特許第5960914号(P5960914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960914
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】携帯型工具
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   B25C7/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-527006(P2015-527006)
(86)(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公表番号】特表2015-524755(P2015-524755A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2013067359
(87)【国際公開番号】WO2014029796
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年2月17日
(31)【優先権主張番号】102012215126.5
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ イワン
(72)【発明者】
【氏名】フィーリッツ, ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ベルシュ, クラウス
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−025347(JP,A)
【文献】 特開2009−056566(JP,A)
【文献】 特開平08−276375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 7/00
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(6)内に固定要素(3)を打ち込む携帯型工具(1)であって、
解除装置(20)を有し、該解除装置の作動が打ち込みプロセスを開始させ、少なくとも1つの工具の状態に依存してブロック可能である工具において、
電気的に作動可能である機械的なブロック装置(40)が前記解除装置(20)の作動を無効又は有効にするように前記解除装置(20)と組み合わされており、
前記ブロック装置(40)は伝動要素(30)に機械的に結合されて、該伝動要素が前記解除装置(20)によって機械的に作動可能であり、
前記伝動要素(30)は凹み(34)を有する一方、前記解除装置(20)に対する前記凹みの位置を前記ブロック装置(40)によって可変可能に構成されており
前記凹み(34)が前記解除装置(20)に対する無効位置に位置付けられた状態では、前記解除装置(20)のアクチュエータ(35)が作動されても、該アクチュエータ(35)が前記伝動要素(30)を起動させることなく前記凹み(34)に受け入れられて、前記解除装置(20)の作動を無効にし、
一方、前記凹み(34)が前記解除装置(20)に対する有効位置に位置付けられた状態では、前記解除装置(20)のアクチュエータ(35)が作動されると、該アクチュエータ(35)が前記伝動要素(30)を起動させて前記解除装置(20)の作動を有効にすることを特徴とする携帯型工具。
【請求項2】
前記ブロック装置(40)は前記伝動要素(30)に機械的に結合されたタペット(25)を備え、前記解除装置(20)は前記アクチュエータ(35)付きの解除スイッチ(22)を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯型工具。
【請求項3】
前記タペット(25)は、前記解除装置(20)の作動を無効にするブロック位置と、前記解除装置(20)の作動を有効にするリリース位置との間にて、線形又は旋回軸回りに可動であることを特徴とする請求項2に記載の携帯型工具。
【請求項4】
前記伝動要素(30)はレバー(32)として構成され、前記ブロック装置(40)によって前記伝動要素(30)の長手方向に作動し、前記解除装置(20)によって前記伝動要素(30)の横断方向に作動されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の携帯型工具。
【請求項5】
前記ブロック装置(40)は制御を目的としてコントローラ(18)に接続されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の携帯型工具。
【請求項6】
前記コントローラ(18)は接触圧センサ(16)に接続されていることを特徴とする請求項に記載の携帯型工具。
【請求項7】
前記コントローラ(18)は、前記接触圧センサ(16)がベース(6)に対する携帯型工具(1)の押圧を検出するなら、前記ブロック装置(40)が前記解除装置(20)の作動を有効にし、前記接触圧センサ(16)がベース(6)に対する携帯型工具(1)の押圧を検出しないなら、前記ブロック装置(40)が前記解除装置(20)の作動を無効にするように、前記ブロック装置(40)を電気的に作動させることを特徴とする請求項に記載の携帯型工具。
【請求項8】
前記ブロック装置(40)は電磁石及びリフト部材を更に含むことを特徴とする請求項に記載の携帯型工具。
【請求項9】
前記リフト部材は前記電磁石を少なくとも部分に貫通することを特徴とする請求項に記載の携帯型工具。
【請求項10】
前記リフト部材(62)は、前記解除装置(20)の作動を無効にするブロック位置及び前記解除装置(20)の作動を有効にするリリース位置の両方にて前記電磁石(61)の外側に完全に配置されていることを特徴とする請求項に記載の携帯型工具。
【請求項11】
前記タペットは前記リフト部材を備えることを特徴とする請求項に記載の携帯型工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース内に固定要素を打ち込む携帯型工具に関し、該工具は解除装置を有し、該解除装置の作動は打ち込みプロセスを開始させ、解除装置は少なくとも1つの工具の状態に依存してブロックされる。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1は固定要素に衝撃を加える装置を開示し、該装置は打ち込みプロセスを開始させる解除機構と、解除機構を不作動にする解除不可機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7922054号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって処理される課題は、ベース内に固定要素を打ち込む携帯型工具の操作を更に簡略又は改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、ベース内に固定要素を打ち込む携帯型工具のために解決され、該工具は解除装置を有し、該解除装置の作動は打ち込みプロセスを開始させ、少なくとも1つの工具の状態に依存して解除装置がブロックされる。そして、本発明の工具は、前記解除装置の作動をブロック(無効)又は自由(有効又はリリース)にするための電気的に作動可能である機械的なブロック装置を解除装置と組合せたことに特徴付けられる。好ましくは、解除装置は解除スイッチを備え、該解除スイッチは引き金として参照される。好ましくは、解除装置はリフト磁石、特に好ましくは電磁石として構成され、装置内の内部コントローラを介して電気的に作動可能である。解除装置はリフト部材によって迅速且つ安全にブロック又は自由に作動可能である。好ましくは、携帯型工具はボルト打ち込み工具として構成される。ボルト打ち込み工具は電気的、空圧的又は燃料を用いて作動可能である。電気的に作動される場合、ボルト打ち込み工具は、エネルギを蓄える内部蓄積装置として役立つばね装置を備え、エネルギはボルト打ち込み工具内の電動駆動ユニットを源とし、打ち込みプロセス中、不意に出力される。
【0008】
携帯型工具の好適な実施形態は、ブロック装置が伝動要素に機械的に結合され、そして、該伝動要素が解除装置に機械的に作動可能であることに特徴付けられる。好ましくは、伝動要素はブロック機能及びリリース機能を達成するために使用される。
【0009】
携帯型工具の前記好適な実施形態は、伝動要素が凹みを有し、解除装置に対する凹みの位置がブロック装置によって可変できることに特徴付けられる。これにより、解除装置は簡単にしてブロック又はリリース可能となる。
【0010】
携帯型工具の前記好適な実施形態は、伝動要素を動かすこと無く、作動時、解除装置のアクチュエータが凹みに受け入れられるべく、凹みが解除装置に対する無効位置に位置付けられていることに特徴付けられる。好適には、伝動要素にはその無効位置内への予張力がかけられている。これにより、フェールセーフの解法が簡単にして達成される。
【0011】
携帯型工具の前記好適な実施形態は、作動中、解除装置のアクチュエータが伝動要素を動かすように、凹みが解除装置に対する有効位置に位置付けられていることに特徴付けられる。有効位置において、解除装置のアクチュエータ伝動要素の凹みに受け入れられることはない。
【0012】
携帯型工具の好適な別の実施形態は、ブロック装置が伝動要素に機械的に結合されたタペットを含み、解除装置はアクチュエータ付きの解除スイッチを備えるに特徴付けられる。好ましくは、タペットはブロック装置の電気的な作動によって彼方此方に可動であり、その可動は線形又は旋回軸回りであるのが好ましい。
携帯型工具の好適な別の実施形態は、解除装置(解除スイッチ)の作動を無効にするブロック位置と解除装置(解除スイッチ)の作動を有効するリリース位置との間にてタペットが可動であることに特徴付けられる。好ましくは、タペットは線形又は旋回軸回りに移動する。解除スイッチにおけるタペットの動作指向に起因して、或る精巧な機構が不要となる。
携帯型工具の好適な別の実施形態は、伝動要素がレバーとして構成され、その長手方向にはブロック装置によって、その横断方向には解除装置によって作動されることに特徴付けられる。レバーはブロック装置に面する端にて関節的に取り付けられている。レバーはブロック装置に背向する端にて、例えば別の結合要素を介して工具の駆動装置に結合可能である。
【0013】
携帯型工具の好適な別の実施形態は、ブロック装置(リフト磁石)が制御を目的としてコントローラに接続されていることに特徴付けられる。該コントローラは工具内に組み込まれ、少なくとも1つの工具の状態に依存してリフト磁石を作動させるために使用される。
【0014】
携帯型工具の好適な別の実施形態は、コントローラが接触圧センサに接続されていることに特徴付けられる。該接触圧センサは工具がユーザによってベースに押圧されているか否かを検出するために使用される。
【0015】
携帯型工具の好適な別の実施形態は、接触圧センサがベースに対する携帯型工具の押圧を検出するならブロック装置が解除装置の作動を自由にし、接触圧センサがベースに対する携帯型工具の押圧を検出しないならブロック装置が解除装置の作動をブロックするように、コントローラがブロック装置を電気的に作動させることに特徴付けられる。
【0016】
携帯型工具の好適な別の実施形態は、ブロック装置が電磁石及びリフト部材を備えることに特徴付けられる。好ましくは、リフト部材は電磁石を部分的に、特に好ましくは完全に貫通する。別の好適な実施形態によれば、リフト部材はブロック装置のブロック位置及びリリース位置の両方にて、電磁石の外側に完全に配置されている。
【0017】
携帯型工具の好適な別の実施形態は、タペットがリフト部材を備えることに特徴付けられる。
【0018】
本発明の他の利点、特徴及び詳細は後述の説明から明らかとなり、この説明において、種々の実施形態が添付図面を参照しながら詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】解除装置及びリフト部材を有する参考例としての携帯型工具をブロック位置にて示す図である。
図2図1の状態からリフト部材がリリース位置にある工具を示す図である。
図3実施形態に係るリフト磁石を備えた解除装置の詳細に示す図である。
図4】ブロック装置の別の実施形態を示す図である。
図5】ブロック装置の別の実施形態を示す図である。
図6】ブロック装置の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2はボルト打ち込み工具1として構成された携帯型工具を2つの状態で示す。ボルト打ち込み工具1は駆動要素としてのばね装置10を備え、それ故、ばね型の釘打ち機として参照される。ばね装置10は電動モータによって緊張され、電動モータはスピンドル12を駆動する。該スピンドル12は打ち込み工具1のハウジング2内にスピンドルナット14とともに配置されている。
【0021】
ハウジング2は、固定要素、詳しくはボルトのためのマガジン3を備え、該マガジン3内にボルトが備蓄されている。更に、ボルト打ち込み工具1はハンドル4を備え、該ハンドル4はユーザの手によって把持される。固定要素はテーパロッド8を介してボルト打ち込み端5にて工具1から出て、ベース6内に打ち込まれる
工具1のボルト打ち込み端5には接触圧センサ16が配置されている。該接触圧センサ16は、ユーザによる使用中、ベース6に対して工具1が押圧されているか否かを検出する。制御を目的として接触圧センサ16はコントローラ18に接続されている。次にコントローラ18は制御を目的として工具1の解除装置20に接続され、その制御は電気的に実行される。図示されていないが、図1,2の参考例ではその制御が機械的に実施される。解除装置20は解除スイッチ22を含み、該解除スイッチ22は引き金として参照される。
【0022】
図1に示されるように解除スイッチ22の作動はリフト磁石24によってブロックすることができ、リフト磁石24は電磁石として構成されている。リフト磁石24はタペット25を有し、該タペット25は解除スイッチ22に直接的に働く。図1において、リフト磁石24のタペット25はブロック位置にあり、該ブロック位置にて解除スイッチ22の作動はブロックされている。図2において、リフト磁石24のタペット25はリリース位置にあり、該リリース位置にて、解除スイッチ22はリリース、つまり、自由にされている。タペット25のリフト要素(リフト部材)はリフト磁石24を完全に貫通している。
【0023】
リフト磁石24は接触圧センサ16からの接触圧信号に依存してコントローラ18によりリリース又はブロックすべく作動される。接触圧センサ16からの接触圧信号に代えて、磁石24を制御するために装置の他のリリース信号、特に電気的又は機械的な信号を使用可能である。
【0024】
図3において、図1に示された工具における解除装置20の解除スイッチ22は伝動要素30を介してリフト磁石40に結合されている。伝動要素30はリフト磁石40によって作動される。伝動要素30の位置に依存し、解除装置20の解除スイッチ22はブロック又は解放される。
【0025】
伝動要素30はレバー32を含み、該レバー32は図3に示されるように、その下端にて支持構造(図示しない)又はリフト磁石40に関節結合されている。図3において、伝動要素30は結合要素44にレバー32の上端にて関節結合されている。更に、レバー32はその両端間に凹み34を含み、該凹みは貫通孔として形成されている。
【0026】
凹み34はアクチュエータ35と組みをなし、該アクチュエータ35は解除スイッチ22に形成されている。二重の矢印36は、解除装置20の作動中、アクチュエータ35が図3でみて左右に変位するように移動されることを示す。
【0027】
図3では、伝動要素30は受入れ位置にある。該受入れ位置において、解除スイッチ22の作動中、アクチュエータ35が凹み34内に移動すべくレバー32の凹み34は解除装置20のアクチュエータ35に対して位置付けられている。解除スイッチ33は言わば、空所内に移動する。最早、レバー32は解除スイッチ22によってリリースされない。
【0028】
二重の矢印41は、レバー32における長手方向の上下に変位すべくレバー32がリフト磁石40によって作動されることを示す。図3において、レバー32が上方又下方に移動されるなら、レバー32はリリース位置を占め、該リリース位置にて、解除スイッチ22の作動はレバー32を起動させる。このようなレバー32の起動は二重の矢印45で示されるように、結合要素44を介して工具1の駆動機構に伝達される。
【0029】
図4を参照すれば、ブロック装置50は電気的に作動可能な電磁石51と、リフト部材52とを備え、該リフト部材52はその全ての作動位置にて電磁石51の外側に完全に配置され、枢軸53に関節結合されている。好ましくは、リフト部材52は強磁性又は永久的な磁石材料から形成されている。
【0030】
図5を参照すれば、ブロック装置60は電気的に作動可能な電磁石61と、リフト部材62とを備え、該リフト部材62はその全ての作動位置にて電磁石61の外側に完全に配置されている。リフト部材62はピストンとして構成され、ガイド64内を移動可能である。リフト部材62はタペット63に堅固に連結され、好ましくは、リフト部材62及び特にタペット63は強磁性又は永久的な磁石材料から形成されている。
【0031】
図6を参照すれば、ブロック装置70は電気的に作動可能なアクチュエータ71と、旋回レバー73とを備え、該旋回レバー73は旋回軸72の回りを旋回的に移動可能であり、旋回軸72に関節結合されている。旋回レバー73は解除スイッチ74に機械的且つ直接的に働く。安全性を高めるため、解除スイッチ74は好ましくは凹み75を有し、この凹み75に旋回レバー73がブロック位置にて係合する。凹み75の外形は旋回レバー73の外形に適合されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6