【文献】
井上真花,今日から始めるフェイスブック 人気の秘密がまるわかり!,日経PC21,日本,日経BP社,2011年 2月24日,第16巻,第5号,第95−109頁
【文献】
一戸信哉,「コンテンツ抽出サービス」と著作権,情報通信学会誌,日本,財団法人情報通信学会,2008年 5月25日,第26巻,第1号,第43−50頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)と呼ばれる、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のサービスが知られている。従来のSNSでは、自分のプロフィールや写真を会員に公開する機能や、特定の友人のみに公開範囲を制限し、或いは制限なく、日々の出来事を公開できる日記機能、趣味や地域などテーマを決めて掲示板などで交流できるコミュニティ機能等のサービスがインターネット上で利用できる点に特色がある。こうしたSNSの一つとして非特許文献1に開示されるウェブサイトが知られている他、「フェイスブック」や「ツイッター」(いずれも登録商標)といった個々に特色のあるサービスが多種多様に提供されている。
【0003】
従来の一般的なSNSにおいては、各人が有する他人との関係性に基づき、サービス内での「特定の関係性」を構築していく。すなわち、友人、恋人、家族、親戚、同級生、職場の同僚、といったさまざまな機縁に基づく関係性を有する他のユーザとサービス内で接触し、特定の関係性を構築していく。もちろんこうした特定の関係性の構築は、必ずしも“オフライン”の、つまり現実の知己関係を有していることは必要ではなく、サービス内において興味深いコンテンツを開示している他のユーザに遭遇したり、上述のコミュニティ機能において共通の嗜好性を有する他のユーザに出会ったりし、“オンライン”上の機縁に基づいて特定の関係性が構築されることも少なくない。一のユーザが主体的に他のユーザと特定の関係性を構築することにより、相互の投稿に関するフィードがお互いに配信されるようになったり、制限された公開範囲で投稿された他のユーザのコンテンツを閲覧可能になるなど、サービス内での楽しみが向上していく。こうした既存のSNSでは、コンテンツがいかなるものか、というより、どのユーザが投稿したコンテンツか、という点を軸として、そして当該ユーザが当該サービス上に反映しているソーシャルグラフを媒介としてコンテンツに関する情報は拡散していく。換言すれば、投稿されたコンテンツは投稿したユーザのソーシャルグラフを超えて拡散していくことが少ない。
【0004】
しかし中には、他のユーザと特定の関係性を拡張していくことが得意ではなく、公開範囲の広い他のユーザのコンテンツへのコメントやコミュニティへの参加などを主体的に行わないユーザ層も多く存在する。こうしたユーザ層は、特定の関係性を構築するユーザ数が頭打ちになってしまい、その結果、接触するコンテンツが限定的になってしまい、ある決まった範囲の少人数間での日記の見せ合いといった使い方に留まってしまう場合がある。サービス内での各ユーザのアクティビティを増加させることがサービス自体の広告媒体としての価値を向上させる、という観点を踏まえれば、こうしたユーザ層にも気軽にサービス利用機会を増大させることが望まれる。特許文献1にはそれぞれのメンバーに公開される情報がおびただしい量になるなか、そのメンバーのために個人化された動的な関係をベースとしたコンテンツを生成するシステムが開示されてはいるが、そもそも自らのソーシャルグラフのみに限定されて配信されるフィードでは関係性の拡張を行うことができないユーザのアクティビティ増大にはつながらない。
【0005】
こうした問題は、既存のSNSの設計思想、すなわち「『人』と『人』とのつながりを促進する」という点自体にある。つまり既存のSNSはユーザ本位であり、ユーザを基軸として当該ユーザの投稿したコンテンツが多数記録される。コンテンツはユーザとユーザをつなげるための手段であり、ユーザとユーザをつなげていくことにこそ主眼がある。しかし、既に複数のSNSにおいてこうした人と人とのつながりが構築されている中、こうしたソーシャルグラフを所与のものとし、媒体として、新たなつながり方を提供するサービスは提案されてきていない。特許文献2は異なるSNS間で利用者の状況情報や共有情報の連携を行うシステムを開示しているが、これもユーザとユーザとをつなげることに終始している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、既存のソーシャルグラフを所与のものとしこれを活用しつつ、コンテンツとユーザ、或いはコンテンツとコンテンツとを関連付けることにより、属人的でない、時点時点のホットなコミュニケーションを実現し、既存のリレーションを超えたフィードにより結果的に新たなソーシャルグラフ生成に寄与し得る、コンテンツ本位の新たなSNSを提供し得るSNSサーバ
並びにその制御方法及び制御プログラムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明は以下のSNS提供サーバ
並びにその制御方法及び制御プログラムを提供する。
【0010】
(1−1)外部からの入力に基づきユーザ情報を記録するユーザ情報記録手段と、外部からの入力に基づきユーザのアクションを記録するアクション記録手段と、前記アクション記録手段がアクションを記録すると、所定のユーザにフィードを配信するフィード配信手段と、を有するSNS提供サーバであって、前記アクションには、少なくとも、コンテンツ及び当該コンテンツが共有されるべきユーザが指定された独立ポストと、他のポストに対し紐付けられ、当該他のポストが指定するコンテンツを引用しない別のコンテンツ及び当該別のコンテンツが共有されるべきユーザが指定された従属ポストと、が含まれ、前記フィード配信手段は、前記アクション記録手段が前記従属ポストを記録すると、当該従属ポストが紐付けられた他のポストのポスト情報に含まれる指定されたユーザIDに対して当該従属ポストに関するフィードを配信することを特徴とする、SNS提供サーバ(請求項1)。
(1−2)外部からの入力に基づきユーザ情報を記録するユーザ情報記録ステップと、外部からの入力に基づきユーザのアクションを記録するアクション記録ステップと、前記アクション記録ステップにおいてアクションを記録すると、所定のユーザにフィードを配信するフィード配信ステップと、を含む、SNS提供サーバの制御方法であって、前記アクションには、少なくとも、コンテンツ及び当該コンテンツが共有されるべきユーザが指定された独立ポストと、他のポストに対し紐付けられ、当該他のポストが指定するコンテンツを引用しない別のコンテンツ及び当該別のコンテンツが共有されるべきユーザが指定された従属ポストと、が含まれ、前記アクション記録ステップにおいて前記従属ポストが記録されると、前記フィード配信ステップにおいて、当該従属ポストが紐付けられた他のポストのポスト情報に含まれる指定されたユーザIDに対して当該従属ポストに関するフィードを配信することを特徴とする、SNS提供サーバの制御方法(請求項7)。
(1−3)外部からの入力に基づきユーザ情報を記録するユーザ情報記録機能と、外部からの入力に基づきユーザのアクションを記録するアクション記録機能と、前記アクション記録手段がアクションを記録すると、所定のユーザにフィードを配信するフィード配信機能と、をSNS提供サーバのコンピュータに実現させる制御プログラムであって、前記アクションには、少なくとも、コンテンツ及び当該コンテンツが共有されるべきユーザが指定された独立ポストと、他のポストに対し紐付けられ、当該他のポストが指定するコンテンツを引用しない別のコンテンツ及び当該別のコンテンツが共有されるべきユーザが指定された従属ポストと、が含まれ、前記フィード配信機能は、前記アクション記録機能が前記従属ポストを記録すると、当該従属ポストが紐付けられた他のポストのポスト情報に含まれる指定されたユーザIDに対して当該従属ポストに関するフィードを配信することを特徴とする、SNS提供サーバの制御プログラム(請求項8)。
【0011】
(2)前記フィード配信手段は、前記アクション記録手段が前記従属ポストを記録すると、当該従属ポストのポスト情報に含まれる指定されたユーザIDに対して当該従属ポストが紐付けられた他のポストに関するフィードを配信することを特徴とする、請求項1に記載のSNS提供サーバ(請求項2)。
(3)前記アクションに、前記独立ポスト又は前記従属ポストに対しユーザ情報が紐付けられるフラグである従属フラグが更に含まれ、前記フィード配信手段は、前記アクション記録手段が前記従属フラグを記録すると、当該従属フラグの記録を指示したフラグ設定ユーザIDに基づいて前記ユーザ情報記録手段に記録されたユーザ情報を参照し、当該フラグ設定ユーザIDと特定の関係性を有するユーザとして記録されているユーザIDに対して当該従属フラグが紐付けられたポストに関するフィードを配信することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のSNS提供サーバ(請求項3)。
(4)前記アクションに、前記従属ポストに対し紐付けられるコメントと、前記従属ポストに対し設定されるユーザの感情を示すフラグと、の少なくともいずれかが更に含まれ、前記フィード配信手段は、前記アクション記録手段が前記コメント又はユーザの感情を示すフラグを記録すると、当該コメント又は当該フラグが紐付けられる従属ポスト、及び当該従属ポストが直接又は間接に紐付けられている他のポストの投稿ユーザIDに対して当該コメント又は当該フラグに関するフィードを配信することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のSNS提供サーバ(請求項4)。
(5)前記フィード配信手段は、配信先であるユーザIDからの配信リクエストを受信した際にフィードを配信することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載のSNS提供サーバ(請求項5)。
(6)前記ユーザ情報には、当該ユーザのID、プロフィール画像、ニックネーム、外部SNSにおけるユーザID情報、特定の関係性を有する他のユーザID情報が含まれ、前記外部SNSから当該外部SNSにおけるユーザID情報、及び当該外部SNSにおいて前記特定の関係性を有する他のユーザに関する情報を選択的に取得可能であり、前記フィード配信手段は、前記各アクションのいずれかをユーザが行った際、前記「外部SNSにおいて前記特定の関係性を有する他のユーザに関する情報」に当該アクションを行ったユーザに関する「外部SNSにおけるユーザID情報」が含まれるという条件を満たすユーザのユーザIDに対して、当該アクションを行ったユーザがサービスに加入した旨のフィードを配信することを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のSNS提供サーバ(請求項6)。
【発明の効果】
【0016】
本発
明により、既存のソーシャルグラフを所与のものとしこれを活用しつつ、コンテンツとユーザ、或いはコンテンツとコンテンツとを関連付けることにより、属人的でない、瞬時のアドホックでホットなコミュニケーションを実現し、既存のリレーションを超えたフィードにより結果的に新たなソーシャルグラフ生成に寄与し得る、コンテンツ本位の新たなSNSを提供することができる。
【0017】
なお本発明において、
(1)「ポスト」とは、ユーザによって行われるコンテンツの投稿を意味し、投稿されるコンテンツとしてはテキスト、画像、動画等種別を問わない。
【0018】
(2)「独立ポスト」とは、既に投稿されている他のポストとは紐付けられない状態で投稿され保存されるポストを意味する。
【0019】
(3)「従属ポスト」とは、既に投稿されている他のポストと紐付けられる状態で投稿され保存されるポストを意味する。
【0020】
(4)「従属フラグ」とは、既に投稿されているポストと紐付けられる状態で設定されるフラグをいい、当該フラグの設定を行ったユーザが当該フラグを紐付けたポストとして投稿されたコンテンツと関わり合いがあることを、サービスを利用する他のユーザに認識可能な状態とされる。
【0021】
(5)「紐付けられる」とは、一のポストと他のポスト又はフラグが、互いに関連付けられて記録されることをいい、ポスト情報ないしフラグ情報に含まれるOwner IDとして共通のものをもつことをいう。
【0022】
(6)「コメント」とは、既に投稿されているポストに対して従属的に付加されるテキストデータをいう。また「ユーザの感情を示すフラグ」とは、既に投稿されているポストに対して従属的に付加されるノンバーバルなデータをいう。既存のSNSにおける「イイネ!」や「like」といったもので、ポストを閲覧したユーザが自ら文章を紡ぐまでもないが何らかの意思表示を行いたいときに、通常画面上に表示されているボタンをクリックするのみで設定することができる。
【0023】
(7)「ユーザID」とは、サービスを利用するユーザに対して付与される識別番号ないし文字列をいい、ユーザを一意的に特定する。
【0024】
(8)「特定の関係性」とは、一のユーザが他のユーザとの間で構築する、サービス内における友人関係をいい、相互承認の形式をとるのが一般的であるがこれに限られない。特定の関係性を構築することで、構築した相手方の閲覧制限の範囲内で相手方のコンテンツを閲覧することができるようになったり、また構築した相手方が新たなポストを行うとその旨がフィードされる。特定の関係性の構築状況により見出される、一のユーザを中心としてみた場合の特定の関係性を構築した他のユーザ群を「ソーシャルグラフ」ということがある。
【0025】
(9)「配信リクエスト」とは、配信先であるユーザIDを有するユーザがサービスにログインする、リロードする等の特定の操作を行った場合やサービスログイン中に所定時間経過した場合などの任意のトリガに基づいてSNSサーバに対して発せられる、当該ユーザIDに対する配信フィードがある場合に当該フィードを配信すべき旨の要求をいう。
【0026】
(10)「プロフィール画像」とは、サービス内でユーザを表すアイコンとして機能する画像を意味する。また「ニックネーム」とは、サービス内でユーザを表すハンドルネームを意味し、実名と否とを問わない。
【0027】
(11)「外部SNS」とは、本発明において提供されるSNS以外に提供されている、又は新たに提供されるSNSをいう。また「選択的に取得可能」とは、外部SNSにおいて記録されている当該ユーザのソーシャルグラフのうち、その全員を取得しても良く、一部を取得しても良い、という意味において選択的であることをいう。これは、外部SNSにおいて既に特定の関係性を構築している他のユーザに関する情報を移植することにより、本発明のサービス上でもより早期につながり、情報共有を楽しむことができる一方、外部SNSにおいて特定の関係性を構築している他のユーザ全てが本発明においてつながることを希望するユーザとは限らないからである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の具体的な実施内容につき、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1は、本発明のSNSサーバ及び端末装置を含むSNS環境の例を示す図である。SNSサーバ10と各ユーザ端末30とは、インターネットなどのネットワーク20を介して互いに接続可能となっている。ここで各ユーザ端末30は、例えばPC31であると携帯電話32であるとタブレット端末33であると特に種別は問わず、SNSサーバ10にログイン可能な機能(インターネットに接続する機能及びWebブラウザ)を有していれば良い。
【0031】
SNSサーバ10は、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、HDDなどの記憶手段10d、ディスプレイ、キーボード等の入出力手段10e、その他種々のハードウェアによって構成される。
【0032】
ROM10cまたは記憶手段10dには、
図2に示す各処理部(ユーザ情報処理部111、入力ポスト処理部112、他入力情報処理部113、フィード生成部114、フィード送信制御部115、ページ情報制御部116)の機能を実現するためのプログラム及びデータが格納されている。また記憶手段10dには、
図2に示すDB群12記載の各DB(ユーザ情報DB群121(=メンバー情報DB121a、及びフレンド情報DB121b)、コンテンツ情報DB群122(=ポスト情報DB122a、従属フラグ情報DB122b、コメント情報DB122c、及び感情フラグ情報DB122d)のデータが格納される。これらのプログラム及びデータは必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによってプログラムが実行され、演算処理が行われる。
【0033】
SNSサーバ10として、ワークステーション又はいわゆるサーバ機などが用いられる。
図2の各構成が複数台の装置に分散されるようにSNSシステム10を構成しても良い。
【0034】
なお、
図1に示すように、各ユーザ端末30・・30及び本発明にかかるSNSサーバ10は、ネットワーク20を介して外部SNS40・・40とも接続可能となっている場合もある。ここでは、各ユーザは、既存のSNSサービスの利用を行っており、それぞれにソーシャルグラフを構築していることを前提として以下説明を行う。もちろん、本発明のSNSにおいても、サービス内において新たに相互に友人承認(特定の関係性の構築)を行うことも想定されるし、これを排除するものではない。
【0035】
図2は、上記のSNSサーバ10を機能の側面から記した機能構成図である。SNSサーバ10は、その機能に基づき、SNSコア11、DB群12、ユーザインターフェース13に分別して認識可能である。
【0036】
SNSコア11は、ユーザのメンバーIDやプロフィール、ハンドルネームなどのユーザ情報の入力を受けこれをユーザ情報DB121に記録するユーザ情報処理部111、ユーザのポストの投稿やその他の入力情報(アクティビティということがある。)などを処理しコンテンツ情報DB群122にデータを蓄積する入力ポスト処理部112及び他入力情報処理部113、各DB群へのデータ蓄積等をトリガとして対応するフィードを生成するフィード生成部114、生成されたフィードを所定のトリガに応じて対象のユーザIDに送信するフィード送信制御部115、ユーザ端末30からのページ閲覧指示に基づきその情報を生成すべく制御するページ情報制御部116、の各機能を有する。各々の機能については、サービス内における各活動の説明において順次説明する。
【0037】
DB群12は、主としてユーザに関する情報を記録するユーザ情報DB群121と、主としてポストその他の入力情報を記録するコンテンツ情報DB群122とから構成される。ユーザ情報DB群121はユーザ情報記録手段に、コンテンツ情報DB群122はアクション記録手段に該当する。
【0038】
ユーザ情報DB群121は、メンバー情報DB121aとフレンド情報DB121bとから構成される。
図3は、ユーザ情報DB群121の各DBにて記録される情報を模式的に示したものである。メンバー情報DB121aは、本発明にかかるSNSを利用するユーザ自身の情報として、ユーザの識別番号として機能する、個々のユーザにユニークなユーザID、端末上の画面表示においてそのユーザを表すアイコンとして機能するプロフィール画像、サービス内におけるそのユーザの呼称であるニックネーム(ハンドルネーム)、既存SNSからのデータ移植にあたっての識別番号である既存SNSID、その他本名、住所、出身地、趣味など、他のユーザが接点を見出すにあたっての参考情報となり得る各種ユーザ属性情報を記録する。
【0039】
フレンド情報DB121bには、各ユーザが特定の関係性を構築している他のユーザ、すなわちソーシャルグラフが記録されている。具体的には、本人情報としての前述のユーザIDと、特定の関係性を有している他のユーザ情報としてのフレンドIDとが記録されている。なお特定の関係性は、一のユーザから他のユーザへの片方向のものでもよく、双方向のものでもよい。また構築の過程として、一のユーザから他のユーザに申入を行い、他のユーザがこれを承認するステップを踏んでも良く、各々一方的に特定の関係性構築を行い、結果として双方向の関係になるものであってもよい。
【0040】
図4は、コンテンツ情報群122の各DBにて記録されている情報を模式的に示したものである。ポスト情報DB122aには、独立と従属とを問わず投稿されたポストに対し一意的に付与されるポストIDと、ポスト情報の具体的な内容であるテキストデータ及びフォトデータと、当該ポストを投稿したユーザのポストユーザIDと、当該ポストを共有するユーザのシェアフレンドIDと、従属ポストがどの独立ポストないし従属ポストに紐付けられているかを識別する機能を担うオーナーポストIDとが、ポストごとに記録される。
【0041】
ポストIDは、ユーザがコンテンツを投稿することにより一意的に付与される、当該ポストの識別番号である。本実施例におけるポストのデータ形式としては、日記や短文のつぶやきからなるテキストデータ、或いは写真や作成画像等のフォトデータ、或いはこれらの双方を伴うものを想定しているが、これに限られず、各端末30において閲覧(あるいは再生)可能なデータであれば加えて動画、音声などデータの形式を問わない。
【0042】
投稿されるポストのポスト情報には、当該ポストを投稿したユーザのユーザID及び当該ポストを「シェアする」、すなわち閲覧されることを希望する他のユーザのユーザIDであるシェアフレンドIDが含まれる。シェアするユーザは、ポストを投稿するユーザが自らのソーシャルグラフの中から任意に選択することができる。また自らが特定の関係性を有する他のユーザID全部を指定することもできる。これらのユーザID及びシェアフレンドIDが参照され、フィードが配信されるユーザIDが特定される。フィード配信先の特定方法については後述する。
【0043】
ポストIDは、ポスト情報122aと従属フラグ情報122b、コメント情報122c、感情フラグ情報122dとを相互に関連付けるキーとしての役割を果たす。すなわち、特定のポストに対して他のユーザが自らのユーザ情報を紐付けるアクションを行うと、当該特定のポストのポストIDに当該自らのユーザ情報を紐付けたユーザのユーザIDが関連付けられて従属フラグ情報DB122bに記録される。
【0044】
また、特定のポストに対し、ユーザはコメントを入力することもできる。コメントを入力すると、当該コメントはコメント対象となっているポストのポストID、コメントを行ったユーザのユーザID、及び入力されたコメントデータが関連付けられてコメント情報DB122cに記録される。なおコメントは、他のユーザのみならず、当該ポストを投稿した本人も入力することができ、ポストの補足や他のユーザからのコメントに対する回答を行うことができる。
【0045】
更に、コメントのようなバーバルな情報(能動的に文章を作成することを余儀なくされる情報)を入力するまでのインセンティブが湧かず、ただ当該投稿に対し好意を示すノンバーバルな意思表示を行う手段として「イイネ!」フラグを設定することもできる。これはユーザが画面上の該当ボタンをクリックする動作一つで完了する意思表示であり、ポストに対しリアクションを行うことへの心理的障壁を顕著に低下させ、アクション増大に寄与するものである。フラグが設定されると、設定されたポストのポストIDと当該設定したユーザのユーザIDとが関連付けられて感情フラグ情報DB122dに記録される。
【0046】
この「イイネ!」フラグは、ユーザの感情を示すフラグに該当する。なお本実施例では「イイネ!」というポジティブな意思表示に関するフラグ設定を例示したが、これに限らず、例えば「+」や「−」といった好悪双方を示すフラグ設定を可能に構成しても良い。その場合感情フラグ情報DB122dには設定されたフラグの種別も併せ記録されるよう構成すればよい。併せて、設定したフラグの種別に応じてフィード配信の有無を連動させるよう構成しても良い。
【0047】
このように、ポスト情報と従属フラグ情報、コメント情報、感情フラグ情報とは、ポストIDを共通であることを条件として、各情報が相互に関連付けられて記録される。当該ポスト情報に対しユーザにより閲覧要求があったとき、対応するポストIDを有する各情報が参照され、ユーザインターフェース13において各端末に応じた表示態様にカスタマイズされ、相互に関連付けられてユーザ端末30に表示される。
【0048】
次に、ポスト相互の従属関係について、
図5を用いつつ説明する。
図5は、コンテンツ情報相互間の独立/従属の関係を示す模式図である。なおデータ構造としては独立ポスト、従属ポストとも同じであり
図4にて示したとおりであるが、説明の便宜上直接関係しないデータについては、一部図面上から捨象している。
【0049】
本実施例において、ポスト情報には、通常ポスト情報(独立ポスト情報)と従属ポスト情報の2種類が存在する。この2種類のポスト情報は、データ構造上は同じポスト情報として取り扱われるが、オーナーポストIDにより両者が判別される。すなわち、
図5における左の「コンテンツ情報(独立)」に示すように、オーナーポストIDが当該ポストIDと同一である場合(“abc123”=“abc123”)、当該ポストが独立のものとして判断される。一方、右上のようにオーナーポストIDが当該ポスト情報のポストIDと異なる場合(“abc123”דdef456”)、当該ポストは独立ではなく、当該オーナーポストIDを同じくする他のポスト情報に従属するものと判断される。右下のコンテンツ情報も、オーナーポストIDが左のオーナーポストIDとは異なり、自らのポストIDと一致するから(“ghi789”=“ghi789”)、独立ポストと判断される。
【0050】
このように、ポスト投稿とコメントや従属フラグの設定、「イイネ!」がポストIDを介して紐付けられるのに対し、独立ポストと従属ポストとはオーナーポストIDを介して紐付けられる。
【0051】
次に、本実施例のSNSサーバにより提供されるサービスにユーザとして登録する際のフローを、
図6を参照しつつ説明する。本実施例のSNSに登録を希望するユーザは、ユーザ端末30に表示されるユーザ情報入力画面(図示しない)からユーザの氏名、ニックネーム、住所、出身地、趣味等の各属性情報を入力する(ステップS601)。次に、外部SNSにおけるIDの有無の確認が促され(ステップS602)、ある場合その入力をユーザが行う(ステップS603)。これを受けユーザ情報処理部111はインターネット20を介して外部SNS40へのアクセスを行い、ユーザからの認証キーの入力やデータ移植への承認の意思表示を経て外部SNSにおけるユーザデータを取得する(ステップS604)。このユーザデータには外部SNSにおけるユーザIDに加え、外部SNSで用いているプロフィール写真や友人情報が含まれうる。プロフィール写真を外部SNSと共通のものを設定することにより、他のユーザからみて当該ユーザの同一性を容易に確認することができる場合がある。また外部SNSにおいて構築されている友人情報すなわち特定の関係性を移植することにより、本実施例のSNSを速やかに楽しむことができる。
【0052】
なお友人情報の移植にあたっては、友人情報を選択することもできる(ステップS605)。これは、SNSの性質により交友したい友人とそうでない友人とがいる場合や、情報に応じて共有したい友人とそうでない友人がいる場合等を考慮したものである。友人情報の選択が完了すると、又は外部SNSのIDを保有しない場合属性情報の入力が完了すると、入力ないし移植されたデータがユーザ情報DB群121に各々記録され、ユーザ登録が終了する。
【0053】
次に、ポスト投稿のフローについて、
図7を参照しつつ説明する。ユーザは、自らが他のユーザと共有したいコンテンツをポストとして投稿することができる。ユーザは、ユーザ端末30に表示されるポスト入力画面(図示しない)に従い、自らの端末に保有するコンテンツや、新たに生成するコンテンツを入力する(ステップS701)。次にユーザは、投稿するポストをシェアすべき他のユーザの選択を行う(ステップS702)。他のユーザの選択に当たっては、当該ユーザのフレンド情報として保存されているフレンドID(
図3参照)が自動的に選定されるようにしてもよい。或いは、例えばそれらのフレンドIDにかかる他のユーザのニックネーム及び\又はプロフィール画像が端末表示画面上に選択可能に表示されるよう構成することで選択をユーザに促すこともできる。更には、
図3には示されていないが、当該ユーザが選定し登録している一又は複数のユーザIDからなる特定のグループが選択されるようにしてもよく、ネットワーク20を介し外部SNSの既存のソーシャルグラフが選択されるよう構成しても良い。
【0054】
ポストするコンテンツ、及びシェアすべきユーザが選択されると、当該情報を受信した入力ポスト処理部は、一意的なポストID、及びこれと同一のオーナーポストIDを付与し(ステップS703)、ポスト情報DB122aに記録される(ステップS704)。
【0055】
次に、他のユーザが、投稿されているポストに自らのユーザ情報を従属的に紐付ける際のフローについて、
図8を参照しつつ説明する。ユーザは、自らがアクセスを許容された他のユーザのポストを閲覧することができる。ユーザは、投稿されているポストに自らを関連付けたいと思ったとき、極めて簡便な手法でそれを行うことができる。例えば閲覧画面に表示されている入力ボタン(図示しない)をクリックするだけでよい(ステップS801)。この単純なアクションにより、ユーザ端末30から他入力情報処理部113によりポストIDと従属フラグ設定を行ったユーザIDとが関連付けて受信され特定される。そして当該関連付けられた情報は従属フラグ情報DB122bに記録される。
【0056】
このように、自ら新たなコンテンツを配信する労をとることなく、特定のコンテンツに自らを関連付けることができる。後述するように、従属フラグ情報が記録されると、その後所定のトリガを契機に従属フラグ設定を行ったユーザのソーシャルグラフに対し、当該ユーザが従属フラグ設定を行った旨がフィードとして配信される。つまり既存の投稿を利用して、自らが主体となった新たなフィード配信が行われるようになるから、ユーザにとって手軽にサービスの楽しみを享受することができる。また従属フラグもアクションの一形態であり、単なる「イイネ!」フラグの設定とは異なり当該コンテンツに自らも関与していたことを周知することができるから、アクション数の増加は促進され、媒体としての価値は向上する。
【0057】
従属フラグの具体的な適用場面としては、例えば(現実の)パーティーに参加した複数のユーザの内の一人がパーティーの集合写真をポストした場合が想定される。この場合、当該写真に写っている他のユーザは、当該ポストに従属フラグ設定するだけで、“自らが当該パーティーに参加していたこと”を自身のソーシャルグラフに積極的に伝達することができる。
【0058】
なお、コメントや「イイネ!」についても、ポストIDを共通とすることにより紐付けられるポスト情報と関連付ける形で、ユーザ端末30から受信した情報を他入力情報処理部113が処理を行い、コメント情報DB122c、感情フラグ情報DB122dにそれぞれ記録される。
【0059】
次に、従属ポスト投稿のフローについて、
図9を参照しつつ説明する。まずユーザは、自らのポストを従属させる既存ポストを選定する(ステップS901)。この操作は実際には、自らがアクセスを許容された他のユーザのポストを閲覧し、投稿されているポストに関連付けて自らも別のポストを投稿したいと思ったときに行われる。例えば閲覧画面に表示されているボタン(図示しない)をクリックすることにより、従属ポスト入力のプロンプト画面が表示されるよう構成することができる。
【0060】
以降、ユーザは、独立ポストを投稿する際におけるのと同様、投稿データ及びシェアすべきユーザのIDを入力していく(ステップS902、ステップS903)。当該入力データは、被従属ポストのポストIDをオーナーポストIDとして入力ポスト処理部112において認識される。従属ポストも一のポストであることから新たなポストIDが付与され(ステップS904)、ポスト情報DB122aに記録される。
【0061】
このように、既に投稿されている他のポストに新たなポストを紐付けることにより、これまでの“人と人とのつながり”だけでなく、“コンテンツとコンテンツとのつながり”が促進される。つまり、共有されるべき情報は、長年の人間関係により構築された信頼関係を背景とした秘匿されるべきものに限られず、その場その場の即時的な繋がりにより共有されるものもあるところ、コンテンツとコンテンツがつなげられることによりアドホックな情報共有が促進される。そして後述するように、当該投稿により「つなげられたコンテンツ」のフィードが従属ポストの投稿者のシェアフレンドに配信されることで、被従属(独立)のコンテンツが従属ポストのソーシャルグラフにも拡散していくことで、その場のホットな繋がりが加速していく。
【0062】
この従属ポストの具体的な適用場面としては、例えば一のユーザが自らのランチであるラーメンの写真をポストした場合に、そのソーシャルグラフに属する他のユーザもたまたまラーメンを食べている、或いはその写真に触発されてラーメンを食べに行った、といった場面が想定される。前者は、離れた場所にあっても同一の行動をしていることへの共感の楽しみが、後者は本実施例のサービスによる新たな需要の触発が促される。そして従属は単一に限らず、連鎖的に従属することもまた可能な構成であることから、一のポスト投稿が他者の新たなポストや新な行動を生むといった側面が期待できる。これらはいずれもサービスとしての興趣を向上するものであり、媒体価値向上に直結する。
【0063】
そして、これまでの一般的なアクションであったポスト、コメント、「イイネ!」にこれら従属フラグ、従属ポストが加わることにより、ユーザにとっては自らのアクションの選択肢が増え、その時の状況や気分に応じたサービス利用が可能となる。
【0064】
次に、各アクションに応じたフィードの生成とその配信につき、
図10を用いて説明する。フィードの配信は、(1)配信先ユーザからの配信リクエストを契機としたプル型の配信、(2)配信元ユーザからのポスト投稿又はフラグ設定を契機としたプッシュ型の配信、の2種がある。ここでは(1)プル型のフィード配信につき説明する。ユーザからの配信リクエストは、ユーザのログインやリロード、ホーム画面への復帰などを契機として発せられる。SNSサーバ10が配信リクエストを受信すると(ステップS1001:Yes)、当該配信リクエストを発したユーザのユーザIDをキーとした検索が行われる。具体的には、ポスト情報DB122aにおけるシェアフレンドID、従属フラグ情報DB122bにおける従属フラグユーザIDのユーザ情報121におけるフレンド情報121b中のフレンドIDとの該当の有無が判定される(ステップS1002)。該当があると(ステップS1003:Yes)、フィード生成部114は当該該当したユーザIDが紐付けられたポストIDのポスト情報に関するフィードを生成する(ステップS1004)。フィード配信制御部115は、生成されたフィードを配信リクエストのあったユーザIDに対し配信する(ステップS1005)。当該配信は、ページ情報制御部116によりフィードがあった旨の表示が該当するユーザIDにてログインされたユーザ端末30に対して行われる。フィード生成部114、フィード配信制御部115及びページ情報制御部116はフィード配信手段に該当する。
【0065】
なおフィードは、当該ポストがなされた旨を通知するテキストでもよく、或いは当該ポストのサムネイル画像であってもよい。またフィードには対応するポストへのリンクが貼られていても良い。また、当該フィード発生の原因となるアクションを行ったユーザのニックネームやプロフィール画像のサムネイル画像を併せて表示するよう構成しても良い。
【0066】
なお、フィード配信の流れに関する他の実施例につき、
図11及び
図12を用いて説明する。
図11は、別異の実施例のSNSサーバを機能の側面から記した機能構成図であり、上記の実施例における
図2に対応するものである。
図2との相違点は、生成済されたフィードを記録する生成済みフィードDB123を備えている点にある。
【0067】
ユーザによるポストや従属フラグ設定などのアクションが生じると、これらの情報を受信したSNSサーバ10は対応する各処理部による処理を行い、対応するDBへの記録を行う(ステップS1201ないしステップS1203)。これらの点線枠囲みしたフローは、
図7から
図9において説明した各アクションにおける流れと同様である。
【0068】
この段階で、配信されるべきユーザのユーザIDは確定される(ステップS1204)。すなわち、独立ポストにあってはそのシェアフレンドIDであり、従属フラグにあっては当該フラグ設定を行ったユーザのフレンドIDであり、従属ポストにあっては独立ポストと同様、そのシェアフレンドIDである。なお投稿にあたってシェアすべきユーザを自らのフレンドIDとしていれば、シェアフレンドIDと当該ポストユーザのフレンドIDとは一致し得る。
【0069】
ここで、プッシュ型の配信フィードの場合、決定された配信先に対しフィード配信が行われ(ステップS1206)、配信先ユーザに受信された場合(ステップS1207:Yes)、フィード配信フローはそのまま終了する。
【0070】
配信先ユーザがサービスログイン外である等受信がなされなかった場合(ステップS1207:No)、及びプル型の配信フィードの場合配信されるべきフィードは、その配信先と関連付けられた形で生成済みフィードDB123に保存される(ステップS1208)。その後、フィード情報に配信されるべきユーザIDとして記録されているユーザIDからの配信リクエストをSNSサーバ10が受信した際に(ステップS1209:Yes)、上記の実施例と同様、対応するフィードが配信されるべきユーザIDに対し配信される(ステップS1210)。このように、フィードの生成タイミングを各アクションが記録されたときとして構成することもできる。なおフィードの配信タイプ(プッシュ型/プル型)は、いずれかをユーザが選択可能に構成してもよく、ポストやフィードの性質に応じて仕様として定められていても良い。
【0071】
なお、当該アクションがそのユーザにおける初めてのアクションである場合、ステップS1204において決定されるフィード配信先として、当該ユーザの情報を外部SNSから友人関係として移植してきている他のユーザを加えることもできる。これにより新しく本発明にかかるSNSに、外部SNSでの友人が後から参加した場合にこれを知ることができる。
【0072】
以上述べてきたように、本発明にかかるSNSによれば、人と人との親密な繋がりを必要としなくとも、その場その場のコンテンツの楽しみに基づいたアドホックな繋がりを実現することができるため、新たな興趣をユーザに提供することができる。こうした興趣の異なるSNSを、既存の外部SNSにおけるソーシャルグラフを情報伝播の手段として位置付けることでより広範囲のつながりをも促進することができる。