特許第5960964号(P5960964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960964
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】切り花展示用フラワーショーケース
(51)【国際特許分類】
   A01G 5/06 20060101AFI20160719BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20160719BHJP
   A47F 7/00 20060101ALI20160719BHJP
   A47G 7/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A01G5/06
   C02F1/46 Z
   A47F7/00 W
   A47G7/04 C
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-228099(P2011-228099)
(22)【出願日】2011年10月17日
(65)【公開番号】特開2013-85506(P2013-85506A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(74)【代理人】
【識別番号】100076842
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恭一郎
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−082513(JP,A)
【文献】 特開2000−125661(JP,A)
【文献】 特開平09−140525(JP,A)
【文献】 特開2001−095375(JP,A)
【文献】 特開平10−052168(JP,A)
【文献】 特開2005−008542(JP,A)
【文献】 特開平10−314738(JP,A)
【文献】 実開平01−004167(JP,U)
【文献】 特開平11−243780(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3039963(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第02421685(GB,A)
【文献】 特開2005−125049(JP,A)
【文献】 特開2000−281501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 5/06
A01G 27/00 − 27/06
A47F 7/00
A47G 7/04
C02F 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り花用の活け水を収容する階段状に配置された複数段の水槽と、
活け水として用いる電解生成酸性水を上段側の前記水槽に給水する電解水生成装置と
前記電解水生成装置の電解運転を制御する制御装置とを備えた切り花展示用フラワーショーケースであり、
前記制御装置は、前記複数段の水槽内に収容される活け水の総収容量より所定量多く設定した設定水量の電解生成酸性水が生成されるように前記電解水生成装置の電解運転を制御することで、生成された電解生成酸性水を前記上段側の水槽内に給水するとともに、前記上段側の水槽内に給水された活け水を一定の水位に保持しつつ次段の下段側の水槽内にオーバーフローさせて前記下段側の水槽内に給水し、最も下段に配置された水槽からオーバーフローする活け水を排水管によって排水するようにして前記複数段の水槽の活け水を入替えるようにしたものであり、
前記制御装置は、前記複数段の水槽に活け水の入替えを実行するときに、前記電解生成装置を間欠的に電解運転するように制御したことを特徴とする切り花展示用フラワーショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り花展示用フラワーショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
切り花展示用フラワーショーケースの一形式として、切り花用の活け水を収容する水槽を階段状に複数段備え、活け水用の水源から活け水を上段側の水槽内に給水するとともに、同上段側の水槽内に給水された活け水を一定の水位に保持しつつ次段の下段側の水槽内にオーバーフローさせて同下段側の水槽内に給水する切り花展示用フラワーショーケースがある(特許文献1を参照)。当該形式の切り花展示用フラワーショーケースにおいては、水槽内の活け水に活けられた切り花の鮮度を保って、可能なかぎり、長期間の展示に耐えるようにすることが要請される。
【0003】
ところで、当該形式のフラワーショーケースにおいては、活け水として、通常の水道水や、通常の水道水に延命剤(例えばクリザール:商品名)を添加した水を使用しているのが一般である。しかしながら、このような活け水には、除菌作用が皆無か極めて低いため、当該活け水を収容する水槽内には、水垢やカビ等が早期に発生することになる。
【0004】
このため、当該フラワーショーケースでは、水槽内の活け水を、高い頻度で、定期的に入れ替えるとともに、新たな活け水を水槽内に給水するに先立って、水槽内の水垢やカビ等をブラシで除去するとともに水槽内を水洗浄し、また、切り花を、花桶を介して水槽内に収容する場合にあっては、使用した花桶の内外の水垢やカビ等をブラシで除去するとともに水洗浄しているのが実状である。このように、水垢やカビ等をブラシで除去する作業を伴う水槽や花桶の洗浄作業は、切り花を展示する作業者にとっては、非常に面倒で時間を要する作業である。
【0005】
上記した特許文献1にて提案されているフラワーショーケースにおいては、各水槽内の活け水を循環させる循環管路を形成するとともに、当該循環管路の途中に活性化装置を介装して、当該活性化装置内で循環する活け水の水分子クラスターを細分して活性化し、活性化された活け水を各水槽内に循環供給する手段を採っている。但し、水分子クラスターを細分化された活け水が、水槽内の切り花の鮮度にどの程度機能するのかについては、明確に示してはいない。
【0006】
一方、切り花の鮮度を保持する手段として、電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を活け水として採用することが提案されている(特許文献2を参照)。当該電解生成酸性水は、殺菌作用が高いため、水槽内での水垢やカビ等の発生を大幅に抑制して、切り花の鮮度を長期間保持すべく機能する。使用される電解生成酸性水としては、好ましくは、pHが3以下という強酸性の電解生成酸性水が推奨されている。
【0007】
本発明者等は、上記した特許文献2にて、切り花用の活け水として推奨されている電解生成酸性水に着目して、当該フラワーショーケースに、電解生成酸性水を生成し得る電解水生成装置を装備したフラワーショーケースを開発している。
【0008】
当該電解水生成装置を装備するフラワーショーケースにおいては、電解水生成装置を活け水の水源として機能させて、電解水生成装置で生成される電解生成酸性水を活け水として水槽内に給水することができる。これにより、電解生成酸性水の殺菌作用や除菌作用によって、水槽内や花桶の内外での水垢やカビ等の発生を大幅に抑制して、水槽内の活け水を長時間新鮮に保持することができる。このため、当該フラワーショーケースにおいては、当該活け水が収容されている水槽内に活けられている切り花は、当該活け水が殺菌作用や除菌作用を残存している限りにおいて、その鮮度が長時間保持されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−125049号公報
【特許文献2】特許第3078791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、切り花用の活け水として電解生成酸性水を採用するフラワーショーケースにおいては、当該活け水が殺菌作用や除菌作用を残存している限りにおいて、その鮮度が長時間保持され、結果として、水槽内の切り花の鮮度が長時間保持されることになる。しかしながら、電解生成酸性水の殺菌作用や除菌作用は、電解生成酸性水中の殺菌能を発揮する塩素成分(有効塩素濃度)に起因するもので、当該塩素成分は経時的に漸次減少して、最終的には、殺菌作用や除菌作用を喪失することになる。
【0011】
このため、切り花用の活け水として電解生成酸性水を採用するフラワーショーケースにおいては、各水槽内に収容されている活け水の入替えを、頻度は少ないが、定期的に行うようにすることが好ましい。但し、この場合の活け水の入替えでは、各水槽内や花桶の内外には水垢やカビ等の付着は極めて少ないことから、活け水の入替え毎の水垢やカビ等の除去洗浄作業はかならずしも要しない。
【0012】
本発明の目的は、切り花用の活け水として電解生成酸性水を採用するフラワーショーケースにおいて、各水槽内の活け水(電解生成酸性水)の入替えを合理的に行うことにあり、特に、各水槽内の活け水の入替えを、電解生成酸性水を無駄に消費することなく的確に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するため、切り花用の活け水を収容する階段状に配置された複数段の水槽と、活け水の水源として用いる電解生成酸性水を上段側の水槽に給水する電解水生成装置と電解水生成装置の電解運転を制御する制御装置とを備えた切り花展示用フラワーショーケースであり、制御装置は、複数段の水槽内に収容される活け水の総収容量より所定量多く設定した設定水量の電解生成酸性水が生成されるように電解水生成装置の電解運転を制御することで、生成された電解生成酸性水を上段側の水槽内に給水するとともに、上段側の水槽内に給水された活け水を一定の水位に保持しつつ次段の下段側の水槽内にオーバーフローさせて下段側の水槽内に給水し、最も下段に配置された水槽からオーバーフローする活け水を排水管によって排水するようにして複数段の水槽の活け水を入替えるようにしたものであり、制御装置は、複数段の水槽に活け水の入替えを実行するときに、電解生成装置を間欠的に電解運転するように制御したことを特徴とする切り花展示用フラワーショーケースを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るフラワーショーケースの正面図である。
図2】当該フラワーショーケースの側面図である。
図3】花桶を収容した水槽を縦断したサイドパネルを取り外した状態の当該フラワーショーケースの側面図である。
図4】当該フラワーショーケースの水経路を主として示す概略構成図である。
図5】当該フラワーショーケースを構成する水槽の正面側の斜め上方からみた斜視図(a)、および、平面図(b)である。
図6】当該水槽における図5(b)の 矢印6−6線方向にみた縦断側面図である。
図7】当該フラワーショーケースに使用する花桶の一実施形態を示す正面側の上方からみた斜視図(a)、側面図(b)、および、縦断側面図(c)である。
図8】活け水の入替え手段の一実施態様を示す電解運転の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、切り花展示用フラワーショーケースに関する。本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースは、活け水を収容する水槽を階段状に複数段備え、活け水の水源である電解水生成装置を電解運転して、生成された電解生成酸性水を活け水として上段側の水槽内に給水するとともに、同上段側の水槽内に給水された活け水を一定の水位に保持しつつ次段の下段側の水槽内にオーバーフローさせて同下段側の水槽内に給水する形式の切り花展示用フラワーショーケースである。
【0025】
本発明は、切り花用の活け水として電解生成酸性水を採用するフラワーショーケースにおいて、各水槽内の活け水(電解生成酸性水)の入替えを合理的に行うことを意図し、特に、各水槽内の活け水の入替えを、電解生成酸性水を無駄に消費することなく的確に行うことを意図している。
【0026】
図1は、本発明に係るフラワーショーケースの一実施形態を示す正面図、図2は、当該フラワーショーケースの側面図、図3は、花桶を収容した水槽を縦断し、サイドパネルを取り外した状態の当該フラワーショーケースの側面図、図4は、当該フラワーショーケースの水経路を主として示す概略構成図である。但し、図1および図2では、当該フラワーショーケースが有する4本の脚部は省略している。
【0027】
本発明の一実施形態に係るフラワーショーケースは、フレーム構造体10における階段の各段部11a,11b,11c上に配置された水槽20内に収容した花桶30内に、切り花を挿入して展示に供するもので、本実施形態では、図3および図4に示すように、フレーム構造体10の階段の各段部11a〜11c上に、互いに並列配置した状態の水槽20a,20bが3階段に配設している。当該フラワーショーケースの使用時には、水槽20a,20b内のそれぞれに、左右一対の花桶30が収容される。
【0028】
当該フラワーショーケースにおいては、フレーム構造体10における階段の下方の空間部が機械室となっていて、当該機械室には、電解水生成装置40を構成する電解槽機構部41、濃塩水タンク42、電解水生成装置40の電解運転を制御する制御装置等が配設されている。機械室の前側は、フロントパネル12にて覆蓋されている。なお、フレーム構造体10においては、その側部に、サイドパネル13a,13b、および、化粧板14が取付けられている。サイドパネル13aは当該機械室の側部を覆蓋し、化粧板14は階段状に配置された各水槽20a,20bの側部を覆蓋している。サイドパネル13bは、ガラス板等透視可能なサイドパネルであって、当該切り花展示用の空間部の側部を覆蓋している。
【0029】
当該フラワーショーケースを構成する水槽20(20a,20b)は、図5および図6に示すように、上方が開口する長方形状を呈する函体22であって、函体22を構成する周壁22aの内部には多数のリブが立設されている。各リブは、函体22の内部に、花桶30を収容する左右一対の収容空間部22b1,22b2を形成している。また、各リブは、函体22の内部における各収容空間部22b1,22b2の後方の部位に、函体22内に給水される活け水を受水する左右一対の受水空間部22c1,22c2を形成している。
【0030】
また、函体22の内部における各収容空間部22b1,22b2の前側の底部には、オーバーフローパイプ21を立設するための取付孔部24a,24bが形成されている。なお、当該水槽20においては、オーバーフローパイプ21は取付孔部24a,24bに選択的に取付けられるもので、オーバーフローパイプ21が取付けられない方の取付孔部は閉塞される。
【0031】
また、当該水槽20の函体22内には、各花桶30の外周と函体22の内壁22a間に生じる活け水の水流を規制すべく、一対のリブ23a,23aが立設されている。各リブ23a,23aは、受水空間部22c1,22c2に給水された活け水の、各花桶30の外周と函体22の周壁22a間を流れる水流を規制する。また、函体22内には、収容空間部22b1,22b2の一隅部のそれぞれに、ガイドとして機能するリブ23b,23bが立設されている。これらのリブ23b,23bは、各花桶30を各収容空間部22b1,22b2に収容する際、各リブ23a,23aと協働して、各花桶30を各収容空間部22b1,22b2に案内すべく機能する。
【0032】
図4に示す各水槽20a,20bのうち、上段の各水槽20a,20bにおけるオーバーフローパイプ21は、図示左側の取付孔部24aに取付けられて起立して、中段の各水槽20a,20b内の左側の受水空間部22c1の上方部位に臨んでいる。中段の各水槽20a,20bにおけるオーバーフローパイプ21は、図示右側の取付孔部24bに取付けられて起立して、下段の各水槽20a,20b内の右側の受水空間部22c2の上方部位に臨んでいる。下段の各水槽20a,20bにおけるオーバーフローパイプ21は、図示左側の取付孔部24aに取付けられて起立して、排水管54に接続されている。
【0033】
各水槽20a,20bを図4に示すように配置するには、例えば、先ず、各水槽20a,20bをフレーム構造体10の下段部11c上に配置し、次いで、各水槽20a,20bを中段部11b上に配置し、最後に、各水槽20a,20bを上段部11a上に配置する。この場合、各水槽20a,20bを中段部11b上に配置するには、配置すべき各水槽20a,20bの前側の下方の部位を、下段部11cの各水槽20a,20bの後側の上方の部位に重合した状態で、中段部11b上に載置する。
【0034】
また、各水槽20a,20bを上段部11a上に配置するには、これと同様、配置すべき各水槽20a,20bの前側の下方の部位を、中段部11bの各水槽20a,20bの後側の上方の部位に重合した状態で、上段部11a上に載置する。図3には、各水槽槽20(20a,20b)を各段部11a〜11c上にこのように配置して構成したフラワーショーケースであって、各水槽20内に、後述する花桶30を収容した状態のフラワーショーケースを示している。
【0035】
当該フラワーショーケースにおいては、上段の各水槽20a,20bは水源として装備している電解水生成装置40に給水管を介して接続されていて、各水槽20a,20bに対する給水は、当該電解水生成装置40を電解運転することにより行われる。
【0036】
当該電解水生成装置40は、被電解水を有隔膜電解する有隔膜電解槽を主体とする電解槽機構部41と、被電解水を調製するための濃塩水を収容する濃塩水タンク42を主体とする被電解水調製機構からなるもので、電解槽機構部41を構成する有隔膜電解槽の陽極側電解室が給水管51を介して、上段の各水槽20a,20bに接続されている。また、有隔膜電解槽には、被電解水の給水管52が接続されている。給水管52は、水道管に接続されているとともに、有隔膜解槽の接続部位より上流側の部位に、濃塩水タンク42が給水管52aを介して接続されている。また、給水管51の途中には、三方弁53aを介して注出管53bが接続されている。当該注出管53bは、電解生成酸性水を注出すべく機能する。
【0037】
当該フラワーショーケースにおいては、電解生成酸性水装置40の電解運転により生成される電解生成酸性水は、給水管51を通して上段の各水槽20a,20b内に供給されるが、給水管51の途中に介装された三方弁53aを切替動作すれば、注出管53bから電解生成酸性水を注出することができる。これは、切り花を購入した人に、注出された電解生成酸性水を活け水として供することを意図している。
【0038】
なお、当該フラワーショーケースにおいては、各水槽20a,20bは排水管を備えていない。各水槽20a,20b内の活け水の排水は、各水槽20a,20bを清掃する場合であることが多く、この場合には、各水槽20a,20b内に設置されているオーバーフローパイプ21を各水槽20a,20bから抜き取れば、各水槽20a,20b内の活け水をオーバーフローパイプの取付孔部を通して完全に排水されることになる。
【0039】
当該電解水生成装置40においては、濃塩水タンク42からは、水道水が流れる給水管52内に、設定された所定量の濃塩水が継続して供給され、濃塩水は給水管52内を流動する水道水によって希釈されて希薄塩水に調製される。調製された希薄塩水は、被電解水として、電解槽機構部41を構成する有隔膜電解槽に供給される。当該有隔膜電解槽では、被電解水を有隔膜電解して、陽極側電解室にて電解生成酸性水が生成される。生成された電解生成酸性水は、活け水として、給水管51を通して上段の各水槽20a,20b内に給水される。
【0040】
当該電解水生成装置40の電解運転により、生成された電解生成酸性水は、活け水として、先ず、上段の各水槽20a,20b内の右側の受水空間部22c2に給水される。当該受水空間部22c2にて受水された活け水は、リブ23aの水流規制作用により、右側の収容空間部21b2に収容されている花桶30の下方側部に位置する多数のスリット状穴から花桶30内に導入されつつ、リブ23aの水流規制作用により、左側の収容空間部21b1に流動し、同収容空間部21b1に収容されている花桶30の下方側部に位置する多数のスリット状穴から花桶30内に導入される。この間、水槽20a,20b内への給水は継続され、函体22内が所定の水位に上昇した際には、函体22内で余剰となった活け水は、左側に立設したオーバーフローパイプ21を通して、中段の各水槽20a,20bの左側の受水空間部22c1にオーバーフローして給水されることになる(図4の上段、中段の水槽20a,20bを参照)。
【0041】
中段の各水槽20a,20bの左側の受水空間部22c1にて受水された活け水は、左側の収容空間部21b1に収容されている花桶30の下方側部に位置する多数のスリット状穴から花桶30内に導入されつつ、右側の収容空間部21b2に流動し、同収容空間部21b2に収容されている花桶30の下方側部に位置する多数のスリット状穴から花桶30内に導入される。この間、上段の各水槽20a,20bからの中段の各水槽20a,20b内への給水は継続され、函体22内が所定の水位に上昇した際には、函体22内で余剰となった活け水は、右側に立設されたオーバーフローパイプ21を通して、下段の各水槽20a,20bの右側の受水空間部22c2にオーバーフローして給水されることになる(図4の中段、下段の水槽20a,20bを参照)。
【0042】
下段の各水槽20a,20bの右側の受水空間部22c2にて受水された活け水は、右側の収容空間部21b2に収容されている花桶30aの下方側部に位置する多数のスリット状穴から花桶30内に導入されつつ、左側の収容空間部21b1に流動し、同収容空間部21b1に収容されている花桶30aの下方側部に位置する多数のスリット状穴から花桶30内に導入される。この間、中段の各水槽20a,20bからの下段の各水槽20a,20b内への給水は継続され、函体22内が所定の水位に上昇した際には、函体22内で余剰となった活け水は、左側に立設されたオーバーフローパイプ21を通して、排水管54にオーバーフローして排水されることになる(図4の下段の水槽20a,20bを参照)。
【0043】
当該フラワーショーケースにおいては、下段の水槽20a.20bおよび各花桶30が満杯となって、下段の水槽20a,20b内の余剰の活け水がオーバーフローパイプ21を通して所定量排水された場合には、その時点で、電解水生成装置40の電解運転は停止されて、各水槽20a,20b内への給水が終了する。
【0044】
当該フラワーショーケースにて使用する花桶30は、特殊な形状および構造を有するものである。当該花桶30は、図7に示すように、横断面が略正方形の角状で有底の筒体であって、底部から上端に向けてテーパ状に漸次拡開する筒体31を主体とする。当該筒体31は、その上端が斜め下方に切断された状態にあり、その上端開口部は斜め下方に傾斜する開口部31aとなっている。また、筒体31の下方の部位の四方の壁部には、互いに並列して上下方向に延びる多数のスリット状穴31bが形成されている。当該花桶30においては、筒体31の上端開口部31aの外周の全周縁にわたる外向きフランジ状の傾斜面部32を備えている。当該傾斜面部32の左右の側部には、下方へ延びる下向きフランジ部33を備えている。
【0045】
当該花桶30aの傾斜面部32は、上方へ膨出する円弧状で下降傾斜する形状を呈していて、上段の水槽20a,20b内に収容されている花桶30の傾斜面部32の前端部側と、中段の水槽20a,20b内に収容されている花桶30の傾斜面部32の後端部側が互いに嵌合した状態で連係して、また、中段の水槽20a,20b内に収容されている花桶30の傾斜面部32の前端部側と、下段の水槽20a,20b内に収容されている花桶30の傾斜面部32の後端部側が互いに嵌合した状態で連係する。このため、上段、中段および下段の各水槽20a,20b内に収容されている各花桶30の各傾斜面部32同士は、複数の円弧状に盛り上った状態で下降傾斜する上下に互いに一体の下降傾斜面を形成することになる(図1図2および図3を参照)。
【0046】
また、花桶30の側部の下向きフランジ部33は、花桶30が水槽20a,20b内に並列配置されている状態では、互いに対向する側の下向きフランジ部33同士は当接した状態で連係する。このため、左右の花桶30同士は起立状態に保持されるとともに、両傾斜面部32同士は左右に一体の下降傾斜面を形成することになる(図1図2および図3を参照)。
【0047】
従って、上記のごとく形成された上下および左右に一体の下降傾斜面は、全ての水槽20a,20bの上方開口部を上側から覆蓋することになる。このため、切り花を花桶30に挿入する際や、切り花を花桶30から引き抜く際に、水滴、花弁、葉等は、花桶30が形成する当該下降傾斜面上に落下して、落下した水滴、花弁、葉等は自らまたは作業者の補助によって当該下降傾斜面上を下方に滑り、最終的には、予め定められた場所に収集される。
【0048】
ところで、本発明の目的は、当該フラワーショーケースを構成する各水槽内の活け水の入替えを合理的に行うことにあり、特に、各水槽内の活け水の入替えを、活け水である電解生成酸性水を無駄に消費することなく的確に行うことを意図している。
【0049】
本発明においては、当該フラワーショーケースにおける各水槽内の活け水の入替えを、各水槽20内に収容される活け水の総収容量より所定量多く設定されている設定水量の電解生成酸性水を上段の水槽20a,20b内に継続して給水し、上段の各水槽20a,20b内で余剰となった電解生成酸性水を中段の各水槽20a,20b内にオーバーフローさせ、中段の各水槽20a,20b内で余剰となった電解生成酸性水を下段の各水槽20a,20b内にオーバーフローさせ、下段の各水槽20a,20b内で余剰となった電解生成酸性水を排水管54にオーバーフローさせるようにして行っている。
【0050】
従って、本発明で規定する活け水の入替え手段では、電解生成酸性水の消費量は予め設定されている設定水量に相当し、また、当該設定水量は各水槽20a,20b内の活け水を入替えを確実に行える水量に設定されていることから、当該活け水の入替え手段によれば、活け水である電解生成酸性水を無駄に消費することなく、各水槽20a,20b内の活け水の入替えを的確に行うことができ、併せて、電解水生成装置の無用の電解運転を解消することができる。
【0051】
また、当該活け水の入替え手段では、各水槽20a,20b内への給水に連動して各水槽20a,20b内の活け水が排水され、また、排水に連動して各水槽20a,20b内に給水され、設定された水量が給水された時点で給水が停止されることから、排水バルブの開閉やフロートスイッチの動作は全く不要である。このため、排水バルブやフロートスイッチの水垢やゴミの付着に起因する故障によって、各水槽20a,20b内の活け水の入替えが不能に陥るようなことはない。
【0052】
本発明が規定する活け水の入替え手段の第1の手段は、電解水生成装置40の電解運転を制御する制御装置と、電解水生成装置40が設定水量の電解生成酸性水を生成する電解運転の時間が設定されているタイマーを使用するものである。当該タイマーは、時間を計測するタイマーであって、24時間計測用のタイマーを採用している。第1の手段では、制御装置は、電解水生成装置40の電解運転が電解運転の開始から設定時間に達したときに、タイマーが出力する設定時間検出信号に基づいて、電解水生成装置40の電解運転を停止させることになる。
【0053】
当該フラワーショーケースにおいては、水槽20の台数が合計6台、各水槽20が収容する活け水の水量が8L、全ての水槽20が収容する活け水の総収容量が48Lである。このため、給水すべき活け水の水量(設定水量)を、総収容量である48Lに余剰の水量12Lを加えた60Lとする。また、電解水生成装置40の電解生成酸性水の生成能力を、4L/minとする。
【0054】
第1の入替え手段では、当該フラワーショーケースの設置環境による活け水の汚染の度合い、展示する切り花の種類により活け水が汚染する度合い等を推測して、活け水の入替え頻度を定める(何日毎、何週毎、1日何回)。また、展示する時間に合わせて、入替え時刻を定めるとともに、運転条件を定める(1回の運転水量、運転回数、運転の中断時間)。
【0055】
第1の入替え手段の一実施態様では、入替え頻度を1日1回、入替え時刻を午前10時とし、電解運転を間欠的(運転時間5min−運転中断時間10min−運転時間5min−運転中断時間10min−運転時間5min)に行うように定めた。図8には、当該電解運転の状況を示している。当該入替え実施態様では、間欠的に給水される電解生成酸性水により、その都度、給水した電解生成酸性水は各水槽20a,20b内に行き渡り、最後には、余剰の電解生成酸性水(12L)が機能して、各水槽20a,20b内の活け水を的確に入替える。
【0056】
本発明が規定する活け水の入替え手段の第2の手段は、電解水生成装置40の電解運転を制御する制御装置と、電解生成酸性水の設定水量が設定されている水量計を使用するもである。第2の手段では、制御装置は、電解水生成装置40の電解運転の開始から給水される電解生成酸性水の給水量が設定水量に達したときに、当該水量計から出力される設定水量検出信号に基づいて、電解水生成装置40の電解運転を停止させることになる。
【0057】
第2の入替え手段でも、第1の入替え手段と同様に、当該フラワーショーケースの設置環境による活け水の汚染の度合い、展示する切り花による活け水の汚染の度合い等を推測して、活け水の入替え頻度を定める(何日毎、何週毎、1日何回)。また、展示する時間に応じて、入替え時刻を定めるとともに、運転運転条件を定める(1回の運転水量、運転回数、運転の中断時間)。
【0058】
第2の入替え手段の一実施態様は、第1の入替え手段と全く同様に、入替え頻度を1日1回、入替え時刻を午前10時とし、電解運転を間欠的(運転時間5min−運転中断時間10min−運転時間5min−運転中断時間10min−運転時間5min)に行って、設定された水量(60L)を給水するようにしている。給水される電解生成酸性水の水量は、採用している水量計によって漸次計測され、計測された電解生成酸性水の水量が設定水量(60L)に達したとき、当該水量計は設定水量検出信号を出力し、制御装置は、当該水量計から出力された設定水量検出信号に基づいて、電解水生成装置40の電解運転を停止させる。
【0059】
第2の入替え手段では、電解水生成装置40の当該電解運転により、設定水量(60L)の電解生成酸性水を全ての水槽20内に行き渡たらせて、余剰の電解生成酸性水(12L)が機能することにより、各水槽20a,20b内の活け水を的確に入替える。
【符号の説明】
【0060】
10…フレーム構造体、11a〜11c…段部、12…フロントパネル、13a,13b…サイドパネル、14…化粧板、20(20a,20b)…水槽、21…オーバーフローパイプ、22…函体、22a…周壁、22b1,22b2…収容空間部、22c1,22c2…受水空間部、23a,23b…リブ、24a,24b…取付孔部、30…花桶、31…筒体、31a…開口部、31b…スリット状穴、32…傾斜面部、33…下向きフランジ部、40…電解水生成装置、41…電解槽機構部、42…濃塩水タンク、51,52,52a…給水管、53a…三方弁、53b…注出管、54…排水管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8