特許第5960977号(P5960977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960977
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】防火ドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   E06B5/16
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-266761(P2011-266761)
(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-119709(P2013-119709A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 正也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 誓子
(72)【発明者】
【氏名】石原 誠
(72)【発明者】
【氏名】久保田 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 潤一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓郎
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−121588(JP,U)
【文献】 特開2009−243105(JP,A)
【文献】 特開2007−195365(JP,A)
【文献】 特開2005−351305(JP,A)
【文献】 特開2011−196083(JP,A)
【文献】 特開2011−94410(JP,A)
【文献】 特開平11−89953(JP,A)
【文献】 特許第3992562(JP,B2)
【文献】 特開2002−323177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00− 5/20
E05B 1/00− 85/28
E04B 1/62− 1/99
A62C 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を貫通する部品配置用の貫通孔の軸方向に平行な支持面を有して扉内部に配置された支持部と、
前記支持部の支持面に接着された加熱発泡材とを備え、
前記加熱発泡材は、所定温度以上に加熱された際に膨張して部品欠落状態における前記貫通孔を閉塞可能に構成され
前記扉は、枠材と、前記枠材の両面に固定された面材とを備え、
前記各面材には、前記貫通孔が形成され、
前記支持部は、前記各面材間に配置される室内側の支持部と室外側の支持部とを有し、
前記室内側の支持部および前記室外側の支持部にそれぞれ接着される加熱発泡材同士は、前記貫通孔の軸方向において離間して位置する
ことを特徴とする防火ドア。
【請求項2】
前記支持部は、前記貫通孔を挟んで設けられた一対の板部で構成され、
各板部の支持面は、互いに対向して設けられ、
前記加熱発泡材は、各支持面に接着され、所定温度以上に加熱された際に互いに近接する方向に膨張することで当接して前記貫通孔を閉塞する
ことを特徴とする請求項1に記載の防火ドア。
【請求項3】
前記支持部は、前記貫通孔を挟んで設けられ、かつ、上下方向に沿って延長された一対の縦板部と、前記貫通孔を挟んで設けられ、かつ、水平方向に沿って延長された一対の横板部とで構成され、
各縦板部の支持面は互いに対向して設けられ、
各横板部の支持面は互いに対向し、かつ、前記縦板部の支持面に直交して設けられ、
前記加熱発泡材は、各支持面に接着され、所定温度以上に加熱された際に対向配置された各加熱発泡材は、互いに近接する方向に膨張することで当接して前記貫通孔を閉塞する
ことを特徴とする請求項1に記載の防火ドア。
【請求項4】
前記支持部は、前記貫通孔の周囲を囲む円筒部で構成され、
前記支持部の支持面は、前記円筒部の内周面で構成され、
前記加熱発泡材は、円筒状に形成されて前記支持面に接着され、所定温度以上に加熱された際に前記円筒部の中心に向かって膨張することで当接して前記貫通孔を閉塞する
ことを特徴とする請求項1に記載の防火ドア。
【請求項5】
前記枠材は矩形状に組まれており
前記各面材間には、前記枠材に連結され、かつ、前記部品配置用の貫通孔に連通する開口を有する連結材が配置され、
前記支持部は、前記連結材に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防火ドア。
【請求項6】
前記扉は、前記枠材は矩形状に組まれており
記貫通孔部分には扉内部側に折り曲げられた折曲部が形成され、
前記支持部は、前記折曲部で構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防火ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において防火性能を高めるため、玄関ドアなどを防火ドアとして構成することがある。
ところで、防火ドアには、ハンドルや錠等の部品が設けられている。これらの部品は、ドア本体(面材)に貫通孔を形成し、この貫通孔を利用してドア本体に取り付けられる。このため、防火ドアで区画された2つの空間の一方で火災が発生した場合、前記貫通孔を介して煙や火炎が防火ドアで区画された他方の空間に伝わり、延焼が生じてしまう。
【0003】
ドアの部品取付用の貫通孔による延焼を防止するため、ドア本体の貫通孔の開口を覆うエスカッションプレートとドア本体との間に熱発泡材を充填したものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−12627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構造では、ドア本体の表面にエスカッションプレートを設ける必要がある。このため、ドアの意匠に制約が生じ、シンプルな扉の意匠を求める場合には、意匠を損なうという問題がある。
また、特許文献1の構造は、エスカッションプレートとドア本体との間隙を前記熱発泡材で閉塞するものであるため、火災によってハンドルや錠等の部品が融解し、前記貫通孔から欠落した場合には、前記間隙を熱発泡材で閉塞しても前記貫通孔を介して延焼が生じて防火性能が低下するという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、ドアの意匠を損なうことなく、防火性能を高めることができる防火ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防火ドアは、扉を貫通する部品配置用の貫通孔の軸方向に平行な支持面を有して扉内部に配置された支持部と、前記支持部の支持面に接着された加熱発泡材とを備え、前記加熱発泡材は、所定温度以上に加熱された際に膨張して部品欠落状態における前記貫通孔を閉塞可能に構成され、前記扉は、枠材と、前記枠材の両面に固定された面材とを備え、前記各面材には、前記貫通孔が形成され、前記支持部は、前記各面材間に配置される室内側の支持部と室外側の支持部とを有し、前記室内側の支持部および前記室外側の支持部にそれぞれ接着される加熱発泡材同士は、前記貫通孔の軸方向において離間して位置することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、火災時に部品配置用の貫通孔を閉塞する加熱発泡材を、内に設けられた支持面に接着しているので、前記特許文献1のように、エスカッションプレートを設ける必要がない。このため、意匠性を低下させることなく、防火ドアの防火性能を高めることができる。
また、加熱発泡材は、所定温度以上に加熱された際に膨張して貫通孔を塞ぐため、仮に、ハンドルや錠等の部品が融解して貫通孔から欠落した場合でも、加熱発泡材のみで貫通孔を閉塞できる。このため、防火性能をより一層向上できる。
【0009】
また、本発明の防火ドアにおいて、前記支持部は、前記貫通孔を挟んで設けられた一対の板部で構成され、各板部の支持面は、互いに対向して設けられ、前記加熱発泡材は、各支持面に接着され、所定温度以上に加熱された際に互いに近接する方向に膨張することで当接して前記貫通孔を閉塞することが好ましい。
【0010】
この発明によれば、貫通孔を挟んで設けられた一対の板部で支持部を構成し、各板部の支持面を互いに対向させ、この支持面に加熱発泡材を接着している。このため、加熱発泡材は、互いに近接する方向に膨張し、対向配置された支持面の略中間位置で互いに当接する。このため、加熱発泡材の一方向への発泡(膨張)特性を把握しておけば、加熱発泡材がどの程度の温度でどの程度膨張するかを正確に把握できる。従って、所定温度に加熱された際に前記貫通孔を確実に閉塞できる。
【0011】
また、本発明の防火ドアにおいて、前記支持部は、前記貫通孔を挟んで設けられ、かつ、上下方向に沿って延長された一対の縦板部と、前記貫通孔を挟んで設けられ、かつ、水平方向に沿って延長された一対の横板部とで構成され、各縦板部の支持面は互いに対向して設けられ、各横板部の支持面は互いに対向し、かつ、前記縦板部の支持面に直交して設けられ、前記加熱発泡材は、各支持面に接着され、所定温度以上に加熱された際に対向配置された各加熱発泡材は、互いに近接する方向に膨張することで当接して前記貫通孔を閉塞することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、支持部を、一対の縦板部および一対の横板部で構成し、貫通孔の周囲を囲む矩形枠状に形成している。このため、支持部の支持面に接着される加熱発泡材も矩形枠状に配置される。
従って、前記貫通孔は、所定温度以上に加熱されて上下および左右の四方から膨張する加熱発泡材により閉塞される。このため、対向する2つの支持面に接着された加熱発泡材のみで貫通孔を閉塞する場合に比べて、貫通孔をより確実に閉塞でき、防火性能を安定して維持できる。
【0013】
さらに、本発明の防火ドアにおいて、前記支持部は、前記貫通孔の周囲を囲む円筒部で構成され、前記支持部の支持面は、前記円筒部の内周面で構成され、前記加熱発泡材は、円筒状に形成されて前記支持面に接着され、所定温度以上に加熱された際に前記円筒部の中心に向かって膨張することで当接して前記貫通孔を閉塞することが好ましい。
【0014】
この発明によれば、支持部を円筒部で構成し、その内周面である支持面に、円筒状に形成された加熱発泡材を接着している。このため、加熱発泡材は、支持部の中心に向かって膨張し、中心部で互いに当接する。このため、加熱発泡材の発泡(膨張)特性を把握しておけば、加熱発泡材がどの程度の温度でどの程度膨張するかを正確に把握できる。従って、所定温度に加熱された際に前記貫通孔を確実に閉塞できる。
【0015】
また、本発明の防火ドアにおいて、前記枠体は矩形状に組まれており、前記各面材間には、前記枠材に連結され、かつ、前記部品配置用の貫通孔に連通する開口を有する連結材が配置され、前記支持部は、前記連結材に形成されていることが好ましい。
【0016】
連結材は、たとえば、各面材に沿って配置される側面部と、この側面部を連結する連結部を有する断面コ字状の鋼板などが利用できる。
この発明によれば、の枠材に連結された連結材を設け、この連結材に前記支持部を形成しているので、の面材は従来と同じものが利用できる。さらに、連結材は、加熱発泡材を取り付けるために設けられるため、に形成される貫通孔の形状やサイズに合わせて支持部を最適な位置に形成できる。従って、支持部の支持面に接着される加熱発泡材による貫通孔の閉塞も確実にかつ効率よく行うことができる。
【0017】
さらに、本発明の防火ドアにおいて、前記枠体は矩形状に組まれており、前記貫通孔部分には扉内部側に折り曲げられた折曲部が形成され、前記支持部は、前記折曲部で構成されていることが好ましい。
【0018】
防火ドアの面材は、スチール鋼板などの耐火性の面材が用いられる。
この発明によれば、面材の貫通孔部分に扉内部側に折り曲げられた折曲部を形成し、この折曲部で前記支持部を構成しているので、支持部を設けるための連結材などの部品を設ける必要がない。このため、部品点数を少なくできて防火ドアのコストを低減できる。
さらに、面材の折曲部を支持部とすれば、扉の室外側の面材や室内側の面材における貫通孔の開口に隣接して加熱発泡材を配置できる。このため、貫通孔をその開口近くで閉塞できるので、扉の室外側に火災が発生した場合と室内側で火災が発生した場合のいずれの場合でも、扉の貫通孔を確実に閉塞できる。従って、防火ドアの防火性能をより向上できる。
なお、前記折曲部は、例えば絞り加工を施すことによって形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る防火ドアを示す内観図である。
図2】第1実施形態の防火ドアの要部を示す一部を切り欠いた図である。
図3】第1実施形態の防火ドアの要部を示す分解斜視図である。
図4】第1実施形態の防火ドアの要部を示す平断面図である。
図5】第1実施形態の防火ドアの要部を示す平断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る防火ドアの要部を示す平断面図である。
図7】第2実施形態の貫通孔および加熱発泡材を示す分解斜視図である。
図8】第2実施形態の貫通孔および加熱発泡材を示す斜視図である。
図9】第2実施形態の他の貫通孔および加熱発泡材を示す分解斜視図である。
図10】第2実施形態の他の貫通孔および加熱発泡材を示す斜視図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る防火ドアの要部を示す平断面図である。
図12】第3実施形態の防火ドアの要部を示す分解斜視図である。
図13】本発明の変形例の防火ドアの要部を示す一部を切り欠いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る防火ドアとしての玄関ドア1は、外壁開口部に固定される枠体2と、この枠体2に開閉自在に支持されるドア本体としての扉3とを備えて構成されている。枠体2は、上枠、下枠および左右の縦枠を有する一般的なドア枠である。
なお、図1は、玄関ドア1の室内面を示す図であり、図1の左側が吊元側とされて図示略の丁番が取り付けられ、図1の右側が戸先側とされている。戸先側には、上下2つのシリンダー錠を開閉するサムターン4と、これらのサムターン4間に配置されたハンドル5とが設けられている。また、図示を略すが、ドアガードやドアクローザーなども設けられている。
【0021】
ドア本体である扉3は、図2にも示すように、枠材10と、枠材10の屋内側に固定された金属製のパネル(面材)21と、枠材10の屋外側に固定された金属製のパネル(面材)22と、パネル21,22間に充填されたペーパーハニカム製の充填材23を備えている。なお、パネル21,22間に充填される充填材23としては、特に前述の材質に限られない。具体的には、例えば、ハニカム材(水酸化アルミハニカム、セラミックハニカム)、EPS(発泡ビーズ法ポリスチレン)、フォーム材(イソシアヌレートフォーム、ウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム)等の素材が挙げられる。
枠材10は、戸先側の縦骨11と、吊元側(丁番側)の縦骨(図示略)と、上骨(図示略)と、下骨(図示略)とを矩形状に組んで構成された一般的な扉用の枠材である。
これらの各骨材(縦骨11等)は、図3,4にも示すように、断面コ字状のチャンネル材で構成されている。チャンネル材の材質は、たとえば、SGHC(熱延材)やSGCC(冷延材)等の溶融亜鉛めっき鋼板が利用できる。
【0022】
枠材10の屋内側および屋外側に固定された各パネル21,22には、前記サムターン4およびハンドル5が取り付けられる部分に形成された貫通孔24,25が形成されている。
貫通孔24は、サムターン4やシリンダー錠が配置される貫通孔であり、円形の貫通孔とされている。この貫通孔24は、ハンドル5の上側と下側の2箇所に形成されている。
貫通孔25は、ハンドル5の取付位置に対応して2箇所に形成された略十字状の貫通孔とされている。2つの貫通孔25のうち、上側の貫通孔25には、ハンドル5の上部側の取付用の軸(ボス)やラッチレバーが配置される。また、下側の貫通孔25には、ハンドル5の下部側の取付用の軸(ボス)などが配置される。
【0023】
縦骨11の内側には、連結材30が連結されている。連結材30は、縦骨11と同様にSGHCやSGCC等からなる断面コ字状のチャンネル材で構成されている。すなわち、連結材30は、玄関ドア1のパネル21,22に沿って配置される2つの側面部31と、側面部31を連結する連結部32とを備えて、平断面がコ字状に形成されている。
この連結材30は、図3に示すように、上端部および下端部に固定された連結部材33を介して縦骨11に取り付けられている。なお、連結部材33と、縦骨11や連結材30とは、図示略の皿リベット等を用いて固定されている。
【0024】
連結材30の側面部31には、前記貫通孔24,25の位置に対応して、開口34,35が形成されている。これらの開口34,35は、プレス加工などで形成された矩形状の開口である。この開口34,35の縦骨11側の側面部分には、連結材30の内側に折曲された折曲部34A,35Aが形成されている。
なお、図4に示すように、開口34の幅寸法は、開口35の幅寸法よりも大きいため、折曲部34Aと、折曲部35Aの形成位置もずれている。
【0025】
前記折曲部34A,35Aの連結部32側の面(開口34,35側の面)と、連結部32において前記折曲部34A,35Aに対向する面には、加熱発泡材40が両面テープ等で貼り付けられている。
従って、連結部32と、折曲部34A,35Aとで本発明の支持部(板部、縦板部)が構成され、連結部32および折曲部34A,35Aの対向面により本発明の支持面が構成される。この支持面は、貫通孔24,25の軸方向に平行な面とされている。なお、貫通孔24,25の軸方向に平行な面とは、支持面に対して直交方向に熱膨張する加熱発泡材40を互いに当接させることができる面であればよいため、ほぼ平行な面も含むものである。
さらに、各貫通孔24,25に対応する開口34,35は、貫通孔の幅寸法よりも大きな幅寸法とされ、前記連結部32および折曲部34A,35Aは、貫通孔24の外側に配置されている。
【0026】
加熱発泡材40は、所定温度になると膨張する熱膨張性黒鉛などを材料とするものであり、発泡倍率が10倍以上(たとえば30倍)のものである。
そして、火災などで熱が加わった際に、折曲部34A,35Aに貼り付けられた加熱発泡材40と、連結部32に貼り付けられた加熱発泡材40は、互いに近づく方向に膨張し、その中間地点で互いに当接して開口34,35を塞ぐように設けられている。
【0027】
縦骨11には、開口14,15が形成されている。開口14は、前記サムターン4やシリンダーが配置される高さ位置に形成され、図示略の錠ケースを配置するための開口である。
開口15は、ハンドル5の上側のボスやラッチレバーが配置される高さ位置に形成され、図示略のラッチケースを配置するための開口である。
【0028】
また、連結材30において、ハンドル5の下部の開口35部分にはラッチケースや錠ケースが配置されない。このため、断面略コ字状に折曲された補強材38が連結材30の連結部32にリベット等で固定されている。この構成によれば、開口35の四方に熱膨張性黒鉛を配置することができる為、熱膨張性黒鉛が補強材38内で密に膨張して開口35を密閉することができる。
【0029】
このような本実施形態では、玄関ドア1の屋外側で火災が発生し、加熱発泡材40が所定温度以上に加熱されると、図5に示すように、加熱発泡材40は熱膨張して対向する加熱発泡材40同士が当接する。このため、玄関ドア1の屋外側のパネル22に形成された各貫通孔24,25が加熱発泡材40で塞がれる。同様に、玄関ドア1の屋内側で火災が発生した場合も加熱発泡材40が熱膨張し、屋内側のパネル21に形成された各貫通孔24,25が加熱発泡材40で塞がれる。
このように加熱発泡材40同士が当接して各貫通孔24,25を塞ぐため、サムターン4、シリンダー、錠ケースや、ハンドル5、ラッチケースなどの部品が残っている場合だけでなく、これらの部品が融解、欠落した場合でも、遮炎効果を持続できる。従って、耐火性能の高い玄関ドア1を提供できる。
【0030】
また、加熱発泡材40は、折曲部34A,35Aおよび連結部32の互いに対向する支持面に一対設けられているので、片面のみに加熱発泡材40を設けた場合に比べて貫通孔24,25を迅速に塞ぐことができる。また、熱膨張する加熱発泡材40同士を当接させて貫通孔24,25を塞ぐため、加熱発泡材40間に隙間が生じることがなく、安定した遮炎性能を確保できる。このため、加熱発泡材40の取付位置や折曲部34A,35Aの折り曲げ角度に多少ばらつきが生じても、熱膨張する加熱発泡材40同士を当接させることで、それらのばらつきを吸収でき、安定した遮炎性能を確保できる。
【0031】
さらに、加熱発泡材40は、玄関ドア1のパネル21,22間に配置された連結材30に取り付けられているので、玄関ドア1のパネル21,22表面側には加熱発泡材40等の遮炎用の部材が露出しない。すなわち、特許文献1のようなエスカッションプレートをパネル21,22の表面側に配置する必要がない。
このため、玄関ドア1の意匠を遮炎用の部品で損なうことがない。特に、玄関ドア1はデザイン性を求められるものであるため、遮炎用の部品を外部に露出する必要がないことは、意匠性を向上できる点で有利である。
【0032】
その上、本実施形態では、円形の貫通孔24と、略十字形の貫通孔25とのサイズや形状の異なる貫通孔24,25を備えているが、加熱発泡材40はパネル21,22間(玄関ドア1の内部側)に配置されるため、貫通孔24,25にあわせて自由な位置およびサイズに設置できる。このため、大小様々な貫通孔に対しても確実に遮炎性能を確保できる。
【0033】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、前記第1実施形態における連結材30を設けずに、パネルに加熱発泡材を取り付ける点が相違するものの、その他の構成は第1実施形態と略同様である。以下、相違点について図6図10に基づいて詳しく説明する。
【0034】
図6に示すように、第2実施形態の玄関ドア1Aは、図示しない枠体および扉3Aを備える。扉3Aは、縦骨11等の枠材10と、パネル21A,22Aとを備える。
各パネル21A,22A間には、第1実施形態と同様に、錠ケースやラッチケース50が配置され、縦骨11に固定されている。
なお、ハンドル5は、室外側のハンドル5Aと、室内側のハンドル5Bとを備え、ハンドル5Aに形成された取付軸51に、ハンドル5Bを介してねじ52をねじ込んでパネル21A,22Aに取り付けられている。なお、取付軸51およびねじ52は、ラッチケース50の上下に一対受けられている。
【0035】
第2実施形態のパネル21A,22Aは、図7〜10に示すように、貫通孔24A,25Aをプレスの打ち抜き加工で形成し、さらに、その孔の周囲を絞り加工で折曲して折曲部241,251を形成したものである。
たとえば、ラッチケース50が配置される矩形状の貫通孔25Aは、図7に示すように、絞り加工によって形成された折曲部251が貫通孔25Aの外周に沿って形成されている。なお、各折曲部251は、打ち抜き加工で貫通孔25Aを形成する際に、互いに分離されており、絞り加工時に各折曲部251を容易に折り曲げることができるようにされている。
この折曲部251の内周面には、図8にも示すように、矩形枠状に曲げられた加熱発泡材40Aが接着剤や両面テープで貼り付けられる。
従って、折曲部251により本発明の支持部(板部)が構成され、折曲部251の内周面により支持面が構成される。さらに、4つの折曲部251のうち、左右2箇所の折曲部251で縦板部が構成され、上下2箇所の折曲部251で横板部が構成される。
【0036】
火災時に加熱発泡材40Aに熱が加わると、加熱発泡材40Aは熱膨張する。この際、加熱発泡材40Aは矩形枠状に形成されているので、対向する折曲部251に貼り付けられた加熱発泡材40A同士が互いに近づく方向に膨張し、加熱発泡材40A同士が当接することで貫通孔25Aは塞がれる。
【0037】
一方、サムターンやシリンダーが装着される円形の貫通孔24Aは、図9に示すように、絞り加工によって形成された円筒状の折曲部241が貫通孔24Aの外周に沿って形成されている。
この折曲部241の内周面には、図10にも示すように、円筒状に曲げられた加熱発泡材40Bが接着剤や両面テープで貼り付けられる。
従って、折曲部241により本発明の支持部(円筒部)が構成され、折曲部251の内周面により支持面が構成される。
そして、各折曲部241,251の内周面が、貫通孔24A,25Aの外周面となるため、支持部である各折曲部241,251は貫通孔24A,25Aの外側に配置されている。また、各折曲部241,251の内周面(支持面)は、貫通孔24A,25Aの軸方向に平行に設けられている。
【0038】
火災時に加熱発泡材40Bに熱が加わると、加熱発泡材40Bは熱膨張する。この際、加熱発泡材40Bは円筒状に形成されているので、加熱発泡材40Bの対向する部分同士が互いに近づく方向つまり折曲部241の中心に向かって膨張し、加熱発泡材40B同士が当接することで貫通孔24Aは塞がれる。
【0039】
第2実施形態においても、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
また、加熱発泡材40A,40Bを、パネル21A,22Aに形成した折曲部241,251に貼り付けているので、第1実施形態の連結材30を不要にでき、部品点数を少なくできてコストを低減できる。
【0040】
また、貫通孔24A,25Aの周囲に連続する加熱発泡材40A,40Bを配置しているので、第1実施形態のように左右の2方向のみから加熱発泡材40を熱膨張させる場合に比べて、遮炎性能を安定させることができる。
さらに、パネル21A,22Aの貫通孔24A,25Aを区画する折曲部241,251に加熱発泡材40A,40Bを貼り付けているので、貫通孔24A,25Aと加熱発泡材40A,40Bとの間に隙間が生じることがなく、貫通孔24A,25Aを確実に塞ぐことができる。
【0041】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、ラッチケース50や錠ケースに加熱発泡材を取り付ける点が相違するものの、その他の構成は前記実施形態と略同様である。以下、相違点について図11図12に基づいて詳しく説明する。
【0042】
図11に示すように、第3実施形態の玄関ドア1Bは、図示しない枠体および扉3Bを備える。扉3Bは、縦骨11等の枠材10と、パネル21,22とを備える。各パネル21,22には、レバーハンドル6が取り付けられている。このため、レバーハンドル6が配置される貫通孔25は、各パネル21,22にそれぞれ一箇所のみ形成されている。
従って、パネル21,22に形成される貫通孔24,25部分には、錠ケースかラッチケース50が必ず配置されることになる。
【0043】
各パネル21,22間には、第1実施形態と同様に、錠ケースやラッチケース50が配置され、縦骨11に固定されている。
これらのケース50のパネル21,22に対向する両側面には、加熱発泡材40が貼り付けられた保持板41が取り付けられている。この際、各保持板41は、加熱発泡材40が互いに対向する向きでケース50に取り付けられている。
各保持板41には、取付用の爪部42が形成されている。この爪部42をケース50の側面に形成された溝孔53に引っ掛けることで、保持板41はケース50に取り付けられている。
従って、保持板41により支持部(板部)が構成され、保持板41の互いに対向する面により支持面が構成されている。
【0044】
これらの保持板41は、貫通孔24,25を挟んだ位置つまり貫通孔の外側に配置され、火災が発生すると対向配置された加熱発泡材40が互いに近づく方向に熱膨張し、加熱発泡材40同士が当接することで貫通孔24,25が塞がれることになる。
【0045】
第3実施形態においても、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
また、加熱発泡材40を錠ケースやラッチケース50に取り付けられる保持板41に貼り付けているので、第1実施形態のように連結材30を設ける必要がなく、部品コストを低減できる。さらに、第2実施形態のように、パネル21,22に絞り加工で折曲部241,251を形成する必要がないため、加工コストを低減できる。
【0046】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
たとえば、前記実施形態においては、玄関ドア1を例示して説明したが、本発明の建具としては、玄関ドア1に限らず、勝手口ドア等でもよく、火災の延焼を防止するために用いられる防火ドアであれば適用できる。
【0047】
また、第1実施形態では、開口34,35の側面側に折曲部(縦板部)34A,35Aを設け、貫通孔24,25を左右方向から加熱発泡材40で塞ぐようにしていたが、図13に示すように、開口34,35の上下両側にも折曲部(横板部)34B,35Bを設け、これらの折曲部34B,35Bにも加熱発泡材40を貼り付けることで、貫通孔24,25を上下、左右の4方向に設けられた加熱発泡材40で塞ぐようにしてもよい。
この場合、第1実施形態のように左右の2方向のみから加熱発泡材40を熱膨張させる場合に比べて、遮炎性能を安定させることができる。
【0048】
なお、2方向から加熱発泡材40を熱膨張させる場合は、貫通孔24,25の上下に横板部を設けて加熱発泡材40を配置することで、加熱発泡材40を上下方向に熱膨張させてもよい。
【0049】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
1,1A,1B…玄関ドア(防火ドア)、3,3A,3B…扉(ドア本体)、4…サムターン、5…ハンドル、6…レバーハンドル、10…枠材、11…縦骨、21,22,21A,22A…パネル(面材)、24,25,24A,25A…貫通孔、30…連結材、34,35…開口、34A,35A,34B,35B,241,251…折曲部(支持部)、40,40A,40B…加熱発泡材、41…保持板(支持部)、50…ラッチケース。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13