細書に組み込まれるものは、本願と同日付けで出願された米国特許出願、発明の名称「センサ装置システム、デバイス及び方法(Sensor Apparatus Systems, Devices and Methods)」(整理番号F63、米国特許出願第12/038,474号)、及び本願と同日付けで出願された米国特許出願、発明の名称「カセットシステム統合装置(Cassette System
Integrated Apparatus)」(整理番号F62)である。
【0309】
本明細書において、本発明の複数の実施例について記載且つ説明を行ったが、当業者には、機能を実施するための、及び/又は、結果及び/又は本明細書に記載の1つ以上の利点を得るための、他の様々な手段及び/又は構成を想定することは容易であり、そのような変更物/修正物の各々は、本発明の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者には、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的なものであり、また、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成が、本発明の教示を使用する特定の用途に応じて決定されることが認識されるであろう。当業者には、所定の実験を利用して、本明細書に記載された発明の特定の実施例の同等物を認識し、又は、確認できるであろう。従って、前述の実施例は一例としてのみ示されており、また、本発明が、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内において、具体的に記載且つ特許請求の範囲に記載されたものとは異なる他の方法で実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載された、個別の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に関する。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の2つ以上の任意の組合せが、たとえそれらが互いに整合されていなくても、本発明の範囲内に包含される。
【0310】
全ての定義は、本明細書において定義され且つ使用されるように、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を統制するものであることが理解されるべきである。
【0311】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、不定冠詞「1つの(a)」、及び「1つの(an)」は、内容が明らかにそうではないものを示さない限りは、「少なくとも1つの(at least one)」を意味することに留意すべきである。
【0312】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、句「及び/又は(and/or)」は、結合された要素、すなわち、幾つかの場合に結合して存在し、更に他の場合には分離して存在するような要素の「どちらか又は両方を(either or both)」を意味することに留意すべきである。「及び/又は(and/or)」で羅列される複数の要素は、同様の方法で、すなわち、結合された要素の「1つ以上(one or more)」と解釈されるべきである。他の要素は、「及び/又は」の節によって特定される要素以外に任意で存在することが可能であり、これは、そのような要素に関係するか無関係であるかに関わらない。従って、限定されない例として、「A及び/又はB」を参照すると、「備える(comprising)」等の開放性を持つ言語に結合されて使用される場合、一実施例においては、Aのみ(任意でB以外の要素を含む);他の実施例においては、Bのみ(任意でA以外の要素を含む);他の実施例において、A及びB両方(任意で他の要素を含む);等が含まれる。
【0313】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、「又は(or)」は、上記で定義した「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、羅列された要素を分けるときに、「又は」あるいは「及び/又は」は、包含的、すなわち、複数の要素又は羅列された要素の、少なくとも1つだけではなく、1つ以上、及び任意で、羅列に含まれていない要素を更に含むと理解されるべきである。「〜のうちの1つのみ(only one of)」や、「〜のうちの正に1つ(exactly one of)」に、或は、請求項において使用される「からなる(consisting of)」等のそうではないことを明確に示す語は、複数の要素や羅列された要素のうちの1つの要素のみを包含することを示す。一般に、本明細書において使用されるように、「又は(or)」は、「いずれか(either)」、「〜のうちの一方(one of)」、「〜のうちの一方のみ(only one of)」、又は、「〜のうちの正に一方(exactly one of)」等の排他的な用語によって始まる場合に、排他的な代替物(すなわち「一方又は他方であって、両方ではない(one or the other
but not both)」を示すと解釈されるべきである。請求項において使用される場合、「実質上〜を含む(consisting essentially of)」は、特許法の分野において使用されるような通常の意味を有する。
【0314】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、1つ以上の要素の羅列に関して、句「少なくとも1つは(at least one)」は、羅列された要素のうちの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも具体的に羅列された要素の少なくとも1つの各要素を含み、更に羅列された要素の任意の組合せを除いていない訳ではない。この定義はまた、「少なくとも1つの」の句が示す、羅列された要素の中で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関係していてもしていなくても、任意で存在することを可能にする。従って、非制限的な例として、「A及びBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」(又は、同等に、「A又はBの少なくとも1つ(at
least one of A or B)」や、同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、一実施例において、少なくとも1つとは、1つ以上、Aを含み、Bは存在しない(及び任意でB以外の要素を含む)ことを示し;他の実施例において、少なくとも1つとは、任意で1つ以上、Bを含み、Aは存在しない(及び任意でA以外の要素を含む)ことを示し;更に他の実施例において、少なくとも1つとは、1つ以上、Aを含み、及び少なくとも1つ、任意で1つ以上、Bを含む(及び任意で他の要素を含む)こと;等を示す。
【0315】
そうではないことを明確に示さない限りは、1つ以上の工程や行為を含む、請求項に記載された任意の方法において、該方法の工程や行為の順序は必ずしも記載された順序に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0316】
請求項において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「包含する(involving)」、「保持する(holding)」、「からなる(composed of)」等の移行句は、開放性、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味することが理解されるべきである。移行句の「からなる(consisting of)」及び「実質上〜を含む(consisting essentially of)」のみが、特許審査手続きに関する米国特許庁便覧セクション2111.03に規定されるように、それぞれ閉鎖性、半閉鎖性の移行句である。