(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理時間計算部は、1人に対して前記特徴特定部が複数の特徴を特定した場合には、各特徴に対応して前記係数記憶部が記憶した係数を、前記保安検査場における処理の基準時間に乗じて、その人の予想処理時間を計算する
請求項1に記載の処理時間計算装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
***概要の説明***
図1に基づき、実施の形態1に係る処理時間計算装置10の概要を説明する。
空港における保安検査場21には、1つ以上の窓口22がある。
図1では、2つの窓口22がある。
【0017】
保安検査場21では、まず、(a)パスポート及び搭乗券の確認が行われる。ここでは、読取装置23に搭乗券の二次元コードをかざして読み取らせる。次に、(b)手荷物をベルトコンベア24に乗せ、(c)X線装置25による手荷物検査を受けるとともに、金属探知機26による検査を受け、(d)検査された手荷物を作業台27にて受け取る。手荷物検査を受ける場合には、液体やコンピュータは鞄から出しておく必要があること、一定量以上の液体や刃物は持ち込みできないこと等の注意点がある。また、金属探知機26による検査を受ける場合には、金属探知機26が反応する可能性があるベルトや時計等は外しておく必要がある等の注意点がある。
【0018】
(a)の処理では、荷物が多い人20はパスポート及び搭乗券の準備に手間取る場合が多い。また、高齢者は、二次元コードを読み取らせることに手間取ることが多い。一方、保安検査場21での処理に慣れている人20は、事前にパスポート及び搭乗券を準備してあり、円滑に処理を進められることが多い。
【0019】
(b)から(d)の処理では、荷物が多い人20は荷物が少ない人20よりも時間がかかる。また、高齢者は、若者よりも時間がかかる場合が多い。また、保安検査場21での処理に不慣れな人20は、液体やコンピュータは鞄から出しておく必要があるといった注意事項を知らず、手間取る可能性が高い。特に、注意事項は、国内線と国際線とで異なり、また空港によっても異なるため、保安検査場21での処理に不慣れな人20は、慣れている人20に比べて非常に長い時間がかかる場合がある。また、金属探知機26による検査でも、保安検査場21での処理に不慣れな人20は、金属探知機26で自身が身に着けている何が反応するかを把握しておらず、検査を何度もやり直し、慣れている人20に比べて非常に長い時間がかかる場合がある。また、車椅子の人20は、特別な車椅子である場合を除き金属探知機26を通れず、別途検査を行う必要があり、長い時間がかかる。
【0020】
つまり、保安検査場21における処理は、人20によって処理時間が大きく異なる。そのため、単純に保安検査場21に並んでいる人数だけから、並んでいる人20を処理するためにかかる処理時間を精度よく計算することは難しい。
【0021】
そこで、処理時間計算装置10は、保安検査場21の各窓口22に並んでいる各人20の特徴33を特定して、各人20の特徴33によりその人20の処理時間を予想する。そして、各人20について予想した処理時間を合計して、保安検査場21の各窓口22に並んでいる全ての人20についての処理時間を計算する。これにより、各窓口22に並んでいる人20を処理するためにかかる処理時間を精度よく計算することが可能になる。
【0022】
***構成の説明***
図2に基づき、実施の形態1に係る処理時間計算装置10の構成を説明する。
処理時間計算装置10は、空港の保安検査場21における処理時間を計算する。処理時間計算装置10は、係数記憶部11と、画像取得部12と、行列特定部13と、特徴特定部14と、処理時間計算部15とを備える。
【0023】
係数記憶部11は、特徴33毎に係数34を記憶した記憶装置である。
図3に示すように、係数記憶部11は、特徴33の種別毎にテーブルを有している。
図3では、係数記憶部11は、テーブルA〜Dの4つのテーブルを有している。各テーブルには、その種別に該当する特徴33毎に、係数34が記憶されている。ここでは、処理に時間がかかると想定される特徴33ほど、係数34として大きな値が設定されている。
【0024】
テーブルAは、人20の属性についてのテーブルである。人20の属性とは、年齢や性別等である。例えば、高齢者の場合には、移動や動作が遅く、新しい技術にも不慣れな場合があり、処理に時間がかかる傾向がある。また、ビジネスマンは、保安検査場21での処理に慣れている場合があり、処理に時間がかからない傾向がある。
【0025】
テーブルBは、持ち物についてのテーブルである。ここでは、持ち物には服装も含む。例えば、大きな荷物を持っている場合には、荷物の上げ下げに時間がかかる傾向や、持ち主が想定していないものが含まれており、手荷物検査のやり直しが発生する傾向がある。また、コートや帽子を着用している場合、X線装置25での検査前に脱ぎ、X線装置25での検査後に着るため、時間がかかる傾向がある。また、白杖を持っている場合、目が不自由なため、時間がかかる傾向がある。また、車椅子に乗っている人20は、金属探知機26のゲートを通れず、時間がかかる傾向がある。一方、荷物なしの場合、時間がかからない傾向がある。
【0026】
テーブルCは、人20の行動についてのテーブルである。人20の行動とは、動作の速さ等である。例えば、動作が遅い人20は、どの処理についても時間がかかる傾向がある。また、キョロキョロしていたり、チケットを何度も出し入れしている人20は、保安検査場21での処理に不慣れであったり、出発時刻が近づいて焦っていることが予想される。保安検査場21での処理に不慣れな人20や焦っている人20は、手荷物検査やX線装置25での検査のやり直しが発生する傾向がある。
【0027】
テーブルDは、グループについてのテーブルである。グループとは、動作を共にする集団である。旅行者のグループの場合には、時間にゆとりがあり、処理に時間がかかる場合がある。また、上述した通り高齢者は処理に時間がかかる傾向があるが、高齢者と若者とから構成されるグループの場合には、高齢者が若者によるサポートを受けることで処理が早く済む傾向がある。また、他のグループに属する人20も、単独の人20よりも多少時間がかかる傾向がある。
【0028】
画像取得部12は、保安検査場21の前のエリア28を撮像した画像データ31を撮像装置から取得する。画像取得部12は、一定時間毎に撮像された複数の画像データ31を取得する。
【0029】
行列特定部13は、画像取得部12が異なる時刻に取得した複数の画像データ31から、保安検査場21の前のエリア28にいる人20の動作を特定する。行列特定部13は、特定した動作から、その人20が保安検査場21に並んでいるか否かを判定する。そして、行列特定部13は、保安検査場21の各窓口22に並んだ人20を特定する。行列特定部13は、特定した人20を示す行列情報32を特徴特定部14に出力する。
ここでは、行列特定部13は、人20の移動する方向や人20が向いている向きによって、その人20が保安検査場21に並んでいるか否かを判定する。例えば、行列特定部13は、人20が行列の動きに合わせて移動していない場合や、行列の後方を一定時間以上向き続けている場合には、保安検査場21に並んでいないと判定する。
これにより、保安検査場21の前のエリア28を通過する人20や、エリア28で待ち合わせをしている人20等を保安検査場21に並んだ人20から除外できる。
【0030】
特徴特定部14は、画像取得部12が取得した画像データ31から、行列特定部13が出力した行列情報32が示す各人20についての特徴33を特定する。ここでは、特徴特定部14は、係数記憶部11が記憶した各特徴33を各人20が有しているか特定する。
【0031】
処理時間計算部15は、保安検査場21の窓口22毎に、その窓口22に並んだ全ての人20の処理時間である予想合計処理時間を計算する。
まず、処理時間計算部15は、行列特定部13が特定した各人20について、特徴特定部14が特定した特徴33に対応して係数記憶部11が記憶した係数34を、保安検査場21における処理の基準時間に乗じて、その人20の予想処理時間を計算する。そして、処理時間計算部15は、各人20について計算した予想処理時間を合計して、保安検査場21の窓口22に並んだ人の予想合計処理時間を計算する。
【0032】
処理時間計算部15は、1人に対して特徴特定部14が複数の特徴33を特定した場合には、各特徴33に対応して係数記憶部11が記憶した係数34を、保安検査場21における処理の基準時間に乗じて、その人の予想処理時間を計算する。
例えば、高齢者で大荷物の人20は、基準時間に対して、高齢者に対応する係数34“1.3”と、大荷物に対応する係数34“1.3”との両方が乗じられ、予想処理時間は、基準時間の1.69倍になる。
また、例えば、ビジネスマンだが不慣れな動作の人20は、基準時間に対して、ビジネスマンに対応する係数34“0.8”と、不慣れに対応する係数34“1.3”との両方が乗じられ、予想処理時間は、基準時間の1.04倍になる。
また、例えば、高齢者であるが若者を含むグループに属する人20は、基準時間に対して、高齢者に対応する係数34“1.3”と、高齢者+若者のグループに対応する係数34“0.95”が乗じられ、予想処理時間は、基準時間の1.235倍になる。例えば、高齢者2人と若者6人との8人のグループの場合、(1.3×2+1.0×6)×0.95=8.6×0.95=8.17となり、8人のグループ全体の予想処理時間は、基準時間の8.17倍になる。
【0033】
***動作の説明***
図4に基づき、実施の形態1に係る処理時間計算装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る処理時間計算装置10の動作は、実施の形態1に係る処理時間計算方法に相当する。また、実施の形態1に係る処理時間計算装置10の動作は、実施の形態1に係る処理時間計算プログラムの処理に相当する。
図4に示す処理は、定期的に実行される。
【0034】
S11の画像取得処理では、画像取得部12は、未取得の画像データ31を取得する。
【0035】
S12の行列特定処理では、行列特定部13は、S11で取得された画像データ31から、各窓口22に並んだ人20を特定する。ここでは、行列特定部13は、過去に取得された画像データ31がある場合には、過去に取得された画像データ31も用いて各窓口22に並んだ人20を特定してもよい。
【0036】
S13の特徴特定処理では、特徴特定部14は、S11で取得された画像データ31から、S12で特定された各人20についての特徴33を特定する。ここでは、特徴特定部14は、過去に取得された画像データ31がある場合には、過去に取得された画像データ31も用いて特徴33を特定してもよい。
特に
図3のテーブルCに示した人20の行動についての特徴33は、複数枚の画像データ31を用いないと特定できないため、過去に取得された画像データ31を含む複数枚の画像データ31を用いることになる。
【0037】
次に。各窓口22を対象窓口として、S14からS15の処理が繰り返し実行される。S14及びS15を総称して処理時間計算処理と呼ぶ。
S14の人処理時間計算処理では、処理時間計算部15は、対象窓口に並んだ各人20について、S13で特定された特徴33に対応して係数記憶部11が記憶した係数34を基準時間に乗じて、その人20の予想処理時間を計算する。
【0038】
S15の窓口処理時間計算処理では、処理時間計算部15は、S14で計算された各人20についての予想処理時間を合計して、対象窓口に並んだ人の予想合計処理時間を計算する。
【0039】
***効果の説明***
以上のように、実施の形態1に係る処理時間計算装置10は、保安検査場21に並んでいる各人20の特徴33を用いて処理時間を計算する。これにより、保安検査場21における処理時間を精度よく計算することができる。
その結果、保安検査場21の窓口22を増やす等の対応を適切に行うことができ、保安検査場21の処理時間を適正に保つことができる。
上述したように、保安検査場21の処理の滞留は航空機の遅れにつながり、航空機の遅れは航空会社にとって大きな問題である。実施の形態1に係る処理時間計算装置10により、保安検査場21の処理時間を適正に保つことができ、その結果航空機の遅れを解消できる効果が得られる。
【0040】
なお、計算された各窓口22の処理時間を待ち時間として、保安検査場21付近に設置された表示装置に表示してもよい。これにより、利用者が待ち時間の短い窓口22を選択して並ぶことができる。
【0041】
また、上記説明では、特徴特定部14は、各人20の特徴33を画像データ31から特定するとした。しかし、特徴特定部14は、他の情報を利用して特徴33を特定してもよい。
例えば、保安検査場21に向かう前に人20がカウンターで手続きをした場合や、マイレージカードを使った場合には、その人20の情報を取得することが可能である。この場合、その人20を画像データ等に基づき追跡して、保安検査場21に並んだ場合に、取得された情報を利用してその人20の特徴33を特定してもよい。この追跡には、既存技術である画像データを利用した人物追跡技術を用いる。
人20を追跡することにより、人20の行動に関する特徴33を特定することができる。また
図4のステップS12に示した行列特定処理で、1枚の画像データ31では人20を特定できないとき、複数枚の画像データ31を用いた追跡により人20を特定してもよい。同様に
図4のステップS13に示した特徴特定処理でも1枚の画像データ31では人20の特徴を特定できないとき、複数枚の画像データ31を用いた追跡により人20の特徴を特定してもよい。
さらに、複数枚の画像データ31を用いた追跡により、例えばカウンターで手続きしている人20と、保安検査場21にいる人20を同定する(同じ人であることを特定する)ことができる。
このように実施の形態1では、人20の個人を特定しなくても処理時間計算処理を行うことができる。人20の特定が不要のため、同じ人20であっても、服装や持ち物等により係数34は変わることになる。また人20の個人情報を用いることがないため、個人情報の管理が不要となる特徴を有する。
【0042】
また、処理時間計算部15は、処理時間が特に長くなる特徴33を有する人20がいた場合には、保安検査場21のスタッフへ通知を出してもよい。通知を受けた保安検査場21のスタッフが手助けをすることにより、保安検査場21での処理を円滑に進めることが可能である。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態2は、保安検査場21での処理毎に係数34が割り当てられている点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明する。
【0044】
***概要の説明***
図1に基づき、実施の形態2に係る処理時間計算装置10の概要を説明する。
実施の形態1で説明した通り、空港における保安検査場21では、まず、(a)パスポート及び搭乗券の確認が行われる。次に、(b)手荷物をベルトコンベア24に乗せ、(c)X線装置25による手荷物検査を受けるとともに、金属探知機26による検査を受け、(d)検査された手荷物を作業台27にて受け取る。
実施の形態2では、(a)から(d)の処理毎に係数34が割り当てられる。処理時間計算装置10は、ある人20の予想処理時間を計算する際、各処理を対象処理として、対象処理の基準時間に、対象処理に割り当てられた係数34を乗じて、対象処理についての予想対象処理時間を計算する。そして、処理時間計算装置10は、各処理を対象処理として計算した予想対象処理時間を合計して、その人20の予想処理時間を計算する。
【0045】
***構成の説明***
実施の形態2に係る処理時間計算装置10の構成は、
図2に示す実施の形態1に係る処理時間計算装置10の構成と同じである。
但し、係数記憶部11が記憶する情報と、処理時間計算部15の処理とが異なる。
【0046】
図5に示すように、係数記憶部11は、特徴33と、保安検査場21における処理と毎に、係数34を記憶する。
図5では、
図3に示したテーブルA〜Dのうち、テーブルBの一部を例示している。
【0047】
処理時間計算部15は、各人20について、保安検査場21における各処理を対象処理として、特徴特定部14が特定した特徴33と、対象処理とに対応して係数記憶部11が記憶した係数34を、対象処理の基準時間に乗じて、その人20の対象処理についての予想対象処理時間を計算する。処理時間計算部15は、各処理を対象処理として計算した予想対象処理時間を合計して、その人20の予想処理時間を計算する。
そして、処理時間計算部15は、各人20について計算した予想処理時間を合計して、保安検査場21の窓口22に並んだ人の予想合計処理時間を計算する。
【0048】
***動作の説明***
図6に基づき、実施の形態2に係る処理時間計算装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る処理時間計算装置10の動作は、実施の形態2に係る処理時間計算方法に相当する。また、実施の形態2に係る処理時間計算装置10の動作は、実施の形態2に係る処理時間計算プログラムの処理に相当する。
図6に示す処理は、定期的に実行される。
【0049】
S21からS23の処理は、
図4のS11からS13の処理と同じである。
【0050】
各窓口22を対象窓口として、S24からS26の処理が繰り返し実行される。S24からS26を総称して処理時間計算処理と呼ぶ。
S24の対象処理時間計算処理では、処理時間計算部15は、対象窓口に並んだ各人20について、保安検査場21における各処理を対象処理として、S23で特定された特徴33と対象処理とに対応して係数記憶部11が記憶した係数34を、対象処理の基準時間に乗じて、その人20の対象処理についての予想対象処理時間を計算する。
【0051】
S25の人処理時間計算処理では、処理時間計算部15は、対象窓口に並んだ各人20について、S24で各処理を対象処理として計算された予想対象処理時間を合計して、その人20の予想処理時間を計算する。
【0052】
S26の処理は、
図4のS15の処理と同じである。
【0053】
***効果の説明***
以上のように、実施の形態2に係る処理時間計算装置10は、保安検査場21での処理毎に係数34が割り当てられている。これにより、保安検査場21における処理時間を、実施の形態1よりもさらに精度よく計算することができる。
【0054】
実施の形態3.
実施の形態3は、係数34を更新する点が実施の形態1と異なる。実施の形態3では、この異なる点について説明する。
【0055】
***概要の説明***
図7に基づき、実施の形態3に係る処理時間計算装置10の概要を説明する。
保安検査場21には、保安検査場21における各処理を撮像するための複数の撮像装置29が設置される。ここでは、(a)から(d)の各処理を撮像するための撮像装置29a〜29dが設置されている。
処理時間計算装置10は、撮像装置29a〜29dが撮像した画像データ36を取得する。処理時間計算装置10は、特徴33毎に、その特徴33を有する人20の保安検査場21における処理の実際の処理時間を画像データ36から計測する。処理時間計算装置10は、計測した処理時間から、係数を計算して、係数記憶部11に格納する。
【0056】
***構成の説明***
図8に基づき、実施の形態3に係る処理時間計算装置10の構成を説明する。
実施の形態3に係る処理時間計算装置10は、
図2に示す実施の形態1に係る処理時間計算装置10に加え、処理時間計測部16と、係数決定部17とを備える。
【0057】
画像取得部12は、保安検査場21の内部が一定時間毎に撮像された画像データ36を取得する。
【0058】
処理時間計測部16は、画像取得部12が取得した画像データ36に基づき、特徴33毎に、その特徴33に該当する人20についての保安検査場21における処理時間を計測する。
ここでは、処理時間計測部16は、人20が保安検査場21の(a)の処理を開始してから、(d)の処理を終えるまでの処理時間を計測する。
【0059】
係数決定部17は、処理時間計測部16が計測した処理時間から、各特徴33についての係数34を決定して、係数記憶部11に格納する。
ここでは、係数決定部17は、全ての人20の処理時間の平均時間を基準時間として決定する。そして、係数決定部17は、各特徴33を有する人20の処理時間の平均時間を、基準時間で除して、係数34を計算する。
また平均時間以外に、統計処理や多数のデータを用いた学習により、係数34を計算してもよい。
【0060】
***動作の説明***
図9に基づき、実施の形態3に係る処理時間計算装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係る処理時間計算装置10の動作は、実施の形態3に係る処理時間計算方法に相当する。また、実施の形態3に係る処理時間計算装置10の動作は、実施の形態3に係る処理時間計算プログラムの処理に相当する。
図9に示す処理は、
図4に示す処理と並行して定期的に実行される。
【0061】
S31の画像取得処理では、画像取得部12は、未取得の画像データ36を取得する。
【0062】
S32の処理時間計測処理では、処理時間計測部16は、S31で取得された画像データ36に基づき、各人20の保安検査場21における処理時間を計測する。
【0063】
S33の係数決定処理では、係数決定部17は、S32で計測された処理時間から各特徴33についての係数34を決定する。そして、係数決定部17は、決定した係数34を係数記憶部11に格納する。
【0064】
***効果の説明***
以上のように、実施の形態3に係る処理時間計算装置10は、保安検査場21での処理時間を計測して、係数34を更新する。これにより、保安検査場21における処理時間を、実施の形態1よりもさらに精度よく計算することができる。
【0065】
なお、上記説明では、実施の形態1に対して係数34を更新する構成を加えた。しかし、実施の形態2に対して係数34を更新する構成を加えることも可能である。この場合、処理時間計測部16は、各処理についての実処理時間を計測し、係数決定部17は、各特徴について各処理に対する係数を決定すればよい。
【0066】
また、実施の形態1〜3では、空港における保安検査場21での処理時間を計算することを説明した。しかし、処理時間計算装置10は、空港における保安検査場21以外の場所であっても、人20毎に処理時間が異なるような場所であれば、精度よく処理時間を計算することが可能である。
例えば、セルフ式のガソリンスタンドでの処理時間を計算することも可能である。セルフ式のガソリンスタンドでも、給油に慣れている人と、慣れていない人とでは、処理時間が異なる。また、大型の車の方が、小型の車よりもガソリンタンクが大きく、給油にも時間がかかる。そこで、人20の特徴33及び車の特徴33毎に係数34を決めておくことで、精度よく処理時間を計算できる。
さらに、空港の搭乗口における処理時間を計算することも可能である。処理時間を搭乗時間(人20が搭乗口からボーディング・ブリッジを通って機内を歩いて荷物をしまって座るまで)とすると、全員搭乗した後、何分後に航空機を離陸できるかを予想することができる。また処理時間を降機時間(人20が座席から立って、荷物をとってブリッジを通ってターミナルに行くまで)とすると、到着地に到着後、何分後に降機後の機内清掃を始められるか、次の離陸時間に対して余裕があるかを予測することができる。
【0067】
図10は、実施の形態1〜3に係る処理時間計算装置10のハードウェア構成例を示す図である。
処理時間計算装置10はコンピュータである。
処理時間計算装置10は、プロセッサ901、補助記憶装置902、メモリ903、通信装置904、入力インタフェース905、ディスプレイインタフェース906といったハードウェアを備える。
プロセッサ901は、信号線910を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
入力インタフェース905は、ケーブル911により入力装置907に接続されている。
ディスプレイインタフェース906は、ケーブル912によりディスプレイ908に接続されている。
【0068】
プロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ901は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
補助記憶装置902は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)である。
メモリ903は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
通信装置904は、データを受信するレシーバー9041及びデータを送信するトランスミッター9042を含む。通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
入力インタフェース905は、入力装置907のケーブル911が接続されるポートである。入力インタフェース905は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子である。
ディスプレイインタフェース906は、ディスプレイ908のケーブル912が接続されるポートである。ディスプレイインタフェース906は、例えば、USB端子又はHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。
入力装置907は、例えば、マウス、キーボード又はタッチパネルである。
ディスプレイ908は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0069】
補助記憶装置902には、上述した画像取得部12、行列特定部13、特徴特定部14、処理時間計算部15、処理時間計測部16、係数決定部17(以下、画像取得部12、行列特定部13、特徴特定部14、処理時間計算部15、処理時間計測部16、係数決定部17をまとめて「部」と表記する)の機能を実現するプログラムが記憶されている。
このプログラムは、メモリ903にロードされ、プロセッサ901に読み込まれ、プロセッサ901によって実行される。
更に、補助記憶装置902には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がメモリ903にロードされ、プロセッサ901はOSを実行しながら、「部」の機能を実現するプログラムを実行する。
図10では、1つのプロセッサ901が図示されているが、処理時間計算装置10が複数のプロセッサ901を備えていてもよい。そして、複数のプロセッサ901が「部」の機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
また、「部」の処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値と、係数記憶部11が記憶する係数34とが、メモリ903、補助記憶装置902、又は、プロセッサ901内のレジスタ又はキャッシュメモリにファイルとして記憶される。
【0070】
「部」を「サーキットリー」で提供してもよい。また、「部」を「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」に読み替えてもよい。「回路」及び「サーキットリー」は、プロセッサ901だけでなく、ロジックIC又はGA(Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)といった他の種類の処理回路をも包含する概念である。
【解決手段】係数記憶部11は、特徴33毎に係数34を記憶した記憶装置である。行列特定部13は、保安検査場に並んだ人を特定する。特徴特定部14は、行列特定部13が特定した各人についての特徴を特定する。処理時間計算部15は、各人について、特徴特定部14が特定した特徴33に対応して係数記憶部11が記憶した係数34を、保安検査場における処理の基準時間に乗じて、その人の予想処理時間を計算する。処理時間計算部15は、計算した予想処理時間を合計して、保安検査場に並んだ全ての人の予想合計処理時間を計算する。