【実施例】
【0023】
図3を参照されたい。本発明の金型装置の好ましい実施例は、金型本体100と、該金型本体100内に画成される温度調節対象領域200と、該金型本体100内に位置する2つの流路ユニット300とを含む。
【0024】
さらに
図4および
図5を参照されたい。該金型本体100は、第1母型2、第1入れ子3、第2母型4、および第2入れ子5を含む。
【0025】
該第1母型2は、上面が材料注入装置(図示せず)と接続する上固定板21、該上固定板21の底面に設置される固定側型板22を含む。該固定板型板22は、該上固定板21に近接する結合面221と、該上固定板21の反対側の、設置溝222がくぼんで形成されたパーティング面223と、該結合面221および該パーティング面223を接続する側面224とを有する。
【0026】
該第1入れ子3は、該固定側型板22の設置溝222内に設置され、第1成型面31を有する。
【0027】
該第2母型4は、さらに下固定板41と、該下固定板41の上面に設置され、設置貫通孔421を有するスペーサーブロック42と、該スペーサーブロック42の設置貫通孔421内に設置されるエジェクタプレートユニット43と、該スペーサーブロック42の上面に設置される受け板44と、該受け板44上に設置される可動側型板45とを含む。
該エジェクタプレートユニット43は、上下に重ね合わせて設置する下エジェクタプレート431および上エジェクタプレート432を含む。該可動側型板45は、該受け板44に近接する結合面451と、該受け板44の反対側の、設置溝452がくぼんで形成されたパーティング面453と、該結合面451および該パーティング面453を接続する側面454とを有する。
【0028】
該第2入れ子5は該第2母型4の設置溝452内に設置され、該第1成型面31に向いた第2成型面51を有する。該第1、2母型2、4のパーティング面223、453が相互に接触するとき、該第1成型面31、該第1母型2のパーティング面223と、該第2成型面51、該第2母型4のパーティング面453との間に、成型キャビティ6を画成できる。該成型キャビティ6は、該上固定板21および該固定側型板22内にそれぞれ形成される複数のスプルー(図示せず)により、該材料注入装置と連通する。
【0029】
特に説明することとして、本好ましい実施例に記載する金型本体100は、現在よく見られるうちの1つの金型の態様について説明したに過ぎない。実際、金型の形態または大きさに関わらず、該流路ユニット300をそのまま利用して本発明の効果を達成でき、金型の構造は、本好ましい実施例で開示する内容に制限されるべきではない。
【0030】
他に、本好ましい実施例において、該温度調節対象領域200については、該金型本体100で、組み合わさって該成型キャビティ6の境界を定める金型素子と、該成型キャビティ6に近接する部位とを用いて説明する。言い換えれば、該温度調節対象領域200は温度の維持を必要とする領域であり、さらに金型は、動作時に該成型キャビティ6が一定の動作温度にあるように維持できると定義する。したがって、該温度調節対象領域200の領域範囲については、当業者の金型の動作温度に対するニーズによって、精密度が高く、複雑度が高い金型と、精密度が低く、複雑度が低い金型における温度調節対象領域200の範囲も当然異なり、本好ましい実施例で開示する内容に制限されるべきではない。
【0031】
これらの流路ユニット300のうちの1つは、該第1母型2の該上固定板21と該固定側型板22との間に設置され、温度調節流路301と、該温度調節流路301に設置される熱伝導隔壁302と、該熱伝導隔壁302の外周に設置される漏出防止環303とを含む。該温度調節流路301は、該上固定板21の底面にくぼんで形成される第1流路212と、該固定側型板22の結合面221にくぼんで形成される第2流路225と、該上固定板21に形成され、該第1流路211と連通する第1ポート212と、該固定側型板22の側面224に形成され、該第2流路225と連通する第2ポート226と、該第1、2ポート212、226部分の相反する側に位置する該熱伝導隔壁302に形成され、該第1、2流路211、225を連通させる連通流路304とを有する。
本好ましい実施例において、該連通流路304は該熱伝導隔壁302を貫通する貫通孔であり、当然、該連通流路304は、熱伝導隔壁302の長さを縮めて、該第1、2流路211、225と組み合わせて境界を定めることにより形成することもできる(
図6を参照のこと)。
【0032】
特に説明することとして、本好ましい実施例において、該熱伝導隔壁302および該漏出防止環303は、
図5に示すような一体の態様で説明している。当然、該熱伝導隔壁302および該漏出防止環303は、
図7に示すように、1つの熱伝導隔壁302および2つの漏出防止環303を別々に作製し、密封効果を高めることもできる。前記漏出防止環303は、高温環境で長期に使用すると容易に劣化するため、この種の態様は漏出防止環303を交換するのみで、熱伝導隔壁302を交換する必要がなく、さらにメンテナンスのコストを節約できる。
【0033】
これらの流路ユニット300のもう1つは、該第2母型4の該受け板44と該可動側型板45との間に設置され、温度調節流路301と、該温度調節流路301に設置される熱伝導隔壁302と、該熱伝導隔壁302の外周に設置される漏出防止環303とを含む。該温度調節流路301は、該受け板44の上面にくぼんで形成される第1流路441と、該可動側型板45の結合面451にくぼんで形成される第2流路455と、該受け板44に形成され、該第1流路441と連通する第1ポート442と、該可動側型板45の側面454に形成され、該第2流路455と連通する第2ポート456と、該第1、2ポート442、456部分から離れた該熱伝導隔壁302に形成され、該第1、2流路441、455を連通させる連通流路304とを有する。該連通流路304は、該熱伝導隔壁302を貫通する貫通孔であり、当然、該連通流路304は、熱伝導隔壁302の長さを縮めて、該第1、2流路211、225と組み合わせて境界を定めることにより形成することもできる。
【0034】
図8を合わせて参照されたい。これらの流路ユニット300の熱伝導隔壁302は、それぞれ該第1母型2および該第2母型4と一体成型することもでき、それぞれ該第1母型2および該第2母型4の熱伝導部302’になることは言及に値する。
【0035】
図3および
図9を参照されたい。これらの温度調節流路301はそれぞれ、その上下側の設置溝222、452を包含する範囲の非閉鎖型の円弧形に取り囲む。つまり、これらの温度調節流路301は、実質的に該温度調節対象領域200を包含できる。
【0036】
該第1母型2および該第2母型4の第1ポート212、442および第2ポート226、456は、それぞれ金型温度調節装置(図示せず)の送入口および送出口と連通し、これにより、該第1ポート212、442および第2ポート226、456は、それぞれ温度調節媒体の送入流路および送出流路となる。これらの熱伝導隔壁302は、熱伝導しやすい材質で作製され、これらの漏出防止環303は、ゴム材質で作製される。本好ましい実施例において、該金型温度調節装置は、金型温調機により説明を行う。
【0037】
図10、
図11、
図12および
図13を参照されたい。該第1、2母型2、4にそれぞれ位置する流路ユニット300の数量が上記の1個に制限されるのではなく、2個以上でもよいことは言及に値する。該第1母型2のこれらの温度調節流路301および該第2母型4のこれらの温度調節流路301が個別に形状を延伸し、組み合わさって境界を定める範囲は、該成型キャビティ6の空間分布形態を見て決定できる。つまり、該第1、第2入れ子3、5および該第1、2入れ子3、5を設置する設置溝222、452、すなわち該温度調節対象領域200にそれぞれ対応する。
【0038】
図10および
図11を参照されたい。該第1、2母型2、4にそれぞれ位置する該温度調節流路301はそれぞれ弧状を呈し、組み合わさって該温度調節対象領域200を包含する範囲の非閉鎖型の円弧形に取り囲む。
【0039】
図12を参照されたい。該第1、2母型2、4にそれぞれ位置するこれらの温度調節流路301はそれぞれおおよそL字形を呈し、組み合わさって該温度調節対象領域200を包含する範囲の非閉鎖型の矩形に取り囲む。
【0040】
図13を参照されたい。該第1、2母型2、4にそれぞれ位置するこれらの温度調節流路301はそれぞれ直線形を呈し、細長い矩形に分布した温度調節対象領域200の2つの相反する長辺の一側にそれぞれ設置される。
【0041】
続いて、本発明の金型装置の利点を詳しく述べる。
【0042】
各温度調節流路301の第1流路211、441および第2流路225、455は相互に対称で、近接して設置されており、さらに両者の間に設置される熱伝導隔壁303と三者が組み合わさり、該第1流路211、441および該第2流路225、455の各部分を流動する温度調節媒体の温度を効果的に均一化できる。言い換えれば、各第1流路211、441における、対応する第1ポート212、442と接続する一端から、対応する第2流路225、455と連通する一端までの間の温度調節媒体の温度分布については、溶融状態の注入材料が該金型本体100に伝達、分布させる熱量を、温度調節媒体が次第に吸収または提供できるため、正勾配の線形増加を呈し、各第2流路225、455における、対応する第2ポート226、456と接続する一端から、対応する第1流路211、411と連通する一端までの間の温度調節媒体の温度分布は等価、負勾配の線形減少を呈する。
各第1流路211、441および対応する第2流路225、455は、両者の間の熱伝導隔壁302により温度差の熱伝導が行われ、さらには上記の均一化した温度分布を呈する。言い換えれば、このとき第1流路211、441内に位置する温度調節媒体の温度が、第2流路225、455内の温度調節媒体より高い場合、熱伝導隔壁302または熱伝導部302’は、第1流路211、441内の温度調節媒体の熱量を第2流路225、455内の温度調節媒体に伝達できる。温度調節媒体は流動することにより、該温度調節対象領域200の温度を調節できる以外に、熱伝導隔壁302または熱伝導部302’の熱伝導により、温度調節対象領域200の温度分布をより均一化することもできる。
【0043】
図14および
図15を参照されたい。
図14および
図15はそれぞれ、既知の非閉鎖型の円弧形の温度調節流路、および本発明の非閉鎖型の円弧形に取り囲んで設置した、弧状を呈する4つの温度調節流路の冷却効果のシミュレーションデータ図であり、取り囲んだ非閉鎖型の円弧形の直径は同じである。2つの図から、本発明の温度分布が比較的均一であり、各部分の温度差が1℃より小さい一方、既知の温度分布は偏向現象が見られ、各部分の温度差は本発明より4倍以上高いことがわかる。
【0044】
図3および
図4を参照されたい。本発明の金型装置の製造方法の好ましい実施例により、上記金型装置が得られる。該製造方法は以下の工程を含む。
【0045】
上固定板21を提供する。該上固定板21の側面に第1ポート212が形成され、該上固定板21の底面に第1流路211が加工形成される。該第1流路211のうちの一端は該第1ポート212と接続される。
【0046】
熱伝導隔壁302と、該熱伝導隔壁302の外周面を取り囲む漏出防止環303とを提供し、該熱伝導隔壁302を該上固定板21の底面に設置する。該熱伝導隔壁302は、該第1流路211のもう一端に位置し、該第1流路211を連通させる連通流路304を有する。該連通流路304は貫通孔である。
【0047】
固定側型板22を提供し、該固定側型板22を該上固定板21の底面に設置する。該固定板型板22は、該上固定板21に近接する結合面221と、該上固定板21の反対側のパーティング面223と、該結合面221および該パーティング面223を接続する側面224とを有する。該結合面221に、該第1流路211と対称であり、該熱伝導隔壁302に覆われる第2流路225が加工形成される。該パーティング面223に設置溝222が加工形成される。該側面224に第2ポート226が加工形成される。該第2流路225の2つの相反する端部は、それぞれ該第2ポート226と、該熱伝導隔壁302を連通させる連通流路304とに接続される。該第1流路211、該第1ポート212、該第2流路225、該第2ポート226、および該連通流路304が温度調節流路301を構成し、該温度調節流路301、該熱伝導隔壁302、および該漏出防止環303が流路ユニット300を構成する。該上固定板21および該固定側型板22は、第1母型2を構成する。
【0048】
第1入れ子3を提供する。該第1入れ子3は該固定側型板22の設置溝222内に設置され、該第1入れ子3は、第1成型面31を有する。
【0049】
下固定板41を提供する。
【0050】
スペーサーブロック42を提供する。該スペーサーブロック42は該下固定板41の上面に設置され、設置貫通孔421が加工形成される。
【0051】
エジェクタプレートユニット43を提供し、該エジェクタプレートユニット43を該スペーサーブロック42の設置貫通孔421内に設置する。該エジェクタプレートユニット43は、上下に重ね合わせて設置する下エジェクタプレート431および上エジェクタプレート432を含む。
【0052】
受け板44を提供し、該受け板44を該スペーサーブロック42の上面に設置する。該受け板44の側面に第1ポート442が加工形成され、上面に第1流路441が加工形成される。
【0053】
可動側型板45を提供し、該可動側型板45を該受け板44上に設置する。該可動側型板45は、該受け板44に近接する結合面451と、該受け板44の反対側のパーティング面453と、該結合面451および該パーティング面453を接続する側面454とを有する。該結合面451に、該第1流路441と対称な第2流路455が加工形成される。該パーティング面453に、設置溝452が加工形成される。該側面454に、第2ポート456が加工形成される。該第1流路441および該第2流路455が対応するうちの一端が、それぞれ該第1ポート442および該第2ポート456と接続される。
【0054】
熱伝導隔壁302と、該熱伝導隔壁302の外周を取り囲む漏出防止環303とを提供し、該熱伝導隔壁302を該受け板44と該可動側型板45との間に設置する。該熱伝導隔壁302は、該第1流路441と該第2流路455との間に位置し、該第1流路441および該第2流路455を1つにする。
該第1流路441および該第2流路455が対応するもう一端に位置する該熱伝導隔壁302に、該第1流路441および該第2流路455を連通させる連通流路304が加工形成される。該第1流路441、該第1ポート442、該第2流路455、該第2ポート456、および該連通流路304が温度調節流路301を構成し、該温度調節流路301、該熱伝導隔壁302、および該漏出防止環303が流路ユニット300を構成する。該下固定板41、該スペーサーブロック42、該エジェクタプレートユニット43、該受け板44、および該可動側型板45は、第2母型4を構成する。
【0055】
第2入れ子5を提供する。該第2入れ子5は該第2母型4の設置溝452内に設置され、該第2入れ子5は該第1成型面31に向いた第2成型面51を有する。該第1、2母型2、4のパーティング面223、453が相互に接触するとき、該第1成型面31、該第1母型2のパーティング面223と、該第2成型面51、該第2母型4のパーティング面453との間に、成型キャビティ6を画成できる。
【0056】
該第1、2母型2、4にそれぞれ位置するこれらの温度調節流路301は、それぞれ弧状を呈し、組み合わさって該温度調節対象領域200を包含する範囲の非閉鎖型の円弧形に取り囲む。該温度調節対象領域200は、該第1母型2の設置溝222および該第2母型4の設置溝452を型締めするとき、両者が境界を定める範囲である。
【0057】
図16および
図17を参照されたい。本発明の金型装置の製造方法における第2の好ましい実施例は、以下の工程を含む。
【0058】
第1本体部2’と、第2本体部4’と、該第1本体部2’および該第2本体部4’の間に形成される成型キャビティ6とを含む金型本体100を提供する。該第1本体部2’および該第2本体部4’に、それぞれ第1流路21’および第2流路41’が形成される。
【0059】
該第1流路21’および第2流路41’を部分的に遮ることができる熱伝導隔壁302と、該熱伝導隔壁302の外周を取り囲んで設置される漏出防止環303とを提供する。該熱伝導隔壁302および該漏出防止環303を、該第1本体部2’と第2本体部4’との間に挟んで設置し、該第1流路21’および該第2流路41’をそれぞれ該熱伝導隔壁302の相反する両側に位置させる。
該第1流路21’が外部と連通して第1ポート211’が形成され、該第2流路41’が外部と連通して第2ポート411’が形成され、該熱伝導隔壁302が該第1流路21’および第2流路41’を遮らない部分に、連通流路304が形成される。該第1流路21’、該第1ポート211’、該第2流路41’、該第2ポート411’、および該連通流路304が温度調節流路301を構成し、該温度調節流路301、該熱伝導隔壁302、および該漏出防止環303が流路ユニット300を構成する。
【0060】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、これにより本発明の実施範囲を限定することはできない。すなわち、本発明の特許請求の範囲および特許明細書の内容に基づいて行われる簡単な同等の変化および修飾は、いずれも本発明の特許が包含する範囲内に属する。