(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961085
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】飲料ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
B67D1/08 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-209905(P2012-209905)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-65500(P2014-65500A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】真田 智之
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−71844(JP,A)
【文献】
実開平1−123177(JP,U)
【文献】
特開2011−169568(JP,A)
【文献】
米国特許第8276787(US,B1)
【文献】
特開2003−261200(JP,A)
【文献】
特開2011−169569(JP,A)
【文献】
実開昭57−14235(JP,U)
【文献】
実開昭62−115843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1−3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を冷却する冷却水槽と、電源からの給電により同冷却水槽を冷却する冷凍装置と、前記電源と前記冷凍装置との間に設けて操作ボタンの押動操作により前記電源からの電気の供給または遮断をする開閉器をスイッチボックスに内蔵した電源スイッチとをハウジング内に備え、
前記電源スイッチは前記操作ボタンが前記ハウジングの周壁の開口から押動操作可能に外側に露出した状態にて前記スイッチボックスが前記ハウジングの周壁内面に取り付けられた飲料ディスペンサにおいて、
前記スイッチボックスの前記操作ボタンを設けた操作面と対向する対向面には前記冷却水槽に固定した移動阻止部材を当接または近接させたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記スイッチボックスは前記冷却水槽の上側にて前記ハウジングの周壁内面上部に取り付けられ、前記移動阻止部材として前記冷却水槽の上側に固定したカバープレートを用いたことを特徴とする請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記スイッチボックスは前記冷却水槽の上側にて前記ハウジングの周壁内面上部に取り付けられ、前記移動阻止部材として前記冷却水槽の上側に固定した電気部品を収容する電気部品収容ボックスを用いたことを特徴とする請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等の飲料を冷却して供給する飲料ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には飲料ディスペンサが開示されている。この飲料ディスペンサは、飲料を冷却する冷却水槽と、電源からの給電により同冷却水槽を冷却する冷凍装置とをハウジング内に備え、ハウジング外に設けたビア樽等の飲料容器内の飲料を冷却水槽内に立設した飲料供給管を通過させて冷却し、ハウジングの前面に設けた注出コックから飲料を注出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−169568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような飲料ディスペンサにおいては、電源から冷凍装置に供給する電気の供給または遮断をする電源スイッチがハウジング内に設けられており、電源スイッチはスイッチボックスの操作面の操作ボタンがハウジングの側壁の開口から押動操作可能に外側に露出した状態で、スイッチボックスがハウジングの側壁内面に取り付けられている。飲料ディスペンサにより飲料を冷却するときには、操作ボタンのオンボタンを押動操作することにより、冷凍装置は電源からの給電によって作動して冷却水槽内を冷却する。また、飲料ディスペンサを使用しないときには、操作ボタンのオフボタンを押動操作することにより、冷凍装置は電源からの給電が遮断されて作動停止する。
【0005】
このような飲料ディスペンサにおいては、操作ボタンを何度も押動操作をしていくうちに、操作ボタンを設けたスイッチボックスとともにハウジングの側壁が内側に撓むことがあり、操作ボタンが押しにくくなるとともに、撓んだハウジングにより見栄えが悪くなる問題があった。本発明は、電源スイッチの操作ボタンがハウジングの周壁の開口から押動操作可能に外側に露出した状態にて、スイッチボックスをハウジングの周壁内面に取り付けたときに、操作ボタンを押動操作してもハウジングが撓まないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、飲料を冷却する冷却水槽と、電源からの給電により同冷却水槽を冷却する冷凍装置と、電源と冷凍装置との間に設けて操作ボタンの押動操作により電源からの電気の供給または遮断をする開閉器をスイッチボックスに内蔵した電源スイッチとをハウジング内に備え、電源スイッチは操作ボタンがハウジングの周壁の開口から押動操作可能に外側に露出した状態にてスイッチボックスがハウジングの周壁内面に取り付けられた飲料ディスペンサにおいて、スイッチボックスの操作ボタンを設けた操作面と対向する対向面には冷却水槽に固定した移動阻止部材を当接または近接させたことを特徴とする飲料ディスペンサを提供するものである。
【0007】
上記のように構成した飲料ディスペンサにおいては、スイッチボックスの操作ボタンを設けた操作面と対向する対向面には冷却水槽に固定した移動阻止部材を当接または近接させたので、電源スイッチの操作ボタンを押動操作しても、スイッチボックスは操作面と対向する対向面に移動阻止部材が当たって対向面の後側に移動しないようになり、操作ボタンが押しにくくなることを防ぐことができるとともに、ハウジングが内側に撓むのを防ぐことができる。
【0008】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、スイッチボックスは冷却水槽の上側にてハウジングの周壁内面上部に取り付けられ、移動阻止部材として冷却水槽の上側に固定したカバープレートを用いるのが好ましい。また、同様に、移動阻止部材として冷却水槽の上側に固定した電気部品を収容する電気部品収容ボックスを用いるのが好ましい。このようにしたときには、上記の作用効果を得るのに新たな部品を追加することなく既存の部品を用いるだけであるのでコストアップとならない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による飲料ディスペンサの一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1の蓋体とカバープレートとを取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図1の蓋体を取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明による飲料ディスペンサの一実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明に係る飲料ディスペンサ10は、飲料を冷却する冷却水槽12と、電源(図示しない)からの給電により冷却水槽12を冷却する冷凍装置20と、電源と冷凍装置20との間に設けてオンボタン(操作ボタン)42またはオフボタン(操作ボタン)43の押動操作により電源からの電気の供給または遮断をする開閉器(図示しない)をスイッチボックス41に内蔵した電源スイッチ40とをハウジング11内に備えている。この飲料ディスペンサ10においては、電源スイッチ40はオンボタン42及びオフボタン43がハウジング11の側壁(周壁)上部の開口11aから押動操作可能に外側に露出した状態にて、スイッチボックス41がハウジング11の側壁(周壁)内面上部に取り付けられている。スイッチボックス41のオンボタン42及びオフボタン43を設けた操作面と対向する対向面には冷却水槽12に固定したカバープレート(移動阻止部材)51を僅かな隙間を設けて近接させ、スイッチボックス41がオンボタン42またはオフボタン43を押動操作したときに対向面の後側へ移動するのを阻止した。
【0011】
飲料ディスペンサ10は、上面が開口したハウジング11内の前部に冷却水槽12と後部に冷凍装置20とを備え、ハウジング11の上面開口には蓋体13が着脱可能に設けられている。冷却水槽12内には飲料を冷却するコイル状に巻回された飲料冷却管14が立設しており、飲料冷却管14の導入端側には図示しないビア樽等の飲料冷却源に接続され、飲料冷却管14の導出端側にはハウジング11の前壁に固定した注出コック15に接続されている。
【0012】
冷却水槽12の周壁内面には飲料冷却管14を囲むようにして冷凍装置20の蒸発管21がコイル状に巻回されている。電源(図示しない)からの給電により冷凍装置20を作動させると、圧縮機22により圧縮された冷媒ガスが凝縮器23により冷却されて液化され、この液化冷媒はキャピラリーチューブを通して冷却水槽12内の蒸発管21に導かれて冷却水槽12内の冷却水と熱交換されて、気化してから再び圧縮機22に還流する。この冷凍装置20の作動により、冷却水槽12内の冷却水は蒸発管21で気化する冷媒によって冷却されて、蒸発管21の周囲で凍結して氷層となる。また、冷却水槽12内には蒸発管21の内周側で所定範囲の厚みの氷層となる位置に氷厚センサ(図示しない)が設けられている。氷厚センサは、一対の電極間に電圧を印可したときに検出される抵抗値により、蒸発管21の周囲に所定範囲の厚みの氷層が形成されたか否かを検知するものである。
【0013】
冷却水槽12には撹拌装置30が設けられている。撹拌装置30は冷却水槽12内の冷却水の温度を均一となるように撹拌するとともに、撹拌によって流動する冷却水により飲料冷却管14を通過する飲料を効率よく冷却するものである。撹拌装置30は、冷却水槽12の左右両側壁の上縁に架設して固定した支持板31と、この支持板31の上面に固定した撹拌モータ32と、撹拌モータ32から支持板31を貫通して冷却水槽12内に延びて撹拌モータ32により回転するシャフト33と、シャフト33の先端に固定した撹拌羽根34とからなる。
【0014】
ハウジング11内には電源から冷凍装置20及び撹拌装置30への電気の供給または遮断をする電源スイッチ40が設けられている。電源スイッチ40は直方体形状をしたスイッチボックス41内に開閉器(図示しない)を内蔵しており、開閉器はスイッチボックス41の操作面のオンボタン(操作ボタン)42またはオフボタン(操作ボタン)43の押動操作により電源から冷凍装置20及び撹拌装置30に電気を供給または遮断をするものである。電源スイッチ40は、オンボタン42及びオフボタン43がハウジング11の右側壁上部の開口11aから押動操作可能に外側に露出した状態にて、スイッチボックス41の操作面がハウジング11の右側壁内面上部に密着した状態でねじにより取り付けられている。なお、この実施形態の電源スイッチ40は漏電遮断器を内蔵している。
【0015】
ハウジング11内には冷凍装置20の作動を制御する制御基板等の電気部品を収容した電気部品収容ボックス50が設けられている。電気部品収容ボックス50は撹拌装置30の後側にて冷却水槽12の後部の上縁に固定されている。また、ハウジング11内には冷却水槽12と冷凍装置20の上側にカバープレート51が設けられている。カバープレート51は、蓋体13を開けたときに、撹拌モータ32と電源スイッチ40と電気部品収容ボックス50の電気配線が露出するのを防ぐことを目的としたものである。カバープレート51は冷却水槽12の上側を覆う水槽側カバー部52と、冷凍装置20の上側を覆う冷凍装置側カバー部53とからなる。
【0016】
カバープレート51の水槽側カバー部52は、冷却水槽12の上側を覆う本体部52aの左右両側端部がハウジング11の両側壁の上縁に内側に折曲げたフランジ部11bに支持され、本体部52aの前端縁を下側に折り曲げた前側折曲部52bの下端部が撹拌装置30の支持板31にねじにより固定され、本体部52aの後端縁を下側に折り曲げた後側折曲部52cの下端部が冷却水槽12の後部にねじにより固定されている。水槽側カバー部52の前側折曲部52bには、左右方向の中央部に撹拌モータ32の前部が当たらないように逃がす切欠部52dが形成され、右側部に電源スイッチ40のスイッチボックス41を逃がす切欠部52eが形成されている。水槽側カバー部52の前縁の前側折曲部52bは、切欠部52eによって切り欠かれた右端縁が電源スイッチ40のスイッチボックス41の操作面と対向する対向面に僅かな隙間(本実施形態では0.5mm)を設けて近接しており、スイッチボックス41は水槽側カバー部52の前縁の前側折曲部52bにより対向面の後側(対向面の操作面と反対側)への移動が阻止されている。なお、この実施形態においては、カバープレート51の前側折曲部52bの右端縁が電源スイッチ40のスイッチボックス41の操作面と対向する対向面に僅かな隙間を設けて近接するようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、カバープレート51の前側折曲部52bの右端縁が電源スイッチ40のスイッチボックス41の操作面と対向する対向面に当接するようにしたときでも、スイッチボックス41はオンボタン42またはオフボタン43の押動操作があっても対向面の後側(対向面の操作面と反対側)への移動が阻止される。
【0017】
冷凍装置側カバー部53は冷凍装置20の上側を覆う本体部53aを備え、本体部53aは水槽側カバー部52の後側折曲部52cの下端から後側に進むにつれて高くなるように傾斜している。本体部53aの左右両側には上方に延びる側板部53bが形成され、側板部53bの上縁には外側に折曲げた支持部53cが形成されている。冷凍装置側カバー部53は、支持部53cがハウジング11の両側壁の上縁に内側に折曲げたフランジ部11bに引っ掛けて支持されている。
【0018】
上記のように構成した飲料ディスペンサ10においては、電源スイッチ40のオンボタン42を押動操作すると、電源から冷凍装置20と撹拌装置30とに給電され、冷凍装置20と撹拌装置30とが作動する。冷凍装置20においては、圧縮機22により圧縮された冷媒ガスが凝縮器23により冷却されて液化し、この液化冷媒がキャピラリーチューブを通って冷却水槽12内の蒸発管21に導かれ、冷却水槽12内の冷却水が蒸発管21で気化する液化冷媒により冷却される。冷却水槽12内の冷却水は蒸発管21の周囲で冷却されて徐々に氷層となる。また、撹拌装置30においては、撹拌羽根34が撹拌モータ32によって回転して冷却水を撹拌し、飲料冷却管14を通過する飲料は撹拌によって流動する冷却水によって効率よく冷却される。また、蒸発管21の周囲に形成される氷層は撹拌されたときに流動する冷却水によって均一な厚みの氷層となる。
【0019】
また、飲料ディスペンサ10においては、電源スイッチ40のオフボタン43を押動操作すると、電源から冷凍装置20と撹拌装置30とに電気の供給が遮断され、冷凍装置20と撹拌装置30とが作動が停止する。
【0020】
上記のように構成した飲料ディスペンサ10においては、電源スイッチ40は操作ボタンであるオンボタン42及びオフボタン43がハウジング11の右側壁上部の開口11aから押動操作可能に外側に露出した状態にて、スイッチボックス41がハウジング11の右側壁上部内面に取り付けられている。スイッチボックス41のオンボタン42及びオフボタン43を設けた操作面と対向する対向面には撹拌装置30の支持板31を介して冷却水槽12に固定したカバープレート51の水槽側カバー部52における前側折曲部52bの右端縁を近接させた。電源スイッチ40のオンボタン42またはオフボタン43を押動操作しても、スイッチボックス41は操作面と対向する対向面にカバープレート51の水槽側カバー部52における前側折曲部52bの右端縁が当たって移動しないようになる。これにより、オンボタン42またはオフボタン43を押動操作したときに、スイッチボックス41が対向面の後側(対向面の操作面と反対側)へ移動するのを阻止でき、オンボタン42及びオフボタン43が押しにくくなることを防ぐことができるとともに、ハウジング11の側壁が内側に撓むのを防ぐことができる。また、カバープレート51のような既存の部品を移動阻止部材として用いることで、新たな部品を追加することによるコストアップを防ぐことができる。
【0021】
上記の実施形態においては、移動阻止部材としてカバープレート51を用いたが、本発明はこれに限られるものでない。
図3に示した電気部品収容ボックス50の左右方向の幅を短くするとともに前側に配置して、電気部品収容ボックス50の側壁が電源スイッチ40のスイッチボックス41の操作面と対向する対向面に当接またはわずかな隙間を設けて近接させてもよい。このようにしたときにも、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
また、上記の実施形態においては、移動阻止部材としてカバープレート51を用いた例について説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、例えばとして撹拌装置30の支持板31を介して冷却水槽12に固定した板金部材を移動阻止部材とし、この板金部材よりなる移動阻止部材を電源スイッチ40のスイッチボックス41の操作面と対向する対向面に当接またはわずかな隙間を設けて近接させてもよい。この場合には、新たな部品を追加することによるコストアップとなるが、スイッチボックス41が対向面の後側に移動するのを阻止することができる。
【0023】
また、上記の実施形態においては、ハウジング11の周壁として右側壁内面の上部にスイッチボックス41を取り付けたが、本発明はこれに限られるものでなく、ハウジング11の周壁として例えば、前壁、左側壁または後壁にスイッチボックス41を取り付けてもよい。このようにしたときにも、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0024】
10…飲料ディスペンサ、11…ハウジング、12…冷却水槽、20…冷凍装置、40…電源スイッチ、41…スイッチボックス、42,43…操作ボタン(オンボタン、オフボタン)、50…移動阻止部材(電気部品収容ボックス)、51…移動阻止部材(カバープレート)。