特許第5961195号(P5961195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961195
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】回収デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A61B17/22 528
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-4359(P2014-4359)
(22)【出願日】2014年1月14日
(62)【分割の表示】特願2010-511374(P2010-511374)の分割
【原出願日】2008年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-121622(P2014-121622A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2014年1月14日
(31)【優先権主張番号】60/942,788
(32)【優先日】2007年6月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506131053
【氏名又は名称】ユー.エス. エンドスコピー グループ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス ウスペンスキ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ボイス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ. ケイ
(72)【発明者】
【氏名】シンシア アン ラナッロ
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−532683(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/115120(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体内から物体を回収する内視鏡デバイスであって、前記デバイスは、
ベースと細長い管状部材とを備えた保持体アセンブリと、
前記ベースに対して可動のハンドルと、前記ハンドルに固定された第1の端部と前記ベースから離れた第2の端部とを有するリンクとを備えた伝達アセンブリであって、前記リンクは、前記管状部材の少なくとも一部分を通って延びる、伝達アセンブリと、
ループ部分と2つのレッグ部分とを画定するワイヤであって、各レッグ部分は、前記ループ部分から近位に配置され、各レッグ部分の近位端部は、第1の接続部によって前記リンクの前記第2の端部に固定され、前記2つのレッグ部分は、前記第1の接続部と前記ループ部分との間の位置において、少なくとも第2の接続部によって互いに固定される、ワイヤと、
前記ループ部分に固定された遠位部分と、近位テール部とを有するネット要素であって、前記ネット要素の前記近位テール部は、前記第2の接続部から近位の位置において、当該近位テール部によって前記2つのレッグ部分に固定される、ネット要素と
を備え、
前記ベースに対する前記ハンドルの動作によって、前記ループ部分は、前記管状部材の外側の拡張位置と、前記管状部材の内側の折り畳み位置との間において可動である、デバイス。
【請求項2】
前記ループ部分が前記拡張位置にあるとき、前記リンクの前記第2の端部は、前記管状部材内にある、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
つなぎ綱は、前記ネット要素の前記近位テール部を前記レッグ部分に取り付ける、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2の接続部は、溶接部である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ワイヤは、使用中に前記ループ部分の折り畳みを妨げる、前記ループ部分の遠位端部において突出した先端をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
この本出願は、2007年6月8日に出願された名称が「Retrieval Device」である米国仮特許出願第60/942,788号の利益を主張し、該仮特許出願が本出願と矛盾しない程度まで、該仮特許出願の全体が本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、回収デバイスに関し、ヒト被験者内から物体を回収する内視鏡回収デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
内視鏡回収または除去デバイスは、当該分野において公知であり、従来からヒト被験者内から物体を取り戻すために用いられる。そのような物体は、切断されたヒト組織、異物または食物塊(food bolus)を含み得る。一部の典型的なデバイスは、物体を掴むための鉗子またはクラスプ(clasp)を含む。このタイプの特定のデバイスは、大きな組織の塊、食物塊、コイン、ビー玉および電池などの、重くて丸くなったかまたは尖っていない物体を回収するのにあまり適していない。なぜなら物体を確実に保持することが難しいからである。さらに、除去プロセス中に気管の近くに落ちた場合、患者にとって大惨事の結果となり得る。他のデバイスは、様々なネット保持体およびネット動作構造を含む。
【0004】
多くの回収デバイスは、内視鏡医療処置中に内視鏡の器具導管内において用いられる。これらのデバイスは、器具導管内に挿入された管に対して、概して拡張可能であり、折り畳み可能である。例えば、デバイスの遠位端にあるワイヤループは、デバイスの近位端にあるハンドルの動作によって管に対して拡張しかつ折り畳み得る。さらに、ネットが、拡張可能で折り畳み可能なワイヤループに固定され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明の示された実施形態において、例えば、詰め込まれた食物塊、異物、および切断されたヒト組織などの物体を回収するデバイスが開示される。デバイスは、内視鏡医療処置中の内視鏡の器具導管内において使用するものである。
【0006】
デバイスは、本体と、本体に対して固定され、そして可動であるハンドルと、本体に固定された細長い管と、実質的に管を通って延び、ハンドルに固定された第1の端部と本体から遠く離れた第2の端部とを有するリンクと、ループおよびネット要素を含むネットとを含む。ループは、本体に対するハンドルの動作によって、拡張可能でかつ折り畳み可能である。ネットは、ハンドルに対して遠位位置および近位位置において固定される。本デバイスは、先行のデバイスよりも信頼性があり、構造的に単純で、製造コストが安い。
【0007】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明から明らかとなる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
人体内から物体を回収する内視鏡デバイスであって、該デバイスは、
ベースおよび細長い管状部材を備えている保持体アセンブリと、
該ベースに対して可動のハンドルと、該ハンドルに固定された第1の端部および該ベースから遠く離れた第2の端部を有するリンクであって、該リンクは該管状部材の少なくとも一部分を通って延びる、リンクとを備えている伝達アセンブリと、
1つのループ部分と、2つのレッグ部分とを画定するワイヤであって、各レッグ部分は第1の接続部によって該リンクの該第2の端部に固定され、該2つのレッグ部分は少なくとも第2の接続部によって互いに固定される、ワイヤと、
該ループ部分に固定された遠位部分と、近位部分とを有するネット要素と、
該第2の接続部に隣接した該ネット要素の該近位部分を固定する手段と
を備え、
該ベースに対する該ハンドルの動作によって、該ループ部分は、該管状部材の外側の拡張位置と、該管状部材の内側の折り畳み位置との間において可動である、デバイス。
(項目2)
各レッグ部分の近位端は、上記第1の接続部によって上記リンクの上記第2の端部に固定され、上記第2の接続部は、該第1の接続部から遠位である、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
つなぎ綱は、上記第2の接続部の近位側に上記ネット要素の上記近位部分を取り付ける、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記第2の接続部は、上記2つのレッグ部分を互いに固定する溶接部である、項目3に記載のデバイス。
(項目5)
上記2つのレッグ部分は、第2の接続部および第3の接続部によって互いに固定され、該レッグ部分の各々は、上記ベースに対して上記第1の接続部から遠位にある、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記ネット要素の上記近位部分は、上記第2の接続部と上記第3の接続部との間に経路を定められる、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
上記第2および第3の接続部は、上記ワイヤの上記2つのレッグ部分を互いに固定する溶接部である、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
上記ネット要素の上記近位部分は、上記第2の接続部、上記第3の接続部、および上記2つのレッグ部分の間に固定される、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
上記ネット要素の上記近位部分は、上記第1の接続部を少なくとも部分的に囲んで、上記管状部材の内部に対する損傷を防ぐ、項目6に記載のデバイス。
(項目10)
上記ループ部分の湾曲は、上記人体内から上記物体を回収しながら、該ループ部分の拡張を促進し、該ループ部分の折り畳みを妨げる。項目1に記載のデバイス。
(項目11)
上記湾曲間の上記ループ部分の線分は、多角形を形成する、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
上記ワイヤは、使用中に上記ループ部分の上記折り畳みを妨げる突き出た先端部を形成する、該ループ部分の遠位端における湾曲した部分をさらに備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
上記突き出た先端部は開口部を有する先端部キャップを含み、つなぎ綱は上記ネット要素の上記遠位部分を該先端部キャップの該開口部に固定する、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
上記ワイヤは、上記ループ部分の遠位端において360度湾曲した部分をさらに備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目15)
つなぎ綱は、上記ループ部分の上記遠位端において、上記ワイヤの上記360度湾曲した部分に上記ネット要素の上記遠位部分を固定する、項目14に記載のデバイス。
(項目16)
上記動作伝達リンクは、スエージ接続部によってケーブルに取り付けられた管をさらに備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目17)
上記ケーブルは、上記第1の接続部によって上記ワイヤの上記2つのレッグ部分の端部に取り付けられる、項目16に記載のデバイス。
(項目18)
熱収縮材料の一片は、上記第1の接続部を少なくとも部分的に囲んで、上記管状部材の上記内部に対する損傷を防ぐ、項目1に記載のデバイス。
(項目19)
上記ループ部分が上記拡張位置にあるとき、上記リンクの上記第2の端部は、上記管状部材内にある、項目1に記載のデバイス。
(項目20)
人体内から物体を回収する内視鏡デバイスであって、該デバイスは、
ベースおよび細長い管状部材を備えている保持体アセンブリと、
該ベースに対して可動のハンドルと、該ハンドルに固定された第1の端部および該ベースから遠く離れた第2の端部を有するリンクであって、該リンクは該管状部材の少なくとも一部分を通って延びる、リンクとを備えている伝達アセンブリと、
1つのループ部分と、2つのレッグ部分とを画定するワイヤであって、各レッグ部分は第1の接続部によって該リンクの該第2の端部に固定され、該2つのレッグ部分は第2の接続部によって互いに固定される、ワイヤと、
該ループ部分に固定された遠位部分と、つなぎ綱によって該第2の接続部に対して固定された近位部分とを有するネット要素と
を備え、
該ベースに対する該ハンドルの動作によって、該ループ部分は、該管状部材の外側の拡張位置と、該管状部材の内側の折り畳み位置との間において可動である、デバイス。
(項目21)
各レッグ部分の近位端は、上記第1の接続部によって上記リンクの上記第2の端部に固定され、上記第2の接続部は、該第1の接続部から遠位である、項目20に記載のデバイス。
(項目22)
上記つなぎ綱は、上記第2の接続部に近位の位置においてしばられる、項目20に記載のデバイス。
(項目23)
上記第2の接続部は、溶接部である、項目20に記載のデバイス。
(項目24)
上記つなぎ綱は、少なくとも1つのレッグ部分の360度湾曲した部分にしばられる、項目20に記載のデバイス。
(項目25)
人体内から物体を回収する内視鏡デバイスであって、該デバイスは、
ベースおよび細長い管状部材を備えている保持体アセンブリと、
該ベースに対して可動のハンドルと、該ハンドルに固定された第1の端部および該ベースから遠く離れた第2の端部を有するリンクであって、該リンクは該管状部材の少なくとも一部分を通って延びる、リンクとを備えている伝達アセンブリと、
1つのループ部分と、2つのレッグ部分とを画定するワイヤであって、各レッグ部分は第1の接続部によって該リンクの該第2の端部に固定され、該2つのレッグ部分は第2の接続部および第3の接続部によって互いに固定される、ワイヤと、
該ループ部分に固定された遠位部分と、該第2の接続部と該第3の接続部との間に経路を定められる近位部分とを有するネット要素と
を備え、
該ベースに対する該ハンドルの動作によって、該ループ部分は、該管状部材の外側の拡張位置と、該管状部材の内側の折り畳み位置との間において可動である、デバイス。
(項目26)
各レッグ部分の近位端は、上記第1の接続部によって上記リンクの上記第2の端部に固定され、上記第2の接続部および上記第3の接続部は、該第1の接続部から遠位である、項目25に記載のデバイス。
(項目27)
上記第2の接続部および上記第3の接続部は、上記ワイヤの上記2つのレッグ部分を互いに固定する溶接部である、項目25に記載のデバイス。
(項目28)
上記ネット要素の上記近位部分は、上記第2の接続部、上記第3の接続部、および上記2つのレッグ部分の間に固定される、項目25に記載のデバイス。
(項目29)
上記ネット要素の上記近位部分は、上記第1の接続部を少なくとも部分的に囲んで、上記管状部材の内部に対する損傷を防ぐ、項目25に記載のデバイス。
(項目30)
上記ネット要素の上記近位部分は、上記第1の接続部を越えて、上記ベースの方に延びる、項目25に記載のデバイス。
(項目31)
上記ネット要素の上記近位部分は、テールを有する、項目25に記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に従って構成された回収デバイスの斜視図である。
図2図2は、図1に示されるデバイスの遠位部分の部分断面図であり、管内の格納位置における回収ネットを示す。
図3図3は、図2の代替図であり、管外の展開位置における回収ネットを示す。
図4図4は、図1の指定された円形部分の分解斜視図であり、ネット要素およびループの遠位端の詳細を示す。
図5図5は、回収デバイスのネットの分解部分図であり、ループの代替の遠位端を示す。
図6図6は、回収デバイスのネットの分解部分図であり、ループのさらに別の代替の遠位端を示す。
図7図7は、図4に示されるデバイスの遠位部分の斜視図であり、回収ネット内に捕捉された例示的食物塊を示す。
図8図8図10は、図4のデバイスの一部分の図であり、様々なアセンブリステップ中の部分を示す。
図9図8図10は、図4のデバイスの一部分の図であり、様々なアセンブリステップ中の部分を示す。
図10図8図10は、図4のデバイスの一部分の図であり、様々なアセンブリステップ中の部分を示す。
図11図11は、図4のデバイスの遠位部分の正面図である。
図12a図12a〜図12bおよび図13は、図11の指定された円形部分の拡大図であり、様々な構造上の詳細を示す。
図12b図12a〜図12bおよび図13は、図11の指定された円形部分の拡大図であり、様々な構造上の詳細を示す。
図13図12a〜図12bおよび図13は、図11の指定された円形部分の拡大図であり、様々な構造上の詳細を示す。
図14a図14aは、図4のデバイスの拡大断面図であり、近位ネット接続部を示す。
図14b図14bは、図4のデバイスの拡大断面図であり、別の近位ネット接続部を示す。
図15図15は、本発明の別の実施形態に従うネット要素の上面図である。
図16図16は、本発明の別の実施形態に従うデバイスの遠位部分の正面図である。
図17図17は、図16に示されるデバイスの遠位部分の部分断面図であり、展開位置における回収ネットを示す。
図18図18は、図16に示されるデバイスの遠位部分の部分断面図であり、格納位置における回収ネットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な説明は、単に本発明の好ましい実施形態を説明するだけで、本発明の範囲または特許請求の範囲を限定することは決して意図されない。実際に、特許請求の範囲によって記述されるように、本発明は、好ましい実施形態より広く、好ましい実施形態によって限定されず、用いられる用語は、完全に通常の意味を有する。
【0010】
ヒト被験者内から物体を回収するデバイスが開示される。デバイスを検討する際に、用語、遠位および近位は、オペレータの手に対して用いられる。換言すると、デバイスが内視鏡または類似のデバイスの器具導管内で用いられるとき、近位および遠位の方向づけは、外科医またはデバイスのオペレータの位置に対してである。さらに、用語、第1の接続部、第2の接続部、第3の接続部などが製造の順序を意味しないことは、注意されるべきである。
【0011】
本出願の目的のために、用語、取り付ける(attach)(取り付けられた(attached))、接続する(connect)(接続された(connected))、および連結する(link)(連結された(linked))は、直接の取り付け、接続、または連結に限定されるのではなく、互いに取り付けられ、接続され、または連結される2つの部品の間に位置を決められる中間の部品、構成要素またはアセンブリへの間接的な取り付け、接続または連結をも含むこともまた注意されるべきである。さらに、用語、取り付ける(取り付けられた)、接続する(接続された)および連結する(連結された)は、一体に形成されるかまたは単一で構成される2つの部品を含み得る。
【0012】
例示的目的のためだけであるが、本発明は、例えば、食道から、詰め込まれた食物塊を回収するなどの比較的窮屈な通路内の物体を回収する内視鏡内において使用するために設計されるデバイスに関して検討される。本出願に含まれる検討および図が例としてのみであること、および本発明が種々様々な構造、形状、強度、または目的を有する内視鏡回収デバイスと共に利用され得ることは当業者に明らかである。本発明に関する多くの他の例示的使用法のうちの1つは、結腸からポリープを除去することである。
【0013】
被験者内から物体を内視鏡で回収するいくつかの例示的デバイスは、Secrestらへの米国特許第6,814,739号、名称が「Retrieval Device」である2005年7月28日に出願された出願第10/965,542号、および名称が「Retrieval Device」である2005年12月1日に出願された出願第11/137,763号に開示され、それらの各々は、本出願と矛盾しない程度まで、全体が本明細書に参照により援用される。
【0014】
言及されるように、ネット捕捉を用いるデバイスは、丸くなったかまたは尖っていない物体を捕捉するために開発された。ネット捕捉を有するデバイスの使用時に、そして他のデバイスの使用時においても考えられることは、医者が、例えば、詰め込まれた食物塊などの特定の物体を食道から取り戻す際に困難さを経験することである。食物塊(bolus)は、噛みこなされるかまた咀嚼された食物の塊(mass)である。一部の場合において、食物塊は、疾患または他の障害のために食道に詰め込まれ、その結果、胃の中に通過しない。物体の上にネットの位置を決めることはより困難であり得るか、または物体は、典型的なネットデバイスがそのために元来設計されたヒト組織または異物よりも重い場合があり得る。この問題は、体内の比較的窮屈な場所でデバイスを操作するときに特に顕著である。その結果、捕捉された物体を保持するとき、ネット捕捉保持体は、崩れ、展開位置においてその形状を保持しない。さらに、ネットは引き裂かれ得るか、またはネット接続部は、機能しなくなり、信頼性の懸念を生じさせ得る。
【0015】
これらの問題および他の問題を解決するために、本発明の回収デバイスは、先行のデバイスよりも、信頼性があり、構造的に単純で、製造コストが安い。例えば、一部の実施形態において、ネット要素の近位部分は、ワイヤに固定され、該ワイヤは、より近位の位置においてネット要素を固定する従来の設計よりも短いつなぎ綱またはアンカを用いて、回収ネットのループ部分およびレッグ部分を形成する。他の実施形態において、ネット要素の近位部分を固定するためのつなぎ綱またはアンカが用いられないで、その代わりに、ネット要素は、溶接部または他の類似の接続部の間に経路を定められ、ワイヤのレッグ部分を一緒にして接続する。ネット要素の近位部分を固定するためにつなぎ綱が用いられない場合、ネット要素が破れるかまたは引き裂かれる機会が減少する。なぜなら、力は、孤立した接触点の代わりに、より広い面積にわたりより均等に分散されるからである。
【0016】
さらに、一部の実施形態において、ネット要素の近位部分は、ケーブルへのレッグ部分の接続部および/またはレッグ部分を一緒にして固定する接続部を少なくとも部分的に囲む。そのようにして、ネット要素の近位部分は、接続部および管状部材の内側に対する損傷を防ぐ。ネット要素の近位部分はまた、ハンドルが起動されたとき、管状部材の遠位端の方へのケーブル移動に対して減衰効果を提供する。このことはまた、ネットおよびケーブルの展開に対してより多くの制御を提供し、回収ネットが展開位置にあるとき、管状部材の開口部を出るデバイスの部分を制御する。ネット要素の近位部分はまた、管状部材内においてワイヤのレッグ部分およびケーブルを中心に置くことを助ける。
【0017】
回収ネットは、概して内視鏡の器具導管を通って挿入される管に対して折り畳めそして拡張する。折り畳み位置において、回収ネットは、直径が少なくとも管の内腔の遠位端内に嵌まるほど十分に小さい。さらに、ネット要素をループに固定する任意の接続部は、内腔内に嵌まり、かつ回収ネットが繰返し折り畳めそして拡張することを可能にするほど十分に小さい。接続部はまた、回収ネットの拡張および折り畳み中にループに対して正しい位置にネット要素を保持することが可能である。さらに、ループは、概して動作伝達リンクに接続される。動作伝達リンクは、ループがデバイスの近位端においてハンドルによって操作されることを可能にする。そのようにして、ループを動作伝達リンクに固定する任意の1つの接続部または複数の接続部はまた、内腔内に嵌まり、回収ネットが繰返し折り畳むことおよび拡張することを可能にするほど十分に小さくなければならない。これらの接続部のどちらかが大きすぎる場合、接続部は内腔の内壁を引きずるか、または内腔の内壁に引っかかり得る。接続部と内腔の内壁との間の摩擦は、ハンドルの動きとループまたは回収ネットの遠位端の動きとの間において本質的に1:1の比率を妨げ得る。
【0018】
ネット要素は、概してネット要素の穴を通して、平ワイヤ(flat wire)を通すかまたは編むことによって保持される。しかしながら、ネット要素は、当該分野において公知の任意の適切な方法によって保持され得る。例えば、ネット要素は、スリーブのようにループの周りに巻きつくかまたはループに結びつけられ得る。さらにネット要素は、ネット要素が回収ネットの拡張および折り畳み中にループに対して正しい位置に保持されるように、つなぎ綱、アンカ、接着剤または類似のものによってワイヤに固定され得る。例えば、つなぎ綱またはアンカは、ループの遠位端および近位端にネット要素を固定するために用いられ得る。本発明の実施形態において、ネット要素の近位部分は、例えばストリングタイ(string tie)などのつなぎ綱またはアンカによって、2つのレッグ部分を一緒にして固定する接続部に隣接して取り付けられる。ネット要素の近位部分は、つなぎ綱またはアンカを用いて、2つのレッグ部分を一緒にして固定する接続部の近位側に取り付けられ得る。ネット要素の近位部分は、つなぎ綱またはアンカを用いて、少なくとも1つのレッグ部分の360度湾曲した部分に取り付けられ得る。ネット要素の遠位部分もまた、つなぎ綱またはアンカを用いて、ループ部分の360度湾曲した部分に取り付けられ得る。別の実施形態において、ネット要素の近位部分は、2つのレッグ部分を一緒にして固定する接続部を通ってネット要素の経路を定めることによって、レッグ部分に固定され得る。これらの接続部の滑らかなまたは湾曲した輪郭および大きさは、内腔の内壁における引きずりまたは摩擦を減少させ、ハンドルの動きとループまたは回収ネットの遠位端の動きとの間において本質的に1:1の比率を可能にする。
【0019】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の実施形態に従って構成される回収デバイス10の斜視図である。デバイス10は、保持ベースまたは細長い本体14を含む。本体14は、近位端においてリング16を含む。デバイス10はまた、2つのリング20を有するハンドル18を含む。ハンドル18は、本体14の内側部15の上に取り付けられ、示されるように本体に対してAの方向に、または反対の方向に可動である。例えば、オペレータは、リング20の各々に指を入れ、同じ手の親指を本体リング16に入れ得る。2つの指をAの方向に動かすことによって、オペレータは、本体14に対してハンドル18を動かし得る。反対に、ハンドル18は、オペレータの指をオペレータの親指の方に引くことによってAの反対の方向に滑らされ得る。
【0020】
デバイス10は、本体14に固定される第1の端部26と本体から遠く離れた第2の端部28とを有する細長い誘導器部材または管状部材24を含む。管状部材24および本体14は、デバイス10の移動部品のための固定された保持アセンブリである。管状部材24は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの非反応性低摩擦の柔軟性ある材料から形成される任意の適切な小径の管であり得る。デバイス10の遠位部分の断面図を示す図2に最も良く見られるように、管状部材24は、管状部材の第2の端部28にある開口部30を有する内腔を画定する。
【0021】
動作伝達リンク34は、ハンドル18に接続される。リンクは、中実のケーブル、中空の管、またはハンドル18からデバイスの他の部分に軸方向の動作を転送する任意の適切な細長い物体または物体の組み合せであり得る。リンク34は、ハンドル18に固定された第1の端部36と本体14から遠く離れた第2の端部とを有する。図面に示されるように、リンクは、実質的に管状部材24の内腔を通って延びる。リンクは、任意の適切な堅い材料から構成され得る。リンクは、単品、または例えば皮下管、スエージ接続部およびケーブルなどの一連の部品および接続部から形成され得る。
【0022】
なおも図1を参照すると、デバイスはまた、回収ネット50を含む。回収ネット50は、オペレータによって、ヒト被験者内から物体を捕捉しそして回収するために用いられる。回収ネット50は、ループ52またはループ部分と、ループに固定されるネット要素54とを含む。ネット要素54は、ネット要素の穴を通してループを通すかまたは編むことによって、ループ52によって保持される。しかしながら、ネット要素54は、当該分野において公知の任意の適切な方法によって、ループ52により保持され得る。さらに、本発明の実行において、様々なネット形状およびネットサイズが利用され得ることは、当業者に明らかである。
【0023】
図3および図4に示されるように、ネット要素54の遠位部分に配置されるつなぎ綱またはアンカ57aは、ループの遠位端53においてネット要素をループ52に固定する。本発明の実行に際して、他の遠位のつなぎ綱またはアンカ設計および遠位のネット固定方法が用いられ得る。
【0024】
検討されるように、回収ネット50は、2つの位置の間を動くように設計される。図1および図3は、展開位置における回収ネット50を示す。この位置において、回収ネット50は、長さLおよび幅Wを有する。図2は、デバイス10の遠位部分の断面図であり、管24内の格納位置の回収ネット50を示す。この位置において、回収ネット50は、Lよりかなり長い長さLを有する。図2に示されるように、回収ネット50は、管状部材内腔開口部30を通って展開および回収するために管24内に配置される。本体14に対してハンドル18を動かすことによって、回収ネット50は、配置位置または格納位置のいずれかの間に可動である。
【0025】
再び図3を参照すると、回収ネット50は、展開位置で示され、管24の第2の端部28の外側で完全に拡張される。ネット要素54は、図4において最も良く見られるように、例えばナイロンメッシュストリング56などの任意の適切な軽量材料から構成され得る。ネット要素54は、中央に位置する物体受容パウチ部58を有する。より詳細に検討されるように、捕捉された物体は、図7に示されるように、この区画内に置かれている。
【0026】
検討されるように、図3に示される回収ネット50は、ワイヤによって形成されるループ部分52を含む。回収ネットが展開されたとき、ループ52は、ネット要素54のための保持体として働く。ループ52は、ハンドル18のオペレータの動作によって、本体14に対して図2に示される折り畳み位置から図3に示される拡張位置に、弾力性をもって可動である。ループ52の遠位端53は、使用中にループの折り畳みに抵抗する構造を含む。
【0027】
ここで図4を参照すると、図1の指定された円形部分の分解斜視図が示される。示される実施形態において、ループ52は、例えば304ステンレス鋼などの弾力性のある材料から構成される平ワイヤによって構成される。ループ52は、300,000psiより大きい引張強度を有する材料から構成され得る。再び、本発明が種々様々な材料から構成されるループ52を用いて利用され得ることは、当業者にとって明らかである。
【0028】
図3および図4に示されるようなデバイス10は、物体がネット要素54内に保持されるかまたはデバイスが体の比較的窮屈な通路において用いられるとき、拡張を促進しかつ折り畳みを妨げるいくつかの特徴を含む。ループ52は、いくつかの、折り畳みに抵抗する湾曲60を含む。湾曲60の位置は、記憶点として働き、複数の展開を通してループ52によって保持される。これらの湾曲60は、ループ52が展開されたとき、多角形を形成するように構成される。示されるように、ループ52は、概ね六角形を形成する。物体がネット内に保持されるときか、またはネットが狭い通路内において物体を回収するとき、多角形は、より弾力性があり、折り畳まれる可能性が少ないと考えられる。図3に示される多角形が、例示的目的のためだけであり、本発明の実行時に、他の形状または例えば楕円形または円形などの非多角形が用いられ得ることは当業者によって理解される。
【0029】
図4に示されるように、ループ52は、ループの遠位端53に配置される360度湾曲した部分64をさらに含む。この湾曲した部分64は、物体が回収ネット50内に保持されるとき、折り畳みをさらに妨げるスプリング先端として働く。このスプリング先端はまた、展開中に多角形の線分65a、65bが離れたままであることを促進するように働く。この特徴は、例えば食道などの窮屈な通路において有益である。言及されたように、つなぎ綱またはアンカ57aは、ループ52の湾曲した部分64にネット要素54を固定する。
【0030】
いくつかの他の実施形態は、ループの遠位端の代替の形状および構造を含む。図5は、代替の形状の保持ワイヤの遠位端を示す。ループ52は、曲げられ、突き出た先端68を形成する。展開および使用中に多角形の線分69a、69bが離れたままであることをこの形状が促進すると考えられる。
【0031】
図6を参照すると、ループ52の遠位端の他の代替の構造の分解部分図が示される。図5に示される実施形態の場合のように、ループ52の遠位端は、突き出た先端68となるように曲げられる。スプリング先端68の上に、先端部キャップ部材70は、プレス嵌めされるか、または別の適切な技術によって接続される。先端部70は、プラスチックまたは任意の他の適切な材料から構成され得る。先端部70は、遠位端として、先端を貫通する開口部72を含む。示されるように、つなぎ綱またはアンカ57aは、開口部を通して設置され、そしてしっかり結ばれ、ループ52にネット要素54を固定する。より詳細に検討されるように、一実施形態において、対応するつなぎ綱またはアンカ57bは、回収ネット50の近位側にネット要素54を固定するために用いられ得る。つなぎ綱またはアンカ57bは、図14a〜図14bにしばりとして示される。示されるつなぎ綱またはアンカ57a、57bが例示的目的のためだけであること、および他のつなぎ綱またはアンカの技術および構造が本発明の実行において用いられ得ることは、当業者によって理解されるべきである。
【0032】
ここで図8図10を参照すると、様々なアセンブリステップ中の図4のデバイスの一部分が示される。ワイヤのループ52は、管24内におけるアセンブリの前の多角形形態で図8に示される。ワイヤは、デバイス10の近位端の方に戻るように延び、2つの隣接するまたはレッグの部分100および102を形成する。レッグ部分100、102は、例えば、溶接を用いるか、または該部分を一緒にしてクリンプもしくはねじるなどによって、該部分を一緒にして固定するのに十分な軸長Lを有する接続部104aによって互いに固定される。示されるように、レッグ部分100、102は、溶接部104aによって結合される。レッグ部分100、102は、溶接部104aを越えて長さLだけ延びる。2つのレッグ部分100、102の延長の長さは、長さLだけ食い違い得るが、この食い違いは必要ではない。2つのレッグ部分100、102の延長の長さの食い違いは、デバイスの製造時に2つのレッグ部分をケーブルに接続するスペースを与える。
【0033】
アセンブリの様々な段階のネット要素54が、図8図10に示される。図8において、ネット要素54が平ワイヤループ52の周りにちょうど編まれ始めているネット要素54が示される。目視目的のためだけに、図9においてネット要素54は、様々な位置で示される。ネット要素54が第1の位置にあるとき、ネット要素は外側縁106を有する。この第1の位置において、ネット要素54は、ループ52と協同的な形状である外側縁106を有するように示される。本発明の実行において様々なネット形状およびネットサイズが利用され得ることは、当業者にとって明らかである。外側縁106は、ネット要素がループ上に編まれる前のループ52に対してネット要素54のサイズを示す。
【0034】
第2の位置において、ネット要素54の外側縁はここで、線または外側縁108になる。第2の位置は、ネット要素54がループ52上に編まれた後のネット要素54を示す。見られ得るように、ネット要素54がループ52上に編まれた後に、ネット要素54の外側縁106はここで、ループ52により近い位置にある。この位置の変更は、受容パウチ58を作る。図9に示されるように、第2の位置または編まれた位置におけるネット要素54は、ループ52を超えて延びる外側周辺部分109を含む。図10に示されるように、この超過部分109は、最終アセンブリの前に、切り取られるか、またはさもなければ除去され得る。
【0035】
図10において、ネット要素54をループ52に固定する2つのつなぎ綱またはアンカが示される。図3および図4に関して以前に説明されたように、第1の遠位のつなぎ綱またはアンカ57aが示される。第2の近位のつなぎ綱またはアンカ57bが、示され、ネット要素54からレッグ部分100、102を互いに固定する接続部104aの近位側に延びる。第2の近位のつなぎ綱またはアンカ57bは、図14aおよび14bにおいてより詳細に示される。
【0036】
図11は、後のアセンブリステップが完了した後に示されるデバイスの正面図である。第1の接続部104aに近位の第2の接続部104bが示される。示されるように、第2の接続部104bは溶接部である。第2の接続部104bは、レッグ部分100、102をケーブル110に結合する。図12aに最も良く示されるように、レッグ部分100、102は、ケーブルを介して長さLだけ延ばされる。また、図8に示されるように、レッグ部分100,102は、食い違うようにされ得る。近位接続部104bのサイズおよび長さは、遠位接続部104aの長さと同じかまたは異なり得る。接続部104bは、ケーブル110とレッグ部分100、102との間の相互関連する軸方向の動きを維持するために適切な強度を持つ。図12bにおいて、熱収縮材料112の一部分は、接続部104bの上に示され、管状部材に対する損傷を防ぐ。
【0037】
ここで図13を参照すると、ケーブル110の近位端は、皮下管114の長さだけハンドルに対して軸方向に固定される。図13において、ケーブル110は、長さLを有するスエージ接続部116によって管114に固定されて、示される。管114は、長さLのスエージ接続部116を越えて遠位に延びる。スエージ接続部116は、管114とケーブル110との間の相互関連する軸方向の動きを維持するために適切な強度を持つ。図11に示されるように、管114およびケーブル110を含む動作伝達リンクの全長は、Lである。
【0038】
図14aは、管24の遠位部分28の拡大図である。示されるように、つなぎ綱またはアンカ57bは、ネット要素54の近位部分を固定し、ネット要素から溶接接続部104aの近位側に延びる。示されるように、この設計において、ループ52を閉じるかまたはループ52をケーブル110に固定する内部コネクタは何も用いられない。
【0039】
図14bは、管24の遠位部分28の別の拡大図である。示されるように、ワイヤのレッグ部分100、102の端部は、ケーブル110に接続される。しかしながら、ワイヤのレッグ部分100,102は、例えば、溶接を用いるか、または該部分を一緒にしてクリンプもしくはねじるなどによって、互に接続されるかまたは固定され得るが、これらは図示されていない。図14bにおいて、つなぎ綱またはアンカ57bは、ワイヤのレッグ部分102の360湾曲部分192にネット要素54の近位部分またはテール部分を固定する。湾曲部分がワイヤのレッグ部分のいずれかまたは両方に含まれ得ることは、当業者にとって明らかである。
【0040】
図1図14bに示される例示的デバイスにおいて、管114、ケーブル110、およびその接続部は、軸方向に接続し、伝達リンク34を形成する。しかしながら、要素の他の組み合わせは、可能である。
【0041】
本発明の別の実施形態に従うネット要素254は、図15に示される。示されるように、ネット要素254は、図16に示されるデバイス200のループ部分252と協同的な形状である外側縁206を有する。本発明の実行において、様々なネット形状およびネットサイズが利用され得ることは、当業者に明らかである。縁206は、ネット要素がループ上に編まれる前のループ252に対してネット要素254のサイズとして示される。さらに示されるように、ネット要素254の近位部分は、テール部分290を含む。考察されるように、テール部分290は、ネット要素254をワイヤに固定するために用いられる。
【0042】
図16図18は、本発明の別の実施形態に従うデバイス200を示す。図16に示されるように、デバイス200は回収ネット250を含む。回収ネット250は、ループ部分252を形成するワイヤと、2つの隣接するレッグ部分201、202と、ループ部分に固定されるネット要素254とを含む。ネット要素254は、ネット要素の穴を通して、ワイヤを通すかまたは編むことによって、ループ部分252によって保持される。図16に示されるように、ネット要素254の遠位部分に配置されるつなぎ綱またはアンカ257aは、ループの遠位端53においてネット要素をループ252に固定する。
【0043】
デバイス200の回収ネット250は、2つの位置の間を動くように設計される。図16は、展開位置における回収ネット250を示す。図17および図18は、デバイス200の遠位部分の断面図であり、展開位置(図17)および管224内の格納位置(図18)における回収ネットのループ部分252を示す。図18に示されるように、回収ネットは、管状部材内腔開口部を通って展開および回収するために管224内に配置される。本体214に対してハンドル218を動かすことによって、回収ネット250は、配置位置または格納位置のいずれかの間で可動である。
【0044】
再び図16および17を参照すると、回収ネット250は、展開位置で示され、管224の第2の端部228の外側で完全に拡張される。ネット要素254は、例えばナイロンメッシュストリングなどの任意の適切な軽量材料から構成され得る。ネット要素254は、中央に位置する物体受容パウチ部258を有する。さらに、示されるように、ネット要素254の近位部分は、テール部分290を含む。
【0045】
図16図18に示されるように、ワイヤは、デバイス200の近位端の方に戻るように延び、2つの隣接するレッグ部分200および202を形成する。レッグ部分201、202は、2つの接続部204a、204bによって互いに固定される。示されるように、レッグ部分201、202は、2つの溶接部によって結合される。しかしながら、レッグ部分201、202は、例えば該部分を一緒にしてクリンプもしくはねじるなどの当該分野において公知の任意の適切な方法によって互に固定され得る。
【0046】
図16図18に示されるように、ネット要素254のテール部分290は、接続部204a、204bの間に経路を定められて、ネット要素の近位部分をワイヤに固定する。そのようなものとして、ネット要素254のテール部分290は、接続部204a、204bおよび2つのレッグ部分201、202によって画定される開口部292内において、固定されるか、または締めつけられる。接続部204a、204bの間にネット要素254の近位部分を固定することは、回収デバイスを製造するコストおよび複雑性を減少させる。さらに、ネット要素の近位部分を固定するためにつなぎ綱またはアンカは何も用いられないことは、ネット要素がつなぎ綱接続点において破れるか、またはつなぎ綱もしくはアンカ自体が引き裂かれる機会を減少させる。
【0047】
さらに、図17図18に示されるように、ネット要素254のテール部分290は、ケーブル210へのレッグ部分201、202の接続部204cを少なくとも部分的に囲む。ネット要素254のテール部分290はまた、ハンドル218が起動されたとき、管224の遠位端228の方へのケーブル210の移動に対して減衰効果を提供する。このことはまた、ネットおよびケーブル210の展開に対してより多くの制御を提供し、回収ネットが展開位置にあるとき、管状部材224の開口部を出るデバイスの部分を制御する。ネット要素254のテール部分290のメッシュはまた、管状部材224内においてワイヤのレッグ部分201、202およびケーブル210を中心に置くことを助ける。ネット要素254のテール部分290のメッシュはまた、接続部204a、204b、および204c、および管状部材224の内側に対する損傷を防ぐ。
【0048】
デバイスを用いる例示的な手術において、患者は内視鏡を用いて挿管される。デバイス10は、挿管前または挿管後のいずれかにおいて、内視鏡の器具導管内を通って挿入される。デバイスは、回収ネットが格納位置における状態で挿入される。内視鏡の光学機能を利用する外科医またはオペレータは、除去する物体を識別する。物体の識別後、外科医またはオペレータは、ベースに対してハンドルを動かし、回収ネットを展開位置に展開する。外科医またはオペレータは、さらなる内視鏡ツールの使用を含む様々な技術のうちの1つによって受容パウチの中に物体を操作して入れる。例えば、外科医またはオペレータは、物体の上部の上に係蹄を操作し、ネットを閉じ得るか、または物体の下に係蹄を操作し、ネットを閉じ得る。さらに外科医またはオペレータは、デバイスの横方向の安定性に依存してネットをスコップとして用い得る。一旦物体がパウチ内に入ると、外科医またはオペレータは、本体に対してハンドルを操作し、物体の周りにネットをわずかに閉じる。図7は、図4に示されるデバイスの遠位部分の斜視図であり、回収ネット内に捕捉された食物塊を示す。この位置において、ループは、物体80がパウチ部58内に保持されている拡張構成を保持する。外科医またはオペレータは、ループをさらに閉じ、食物塊を確保または保持する。内視鏡はここで、先行デバイスと比較して食物塊の紛失の危険性が大幅に減少されて、患者から取り外され得る。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態がかなり詳細に示されかつ説明されたが、本発明が開示された正確な構造に限定されるとは考えられるべきではない。本発明の様々な改造、修正および使用法は、本発明が関係する当業者に思いつかれ得る。本明細書と共に出願される特許請求の範囲の範囲または精神内に入るすべてのそのような改造、修正および使用法を含むことが意図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18