【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来型修飾反応によって得られるポリマーと比較して改善された加工特性を示し、かつ60℃でのTanδ値が減少しているが、0℃でのTanδ値は依然として充分である架橋(加硫化)ポリマー組成物の提供を可能にするエラストマーポリマーを提供することが必要である。さらに、低い転がり抵抗および良好な濡れすべり特性を有するタイヤなどの物品の提供を促進するポリマーが必要とされる。「スルファニルシラン」修飾ポリマー、シリカおよび/またはカーボンブラックを含み、その加工および配合ステップを促進するCMU値を示すポリマー組成物がさらに必要とされる。特に、硬化したゴム配合物の、低い発熱と低い60℃でのTanδ値によって表される低いヒステリシス損と、0℃での高いTanδ値(ウェットグリップ)と−10℃での高いTanδ値(アイスグリップ)によって表される良好なグリップと組み合わせられた、反応混合の間のそれらの非硬化状態で減少した化合物ムーニー粘度値(CMU)を有するゴム配合物が必要とされる。全体として、所望のポリマーの製造のための効率的なプロセスを提供することが必要である。
【0008】
第1の態様において、本発明はしたがってエラストマーポリマーの連続調製のためのプロセスに関する。本発明はしたがって連続重合プロセスを指し、前記プロセスは次のステップを含む:
(i)少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび、場合によって、1以上の芳香族ビニルモノマーを110℃以下の温度にて有機溶媒中、活性開始剤の存在下および式1:
【0009】
【化1】
(ここで、式1中のOは酸素であり、式1中のR1およびR2はそれぞれ独立して、水素またはアルキル基、好ましくは水素またはC1〜C4アルキル基である;R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素またはアルキル基、好ましくは水素またはC1〜C6アルキル基から選択される;nは、1、2、3または4から選択される整数値、好ましくは1である)
による化合物の存在下で提供し、重合させてリビングアニオン性ポリマーを提供するステップであって、
ここで、活性開始剤はアニオン開始剤であり、式1による化合物/活性開始剤のモル比は0.15〜10である、ステップ;および
(ii)第1の量の式2:
(RO)
3Si−A−S−SiR’R’’R’’’ (式2)
(ここで、式2中のSはイオウであり、Siはケイ素であり、Oは酸素である;R基はそれぞれ独立して、アルキル、アラルキルまたはアリールから、好ましくはC1〜C10アルキル、C7〜C17アラルキルまたはC6〜C16アリールから選択される;R’、R’’およびR’’’基は互いに独立して、アルキル、アラルキルまたはアリールから、好ましくはC1〜C10アルキル、C6〜C16アリールまたはC7〜C17アラルキルから選択される;Aは二価ヒドロカルビル基、好ましくはC1〜C20アルキレンまたはC7〜C25アラルキレンである)による化合物をリビングアニオン性ポリマーに、式2による化合物/活性開始剤のモル比が0.21以上になるような量で添加するステップ。
【0010】
「連続プロセス」、「連続重合」という用語または類似の用語は、本明細書中で用いられる場合、溶媒と、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、場合によって1以上の芳香族ビニルモノマーと、重合反応を実施するために必要な全ての成分とを反応器に特定の比で連続的に投入する重合プロセスを指す。典型的には、直列に接続された2以上の重合反応器を使用する。好ましい実施形態において、ステップ(i)および(ii)ならびに本明細書中で後述する任意のステップ(iii)は、直列に接続された反応容器中で実施される。ステップ(i)は2以上の反応容器中で実施できるが、好ましくは、ステップ(i)は1つの反応容器中で実施される。好ましくは、溶媒と、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、場合によって1以上の芳香族ビニルモノマーと、重合反応を実施するために必要な全ての成分(アニオン開始剤および式1による化合物を含む)との流れは、ステップ(i)、(ii)および、場合によってステップ(iii)のそれぞれの間の反応混合物の平均滞留時間が、30〜150分の範囲内になるように調節される。個々のステップ(i)、(ii)および、場合によって(iii)が、個々の連続する反応容器中で実施される場合は、したがって各反応容器中で30〜150分の滞留時間を達成するために流量を調節することが好ましい。1つの実施形態において、滞留時間は30〜90分の範囲であり得る。別の実施形態において、滞留時間は90〜150分の範囲であり得る。
【0011】
本発明によるプロセスのステップ(i)中で提供されるモノマーは少なくとも1つの共役ジエンモノマーを含む。代表的な共役ジエンモノマーとしては、限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、2−アルキル−1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−2,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい共役ジエンとしては、限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
少なくとも1つの共役ジエンモノマーに加えて、他の重合性モノマーはステップ(i)でさらに提供される可能性がある。さらなるモノマーの好適な例としては、限定されないが、α−オレフィン、内部オレフィン、環状オレフィン、極性オレフィンまたは非共役ジオレフィンから選択されるオレフィンが挙げられる。好ましいさらなるモノマーは、限定されるものではないが、長鎖巨大分子α−オレフィンおよび芳香族ビニル化合物をはじめとするC2−20α−オレフィンである。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、ステップ(i)において、1以上の芳香族ビニルモノマーがさらなるモノマーとして提供されるプロセスに関する。芳香族ビニルモノマーの代表例としては、限定されるものではないが、スチレンおよびその誘導体、例えば限定されるものではないが、C
1-4アルキル置換スチレン、例えば2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチルスチレン、およびスチルベン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルピリジン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましい芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
好適な極性オレフィンとしては、アクリロニトリル、メタクリレートおよびメチルメタクリレートが挙げられる。好適な非共役オレフィンとしては、C4−20ジオレフィン、特にノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、4−ビニルシクロヘキセンならびにジビニルベンゼン、例えば1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼンおよび1,4−ジビニルベンゼン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、プロセスは、共役ジエン、好ましくは1,3−ブタジエンまたはイソプレンを重合してホモポリマーを得ることを含む。さらなる実施形態において、プロセスは、少なくとも1つの共役ジエン、好ましくは1,3−ブタジエンまたはイソプレンを、少なくとも1つの共役ジエンと;および/または少なくとも1つの芳香族α−オレフィンと、好ましくは少なくとも1つの芳香族ビニルモノマーと、さらに好ましくはスチレンもしくは4−メチルスチレンと;および/または少なくとも1つの芳香族ジオレフィンと、好ましくはジビニルベンゼンと重合して、ランダムまたはブロックの、コポリマーもしくはターポリマーを得ることを含む。
【0016】
本発明にしたがって用いられる溶媒は、アニオン性重合反応に好適な有機溶媒である。アニオン性重合反応はアニオン性重合機構にしたがって進行する。重合の間中、ポリマー鎖末端はイオン性または「リビング性」である。1つの実施形態において、重合溶媒は、非極性芳香族および非芳香族溶媒、例えばブタン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンから選択される。好ましい実施形態において、溶媒は、ブタン、シクロヘキサン、ヘキサンおよびヘプタンの1以上から選択される。好ましくは、モノマーの固形分は、モノマーおよび溶媒の総重量基準で、6〜24重量パーセント、さらに好ましくは10〜18重量パーセント、そして最も好ましくは12〜15重量パーセントである。「モノマーの総固形分」、「モノマーの固形分」という用語、または類似の用語は、本明細書中で用いられる場合、溶媒およびモノマー(例えばブタジエンおよびスチレン)の総重量基準のモノマーの総質量(または重量)パーセンテージを指す。
【0017】
本発明にしたがって重合反応を開始するために使用される開始剤はアニオン開始剤である。アニオン開始剤の好適な例としては、少なくとも1つのリチウム原子を有する有機金属化合物であって、非極性C1〜C20炭化水素基を含有する有機金属化合物が挙げられる。好ましくは、有機金属化合物は、アルキルリチウム化合物(本明細書中で以下、アルキルリチウムとも称される)、例えばエチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキシルリチウムおよび1,4−ジリチオ−n−ブタン、または2以上のこれらの化合物の混合物である。最も好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはそれらの混合物は本発明にしたがってアニオン開始剤として使用される。
【0018】
上記開始剤は、単独または2以上の異なる種類の混合物として組み合わせて使用してもよい。使用される開始剤の量は、重合されるモノマーに基づいて変化し、それはまた、製造されるポリマーの標的分子量にも依存する;しかしながら、この量は典型的には、標的数平均分子量Mnが80000g/モル〜700000g/モルである場合、0.0124モル開始剤/モノマーkg(総重合性モノマー)〜0.00143モル開始剤/モノマーkg(総重合性モノマー)である。
【0019】
「活性開始剤」という用語(以下、「I*」とも称される)は、本明細書中で用いられる場合、重合反応に関与し、かつ反応媒体中に含まれる不純物によって不活性化されない開始剤の量を指す。例えば、アニオン開始剤としてブチルリチウムの存在下でのブタジエンおよびスチレンの重合において、活性ブチルリチウム含有量(nI
*[モル/分])は、ステップ(i)で得られるリビングアニオン性ポリマーの絶対数平均分子量(Mn)、変換率、およびモノマーの総装入量(m
Bde(g/分)+m
Sty(g/分))に基づいて算出される:
【数1】
(式中、
C=モノマー変換率、そして
Mn=式2による化合物の添加前にステップ(i)で得られるリビングアニオン性ポリマーの数平均分子量)。
【0020】
上記式1による化合物、好ましくは2,2−ジ−(2−オキソラニル)プロパンまたはその誘導体は、ポリマー中の任意のコモノマーとしての芳香族ビニルモノマーの組成分布を調節し、したがってランダム化化合物としての役割を果たすために、本発明にしたがって極性化合物として使用される。上記式1による化合物、好ましくは2,2−ジ−(2−オキソラニル)プロパンまたはその誘導体はまた、ポリマーまたは任意のコポリマー中の1,2−ポリブタジエンポリマー単位の組成分布および量を調節し、したがってランダム化化合物としての役割を果たすために、極性化合物として本発明にしたがって使用される。さらに、上記式1による化合物、好ましくは2,2−ジ−(2−オキソラニル)プロパンまたはその誘導体はまた、重合速度を加速するために極性化合物として本発明にしたがって使用される。理論によって拘束されることを望まないが、式1による化合物はまた、カチオンと、特にアニオン開始剤のリチウムカチオンと相互作用して、共役ジエンモノマー、特にブタジエンの1,4挿入を調節することが予想される。好ましい実施形態において、式1中のR1およびR2はそれぞれ独立してC1〜C4アルキル基であり;そして式1中のR3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素またはC1〜C6アルキル基から選択される。いくつかの実施形態において、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は各々水素である。好ましい実施形態において、式1中のnは1である。別の実施形態において、nは2、3または4から選択される。式1中のnが1でない場合、好ましくは、R3はR6と同じ基を表し、R4はR7と同じ基を表し、そしてR5はR8と同じ基を表す。
【0021】
さらなる好ましい実施形態において、上記式1による化合物は2,2−ジ−(2−オキソラニル)プロパン(以下、「DTHFP」とも略記される)であり、本明細書中で以下、ジ(テトラヒドロフリル)プロパンとも称される(以下で、「DOP」とも略記される)。
【0022】
式1による化合物を、0.15〜10の範囲内の式1による化合物対活性開始剤のモル比で、好ましくは0.4〜5の比で、最も好ましくは0.8〜3の比で添加する。式1による化合物を希釈することなくポリマー溶液に直接添加してもよい;しかしながら、例えば上述の溶媒などの不活性溶媒を用いて溶液中の修飾剤に添加するのが有益であり得る。
【0023】
式1による化合物を極性修飾剤として本発明にしたがって使用することによって、任意の芳香族ビニルモノマー、例えばスチレンのポリマー鎖中へのランダムな組み入れが可能になることが判明した。したがって、芳香族ビニルモノマーのブロック含有量、例えばスチレンブロック含有量を低く、例えば、ポリマー中の芳香族ビニルモノマーの重量基準で、そして式1による化合物の活性開始剤に対するモル比に応じて、10重量パーセントより低く、好ましくは5重量パーセントより低く、さらに好ましくは3重量パーセントより低く維持することができる。芳香族ビニルモノマーの低いブロック含有量、特に低いスチレンブロック含有量が典型的にはタイヤの製造で必要とされる。「スチレンブロックフラクション」、「スチレンブロック含有量」という用語または類似の用語は、本明細書中で用いられる場合、6個のスチレン単位よりも長いスチレン配列として組み入れられたポリマー中の重合したスチレンの総量基準のスチレンの重量分率を指す。
【0024】
モノマー、すなわち少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび、場合によって、1以上の芳香族ビニルモノマーを提供し、重合するステップ(i)は、好ましくは、室温(25℃)よりも高い温度で実施される。さらに好ましい実施形態において、ステップ(i)中の温度は、40〜110℃の範囲内、最も好ましくは50〜95℃の範囲内である。さらなる好ましい実施形態において、(i)および(ii)の両ステップにおける温度は55〜90℃の範囲内である。
【0025】
ステップ(ii)では、上述の式2による化合物をリビングアニオン性ポリマーに、式2による化合物/活性開始剤のモル比が0.21以上、好ましくは0.22以上、さらに好ましくは0.25以上、なお一層好ましくは0.28以上、そして最も好ましくは0.3以上となるような量で添加する。
【0026】
好ましい実施形態において、式2中の各R基は独立して、C1〜C10アルキル、C7〜C17アラルキルまたはC6〜C16アリールから選択される;式2中のR’、R’’およびR’’’基は互いに独立して、C1〜C10アルキル、C6〜C16アリールまたはC7〜C17アラルキルから選択される;そして式2中のAは、好ましくはC1〜C20アルキレンまたはC7〜C25アラルキレンである。さらに好ましい実施形態において、式2中のR、R’、R’’およびR’’’基は独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチルおよびsec−ブチルから選択される;そして二価基Aは、アルキレン基、最も好ましくは直線状または分枝C1−C5アルキレン基である。式2による化合物の好ましい例としては:(MeO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
3、(EtO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
3、(PrO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
3、(BuO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
3、(MeO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
3、(EtO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
3、(PrO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
3、(BuO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
3、(MeO)
3Si−CH
2−S−SiMe
3、(EtO)
3Si−CH
2−S−SiMe
3、(PrO)
3Si−CH
2−S−SiMe
3、(BuO)
3Si−CH
2−S−SiMe
3、(MeO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
3、(EtO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
3、(PrO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
3、(BuO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
3、((MeO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
3、(EtO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
3、(PrO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
3、(BuO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
3、(MeO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiEt
3、(EtO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiEt
3、(PrO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiEt
3、(BuO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiEt
3、(MeO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiEt
3、(EtO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiEt
3、(PrO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiEt
3、(BuO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiEt
3、(MeO)
3Si−CH
2−S−SiEt
3、(EtO)
3Si−CH
2−S−SiEt
3、(PrO)
3Si−CH
2−S−SiEt
3、(BuO)
3Si−CH
2−S−SiEt
3、(MeO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiEt
3、(EtO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiEt
3、(PrO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiEt
3、(BuO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiEt
3、((MeO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiEt
3、(EtO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiEt
3、(PrO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiEt
3、(BuO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiEt
3、(MeO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
2tBu(EtO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
2tBu、(PrO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
2tBu、(BuO)
3Si−(CH
2)
3−S−SiMe
2tBu、(MeO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
2tBu、(EtO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
2tBu、(PrO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
2tBu、(BuO)
3Si−(CH
2)
2−S−SiMe
2tBu、(MeO)
3Si−CH
2−S−SiMe
2tBu、(EtO)
3Si−CH
2−S−SiMe
2tBu、(PrO)
3Si−CH
2−S−SiMe
2tBu、(BuO)
3Si−CH
2−S−SiMe
2tBu、(MeO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
2tBu、(EtO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
2tBu、(PrO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
2tBu、(BuO)
3Si−CH
2−CMe
2−CH
2−S−SiMe
2tBu、((MeO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
2tBu、(EtO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
2tBu、(PrO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
2tBu、(BuO)
3Si−CH
2−C(H)Me−CH
2−S−SiMe
2tBuが挙げられる。
【0027】
式2による化合物(本明細書中では修飾剤1とも称する)は、好ましくは少なくとも1つの共役ジエンモノマーのほぼ完全または完全な変換率で、該当する場合、1以上の芳香族ビニルモノマーの、好ましくは提供されるモノマーの量基準で85〜100重量%の重合の変換率で添加される。「提供されるモノマーの量」、「モノマーの装入量」という語句、または類似の用語は、本明細書中で用いられる場合、連続重合プロセスにおいて、例えば所与の反応器で提供されるモノマーの量を指す。好ましい実施形態において、変換率は、提供されるモノマーの量に基づいて、92.0〜99.9重量%、好ましくは94.0〜99.9重量%である。「モノマー変換率」という用語は、本明細書中で用いられる場合、例えば所与の重合反応器の排出口で測定されるモノマー変換率(例えばスチレンおよびブタジエンの総変換率)を指す。好ましくは、実質的な量のリビングポリマー鎖末端は修飾剤1との反応前に停止されない、すなわち、リビング鎖末端は、ポリマー鎖末端修飾反応で存在し、この修飾剤と反応させることができる。修飾反応の過程で、1以上のポリマー鎖は、修飾剤1と、すなわち式2による化合物と反応することができる。その結果、1以上のポリマー鎖が修飾剤化合物から誘導される官能基と結合する。
【0028】
式2による化合物の使用は、したがって、「スルファニルシラン」修飾ポリマーをもたらす。1つの実施形態において、これらのポリマーは、20%以上、好ましくは50%以上、最も好ましくは80%以上の修飾度(産生された巨大分子の総数基準の「スルファニルシラン」修飾鎖末端のモル%)を有する。
【0029】
式2による化合物は希釈せずにポリマー溶液に直接添加してもよい;しかしながら、不活性溶媒、例えば上述の溶媒を用いて修飾剤を溶液中に添加することが有益であり得る。
【0030】
ステップ(i)について本明細書中で前述した条件下で、高度のランダム化および高度のリビング性を得ることが可能である。高度のリビングポリマー鎖は、高度のポリマー鎖が、ステップ(ii)の間に式2による化合物と、そして場合によって、本明細書中で記載するステップ(iii)において式3の化合物と結合することを可能にすると考えられる。理論によって拘束されることを望まないが、これらの条件(例えばスチレンおよびビニル単位の比較的ランダムな分布ならびに式2の化合物および場合によって式3の化合物による高度のポリマー鎖修飾などを含む)は、「スルファニルシラン」修飾ポリマーならびにシリカおよび/またはカーボンブラックを含む硬化したポリマー組成物の60℃でのTanδとして測定されるヒステリシスエネルギー損の効率的な減少を可能にすると考えられる。さらに、CMUを含むこれらのポリマー組成物の改善された加工特性は、これらの条件に起因し得ると考えられる。上記条件は、最終ポリマーにおいて比較的狭い分子量分布を可能にすることがさらに判明した。例えば、最終ポリマーは、1.7〜2.5、好ましくは1.9〜2.1の分子量分布(MWD)を有し得ることが観察され、これは前述の高度のリビング性に起因し得る。
【0031】
前述のプロセスを実施することは、他のエラストマー「スルファニルシラン」修飾ポリマーと比較した場合、改善された加工挙動を示す修飾エラストマーポリマーの提供を可能にすることが判明した。特に、本発明によるエラストマーポリマーは反応混合の間、すなわちシリカ−ゴムまたはカーボンブラックゴム配合物を得るためにシリカまたはカーボンブラックなどのフィラーと組み合わせる場合、改善された加工特性を示す。この改善は、先行技術のポリマーとフィラーとを含む非硬化配合物と比較して、本発明によるエラストマーポリマーとフィラーを含む非硬化配合物(本明細書中、以下、「第1組成物」とも称する)の化合物ムーニー粘度(CMU)の減少として測定することができる。ただし、本発明による(フィラーを含まない)エラストマーポリマーのムーニー粘度および(フィラーを含まない)先行技術のエラストマーポリマーのムーニー粘度は同一であるか、または少なくとも類似しているものとする。あるいは、改善は、ポリマーとフィラーとを含む非硬化組成物(第1組成物)の化合物ムーニー粘度とフィラーを含まないエラストマーポリマーの化合物ムーニー粘度との差の減少として測定することができる(加工改善=Δムーニー=CMU
第1組成物−Mu
エラストマーポリマー)。これらの配合物の特定の化合物ムーニー粘度は、反応混合の間のスループットの増加を可能にする。同時に、本発明のプロセスにしたがって得ることができるエラストマーポリマーは、後述する架橋エラストマーポリマーを調製する場合、有益であることがわかる。
【0032】
好ましい実施形態において、1,2−ブタジエンを前述のステップ(i)の間にさらなる成分として添加する。好ましくは、1,2−ブタジエン/活性開始剤のモル比は0.05〜0.4、最も好ましくは0.1〜0.2である。式1による化合物と組み合わせて1,2−ブタジエンを使用することは、ゲルの形成および反応器の汚れを回避し、したがって効率的な重合プロセスに貢献する。重合反応器の汚れは、さらに頻繁に反応器を洗浄することが必要となる。
【0033】
別の実施形態において、本発明によるプロセスはさらなるステップ(iii)をさらに含む
(iii)その後、第2の量の式2による化合物を添加する、および/または式3による化合物を、ステップ(iii)で添加される式2および/または式3による化合物/活性開始剤のモル比が0.21以上であるような量で添加するステップ:
(RO)
2R’’’’Si−A−S−SiR’R’’R’’’ (式3)
(ここで、式3中のR基は独立して、アルキル、アラルキルまたはアリール基、好ましくはC1〜C10アルキル、C7〜C17アラルキルまたはC6〜C16アリールから選択される;R’、R’’およびR’’’基は独立して、アルキル、アラルキルまたはアリールから、好ましくはC1〜C10アルキル、C6〜C16アリールまたはC7〜C17アラルキルから選択される;R’’’’基は、アルキル、アラルキルまたはアリールから、好ましくはC1〜C10アルキル、C6〜C16アリールまたはC7〜C17アラルキルから選択される;Aは、二価ヒドロカルビル基、好ましくはC1〜C20アルキレンまたはC7〜C25アラルキレンである)。
【0034】
好ましくは、式3中の各R基は独立して、C1〜C10アルキル、好ましくはC1〜C4アルキル;C7〜C17アラルキル、好ましくはC7〜C10アラルキル;またはC6〜C16アリール、好ましくはC6−C12アリールから選択される;R’、R’’、R’’’およびR’’’’基は互いに独立して、C1〜C10アルキル、好ましくはC1〜C6アルキル;C6〜C16アリール、好ましくはC6−C12アリール;またはC7〜C17アラルキル、好ましくはC7〜C10アラルキルから選択される;そしてAは、C1〜C20アルキレンまたはC7〜C25アラルキレンである。最も好ましくは、上記式3中のR、R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれは、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、フェニルおよびベンジルから選択され;そしてAは−(CH2)m−であり、式中、mは1、2、3、4、5または6から、好ましくは3、4、5または6から選択される整数値である。
【0035】
式2による化合物の「第2の量」を添加することは、上記ステップ(ii)との関連で、上記の量(「第1の量」)での式2による化合物の指定の添加を含むと理解されるべきである。好ましい実施形態において、ステップ(iii)は式3による化合物の添加を含む。ステップ(iii)が第2の量の式2による化合物の添加を含まない場合、式3による化合物は、式3による化合物/活性開始剤のモル比が、0.21以上、好ましくは0.22以上、さらに好ましくは0.25以上、なお一層好ましくは0.28以上、そして最も好ましくは0.3以上となるような量で添加される。しかしながら、任意のステップ(iii)が式3による化合物を添加せずに第2の量の式2による化合物を添加することを含む場合、この第2の量は、式2による化合物/活性開始剤のモル比が0.21以上となるような量を表す。後者の場合、式2による化合物の総量は、ステップ(ii)および(iii)で添加される式2による化合物/活性開始剤の総モル比が0.42以上になるようなステップ(ii)および(iii)に起因する。好ましい実施形態において、第2の量の式2による化合物の添加および/または式3による化合物の添加のステップ(iii)は、ステップ(ii)後に依然としてリビング性であるポリマー鎖のモル量に関して過剰量のこれらの化合物の一方または両方を添加することによって実施される。
【0036】
重合反応器または一連の2以上の重合反応器の排出口で、エラストマーポリマーの溶液が得られ、これを好ましくは抗酸化剤と混合する。
【0037】
本発明によるプロセスから得られる修飾ポリマーは、それ自体公知の方法によって仕上げ処理することができる。概して、開始剤化合物、式2および場合によって式3の化合物の残留物の活性または非活性残留物を、ポリマーの処理中のある時点で、好ましくはプロセスステップ(ii)もしくは(iii)の完了後に、それ自体公知のやり方で、例えば水、有機酸、アニオン性酸またはアルコールを用いて、失活させる。水、有機酸、アニオン性酸またはアルコールの使用はさらに、重合開始剤化合物由来の金属有機残渣またはメタル化(metallated)ポリマー鎖末端の反応性を低くし、したがって危険性を低減する。開始剤化合物由来ならびに式1、2および、場合によって3の化合物由来の残留物の除去は、場合によって、特に、開始剤ならびに式1、2および、場合によって3による化合物の成分の量が非常に少ない場合は省略することができるが、必要に応じて、開始剤由来、式1の化合物由来、式2の化合物由来および/または式3による化合物由来の残留物の量は、公知の方式で、例えば、洗浄することによって、ポリマー中で減少させることができる。失活ステップに続いてストリッピングステップ(ポリマーからの有機溶媒(複数可)の除去)を行うことができる。
【0038】
エラストマーポリマーを乾燥する前に、ポリマー溶液を水蒸気ストリッピングすることが好ましい。水蒸気ストリッピングは、沸騰水を含む撹拌槽で実施することができ、一方、乾燥は、例えば、2つの押出機などからなるセクション中での圧搾および加熱によって実施することができる。あるいは、溶媒は減圧下で除去することができる。
【0039】
乾燥後、エラストマーポリマーを任意の所望の形状に、好ましくは俵状に圧縮することができる。別法として、またはその後、エラストマーポリマーを、例えばフィラーと混合または配合することができる。エラストマーポリマーを、例えばフィラーと混合または配合することは、さらなる代替案として、溶媒除去の前にすでに実施することができる。
【0040】
第2の態様において、本発明はしたがって、上記プロセスにしたがって得ることができるエラストマーポリマーに関する。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、油などの軟化剤をエラストマーポリマーと組み合わせて使用して、粘度もしくはムーニー粘度値を減少させるか、または加硫後のポリマー組成物の加工可能性および様々な性能特性を改善してもよい。
【0042】
油(複数可)をエラストマーポリマーに、ポリマー調製プロセスの終了前に、または重合後に別の成分として、例えば水蒸気ストリッピング後に添加することができる。好ましくは、油をポリマー100重量部あたり10〜50重量部の油の量で添加する。油の代表例および分類を後述する。
【0043】
ほとんどの用途についてエラストマーポリマーの共役ジオレフィン部分の1,2−結合および/または3,4−結合の含有量(本明細書中で以下、「ビニル含有量」とも称される)に関して特定の制限はないが、エラストマーポリマーのビニル含有量は、好ましくは10〜90重量パーセントである。「ビニル含有量」という用語は、本明細書中で用いられる場合、例えば、それぞれ1,2位および1,2または3,4位でポリマー鎖中に組み入れられ、例えばポリマー中のブタジエンおよび/またはイソプレン(重合したブタジエンおよび/またはイソプレンの総量)の部分に基づく、ブタジエンおよびイソプレンの質量(または重量)パーセンテージを指す。さらに好ましい実施形態において、ビニル含有量は20〜80重量パーセントの範囲である。ポリマー中のビニル結合含有量が10重量パーセント未満である場合、結果として得られる生成物は低い濡れすべり耐性(wet skid resistance)を有し得る。エラストマーポリマー中のビニル含有量がビニル結合の90重量パーセントを超える場合、結果として得られる生成物は、悪化した引張強度および摩耗耐性、ならびに比較的大きなヒステリシス損を示し得る。
【0044】
1つの実施形態において、本発明によるプロセスは1,3−ブタジエンまたはイソプレンをスチレンの非存在下で単独重合して、ホモポリマー、すなわちポリブタジエンまたはポリイソプレンを得ることを含む。しかしながら、さらに好ましい実施形態では、プロセスは、例えば1,3−ブタジエンおよびスチレンを共重合してスチレン−ブタジエンコポリマーを得ることを含む。スチレンの1,3−ブタジエンに対する重量比は、好ましくは0〜50、さらに好ましくは5〜45、最も好ましくは10〜40重量パーセントである。1つの実施形態において、コポリマーのスチレン含有量は5〜25重量パーセントである。別の実施形態において、コポリマーのスチレン含有量は25〜45重量パーセントの範囲である。「スチレン含有量」という用語は、本明細書中で用いられる場合、ポリマーの重量に基づくポリマー中のスチレンの質量(または重量)パーセンテージを指す。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態において、エラストマーポリマーは1.7〜2.5、好ましくは1.9〜2.1の分子量分布(MWD)を有する。好ましくは、エラストマーポリマーは80,000〜700,000g/モル、さらに好ましくは110,000〜300,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。
【0046】
特定のポリマーおよび所望の最終用途に依存するが、本発明の修飾エラストマーポリマーは、好ましくはMonsanto MV2000器具を用いて0〜150、好ましくは15〜100、そしてさらに好ましくは30〜90の範囲内のムーニー粘度(ML1+4、100℃、ASTM D1646(2004)にしたがって測定)を有する。ポリマーのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が150MU超である場合、加工可能性(内部ミキサー中でのフィラーの組み入れおよび発熱、ロールミルでのバンディング、押出速度、押出物ダイスウェル、平滑性など)は悪影響を受ける。なぜなら、タイヤの製造業者で使用される配合機はそのような高ムーニーゴム等級を取り扱うように設計されていないからであり、加工費用が増加するからである。場合によっては、15未満またはさらにはいくつかの場合では30未満のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、非架橋エラストマーポリマーの増大した粘着性および低温流れのために好ましくない可能性があり、その結果、取扱いが困難になり、生強度が低くなり、そして保管中の寸法安定性が悪くなる。
【0047】
第3の態様において、本発明は、上記エラストマーポリマーを含む組成物に関する。好ましい実施形態において、組成物は油および/またはフィラーを含む。さらに別の実施形態において、組成物は、任意の添加剤をさらに含む。言い換えれば、エラストマーポリマーまたはこのエラストマーポリマーを含む組成物を1以上のフィラー、場合によって油、および場合によって他の添加剤とブレンドしてもよい。
【0048】
好ましい実施形態において、シリカ、炭素−シリカ二重相フィラー、カーボンブラック、炭素ナノチューブフィラー、リグニン、ガラスフィラー、層状ケイ酸塩、例えばマガティアイト(magadiite)を含む群から選択され、いくつかの好ましい実施形態では、主フィラー成分としてシリカと、場合によって限定されるものではないが、加工助剤、油、加硫剤およびシランカップリング剤を含むさらなる構成成分とを含むフィラー(複数可)と、エラストマーポリマーを組み合わせ、反応させて、第1ポリマー組成物を形成する。
【0049】
1つの実施形態において、第1組成物は、少なくとも1つのさらなる修飾または非修飾エラストマーポリマーであって、場合によって油を含むものをさらに含む。好ましい非修飾エラストマーポリマーの例は、国際特許公開第2009/148932号(代理人案件番号第66798号)に記載され、スチレン−ブタジエンコポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、およびポリブタジエンが特に好ましい。非修飾ポリマーが、20〜200、好ましくは25〜150の範囲内のムーニー粘度(ML1+4、100℃、上述のように、ASTM D1646(2004)にしたがって測定)を有することが望ましい。対象の組成物は、好ましくは強化剤として機能するフィラーを含む。
【0050】
油(複数可)を、ポリマー調製プロセスの終了前に、第1ポリマー組成物の別の成分としてポリマーに本発明の教唆にしたがって添加することができる。油の代表例および分類については、各々がその全体として本明細書中で参照により援用される、国際特許出願番号第PCT/US09/045553号および米国特許出願公開第2005/0159513号を参照のこと。代表的な油としては、限定されるものではないが、MES(軽度抽出溶媒和物(Mild Extraction Solvate))、TDAE(Treated Distillate 蒸留された芳香族抽出物を処理した油(Treated Distillate Aromatic Extract))、限定されるものではないがT−RAEおよびS−RAEをはじめとするRAE(残留芳香族抽出物)、T−DAEをはじめとするDAEならびに限定されるものではないがNytex4700、Nytex8450、Nytex5450、Nytex832、Tufflo2000、およびTufflo1200をはじめとするNAP(軽質および重質ナフテン油)が挙げられる。加えて、限定されるものではないが植物油をはじめとする天然油をエキステンダー油として使用することができる。代表的な油としてはまた、上述の油の官能化形、特にエポキシ化またはヒドロキシル化油も挙げられる。上述の油は、様々な濃度の多環式芳香族化合物、パラフィン系化合物(parafinics)、ナフテン系化合物(naphthenic)および芳香族化合物を含み、さまざまなガラス転移温度を有する。上述の種類の油は特性化されている(Kautschuk Gummi Kunststoffe, vol. 52, pages 799−805)。いくつかの実施形態において、MES、RAEおよびTDAEはゴム用のエキステンダー油である。
【0051】
場合によって、本発明の教唆にしたがって加工助剤を第1ポリマー組成物に添加することができる。加工助剤は通常、第1ポリマー組成物粘度を減少させるために添加される。その結果、混合期間が減少し、および/または混合ステップ数が減少し、そして結果として消費されるエネルギーが少ない、および/またはゴム化合物押出プロセスの過程でさらに高いスループットが達成される。場合によって、本発明の教唆にしたがって第1ポリマー組成物中の成分として使用することができる代表的な加工助剤は、the Rubber Handbook, SGF, The Swedish Institution of Rubber Technology 2000およびWerner Kleemann, Kurt Weber, Elastverarbeitung−Kennwerte und Berechnungsmethoden, Deutscher Verlag fur Grundstoffindustrie (Leipzig, 1990)で記載され、これらはそれぞれ全体として参照により援用される。第1ポリマー組成物中の成分として本発明の教唆にしたがって場合により使用することができる代表的な加工助剤の例は、次のように分類することができる:
(A)限定されるものではないが、オレイン酸、プリオレン(priolene)、プリステレン(pristerene)およびステアリンシラ(stearinsyra)をはじめとする脂肪酸;
(B)限定されるものではないが、Aktiplast GT、PP、ST、T、T−60、8、F;Deoflow S;Kettlitz Dispergator FL、FL Plus; Dispergum 18、C、E、K、L、N、T、R; Polyplastol 6、15、19、21、23;Struktol A50P、A60、EF44、EF66、EM16、EM50、WA48、WB16、WB42、WS180、WS280およびZEHDLをはじめとする脂肪酸塩;
(C)限定されるものではないが、Aflux 12、16、42、54、25;Deoflow A、D;Deogum 80;Deosol H;Kettlitz Dispergator DS、KB、OX;Kettlitz−Mediaplast 40、50、Pertac/GR;Kettlitz−Dispergator SI;Struktol FLおよびWB212をはじめとする分散剤および加工助剤;ならびに
(D)限定されるものではないが、Struktol W33およびWB42をはじめとする高活性白色フィラー用の分散剤。
【0052】
二官能化シランおよび一官能化シラン(本明細書中では「シランカップリング剤」とも呼ばれる)はまた、場合によって加工助剤とも称されるが、別々に後述する。
【0053】
いくつかの実施形態において、シランカップリング剤(ポリマーおよび記載されたフィラーの反応性相溶化のために使用)を、本明細書中で前述の修飾ポリマーおよびシリカ、層状ケイ酸塩、例えば限定されるものではないが、マガティアイトまたは炭素−シリカ二重相フィラーなどであって、フィラー成分として使用されるものを含有する組成物に添加する。添加されるシランカップリング剤の典型的な量は、シリカおよび/または炭素−シリカ二重相フィラーの総量100重量部について、約1〜約20重量部であり、いくつかの実施形態では約5〜約15重量部である。
【0054】
シランカップリング剤は、the Fritz Rothemeyer, Franz Sommer: Kautschuk Technologie, (Carl Hanser Verlag 2006)にしたがって分類することができる:
(A)限定されるものではないが、Si230(EtO)
3Si(CH
2)
3Cl、Si225(EtO)
3SiCH=CH
2、A189(EtO)
3Si(CH
2)
3SH、Si 69[(EtO)
3Si(CH
2)
3S
2]
2、Si264(EtO)
3Si−(CH
2)
3SCNおよびSi363(EtO)Si((CH
2−CH
2−O)
5(CH
2)
12CH
3)
2(CH
2)
3SH)を含む二官能化シラン(Evonic Industries AG);ならびに
(B)限定されるものではないが、Si203(EtO)
3−Si−C
3H
7、およびSi208(EtO)
3−Si−C
8H
17を含む一官能化シラン。
【0055】
シランカップリング剤のさらなる例は国際特許出願番号第PCT/US2009/045553で記載され、限定されるものではないが、ビス−(3−ヒドロキシ−ジメチルシリル−プロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−ヒドロキシ−ジメチルシリル−プロピル)−ジスルフィド、ビス−(2−ヒドロキシ−ジメチルシリル−エチル)テトラスルフィド、ビス−(2−ヒドロキシ−ジメチルシリル−エチル)ジスルフィド、3−ヒドロキシ−ジメチルシリル−プロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、および3−ヒドロキシ−ジメチルシリル−プロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドが挙げられる。
【0056】
エラストマーポリマーを本発明の教唆にしたがって1以上のフィラーと混合して、第1組成物を得ることができる。フィラーは強化剤としての機能を果たす。カーボンブラック、シリカ、炭素−シリカ二重相フィラー、クレイ(層状ケイ酸塩)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リグニン、カーボンナノチューブ、アモルファスフィラー、例えばガラス粒子系フィラー、デンプン系フィラーなど、およびそれらの組み合わせは、好適なフィラーの例である。フィラーの例は、全体が参照により援用される、国際出願番号第PCT/US2009/045553号で記載されている。いくつかの実施形態において、カーボンブラックとシリカとの併用、炭素−シリカ二重相フィラー単独の使用、または炭素−シリカ二重相フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカとの併用が用いられる。カーボンブラックは、ファーネス法(furnace method)によって製造され、いくつかの実施形態では50〜200m
2/gの窒素吸着比表面積および80〜200ml/100グラムのDBP油吸収、例えば、FEF;HAF、ISAF、またはSAFクラスのカーボンブラックが用いられる。いくつかの実施形態において、高凝集型カーボンブラックが用いられる。カーボンブラックを典型的には100重量部の総エラストマーポリマーについて典型的には2〜100重量部、いくつかの実施形態では5〜100重量部、いくつかの実施形態では10〜100重量部、そしていくつかの実施形態では10〜95重量部の量で添加する。
【0057】
シリカフィラーの例としては、限定されるものではないが、湿式プロセスシリカ、乾式プロセスシリカ、合成ケイ酸塩型シリカ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。小さな粒径および高表面積を有するシリカは高い強化効果を示す。小径高凝集型シリカ(すなわち、大きな表面積および高い油吸収性を有する)は、エラストマーポリマー組成物中で優れた分散性を示し、所望の特性および優れた加工可能性を示す。第1粒径に関するシリカの平均粒径は、いくつかの実施形態では5〜60nm、いくつかの実施形態では10〜35nmである。さらに、シリカ粒子の比表面積(BET法によって測定)は、いくつかの実施形態では35〜300m
2/gである。シリカフィラー直径、粒子サイズ、およびBET表面の例については、国際特許出願番号第PCT/US2009/045553号を参照のこと。シリカを100重量部の総エラストマーポリマーについて10〜100重量部、いくつかの実施形態では30〜100重量部、いくつかの実施形態では30〜95重量部の量で添加する。シリカフィラーを、限定されるものではないが、カーボンブラック、炭素−シリカ二重相フィラー、クレイ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ、炭酸マグネシウム、およびそれらの組み合わせをはじめとする他のフィラーと組み合わせて使用することができる。
【0058】
カーボンブラックおよびシリカを一緒に添加してもよい;この場合、添加されるカーボンブラックとシリカとの総量は、100重量部の総エラストマーポリマーについて、30〜100重量部であり、いくつかの実施形態では30〜95重量部である。そのようなフィラーがエラストマー組成物中に均一に分散されている限り、(上記範囲内で)量を増加させると、優れた圧延および押出加工可能性を有する組成物、ならびに好ましいヒステリシス損特性、転がり抵抗、改善された濡れすべり耐性、摩耗耐性、および引張強度を示す加硫化生成物が得られる。
【0059】
炭素−シリカ二重相フィラーを、独立してまたはカーボンブラックおよび/もしくはシリカと組み合わせて、本発明の教唆にしたがって使用することができる。炭素−シリカ二重相フィラーは、単独で添加される場合でも、カーボンブラックとシリカとの併用によって得られるものと同じ効果を示し得る。炭素−シリカ二重相フィラーは、カーボンブラックの表面上にシリカをコーティングすることによって作製される、いわゆるシリカ・コート・カーボンブラックであり、商標CRX2000、CRX2002、またはCRX2006(Cabot Co.の製品)で市販されている。炭素−シリカ二重相フィラーをシリカに関して前述したのと同じ量で添加する。炭素−シリカ二重相フィラーを、限定されるものではないが、カーボンブラック、シリカ、クレイ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ、炭酸マグネシウム、およびそれらの組み合わせをはじめとする他のフィラーと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、カーボンブラックおよびシリカは、個々にまたは組み合わせで使用される。
【0060】
シリカ、カーボンブラックもしくはカーボンブラック−シリカ二重相フィラーまたはそれらの組み合わせを、限定されるものではないが、デンプンまたはリグニンをはじめとする天然フィラーと組み合わせて使用することができる。
【0061】
フィラーの例は、全体が参照により援用される、国際特許出願番号第PCT/US2009/045553号で記載されている。
【0062】
いくつかの実施形態において、ゴム化合物中に組み入れられたシリカは、150〜300m
2/gの窒素吸着によって決定される表面積(本明細書中で以下、「N2A」と称される)を有する。150m
2/g未満のN2Aを有するシリカは不利に低い強化効果をもたらす。300m
2/g超のN2Aを有するシリカは、粘度が増加し、加工可能性が低下したゴム化合物を提供する。ゴム化合物中に組み入れられたカーボンブラックの場合、60〜150m
2/gのN2Aが好適である。60m
2/g未満のN2Aを有するカーボンブラックは低い強化効果をもたらす。150m
2/g超のN2Aを有するカーボンブラックは、ヒステリシス損が増加し、加工可能性が低下したゴム化合物を提供する。
1つの実施形態において、シリカを100重量部の全ポリマーについて10〜100重量部、いくつかの実施形態では30〜100重量部、いくつかの実施形態では30〜95重量部の量で添加する。
別の実施形態において、カーボンブラックを100重量部の総ポリマーについて2〜100重量部、いくつかの実施形態では5〜100重量部、いくつかの実施形態では10〜100重量部、いくつかの実施形態では10〜95重量部の量で添加する。
【0063】
さらに別の実施形態において、カーボンブラックおよびシリカを一緒に添加してもよく、この場合、添加されるカーボンブラックおよびシリカの総量は、100重量部の総ポリマーについて、30〜100重量部、好ましくは30〜95重量部である。
【0064】
さらなる実施形態において、本発明によるエラストマーポリマーを含む組成物は、加硫剤をさらに含む。イオウ、イオウ供与体として作用するイオウ含有化合物、イオウ促進剤系、およびペルオキシドは最も一般的な加硫剤である。イオウ供与体として作用するイオウ含有化合物の例としては、限定されるものではないが、ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、およびジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)が挙げられる。イオウ促進剤の例としては、限定されるものではないが、アミン誘導体、グアニジン誘導体、アルデヒドアミン縮合生成物、チアゾール、チウラムスルフィド、ジチオカルバメートおよびチオホスフェートが挙げられる。加硫剤として使用されるペルオキシドの例としては、限定されるものではないが、ジ−tert−ブチル−ペルオキシド、ジ−(tert−ブチル−ペルオキシ−トリメチル−シクロヘキサン)、ジ−(tert−ブチル−ペルオキシ−イソプロピル−)ベンゼン、ジクロロ−ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert−ブチル−クミル−ペルオキシド、ジメチル−ジ(tert−ブチル−ペルオキシ)ヘキサンおよびジメチル−ジ(tert−ブチル−ペルオキシ)ヘキシンおよびブチル−ジ(tert−ブチル−ペルオキシ)バレレート(Rubber Handbook, SGF, The Swedish Institution of Rubber Technology 2000)が挙げられる。加硫剤に関するさらなる例およびさらなる情報は、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical technology 3
rd, Ed., (Wiley Interscience, N.Y. 1982), volume 20, pp. 365−468, (特に、“Vulcanizing Agents and Auxiliary Materials” pp.390−402)で見ることができる。
【0065】
スルフェンアミド型、グアニジン型、またはチウラム型の加硫促進剤を必要に応じて加硫剤とともに使用することができる。亜鉛白、加硫補助剤、老化防止剤(aging preventive)、加工アジュバントなどの他の添加剤を場合によって添加してもよい。加硫剤を、典型的にはポリマー組成物に100重量部の総エラストマーポリマーについて0.5〜10重量部、いくつかの好ましい実施形態では1〜6重量部の量で添加する。加硫促進剤の例、および総ポリマーに関する促進剤の添加量は、国際特許公開第2009/148932号で記載されている。イオウ促進剤系は、酸化亜鉛を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。好ましくは、酸化亜鉛をイオウ促進剤系の成分として適用する。
【0066】
さらに別の態様において、本発明はしたがって、架橋エラストマーポリマーの調製のためのプロセスであって、ステップ(iv)を含むプロセスに関する:
(iv)加硫剤を、エラストマーポリマーまたはエラストマーポリマーを含む組成物に添加し;エラストマーポリマーを架橋するステップ。
【0067】
エラストマーポリマーまたはエラストマーポリマーを含む組成物を加硫するステップ(iv)は、従来型加硫設備および前述の従来型加硫剤を使用して実施することができる。
【0068】
本発明はさらに、ステップ(iv)を含む上記プロセスにしたがって得ることができる架橋エラストマーポリマー、ならびに前記架橋エラストマーポリマーを含む組成物に関する。
【0069】
さらに、本発明は、本発明の組成物の1つを含む物品に関する。言い換えれば、本発明はしたがって、エラストマーポリマーまたは前述の架橋エラストマーポリマーを含む組成物を含む物品に関する。好ましい実施形態において、本発明による物品は、タイヤトレッド、タイヤ側壁、コンベヤーベルト、シールまたはホースである。
【0070】
本発明の加硫化エラストマーポリマー組成物は、低い転がり抵抗、低い動的発熱、および優れた濡れすべり性能(wet skid performance)を示すことが判明した。したがって、本発明のポリマー組成物、好ましくは本明細書中で前述の修飾ポリマーおよびフィラーならびに加硫剤を含有する組成物、および加硫化エラストマーポリマー組成物は、タイヤ、タイヤトレッド、側壁、およびタイヤカルカス、ならびにベルト、ホース、振動ダンパー、および靴の構成部分などの他の工業製品の調製での使用に非常に適している。さらに、本発明によるポリマーは、伝統的な修飾ポリマーを含む先行技術の組成物の加工可能性と比較した場合、改善された加工可能性(混合装置における改善された組み込みおよび減少した発熱、ロールミルでの減少したバンディング、改善された押出挙動、減少した押出物ダイスウェル、平滑性などを含む)を示す。
【0071】
さらに、修飾エラストマー本発明によるポリマーは、特に、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の調製においてポリスチレン中、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)、ポリウレタンまたはポリカーボネートの調製においてスチレン−アクリルニトリルコポリマー中プラスチックの修飾のために使用することができることが観察される。
【0072】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に記載する。
【0073】
試験法
サイズ排除クロマトグラフィー
ポリマーの分子量および分子量分布を各々、ポリスチレン標準に基づくサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して測定した。各ポリマーサンプル(9〜11mg)をテトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させて、溶液を形成した。溶液を、0.45μmフィルターを使用して濾過した。100μLのサンプルをGPCカラム(3つのPLGEL10μm MIXED−Bカラムを有するHewlett Packard system 1100)中に供給した。屈折率検出を、分子量を分析するための検出器として使用した。分子量は、Polymer Laboratoriesから得られるEasiCal PS1(Easy AおよびB)ポリスチレン標準での校正に基づいてポリスチレンとして算出した。数平均分子量(Mn)値および重量平均分子量(Mw)値は、ポリスチレン標準に基づいて得られる。分子量分布を分散性D=Mw/Mnとして表す。
【0074】
モノマー変換率を測定するためのGC分析
ガスクロマトグラフィーによって重合の最後でポリマー溶液中の残留モノマー濃度を測定することによって、モノマー変換率を決定した。
【0075】
約0.5gのポリマー溶液を20mlバイアル中に集め、シクロヘキサン溶媒を用いて1:10に希釈した。約30mgの希釈サンプルを密封されたヘッドスペースバイアル中にシリンジによって秤取した。サンプルを140℃まで10分間加熱した。ヘッドスペースは、表Aで示される以下の条件を用いてGCにより分析した。
【0076】
【表1】
【0077】
外部標準技術によって定量化を実施した。
【0078】
最大固形分は供給された成分の総量に基づいて算出する。
TSC max=(g/分Bde+g/分Sty)/(TF)
*100%
TF(総流量、g/分)=(Bde(g/分)+Sty(g/分)+DOP(g/分)+BuLi(g/分)+1,2−ブタジエン(g/分)+シクロヘキサン(g/分))。
Bde=1,3−ブタジエン
Sty=スチレン
BuLi=ブチルリチウム
【0079】
GC分析の結果は通常、もとのポリマー溶液中に含まれる残留モノマーのppmで提供される。
【0080】
「g/分」で表した残留物(RM)の量は、次式から算出することができる:
RM(g/分)=((((g/分Bde+g/分Sty)/TSC max)*100)/1000000)*(ppmBde+ppmSty))
あるいは
RM(g/分)=(TF/1000000)*(ppmBde+ppmSty)
【0081】
モノマー変換率を次のようにして算出した:
C(%)=100−(RM/(g/分Bd+g/分St)*100
【0082】
1H−NMR
ビニルおよび総スチレン含有量を、1H−NMRを使用し、ISO 21561−2005に従い、NMR分光計BRUKER Avance 400MHz)、および5mm二重プローブを使用して測定した。CDCl3/TMSを0.05%:99.95%の重量比で溶媒として使用した。6を超える連続したスチレン単位からなるブロックスチレンの含有量を、Y. Tanaka et al.によってRubber Chemistry and Technology, 1981, 54, No. 4, 685−691で報告されている方法に従い、6.7ppm超で共鳴するオルトPh−プロトンシグナルの相対強度を用いて測定した。
【0083】
ムーニー粘度ML1+4(100℃)
ムーニー粘度を、ASTM D1646(2004)にしたがって、1分の予熱時間、および4分のローター運転時間で、100℃の温度にて[ML1+4(100℃)]、Alpha−Technologies製のMV2000 Eで測定した。
【0084】
式2および3による化合物の濃度を測定するためのGC分析
ポリマー溶液中の式2および3による化合物の濃度は、表Bで記載される条件下でガスクロマトグラフィーによって測定した。
【0085】
0.4〜0.6gのポリマー溶液を10mlのバイアル中に集め、約5gのシクロヘキサンで希釈した。分析を自動サンプラーで実施する。各バイアル中で、1mlのポリマーサンプルを添加した。既知濃度の修飾剤1の3つの異なる溶液を用いて校正を実施した。
【0086】
【表2】
【0087】
加硫物化合物特性
転がり抵抗
Tanδ(60℃)は、60℃にて2Hzの周波数で0.2%の圧縮動的歪みを適用して、Gabo Qualimeter Testanlage GmbH(独国)によって製造された動的分光器Eplexor 150Nを用いて測定した。指数が小さいほど、転がり抵抗は低い。
【0088】
グリップ
Tanδ(0℃)を0℃にて、転がり抵抗に関して前述したのと同じ設備およびロード条件を使用して測定した。指数が大きいほど、濡れすべり耐性は良好である。
【0089】
摩耗
Din摩耗をDIN 53516にしたがって測定した。指数が大きいほど、耐摩耗性は低い。