(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記刺激を加えることが、熱エネルギーを、ディスク表面からの前記トランスデューサヘッドの接近点の近接を変化させるように構成される熱膨張デバイスに加えることを更に含む、請求項2に記載の方法。
前記トランスデューサヘッドのための接近点設定を決定することを更に含み、前記接近点設定が、前記トランスデューサヘッドの接近点を前記ディスク表面に接触させる、前記トランスデューサヘッドの膨張デバイスの前記設定である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
前記アクティブ浮上高設定を前記決定することが、プロセッサを使用して、メモリ内に記憶された前記収集されたサンプルから前記アクティブ浮上高設定を決定することを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
近接センサから収集された前記サンプルをデジタル化するように構成されるデジタイザと、前記デジタル化されたサンプルを記憶するように構成されるメモリと、を更に含む、請求項11に記載の装置。
前記プロセッサが、前記4つの分解された信号エネルギー関連パラメータのうちの少なくとも1つの値における変化に基づいて、前記アクティブ浮上高設定を決定するように更に構成される、請求項14に記載の装置。
前記プロセッサが、前記4つの分解された信号エネルギー関連パラメータのうちの少なくとも1つの一次当てはめ残差における変化に基づいて、前記アクティブ浮上高設定を決定するように更に構成される、請求項14に記載の装置。
前記プロセッサが、前記ディスクの半回転未満中に収集されたサンプルから、前記トランスデューサヘッドのための前記アクティブ浮上高設定を決定するように構成される、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の実装は、ディスクドライブシステムの関連において本明細書に開示される。しかしながら、技術は、ディスクドライブシステムに限定されず、他のデータストレージデバイスに、ならびに他の摩擦学的および技術システムに容易に提供され得ることが理解されるべきである。ディスクドライブシステムは、ストレージ媒体からのデータを読み取り、書き込む、書き込みセンサ、読み取りセンサ等を含む、トランスデューサヘッドを使用する。かかるトランスデューサヘッドは、トランスデューサヘッドを媒体の表面の至近に移動させる、アクチュエータアセンブリ上で実装されてもよい。トランスデューサヘッドとストレージ媒体の表面との間の距離は、浮上高(fly height)または浮上高(flyting height)と称される。浮上高が高すぎる場合、それは、データ読み取りおよび書き込みの良好でない品質をもたらし、他方で、浮上高が低すぎる場合、それは、トランスデューサヘッドがストレージ媒体に突き当たり、損傷する可能性をもたらす。したがって、トランスデューサヘッドの浮上高は、信号品質とトランスデューサヘッドへの物理的損傷の可能性との間の適切なトレードオフを決定するように較正される。ディスクドライブの一実装形態において、浮上高は、トランスデューサヘッドの媒体表面への接近点の近接を変化させる信号によって、アクティブに制御される。例えば、この制御は、トランスデューサヘッドの接近点をディスク表面により接近して突出させるであろう、電気抵抗ヒーターをトランスデューサヘッド内に埋め込むことである。
【0008】
ディスクドライブシステムを較正するためには、ディスクの多くの回転(例えば、16〜25回転)が必要とされ得る。これは、トランスデューサ(例えば、トランスデューサヘッド)へのおよび/またはディスクへの損傷を引き起こし得る。かかる損傷は、トランスデューサヘッドおよびディスクがかかる較正中に互いに接触するようになることに起因して生じ得る。本明細書に記載されるある特定の実装において、トランスデューサヘッドおよびディスクが較正中に互いに接触する時間の量は、相当低減され得る。かかる実装は、トランスデューサヘッドをディスクに一層接近するように押し、データサンプルを近接センサから取ることによって遂行することができる。
【0009】
近接センサの一例は、ディスク表面に接触するときに抵抗の変化を示す、トランスデューサヘッドの隣に位置するデバイスである。抵抗の変化は、近接センサがディスク表面と擦れ合うときのその増加した温度によって引き起こされ得る。このようにして、近接センサは、センサのディスク表面への近接、近接センサを流れる電流の形で測定され得る抵抗の変化の形での近接センサとディスクヘッドとの間の接触の数、近接センサを通した電圧、または近接センサの何らかの他のパラメータにおける変化に基づく、データサンプルを生成する。データサンプルは、かかる抵抗の変化等を表すアナログ信号の形であってもよい。一実装形態において、かかるアナログ信号は、多数のデジタルデータ値に変換され、更なる処理のために、ディスク制御装置によって使用されるプロセッサ等のプロセッサに送信される。例えば、プロセッサは、デジタルデータサンプル内のパターン等を分析してもよい。
【0010】
プロセッサは、デジタルデータサンプル内のパターンを分析してもよい。例えば、プロセッサは、近接センサによって提供されるデジタルデータサンプルを処理するために適応型離散ウェーブレット変換(ADWT)と称される数理的処理技法を使用して、ADWTパラメータマトリクスを生成することができる。一実装形態において、プロセッサは、ADWTプロセスを使用して、近接センサによって提供される数千のデジタルデータ値を、トランスデューサヘッドの各位置に対して、単純に4つのパラメータ値(Param_1、Param_2、Param_3、およびParam_4と称される)に変換する。トランスデューサヘッドが較正ルーチン中にディスク表面の方へ一層押されるにつれて、トランスデューサヘッドの種々の位置に対する4つのパラメータの新たな組を集めることができる。
【0011】
トランスデューサヘッドがディスク表面の方へ降下する較正ルーチン中に、4つのパラメータは、トレンドラインを示す。トランスデューサヘッドとディスクの記録媒体との間の接触は、4つのパラメータのうちの1つ以上がそれらのそれぞれのトレンドラインから突然逸脱するときに決定される。一実装形態において、トランスデューサヘッドとディスクの記録媒体との間の接触は、全ての4つのパラメータがそれらのそれぞれのトレンドラインから突然逸脱するときに決定される。トランスデューサヘッドは、このプロセス中に、例えば、ヒーターが電気的、光学的等で制御され得るトランスデューサヘッド中に組み込まれたヒーター等の熱膨張デバイスによって、記憶媒体に一層接近するように押すことができる。一実装形態において、熱膨張デバイスは、媒体に面しているトランスデューサヘッドの表面を膨張させるために、トランスデューサヘッドの内側に組み込まれる。代替的に、熱膨張デバイスは、トランスデューサヘッドを収容しているトランスデューサヘッドアセンブリに組み込まれてもよい。熱膨張デバイスが加熱されるにつれて、それは、膨張し、トランスデューサヘッドを記録媒体に一層接近するように押す。このようにして、熱膨張デバイスを制御することによって、トランスデューサヘッドの位置を、ディスクに対して変化させることができる。
【0012】
一旦、トランスデューサヘッドとディスクとの間の接触が確立されると、接触を引き起こした熱膨張デバイスの設定がメモリ内に記憶される。この設定は、それがトランスデューサヘッドをディスクに接触させた設定であるので、接近点設定と称され得る。また、トランスデューサヘッドのためのアクティブ浮上高(fly height)設定(浮上高(flying height)設定とも称される)は、トランスデューサヘッドをディスクの表面から所望の量(例えば、10ナノメートル)だけ後退させることによって、トランスデューサヘッドが動作中に、接触を引き起こすことなくディスク上部で浮上し得るように、設定することができる。
【0013】
一実装形態において、トランスデューサヘッドがディスクから後退させられる距離を制御するために、熱膨張デバイスのための設定が使用される。例えば、トランスデューサヘッドがディスクから後退させられる距離を減少させるために、温度を増加させるために熱膨張デバイスに適用されるエネルギーが低減される。ADWTパラメータは、プロセッサがこの較正ルーチンを容易に行うことを可能にするので、トランスデューサヘッドおよびディスクが接触するようになる非常に限られた時間枠の中でデータを集めながら、較正を行うことができる。このようにして、プロセッサによるADWTパラメータのより高速の処理は、トランスデューサヘッドとディスク表面との間の接触時間を低減する。かかるより高速の処理および低減された接触時間はまた、ディスクの1回転未満のうちに接触データが収集されることも可能にする。代替的に、後の処理のための大量のデータサンプルの迅速な採集、およびデータサンプルを処理するための適応型離散ウェーブレット変換(ADWT)の使用は、トランスデューサヘッドとディスク表面との間の接触時間における相当な低減をもたらす。
【0014】
図1は、本明細書に開示されるアクティブ浮上高を決定するための種々の方法およびシステムを利用する、ディスクドライブ100の実施例の実装を例示する。しかしながら、記載される方法およびシステムはまた、連続磁気媒体、ビット・パターン化媒体等を含む、他の摩擦学的システムおよび他の種類のストレージ媒体と共に用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0015】
ディスクドライブ100は、動作中にスピンドル中心またはディスク回転軸104を中心として回転するディスク102を含む。ディスク102は、幾つかの同心円のデータトラック110が間に存在する内径106および外径108を含む。情報は、異なるデータトラック110におけるディスク102に書き込まれ、そこから読み取られてもよい。トランスデューサヘッド124は、アクチュエータ回転軸122に遠位の端部でアクチュエータアセンブリ120上に搭載され、トランスデューサヘッド124は、ディスク動作中、ディスク102の表面上部の至近に浮上する。アクチュエータアセンブリ120は、シーク動作中に、ディスク102に隣接して位置付けられるアクチュエータ回転軸122を中心として回転する。シーク動作は、トランスデューサヘッド124をデータトラック110のターゲットデータトラックの上に位置付ける。
【0016】
組立分解
図140は、拡大されたヘッド154としてトランスデューサヘッド124(正確な縮尺ではない)を例示する。一実装形態において、トランスデューサヘッド154は、ディスク102が実質的に円周方向に回転するとき、ターゲットデータトラックに沿って進行する。トランスデューサヘッド154は、電流、光エネルギー等の形で提供されるエネルギーに基づいて膨張または収縮し得る、熱膨張デバイス156を含む。一実装形態において、熱膨張デバイス156は、トランスデューサヘッド154の書き込み極(図示せず)の後ろに位置付けられる。代替的に、熱膨張デバイス156はまた、トランスデューサヘッド154における他の場所で実装されてもよい。
【0017】
熱膨張デバイス156の膨張は、トランスデューサヘッド154の接近点を、位置160(実線により示される)から位置162(破線により示される)へと移動させる。同様に、膨張デバイス156の収縮は、接近点を、位置162から位置160へと移動させる。トランスデューサヘッド154はまた、トランスデューサヘッド154がディスク102の表面に接触するときを決定することができるように、近接の読み取りが間接的に得られることを可能にする、熱抵抗温度センサ等の近接センサ158も含む。近接センサ158は、例えば、記録媒体との接触によって引き起こされる抵抗の変化を検出することによって、トランスデューサヘッド154と記録媒体との間の接触を決定することができる。代替的に、接触は、トランスデューサヘッドの読み取りセンサ(図示せず)の読み取り信号における変化に基づいて検出することができる。なおも代替的に、接触からもたらされるディスク回転速度における変化を使用して、接触を決定してもよい。
【0018】
浮上高較正ルーチンの一実装形態において、トランスデューサヘッドの接近点は、軽度のヘッド・媒体間接触が作り出されるまで、媒体表面の方へ駆動することができる。これは、熱膨張デバイス156を使用して、トランスデューサヘッド154の接近点を媒体表面により接近するように押すことによって行うことができる。このようにして、ディスクに対するトランスデューサヘッド154のアクティブ浮上高クリアランスは、トランスデューサヘッド154の接近点とディスク表面との間の接触を最初に確立し、次いでトランスデューサヘッド154の接近点を接触点から後退させることによって設定することができる。アクティブ浮上高は、トランスデューサヘッドの接近点が記憶媒体の方へ押し出されるか、または記録媒体から離れて退避させられるように、ヒーターによって引き起こされる熱膨張の量を変化させることによって制御することができる。アクティブ浮上高の調整は、ドライブ寿命を増加させ、ビット誤り率特性を改善することができる。
【0019】
上に開示される実装は、ヘッドとディスクとの間の接触時間における低減を可能にし、後の処理のための大量のデータサンプルの迅速な採集、およびデータサンプルを処理するための適応型離散ウェーブレット変換(ADWT)の使用によって容易にされ得る。かかる実装を使用して、ディスクドライブが最初に製造されるときの較正時間を減少させ、それによって製造業生産高を増加させてもよい。代替的な実装において、自己調整性接触検出が使用されてもよく、それにより、ディスクドライブが最初に製造されるときの、ならびにディスクドライブが実地で使用される後の時点での、高速のオンデマンド型測定を行うことができる。かかる実装において、浮上高設定は、オンデマンド接触検出測定に基づいて動的に調整され、かかる動的調整は、ディスクドライブが販売された後に、それが再較正されることを可能にする。例えば、ドライブのビット誤り率特性が劣化する場合、ディスクドライブは、実地で再較正することができる。これは、ディスクドライブシステムの寿命時間および/または性能を改善する一助となる。
【0020】
一実装形態において、適応型離散ウェーブレット変換(ADWT)プロセスは、ヘッド・ディスク近接検出のためにハードディスクドライブプロセッサによって使用されてもよい。ADWT技法は、様々な信号源と共に使用されてもよい。例えば、ヘッド・信号振幅変調、ヘッド・信号調和比、および音響センサ等の、他のセンサまたは利用可能な信号からのデータサンプルが、ヘッド・ディスク近接検出のために使用され得る。例えば、熱補助型磁気記録(HAMR)ハードディスクドライブにおいて、反射レーザーパワーを表す信号が、ヘッド・ディスク近接検出のための入力信号としてプロセッサによって使用される。
【0021】
ADWTを用いて作業することの1つの課題は、ディスクドライブの制御装置ASICにおいて余分なハードウェアを追加することなく、サンプリングされる相当大量のデータ点(データサンプル)を収集および処理することである。この課題は、一実装形態において、プロセッサ上で同期式シリアルインターフェース(SSI)を利用することによって対処されてきた。SSIインターフェースは、非常に高いデータ伝送速度で動作する。したがって、SSIインターフェースと共に構成されるプロセッサは、サンプリングプロセスから出力されるデータサンプルのストリームを受信することが可能である。サンプルは、後の処理のために、例えば、フラッシュメモリ上に記憶されてもよい。
【0022】
例えば、プロセッサは、熱膨張デバイスがトランスデューサヘッドの接近点をディスク表面により接近して移動させるとき、近接センサからアナログデータをサンプリングすることができる。これらのアナログサンプルは、デジタイザ(例えば、アナログ・デジタル変換器(ADC))によって変換され、メモリ内に記憶され得る。サンプルが収集される間、データが処理される必要はない(例えば、ADWT計算を介して)。むしろ、データは、ドライブ上のメモリ内に記憶され、次いで後の時点で処理されてもよい。データサンプルを記憶するかかるメモリは、ディスクドライブ上、ホストデバイス上、または高データ転送速度で処理するためにプロセッサによってアクセスされる任意の他の場所で実装されてもよい。後の処理のためのかかるデータサンプルの記憶は、プロセッサがサンプルを単に得ることができるように、データ収集中にプロセッサへのリアルタイムデマンドを低減する。
【0023】
図2を参照すると、一実装形態における回路の実施例を見ることができる。サーボ制御装置1は、ボイスコイルおよび2段階アクチュエータ2を制御するように示される。前値増幅器3を使用して、サーボ制御装置コマンドをトランスデューサヘッド4のためのアナログ入力/出力へと変換する。トランスデューサヘッド4は、トランスデューサヘッド4の接近点を位置7aと7bとの間で移動させるための1つ以上の熱膨張デバイス5を含む。接近点は、接触が生じるときにディスク13と接触する、トランスデューサヘッド4上の位置である。
【0024】
一旦、トランスデューサヘッド4のための接近点設定が決定されると、所望のアクティブ浮上高設定が選択され得る。アクティブ浮上高設定は、例えば、トランスデューサヘッド4の接近点の記録媒体との接触を最初に確立させ、次いでトランスデューサヘッド4の接近点を既定の量だけ後退させることによって(例えば、接近点位置を10ナノメートルだけ後退させることによって)、選択され得る。
【0025】
近接センサ6は、
図2において、トランスデューサヘッド4中に一体化されているように示され、例えば、接触中のヘッド・ディスク間インターフェース(HDI)変調変化を感知するために使用される。近接センサは、近接センサのディスクとの接触によって引き起こされる熱に起因して抵抗が変化する、抵抗素子であり得る。代替的に、近接センサ6は、接触からもたらされるディスクの速度における変化等の他の方法を使用して、トランスデューサヘッドの接近点と媒体表面との間の接触を検出してもよい。
【0026】
デジタイザ8を使用して、近接センサからのデータを変換し、データをプロセッサ10において適応型離散ウェーブレット変換(ADWT)モジュール9に出力してもよい。一実装形態において、アナログ・デジタル変換器は、Texas Instruments ADS7887である。プロセッサ10は、DRAM等のメモリを含んでもよい。ADWTモジュール9は、デジタル化された波形サンプル等の、それが受信するデータを即座に処理してもよく、またはそれは、データを後処理のためにDRAMメモリ等のメモリ内に記憶してもよい。データサンプルを記憶し、次いでデータサンプルを後の時点で処理すると、プロセッサ10上の負荷は、データ収集段階中に低減される。
【0027】
一実装形態において、ADWTモジュール9は、デジタル化された波形サンプル等のデータサンプルを処理して、ADWTプロセスを使用して4つのADWTパラメータを生成することができる。判断ブロック11は、4つのADWTパラメータが、接触が宣言され得ることを示しているかどうかを決定する。ADWTプロセスを使用して、デジタル化された波形点を4つのADWTパラメータに変換することは、数千の係数ではなく、4つのパラメータを用いて作業することを可能にする。多数のデータサンプルのこの単純な4つのADWTパラメータ表現は、プロセッサ10において、ADWTモジュール9および接触判断ブロック11として管理可能であり、実装が簡便である。
【0028】
一実装形態において、次の一連のステップは、接触検出のために
図2における回路と共に使用することができる。最初に、サーボ制御装置1は、コマンドを、熱膨張デバイス5に、前値増幅器3を介して発行することができる。前値増幅器3は、熱膨張デバイス5に送信されるべき適切な量のエネルギーを生成する。熱膨張デバイス5は、突出した接近点形状7bによって示されるように、トランスデューサヘッドの接近点7をディスク表面により接近して押す。近接センサ6は、熱膨張デバイス5へのエネルギーバースト送達と同期させることができる。前値増幅器3は、アナログ信号事前調整回路(図示せず)を使用して近接センサ6によって生成される信号またはデータサンプルを取得する。一実装形態において、アナログ信号事前調整回路は、ヘッド・ディスク間インターフェース変調を捕捉するように帯域幅が同調された、帯域通過フィルタを使用することによって、受信された信号を増幅および帯域制限することができる。
【0029】
デジタイザ(アナログ・デジタル変換器)8は、近接センサ6からの調整されたアナログ信号をデジタル化する。一実装形態において、デジタイザ8は、調整されたアナログ信号を、例えば、1秒当たり100万サンプル以上の速度でのサンプリングレート等の、高いサンプリングレートでサンプリングすることができる。サンプリングは、熱膨張デバイス5が作動させられるのと同時に開始し得る。ADWTモジュール9は、サンプルデータ点に対してADWTを行う。このADWT動作は、4つのADWTパラメータのマトリクスをもたらす。パラメータのマトリクスは、判断ブロック11に送信され、それは、4つのADWTパラメータマトリクスを接触イベントとしてまたは非接触イベントとして分類するために、プログラミングされた論理規則を適用することができる。
【0030】
判断ブロック11が接触イベントを決定する場合、対応する熱膨張エネルギー設定が記録され、メモリ等のパラメータストレージ12内に記憶される。代替的には、接触を引き起こした熱膨張エネルギー設定の直前に使用された熱膨張エネルギー設定が、メモリ内に記憶される。接触が何ら検出されない場合、熱膨張エネルギーを増大するための新たなコマンドがサーボ制御装置1に発行される。プロセス全体を反復的に繰り返して、反復プロセスに基づく4つのパラメータに対するトレンドラインを生成することができる。
【0031】
デジタイザ8は、アナログの近接プローブ信号を、例えば、少なくとも8ビット解像度により、1秒当たり100万サンプル以上のサンプリングレートでデジタル化することができる。デジタイザ8の多数のデータ点の捕捉動作は、熱膨張デバイス5の動作と同期させることができる。一実装形態において、ADWTモジュール9は、ハードディスクドライブ制御装置内のプロセッサ等の、非線形関数および統計学的枠組みによって強化され、論理回路によって実装される、離散ウェーブレット変換(DWT)計算機である。ヘッドディスクインターフェース変調を表す数千のDWT係数の全集合は、4つのADWTパラメータによって表現することができる。
【0032】
図2に示されるADWTモジュール9は、3つの段階で実装することができる。第1の段階は、反復的DWT分解を行うことができ、そこで信号は、下位レベルへと分解され、DWT係数によって表現される。時間ドメインtにおける監視された信号s(t)の冗長のないDWT表現は、次のように表現することができ:
【0034】
式中、ψは、基底関数である。離散した拡張は、形式2kの値をとり、式中、kは、整数である。任意の拡張2kで、並進パラメータは、形式2klの値をとることができ、式中、lは、整数である。(k、l)の実際の値は、次の離散ウェーブレットW(a、b)係数である:
【0036】
これは、離散スケールの連続した値および対応するサンプリングが2の倍数だけ異なる、いわゆる2進サンプリンググリッド上のサンプリング座標(a、b)に対応し、このようにして、コンピュータ符号を介した効率的実装が可能となる。2次元数列d(k、l)は、離散ウェーブレット変換と称される。拡張および並進動作について周波数および時間を割り当てることができ、この数理的方法を実用性のあるものとしている。信号についてのリフティングスキームを介するコンパクトなDaubechies 4次DWT基底関数ψの実装は、次のように表現することができる:
【0038】
式中、nは、信号sのデータ点の数である。方程式3から観察することができるように、近似係数またはローパスcA係数は、偶数信号sサンプルから導出される一方で、詳細係数またはハイパス係数cDは、奇数サンプルをより分けることによって得られる。
【0039】
時に「エネルギー推定」と称される、ADWTモジュールの第2段階は、ADWTモジュールの第1の段階と相互作用し、そこで各々の下位レベルのDWT係数が、エントロピー最小化プロセスによってより分けられる。選択された合成レベルmでの信号エントロピーE(s)は、次のように計算することができる:
【0041】
ゼロ付近のエントロピーADWTレベルは、更なる計算から除外される。ADWTモジュールの3段階目は、「波形評価パラメータ」と称され得、そこでDWT係数の分布がエントロピー形で表現され、積分および微分パラメータを介して表される。WT正規直交性をそのエントロピー測定に適用することにより、次の表現を得る:
【0043】
このようにして、DWT係数エントロピー関数の積分および微分パラメータは、次のように表現することができる:
【0045】
式中、Param_1およびParam_3は、平方の近似および詳細DWT係数のエントロピー値の合計である。Param_2およびParam_4は、平方の近似および詳細DWT係数のエントロピーの範囲である。見ることができるように、4つのADWTパラメータ(方程式6〜9)によるこのコンパクトな波形の表現は、HDI変調動力学を含み、ヘッド・媒体接触を宣言するために使用することができる。
【0046】
ヘッド・媒体接触が生じるときを決定する1つの方法は、使用された各々順次の熱膨張エネルギー値について決定された、4つのADWTパラメータの進行をトラッキングすることによるものである。4つのパラメータの各々の振幅が、各々それぞれのADWTパラメータについてのそれぞれのベースライントレンドを突然超えるとき、それは、トランスデューサヘッドの接近点とディスク表面との間に接触が生じていることを示す。例えば、熱膨張デバイスエネルギーについて4つのADWT値が決定されるとき、接触検出は、次のことによって示される:(1)Param_1値が、事前に決定されたParam_1値のベースライントレンドを超えている、(2)Param_2値が、事前に決定されたParam_2値のベースライントレンドを超えている、(3)Param_3値が、事前に決定されたParam_3値についてのベースライントレンドを超えている、および(4)Param_4値が、事前に決定されたParam_4値についてのベースライントレンドを超えている。代替的に、かかる接触検出は、4つ全てより少ないパラメータが、各々それぞれのADWTパラメータについてのそれぞれのベースライントレンドを突然超えていることによって示されてもよい。トランスデューサヘッドの接近点とディスクとの間に接触が生じていることが検出されると、トランスデューサヘッドの接近点とディスクとの間に接触を生じさせた熱膨張エネルギー設定は、パラメータブロック12内に記憶させることができる。代替的には、接触が検出された直前に使用された熱膨張エネルギー設定が、メモリ内に記憶される。
【0047】
ADWT技法は、高速フーリエ変換(FFT)技法と比較して有利である。これは、ADWTのフレキシブルなサンプリングウィンドウおよび低い信号対雑音比処理能力に起因する。低い信号対雑音比信号に応答することが可能であることは、熱アシスト磁気記録技術のために価値が高い。
【0048】
図3は、アクティブ浮上高設定を決定する方法についてのフローチャート300を例示する。サーボ制御装置動作302は、熱膨張デバイスに対するコマンドを生成する。コマンドは、コマンドが発行されるときにタイムスタンプと一緒にメモリ内に記憶される。その後、動作304は、前値増幅器を使用してエネルギーバーストを生成し、エネルギーバーストを熱膨張デバイスに提供する。熱膨張デバイスの構造に応じて、エネルギーバーストは、電気信号エネルギーバースト、光エネルギー信号等の形態であってもよい。エネルギーバーストは、熱膨張デバイスがトランスデューサヘッドの接近点をディスク表面により接近して移動させるようにする。
【0049】
動作306は、トランスデューサヘッド上に構成される近接センサからの近接センサ信号を取得する。一実装形態において、近接センサ信号は、変化または抵抗信号の形態のアナログ信号であってもよい。代替的に、近接センサ信号は、ディスク等の速度の変化を表す信号であってもよい。近接センサ信号は、調整回路と通信されてもよく、近接センサ信号が収集されたときのタイムスタンプは、メモリ内に記憶されてもよい。近接センサ信号は、動作308によって調整およびデジタル化される。例えば、ADCモジュールは、近接センサ信号のアナログ形態を非常に高い速度でサンプリングして、近接センサ信号のデジタル化形態を生成してもよい。
【0050】
動作310は、近接センサ信号のデジタル化形態を使用して、ADWTパラメータマトリクスを生成する。一実装形態において、ADWTパラメータマトリクスは、本明細書に開示される方程式6〜9による、4つのADWTパラメータ、つまり、Param_1、Param_2、Param_3、およびParam_4を含んでもよい。ADWTパラメータは、メモリ内に記憶される。動作312は、ADWTパラメータを分析して、トランスデューサヘッドの接近点とディスク表面との間に接触が生じたかどうかを決定する。一実装形態において、かかる接触は、全ての4つのパラメータがそれらのそれぞれのベースライントレンドを超える場合に決定される。このようにして、分析動作312は、トレンドラインをリアルタイムで生成し、ADWTパラメータ現在の値をトレンドラインと比較してもよい。代替的な動作においては、4つ全てより少ないADWTパラメータを使用して、接触を決定する。
【0051】
記憶動作は、トレンドラインデータおよび接触検出データを、接触が検出される時間と一緒に記憶する。かかるデータは、エネルギーバーストが熱膨張デバイスに提供されるとき、近接センサデータが収集されるとき等を表す、データと一緒に記憶されてもよい。かかる記憶されたデータうちの1つ以上が、動作316によって使用されて、ディスクドライブのための浮上高設定が決定される。一実装形態において、動作316は、ディスクの単回未満の回転中に収集されたデータサンプルを使用して、トランスデューサヘッドのためのアクティブ浮上高設定を決定する。4つのADWTパラメータは、ディスクの1回転未満中に十分なサンプルが集められ得るように、データの解釈が行われることを可能にする。これは、他の手法がハードディスクドライブを較正するために16〜25回転ほど多くを必要とする場合がある点で関連性がある。
【0052】
次に
図4Aおよび4Bを参照すると、フローチャート400を見ることができる。フローチャート400は、ハードディスクドライブ等のデバイスのためにアクティブ浮上高設定を決定することについての詳細例を例示する。動作ブロック402において、近接センサを使用して、データサンプルが集められる。かかるデータサンプルは、ディスク表面に対するトランスデューサヘッドの接近点の近接を表す、アナログ信号の形であってもよい。ブロック404で、近接センサデータサンプルは、調整回路およびADC回路を使用して処理される。例えば、データサンプルを、1秒当たり100万サンプル以上の速度でサンプリングして、デジタル化されたデータサンプルを生成することができる。動作ブロック406において、データサンプルがメモリ内に記憶される。DRAM等のメモリデバイスを使用して、高い入力速度でのストレージのためにデータを受信することができる。ブロック408において、適応型離散ウェーブレット変換プロセスを使用して、サンプリングされたデータを評価してもよい。ブロック410は、少なくとも1つの適応型離散ウェーブレット変換を使用して、収集されたサンプルを、4つの分解された信号エネルギー関連パラメータへと変換し得ることを示す。
【0053】
図4Bのブロック412において、4つの分解された信号エネルギー関連パラメータを使用して、接近点設定を決定してもよい。接近点設定が決定されると、ブロック414は、アクティブ浮上高設定が決定され得ることを示す。例えば、トランスデューサヘッドの接近点(ときにトランスデューサヘッドと称される)は、接近点設定を確立するためにディスクと接触させることができ、それから次いで、トランスデューサヘッドの接近点は、ディスクから既定の量だけ離れて退避させることができる。ブロック416および418において、トランスデューサヘッドのためのアクティブ浮上高設定は、熱膨張デバイスの膨張のためのより短い持続期間中でなくても、収集されたサンプルから決定することができる。例えば、決定は、ディスクの完全な1回転未満にわたってアクティブな膨張デバイスにより収集されたデータから行うことができる。別の実施例として、決定は、ディスクの2分の1回転未満にわたってアクティブな膨張デバイスにより収集されたデータから行うことができる。
【0054】
本明細書に記載されるプロセスが、例えば、新たに製造されたハードディスクドライブを較正するのに特に有用であり得る一方で、プロセスはまた、一旦、デバイスがしばらくの間稼動したときに使用されてもよい。このようにして、プロセスは、例えば、較正から外れたハードディスクドライブを再較正するために使用されてもよい。
図4の動作ブロック420は、ハードディスクドライブが、自己調整としてアクティブ浮上高設定を決定するように構成され得ることを示す。代替的に、接近点設定のためにデバイスを再較正する場合がある。1つ以上の実装において、プロセスはまた、ディスクドライブのスピンスタンドテストのために使用されてもよい。
【0055】
収集されたデータに基づいて、トランスデューサヘッドの接近点と媒体表面との間の接触に対応する、熱膨張デバイスに提供されるエネルギーレベルは、パラメータストレージに記録することができる。同様に、トランスデューサヘッドのためのアクティブ浮上高を確立する、熱膨張デバイスに提供されるエネルギーレベルはまた、メモリ内に記憶することもできる。
【0056】
図5は、別の実装形態において、ADWTパラメータを使用してヘッド・媒体間接触を決定する実施例を例示する。具体的には、Y軸は、4つのADWTパラメータの値を表し、x軸は、熱膨張デバイスのためのステップを表す。
図5に使用されるデータは、トランスデューサヘッドをディスクに一層接近するように移動させ、各位置について、その位置に関連付けられる4つのADWTパラメータを決定することによって集められる。4つのADWTパラメータは、上述のように、近接センサ等のセンサ値から生成される。グラフデータは、突然上方に方向転換する4つのトレンドラインを確立する。X=172およびY=0.2819として示される位置は、全ての4つのパラメータ(Param_1、Param_2、Param_3、およびParam_4)が、それらのそれぞれのベースライントレンドを実質的に超える場所に対応する。このようにして、
図5は、この実施例において、トランスデューサヘッドとディスクとの間の接触が、トランスデューサヘッドの接近点をディスクにより接近して移動させる、熱膨張デバイスに対する熱膨張ステップ位置172で生じることを例示する。更に、接触点は、接近点設定と見なされる。プロセッサは、トレンドラインからの逸脱の計算をかなり容易に行うことができる。したがって、プロセッサは、4つのADWTパラメータがそれらのトレンドラインを突然超えたときを特定するようにプログラムされてもよい。
【0057】
図6は、別の実装形態において、ADWTパラメータを使用してヘッド・媒体間接触を決定する代替的な実施例を例示する。具体的には、
図6は、パラメータParam_1の一次当てはめ残差を例示する。一次当てはめ残差は、ADWT Param_1の正規化されたリアルタイム値とADWT Param_1の一次当てはめ値との間の差異として計算される。
図5グラフによると、当てはめ残差の記号が変化し、振幅が大きく増加するとき、トランスデューサヘッドの接近点とディスク表面との間の接触が宣言される。
【0058】
本明細書に列挙される構造、材料、および行為の多くは、機能および機能を行うためのステップを行うための手段として列挙され得ることに留意する。したがって、かかる言語は、本明細書内に開示される全てのかかる構造、材料、または行為、および参照によって組み込まれる任意の事柄を含むそれらの均等物を網羅する権利を有することが理解されるべきである。
【0059】
本明細書に記載される装置および実装方法は、本明細書から理解されるであろう。上の説明は、具体的な実装の完全な説明であるが、上の説明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとして受け取られるべきではない。