(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化合物が、1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−メチル−1H−1、2、3−トリアゾール−3−イウムである化合物、その互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容し得る塩またはエステルの、請求項1または2に記載の使用。
前記抗生物質が、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、オキサセフェム、カルバペネム、セファマイシン、ペネム、モノバクタムまたはそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の使用。
前記ペニシリンが、アムジノシリン(メシリナム)、アモキシシリン、アンピシリン、アミルペニシリン、アパルシリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン(シクラシリン)、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベニシリン、フロキサシリン(フルクロキサシリン)、ヘタシリン、レナンピシリン、メタムピシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペナメシリン、ペネテシリン、ペニシリンG(プロカインペニシリン)、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV(フェノキシメチルペニシリン)、フェネチシリン、ピペラシリン、ピバンピシリン、プロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、タランピシリン、テモシリン、チカルシリン、ピブメシリナム、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、コアモキシクラブ及びレナンピシリンから選択される、請求項8に記載の使用。
前記セファロスポリンが、セファロリジン、セフラジン、セフォキシチン、セファセトリル、セフィネノキシム、セファログリシン、セフォニシド、セフォジジム、セフピロム、セフピラミド、セフォゾプラン、セフォセリス、セフルプレナム、セフピミゾール、セフクリジン、セフポドキシムアキセチル、セフテラムピボキシル、セフカペンピボキシル、セフトビプロール、セフタロリン、セフォペラゾン、セフキノム、セフチオフル、セホベシン、セファドロキシル、セファロニウム、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフェタメトピボキシル、セフジトレンピボキシル、セファロリジン、セフタジジム、セフトリアキソン、セフブペラゾン、セファロチン、セファゾリン、セファピリン、セフテゾール、セファマンドール、セフォチアム、セフォチアムヘキセチル、セフロキシム、セフチゾキシム、セフメノキシム、セフゾナム、セフスロジン、セフメタゾール、セフミノクス、セファレキシン、セフラジン、セファクロル、セファドロキシル、セファロニウム、セフプロジル、セフロキシムアキセチル、セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフチブテン、CXA−101(FR264205)およびセフジニルから選択される、請求項8に記載の使用。
前記カルバペネムが、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、パニペネム、リチペネム、テビペネム、トモペネム、スロペネム、ラズペネム、イミペネム、ME1036およびSM216601から選択される、請求項8に記載の使用。
前記抗生物質が、イミペネム、ファロペネム、ドリペネム、メロペネム、エルタペネム、アズトレオナム、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトビプロール、セフキノム、セフチオフル、セファドロキシル及びセファロニウムから選択される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の使用。
前記抗生物質が、ペニシリン、セファロスポリン、ペネム、カルバセフェム、カルバペネム、オキサセフェム、モノバクタム、アミノグリコシド、バクテリオシン、キノロン、サルファ剤、マクロライド、テトラサイクリン、グリシルサイクリン、オキサゾリジノン、リポペプチド、ポリペプチド、リファマイシン、クロラムフェニコール、ポリエン抗真菌剤およびその誘導体からなる群から選択される、請求項6に記載の使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで1つの課題は、式(I)のβ−ラクタム化合物をβ−ラクタマーゼ阻害剤として、適切な抗生物質と組み合わせて、カルバペネマーゼ、セファロスポリナーゼ、ペニシリナーゼ、ESBL、阻害剤耐性β−ラクタマーゼ、ESBLなどのβ−ラクタマーゼを産生する細菌による感染を治療するために、使用することである。
【0013】
ここで他の課題は、式(I)の化合物を適切な抗生物質と組み合わせた医薬組成物を提供することである。
【0014】
なおここで他の課題は、ホスト、通常は動物及び最も通常は人への細菌感染を治療又は予防するための方法を提供することであり、前記方法は、前記ホストへ、治療量の式(I)の化合物又は薬学的に許容される塩及び/又はそのプロドラッグをβ−ラクタム抗生物質と共に投与することを含む。
【0015】
ここで他の課題は、β−ラクタマーゼを検出するための診断剤を提供することである。前記β−ラクタマーゼは、KCP(例えばKPC−2、KCP−3)及びESBL(例えばSHV18)を産生する腸内細菌のファミリーに属する。
【0016】
ここでさらにひとつの課題は、式(I)の化合物と組み合わせて、抗生物質、特にペニシリン、セファロスポリン、カルバセファム、オキサセファム、カルバペネム、ペナム、セファマイシン、ペネム及びモノバクタムなどのβ−ラクタム抗生物質の、カルバペネマーゼ及びESBLに対する抗生物質活性を回復/増強することである。
【0017】
従って、本発明のひとつの課題は、β−ラクタマーゼを阻害する化合物を提供すること;及び/又は、前記化合物を含む医薬組成物を提供すること;及び/又は、細胞内のβ−ラクタマーゼ阻害のための改善された方法を提供すること;及び/又は、β−ラクタマーゼにより介在される症状を治療及び予防するための改善された方法;及び/又は、β−ラクタム抗生物質と共に、細菌感染を治療及び/又は予防するための改善された方法を提供すること;及び/又は、抗生物質の活性を回復/増強させることを提供すること;又は少なくとも公衆に有用な選択を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
ここで、式(I)の化合物、その誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、薬学的に許容される組成物、代謝物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩及びそのエステルが記載されている。
【0019】
【化3】
特に、式(I)の化合物、その誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、薬学的に許容される組成物、代謝物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩及びそのエステルを、細菌により産生されるカルバペネマーゼ、セファロスポリナーゼ、ペニシリナーゼ、ESBL、阻害剤耐性β−ラクタマーゼを含むβ−ラクタマーゼの阻害;抗生物質の回復/増強のために使用し、必要な対象体に、式(I)の化合物を治療的有効量を投与することを含み;
ここで、A=C又はNであり;
Hetは、置換、又は無置換3から7員環複素環であり;R
1はカルボキシレートアニオン又はCOOR
4を表し;ここでR
4は、水素、C
1−C
6アルキル、C
6−C
10アリール、C
6−C
10アルールC
1−C
6アルキル、メトキシベンジル、ニトロベンジル、シリル、ジフェニルメチル、プリキセチル、アキセチル、シレキセチル、ピボキシル、ヘキセチル、ダロキセート又は薬学的に許容される塩を表し;R
2及びR
3は同一でも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、トリチルアミノ、フェニルアセチルアミノ、フェノキシアセチルアミノ及びベンゾイルアミノなどのアシルアミノからなる群から選択される保護アミノ又は場合により置換C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル及びC
2−C
6アルキニルであり;Rは、置換又は無置換C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、C
6−C
10アリール、C
6−C
10アリールC
1−C
6アルキル、C
3−C
12シクロアルキル、オキソ、複素環及び複素環アルキル基を表し、前記R、R
2及びR
3が置換される場合には、1以上であり得る前記置換基は、低級アルキル(メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルなどのC
1−C
4アルキル);低級アルコキシ(メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのC
1−C
4アルコキシ);低級アルキルチオ(メチルチオ及びエチルチオなどのC
1−C
4アルキルチオ);低級アルキルアミノ(メチルアミノ、エチルアミノ及びプロピルアミノなどのC
1−C
4アルキルアミノ);シクロ(低級)アルキル(シクロペンチル及びシクロへキシルなどのC
5−C
6シクロアルキル);シクロ(低級)アルケニル(シクロヘキセニル及びシクロヘキセジエニルなどのC
5−C
6シクロアルケニル);ヒドロキシ;ハロゲン(クロロ、ブロモ、フロロ及びヨード);アミノ;保護アミノ;シアノ;ニトロ;カルバモイル;−CONHC
1−C
4アルキル−COO−C
1−C
4アルキル;カルボキシ;保護カルボキシ;−COO−C
1−C
4アルキル;−CO−ヘテロサイクリル;スルホニル;スルファモイル;イミノ;オキソ;アミノメチル、アミノエチル及びアミノプロピルなどのアミノ(低級)アルキル;トリフルオロメチル(−CF
3)、フルオロメチル、フルオロエチル、ブロモメチル及びジフロロメチル;カルボン酸及びヒドロキサム酸、エステル及びアミドなどのカルボン酸誘導体、から選択される。
好ましい置換基は、C
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、C
1−C
4アルキルチオ、C
1−C
4アルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン及びトリハロメチルである。前記置換基はさらに場合により、C
1−C
4アルコシカルボニルC
1−C
4アルキル、ヒドロキシC
1−C
4アルキル;C
1−C
4アルキル、C
6−C
10アリール、ヘテロサイクル及びエステルで置換される。
【0020】
ひとつの側面では、次の式(II)の化合物、その誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、代謝物、プロドラッグ、水和物、薬学的に許容塩及びエステルを、細菌により産生されるカルバペネマーゼの阻害への使用が提供され;
【0021】
【化4】
ここで、
L=C又はNであり;R、R
1、R
2及びR
3は、上で定義されたものであり、R
5は水素、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6アルキルチオ、C
1−C
6アルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン及びトリハロメタンを表し;mは0、1又は2である。
【0022】
他の側面では、カルバペネマーゼ産生細菌により起こる感染を治療及び/又は予防するための化合物の使用が提供され、前記使用は、式(I)の化合物の治療有効量を必要な対象体へ投与することを含む。
【0023】
他の側面では、カルバペネマーゼ産生細菌による起こる感染を治療及び/又は予防のための化合物の使用が提供され、前記使用は、式(I)の化合物の治療有効量を適切な抗生物質と共に必要な対象体へ投与することを含む。
【0024】
他の側面では、グラム陰性細菌に発現されるβ−ラクタマーゼにより起こる感染の治療のための化合物の使用が提供される。
【0025】
他の側面では前記化合物の使用が提供され、細菌が、肺炎桿菌及び大腸菌から選択される。
【0026】
他の側面では前記化合物の使用が提供され、前記カルバペネマーゼが、KCP−2及びKCP−3から選択される。
【0027】
他の側面では、カルバペネマーゼ産生細菌による感染を治療及び/又は予防する方法が提供され、式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む。
【0028】
他の側面は、腸内細菌及び非腸内細菌により発現されるβ−ラクタマーゼを検出することを含む。
【0029】
なお他の側面は、式(I)の化合物を、β−ラクタマーゼの診断剤として使用することを含む。前記β−ラクタマーゼは、SHV18産生腸内細菌などのKPC−2、KCP−3及び又ESBLのファミリーに属する。
【0030】
ひとつの実施態様では、カルバペネマーゼ産生細菌による感染を治療及び/又は予防するための医薬組成物が提供され、活性成分として式(I)の化合物を含む。
【0031】
他の実施態様では、カルバペネマーゼ産生細菌による感染を治療及び/又は予防するための、活性成分として式(I)の化合物を含む医薬組成物であり、
(a)1以上の式(1)の化合物;
(b)1以上の抗生物質及び
(c)1以上の薬学的に許容されるキャリアと、共に含む。
【0032】
他の実施態様では、前記抗生物質は、β−ラクタム抗生物質から選択される。
【0033】
なお他の実施態様では、前記化合物である、(2S、3S、5R)−3−メチル−3−(3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート、及び(2S、3S、5R)−3−メチル−3−(4−メチル−3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート及びその誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、代謝物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩及びエステルが提供される。
【0034】
他の側面では、限定するものではないカルバペネマーゼ、セファロスポリナーゼ、ペニシリナーゼ、ESBL及び阻害剤耐性β−ラクタマーゼを含むβ−ラクタマーゼの阻害への使用のための、(2S、3S、5R)−3−メチル−3−(3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート、及び(2S、3S、5R)−3−メチル−3−(4−メチル−3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート及びその誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、代謝物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩及びエステルが提供される。
【0035】
他の側面では、式(I)の化合物を、抗生物質に対する細菌耐性の治療及び/又は予防のための使用が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
【化5】
式(I)のβ−ラクタム化合物、その誘導体、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、溶媒和物、代謝物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩及びエステルは、細菌により産生されるカルバペネマーゼの阻害に使用され;抗生物質の活性を回復/増強する化合物であり、ここで、Hetは3から7員ヘテロサイクル環であり、適切な置換基を持ち得るものであり、好ましくはヘテロサイクル基は、ピロール、ピロリニル、イミダゾイル、ピラゾイル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペリジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリル、ピリダジニル、テトラゾリル(例えば1H−テトラゾイル、2H−テトラゾイルなど)、イミダゾリジニル、トリアゾリル、1、2、4−オキサジアゾイル、1、3、4−オキサジアゾイル、1、2、5−オキサジアゾイル、1、2、3−チアジアゾリル、1、2、4−チアジアゾリル、1、3、4−チアジアゾリル及び1、2、5−チアジアゾリルなどである。
【0038】
前記定義されたヘテロサイクル基は場合により1以上の置換基で置換され得るものであり、好適な置換基板としては:低級アルキル(メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルなどのC
1−C
4アルキル);低級アルコキシ(メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのC
1−C
4アルコキシ);低級アルキルチオ(メチルチオ及びエチルチオなどのC
1−C
4アルキルチオ);低級アルキルアミノ(メチルアミノ、エチルアミノ及びプロピルアミノなどのC
1−C
4アルキルアミノ);シクロ(低級)アルキル(シクロペンチル及びシクロへキシルなどのC
5−C
6シクロアルキル);シクロ(低級)アルケニル(シクロヘキセニル及びシクロへキサジエニルなどのC
5−C
6シクロアルケニル);ヒドロキシ;ハロゲン(クロロ、ブロモ、フロロ及びヨード);アミノ;保護アミノ;シアノ;ニトロ;カルボキシ;保護カルボキシ;スルファモイル;イミノ;オキソ;アミノ(低級)アルキル(アミノメチル、アミノエチル及びアミノプロピルなど);ハロゲン及びトリハロメチル(−CF
3)。
【0039】
好ましい置換基は、C
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、C
1−C
4アルキルチオ、C
1−C
4アルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン及びトリハロメチルである。前記置換基はさらに場合により置換される。
【0040】
通常は前記基Hetは無置換又は上で定義された1以上の置換基を持つ。
【0041】
好ましくはHetは5から6員ヘテロサイクル環を表し、これは1又は2のヘテロ原子を含み、4級化窒素を含む。より好ましくは、Hetは、ピロールイル、ピロリニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペリジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリル、ピリダジニル、ピロリジニル及びイミダゾリジニルから選択される。
【0043】
より好ましくはHetは5員ヘテロサイクル環を表し;R
1はカルボキシレートアニオン又はCOOR
4を表し;ここでR
4は、水素、C
1−C
6アルキル、C
6−C
10アリール、C
6−C
10アルールC
1−C
6アルキル、メトキシベンジル、ニトロベンジル、シリル、ジフェニルメチル、プリキセチル、アキセチル、シレキセチル、ピボキシル、ヘキセチル、ダロキセート又は薬学的に許容される塩を表し;R
2及びR
3は同一でも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、トリチルアミノなどの保護アミノ、フェニルアセチルアミノ、フェノキシアセチルアミノ及びベンゾイルアミノなどのアシルアミノ;場合により置換アルキル、アルケニル又はアルキニルを表す。
【0044】
好ましくはRは、−(CH
2)
n−CH
3、−(CH
2)
nC
6H
5、−(CH
2)
n−CH=CH
2、−CH
2−CONH
2、−CH
2−COO−(C
1−4アルキル)から選択され、−CH
2COOBu
t、−(CH
2)
nCO−ヘテロサイクル、−CH
2−CONH−(CH
2)
n−COOE
tを含み、ここでnは0から5の整数である。より好ましくは、Rは、−(CH
2)
n−CH
3、−(CH
2)
nC
6H
5、−(CH
2)
n−CH=CH
2、−CH
2−CONH
2又は−CH
2COOBu
tである。
【0045】
ここで使用されるように、C
1−C
6アルキル基は直鎖又は分岐アルキル基で1から6の炭素原子を含む。通常C
1−C
6アルキル基は、C
1−C
4アルキル基である。C
1−C
4アルキル基は直鎖又は分岐アルキル基であり、1から4の炭素原子を含む。C
1−C
6アルキル基の例は、限定されるものではなく、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、3−メチル−ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む。C
1−C
4アルキル基の例は、限定されるものではなく、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルを含む。明らかなことは、2つのアルキル基が1つの群の存在する場合、これらのアルキル基は同じであってもよく、異なっていてもよく、場合により1以上の置換基で置換されていてもよい、ということである。
【0046】
用語「C
2−C
6アルケニル」とは、炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素を意味し、直鎖又は分岐しており、薬2から6の炭素原子を持ち、場合により1以上の置換基で置換されている。好ましいアルケニル基は、限定されるものではなく、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソ−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル及び2−ブテニルが含まれる。
【0047】
ここで、C
6−C
10アリール基は通常はフェニル又はナフチルを意味する。フェニルが好ましい。
【0048】
用語「C
6−C
10アリールC
1−C
6アルキル基」とはアルキル基に結合したアリール基を意味し、場合により1以上の置換基で置換されている。好ましいアリールアルキル基は、限定されるものではなく、−CH
2C
6H
5、−C
2H
4C
6H
5、−CH(CH
3)C
6H
5を含む。
【0049】
ここで、用語「ヘテロサイクリ、複素環」とは、5から10員ヘテロサイクル環、複素環を意味し、単環式非芳香族、飽和又は不飽和C
5−C
10炭素環であって、例えば前記炭素原子の1、2、3又は4個が、N、O、S、S(O)及びS(O)
2から選択されるヘテロ原子で置き換えられているものを意味する。通常は5から6員環である。適切な複素環(ヘテロサイクル環)には、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チオモルホルリニル、S−オキソ−チオモルホリニル、S、S−ジオキソチオモルホリニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、1、3−ジオキソラニル、1、4−ジオキソリル及びピラゾリニル基が含まれる。ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルイミダゾリジニル基が好ましい。
【0050】
用語「ヘテロサイクリルアルキル」とは、アルキル基の直接結合されるヘテロサイクル基を意味し、置換又は無置換であり得る。「C
3−C
12シクロアルキル」とは、約3から12の炭素原子の非芳香族単又は多環式基を意味し、場合により1以上置換されていてよい。好ましいシクロアルキル基は、限定されるものではなく、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル及びパ−ヒドロナフチルを含む。
【0051】
用語「類似体」とは、親化合物とは、1以上のC、N、O又はS原子が異なる化合物を意味する。従って、親化合物のN原子の1つがS原子で置換される化合物は類似体である。
【0052】
用語「誘導体」とは、式(I)による化合物、類似体、互変異性体、立体異性体、多形体、水和物、薬学的に許容される塩又は薬学的に許容される溶媒和物から、酸化、水素化、アルキル化、エステル化学反応、ハロゲン化などの簡単な化学反応により1以上の官能基が変換された化合物を意味する。
【0053】
用語「立体異性体」とは、原子の空間配置がお互い異なる異性体を意味するが、それ以外の化学式及び化学構造は同じである。立体異性体には鏡像異性体及びジアステレオマーが含まれる。
【0054】
用語「互変異性体」とは、平衡にある化合物の容易に相互変換され得る異性体を意味する。ケト−エノール互変異性体がその例である。
【0055】
用語「多形体」には、化合物の化学的構造は同じであるが、結晶学的に区別される形を含む。
【0056】
用語「薬学的に許容される溶媒和物」には、前記溶質化合物の分子又はイオンと溶媒分子の組み合わせを含む。
【0057】
β−ラクタマーゼ阻害
特性を示す代表的化合物(1から13)は、限定されるものではなく:
1. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−メチル−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウム;
2. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−エチル−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウム;
3. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−n−プロピル−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウム;
4. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−アリル−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウム;
5. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−(2−アミノ−2−オキソエチル)−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウムおよび前記対応の酸;
6. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−(2−t−ブトキシ−2−オキソエチル)−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウムおよび前記対応の酸;
7. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウムおよび前記対応の酸;
8. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−{2[(2−エトキシ−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウムおよび前記対応の酸;
9. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−{2[(3−エトキシ−3−オキソプロピル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウムおよび前記対応の酸;
10. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−(2−{[1−(エトキシカルボニル)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}−2−オキソエチル)−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウム及び
前記対応の酸;
11. 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−ベンジル−1H−1、2、3−
トリアゾール−3−イウムおよび前記対応の酸;
12. (2S、3S、5R)−3−メチル−3−(3−メチル−
イミダゾール−3−イウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート及び
前記対応の酸;
および
13. (2S、3S、5R)−3−メチル−3−(4−メチル−3−メチル−
イミダゾール−3−イウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート及び
前記対応の酸、が含まれる。
【0058】
これらの化合物(1から11)は、米国特許第 7687488(インド対応特許第IN 1217CHE2006)に与えられた手順で合成された。
【0059】
化合物12及び13は、以下に示す反応スキームにより合成された。
【0062】
ステップ−1で、式(IV)の化合物は、式(VI)の化合物と式(V)との反応で得られた。ステップ2で、式(IV)の化合物を式(III)の化合物に変換した。式(III)の化合物の式(I)の化合物への変換は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)、ヨウ化トリメチルシリル(TMSI)、N、O−ビス−(トリメチルシリル)−アセタミド(BSA)、メトルトリメチルシリルトリフルオロアセタミド(MSTFA)、N、O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド(BSTFA)、メチルジクロロシラン、ジメチリジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、N−メチルシリルアセタミド(MSA)、ビストリメチルシリルウレアなどのシリル化剤を、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、酢酸エチル、N、N−ジメチルホルムアミド(DMA)、ヂメチルアセタミド(DMAc)などの溶媒又はその混合溶媒中で使用して実施することができる。
式(I)の化合物は、式(III)の化合物と適切なR−X(X=ハロゲン)と反応させることで得られた。
【0063】
ここで記載されるβ−ラクタム化合物は好ましくは内部塩として形成される。
Rで表される置換基は、カルボン酸又はアミノ基であり、さらにこれらは薬学的に許容される塩に変換され得る。カルボン酸基の塩を作る塩基は、エーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、t−ブタノール、ジオキサン、イソプロパノール、エタノールなどの溶媒中で、水酸化ナトリウム、ナトリウムキシド、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの塩基から選択される。溶媒混合物が使用され得る。酸添加塩はまた、適切な酸を用いて合成され得る。
【0064】
本発明の一部を構成する化合物の立体異性体は、可能ないずれかにおいて単一の鏡像異性体の形で反応試薬を用いることで、又はその単一の鏡像異性体の形での試薬又は触媒の存在下での反応を実施することで合成されるか、又は通常の方法で合成した立体異性体の混合物を分割することで合成され得る。好ましい方法には微生物分割が含まれ、マンデル酸、カンファー硫酸、酒石酸、乳酸などのキラル酸と形成されるジアステレオマー塩を適用可能であるいずれでも、又はブルシン、シンコナ、アルカロイド、その誘導体などの塩基を用いることで形成される塩を分割する。
【0065】
式(I)の化合物のプロドラッグはまた、本発明に含まれる。
プロドラッグは、活性又は不活性化合物であり、前記プロドラッグを患者に投与した後、加水分解、代謝などのインビボでの生理的作用により化学的に変成されて、本発明の化合物となるものを意味する。プロドラッグを製造し使用するための適合性及び技術は当業者によく知られている。
【0066】
式(I)の化合物の多形体は、式(I)の化合物を当該技術において知られる異なる条件下で結晶化させることで合成され得る。例えば、再結晶のために通常使用される異なる溶媒又はその混合物を用いて;異なる温度;種々の冷却条件;結晶化の際の冷却の非常に速くから非常にゆっくりとまでの範囲の冷却速度などである。多形体はまた、ゆっくりとした又は急速な冷却に続く前記化合物を加熱又は溶融することでも得られる。多形体の存在は、固体プローブNMRスペクトル、IRスペクトル、示差熱分析、粉末X線回折などの技術を用いて決定され得る。
【0067】
式(I)の化合物の薬学的に許容される溶媒和物は、式(I)の化合物を、水、メタノール、エタノール、アセトン:水、ジオキサン:水、N、N−ジメチルホルムアミド:水などの溶媒中に溶解することにより、好ましくは水を用いて異なる結晶技術を用いることで結晶化させることで合成され得る。
【0068】
留意すべきことは、ここで記載される化合物は、互変異性体として存在し得る基を持ちうることであり、1つの異性体が命名され、記載され、表示され及び/又はここで請求されるけれども、この全ての異性体が本質的に同様に命名され、記載され、表示され及び/又は請求される、ということである。
【0069】
β−ラクタム抗生物質と組み合わせるここで開示されるβ−ラクタム化合物は、非経口、非局所的及び/又は経口投与のいずれの条件でも、人及び他の温血動物の細菌感染の治療にために有用である。式(I)の化合物に加えて、医薬組成物はまた、他の臨床的に使用される抗生物質から選択される知られる薬物を含むか、共に投与され得るものであり、例えば、ペニシリン(ピペラシリン、チカルシリン等)、セファロスポリン(セフタジジム、セフメタゾール、セフォタキシム等)、ペネム(ファロペネム、メロペネム、エルタペネム等)、カルバセフェム(ロラカルベフ等)、オキサセフェム(モキサラクタム、ラタモキセフ、フロモキセフ等)、セファマイシン(セフォテタン等)、モノバクタム(アズトレオナム、チゲモナム等)、アミノグリコシド(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン等)、バクテリオシン(コリシン、ミクロシンス等)、キノロン(シプロフロキサシン、モキシフロキサシン等)、スルホンアミド(スルファメトキサゾール等)、マクロライド(エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシンなど)、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン等)、グリシルサイクリン(チゲサイクリン等)、オキサゾリジノン(リネゾリド、トレゾリド、ラゼドリド等)、リポペプチド(ダプトマイシンなど)、ポリペプチド(アクチノマイシン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンBなど)、ポリエン抗真菌薬(ナタマイシン、ナイスタチン、アムホテリシンB等)、リファマイシン(リファンピシン、リファブチン、リファペンチン等)、クロラムフェニコール、及びそれらの誘導体が含まれる。
【0070】
抗生物質には、ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、オキサセフェム、カルバペネム、ペナム、セファマイシン、ペネム、モノバクタムまたはそれらの組み合わせが含まれる。
【0071】
ペニシリンには、限定されるものではないが、ア
ムジノシリン(メシリナム)、アモキシシリン、アンピシリン、アミルペニシリン、アパル
シリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン(シクラシリン)、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベニシリン、フロキサシリン(フルクロキサシリン)、ヘタ
シリン、レナンピ
シリン、メタムピシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペナメシリン、ペネテシリン、ペニシリンG(プロカインペニシリン)、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV(フェノキシメチルペニシリン)、フェネチシリン、ピペラシリン、ピバンピシリン、プロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、タランピシリン、テモ
シリン、チカルシリン、ピブメシリナム、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、コアモキシクラブ、レナンピ
シリン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0072】
セファロスポリンは、限定されるものではないが
、セファロ
リジン、セフラジン、セフォキシチン、セファセトリル、セフォペラゾン、セフィネノキシム、セファログリシン、セフォニシド、セフォ
ジジム、セフピロム、セフピラミド、セフォゾプラン、セフォセリス、セフ
ルプレナム、セフ
ピミゾ
ール、セフクリジン、セフポドキシムアキセチル、セフテラムピボキシル、セフカペンピボキシル、セフトビプロール、セフタロ
リン、セフキノム、セフチオフル、セホベシン、セファドロキシル、セファロニウム、セフェピム、セフォタキシム、セフタジジム、セフェタメトピボキシル、セフジトレンピボキシル、セファロリジン、セフタジジム、セフトリアキソン、セフブペラゾン、セファロチン、セファゾリン、セファピリン、セフテゾール、セファマンドール、セフォチアム、セフォチアムヘキセチル、セフロキシム、セフチゾキシム、セフメノキシム、セフゾナム、セフスロジン、セフメタゾール、セフミノクス、セファレキシン、セフラジン、セファクロル、セファドロキシル、セファロニウム、セフプロジル、セフロキシムアキセチル、セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフチブテン、セフジニル、CXA−101(FR264205)またはそれらの組み合わせを含む。
【0073】
ペネムは、限定されるものではないが、ファロペネムを含み、及びカルバペネムは限定されるものではないが、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、パニペネム、リチペネム、テビペネム、トモペネム、スロペネム、ラズペネム、イミペネム、ME1036、SM216601またはそれらの組み合わせを含む。
【0074】
モノバクタムは、限定されるものではないが、アズトレオナム、カルモナム、チゲモナム、BALI9764、BAL30072又はそれらの組み合わせを含む。
【0075】
式(I)の化合物と組み合わせるβ−ラクタム抗生物質はまた、アミノグリコシド、バクテリオシン、キノロン、サルファ剤、マクロライド、テトラサイクリン、グリシルサイクリン、オキサゾリジノン、リポペプチド、ポリペプチド、リファマイシン、クロラムフェニコール、ポリエン抗真菌剤およびその誘導体と共に投与され得る。
【0076】
式(I)の化合物はまた、グラム陰性菌に対する活性、及び抗菌剤に対しする耐性細菌に対する活性を向上させるための、殺菌/透過性増大タンパク質産物(BPI)、又は排出ポンプ阻害薬と同時に投与することができる。抗ウイルス、抗寄生虫、抗真菌剤および他の抗生物質も、式(I)の阻害剤化合物と組み合わせて投与することができる。適切な抗生物質組み合わせとの式(I)の化合物は、細菌感染症、手術前の患者、術後の患者、集中治療室の患者(ICU)、院内感染患者及び感染動物を治療するために使用することができる。
【0077】
医薬組成物は、通常適用される剤形であり、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、トローチ剤、液剤、懸濁剤、エアゾール剤、経皮パッチ、局所用クリームおよび軟膏等であり、これらは、適切な固体又は液体担体又は希釈剤などの中に香味剤、甘味剤などを含んでいてもよく、又は適切な無菌媒体であって注射可能な溶液または懸濁液に含むことができる。医薬組成物はまた、薬学的に当該技術分野で知られる許容されるキャリアを含むことができる。
【0078】
前記化合物はこれだけで、又は前記記載された任意の抗生物質/抗生剤と共に凍結乾燥され得る。前記試薬は、複合化剤又は抗凝集剤、酸化防止剤、安定化剤、アミノグルコシド、薬学的に許容される塩など又はその混合物を含む。凍結乾燥は、最終製品の要求に応じて、希釈溶液又は濃縮溶液につき実施され得る。凍結乾燥または凍結乾燥または解凍する前に、凍結乾燥物は、ガスの最適な濃度に脱気され得る。前記化合物は殺菌条件下で濾過され得る。濾過などの好適なフィルタはまた、実質的にガラクトマンナンの濃度を下げるために使用され得る。式(i)の化合物はまた、物理的に好適な抗生物質とブレンドされ得る。
【0079】
式(i)の化合物はまた、β−ラクタマーゼ、特にKPC−2を産生する細菌による感染を治療するために使用される。
【0080】
式(I)の化合物に加えて、医薬組成物はまた、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モルホリノプロパンスルホン酸、他のリン酸緩衝液などの緩衝液、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、1、2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール四酢酸、1、6−ヘキサメチチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、又は薬学的に許容される塩、を含み得る。式(I)の化合物は、ホスト、特に動物及び最も通常は人の細菌感染を治療又は余三するために有用であり、これは、式(I)の化合物の治療投与量又は薬学的に許容される塩及び/又はそのプロドラッグを、β−ラクタム抗生物質と共に投与することを含む。
【0081】
用語「予防」とは、疾患を防止すること、即ち、疾患の臨床症状を生じ、進展することを防止することを意味する。
【0082】
用語「治療/処置」とは、哺乳動物の疾患の治療を意味し:(a)疾患防止、即ち臨床症状の進展を遅くするか停止させる;及び/又は(b)疾患から開放する、即ち、臨床症状の退行を引き起こすことを意味する。
【0083】
用語「治療有効量」又は「有効量」とは、式(I)の化合物又は混合部の量であって、以下定められるように、かかる治療に必要な哺乳動物へそれだけで、又は他の治療と共に投与される場合に治療効果を表すために十分である量を意味する。
【0084】
用語「増強」とは、ある試薬の効果が他の試薬により、効果全体として、いずれかの試薬の効果の合計よりも大きくなる効果の強化を意味する。
【0085】
用語「使用のための化合物」とは、次のいずれかを意味する:(1)化合物の使用、(2)過合成ガスの使用の方法、(3)治療での使用、(4)医薬組成物の製造のための使用、又は(5)式(I)の化合物の有効量を必要な対象体へ投与することを含む治療/処理/予防/減少/阻害する方法を意味する。
【0086】
用語「対象体(被験者)」とは、細菌感染、術前の患者、術後患者、ICUの患者、院内感染症患者、コミュニティ内感染患者と感染動物を意味する。
【0087】
前記説明から、当業者は、容易に次のことが確認できる、即ち、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に確認でき、本発明の本質及び範囲から離れることなく、種々の要求及び条件に適合させるために、本発明の種々の変更、修正を行うことが可能である、ということである。
【0088】
上で説明された用語については本発明を通じて同じ意味が適用される。
【0089】
参考化合物−1(化合物−1): 1−{[(2S、3S、5R)−2−カルボキシ−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル]メチル}−3−メチル−1H−1、2、3−トリアゾ−3−リウム;
【0090】
【化8】
(2S、3S、5R)−7−オキソ−3−(1H−1、2、3−トリアゾ−1−イルメチル)−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸4、4−ジオキシド(25g)のアセトン(100mL)中の懸濁液に、25から30℃で、撹拌しつつ、N、O−ビス(シリル)アセタミド(18.6g)をゆっくりと添加した。反応混合液をこの温度(25から30℃)で、15から20分間撹拌した。得られた透明溶液に、ヨウ化メチル(100mL)を、15分間で添加し、24時間25から30℃で撹拌した。沈殿固体を濾過して分離しアセトン(25mL)で洗浄した。
得られた湿った固体は30gであった。
【0091】
前記湿った固体を純粋(300mL)で、10から15℃で2.5時間撹拌した。得られた反応混合物に、チオ硫酸ナトリウム(0.1g)を添加し、10から15℃で10から15分間撹拌した。反応混合物へ、ジクロロメタン(300mL)を添加し、撹拌して、有機層を分離した。水層をアンバーライトLA−2樹脂(ジクロロメタン5%溶液)で2回洗浄し、続いて2回ジクロロメタンで洗浄した。前記水層に活性炭(1g)を添加し、15分間撹拌し、濾過して純水(25mL)で洗浄した。溶液を濾過して凍結乾燥して、該当化合物を純粋な形で得た(10g)。
1HNMR(400MHz、DMSO−d
6)δppm:1.39(s、3H)、3.14(dd、J=16.0、1.3Hz、1H)、3.55(dd、J=16.0、4.2Hz、1H)、3.97(s、1H)、4.34(s、3H)、5.05(dd、J=4.2、1.3Hz、1H)、5.29(d、J=14.7Hz、1H)、5.42(d、J=14.7Hz、1H)、8.91(d、J=1.3Hz、1H)、8.99(d、J=1.3Hz、1H)。Mass m/z:M+1ピーク315。又は、前記溶液はスプレードライして当該化合物を得ることができる。
【0092】
化合物−12: (2S、3S、5R)−3−メチル−3−(3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート
ステップ1:(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの合成:
【0093】
【化9】
アセトニトリル(75mL)及び水(25mL)中のイミダゾール(1.696g、24.9mmol)の撹拌溶液に、重炭酸ナトリウム(4.18g、49.8mmol)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。(2S、3S、5R)−3−クロロメチルゾール−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル(10g、24.8mmol)を前記混合物へ添加し、25から30℃で24時間撹拌した。反応が完了後、反応物を酢酸エチル及び水混合物で希釈した。有機層を分離した。水層を再び酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの粗生成物を得た。収量:10g。
【0094】
ステップ2:(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの合成:
【0095】
【化10】
前記ステップで得られた(2(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの粗生成物をアセトニトリル(50mL)に溶解させた。酢酸及び水混合物が前記溶液に添加され、0から5℃に冷却された。この均一溶液に過マンガン酸カリウム(14.58g、92.3mmol)を添加した。0から5℃でさらに2時間撹拌を続けた。反応物を、メタ重亜硫酸ナトリウム溶液で失活させた。反応物を酢酸エチルと水混合物で希釈した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせて飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空化濃縮した。アセトンを得られた残渣に添加し30分間撹拌した。白色沈殿が得られ、これを濾過して乾燥した。収量:2.60g。
1HNMR(400MHz、DMSO−d
6)δppm:1.09(s、3H)、3.35(d、J=16.0Hz、1H)、3.76(dd、J=16.0、2.0Hz、1H)、4.42(d、J=15.6Hz、1H)、4.90(d、J=15.6Hz、1H)、5.10(s、1H)、5.26(m、1H)、6.89(s、2H)、6.98(s、1H)、7.33−7.50(m、11H)。Mass m/z:466(M+1)。
【0096】
ステップ3:(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸(化合物−M)の合成:
【0097】
【化11】
(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル(900mg、1.9mmol)のメタノール(20mK)溶液へ、10%のPd/C(900mg重量/重量)を添加し、水素雰囲気下で2時間撹拌した。反応物を濾過してメタノールで洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させた。残渣にエチルエーテル(30mL)を加えて15分間撹拌した。白色沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。収量:530mg(91.3%)。
1HNMR(400MHz、DMSO−d
6)δppm:1.38(s、3H)、3.28(d、J=16.4Hz、1H)、3.68(dd、J=16.4、4.4Hz、1H)、4.51(d、15.2Hz、1H)、4.53(s、1H)、4.84(d、J=15.2Hz、1H)、5.14−5.15(m、1H)、7.02(s、1H)、7.25(s、1H)、7.85(s、1H)。Mass m/z:300(M+1)。
【0098】
ステップ4:(2S、3S、5R)−3−メチル−3−(3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成:
【0099】
【化12】
(2S、3S、5R)−3−(イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸(450mg、1.5mmol)の乾燥アセトン(1.8ml)中の懸濁物に、撹拌しつつ、N、O−ビス(シリルアセタミド)(0.93mL、3.7mmol)をゆっくりと添加した。反応物をさらに15分間撹拌した。得られた透明溶液に、ヨウ化メチル(1.8mL)を添加し、25から30℃で2日間撹拌した。反応物を濃縮し、ジクロロメタン−水で希釈した。水層を、アンバーライトLA−2樹脂で(ジクロロメタンの30%溶液)洗浄し、その後ジクロロメタンで洗浄した。水層を脱気し、凍結乾燥して当該化合物を得た。融点:161.37℃。
1HNMR(400MHz、D
2O)δppm:1.53(s、3H)、3.47(dd、J=16.7、1.36Hz、1H)、3.70(dd、J=16.7、4.2Hz、1H)、3.94(s、3H)、4.41(s、1H)、4.99(ABカルテット、J=15.4Hz、2H)、5.09(m、1H)、7.53(s、1H)、7.64(s、1H)、8.99(s、1H)。Mass m/z:314(M+1)。
【0100】
化合物13: (2S、3S、5R)−3−メチル−3−(4−メチル−3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート:
ステップ1:(2S、3S、5R)−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの合成:
【0101】
【化13】
(2S、3S、5R)−3−クロロメチル−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル(3g,7.4mmol)のアセトニトリル(22.5mL)の溶液へ、重炭酸ナトリウム(628mg,7.4mmol)、水(7.5mL)及び4−メチル−イミダゾール(1.22g、7.4mmol)を添加した。得られた反応物を25から30℃で42時間撹拌した。反応物を酢酸エチル及び水混合物で希釈した。有機層を分離した。水層を再び酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、(2S、3S、5R)−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの粗生成物を得た。収量:3.5g。
【0102】
ステップ2:(2S、3S、5R)−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの合成:
【0103】
【化14】
前記ステップからの(2S、3S、5R)−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの粗生成物をアセトニトリル(18mL)に溶解した。酢酸(18mL)及び水(9mL)混合物を添加して0から5℃へ冷却した。均一な反応混合物に、過マンガン酸カリウム(2.47g,15.6mmol)を添加した。0から5℃でさらに2時間撹拌を続行した。反応混合物を、メタ重亜硫酸ナトリウム溶液で失活させ、酢酸エチルと水で希釈した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせて飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン中で、40から50%の酢酸エチルグラジエント)により精製して純粋な化合物を無色固体として得た。収量:350mg(10%)。
1HNMR(400MHz、CDCl
3、δppm):1.00(s、3H)、2.17(s、3H)、3.50(dd、J=16.2Hz、1.8Hz、1H)、3.57(dd、J=16.2Hz、4.1Hz、1H)、4.24(d、J=15.3Hz、1H)、4.50(s、1H)、4.61−4.62(m、1H)、6.53(s、1H)、6.99(s、1H)、7.05(s、1H)7.32−7.49(m、10H)。
【0104】
ステップ3:(2S、3S、5R)−3−メチル−(4−メチル−3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの合成:
【0105】
【化15】
(2S、3S、5R)−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イルメチル)−3−メチル−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルの乾燥アセトン(4ml)中の懸濁液に、ヨウ化メチル(4mL)を添加し、25から30℃で15時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ(ジクロロメタン中0から10%MeOHのグラジエント)を用いて精製し、薄い黄色固体として生成物を得た。収量:320mg(95%)。
1HNMR(400MHz、CDCl
3、δppm):1.35(s、3H)、2.30(s、3H)、3.47(dd、J=16.4 Hz、1.7Hz、1H)、3.58(dd、J=1.4Hz、4.4Hz、1H)、3.89(s、3H)、4.6(s、1H)、4.69(m、1H)、4.89(ABカツテット、J =15.9Hz、2H)、7.01(s、1H)、7.26(s、1H)、7.32−7.49(m、10H)、9.83(s、1H)。
【0106】
ステップ4:(2S、3S、5R)−3−メチル−3−(4−メチル−3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートの合成:
【0107】
【化16】
(2S、3S、5R)−3−メチル−(4−メチル−3−メチル−イミダゾ−3−リウム−1−イルメチル)−4、4、7−トリオキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル(310mg、0.62mmol)の懸濁物に、m−クレゾール(3mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。ヘキサン(3x25mL)を反応混合物に添加し、5分間撹拌して、デカントした。そこにジエチルエーテル(15mL)を添加した。得られた固体を水で希釈し、アンバーライトLA−2樹脂(ジクロロメタン中30%溶液)で処理した後、ジクロロメタンで処理した。水層を凍結乾燥して、薄い黄色固体として生成物を得た。収量:130mg(75%)。
1HNMR(400MHz、D
2O)δppm:1.52(s、3H)、2.31(s、3H)、3.47(dd、J=16.7Hz、1.3Hz、1H)、3.71(dd、J=16.7Hz、4.1Hz、1H)、3.80(s、3H)、4.39(s、1H)、4.92(ABカルテット、J=15.4Hz、2H)、5.08(m、1H)、7.38(s、1H)、8.86(s、1H).Mass m/z:328(M+1)。
【0108】
以下の実施例は説明することを目的とし、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。当業者には明らかなs寿々の変更例などは本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0109】
生物学:
KPC/ESBL産生腸内細菌の検出:
この実施例では、化合物−1が、KPC&ESBL(例えばSHV18)産生腸内細菌のファミリーに属するβ−ラクタマーゼの検出のための診断試薬として使用される。抗生物質を寒天媒体上に埋め込んだ簡単な一組の紙ディスクが検出のために使用される。細菌株がβ−ラクタマーゼを発現すると、化合物−1と組み合わせた阻害領域が抗生物質自体よりも有意に大きくなる。
【0110】
方法1:
・ 試験生物の0.5McFarlandはミューラーヒントン寒天プレート上に1:10希釈で接種された。
・・ 試験生物:肺炎桿菌(K.p)ATCCBAA−1705、肺炎桿菌ATCC700603、大腸菌(E.c)Ecoli233:
・ カルバペネム(例えば、イミペネム[IPM]10μg)及びセファロスポリン(例えば、セフタジジム[CAZ]30μg)紙ディスク(7mm)を接種寒天プレート上に置いた。
・ 化合物−1(60μg)ディスクを、カルバペネム及びセファロスポリンディスクから7及び10mmの距離に置いた。
・ 発現されたカルバペネマーゼ又はESBLの存在は、化合物−1の存在で相乗効果によるイミペネム又はセフタジジムの阻害領域の拡張として測定された。
【0111】
結果:
相乗効果が、化合物−1含有ディスクに隣接するイミペネム又はセフタジジム領域の増加として観察された(
図1)。
【0112】
方法2:
方法2は方法1と次の点を除き同じであった。
・ 化合物−1(60μg)を、カルバペネム(例えばイミペネム10μg)又はセファロスポリン(例えばセフタジジム30μg)を接種寒天プレートに置いた。
・ 発現されたカルバペネマーゼ又はESBLの存在は、抗生物質自体と比較して化合物−1との組み合わせでイミペネム又はセフタジジム領域直径の増加として測定された。
【0113】
結果:
化合物−1の、カルバペネマーゼ又はESBLへの阻害活性は、抗生物質自体に比較して、化合物−1との組み合わせでイミペネム又はセフタジジムの領域直径の増加により示された(表1)。図(A)、(B)及び(C)において、方法1は、化合物−1含有ディスク(距離10mm及び7mmに維持)に隣接するイミペネム又はセフタジジムの阻害の領域の増加を示す。図(A)、(B)及び(C)において、方法2は、抗生物質自体(I及びC)よりも化合物−1と組合わせた(IT及びCT)イミペネム又はセフタジジムの阻害領域が増加することを示す。(D)においては、株のβ−ラクタマーゼ不存在のために、両方とも、阻害の領域を増加せず、化合物−1は阻害領域を示さない。
【0114】
KPC酵素株についての結果を表1に示す。
【0115】
表1:クラスAカルバペネマーゼ及びESBLの臨床分離株についての阻害領域(ZOI)。
【0116】
【表1】
・ 化合物−1は、試験されたKPC2及びKPC3産生株それぞれに対して、セフタジジムの阻害領域を12から18.5mm、及び11から22.5mmへ増加させた。
・ 化合物−1は、試験されたKPC2及びKPC3産生株それぞれに対して、イミペネムの阻害領域を14.5から20mm、及び14から20mmへ増加させた。
・ 化合物−1は、試験されたSHV18産生株に対して、セフタジジムの阻害領域を12から23mmへ増加させ、一方化合物−1の有無にかかわらずイミペネムの直径には変化はなく、このことはこの株に対してはイミペネムの本質的な活性を示す。
・ β−ラクタマーゼ陰性株に対しては、化合物−1のセフタジジム又はイミペネムへの影響はいずれもなく、というのはこれらの抗生物質はこの株に対しては本質的に活性を持つからである。
【0117】
結論:
化合物−1は、KPCを含むβ−ラクタマーゼの検出のための診断ツールとして使用され得る。
【0118】
インビトロ試験:
式(I)のβ−ラクタム化合物は、カルバペネマーゼ酵素に対するβ−ラクタマーゼ阻害剤としての能力につきβ−ラクタム抗生物質との組み合わせで評価された。ここで説明される化合物は、インビトロで、例えばKPC産生及びKPC発現細菌グラム陰性株に対する抗生物質活性につき、これらの酵素とのβ−ラクタマーゼ阻害アッセイで評価された。前記複素環窒素原意上の置換基を持つβ−ラクタム化合物は、有意のβ−ラクタマーゼ阻害性を示す。比較実験として、タゾバクタム、クラブラン酸及びスルバクタムが、β−ラクタム系抗生物質と一緒に使用された。カルバペネム、セファロスポリン、モノバクタム及びペネムは(動物用のものを含む)抗菌剤として選ばれた。
【0119】
最小阻害濃度(MIC)を決定するためのインビトロ試験:ブロスミクロ希釈方法:
β−ラクタム化合物は、インビトロ抗生物質活性につき、ブロスミクロ希釈又は寒天希釈方法により試験された、試験方法は「Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI)、USA(前NCCLS)、Approved standard M7−A7、Jan 2006、CLSI、 Wayne、 Pennsylvania、USA及びM100−S18、January 2008、CLSI、Wayne、Pennsylvania、USA」に基づいた。
【0120】
相乗的ブロスミクロ希釈MICは、BLI化合物及び他の比較BLI試薬のいくつかの濃度範囲でを96ウェルミクロタイタープレート内にチェッカーボードフォーマットで行った。簡単には、β−ラクタム抗生物質のストック溶液(例えば2560及び1280μg/mL)を水、0.1Mリン酸緩衝液、pH6.0又はpH7.0で、又は適切な溶媒中で調製した。同様に、化合物−1を含むBLI試薬のストック溶液を作り、β−ラクタム抗生物質が濃度0.06から128μg/mL)の濃度範囲でスクリーニングされた。BLI化合物を含むBLI試薬は濃度範囲1から64μg/mLの濃度範囲で試験された。全ての作業溶液は、カチオン調節ミューラーヒルトンブロス(caMHB)中で適切に希釈して作った。抗生物質試薬の二重希釈は、前記caMHB中の作業溶液から、96ウェルミクロタイタープレートに連続的に実施された。BLI化合物を含むBLI試薬はまた、連続的に希釈され、その後それぞれの試験濃度で異なる抗生物質濃度のそれぞれに添加された。前記BLI化合物、他の比較BLI及び全ての抗生物質試薬はまた個々に試験された。細菌接種は、18から24時間齢培地から同じ見掛けの形態を持つ3から5の十分分離したコロニーを選択し、生理食塩水懸濁の濁度が、0.5マクファーレン濁度標準について、懸濁物の1mL当たり約1x10
8コロニー形成ユニット(CFU)に等しくなるように調節することで調製した。前記懸濁物をcaMHB中で1:100に希釈して、接種として約1x10
6の細菌濃度となるようにした。この細菌接種を、抗生物質又は抗生物質+BLI試薬を含むcaMHBを含むミクロタイタープレートのウェルに、抗生物質又は抗生物質+BLI試薬を含むcaMHBと等しい容積で添加した。従って、最終接種は半分(約5x10
5CFU/mL)となり、試験された抗生物質及び組み合わせ物もまた半分の濃度となった。接種プレートを35℃で常圧下で18から20時間インキュベートした。インキュベート後前記プレートは、光学鏡を用いて目視で観察され、MICが、前記接種培地での成長又は目に見える濁度を示さない濃度として記録された。
【0121】
簡単に寒天希釈方法では、家畜用セファロスポリンのストック溶液(例えば2mg/mL)を水、0.1Mリン酸緩衝液又は適切な溶媒中で調製し、前記溶液を連続的に2倍希釈した。化合物−1を水に溶解し、かつタゾバクタム(比較BLI)を0.1Mリン酸緩衝液、pH6.0に溶解して1mg/mL溶液とした。セファロスポリンを、濃度0.5から32μg/mLの範囲でスクリーニングした。組み合わせとして、タゾバクタム又は化合物−1が、0.5から32μg/mLの範囲のセファロスポリン濃度で、4μg/mLの固定濃度で試験された。セファロスポリン自体及び化合物−1又はタゾバクタムとの組み合わせのそれぞれの濃度は、20mLの溶融ミューラーヒルトン寒天へ添加され、これを40から50℃で冷却しペトリ皿に入れた。式(I)の化合物及びタゾバクタムはまた、個々に試験された。前記細菌接種は、18から24時間齢培地から同じ見掛けの形態を持つ3から5の十分分離したコロニーを選択し、生理食塩水懸濁の濁度が、0.5マクファーレン濁度標準について、懸濁物の1mL当たり約1x10
8コロニー形成ユニット(CFU)に等しくなるように調節することで調製した。前記懸濁物をせり食塩水中で1:10に希釈して、接種として約1x10
7の細菌濃度となるようにした。この細菌接種は、多重点接種装置により前記調製されたペトリ皿上に摂取され、それぞれの接種点は約1x10
4CFUの細菌株を持つ。接種されたペトリ皿は35℃で常圧下、18から20時間インキュベートされた。インキュベート後、ペトリ皿は暗色非反射性表面上に置いて、接種培地で成長が見られない濃度をMICとして記録した。
【0122】
表2:肺炎桿菌カルバペネマーゼ(KPC)産生株に対する、β−ラクタマーゼ阻害剤(BLI)との組み合わせでのイミペネムの最小阻害濃度(MIC):
【0123】
【表2】
化合物−12は、化合物−1と類似する範囲で、KPC(2及び3)産生株に対する改善された活性を示し、一方化合物−Mは、ほぼ中間的であり、予想された範囲の活性ではない。
【0124】
表−3a:KPC−2産生肺炎桿菌(ATCCBAA−1705)に対するペネム又はモノバクタム/化合物−1のMIC:
【0125】
【表3a】
化合物−1は、KPC−2産生株ATCCBAA1705に対して4μg/mL以上の濃度で、タゾバクタム又はクラブラニン酸又はスルバクタムよりもイミペネム及びメロペネムと相乗効果を生じた。より相乗効果は、64μg/mL濃度を超えるよりも、エルタペネム、ファロペネム及びアズトレナムと相乗効果を生じた。同様に次の一連の化合物は、イミペネム及メロペネムの抗生物質活性の回復を示した(表−3b)。
【0126】
表−3b:KPC−2産生肺炎桿菌(ATCCBAA−1705)に対するペネムBLI化合物:
【0127】
【表3b】
表−4:KPC−2産生肺炎桿菌(ATCCBAA−1705)に対する人セファロスポリン/化合物−1:
【0128】
【表4】
化合物−1は、16μg/mL以上の濃度で、KPC−2産生株ATCCBAA1705に対して、タゾバクタム又はクラブラニン酸よりもセフェピメとより相乗作用を示した。さらに、64μg/mLでは前記比較物よりもセフォタキシム及びセフタジジムと相乗作用を生じることが示された。セフトビポールは、試験濃度では比較化合物全てに対して相乗効果を示さなかった(表−4)。
【0129】
表−5:KPC−2産生肺炎桿菌(ATCCBAA−1705)に対する動物用セファロスポリン/化合物−1:
【0130】
【表5】
化合物−1は、32μg/mL以上で、KPC−2産生株ATCCBAA1705に対して、タゾバクタムよりも動物用セフキノム及びセフチオフルのためのセファロニウムとの相乗効果が生じた。セファドロキシル及びセファロニウムは、試験濃度では相乗効果は示さなかった。
【0131】
表−6a:KPC−3発現EColi(J53R6206)に対する、カルバペネム及び人セファロスポリン/化合物−1:
===
【0132】
【表6a】
化合物−1は、2μg/mL濃度以上で、KPC−3発現E.Coli株J53R6206に対して、タゾバクタム又はクラブラニン酸又はスルバクタムよりも、イミペネム、メロペネム、セファピム、セフォタキシム、セフタジジム及びセフトビプロールとの相乗作用を生じる。同様に、一連に次の化合物は、イミペネム及びメロペネムの抗生物質活性を回復させることを示した(表−6b)。
【0133】
表−6b:KPC−3発現E.Coli(J53R6206)に対するカルバペネムBLI化合物:
===
【0135】
【表7】
化合物−1は、濃度4μg/mLで、KPC−3発現E.Coli株J53R6206に対して、タゾバクタムよりも、動物用セフィネノキシム及びセファロニウムとしてセファロスポリンとの相乗効果を生じた。セファドロキシルは、試験濃度では相乗効果を示さなかった(表−7)。
【0136】
カルバペネマーゼでのβ−ラクタマーゼ阻害アッセイ;
化合物−1は、IC
50を決定するためにβ−ラクタマーゼ阻害アッセイを行い、比較物BLI試薬(Bebroneらの「Antimicrob.Agents.Chemother、2001、45(6):1868−1871」;Jamiesonらの「Antimicrob.Agents.Chemother、2003、47(5):1652−1657」)と比較した。簡単には、KPC−2産生及びKPC−3発現細菌グラム陰性株から抽出した酵素が、β−ラクタマーゼ阻害活性を研究し、β−ラクタマーゼの基質としてCENTAを用いてIC
50を決定するために使用された。
【0137】
表−8:カルバペネマーゼを用いた化合物−1のβ−ラクタマーゼ酵素阻害活性:
【表8】
化合物−1のIC
50は、粗生KPC−2及び3酵素抽出物に対して比較化合物BLIよりも低く、このことは式(I)の化合物−1のBLIの結合能力が顕著であることを示す(表−8)。
【0138】
表−9:ATCCからの特定の拡張スペクトルβ−ラクタマーゼ(ESBL)産生グラム陰性株に対する、標準タゾ及び新規阻害化合物との組み合わせでのピペラシリンのMICの比較:
【0139】
【表9】
KPCカルバペネマーゼ産生株に対する化合物−1のインビトロ有効性:
化合物−1は、ESBLの潜在的な阻害剤であり、そのKPC酵素に対する阻害活性をインビトロで示された。化合物−1は、KPC2産生肺炎桿菌ATCCBAA1705に対して、マウス全身感染モデル及びそのKPC2に対する阻害活性のインビボ転移のための太もも感染の薬物動態学モデルで評価された。これらのモデルでは、単一の試薬としてのβ−ラクタムの有効性はKPC2介在の加水分解により邪魔された。β−ラクタムと化合物−1との組み合わせにより、β−ラクタムの効果の回復及び強化が評価された。
【0140】
方法:
マウス全身感染モデル:
雄スイスアルビノマウス、体重18から22gが全ての研究で使用された。
それぞれの投与群について、5から6マウスが含まれた。研究手順は、「Institutional Animal Ethical Committee、Orchid Research Laboratories Limited」で検討され承認された。マウスを個別の換気ケージ内に入れて、研究期間を通じて随時水及び食餌を与えた。ブレインハートフージョン寒天培地での一晩培養から、必要な細菌濃度を持つ接種を、豚胃ムチン含有の通常の生理食塩水中で調製した。ドリペネムが関連するこの研究では、洗浄された細菌細胞が使用された。それぞれのマウスは、腹腔内注射による接種により感染させた。
【0141】
β−ラクタマーゼ阻害剤(BLI)とピペラシリンの組み合わせ:ピペラシリン及びBLI(化合物−1又はタゾバクタム)を、単独試薬として、又はBLIとピペラシリンの1:1比率の組み合わせとして濃度増加させて水性寒天(バクト寒天)で調製した。感染マウスは、感染後の異なる時点で薬物調製物を皮下投与した。
【0142】
イミペネムとBLI組み合わせ:単一試薬として又は固定濃度のBLIとの組み合わせで、濃度増加させたイミペネムを、感染カウスの皮下投与で使用した。この実験では、イミペネムは常にシラスタチンと共に投与された。
【0143】
ドリペネムとBLI組み合わせ:単一試薬として又は固定濃度のBLIとの組み合わせで、濃度増加させたドリペネムを、感染カウスの皮下投与で使用した。
【0144】
処理マウスの生存率は、感染後1日2回で7日まで監視された。有効投与50(ED50)は、Reed及びMuench方法(「A simple method of estimating fifty percent endpoints」、The American Journal of Hygiene、1938、27:493−497」)で計算した。
【0145】
好中球減少マウス大腿部感染モデル(人間の適応モデル)
雌スイスアルビノマウス、体重24から30gを全ての研究に使用した。
研究手順は、「Institutional Animal Ethical Committee、Orchid Research Laboratories Limited」で検討され認可された。マウスは、腹腔内シクロホスファミド注射によって好中球減少された。ブレインハートインフュージョンブロス中のログフェーズ培地をマウス太ももに注入した。イミペネム又はドリペネムのみ又は組み合わせが、5.5時間にわたり、15分ごとに増加区分投与量で皮下投与された(Fluckiger、 U.らの「Integration of pharmacokinetics and pharmacodynamics of Imipenem in a human−adapted mouse model」、(Antimicrobial Agents and Chemother、1991、35(9):1905−1910)。化合物−1又はタゾバクタムは、投与開始において、ボーラス投与として皮下投与された。有効エンドポイントはイミペネム研究で6時間、ドリペネム研究で8時間であった。
【0146】
マウス全身感染モデルでのKPC2肺炎桿菌ATCCBAA1705に対する化合物−1により回復されたピペラシリンの有効性:
ピペラシリン単独では800mg/kgまで有効性を示さなかった。化合物−1は、化合物−1と1:1で組み合わせて50mg/kgのED
50を示したことからピペラシリンの有効性を回復させた。化合物−1のみでは有効ではなく、組み合わせたピペラシリン有効性は、化合物−1のKPC2酵素阻害活性によるものであった。臨床的に使用されるタゾバクタムは、しかし、ピペラシリンと1:1比率で組合わせて>200:>200mg/kgまででもその有効性を示さなかったことから、ピペラシリンの有効性を回復しなかった。
【0147】
表10:化合物−1対タゾバクタムとの組み合わせのピペラシリンの有効性の比較;
【0148】
【表10】
マウス全身感染モデルでのKPC2肺炎桿菌ATCCBAA1705の対する化合物−1により強化されたイミペネムの有効性:
イミペネムのみはED
50が8.9mg/kgを示した。固定64mg/kgで化合物−1との組み合わせは、ED
50が2.2mg/kgとなり有効性を強化する結果となった。イミペネムと同じ投与量でタゾバクタムを添加する場合には、ED
50は4mg/kgとなった。化合物−1によるイミペネムの有意な有効性の強化は、KPC2酵素への阻害活性によるものであった。
【0149】
表11:化合物−1対タゾバクタムとの組み合わせにおけるイミペネムの有効性に比較:
【0150】
【表11】
マウス全身感染モデルでのKPC2肺炎桿菌ATCCBAA1705の対する化合物−1により強化されたドリペネムの有効性:
ドリペネムのみ及び化合物−1又はタゾバクタムとの組み合わせが評価された。化合物−1又はタゾバクタムは、20mg/kg及び64mg/kgで試験された。ドリペネムのみは、ED
50が14.14mg/kgを示した。この有効性は、20mg/kgで化合物−1で強化され、ED
50は1.4mg/kgとなり、64mg/kgでED
50は1.62mg/kgとなった。タゾバクタムは、ドリペネムの有効性をやや改善し、20及び64mg/kgの投与量で、ED50が11.89mg/kg、及び6.48mg/kgであった。
【0151】
これらの結果は、化合物−1のKPC2に対する活性を阻害する能力が、KPC2介在加水分解から保護してドリペネムの有効性を回復する結果となることを示唆するものである。
【0152】
表12:化合物−1対タゾバクタムと組み合わせたドリペネムの有効性の比較:
【0153】
【表12】
好中球減少マウス大腿部感染モデルにおける、KPC2肺炎桿菌ATCC BAA1705に対して化合物−1により強化されたイミペネムの有効性
治療の開始時点での平均初期細菌負荷量は、1.8E+06CFU/太ももであった。5.5時間にわたる期間での区分投与量として投与されたイミペネム140mg/kgは、有効ではなかった;治療後6時間で細菌は6.8E+06まで増加した。イミペネムを、140mg/kgをボーラス投与した化合物−1との組み合わせは、細菌負荷量が2.1E+05CFU/太ももへ減少したことから、有効性を回復させた(表13)。この実験結果は、化合物−1が、太もも感染モデルマウスにおいて潜在的な阻害性を示すことを示したものである。
【0154】
表13:化合物−1との組み合わせにおいてイミペネムのインビトロ薬物動態学(太ももモデル):
【0155】
【表13】
好中球減少マウス大腿部感染モデルにおけるKPC2肺炎桿菌ATCC BAA1705に対して、化合物−1により強化されたドリペネムの有効性
3つの実験が行われ、ドリペネムのみ、又は化合物−1又はタゾバクタムとの組み合わせ(2実験)が評価された。ドリペネム70mg/kgが、5.5時間にわたり区分投与された(Fliickiger、U.ら「Integration of pharmacokinetics and pharmacodynamics of Imipenem in a human−adapted mouse model」、Antimicrobial Agents and Chemother、1991、35(9):1905−1910)。
化合物−1又はタゾバクタムは、最初の治療の際にボーラス投与された。有効性エンドポイントは治療開始から8時間であった。
【0156】
開始細菌負荷量は、1.4E+07から3.1E+07の範囲であった。ドリペネム70mg/kgのみは、細菌負荷へ静的な有効性を示した。ドリペネムのみで処理されたナウスは、細菌負荷量が5.4E+06から2.6E+07CFU/太ももであることを示した。化合物−1の35mg/kgをドリペネムと組み合わせると細菌負荷量が7.9E+05から1.3E+06CFU/太ももと低減された。ドリペネムはまた、2つの実験でタゾバクタム35mg/kgと組み合わされた。タゾバクタムは、マウス細菌負荷量が、1.2E+07から1.6E+07CFU/太ももであることから、ドリペネムの有効性に影響は与えなかった。
【0157】
表14:化合物−1との組み合わせにおいてドリペネムのインビトロ薬物動態学(太ももモデル):
【0158】
【表14】
結論:
全てのこれらの実験では、単独試薬としてのβ−ラクタムの有効性は、それらがKPC2に対して安定ではないことから悪化した。KPC2の阻害剤として、化合物−1は、β−ラクタムの有効性を回復し有意に強化した。