特許第5960995号(P5960995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5960995-ニュートンリング防止シート 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5960995
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ニュートンリング防止シート
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20160719BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20160719BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20160719BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20160719BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20160719BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G02B5/02 B
   G02B1/14
   G09F9/00 313
   B32B27/20 Z
   B32B7/02 103
   G06F3/041 400
   G06F3/041 460
   G06F3/041 495
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-14001(P2012-14001)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-152396(P2013-152396A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100184479
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】星野 弘気
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 卓三
【審査官】 居島 一仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−228401(JP,A)
【文献】 特開2007−265100(JP,A)
【文献】 特開2011−175081(JP,A)
【文献】 特開2002−036452(JP,A)
【文献】 特開2010−053347(JP,A)
【文献】 特開2005−265864(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/048647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/00−5/136
G02B1/10−1/18
B32B1/00−43/00
G06F3/041−3/047
G06F3/033−3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明プラスチックフィルムの片面に、
活性エネルギー線硬化型化合物(a1)の硬化物、平均粒子径0.5〜6.0μmの第1の微粒子(b1)、及び平均粒子径1〜60nmのナノ微粒子(c1)を含むハードコート層と、
前記透明プラスチックフィルムの他方の面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)の硬化物、第2の微粒子としての有機微粒子(b2)を含むニュートンリング防止層と、を有するニュートンリング防止シートであって、
前記ハードコート層に含まれる第1の微粒子(b1)と、ナノ微粒子(c1)との質量比〔(b1)/(c1)〕が、4/96〜22/78であり、
前記有機微粒子(b2)が、平均粒子径2.5〜10.0μmであり、さらに下記式で表される粒子径分布の変動係数(CV値)が、30%未満であり、
かつ、
下記要件(I)及び(II)を満足することを特徴とするニュートンリング防止シート。
(I)前記ニュートンリング防止シートのJIS K 7374−2007に準拠して測定される、5種類のスリットの合計値で表される透過鮮明度が200以上であること。
(II)前記ニュートンリング防止層における、JIS B 0601−1994に準拠して測定される粗さ曲線より求められる最大高さ(Ry)が0.4〜1.4μmであること。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
【請求項2】
前記ニュートンリング防止層における、JIS B 0601−1994に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.15μmであることを特徴とする請求項1に記載のニュートンリング防止シート。
【請求項3】
前記ハードコート層と、前記ニュートンリング防止層との厚みの比〔ハードコート層/ニュートンリング防止層〕が40/60〜75/25であることを特徴とする請求項1又は2に記載のニュートンリング防止シート。
【請求項4】
前記ハードコート層における、前記第1の微粒子(b1)の含有量が、ハードコート層の全質量に対して、1〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニュートンリング防止シート。
【請求項5】
前記ハードコート層における、前記ナノ微粒子(c1)の含有量が、ハードコート層の全質量に対して、10〜74質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のニュートンリング防止シート。
【請求項6】
透明プラスチックフィルムの片面および他方の面に、ハードコート層およびニュートンリング防止層をそれぞれ有し、要件(I)として、JIS K 7374−2007に準拠して測定される、5種類のスリットの合計値で表される透過鮮明度が200以上であるニュートンリング防止シートの製造方法であって、
下記工程1および2を含むことを特徴とするニュートンリング防止シートの製造方法。
(1)前記透明プラスチックフィルムの片面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)、平均粒子径0.5〜6.0μmの第1の微粒子(b1)、及び平均粒子径1〜60nmのナノ微粒子(c1)を含み、前記第1の微粒子(b1)と、ナノ微粒子(c1)との質量比〔(b1)/(c1)〕が、4/96〜22/78であり、前記有機微粒子(b2)が、平均粒子径2.5〜10.0μmであり、さらに下記式で表される粒子径分布の変動係数(CV値)が、30%未満であるハードコート層形成塗工液を塗布した後、活性エネルギー線照射により硬化させて、ハードコート層を形成する工程。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
(2)前記透明プラスチックフィルムの他方の面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)、第2の微粒子としての有機微粒子(b2)を含むニュートンリング防止層形成塗工液を塗布した後、活性エネルギー線照射により硬化させて、要件(II)として、JIS B 0601−1994に準拠して測定される粗さ曲線より求められる最大高さ(Ry)が0.4〜1.4μmであるニュートンリング防止層を形成する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はニュートンリング防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイの上にタッチパネルを載せた機器が、情報端末機等として多く使用されている。タッチパネルの方式の1つとして知られている抵抗膜式タッチパネルにおいては、透明プラスチックフィルムと基板との間に隙間を設け、入力面を指やペン等で押すことで透明プラスチックフィルムと基板を部分的に接触させることで入力を行う。
しかしながら、入力時に透明プラスチックフィルムと基板が接触することで、透明プラスチックフィルム上に光の干渉によるニュートンリングが生じ、視認性を悪化させるという問題が存在する。
【0003】
この問題を改善するために、透明プラスチックフィルムの片面又は両面に、微粒子等によって微細な凹凸を塗工によって形成させることで、ニュートンリングの発生を防止し得ることが知られている。
例えば、特許文献1には、ニュートンリングの発生を防止すると共に、スパークル(ぎらつき現象)が発生しにくいニュートンリング防止シートを提供することを目的として、透明支持体の一方の面に電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂、及び粒子径分布の変動係数(CV値)が20〜80%である微粒子から形成されてなるニュートンリング防止層を有し、前記透明支持体の他方の面に微粒子を含有してなるハードコート層を有するニュートンリング防止シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−42671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたニュートンリング防止シートは、透過鮮明度が悪く、視認性が劣る点で問題があり、携帯ゲーム機、タブレット型端末等の画像の精彩性が重視される一般需要者向け機器に用いられるタッチパネル用途の特性としては不十分である。
また、このようなハードコート層も有するニュートンリング防止シートは、ハードコート層表面に対してタッチパネルで指入力する際、指滑り性の低下が生じ、使用感が劣る場合がある。特許文献1では、この指滑り性についての検討がなされていない。
【0006】
本発明は、ニュートンリング防止性が良好であり、且つ、ぎらつきが発生しにくく、優れた視認性を有し、タッチパネルで指入力する際の指滑り性及び指紋消去性に優れた、ニュートンリング防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の成分を含み、特定の要件を満たすハードコート層及びニュートンリング防止層を用いたニュートンリング防止シートが、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]を提供するものである。
[1]透明プラスチックフィルムの片面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)の硬化物、平均粒子径0.5〜6.0μmの第1の微粒子(b1)、及び平均粒子径1〜60nmのナノ微粒子(c1)を含むハードコート層と、前記透明プラスチックフィルムの他方の面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)の硬化物、第2の微粒子としての有機微粒子(b2)を含むニュートンリング防止層と、を有するニュートンリング防止シートであって、前記ハードコート層に含まれる第1の微粒子(b1)と、ナノ微粒子(c1)との質量比〔(b1)/(c1)〕が、4/96〜22/78であり、
前記有機微粒子(b2)が、平均粒子径2.5〜10.0μmであり、さらに下記式で表される粒子径分布の変動係数(CV値)が、30%未満であり、かつ、下記要件(I)及び(II)を満足することを特徴とするニュートンリング防止シート。
(I)前記ニュートンリング防止シートのJIS K 7374−2007に準拠して測定される、5種類のスリットの合計値で表される透過鮮明度が200以上であること。
(II)前記ニュートンリング防止層における、JIS B 0601−1994に準拠して測定される粗さ曲線より求められる最大高さ(Ry)が0.4〜1.4μmであること。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
[2]前記ニュートンリング防止層における、JIS B 0601−1994に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.15μmであることを特徴とする上記[1]に記載のニュートンリング防止シート。
[3]前記ハードコート層と、前記ニュートンリング防止層との厚みの比〔ハードコート層/ニュートンリング防止層〕が40/60〜75/25であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のニュートンリング防止シート。
[4]前記ハードコート層における、前記第1の微粒子(b1)の含有量が、ハードコート層の全質量に対して、1〜20質量%であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のニュートンリング防止シート。
[5]前記ハードコート層における、前記ナノ微粒子(c1)の含有量が、ハードコート層の全質量に対して、10〜74質量%であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のニュートンリング防止シート。
[6]透明プラスチックフィルムの片面および他方の面に、ハードコート層およびニュートンリング防止層をそれぞれ有し、要件(I)として、JIS K 7374−2007に準拠して測定される、5種類のスリットの合計値で表される透過鮮明度が200以上であるニュートンリング防止シートの製造方法であって、下記工程1および2を含むことを特徴とするニュートンリング防止シートの製造法。
(1)前記透明プラスチックフィルムの片面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)、平均粒子径0.5〜6.0μmの第1の微粒子(b1)、及び平均粒子径1〜60nmのナノ微粒子(c1)を含み、前記第1の微粒子(b1)と、ナノ微粒子(c1)との質量比〔(b1)/(c1)〕が、4/96〜22/78であり、前記有機微粒子(b2)が、平均粒子径2.5〜10.0μmであり、さらに下記式で表される粒子径分布の変動係数(CV値)が、30%未満であるハードコート層形成塗工液を塗布した後、活性エネルギー線照射により硬化させて、ハードコート層を形成する工程。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
(2)前記透明プラスチックフィルムの他方の面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)、第2の微粒子としての有機微粒子(b2)を含むニュートンリング防止層形成塗工液を塗布した後、活性エネルギー線照射により硬化させて、要件(II)として、JIS B 0601−1994に準拠して測定される粗さ曲線より求められる最大高さ(Ry)が0.4〜1.4μmであるニュートンリング防止層を形成する工程。
【発明の効果】
【0008】
本発明のニュートンリング防止シートは、ニュートンリング防止性が良好で、且つ、ぎらつきが発生しにくく、優れた視認性を有し、タッチパネルで指入力する際の優れた指滑り性が確保され、また、指紋消去性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のニュートンリング防止シートの構成の一例を示した、該ニュートンリング防止シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ニュートンリング防止シート]
本発明のニュートンリング防止シート(以下「NR防止シート」ともいう)は、透明プラスチックフィルムの片面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)の硬化物、平均粒子径0.5〜6.0μmの第1の微粒子(b1)、及び平均粒子径1〜60nmのナノ微粒子(c1)を含むハードコート層(以下「HC層」ともいう)を有し、且つ、前記透明プラスチックフィルムの他方の面に、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)の硬化物、第2の微粒子(b2)を含むニュートンリング防止層(以下「NR防止層」ともいう)を有するものである。
【0011】
図1は、本発明のニュートンリング防止シートの構成の一例を示した図である。図1に示すとおり、本発明のニュートンリング防止シート1は、透明プラスチックフィルム11の片面に、ハードコート層12を有し、該フィルム11の他方の面に、ニュートンリング防止層13を有する。なお、必要に応じて、透明プラスチックフィルム11とハードコート層12及び/又はニュートンリング防止層13との間に、プライマー層を設けてもよい。
【0012】
そして、本発明のニュートンリング防止シート1は、下記要件(I)及び(II)を満たす。
(I)ニュートンリング防止シートのJIS K 7374−2007に準拠して測定される、5種類のスリットの合計値で表される透過鮮明度が200以上である
(II)ニュートンリング防止層における、JIS B 0601−1994に準拠して測定される粗さ曲線より求められる最大高さ(Ry)が0.2〜2.0μmである
【0013】
上記要件(I)を満たすことで、優れた視認性を有するNR防止シートとすることができる。つまり、要件(I)で規定する透過鮮明度が200未満であると、ニュートンリング防止シートの視認性が劣り、画像の精彩性が重視される一般需要者向け機器に用いられるタッチパネル用途としては使用し難い。
本発明のNR防止シートの要件(I)で規定する透過鮮明度は200以上であるが、上記観点から、好ましくは220〜450、より好ましくは250〜420、更に好ましくは280〜400である。
なお、本発明において、NR防止シートの要件(I)で規定の透過鮮明度は、JIS K 7374−2007に準拠して測定される、5種類のスリット(スリット幅が0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mm、及び2mmのスリット)での合計値であり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0014】
また、上記要件(II)を満たすことで、NR防止層の性能が損なわれない程度にNR防止層の表面の凹凸の度合いが制御されているために、ニュートンリング防止性が良好で、視認性に優れたNR防止シートとなり得る。つまり、Ryが0.2μm未満であると、ニュートンリング防止性能が発現し難くなる。また、Ryが2.0μmを超えると、透過鮮明度の低下を引き起こし、NR防止シートの視認性が悪化する。
ニュートンリング防止層における、上記要件(II)で規定する最大高さ(Ry)は、0.2〜2.0μmであるが、上記観点から、好ましくは0.3〜1.7μm、より好ましくは0.5〜1.4μm、更に好ましくは0.7〜1.3μmである。
なお、本発明において、要件(II)で規定の最大高さ(Ry)は、JIS B 0601−1994に準拠して測定される粗さ曲線より求められたものであり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0015】
さらに、本発明のニュートンリング防止シート1は、下記要件(III)を満たすことが好ましい。
(III)ハードコート層における、JIS B 0601−1994に準拠して測定される十点平均粗さ(Rz)が0.5〜4.8μmである
【0016】
上記要件(III)を満たすことで、HC層表面の指滑り性を良好にし、ぎらつきの発生も抑制することができる。つまり、Rzが0.5μm以上であれば、指とハードコート層表面との接触面積が過度に増大することを防ぐことができるため、指滑り性が向上し、優れた使用感が得られる。また、Rzが4.8μm以下であれば、指の移動において、指表面の凹凸とハードコート層表面の凹凸との衝突を抑制でき、抵抗感が低減され、指滑り性が良好であり、優れた使用感が得られる。また、ハードコート層表面における光の散乱が小さくなるため、ぎらつきの発生も抑制できる。
ハードコート層における、上記(III)で規定する十点平均粗さ(Rz)は、好ましく0.5〜4.8μmであるが、上記観点から、より好ましくは0.9〜4.6μm、更に好ましくは1.5〜4.3μm、より更に好ましくは2.1〜4.3μmである。
なお、本発明において、要件(III)で規定の十点平均粗さ(Rz)は、JIS B 0601−1994に準拠して測定されるものであり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0017】
また、本発明のニュートンリング防止シートのJIS K 7136−2000に準拠して測定されるヘーズ値は、視認性の観点から、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは12%以下である。
なお、本発明におけて、ヘーズ値は、JIS K 7136−2000に準拠して測定されたものであり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0018】
本発明のニュートンリング防止シートにおいて、ニュートンリング防止性能、及びぎらつき発生の防止性能を付与しつつ、視認性を向上させる観点から、ハードコート層とニュートンリング防止層との厚みの比〔HC層/NR防止層〕が、好ましくは40/60〜75/25、より好ましくは50/50〜70/30、更に好ましくは52/48〜65/35である。
当該比が40/60以上であれば、ハードコート層における十点平均粗さ(Rz)を上述の範囲に調整しやすく、その結果、ぎらつき発生の防止性能を付与しつつ、視認性を向上させることができる。
一方、当該比が75/25以下であれば、ニュートンリング防止層が十分な厚さを有するため、強度の低下が起きにくく、また、ニュートンリング防止性能を付与しつつ、視認性を向上させることができる。
【0019】
以下、本発明のニュートンリング防止シートの各構成について説明する。
[透明プラスチックフィルム]
【0020】
本発明のニュートンリング防止シートを構成する透明プラスチックフィルムは、上記要件(I)を満たす限り特に制限はなく、公知の透明プラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。
透明プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等が挙げられる。
これらの中でも、光学用途に好適である観点から、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、更に、安価で透明性、寸法安定性、強靭性に優れるという観点から、ポリエステルフィルムがより好ましい。
【0021】
また、本発明で用いる透明プラスチックフィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、密着性の向上、操作性、光学特性への影響の小ささの観点から、コロナ放電処理が好ましい。
また、同様の目的でプラスチックフィルム表面にプライマー層を設けることもできる。
【0022】
透明プラスチックフィルムの厚みは、上記要件(I)を満たす限り、特に制限は無いが、
ハンドリングの容易性と、機器に装着されたときの無用な厚みの増加を防止する観点から、好ましくは10〜400μm、より好ましくは30〜250μm、更に好ましくは50〜200μmである。
【0023】
[ハードコート層]
本発明のニュートンリング防止シートを構成するハードコート層(HC層)は、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)の硬化物、平均粒子径0.5〜6.0μmの第1の微粒子(b1)、及び平均粒子径1〜60nmのナノ微粒子(c1)を含む。また、上記要件(III)を満たすことが好ましい。
【0024】
第1の微粒子(b1)を含むことで、HC層の十点平均粗さ(Rz)を上記要件(III)で規定するような範囲に調整することが容易にでき、HC層表面の指滑り性を向上させ、NR防止シートにおけるぎらつきの発生を抑制することができる。
第1の微粒子(b1)の平均粒子径は0.5〜6.0μmであるが、上記観点から、好ましくは1.0〜5.0μm、より好ましくは1.6〜4.4μm、更に好ましくは2.1〜4.2μmである。
なお、本発明において、第1の微粒子(b1)及び後述する第2の微粒子(b2)の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて求めた粒度分布における積算値50%での粒径(メジアン径D50)であり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0025】
また、ナノ微粒子(c1)を含むことで、良好な指滑り性を保持しつつ、NR防止層を設けつつも透過鮮明度をより向上させ、視認性に優れたNR防止シートとすることができる。本発明のNR防止シートは、いずれも表面に凹凸を有するHC層とNR防止層とを有している。このような構成のシートにおいては、全体としての透過鮮明度は低下する傾向があり、これを抑制することが困難である。NR防止層においては、例えば、NR防止性が発現しうる極限まで凹凸の密度を小さく規制すること(具体的には、後述するNR防止層のRaの好ましい範囲に属するように調整すること)によって、透過鮮明度の低下を抑制することが可能である。しかしながら、同様の方法で透過鮮明度の低下を抑制するために、HC層の凹凸の密度を小さくした場合には、指滑り性の低下が避けられない。したがって、優れた指滑り性を付与するためには、HC層の十点平均粗さ(Rz)を上述の範囲に維持する必要がある。そこで、ナノ微粒子(c1)をHC層に含有することで、第1の微粒子(b1)と活性エネルギー線硬化型化合物(a1)の境界の形状が極端な屈曲を有することなく滑らかのものとなり、その結果、HC層表面における光の散乱が抑制され、NR防止シート全体として、透過鮮明度の低下を抑制できると考えられる。さらに、HC層表面の凹凸形状そのものは消失することなく存在しているため、十点平均粗さ(Rz)は大きく変化することなく、凹凸構造により得られる良好な指滑り性も保持されると考えられる。
【0026】
ナノ微粒子(c1)の平均粒子径は1〜60nmであるが、上記観点から、好ましくは2〜45nm、より好ましくは4〜30nm、更に好ましくは6〜18nmである。
なお、本発明において、第2の微粒子(b2)の平均粒子径は、例えばBET法により求めた値である。
【0027】
HC層における、第1の微粒子(b1)とナノ微粒子(c1)との質量比〔(b1)/(c1)〕は、HC層表面の指滑り性を向上させる観点、及び得られるNR防止シートの透過鮮明度を向上させ、良好な視認性を得る観点から、4/96〜22/78であり、好ましくは4.5/95.5〜21/81、より好ましくは6/94〜18/82、更に好ましくは10/90〜16/84である。
当該質量比が4/96未満であると、HC層表面の指滑り性が劣ると共に、HC層に白斑状の欠点が多数発生してしまい、画像の精彩性が重視される機器に用いられるタッチパネル用途としての適用が難しくなる。また、得られるHC層の強度も低下する。
一方、当該質量比が22/78を超えると、第1の微粒子(b1)の含有量が多すぎるため、NR防止シートの透過鮮明度が低下し、視認性が悪化する。また、ぎらつきの発生も十分に抑制することができない。
【0028】
HC層中の活性エネルギー線硬化型化合物(a1)の硬化物の含有量は、HC層の強度を維持すると共に、指紋消去性を良好にする観点から、HC層の全質量に対して、好ましくは25〜89質量%、より好ましくは35〜80質量%、更に好ましくは45〜75質量%である。
HC層中の第1の微粒子(b1)の含有量は、指滑り性を向上させ、ぎらつきの発生を抑制する観点から、HC層の全質量に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜13質量%、更に好ましくは3〜10質量%である。
HC層中のナノ微粒子(c1)の含有量は、HC層の強度及びNR防止シートの視認性向上の観点から、HC層の全質量に対して、好ましくは7〜74質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは20〜60質量%である。
【0029】
HC層の厚みは、上記要件(III)を満たすように適宜設定されるが、好ましくは0.5〜12.0μm、より好ましくは1.0〜9.0μm、更に好ましくは2.0〜7.0μm、より更に好ましくは3.0〜6.0μmである。
HCの厚みが0.5μm以上であれば、HC層の強度を十分に保つことができる。また、12μm以下であれば、ハードコート層の十点平均粗さ(Rz)を上述の範囲に調整するのが容易となる。
【0030】
本発明のNR防止シートを構成するハードコート層は、上述した透明プラスチックフィルムの片面に、ハードコート層形成材料を用いて形成される。ハードコート層形成材料は、少なくとも活性エネルギー線硬化型化合物(a1)、第1の微粒子(b1)、及びナノ微粒子(c1)を含むが、必要に応じて、光重合開始剤やその他の添加剤を含むことができる。以下、ハードコート層形成材料に含まれる各種成分について説明する。
【0031】
(活性エネルギー線硬化型化合物(a1))
本発明において「活性エネルギー線」とは、紫外線又は電子線等の電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを指し、「活性エネルギー線硬化型化合物」とは、このような活性エネルギー線を照射することにより、架橋、硬化する重合性化合物を指す(以下同じ)。
活性エネルギー線硬化型化合物(a1)としては、例えば、活性エネルギー線重合性プレポリマー及び/又は活性エネルギー線重合性モノマーを挙げることができ、(メタ)アクリレート系プレポリマー及び/又は多官能性(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、メタ)アクリレート系プレポリマーがより好ましい。
また、上記アクリレート系化合物は、紫外線硬化型アクリレート系化合物、電子線硬化型アクリレート系化合物等が挙げられるが、紫外線硬化型アクリレート系化合物が好ましい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を指し、他の類似用語も同様である(以下同じ)。
【0032】
(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマー、エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマー、ポリオール(メタ)アクリレート系プレポリマー等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。なお、これらのプレポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、指紋消去性の向上の観点から、ウレタンアクリレート系プレポリマーが好ましく、親油性ウレタンアクリレート系プレポリマーがより好ましい。
【0033】
多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらのモノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、前記(メタ)アクリレート系プレポリマーと併用してもよい。
【0034】
(第1の微粒子(b1))
第1の微粒子(b1)は、平均粒子径が0.5〜6.0μmの微粒子である。なお、微粒子(b1)の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値であり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
第1の微粒子(b1)は、上記平均粒子径の範囲のものであれば特に制限されず、無機系微粒子、有機系微粒子のいずれでもよい。
無機系微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、カーボン微粒子、及びアルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子、酸化亜鉛微粒子等の金属酸化物微粒子等が挙げられる。
有機系微粒子としては、例えば、シリコーン系微粒子、メラミン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子、アクリル−スチレン系共重合体微粒子、ポリカーボネート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリスチレン系微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子等が挙げられる。
なお、これらの微粒子は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
これらの微粒子の中でも、分散性の観点から、無機系微粒子が好ましく、シリカ微粒子がより好ましい。
なお、シリカ微粒子の形状は、特には制限されず、不定形シリカ微粒子、球状シリカ微粒子等を用いることができるが、不定形シリカ微粒子が好ましい。
【0036】
HC層形成材料中の第1の微粒子(b1)の配合量は、形成するHC層が上記要件(III)を満たすように調整する観点、及び指滑り性を向上させ、ぎらつきの発生を抑制する観点から、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2〜16質量部、更に好ましくは3〜13質量部である。
【0037】
(ナノ微粒子(c1))
ナノ微粒子(c1)は、平均粒子径が1〜60nmのナノ微粒子であり、第1の微粒子(b1)とは平均粒子径の大きさにより区別されるものである。
ナノ微粒子(c1)についても、上記平均粒子径であれば特に限定されず、第1の微粒子としてあげた無機系微粒子、有機系微粒子のいずれもが適用可能である。
ナノ微粒子(c1)は、ハードコート層形成用の組成物に容易に添加することができるゾルの形態であるものを用いることが好ましく、上記に挙げた中でも、ゾルを容易に得ることができることから、無機系微粒子が好ましく、シリカ微粒子が好ましい。
【0038】
HC層形成材料中のナノ微粒子(c1)の配合量は、HC層の強度を向上させる観点、及び透過鮮明度を向上させ、優れた視認性を有するNR防止シートを得る観点から、活性エネルギー線硬化型化合物(a1)100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは15〜250質量部、更に好ましくは30〜200質量部である。
【0039】
(光重合開始剤)
HC層形成材料には、必要に応じて、光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。なお、これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
HC層形成材料中の光重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化型化合物の硬化物(a1)100質量部に対して、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0041】
(その他の添加剤)
HC層形成材料は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、その他の添加剤を配合することもできる。
その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
【0042】
[ハードコート層の形成方法]
また、透明プラスチックフィルムへの塗工性を向上させるために、上記成分を含むHC層形成材料に、更に溶媒を加えて、溶解又は分散させることが好ましい。
用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。
溶媒を加えた場合のHC層形成材料の固形分濃度は、透明プラスチックフィルムへの塗工性及び作業性の観点から、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは5〜40質量%に調整することが好ましい。
【0043】
前記透明プラスチックフィルムの片面に、前記NR防止層形成材料を、従来公知の方法、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、HC層が形成される。
【0044】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線等が挙げられ、紫外線が好ましい。
紫外線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等により得られる。紫外線の照射量は、特に制限はないが、好ましくは100〜500mJ/cm2、より好ましくは150〜450mJ/cm2である。
一方、電子線は、電子線加速器等によって得られる。電子線の照射量は、特に制限はないが、好ましくは150〜350kVである。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
【0045】
[ニュートンリング防止層]
本発明のNR防止シートを構成するニュートンリング防止層は、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)の硬化物、第2の微粒子(b2)を含み、上記要件(II)を満たす。
第2の微粒子(b2)を含むことで、NR防止層の最大高さ(Ry)を上記要件(II)で規定するような範囲に調整することが容易にできる。その結果、ニュートンリングの発生を効果的に抑制することができ、視認性に優れたNR防止シートとなり得る。
【0046】
また、NR防止層におけるJIS B 0601−1994に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.15μmであることが好ましい。Raが0.01μm以上であれば、ニュートンリング防止性能が良好なNR防止シートとなり得る。一方、Raが0.15μm以下であれば、透過鮮明度を更に向上させ、視認性に優れたNRシートとなり得る。
上記観点から、NR防止層の当該算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは0.01〜0.15μmであるが、より好ましくは0.013〜0.12μm、更に好ましくは0.02〜0.08μmである。
なお、本発明において、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601−1994に準拠して測定されたものであり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0047】
第2の微粒子(b2)の平均粒子径は、NR防止層のRy及びRaの調整を容易にする観点から、好ましくは1.0〜10.0μm、より好ましくは2.0〜8.0μm、更に好ましくは2.5〜6.0μmである。該平均粒子径が1.0μm以上であれば、第2の微粒子(b2)の単位重量当たりの粒子数が増加することによるNR防止層のRaが増加を抑え、視認性を向上させることができる。一方、該平均粒子径が10.0μm以下であれば、NR防止層のRy及びRaを規定の範囲に調整することが容易となる。
【0048】
また、第2の微粒子は、ニュートンリング防止層表面の粗さ曲線から求められる最大高さ(Ry)を所望の値に容易に制御する観点から、粒径のばらつきはできるだけ小さい方が好ましい。そのため、この第2の微粒子(b2)の下記の式で表される粒子径分布の変動係数(CV値)は、好ましくは30%未満、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下である。このCV値が小さいほど、微粒子の粒径のばらつきが小さいことを表している。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
なお、第2の微粒子(b2)の変動係数(CV値)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値であり、具体的には実施例に記載された方法により測定された値である。
【0049】
ニュートンリング防止層中の第2の微粒子(b2)の含有量は、NR防止層の全質量に対して、好ましくは0.01〜1.5質量%、より好ましくは0.03〜0.8質量%、更に好ましくは0.05〜0.25質量%である。
【0050】
NR防止層13の厚みは、上記要件(II)を満たす限り特に制限は無いが、ニュートンリング防止性、NR防止層のRz及びRaの調整を容易にする観点から、好ましくは0.1〜10.0μm、より好ましくは0.5〜7.5μm、更に好ましくは1.0〜6.0μm、より更に好ましくは2.0〜5.0μmである。厚みが小さすぎる場合には、上記要件(III)におけるRyの上限を超えないようにするために、第2の微粒子(b2)の平均粒子径を小さくする必要がある。この場合、第2の微粒子(b2)の単位重量当たりの粒子数が増加するが、このことは、ニュートンリング防止層の算術平均粗さRaが増加し、上記の好ましい範囲内に調整することが困難となることがある。
【0051】
本発明のNR防止シートを構成するニュートンリング防止層は、上述した透明プラスチックフィルムのHC層が形成された面とは反対側の面に、ニュートンリング防止層形成材料を用いて形成される。ニュートンリング防止層形成材料は、少なくとも活性エネルギー線硬化型化合物(a2)、第2の微粒子(b1)が含むが、必要に応じて、光重合開始剤やその他の添加剤を含むことができる。以下、ハードコート層形成材料に含まれる各種成分について説明する。
【0052】
(活性エネルギー線硬化型化合物(a2))
活性エネルギー線硬化型化合物(a2)としては、活性エネルギー線重合性プレポリマー及び/又は活性エネルギー線重合性モノマーを挙げることができ、(メタ)アクリレート系プレポリマー及び/又は多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、多官能性(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。
また、上記アクリレート系化合物は、紫外線硬化型アクリレート系化合物、電子線硬化型アクリレート系化合物等が挙げられるが、紫外線硬化型アクリレート系化合物が好ましい。
具体的な(メタ)アクリレート系プレポリマー及び多官能性(メタ)アクリレートモノマーについては、化合物(a1)で列挙されたものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0053】
(第2の微粒子(b2))
第2の微粒子(b2)は、無機系微粒子、有機系微粒子のいずれであってもよく、第1の微粒子(b1)で挙げた無機系微粒子及び有機系微粒子を用いることができる。これらの微粒子は、単独で又は2種以上組み合わせてもちいてもよい。
ただ、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)への分散性の観点から、有機系微粒子であることが好ましく、シリコーン系微粒子であることがより好ましい。また、透過鮮明度及びヘーズ値の観点から、球状の有機系微粒子が好ましい。
【0054】
NR防止層形成材料中の第2の微粒子(b2)の配合量は、活性エネルギー線硬化型化合物(a2)100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.03〜1.5質量部、更に好ましくは0.05〜0.3質量部である。第2の微粒子(b2)の配合量が0.01質量部以上であれば、十分なNR防止効果を得ることができる。
一方、該配合量が2質量部以下であれば、NR防止層のRy及びRaを上述の規定の範囲に調整でき、視認性を良好とすることができる。
【0055】
(光重合開始剤)
NR防止層形成材料には、必要に応じて、光重合開始剤を含有してもよく、HC層形成材料中に配合される光重合開始剤と同様のものが挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
NR防止層形成材料中の光重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化型化合物の硬化物(a1)100質量部に対して、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0056】
(その他の添加剤)
NR防止層形成材料は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、その他の添加剤を配合することもできる。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
【0057】
[ニュートンリング防止層の形成方法]
透明プラスチックフィルムへの塗工性を向上させるために、上記成分を含むNR防止層形成材料に、更に溶媒を加えて、溶解又は分散させることが好ましい。
用いる溶媒としては、HC層形成材料で用いられる溶媒と同様のものが挙げられる。
溶媒を加えた場合のNR防止層形成材料の固形分濃度は、透明プラスチックフィルムへの塗工性及び作業性の観点から、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは5〜40質量%である。
また、当該NR防止層形成材料を用いて、透明プラスチックフィルムの他方の面に、NR防止層を形成する方法としては、前述したNR防止層形成材料を用いてNR防止層を形成する方法と同じ方法を採用することができる。
【0058】
このようにして得られた本発明のニュートンリング防止シートは、ニュートンリング防止性が良好で、且つ、ぎらつきが発生しにくい上、優れた視認性を有し、タッチパネルで指入力する際の指滑り性及び指紋消去性に優れており、特に、画像の精彩性が重視される機器に用いられるタッチパネル用途に好適である。
【実施例】
【0059】
以下の実施例の記載に基づいて作製されたニュートンリング防止シートの各種物性値は、以下のとおり測定した値である。
【0060】
[ハードコート層]
(1)微粒子及びナノ微粒子の平均粒子径
サンプルとして、分散媒であるメチルエチルケトンを用い、5質量%濃度の分散液を調製し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、機種名「LA−920」)を用いて測定した。
(2)十点平均粗さ(Rz)
接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製、製品名「SV3000S4」)を用いて、JIS B 0601−1994に準拠して測定した。なお、測定長として10mm、カットオフ値として0.25mmの値を用いた。
【0061】
[ニュートンリング防止層]
(3)微粒子の平均粒子径、粒子分布の変動係数(CV値)
上記(1)と同様に、サンプルとして、分散媒であるメチルエチルケトンを用い、5質量%濃度の分散液を調製し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、機種名「LA−920」)を用いて測定した。なお、第1の微粒子(b1)及び第2の微粒子(b2)の平均粒子径は、測定した粒度分布における積算値50%での粒径(メジアン径D50)である。また、ナノ微粒子(c1)の平均粒子径は、BET法により測定した値である。
(4)最大表面粗さ(Ry)、算術表面粗さ(Ra)
上記(2)と同様に、接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製、製品名「SV3000S4」)を用いて、JIS B 0601−1994に準拠して測定した。なお、測定長として10mm、カットオフ値として0.25mmの値を用いた。
【0062】
[ニュートンリング防止シート]
(5)ヘーズ値
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、製品名「NDH2000」)を用いて、JIS K 7136−2000に準拠して測定した。
(6)透過鮮明度
写像性測定器(スガ試験機株式会社製、製品名「ICM−10P」)を用いて、JIS K 7374−2007に準拠して測定した。5種類のスリット(スリット幅:0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mm及び2mm)での合計値を透過鮮明度として表した。
【0063】
[実施例1]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料と光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するハードコート層形成材料(HC層形成材料)を調製し、溶剤としてシクロヘキサノンを用いて、固形分濃度が30質量%のハードコート層形成塗工液(HC層形成塗工液)を調製した。
次いで、透明プラスチックフィルムとして、厚み188μmのポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4300」)の片面に、当該HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工し、70℃で1分間加熱することで溶剤を蒸発させて塗膜を形成させた後、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、製品名「アイグランテージECS−401GX型」、光源:高圧水銀灯)を用いて、該塗膜に紫外線を照射し(照射条件=ランプ電力:2kW、コンベアスピード:4.23m/min、照度:240mW/cm2、光量:307mJ/cm2)、塗膜を硬化させ、厚み5μmのハードコート層を形成した。
【0064】
(ニュートンリング防止層の形成)
表2に記載の配合組成を有するニュートンリング防止層形成材料(NR防止層形成材料)を調製し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を用いて、固形分濃度が30質量%のニュートンリング防止層形成塗工液(NR防止層形成塗工液)を調製した。
次いで、ハードコート層を形成した面とは反対側のポリエステルフィルムの面に、当該NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工し、その後はハードコート層の形成過程と同様にして、厚さ3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP1を作製した。
【0065】
[実施例2]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料と光重合開始剤の混合物として、オーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)100質量部(20質量%のトルエンを含有する状態での量)と、フォルシードNo.420(製品名、中国塗料株式会社製)160質量部(50質量%のトルエンを含有する状態での量)とを混合したものを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.10で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み4μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP2を作製した。
【0066】
[実施例3]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料と光重合開始剤の混合物として、オーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)100質量部(20質量%のトルエンを含有する状態での量)と、フォルシードNo.420(製品名、中国塗料株式会社製)320質量部(50質量%のトルエンを含有する状態での量)とを混合したものを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.10で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み4μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP3を作製した。
【0067】
[実施例4]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP4を作製した。
【0068】
[実施例5]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP5を作製した。
【0069】
[実施例6]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.10で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み4μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP6を作製した。
【0070】
[実施例7]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP7を作製した。
【0071】
[実施例8]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、前記HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートP8を作製した。
【0072】
[比較例1]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてフォルシードNo.420(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.10で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み4μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ1を作製した。
【0073】
[比較例2]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてフォルシードNo.420(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.10で塗工し、実施例1と同様の方法で、厚み4μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ2を作製した。
【0074】
[比較例3]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.14で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み7μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ3を作製した。
【0075】
[比較例4]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表1に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.6で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み2μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ4を作製した。
【0076】
[比較例5]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表1に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ5を作製した。
【0077】
[比較例6]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、前記HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ6を作製した。
【0078】
[比較例7]
(ハードコート層の形成)
紫外線硬化型材料の光重合開始剤の混合物としてオーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)のみを用い、表1に記載の配合組成を有するHC層形成材料を調製し、前記HC層形成塗工液をマイヤーバーNo.12で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み5μmのハードコート層を形成した。
(ニュートンリング防止層の形成)
次いで、表2に記載の配合組成を有するNR防止層形成材料を調製し、前記NR防止層形成塗工液をマイヤーバーNo.8で塗工した以外は、実施例1と同様の方法で、厚み3μmのニュートンリング防止層を形成し、ニュートンリング防止シートQ7を作製した。このニュートンリング防止シートQ7においては、ハードコート層に白斑状の欠点が多数発生し、物性値の測定及び評価の一部を遂行することができなかった。
【0079】
【表1】
【0080】
なお、ハードコート層形成材料としては、以下の市販品を使用した。
・「オーレックスJUM−080(製品名、中国塗料株式会社製)」:親油性ウレタンアクリレート系プレポリマー、平均粒子径4.1μm(上記測定法での実測値)不定形シリカ微粒子、光重合開始剤を含む混合物。樹脂固形分80%(トルエン希釈)。
・「フォルシードNo.420(製品名、中国塗料株式会社製)」:親油性ウレタンアクリレート系プレポリマー、光重合開始剤を含む混合物。樹脂固形分50%(トルエン希釈)。
・「サイリシア450(製品名、富士シリシア化学株式会社製)」:平均粒子径8.4μm(上記測定法での実測値)の不定形シリカ微粒子。
・「MIBK−ST(製品名、日産化学工業株式会社製)」:平均粒子径10nmのシリカゾル。メチルイソブチルケトン分散、固形分30%。
・「MEK−ST−ZL(製品名、日産化学工業株式会社製)」:平均粒子径60〜100nm(上記測定法での実測値)のシリカゾル。メチルエチルケトン分散、固形分30%。
【0081】
上記表1の記号は、以下のとおりである。
(*1)A−1:「オーレックスJUM−080」及び/又は「フォルシードNo.420」を用いた際に含まれる、ウレタンアクリレート系プレポリマー及び光重合開始剤。
(*2)B−1:「オーレックスJUM−080」を用いた際に含まれる、平均粒子径4.1μm(上記測定法での実測値)不定形シリカ微粒子。
(*3)B−2:「サイリシア450」、平均粒子径8.4μm(上記測定法での実測値)不定形シリカ微粒子。
(*4)C−1:「MIBK−ST」を用いた際に含まれる、平均粒子径10nm(上記測定法での実測値)のシリカゾル。
(*5)C−2:「MEK−ST−ZL」を用いた際に含まれる、平均粒子径60〜100nm(上記測定法での実測値)のシリカゾル。
【0082】
【表2】
【0083】
なお、ニュートンリング防止層形成材料としては、以下の市販品を使用した。
・「NKエステルA−DPH(製品名、新中村化学工業株式会社製)」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、樹脂固形分100%。
・「Mx−300(製品名、綜研化学株式会社製)」:球状架橋アクリル微粒子、平均粒子径5.0μm、CV値15.0%。
・「トスパール130(製品名、モメンティブ社製)」:球状シリコーン微粒子、平均粒子径3.0μm、CV値19.0%。
・「トスパール1110(製品名、モメンティブ社製)」:球状シリコーン微粒子、平均粒子径11.0μm、CV値10.0%。
・「Mx−80H3wt(製品名、綜研化学株式会社製)」:球状架橋アクリル微粒子、平均粒子径0.8μm、CV値10.2%。
・「イルガキュア184(製品名、BASF社製)」:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、固形分100%。
【0084】
上記表2の記号は以下のとおりである。
(*6)A−2:「NKエステルA−DPH」を用いた際に含まれる、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
(*7)B−3:「Mx−300」、球状架橋アクリル微粒子。
(*8)B−4:「トスパール130」、球状シリコーン微粒子。
(*9)B−5:「トスパール1110」、球状シリコーン微粒子。
(*10)B−6:「Mx−80H3wt」、球状架橋アクリル微粒子。
(*11)D−2:「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン。
【0085】
以上のようにして作製したニュートンリング防止シートについて、以下の基準により評価をした。その評価結果を表3に示す。
【0086】
(1)指滑り性
天秤にハードコート面を上にしてフィルムを貼付、100グラムの荷重になるように指をハードコート層に押し当てた後、100グラムの荷重を保持したまま前後に動かし、以下の基準により指滑り性を評価した。
A:滑らかに滑る。
B:滑る際に若干の抵抗を生じる。
C:非常に滑りにくい。
【0087】
(2)指紋消去性
ハードコート層に人差し指の腹で指紋を付着させた後、旭化成株式会社製「ベンコットS−2」を用いて荷重200グラムで5往復、付着した指紋を拭取った。拭き取り後の付着した指紋を目視観察して、以下の基準により耐指紋性を評価した。
A:付着した指紋成分が見えない。
B:付着した指紋成分が見える。
【0088】
(3)ニュートンリング防止性
ニュートンリング防止シートを表面が平滑なガラス板上に置き、ニュートンリング防止層がガラス板に密着するように指で押し、以下の基準によりニュートンリングの発生を目視で評価した。
A:ニュートンリングが見え難い。
B:ニュートンリングが僅かに見える。
C:未処理のポリエステルフィルムと比較して同程度にニュートンリングが見える。
【0089】
(4)ギラつき防止性
パソコン(ヒューレット・パッカード株式会社製、製品名「HP Compaq 6730/CT Notebook PC」)の画面を緑色にし、ニュートンリング防止層面をパソコンの画面に密着させて、ギラつきの発生を目視観察して、以下の基準によりギラつき防止性を評価した。
A:ギラつきが発生しない。
B:少しギラつきが発生する。
C:大量にギラつきが発生する。
【0090】
(5)視認性
新聞紙の上にニュートンリング防止シートのニュートンリング防止層を重ねて、ハードコート層が上になるようにして置き、透過で見る文字の鮮明度を目視観察して、以下の基準により視認性を評価した。
A:文字が非常にはっきりと鮮明に見える。
B:文字が鮮明に見える。
C:文字が鮮明に見えない。
【0091】
【表3】
【0092】
表3に示すとおり、実施例1〜8のニュートンリング防止シートP1〜P8は、指滑り性及び指紋消去性に優れ、ニュートンリング防止性が良好で、ぎらつきが発生しにくい、視認性も優れた結果となった。
一方、比較例1〜7のニュートンリング防止シートQ1〜Q7は、指滑り性、ニュートンリング防止性、ぎらつき防止性、視認性のいずれかにおいて劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のニュートンリング防止シートは、ニュートンリング防止性が良好で、且つ、ぎらつきが発生しにくい上、優れた視認性を有し、タッチパネルで指入力する際の指滑り性、及び指紋消去性に優れている。そのため、本発明のニュートンリング防止シートは、携帯ゲーム機、タブレット型端末等の画像の精彩性が重視される一般需要者向け機器に用いられるタッチパネル用途に好適である。
【符号の説明】
【0094】
1 ニュートンリング防止シート
11 透明プラスチックフィルム
12 ハードコート層
13 ニュートンリング防止層
図1