(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961145
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】乗客コンベアの機器取り付け構造
(51)【国際特許分類】
B66B 23/02 20060101AFI20160719BHJP
B66B 23/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B66B23/02 C
B66B23/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-148542(P2013-148542)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-20839(P2015-20839A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 利昭
(72)【発明者】
【氏名】寺門 重信
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−261692(JP,A)
【文献】
特開2011−079627(JP,A)
【文献】
特開2013−023360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの主枠フレーム内に運転に関与する機器を取り付ける乗客コンベアの機器取り付け構造において、
前記機器が、ステップ及びハンドレールを駆動する駆動装置を制御する制御機器から成り、
前記主枠フレームの下側部分を形成する下側部材上に締結具を介して固定されたベース板と、
前記ベース板に溶接部を介して立設固定されてねじの締結によって前記制御機器を支持している複数の固定支柱とが備えられており、
前記主枠フレームの内側部分を形成する内側部材と前記複数の固定支柱との間に隙間が設けられていることを特徴とする乗客コンベアの機器取り付け構造。
【請求項2】
乗客コンベアの主枠フレーム内に運転に関与する機器を取り付ける乗客コンベアの機器取り付け構造において、
前記機器が、ステップ及びハンドレールを駆動する駆動装置を制御する制御機器から成り、
前記主枠フレームの下側部分を形成する下側部材上に固定されたベース板と、
前記ベース板に立設固定されて前記制御機器を支持している固定支柱とが備えられて、
前記主枠フレームの内側部分を形成する内側部材と前記固定支柱との間に隙間が設けられており、
前記駆動装置を保持している駆動装置受け台が備えられて、
前記主枠フレームの前記下側部材と前記駆動装置受け台との間に前記ベース板が配置されており、
前記主枠フレームの前記下側部材と、前記ベース板と、前記駆動装置受け台とを一体に締結する締結具が設けられていることを特徴とする乗客コンベアの機器取り付け構造。
【請求項3】
請求項2に記載の乗客コンベアの機器取り付け構造において、
前記制御機器は、複数の分割部から成り、
前記固定支柱は、前記分割部のそれぞれを個別に支持する複数対の支柱から成り、
前記複数対の支柱と前記主枠フレームの前記内側部材との間に前記隙間が設けられていることを特徴とする乗客コンベアの機器取り付け構造。
【請求項4】
請求項3に記載の乗客コンベアの機器取り付け構造において、
前記複数の分割部は、第1分割部と第2分割部とから成り、
前記複数対の支柱は、前記第1分割部を支持する一対の第1固定支柱と、前記第2分割部を支持する一対の第2固定支柱とから成ることを特徴とする乗客コンベアの機器取り付け構造。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の乗客コンベアの機器取り付け構造において、
前記乗客コンベアはエスカレータから成り、
前記制御機器が配置される部位は、前記主枠フレームの終端部の内部であり、
前記ベース板はボルト穴を有しており、
前記締結具は、前記ベース板の前記ボルト穴に挿入されて前記主枠フレームの前記下側部材と、前記ベース板と、前記駆動装置受け台とを一体に締結するボルトから成ることを特徴とする乗客コンベアの機器取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ等の乗客コンベアに備えられ、主枠フレーム内に運転に関与する機器を取り付ける乗客コンベアの機器取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、エスカレータのトラスすなわち主枠フレームの終端部の内部において、運転に関与する機器例えばステップ及びハンドレールを駆動する駆動装置を取り付けるようにしたものである。この従来技術は、駆動装置のリニューアルを考慮してなされたもので、既設のトラスに取り付けられている駆動装置受け支えを、新設の駆動装置の保持部材として活用している。すなわち、この従来技術は、既設の駆動装置に代えて新設の駆動装置を取り付けるリニューアルに際して、既設の駆動装置を撤去し、既設のトラスに固定されている既設の駆動装置受け支えの上に駆動装置受けベースを新たに設置し、この駆動装置受けベースをボルトによって駆動装置受け支えに締結し、駆動装置受けベースの上に新設の駆動装置を取り付けるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−6542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術は、トラス内において取り付けられる運転に関与する機器が駆動装置からなっているが、本発明は、トラス内すなわち主枠フレーム内に取り付ける運転に関与する対象機器が、駆動装置を制御する制御機器から成っている。例えば、既設の制御機器に代えて新設の制御機器を設ける場合、従来にあっては既設の主枠フレームの内側部分を形成する内部部材にボルト等によって新設の制御機器を固定することが行われている。
【0005】
しかし、既設の主枠フレームの内部は通常、乗客コンベアの接地環境や建屋の状況に応じて様々な部材によって形成される固有の形状となりやすい。したがって、既設の制御機器に代えて新設の制御機器を取り付ける場合、従来にあっては新しい機器の配置設計が煩雑になりやすく、また、場合によっては主枠フレームに加工を施すことが必要になり、新設の制御機器を取り付ける作業に時間がかかる問題があった。
【0006】
本発明は、前述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、設置対象機器である制御機器の配置設計が容易になり、また、主枠フレームに加工を施すことなく制御機器を取り付けることができる乗客コンベアの機器取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る乗客コンベアの機器取り付け構造は、乗客コンベアの主枠フレーム内に運転に関与する機器を取り付ける乗客コンベアの機器取り付け構造において、前記機器が、ステップ及びハンドレールを駆動する駆動装置を制御する制御機器から成り、前記主枠フレームの下側部分を形成する下側部材上に
締結具を介して固定され
たベース板と、前記ベース板に
溶接部を介して立設固定され
てねじの締結によって前記制御機器を支持
している複数の固定支柱と
が備え
られており、前記主枠フレームの内側部分を形成する内側部材と前記
複数の固定支柱との間に隙間
が設け
られていることを特徴としている。
また、本発明に係る乗客コンベアの機器取り付け構造は、乗客コンベアの主枠フレーム内に運転に関与する機器を取り付ける乗客コンベアの機器取り付け構造において、前記機器が、ステップ及びハンドレールを駆動する駆動装置を制御する制御機器から成り、前記主枠フレームの下側部分を形成する下側部材上に固定されたベース板と、前記ベース板に立設固定されて前記制御機器を支持している固定支柱とが備えられて、前記主枠フレームの内側部分を形成する内側部材と前記固定支柱との間に隙間が設けられており、前記駆動装置を保持している駆動装置受け台が備えられて、前記主枠フレームの前記下側部材と前記駆動装置受け台との間に前記ベース板が配置されており、前記主枠フレームの前記下側部材と、前記ベース板と、前記駆動装置受け台とを一体に締結する締結具が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る乗客コンベアの機器取り付け構造は、主枠フレームの下側部材に固定されるベース板に立設固定される固定支柱に設置対象機器である制御機器を支持させてあることから、つまり制御機器専用の支持手段を設けたことから、設置対象機器である制御機器の配置設計が固定支柱部分に一義的に決定され、この配置設計が容易になる。また、本発明は、主枠フレームの内側部材と固定支柱の間に隙間を設けるようにしたことから、主枠フレームに加工を施すことなく制御機器を取り付けることができる。これらのことから、設置対象機器である制御機器の取り付け作業を従来に比べて能率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る機器取り付け構造の一実施形態が備えられる乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータを示す側面図である。
【
図6】本実施形態に係る機器取り付け構造に備えられるベース板及び固定支柱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る乗客コンベアの機器取り付け構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明に係る機器取り付け構造の一実施形態が備えられる乗客コンベアは、例えばエスカレータであり、このエスカレータは
図1に示すように、循環駆動されて乗客を運ぶステップ1と、このステップ1と同期して移動するハンドレール2とを備えている。また、主枠フレーム5の上階床側の終端部の内部には、ステップ1及びハンドレール2を駆動する駆動装置3と、この駆動装置3を制御する本実施形態の運転に関与する設置対象機器である制御機器が配置されている。制御機器は、複数の分割部、例えば第1分割部4aと第2分割部4bとによって構成してある。
【0012】
本実施形態は、
図2〜4に示すように、主枠フレーム5の下側部分を形成する下側部材5d上に固定される例えば鋼板から成るベース板6と、このベース板6に立設固定され、制御機器を支持する後述の固定支柱とを備えている。
図5に示す主枠フレーム5の内側部分とを形成する内側部材5a,5b,5cと後述の固定支柱との間には隙間を設けてある。
【0013】
また、本実施形態は、
図2,3に示すように、駆動装置3を保持する駆動装置受け台8を備え、主枠フレーム5の下側部材5dと駆動装置受け台8との間にベース板6を配置してある。
【0014】
また、主枠フレーム5の下側部材5dと、ベース板6と、駆動装置受け台8とを一体に締結する締結具、例えばボルト13を設けてある。なお、
図6に示すように、ベース板6にはボルト13が挿入されるボルト穴6aを形成してある。
【0015】
前述した固定支柱は、それぞれ鋼材から成り、
図2,4に示すように、制御機器を構成する第1分割部4a、第2分割部4bのそれぞれを個別に支持する複数の支柱、例えば第1分割部4aを支持する一対の第1固定支柱7aと、第2分割部4bを支持する一対の第2固定支柱7bとから成っている。
【0016】
これらの複数対の支柱と、主枠フレーム5の内側部材5a,5b,5cとの間に前述した隙間を設けてある。すなわち
図4に示すように、一対の第1固定支柱7aと主枠フレーム5の内側部材5cとの間には隙間11を設けてあり、
図2に示すように、一対の第2固定支柱7bと主枠フレーム5の内側部材5a,5bとの間には隙間10を設けてある。
【0017】
なお、一対の第1固定支柱7a及び一対の第2固定支柱7bは、溶接によってベース板6に固定されるようになっている。
【0018】
例えば、既設の制御機器を撤去して本実施形態に備えられる第1分割部4a及び第2分割部4bから成る制御機器を取り付ける制御機器のリニューアルに際しては、初めに既設のエスカレータに備えられる既設の制御機器を、主枠フレーム5の内側部材から撤去することが行われる。
【0019】
次に、駆動装置3を保持する駆動装置受け台8と、主枠フレーム5の下側部材5dとの間にベース板6を挟み込み、ベース板6のボルト穴6aに挿入したボルト13を介して主枠フレーム5の下側部材5dと、ベース板6と、駆動装置受け台8とを一体に締結する。
【0020】
この状態でベース板6の上面に、例えば一対の第1固定支柱7aと一対の第2固定支柱7bとを溶接する。この際に、一対の第1固定支柱7aと主枠フレーム5の内側部材5cとの間に隙間11を形成するように、一対の第1固定支柱7aを溶接する。また、一対の第2固定支柱7bと主枠フレーム5の内側部材5a,5bとの間に隙間10を形成するように、一対の第2固定支柱7bを溶接する。
図6は、このようにしてベース板6上に一対の第1固定支柱7aと一対の第2固定支柱7bとを溶接した状態を示している。
【0021】
この状態で
図4に示すように、一対の第1固定支柱7aに制御機器を構成する第1分割部4aをねじ
14の締結によって固定し、一対の第2固定支柱7bに制御機器を構成する第2分割部4bをねじ
15の締結によって固定する。これにより、新設の制御機器を構成する第1分割部4a及び第2分割部4bの取り付け作業が終了する。
【0022】
このように構成した本実施形態によれば、主枠フレーム5の下側部材5dに固定されるベース板6に立設固定される一対の第1固定支柱7aに制御機器を構成する第1分割部4aを支持させ、一対の第2固定支柱7bに制御機器を構成する第2分割部4bを支持させてあることから、設置対象機器である制御機器の配置設計が第1固定支柱7a及び第2固定支柱7b部分に一義的に決定され、この配置設計が容易になる。
【0023】
また、本実施形態は、主枠フレーム5の内側部材5cと一対の第1固定支柱7aの間に隙間11を設け、主枠フレーム5の内側部材5a,5bと一対の第2固定支柱7bの間に隙間10を設けるようにしたことから、主枠フレーム5に加工を施すことなく制御機器を構成する第1分割部4a及び第2分割部4bを取り付けることができる。
【0024】
これらのことから、設置対象機器である第1分割部4a及び第2分割部4bを含む新設の制御機器の取り付け作業を能率良く行うことができる。
【0025】
なお、前述した実施形態は、既設のエスカレータに備えられる制御機器のリニューアルに適用した場合について説明したが、新設の乗客コンベアに本実施形態を適用してもよいことはもちろんである。
【0026】
また、前述した実施形態は、ベース板6に一対の第1固定支柱7a及び一対の第2固定支柱7bを溶接することにより立設固定したが、溶接に代えて、ねじを用いた締結により立設固定してもよい。
【0027】
また、前述した実施形態は、制御機器をリニューアルする既設エスカレータが設けられている現場で、ベース板6に一対の第1固定支柱7a及び一対の第2固定支柱7bを立設固定するようにしたが、本発明は、このようにすることには限られない。予め、主枠フレーム5の内側部材5a,5bと、内側部材5cの間隔寸法等を計測しておき、工場等の別の場所においてベース板6に、一対の第1固定支柱7a及び一対の第2固定支柱7bを立設固定し、このように一体化されたベース板6、一対の第1固定支柱7a、及び一対の第2固定支柱7bを、既設エスカレータが設置されている現場に持ち運んで組み込むようにしてもよい。
【0028】
このようにベース板6、一対の第1固定支柱7a、及び一対の第2固定支柱7bを予め一体化したものを組み込む場合には、既設エスカレータの設置環境では溶接を行えない状況にあるときなどに有効である。また、既設エスカレータにおける制御機器のリニューアル作業をより効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ステップ
2 ハンドレール
3 駆動装置
4a 第1分割部(制御機器)
4b 第2分割部(制御機器)
5 主枠フレーム
5a 内側部材
5b 内側部材
5c 内側部材
5d 下側部材
6 ベース板
6a ボルト穴
7a 第1固定支柱(固定支柱)
7b 第2固定支柱(固定支柱)
8 駆動装置受け台
10 隙間
11 隙間
13 ボルト(締結具)
14 ねじ
15 ねじ