特許第5961156号(P5961156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961156
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】光走査装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20160719BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20160719BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G02B26/10 F
   B41J2/47 101D
   H04N1/04 104A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-260692(P2013-260692)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-118192(P2015-118192A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】大西 正人
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−042494(JP,A)
【文献】 特開2005−041017(JP,A)
【文献】 実開昭62−002045(JP,U)
【文献】 特開2010−091690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10,26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の出射口が矩形に形成された筐体と、上記出射口を閉塞する透明な板状のカバー部材と、該カバー部材の表面を清掃する清掃機構とを備え、
上記筐体には、上記出射口の長手方向に沿って延びる凹部が形成され、
上記カバー部材は、幅方向端部が上記凹部に張り出す大きさに形成され、
上記清掃機構は、上記筐体の外部に設けられて上記カバー部材の長手方向に移動する保持部材と、該保持部材に保持されて上記カバー部材の表面に接する清掃パッドとを有し、上記保持部材の端部は折り曲げられて上記カバー部材の上記凹部に張り出した幅方向端部の裏面に引っ掛けられている、光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、
上記清掃機構は、上記保持部材の折り曲げられた端部とは反対側の端部に固定されたワイヤと、該ワイヤを上記カバー部材の長手方向に走行させるワイヤ駆動部とを有する、光走査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光走査装置を備えている、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真方式を採用する画像形成装置に設けられる光走査装置は、ポリゴンミラー等の光学部品が収容された筐体を有している。筐体には光の出射口が形成され、その出射口は塵埃等の異物が筐体内に侵入しないように透明なカバーガラス等のカバー部材によって閉塞されている。
【0003】
ところで、カバーガラスの表面にトナー等による汚れや埃等が付着すると、光走査装置の光学性能が低下し、画像不良が生じてしまう。これを防止するために、例えば特許文献1に開示されるように、光走査装置にはカバーガラスの表面を定期的に清掃する清掃機構が設けられる。
【0004】
特許文献1に開示されている清掃機構は、、カバーガラスに沿って往復動する保持部材と、保持部材に保持されてカバーガラスの表面に密着する清掃部材とを有する。この清掃機構では、清掃部材が保持部材と共にカバーガラスに沿って往復動することによって、カバーガラスの表面が清掃される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−143108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の清掃機構では、保持部材の浮き上がりを防止するガイド機構が設けられている。ガイド機構は、筐体におけるカバーガラスの側方部分が突出してカバーガラスに沿って延びるガイドレールを形成し、保持部材の端部が鉤状に折り曲げられてガイドレールに掛けられている。つまり、保持部材の端部はガイドレールを抱え込んでいる。
【0007】
しかしながら、上述したガイド機構では、筐体の一部が突出してガイドレールを形成しているため、保持部材の設置高さが高くなる。そのため、光走査装置が大型化してしまい、画像形成装置において光走査装置の設置スペースを確保するのが困難になるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、清掃機構における保持部材の浮き上がりを防止するガイド機能を確保しつつ、大型化を抑制し得る光走査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光走査装置は、光の出射口が矩形に形成された筐体と、上記出射口を閉塞する透明な板状のカバー部材と、該カバー部材の表面を清掃する清掃機構とを備えている。上記筐体には、上記出射口の長手方向に沿って延びる凹部が形成されている。上記カバー部材は、幅方向端部が上記凹部に張り出す大きさに形成されている。上記清掃機構は、上記筐体の外部に設けられて上記カバー部材の長手方向に移動する保持部材と、該保持部材に保持されて上記カバー部材の表面に接する清掃パッドとを有し、上記保持部材の端部は折り曲げられて上記カバー部材の上記凹部に張り出した幅方向端部の裏面に引っ掛けられている。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、上記の光走査装置を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、清掃機構における保持部材の浮き上がりを防止しつつ、大型化を抑制し得る光走査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、光走査装置の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、清掃機構の概略構成を示す平面図である。
図4図4は、清掃機構の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の画像形成装置1は、例えばレーザプリンタや複合機であり、用紙を搬送しながら、端末等(図示省略)から送信される画像データに基づいて用紙に画像を形成するように構成されている。図1に示すように、画像形成装置1は、給紙部2と、画像形成部3と、定着部4と、排紙部5とを備えている。
【0015】
給紙部2は、用紙を画像形成部3へ供給するカセット給紙部や手差しトレイである。画像形成部3は、図示しないが、感光ドラムや、その感光ドラムの周囲に配置された帯電器、現像器、転写ローラなどを備えている。また、画像形成部3は、感光ドラムにレーザ光を出射して静電潜像を形成する光走査装置10を備えている。画像形成部3では、給紙部2から供給された用紙にトナー像を転写するようになっている。定着部4は、図示しないが、互いに圧接されて回転する定着ローラおよび加圧ローラを備えている。定着部4は、画像形成部3で用紙に転写された画像(トナー像)をその用紙に定着させるように構成されている。排紙部5は、定着部4から画像形成された用紙が供給される排紙トレイ(図示省略)を有している。
〈光走査装置〉
【0016】
図2に示すように、光走査装置10は、扁平な箱状部材によって構成された筐体11を備えている。筐体11は、例えばガラス繊維により強度が高められた樹脂材料によって形成されている。
【0017】
筐体11には、レーザ光を照射する光源体(図示省略)や光走査部品が収容されている。光走査部品は、ポリゴンミラー15や複数のミラー16などである。
【0018】
筐体11の上面には、光の出射口12が形成されている。本実施形態では、出射口12が4つ形成されており、それぞれが副走査方向(図2において左右方向)に並んでいる。出射口12は、主走査方向(図2において紙面に対して鉛直方向)に延びる矩形に形成されている。出射口12は、光源体から照射されてポリゴンミラー15やミラー16等の光走査部品を介したレーザ光が画像形成部3の感光ドラムへ出射される。
【0019】
筐体11には、出射口12を閉塞するカバー部材14が設けられている。カバー部材14は、主走査方向に延びる矩形の板状に形成された透明なガラスである。つまり、出射口12ではレーザ光がカバー部材14を透過する。カバー部材14は、筐体11の内部に塵埃等が侵入するのを防止する防塵ガラスを構成している。
【0020】
図3および図4にも示すように、光走査装置10は、カバー部材14の表面を清掃する清掃機構20を備えている。清掃機構20は、各カバー部材14の表面を清掃する4つの清掃部21と、清掃部21を駆動するためのワイヤリール25、ワイヤ26およびガイドローラ27とを有している。
【0021】
図4に示すように、清掃部21は、保持部材23と清掃パッド22を有している。保持部材23は、筐体11の外部に設けられた略棒状の部材である。清掃パッド22は、略矩形体に形成されており、保持部材23に保持されてカバー部材14の表面に接している。
【0022】
ワイヤリール25、ワイヤ26およびガイドローラ27は、清掃部21をカバー部材14の長手方向(即ち、主走査方向)に往復動(移動)させる駆動機構である。図3に示すように、ワイヤリール25は、最外に位置するカバー部材14の近傍に2つ設けられている。ワイヤ26は、両端が2つのワイヤリール25に接続され、途中は複数(本実施形態では、6つ)のガイドローラ27によって引き回されている。6つのガイドローラ27は、各カバー部材14の長手方向の端部近傍に設けられている。ガイドローラ27は、ワイヤ26が各カバー部材14の長手方向に沿って延びるようにワイヤ26を引き回している。そして、ワイヤ26は保持部材23の端部に形成された貫通孔23bに挿通固定されている。この駆動機構では、一方のワイヤリール25が巻き取り動作を行い、他方のワイヤリール25が送り出し動作を行うことでワイヤ26が走行し、そのワイヤ26の走行に伴って清掃部21がカバー部材14の長手方向に往復動(移動)する。この清掃部21の移動により、カバー部材14の表面が清掃パッド22で清掃される。なお、ワイヤリール25は本発明に係るワイヤ駆動部を構成している。
【0023】
図2および図4に示すように、筐体11には、各出射口12の長手方向に沿って延びる凹部13が形成されている。凹部13は、出射口12の側方において出射口12の開口位置よりも凹んだ形状になっている。カバー部材14は、その幅方向端部(図4において右側端部)が凹部13に張り出す大きさに形成されている。また、このカバー部材14の幅方向端部はカバー部材14の長手方向に亘って張り出している。
【0024】
清掃部21の保持部材23は、その端部が鉤状に折り曲げられてガイド部23aを形成している。保持部材23のガイド部23aは、カバー部材14の凹部13に張り出した幅方向端部の裏面に引っ掛けられている。つまり、保持部材23のガイド部23aは、凹部13においてカバー部材14の張り出し部の裏側に潜り込んでその裏面に接触している。保持部材23は、ガイド部23aがカバー部材14に引っ掛けられた状態でカバー部材14の長手方向に移動する。
【0025】
保持部材23のガイド部23aが上述したようにカバー部材14に引っ掛けられることにより、保持部材23の上方(即ち、保持部材23がカバー部材14から離隔する方向)に変位する動作が規制される。そのため、清掃パッド22の浮き上がりを防止することができる。そして、保持部材23のガイド部23aは出射口12の開口位置よりも低い凹部13に収容されるため、ガイド部23aの設置スペースを低減することができる。その結果、清掃機構20引いては光走査装置10の小型化を図ることが可能である。
【0026】
さらに、本実施形態の清掃機構20では、保持部材23の端部にワイヤ26を挿通固定しワイヤ26を走行させることによって保持部材23および清掃パッド22を移動させるため、例えば保持部材の端部にスクリュー軸を挿通してスクリュー軸を回転駆動することによって保持部材を移動させる構成に比べて、清掃機構20を小型にすることができる。よって、光走査装置10をより小型にすることができる。
【0027】
以上のように光走査装置10の小型化を図れることから、画像形成装置1において光走査装置10の設置自由度が高まると共に、画像形成装置1の小型化をも図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明は、例えば複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる光走査装置およびそれを備えた画像形成装置について有用である。
【符号の説明】
【0029】
1 画像形成装置
10 光走査装置
11 筐体
12 出射口
13 凹部
14 カバー部材
20 清掃機構
22 清掃パッド
23 保持部材
23a ガイド部(端部)
25 ワイヤリール(ワイヤ駆動部)
26 ワイヤ
図1
図2
図3
図4