【0005】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
第一の実施形態
第一の実施形態から第四の実施形態までにかかる光測定装置1は、トリガ信号を基準とした被測定信号の時間を測定するものである。
第1図は、本発明の第一の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第一の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、M21、M23、ミラーM22、M24、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、モニタ信号出力器18、第一I/Vアンプ22、第二I/Vアンプ24、トリガ信号出力器32、光パルス遅延器(誤差補正部)34、波形表示器40を備える。第一の実施形態にかかる光測定装置1は、被測定物2を測定する装置である。
なお、ハーフミラーM11、M12、M21、M23は単なる一例であり、光を分岐できるものであればハーフミラーでなくてもかまわない。
マスタレーザ11は、マスタレーザ光パルスを出力する。なお、マスタレーザ光パルスの繰り返し周波数はf
rep1である。f
rep1は、例えば、50MHz程度である。マスタレーザ光パルスは、ハーフミラーM11により、光パルス遅延器34へ与えられる光と、照射光パルス出力器14に与えられる光とに分けられる。
スレーブレーザ12は、マスタレーザ光パルスとは繰り返し周波数が異なるスレーブレーザ光パルスを出力する。スレーブレーザ光パルスの繰り返し周波数はf
rep2(=f
rep1−Δf)である。ただし、Δfは0ではない。Δfは、例えば、およそ1kHz以下の値(例えば、5Hz程度)である。なお、スレーブレーザ光パルスは、マスタレーザ光パルスと繰り返し周波数が同じであっても、位相が異なればよい。例えば、スレーブレーザ光パルスとマスタレーザ光パルスとの位相のずれが、時間の経過とともに変化するようにすればよい。
スレーブレーザ光パルスは、ハーフミラーM12により、トリガ信号出力器32へ与えられる光と、被測定信号出力器16およびモニタ信号出力器18に与えられる光とに分けられる。被測定信号出力器16およびモニタ信号出力器18に与えられる光は、さらに、ハーフミラーM23により、被測定信号出力器16に与えられる光と、モニタ信号出力器18に与えられる光とに分けられる。モニタ信号出力器18に与えられる光は、ミラーM24により反射され、モニタ信号出力器18に与えられる。
照射光パルス出力器14は、マスタレーザ光パルスを受けて、照射光パルスを出力する。照射光パルス出力器14は、例えば、光伝導スイッチであり、バイアス電圧が印加されている。例えば、照射光パルスは、周波数が0.01[THz]以上100[THz]以下の電磁波であり、テラヘルツ波(例えば、周波数が0.03[THz]以上10[THz]以下)であることが考えられる。
照射光パルスは、ハーフミラーM21により、被測定信号出力器16へ与えられる光と、モニタ信号出力器18に与えられる光とに分けられる。
被測定信号出力器16へ与えられる方の照射光パルスは、レンズLにより集束されながら、被測定物2に照射される。照射光パルスが被測定物2を透過したもの(被測定光パルス)は、レンズLにより集束されながら、被測定信号出力器16に与えられる。
モニタ信号出力器18に与えられる方の照射光パルスは、ミラーM22により反射され、さらに2枚のレンズLにより集束されながら、モニタ信号出力器18に与えられる。
被測定信号出力器16は、照射光パルスを被測定物2に照射して得られた被測定光パルスを受ける。被測定信号出力器16は、被測定光パルスを受け、さらにスレーブレーザ光パルスを受けた時点で、被測定光パルスのパワーに応じた被測定信号を出力する。被測定信号出力器16は、例えば、光伝導スイッチである。
モニタ信号出力器18は、照射光パルスおよびスレーブレーザ光パルスを受けて、モニタ信号を出力する。モニタ信号出力器18は、例えば、光伝導スイッチである。
第一I/Vアンプ22は、被測定信号出力器16の出力する被測定信号(電流信号である)を、増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
第二I/Vアンプ24は、モニタ信号出力器18の出力するモニタ信号(電流信号である)を、増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
トリガ信号出力器32は、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で、トリガ信号を出力する。ただし、トリガ信号出力器32は、光パルス遅延器34を介して、マスタレーザ光パルスを受ける。なお、トリガ信号は、波形表示器40に与えられる。
トリガ信号出力器32は、例えば、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で光パルスを出力する光カプラと、光カプラの出力を光電変換して電気信号であるトリガ信号を出力するフォトディテクタとを有する。
光パルス遅延器(誤差補正部)34は、ハーフミラーM11からマスタレーザ光パルスを受けて、遅延させ、トリガ信号出力器32に与える。なお、光パルス遅延器34は、波形表示器40の時間差導出部48から受けた時間差Δtだけ、マスタレーザ光パルスを遅延させる時間を変えていく。また、光パルス遅延器34は、マスタレーザ光パルスではなく、スレーブレーザ光パルスを遅延させてもよい。さらに、光パルス遅延器34は、トリガ信号を受けて、遅延させてもよい。いずれにせよ、光パルス遅延器34は、トリガ信号出力器32によるトリガ信号の出力時点を、時間差Δtだけ補正するものである(第4図(c)および第5図(c)を参照)。これにより、光パルス遅延器34は、時間差導出部48の導出結果(時間差Δt)に基づき、トリガ信号の出力時点を時間原点としたときの被測定信号の出力時点を補正する。
波形表示器40は、被測定信号の波形を表示する。
第2図は、第一の実施形態にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。第一の実施形態にかかる波形表示器40は、信号測定部42、信号表示部43、時間測定部44、基準時間記録部45、測定時間記録部46、時間差導出部48を有する。
信号測定部42は、被測定信号およびトリガ信号を受け、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点であるが、出力の開始から終了までの間の時点であればよい)を測定する。しかも、信号測定部42は、被測定信号の電圧を、トリガ信号を基準とした時間に対応づけて測定する。
信号表示部43は、信号測定部42の測定結果を表示する。この表示結果が、被測定信号の波形である。
時間測定部44は、モニタ信号の出力時点(例えば、出力開始時点)を、複数回測定する。
測定時間記録部46は、時間測定部44による測定結果(例えば、モニタ信号の出力開始時点Δt2m、Δt3m)を記録する(第4図(b)および第5図(b)を参照)。
基準時間記録部45は、時間測定部44による測定結果(測定時間記録部46に記録されたもの)が得られた時点より前の時間測定部44による測定結果(例えば、モニタ信号の出力開始時点Δt1m、Δt2m’)を記録する(第4図(a)および第5図(a)を参照)。
例えば、測定時間記録部46は、モニタ信号の出力開始時点の2回目の測定結果Δt2mを記録し、基準時間記録部45は、モニタ信号の出力開始時点の1回目の測定結果Δt1mを記録する(第4図(b)および第4図(a)を参照)。
例えば、測定時間記録部46は、モニタ信号の出力開始時点の3回目の測定結果Δt3mを記録し、基準時間記録部45は、モニタ信号の出力開始時点の2回目の測定結果Δt2m’を記録する(第5図(b)および第5図(a)を参照)。
時間差導出部48は、時間測定部44による測定結果(測定時間記録部46の記録内容)と、その測定結果が得られた時点より前の時間測定部44による測定結果(基準時間記録部45の記録内容)とのずれを導出する。
例えば、時間差導出部48は、時間測定部44による測定結果(測定時間記録部46の記録内容Δt2m、Δt3m)と、前回の時間測定部44による測定結果(基準時間記録部45の記録内容Δt1m、Δt2m’)とのずれΔt(=Δt2m−Δt1m、Δt3m−Δt2m’)を導出する(第4図(c)および第5図(c)を参照)。
例えば、時間差導出部48は、時間測定部44による測定結果(測定時間記録部46の記録内容Δt3m)と、前回の時間測定部44による測定結果であって、光パルス遅延器(誤差補正部)34による補正後の測定結果(基準時間記録部45の記録内容Δt2m’)とのずれΔt(=Δt3m−Δt2m’)を導出する(第5図(c)を参照)。
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
第3図は、第一の実施形態の動作を示すフローチャートである。第4図は、1回目から2回目の測定におけるモニタ信号、被測定信号およびトリガ信号のタイムチャートである。第5図は、2回目から3回目の測定におけるモニタ信号、被測定信号およびトリガ信号のタイムチャートである。なお、第4図および第5図において、縦軸は電圧、横軸は時間を示す(第7図も同様)。
まず、マスタレーザ11から出力されたマスタレーザ光パルスが、ハーフミラーM11を介して、照射光パルス出力器14に与えられる。照射光パルス出力器14からは照射光パルスが出力される。照射光パルスは、ハーフミラーM21を透過して、さらに被測定物2を透過し、被測定光パルスとなって、被測定信号出力器16に与えられる。また、照射光パルスは、ハーフミラーM21により反射され、さらにミラーM22により反射され、モニタ信号出力器18に与えられる。
また、スレーブレーザ12から出力されたスレーブレーザ光パルスが、ハーフミラーM12、M23を介して、被測定信号出力器16に与えられる。スレーブレーザ光パルスは、ハーフミラーM12を透過し、ハーフミラーM23およびミラーM24により反射され、モニタ信号出力器18に与えられる。
被測定信号出力器16からは被測定信号(電流信号である)が出力され、第一I/Vアンプ22により増幅されながら、電圧信号に変換され、波形表示器40に与えられる。モニタ信号出力器18からはモニタ信号(電流信号である)が出力され、第二I/Vアンプ24により増幅されながら、電圧信号に変換され、波形表示器40に与えられる。
なお、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとは、ハーフミラーM11、M12により反射されて、トリガ信号出力器32に与えられる。ただし、マスタレーザ光パルスは、光パルス遅延器34を介して、トリガ信号出力器32に与えられる。トリガ信号出力器32は、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で、トリガ信号を出力する。なお、トリガ信号は、波形表示器40に与えられる。
第4図(a)は、1回目の測定におけるモニタ信号、被測定信号およびトリガ信号のタイムチャートである。被測定信号およびトリガ信号が信号測定部42に与えられ、モニタ信号およびトリガ信号が時間測定部44に与えられる。
ここで、第3図および第4図(a)を参照し、時間測定部44が、トリガ信号を基準としたモニタ信号の出力時点(例えば、出力開始時点Δt1m)を測定する(S10:1回目の測定)。さらに、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の電圧を測定する(S12:1回目の測定)。
時間測定部44の測定結果(Δt1m)は、基準時間記録部45に記録される。信号測定部42の測定結果は、信号表示部43により表示される。
なお、モニタ信号の出力開始時点と、被測定信号の出力開始時点との間の時間差Δtmdは、一定であるものとする。時間差Δtmdが一定となる条件は、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16までの光路長と、照射光パルス出力器14からモニタ信号出力器18までの光路長との差が一定(好ましくは0)であり、しかも、ハーフミラーM23から被測定信号出力器16までの光路長と、ハーフミラーM23からモニタ信号出力器18までの光路長との差が一定(好ましくは0)であることである。
第4図(b)は、2回目の測定におけるモニタ信号およびトリガ信号のタイムチャートである。被測定信号の測定(S12:1回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから、時間測定部44が、トリガ信号を基準として、モニタ信号の出力時点(例えば、出力開始時点Δt2m)を測定する(S22:2回目の測定)。
ここで、モニタ信号の出力開始時点の1回目の測定結果Δt1mと、2回目の測定結果Δt2mとが異なっている。これは、1回目と2回目の測定時における、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)の変化により、マスタレーザ光パルス、スレーブレーザ光パルスおよび照射光パルスの光路長が伸縮したことに起因するものと考えられる。モニタ信号の測定誤差はΔt2m−Δt1mであり、モニタ信号と被測定信号との間の時間Δtmdが一定であることから、被測定信号の出力時点の測定誤差もまたΔt2m−Δt1mであるといえる。
時間測定部44による2回目の測定結果Δt2mは、測定時間記録部46に記録される。
第4図(c)は、2回目の測定におけるモニタ信号、被測定信号およびトリガ信号のタイムチャートである。まず、時間差導出部48が、時間測定部44による2回目の測定結果(測定時間記録部46の記録内容Δt2m)と、1回目の時間測定部44による測定結果(基準時間記録部45の記録内容Δt1m)とのずれ(時間差)Δt(=Δt2m−Δt1m)を導出する(S24)。
時間差導出部48から出力された時間差Δtは、光パルス遅延器(誤差補正部)34に与えられる。光パルス遅延器34は、マスタレーザ光パルスを時間差Δtだけずらす(S26)。これにより、トリガ信号が時間差Δtだけずれるので、モニタ信号および被測定信号の出力時点の測定誤差が補正される。
ここで、時間測定部44が、トリガ信号を基準としたモニタ信号の出力時点(例えば、出力開始時点Δt2m’)を測定する(S27:2回目の測定)。Δt2m’は、Δt1mに実質的には等しくなる。Δt2m’は、基準時間記録部45に記録される。さらに、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の電圧を測定する(S28:2回目の測定)。
さらに、被測定信号の測定(S27:2回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから、時間測定部44が、トリガ信号を基準として、モニタ信号の出力時点(例えば、出力開始時点Δt3m)を測定する(S22:3回目の測定)。
第5図(a)は、2回目の測定におけるモニタ信号、被測定信号およびトリガ信号のタイムチャートである。第5図(b)は、3回目の測定におけるモニタ信号およびトリガ信号のタイムチャートである。
ここで、モニタ信号の出力開始時点の2回目の測定結果Δt2m’(光パルス遅延器34による測定誤差の補正後の測定結果)と、3回目の測定結果Δt3mとが異なっている。これは、2回目と3回目の測定時における、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)の変化により、マスタレーザ光パルス、スレーブレーザ光パルスおよび照射光パルスの光路長が伸縮したことに起因するものと考えられる。モニタ信号の測定誤差はΔt3m−Δt2m’であり、モニタ信号と被測定信号との間の時間差Δtmdが一定であることから、被測定信号の測定誤差もまたΔt3m−Δt2m’であるといえる。
時間測定部44による3回目の測定結果Δt3mは、測定時間記録部46に記録される。
第5図(c)は、3回目の測定におけるモニタ信号、被測定信号およびトリガ信号のタイムチャートである。まず、時間差導出部48が、時間測定部44による3回目の測定結果(測定時間記録部46の記録内容Δt3m)と、2回目の時間測定部44による測定結果(基準時間記録部45の記録内容Δt2m’)とのずれ(時間差)Δt(=Δt3m−Δt2m’)を導出する(S24)。
時間差導出部48から出力された時間差Δtは、光パルス遅延器(誤差補正部)34に与えられる。光パルス遅延器34は、マスタレーザ光パルスを時間差Δtだけずらす(S26)。これにより、トリガ信号が時間差Δtだけずれるので、モニタ信号および被測定信号の出力時点の測定誤差が補正される。
ここで、時間測定部44が、トリガ信号を基準としたモニタ信号の出力時点(例えば、出力開始時点Δt3m’)を測定する(S27:3回目の測定)。Δt3m’は、Δt2m’に実質的には等しくなる。Δt2m’は、Δt1mに実質的には等しいので、Δt3m’はΔt1mに実質的には等しいということになる。Δt3m’は、基準時間記録部45に記録される。さらに、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の電圧を測定する(S28:3回目の測定)。
第一の実施形態によれば、テラヘルツ光(照射光パルス)などの光による被測定物2の測定結果(出力時点)の、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)の変化による誤差を時間差導出部48により導出し、その誤差を光パルス遅延器34により補正するため、被測定物2の測定結果の位相情報を正確に得ることができる。
なお、第一の実施形態においては、光パルス遅延器34によりトリガ信号をΔtだけずらして誤差を補正したが、光パルス遅延器34を用いない誤差の補正も可能である。第10図は、第一の実施形態の変形例(光パルス遅延器34を用いないで誤差の補正を行う)にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。
第一の実施形態の変形例にかかる波形表示器40は、第一の実施形態の波形表示器40に、さらに時間差補正部(誤差補正部)49を付加した構成となっている。
第一の実施形態の変形例にかかる波形表示器40における時間差導出部48は、導出した時間差Δtを、光パルス遅延器34にではなく、時間差補正部49に与える。時間差補正部49は、時間差Δtを、信号測定部42および時間測定部44に与え、信号測定部42および時間測定部44において、−Δtだけ被測定信号およびモニタ信号の時間をずらすようにする。なお、信号測定部42および時間測定部44は、その測定結果をデジタルデータとしてから出力するものとすれば、このデジタルデータにおける時間のデータを−Δtだけ変更してから出力すればよい。このようにして、信号測定部42による測定結果が補正される。
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる光測定装置1は、被測定信号出力器16が、モニタ信号出力器を兼ねている点が、第一の実施形態にかかる光測定装置1とは異なる。
第6図は、本発明の第二の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第二の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、M21、M23、ミラーM22、M24、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ26、トリガ信号出力器32、光パルス遅延器(誤差補正部)34、波形表示器40を備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は、第一の実施形態と同じ番号を付して説明を省略する。
マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、トリガ信号出力器32、光パルス遅延器(誤差補正部)34および波形表示器40は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
スレーブレーザ12が出力するスレーブレーザ光パルスは、ハーフミラーM12を透過して、被測定信号出力器16に与えられる。
照射光パルスは、ハーフミラーM21により、被測定物2に向かう光と、被測定物2には向かわない光とに分けられる。前者(被測定物2に向かう光)は、被測定物2を透過して(被測定光パルス)、被測定信号出力器16に与えられる。被測定信号出力器16は、被測定光パルスを受けて、被測定信号を出力する。後者(被測定物2には向かわない光:照射光パルス)は、ミラーM22、M24およびハーフミラーM23により反射され、被測定信号出力器16に与えられる。被測定信号出力器16は、後者(照射光パルス)を受けて、モニタ信号を出力する。
このように、被測定信号出力器16は、被測定信号の出力も、モニタ信号の出力も行う。すなわち、被測定信号出力器16が、モニタ信号出力器を兼ねている。
I/Vアンプ26は、被測定信号出力器16の出力した被測定信号およびモニタ信号を増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
第7図は、第二の実施形態にかかるI/Vアンプ26の出力する被測定信号およびモニタ信号の波形を示す図である。なお、第7図において、縦軸は電圧、横軸は時間を示す。第7図を参照して、被測定信号およびモニタ信号が時間領域において重ならない。このためには、被測定信号出力器16に、被測定光パルスと照射光パルスとが時間領域において重ならないように到達すればよい。第二の実施形態においては、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16への、被測定物2が存在する光路(被測定物2を透過する光路)と、被測定物2が存在しない光路(ミラーM22、M24により反射される光路)との光路差を大きくして(ただし、一定値)、被測定信号出力器16に、被測定光パルスと照射光パルスとが時間領域において重ならないように到達するようにしている。
第二の実施形態の動作は、第一の実施形態と同様である。
第二の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を、モニタ信号出力器18を用いないで奏することができる。
なお、第二の実施形態においても、第一の実施形態の変形例(第10図参照)と同様に、光パルス遅延器34を用いないで、時間差補正部(誤差補正部)49による誤差の補正が可能である。
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる光測定装置1は、被測定信号出力器16へ被測定光パルスおよび照射光パルスのいずれか一方を選択して与える光学系(ミラーM21、M22、M23、M24、ステージStg1、Stg2)を備えた点が、第二の実施形態にかかる光測定装置1とは異なる。
第8図は、本発明の第三の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である(モニタ信号取得時)。第9図は、本発明の第三の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である(被測定信号取得時)。第三の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、ミラーM21、M23、M22、M24、ステージStg1、Stg2、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ26、トリガ信号出力器32、光パルス遅延器(誤差補正部)34、波形表示器40を備える。以下、第二の実施形態と同様な部分は、第二の実施形態と同じ番号を付して説明を省略する。
マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ26、トリガ信号出力器32、光パルス遅延器(誤差補正部)34および波形表示器40は、第二の実施形態と同様であり説明を省略する。
第二の実施形態において、M21、M23はハーフミラーであるが、第三の実施形態においては、M21、M23はミラーである。ミラーM21、M22は、ステージStg1に載せられている。ミラーM23、M24は、ステージStg2に載せられている。
ステージStg1はミラーM21を、照射光パルスを反射する位置(第8図参照)または照射光パルスを反射しない位置(第9図参照)に移動できる。ステージStg2はミラーM23を、照射光パルスを反射する位置(第8図参照)または照射光パルスを反射しない位置(第9図参照)に移動できる。なお、第8図および第9図において、点線の矢印は、ステージStg1およびステージStg2を移動できる方向を示す。
第8図を参照して、ステージStg1がミラーM21を、ステージStg2はミラーM23を、照射光パルスを反射する位置に移動させた場合は、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16へ照射光パルスが与えられる。よって、被測定信号出力器16はモニタ信号を出力する。
第9図を参照して、ステージStg1がミラーM21を、ステージStg2はミラーM23を、照射光パルスを反射しない位置に移動させた場合は、被測定信号出力器16へ被測定光パルスが与えられる。よって、被測定信号出力器16が被測定信号を出力する。
これにより、被測定信号出力器16に、被測定光パルスと照射光パルスとが時間領域において重ならないように到達する。第三の実施形態においては、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16への、被測定物2が存在する光路(第9図参照)と、被測定物2が存在しない光路(第8図参照)との光路差は一定値であれば、0であってもよい。
第三の実施形態の動作は、第一の実施形態と同様である。
第三の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を、モニタ信号出力器18を用いないで奏することができる。
なお、第三の実施形態においても、第一の実施形態の変形例(第10図参照)と同様に、光パルス遅延器34を用いないで、時間差補正部(誤差補正部)49による誤差の補正が可能である。
第四の実施形態
第四の実施形態は、モニタ信号を用いないで、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)を測定することにより、被測定信号の位相測定誤差を補正する点が、第一の実施形態と異なる。
第11図は、本発明の第四の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第四の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ28、トリガ信号出力器32、光パルス遅延器(誤差補正部)34、波形表示器40を備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は、第一の実施形態と同じ番号を付して説明を省略する。
マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、トリガ信号出力器32および光パルス遅延器(誤差補正部)34は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
I/Vアンプ28は、被測定信号出力器16の出力する被測定信号(電流信号である)を、増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
波形表示器40は、被測定信号の波形を表示する。
第12図は、第四の実施形態にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。第四の実施形態にかかる波形表示器40は、温度計41、信号測定部42、信号表示部43、時間・温度特性記録部472、時間差導出部47を有する。信号測定部42および信号表示部43は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。ただし、信号測定部42は、被測定信号を複数回測定し、被測定信号の測定を開始する旨を温度計41に伝達する。
温度計41は、信号測定部42から被測定信号の測定を開始する旨の伝達を受けると、その時点の光測定装置1の周囲の温度(環境温度T1,T2,T3,…)を測定し、時間差導出部47に与える。例えば、被測定信号の1回目の測定時の環境温度がT1、被測定信号の2回目の測定時の環境温度がT2、被測定信号の3回目の測定時の環境温度がT3となる。温度計41による環境温度の測定は、厳密には、被測定信号の測定の直前に行われる。しかし、一般的には環境温度が瞬間的に大きく変動するわけではないので、被測定信号の測定の直前(または直後)に測定した環境温度も、被測定信号の測定時の環境温度であるとみなすことができる。
なお、波形表示器40内に温度計41があるものとして説明したが、温度計41の位置を波形表示器40内に限定するものではない。例えば、温度計41は光パルス遅延器34の近傍に配置されていてもよい。すなわち、温度計41は、環境温度を測定できるような位置にあればよい。
時間・温度特性記録部472は、環境温度に対する被測定信号出力器16の出力の出力時点(例えば、出力開始時点Δt1m+Δtmd:第4図参照)の対応関係を記録する。この対応関係は、例えば、光測定装置1を恒温槽に入れて環境温度を変化させながら、被測定物2を光測定装置1から外して、被測定信号の出力開始時点を測定することにより取得できる。なお、記録される対応関係は、環境温度と被測定信号出力器16の出力の出力時点とのデータであってもよいし、環境温度と被測定信号出力器16の出力の出力時点との関係を表す数式であってもよい。
第13図は、時間・温度特性記録部472の記録内容の一例を示す図である。環境温度が上昇するにつれ、被測定光パルス等の光路長が伸長してしまい、被測定信号出力器16の出力の出力開始時点が変化する(例えば、遅くなる)。これにより、第13図においては、環境温度が上昇するにつれ、被測定信号出力器16の出力の出力開始時点(開始時間)が変化(例えば、単調増加)するように図示している。なお、第13図においては、被測定信号出力器16の出力の出力開始時点を曲線で図示しているが、直線となる場合も考えられる。
時間差導出部47は、時間・温度特性記録部472の記録内容に基づき、基準温度(環境温度T1,T2)および被測定信号が測定された時点の環境温度(環境温度T2,T3)における被測定信号の出力時点のずれ(時間差Δt1,Δt2)を導出する。
第15図は、時間差導出部47の導出する時間差を示す図である。なお、第15図に示す被測定信号の出力開始時点(開始時間)は、第13図と同様である。
基準温度を、前回に被測定信号が測定された時点の環境温度とすれば、基準温度T1(1回目)および環境温度T2(2回目)の場合の被測定信号の出力時点のずれ(時間差)はΔt1となる。これは、被測定信号が1回目に測定された時点よりも、被測定信号が2回目に測定された時点において、環境温度がT1からT2に上昇することにより、被測定信号の出力開始時点がΔt1遅れるであろうということが推測されることを意味する。
基準温度T2(2回目)および環境温度T3(3回目)の場合の被測定信号の出力時点のずれ(時間差)はΔt2となる。これは、被測定信号が2回目に測定された時点よりも、被測定信号が3回目に測定された時点において、環境温度がT2からT3に上昇することにより、被測定信号の出力開始時点がΔt2遅れるであろうということが推測されることを意味する。
時間差導出部47は、時間差Δt1,Δt2,…を、光パルス遅延器(誤差補正部)34に与える。なお、光パルス遅延器34は、波形表示器40の時間差導出部47から受けた時間差Δt1,Δt2,…だけ、マスタレーザ光パルスを遅延させる時間を長くしていく。これにより、トリガ信号の出力時点を時間差Δt1,Δt2,…だけ遅く補正していき、トリガ信号の出力時点を時間原点としたときの被測定信号の出力時点の遅れΔt1,Δt2,…を補正する。
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
第14図は、第四の実施形態の動作を示すフローチャートである。
まず、マスタレーザ11から出力されたマスタレーザ光パルスが、ハーフミラーM11を介して、照射光パルス出力器14に与えられる。照射光パルス出力器14からは照射光パルスが出力される。照射光パルスは、被測定物2を透過し、被測定光パルスとなって、被測定信号出力器16に与えられる。
また、スレーブレーザ12から出力されたスレーブレーザ光パルスが、ハーフミラーM12を介して、被測定信号出力器16に与えられる。
被測定信号出力器16からは被測定信号(電流信号である)が出力され、I/Vアンプ28により増幅されながら、電圧信号に変換され、波形表示器40に与えられる。
なお、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとは、ハーフミラーM11、M12により反射されて、トリガ信号出力器32に与えられる。ただし、マスタレーザ光パルスは、光パルス遅延器34を介して、トリガ信号出力器32に与えられる。トリガ信号出力器32は、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で、トリガ信号を出力する。なお、トリガ信号は、波形表示器40に与えられる。
ここで、温度計41が、環境温度T1を測定する(S30:1回目の測定)。環境温度T1は、時間差導出部47に与えられる。さらに、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の電圧を測定する(S32:1回目の測定)。信号測定部42の測定結果は、信号表示部43により表示される。
被測定信号の測定(S32:1回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから温度計41が、環境温度T2を測定する(S42:2回目の測定)。
ここで、時間差導出部47は、時間・温度特性記録部472の記録内容に基づき、基準温度(環境温度T1:1回目の測定)および被測定信号が測定された時点の環境温度(環境温度T2:2回目の測定)における被測定信号の出力時点のずれ(時間差Δt1)を導出する(S44)。環境温度がT1からT2に上昇することにより、被測定信号の出力開始時点がΔt1遅れるであろうということが推測される。
時間差導出部47は、時間差Δt1を、光パルス遅延器(誤差補正部)34に与える。なお、光パルス遅延器34は、波形表示器40の時間差導出部47から受けた時間差Δt1だけ、マスタレーザ光パルスを遅延させる時間を長くしていく。これにより、トリガ信号の出力時点を時間差Δt1だけ遅くしていき、トリガ信号の出力時点を時間原点としたときの被測定信号の出力時点の遅れΔt1を補正する(S46)。
その後、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の電圧を測定する(S48:2回目の測定)。
被測定信号の測定(S48:2回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから温度計41が、環境温度T3を測定する(S42:3回目の測定)。
ここで、時間差導出部47は、時間・温度特性記録部472の記録内容に基づき、基準温度(環境温度T2:2回目の測定)および被測定信号が測定された時点の環境温度(環境温度T3:3回目の測定)における被測定信号の出力時点のずれ(時間差Δt2)を導出する(S44)。環境温度がT2からT3に上昇することにより、被測定信号の出力開始時点がΔt2遅れるであろうということが推測される。
時間差導出部47は、時間差Δt2を、光パルス遅延器(誤差補正部)34に与える。なお、光パルス遅延器34は、波形表示器40の時間差導出部47から受けた時間差Δt2だけ、マスタレーザ光パルスを遅延させる時間を長くしていく。これにより、トリガ信号の出力時点を時間差Δt2だけ遅くしていき、トリガ信号の出力時点を時間原点としたときの被測定信号の出力時点の遅れΔt2を補正する(S46)。
その後、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の電圧を測定する(S48:3回目の測定)。
第四の実施形態によれば、テラヘルツ光(照射光パルス)などの光による被測定物2の測定結果(出力時点)の、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)の変化による誤差を環境温度から時間差導出部48が推測して、その誤差を光パルス遅延器34により補正するため、被測定物2の測定結果の位相情報を正確に得ることができる。
なお、第四の実施形態においては、光パルス遅延器34によりトリガ信号をΔt1,Δt2,…だけずらして誤差を補正したが、光パルス遅延器34を用いない誤差の補正も可能である。第16図は、第四の実施形態の変形例(光パルス遅延器34を用いないで誤差の補正を行う)にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。
第四の実施形態の変形例にかかる波形表示器40は、第四の実施形態の波形表示器40に、さらに時間差補正部(誤差補正部)49を付加した構成となっている。
第四の実施形態の変形例にかかる波形表示器40における時間差導出部47は、導出した時間差Δt1,Δt2,…を、光パルス遅延器34にではなく、時間差補正部49に与える。時間差補正部49は、時間差Δt1,Δt2,…を、信号測定部42に与え、信号測定部42において、−Δt1,−Δt2,…だけ被測定信号の時間をずらすようにする。なお、信号測定部42は、その測定結果をデジタルデータとしてから出力するものとすれば、このデジタルデータにおける時間のデータを−Δtだけ変更してから出力すればよい。このようにして、信号測定部42による測定結果が補正される。
第五の実施形態
第五の実施形態から第八の実施形態までにかかる光測定装置1は、被測定信号の振幅を測定するものである。
第17図は、本発明の第五の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第五の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、M21、M23、ミラーM22、M24、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、モニタ信号出力器18、第一I/Vアンプ22、第二I/Vアンプ24、トリガ信号出力器32、波形表示器40、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50を備える。第五の実施形態にかかる光測定装置1は、被測定物2を測定する装置である。
なお、ハーフミラーM11、M12、M21、M23は単なる一例であり、光を分岐できるものであればハーフミラーでなくてもかまわない。
マスタレーザ11は、マスタレーザ光パルスを出力する。なお、マスタレーザ光パルスの繰り返し周波数はf
rep1である。f
rep1は、例えば、50MHz程度である。マスタレーザ光パルスは、ハーフミラーM11により、トリガ信号出力器32へ与えられる光と、照射光パルス出力器14に与えられる光とに分けられる。
スレーブレーザ12は、マスタレーザ光パルスとは繰り返し周波数が異なるスレーブレーザ光パルスを出力する。スレーブレーザ光パルスの繰り返し周波数はf
rep2(=f
rep1−Δf)である。ただし、Δfは0ではない。Δfは、例えば、およそ1kHz以下の値(例えば、5Hz程度)である。なお、スレーブレーザ光パルスは、マスタレーザ光パルスと繰り返し周波数が同じであっても、位相が異なればよい。例えば、スレーブレーザ光パルスとマスタレーザ光パルスとの位相のずれが、時間の経過とともに変化するようにすればよい。
スレーブレーザ光パルスは、ハーフミラーM12により、トリガ信号出力器32へ与えられる光と、被測定信号出力器16およびモニタ信号出力器18に与えられる光とに分けられる。被測定信号出力器16およびモニタ信号出力器18に与えられる光は、さらに、ハーフミラーM23により、被測定信号出力器16に与えられる光と、モニタ信号出力器18に与えられる光とに分けられる。モニタ信号出力器18に与えられる光は、ミラーM24により反射され、モニタ信号出力器18に与えられる。
照射光パルス出力器14は、マスタレーザ光パルスを受けて、照射光パルスを出力する。照射光パルス出力器14は、例えば、光伝導スイッチであり、バイアス電圧が印加されている。例えば、照射光パルスは、周波数が0.01[THz]以上100[THz]以下の電磁波であり、テラヘルツ波(例えば、周波数が0.03[THz]以上10[THz]以下)であることが考えられる。
照射光パルスは、ハーフミラーM21により、被測定信号出力器16へ与えられる光と、モニタ信号出力器18に与えられる光とに分けられる。
被測定信号出力器16へ与えられる方の照射光パルスは、レンズLにより集束されながら、被測定物2に照射される。照射光パルスが被測定物2を透過したもの(被測定光パルス)は、レンズLにより集束されながら、被測定信号出力器16に与えられる。
モニタ信号出力器18に与えられる方の照射光パルスは、ミラーM22により反射され、さらに2枚のレンズLにより集束されながら、モニタ信号出力器18に与えられる。
被測定信号出力器16は、照射光パルスを被測定物2に照射して得られた被測定光パルスを受ける。被測定信号出力器16は、被測定光パルスを受け、さらにスレーブレーザ光パルスを受けた時点で、被測定光パルスのパワーに応じた被測定信号を出力する。被測定信号出力器16は、例えば、光伝導スイッチである。
モニタ信号出力器18は、照射光パルスおよびスレーブレーザ光パルスを受けて、モニタ信号を出力する。モニタ信号出力器18は、例えば、光伝導スイッチである。
第一I/Vアンプ22は、被測定信号出力器16の出力する被測定信号(電流信号である)を、増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
第二I/Vアンプ24は、モニタ信号出力器18の出力するモニタ信号(電流信号である)を、増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
トリガ信号出力器32は、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で、トリガ信号を出力する。トリガ信号は、波形表示器40に与えられる。
トリガ信号出力器32は、例えば、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で光パルスを出力する光カプラと、光カプラの出力を光電変換して電気信号であるトリガ信号を出力するフォトディテクタとを有する。
バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50は、照射光パルス出力器14にバイアス電圧を印加する。バイアス電圧供給部50は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を、波形表示器40の補正量導出部418の導出結果(バイアス電圧補正量ΔVb)だけ変化させることにより、被測定信号の振幅を補正する。被測定信号の振幅は被測定光パルスの振幅に応じて変化し、被測定光パルスの振幅は照射光パルスの振幅に応じて変化し、照射光パルスの振幅は照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧に応じて変化する。よって、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を変化させることで、被測定信号の振幅を補正することができる。
波形表示器40は、被測定信号の波形を表示する。
第18図は、第五の実施形態にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。第五の実施形態にかかる波形表示器40は、信号測定部42、信号表示部43、モニタ・バイアス振幅特性記録部412、振幅測定部414、基準振幅記録部415、測定振幅記録部416、補正量導出部418を有する。
信号測定部42は、被測定信号およびトリガ信号を受け、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点であるが、出力の開始から終了までの間の時点であればよい)を測定する。しかも、信号測定部42は、被測定信号の振幅を、トリガ信号を基準とした時間に対応づけて測定する。
信号表示部43は、信号測定部42の測定結果を表示する。この表示結果が、被測定信号の波形である。
モニタ・バイアス振幅特性記録部412は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧に対するモニタ信号の振幅の対応関係を記録する。モニタ信号の振幅は、たとえ照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧が一定であっても、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)等の変化により、変化することがある。よって、上記の対応関係は、環境温度等を一定にして、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を変化させながら、モニタ信号の振幅を測定することにより取得できる。なお、記録される対応関係は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧とモニタ信号の振幅とのデータであってもよいし、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧とモニタ信号の振幅との関係を表す数式であってもよい。
第20図は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容の一例を示す図である。照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧が高くなるにつれ、モニタ信号の振幅Vmが変化(例えば、単調増加)する。なお、第20図においては、モニタ信号の振幅Vmを曲線で図示しているが、直線となる場合も考えられる。以下、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を、単に「バイアス電圧」と記載することがある。
振幅測定部414は、モニタ信号の振幅を、複数回測定する。
測定振幅記録部416は、振幅測定部414による測定結果(例えば、モニタ信号の振幅Vm(2)、Vm(3))を記録する(第21図を参照)。
基準振幅記録部415は、振幅測定部414による測定結果(測定振幅記録部416に記録されたもの)が得られた時点より前の振幅測定部414による測定結果(例えば、モニタ信号の振幅Vm(1)、Vm(2)’)を記録する(第21図を参照)。
例えば、測定振幅記録部416は、モニタ信号の振幅の2回目の測定結果Vm(2)を記録し、基準振幅記録部415は、モニタ信号の振幅の1回目の測定結果Vm(1)を記録する(第21図(a)を参照)。
例えば、測定振幅記録部416は、モニタ信号の振幅の3回目の測定結果Vm(3)を記録し、基準振幅記録部415は、モニタ信号の振幅の2回目の測定結果Vm(2)’を記録する(第21図(b)参照)。
補正量導出部418は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容に基づき、振幅測定部414による測定結果(測定振幅記録部416の記録内容)を、その測定結果が得られた時点より前の振幅測定部414による測定結果(基準振幅記録部415の記録内容)に一致させるための、バイアス電圧の補正量ΔVbを導出する。
例えば、補正量導出部418は、振幅測定部414による測定結果(測定振幅記録部416の記録内容Vm(2)、Vm(3))と、前回の振幅測定部414による測定結果(基準振幅記録部415の記録内容Vm(1)、Vm(2)’)とに基づき、バイアス電圧の補正量ΔVb(2)、ΔVb(3)を導出する(第21図を参照)。
第21図の実線の曲線は、第20図に図示したモニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容である。第21図の点線の曲線は、実際のバイアス電圧に対するモニタ信号の振幅の対応関係である。第21図の点線の曲線は、環境温度等の変動により、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容からずれてはいるが、第21図の実線の曲線と、形状は同一とみなすことができる。
第21図(a)を参照して、Vm(2)をVm(1)に一致させるためには、バイアス電圧Vb(1)を、ΔVb(2)(<0)だけ変化させ、Vb(2)とすればよい。
例えば、補正量導出部418は、振幅測定部414による測定結果(測定振幅記録部416の記録内容Vm(3))と、前回の振幅測定部414による測定結果であって、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50による補正後の測定結果(基準振幅記録部415の記録内容Vm(2)’)とに基づき、バイアス電圧の補正量ΔVb(3)を導出する(第21図(b)を参照)。
第21図(b)を参照して、Vm(3)をVm(2)’に一致させるためには、バイアス電圧Vb(2)を、ΔVb(3)(>0)だけ変化させ、Vb(3)とすればよい。
次に、第五の実施形態の動作を説明する。
第19図は、第五の実施形態の動作を示すフローチャートである。第21図は、補正量導出部418の導出するバイアス電圧の補正量を示す図である。
まず、マスタレーザ11から出力されたマスタレーザ光パルスが、ハーフミラーM11を介して、照射光パルス出力器14に与えられる。照射光パルス出力器14には、バイアス電圧Vb(1)が印加されている。照射光パルス出力器14からは照射光パルスが出力される。照射光パルスは、ハーフミラーM21を透過して、さらに被測定物2を透過し、被測定光パルスとなって、被測定信号出力器16に与えられる。また、照射光パルスは、ハーフミラーM21により反射され、さらにミラーM22により反射され、モニタ信号出力器18に与えられる。
また、スレーブレーザ12から出力されたスレーブレーザ光パルスが、ハーフミラーM12、M23を介して、被測定信号出力器16に与えられる。スレーブレーザ光パルスは、ハーフミラーM12を透過し、ハーフミラーM23およびミラーM24により反射され、モニタ信号出力器18に与えられる。
被測定信号出力器16からは被測定信号(電流信号である)が出力され、第一I/Vアンプ22により増幅されながら、電圧信号に変換され、波形表示器40に与えられる。モニタ信号出力器18からはモニタ信号(電流信号である)が出力され、第二I/Vアンプ24により増幅されながら、電圧信号に変換され、波形表示器40に与えられる。
なお、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとは、ハーフミラーM11、M12により反射されて、トリガ信号出力器32に与えられる。トリガ信号出力器32は、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で、トリガ信号を出力する。なお、トリガ信号は、波形表示器40に与えられる。
被測定信号およびトリガ信号が信号測定部42に与えられ、モニタ信号およびトリガ信号が振幅測定部414に与えられる。
ここで、振幅測定部414が、モニタ信号の振幅Vm(1)を測定する(S110:1回目の測定)(第21図(a)参照)。なお、モニタ信号の振幅Vm(1)の測定時における環境温度等が、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容の取得時の環境温度等と等しいものとする。かかる場合、第21図(a)を参照して、座標(Vb(1),Vm(1))は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容である実線の曲線上にある。
さらに、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の振幅を測定する(S112:1回目の測定)。
振幅測定部414の測定結果Vm(1)は、基準振幅記録部415に記録される。信号測定部42の測定結果は、信号表示部43により表示される。
被測定信号の測定(S112:1回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから、振幅測定部414が、モニタ信号の振幅Vm(2)を測定する(S122:2回目の測定)(第21図(a)参照)。ただし、バイアス電圧Vb(1)はそのままである。
バイアス電圧Vb(1)はそのままであるが、環境温度等の変動により、モニタ信号の振幅がVm(1)からVm(2)に変動している。これは、バイアス電圧に対するモニタ信号の振幅の対応関係は、実線の曲線から点線の曲線に平行移動したものと考えられる。
振幅測定部414による2回目の測定結果Vm(2)は、測定振幅記録部416に記録される。
補正量導出部418は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容に基づき、振幅測定部414による測定結果(測定振幅記録部416の記録内容Vm(2))を、その測定結果が得られた時点より前の振幅測定部414による測定結果(基準振幅記録部415の記録内容Vm(1))に一致させるための、バイアス電圧の補正量ΔVb(2)を導出する(S124:2回目の測定)。
第21図(a)を参照して、バイアス電圧に対するモニタ信号の振幅の対応関係が、点線の曲線になったとすれば、バイアス電圧をVb(1)からVb(2)にすれば、モニタ信号の振幅をVm(1)に一致させることができる。ここで、第21図の点線の曲線と実線の曲線とは、その形状が同一とみなすことができるので、Vb(2)−Vb(1)はΔVb(2)(実線の曲線において、モニタ信号の振幅をVm(2)からVm(1)に変動させるために必要なバイアス電圧の変動量)に等しい。
よって、補正量導出部418は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容(第21図(a)の実線の曲線)、Vm(2)およびVm(1)に基づき、ΔVb(2)を導出し、導出したΔVb(2)をバイアス電圧の補正量とする。
バイアス電圧の補正量ΔVb(2)は、波形表示器40の補正量導出部418から、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50に与えられる。バイアス電圧供給部50は、バイアス電圧を、バイアス電圧の補正量ΔVb(2)だけ変化させる。すなわち、バイアス電圧供給部50は、バイアス電圧Vb(1)に、バイアス電圧の補正量ΔVb(2)を加えて、バイアス電圧をVb(2)(=Vb(1)+ΔVb(2))とする(S126:2回目の測定)。
その後、振幅測定部414が、モニタ信号の振幅Vm(2)’を測定する(S127:2回目の測定)。Vm(2)’は、Vm(1)に実質的には等しくなる。振幅測定部414の測定結果Vm(2)’は、基準振幅記録部415に記録される。
しかも、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の振幅を測定する(S128:2回目の測定)。この被測定信号の振幅の測定結果は、バイアス電圧供給部50により被測定信号の振幅が補正された被測定信号について得られたものである。
さらに、被測定信号の測定(S128:2回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから、振幅測定部414が、モニタ信号の振幅Vm(3)を測定する(S122:3回目の測定)(第21図(b)参照)。ただし、バイアス電圧Vb(2)はそのままである。
バイアス電圧Vb(2)はそのままであるが、環境温度等の変動により、モニタ信号の振幅がVm(2)’からVm(3)に変動している。バイアス電圧に対するモニタ信号の振幅の対応関係は、点線の曲線(左側のもの)から点線の曲線(右側のもの)に平行移動したものと考えられる。
振幅測定部414による3回目の測定結果Vm(3)は、測定振幅記録部416に記録される。
補正量導出部418は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容に基づき、振幅測定部414による測定結果(測定振幅記録部416の記録内容Vm(3))を、その測定結果が得られた時点より前の振幅測定部414による測定結果(基準振幅記録部415の記録内容Vm(2)’)に一致させるための、バイアス電圧の補正量ΔVb(3)を導出する(S124:3回目の測定)。
第21図(b)を参照して、バイアス電圧に対するモニタ信号の振幅の対応関係が、点線の曲線(右側のもの)になったとすれば、バイアス電圧をVb(2)からVb(3)にすれば、モニタ信号の振幅をVm(2)’に一致させることができる。ここで、第21図の点線の曲線と実線の曲線とは、その形状が同一とみなすことができるので、Vb(3)−Vb(2)はΔVb(3)(実線の曲線において、モニタ信号の振幅をVm(3)からVm(2)’に変動させるために必要なバイアス電圧の変動量)に等しい。
よって、補正量導出部418は、モニタ・バイアス振幅特性記録部412の記録内容(第21図(b)の実線の曲線)、Vm(3)およびVm(2)’に基づき、ΔVb(3)を導出し、導出したΔVb(3)をバイアス電圧の補正量とする。
バイアス電圧の補正量ΔVb(3)は、波形表示器40の補正量導出部418から、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50に与えられる。バイアス電圧供給部50は、バイアス電圧を、バイアス電圧の補正量ΔVb(3)だけ変化させる。すなわち、バイアス電圧供給部50は、バイアス電圧Vb(2)に、バイアス電圧の補正量ΔVb(3)を加えて、バイアス電圧をVb(3)(=Vb(2)+ΔVb(3))とする(S126:3回目の測定)。
その後、振幅測定部414が、モニタ信号の振幅Vm(3)’を測定する(S127:3回目の測定)。Vm(3)’はVm(2)’に実質的には等しくなる。Vm(2)’はVm(1)に実質的には等しいので、Vm(3)’はVm(1)に実質的には等しいということになる。振幅測定部414の測定結果Vm(3)’は、基準振幅記録部415に記録される。
しかも、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の振幅を測定する(S128:3回目の測定)。この被測定信号の振幅の測定結果は、バイアス電圧供給部50により被測定信号の振幅が補正された被測定信号について得られたものである。
第五の実施形態によれば、テラヘルツ光(照射光パルス)などの光による被測定物2の測定結果(被測定信号の振幅)の、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)等の変化による誤差を、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧をΔVbだけ変化させることで解消し、被測定信号の振幅を正確に得ることができる。
なお、第五の実施形態においては、バイアス電圧をΔVbだけ変化させることで被測定信号の振幅誤差を補正したが、バイアス電圧を変化させないで振幅誤差を補正することも可能である。第26図は、第五の実施形態の変形例(バイアス電圧を変化させないで振幅誤差の補正を行う)にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。
第五の実施形態の変形例にかかる波形表示器40は、第五の実施形態の波形表示器40に、さらに振幅誤差補正部419、デバイス・バイアス振幅特性記録部420を付加した構成となっている。
デバイス・バイアス振幅特性記録部420は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧に対する被測定信号出力器16の出力の振幅の対応関係を記録する。被測定信号出力器16の出力の振幅は、たとえ照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧が一定であっても、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)等の変化により、変化することがある。よって、上記の対応関係は、環境温度等を一定にして、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を変化させながら、被測定物2を光測定装置1から外して、被測定信号出力器16の出力の振幅を測定することにより取得できる。なお、記録される対応関係は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧と被測定信号出力器16の出力の振幅とのデータであってもよいし、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧と被測定信号出力器16の出力の振幅との関係を表す数式であってもよい。
第27図は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容の一例を示す図である。照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧が高くなるにつれ、被測定信号出力器16の出力の振幅Vd(ただし、被測定物2は光測定装置1から外してある)が変化(例えば、単調増加)する。なお、第27図においては、被測定信号出力器16の出力の振幅Vdを曲線で図示しているが、直線となる場合も考えられる。
振幅誤差補正部419は、補正量導出部418からバイアス電圧の補正量ΔVbを受ける。さらに、振幅誤差補正部419は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容に基づき、バイアス電圧の補正量ΔVbに対応する被測定信号の振幅の変動量ΔVdだけ、信号測定部42による測定結果を補正する。
第28図は、振幅誤差補正部419が導出する被測定信号の振幅の変動量ΔVdを示す図である。なお、第28図における実線の曲線は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容(第27図参照)である。
第28図(a)は、バイアス電圧の補正量ΔVb(2)に対応する被測定信号の振幅の変動量ΔVd(2)を示す図である。
振幅誤差補正部419は、補正量導出部418から、バイアス電圧をVb(1)からVb(2)に変化させることに対応するバイアス電圧の補正量ΔVb(2)を受ける。すると、振幅誤差補正部419は、Vb(2)に対応する被測定信号の振幅と、Vb(1)に対応する被測定信号の振幅との間の差分ΔVd(2)(<0)を導出する。振幅誤差補正部419は、さらに、信号測定部42による被測定信号の振幅の測定結果にΔVd(2)を加え、被測定信号の振幅の測定結果を補正する。これにより、バイアス電圧をVb(1)からVb(2)に変化させることに対応する被測定信号の振幅の測定結果の補正を、バイアス電圧を変更することなく行える。
なお、被測定信号の振幅の測定結果の補正の直前に、振幅測定部414がモニタ信号の振幅を測定する。その測定結果に、振幅誤差補正部419は、Vm(1)−Vm(2)を加えてVm(2)’とする。振幅誤差補正部419は、Vm(1)およびVm(2)を補正量導出部418から受けるようにすればよい。
第28図(b)は、バイアス電圧の補正量ΔVb(3)に対応する被測定信号の振幅の変動量ΔVd(3)を示す図である。
振幅誤差補正部419は、補正量導出部418から、バイアス電圧をVb(2)からVb(3)に変化させることに対応するバイアス電圧の補正量ΔVb(3)を受ける。すると、振幅誤差補正部419は、Vb(3)に対応する被測定信号の振幅と、Vb(2)に対応する被測定信号の振幅との間の差分ΔVd(3)(>0)を導出する。振幅誤差補正部419は、さらに、信号測定部42による被測定信号の振幅の測定結果(すでに、ΔVd(2)を加える補正が行われているもの)にΔVd(3)を加え、被測定信号の振幅の測定結果を補正する。これにより、バイアス電圧をVb(2)からVb(3)に変化させることに対応する被測定信号の振幅の測定結果の補正を、バイアス電圧を変更することなく行える。
なお、被測定信号の振幅の測定結果の補正の直前に、振幅測定部414がモニタ信号の振幅を測定する。その測定結果に、振幅誤差補正部419は、Vm(2)’−Vm(3)を加えてVm(3)’とする。振幅誤差補正部419は、Vm(2)’およびVm(3)を補正量導出部418から受けるようにすればよい。
第六の実施形態
第六の実施形態にかかる光測定装置1は、被測定信号出力器16が、モニタ信号出力器を兼ねている点が、第五の実施形態にかかる光測定装置1とは異なる。
第22図は、本発明の第六の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第六の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、M21、M23、ミラーM22、M24、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ26、トリガ信号出力器32、波形表示器40、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50を備える。以下、第五の実施形態と同様な部分は、第五の実施形態と同じ番号を付して説明を省略する。
マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、トリガ信号出力器32、波形表示器40およびバイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50は、第五の実施形態と同様であり説明を省略する。
スレーブレーザ12が出力するスレーブレーザ光パルスは、ハーフミラーM12を透過して、被測定信号出力器16に与えられる。
照射光パルスは、ハーフミラーM21により、被測定物2に向かう光と、被測定物2には向かわない光とに分けられる。前者(被測定物2に向かう光)は、被測定物2を透過して(被測定光パルス)、被測定信号出力器16に与えられる。被測定信号出力器16は、被測定光パルスを受けて、被測定信号を出力する。後者(被測定物2には向かわない光:照射光パルス)は、ミラーM22、M24およびハーフミラーM23により反射され、被測定信号出力器16に与えられる。被測定信号出力器16は、後者(照射光パルス)を受けて、モニタ信号を出力する。
このように、被測定信号出力器16は、被測定信号の出力も、モニタ信号の出力も行う。すなわち、被測定信号出力器16が、モニタ信号出力器を兼ねている。
I/Vアンプ26は、被測定信号出力器16の出力した被測定信号およびモニタ信号を増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
第23図は、第六の実施形態にかかるI/Vアンプ26の出力する被測定信号およびモニタ信号の波形を示す図である。なお、第23図において、縦軸は電圧、横軸は時間を示す。第23図を参照して、被測定信号およびモニタ信号が時間領域において重ならない。このためには、被測定信号出力器16に、被測定光パルスと照射光パルスとが時間領域において重ならないように到達すればよい。第六の実施形態においては、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16への、被測定物2が存在する光路(被測定物2を透過する光路)と、被測定物2が存在しない光路(ミラーM22、M24により反射される光路)との光路差を大きくして、被測定信号出力器16に、被測定光パルスと照射光パルスとが時間領域において重ならないように到達するようにしている。
第六の実施形態の動作は、第五の実施形態と同様である。
第六の実施形態によれば、第五の実施形態と同様な効果を、モニタ信号出力器18を用いないで奏することができる。
なお、第六の実施形態においても、第五の実施形態の変形例(第26図参照)と同様に、バイアス電圧を変化させないで振幅誤差の補正を行うことが可能である。
第七の実施形態
第七の実施形態にかかる光測定装置1は、被測定信号出力器16へ被測定光パルスおよび照射光パルスのいずれか一方を選択して与える光学系(ミラーM21、M22、M23、M24、ステージStg1、Stg2)を備えた点が、第六の実施形態にかかる光測定装置1とは異なる。
第24図は、本発明の第七の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である(モニタ信号取得時)。第25図は、本発明の第七の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である(被測定信号取得時)。第七の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、ミラーM21、M23、M22、M24、ステージStg1、Stg2、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ26、トリガ信号出力器32、波形表示器40、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50を備える。以下、第六の実施形態と同様な部分は、第六の実施形態と同じ番号を付して説明を省略する。
マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ26、トリガ信号出力器32、波形表示器40およびバイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50は、第六の実施形態と同様であり説明を省略する。
第六の実施形態において、M21、M23はハーフミラーであるが、第七の実施形態においては、M21、M23はミラーである。ミラーM21、M22は、ステージStg1に載せられている。ミラーM23、M24は、ステージStg2に載せられている。
ステージStg1はミラーM21を、照射光パルスを反射する位置(第24図参照)または照射光パルスを反射しない位置(第25図参照)に移動できる。ステージStg2はミラーM23を、照射光パルスを反射する位置(第24図参照)または照射光パルスを反射しない位置(第25図参照)に移動できる。なお、第24図および第25図において、点線の矢印は、ステージStg1およびステージStg2を移動できる方向を示す。
第24図を参照して、ステージStg1がミラーM21を、ステージStg2はミラーM23を、照射光パルスを反射する位置に移動させた場合は、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16へ照射光パルスが与えられる。よって、被測定信号出力器16はモニタ信号を出力する。
第25図を参照して、ステージStg1がミラーM21を、ステージStg2はミラーM23を、照射光パルスを反射しない位置に移動させた場合は、被測定信号出力器16へ被測定光パルスが与えられる。よって、被測定信号出力器16が被測定信号を出力する。
これにより、被測定信号出力器16に、被測定光パルスと照射光パルスとが時間領域において重ならないように到達する。第七の実施形態においては、照射光パルス出力器14から被測定信号出力器16への、被測定物2が存在する光路(第25図参照)と、被測定物2が存在しない光路(第24図参照)との光路差は一定値であれば、0であってもよい。
第七の実施形態の動作は、第五の実施形態と同様である。
第七の実施形態によれば、第五の実施形態と同様な効果を、モニタ信号出力器18を用いないで奏することができる。
なお、第七の実施形態においても、第五の実施形態の変形例(第26図参照)と同様に、バイアス電圧を変化させないで振幅誤差の補正を行うことが可能である。
第八の実施形態
第八の実施形態は、モニタ信号を用いないで、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)を測定することにより、被測定信号の振幅の測定誤差を補正する点が、第五の実施形態と異なる。
第29図は、本発明の第八の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第八の実施形態にかかる光測定装置1は、マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、M13、M14、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16、I/Vアンプ28、トリガ信号出力器32、波形表示器40、バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50、光パワー測定器52を備える。以下、第五の実施形態と同様な部分は、第五の実施形態と同じ番号を付して説明を省略する。
マスタレーザ11、スレーブレーザ12、ハーフミラーM11、M12、レンズL、照射光パルス出力器14、被測定信号出力器16およびトリガ信号出力器32は、第五の実施形態と同様であり、説明を省略する。
I/Vアンプ28は、被測定信号出力器16の出力する被測定信号(電流信号である)を、増幅しながら、電圧信号に変換し、波形表示器40に与える。
バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50は、照射光パルス出力器14にバイアス電圧を印加する。バイアス電圧供給部50は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を、波形表示器40の補正量導出部426の導出結果(バイアス電圧補正量ΔVb)だけ変化させることにより、被測定信号の振幅を補正する。被測定信号の振幅は被測定光パルスの振幅に応じて変化し、被測定光パルスの振幅は照射光パルスの振幅に応じて変化し、照射光パルスの振幅は照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧に応じて変化する。よって、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を変化させることで、被測定信号の振幅を補正することができる。
なお、バイアス電圧供給部50は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を測定し、波形表示器40の補正量導出部426に与える。
ハーフミラーM13は、ハーフミラーM11からトリガ信号出力器32に向かうマスタレーザ光パルスの一部を光パワー測定器52に導く。
ハーフミラーM14は、ハーフミラーM12からトリガ信号出力器32に向かうスレーブレーザ光パルスの一部を光パワー測定器52に導く。
光パワー測定器52は、マスタレーザ光パルスおよびスレーブレーザ光パルスのパワーを測定し、波形表示器40に与える。
波形表示器40は、被測定信号の波形を表示する。
第30図は、第八の実施形態にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。第八の実施形態にかかる波形表示器40は、温度計41、信号測定部42、信号表示部43、振幅誤差導出部417、デバイス・バイアス振幅特性記録部420、デバイス振幅特性記録部422、補正量導出部426を有する。信号測定部42および信号表示部43は、第五の実施形態と同様であり、説明を省略する。ただし、信号測定部42は、被測定信号を複数回測定し、被測定信号の測定を開始する旨を温度計41に伝達する。
温度計41は、信号測定部42から被測定信号の測定を開始する旨の伝達を受けると、その時点の光測定装置1の周囲の温度(環境温度T1,T2,T3,…)を測定し、振幅誤差導出部417に与える。例えば、被測定信号の1回目の測定時の環境温度がT1、被測定信号の2回目の測定時の環境温度がT2、被測定信号の3回目の測定時の環境温度がT3となる。温度計41による環境温度の測定は、厳密には、被測定信号の測定の直前に行われる。しかし、一般的には環境温度が瞬間的に大きく変動するわけではないので、被測定信号の測定の直前(または直後)に測定した環境温度も、被測定信号の測定時の環境温度であるとみなすことができる。
なお、波形表示器40内に温度計41があるものとして説明したが、温度計41の位置を波形表示器40内に限定するものではない。例えば、温度計41はバイアス電圧供給部50の近傍に配置されていてもよい。すなわち、温度計41は、環境温度を測定できるような位置にあればよい。
デバイス・バイアス振幅特性記録部420は、第五の実施形態の変形例(第26図参照)と同様であり、説明を省略する。
デバイス振幅特性記録部422は、振幅変動要因に対する被測定信号出力器16の出力の振幅の対応関係を記録する。ただし、振幅変動要因とは、照射光パルス出力器14に印加されるバイアス電圧、マスタレーザ光パルスのパワー、スレーブレーザ光パルスのパワーおよび環境温度のいずれか一つ以上である。
被測定信号出力器16の出力の振幅は、振幅変動要因の変化により、変化することがある。よって、上記の対応関係は、振幅変動要因のうちの一つ(例えば、環境温度)を変化させながら、他の振幅変動要因(例えば、バイアス電圧、マスタレーザ光パルスのパワーおよびスレーブレーザ光パルスのパワー)を一定にして、被測定物2を光測定装置1から外して、被測定信号出力器16の出力の振幅を測定することにより取得できる。なお、記録される対応関係は、振幅変動要因と被測定信号出力器16の出力の振幅とのデータであってもよいし、振幅変動要因と被測定信号出力器16の出力の振幅との関係を表す数式であってもよい。
第31図は、デバイス振幅特性記録部422の記録内容の一例を示す図である。デバイス振幅特性記録部422は、照射光パルス出力器14に印加されるバイアス電圧と被測定信号出力器16の出力の振幅Vdとの対応関係(第31図(a)参照)、マスタレーザ光パルスのパワーと被測定信号出力器16の出力の振幅Vdとの対応関係(第31図(b)参照)、スレーブレーザ光パルスのパワーと被測定信号出力器16の出力の振幅Vdとの対応関係(第31図(c)参照)、環境温度と被測定信号出力器16の出力の振幅Vdとの対応関係(第31図(d)参照)を記録する。ただし、いずれも、被測定物2を光測定装置1から外した状態で測定したものである。
振幅変動要因が高くなるにつれ、被測定信号出力器16の出力の振幅Vd(ただし、被測定物2は光測定装置1から外してある)が変化(例えば、単調増加)する。なお、第31図においては、被測定信号出力器16の出力の振幅Vdを曲線で図示しているが、直線となる場合も考えられる。
第33図は、振幅誤差導出部417の導出する振幅誤差を説明するための図である。第33図は、バイアス電圧の変動による振幅誤差(第33図(a)参照)、マスタレーザ光パルスのパワーの変動による振幅誤差(第33図(b)参照)、スレーブレーザ光パルスのパワーの変動による振幅誤差(第33図(c)参照)、環境温度の変動による振幅誤差(第33図(d)参照)を示す。なお、第33図における実線の曲線は、第31図における実線の曲線(デバイス振幅特性記録部422の記録内容)と同じものである。
振幅誤差導出部417は、デバイス振幅特性記録部422の記録内容に基づき、基準振幅変動要因(Vb1,MP1,SP1,T1)(Vb2’,MP2,SP2,T2)と被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(Vb2,MP2,SP2,T2)(Vb3,MP3,SP3,T3)との間の被測定信号の振幅の誤差を導出する。なお、振幅誤差導出部417は、環境温度の取得と同時に、他の振幅変動要因も取得する。
基準振幅変動要因は、前回に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因としてもよい。
例えば、振幅誤差導出部417は、1回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(基準振幅変動要因:Vb1,MP1,SP1,T1)と、2回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(Vb2,MP2,SP2,T2)との間の被測定信号の振幅の誤差を導出する。
第33図(a)を参照して、バイアス電圧がVb1からVb2に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd1bである。第33図(b)を参照して、マスタレーザ光パルスのパワーがMP1からMP2に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd1mである。第33図(c)を参照して、スレーブレーザ光パルスのパワーがSP1からSP2に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd1sである。第33図(d)を参照して、環境温度がT1からT2に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd1Tである。この場合、被測定信号の振幅の誤差ΔVd1は、ΔVd1b+ΔVd1m+ΔVd1s+ΔVd1Tである。
例えば、振幅誤差導出部417は、2回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(基準振幅変動要因:Vb2’,MP2,SP2,T2)と、3回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(Vb3,MP3,SP3,T3)との間の被測定信号の振幅の誤差を導出する。ただし、バイアス電圧Vb2’は、振幅誤差を補正するために、バイアス電圧Vb2をVb2’に変化させたものである。
第33図(a)を参照して、バイアス電圧がVb2’からVb3に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd2bである。第33図(b)を参照して、マスタレーザ光パルスのパワーがMP2からMP3に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd2mである。第33図(c)を参照して、スレーブレーザ光パルスのパワーがSP2からSP3に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd2sである。第33図(d)を参照して、環境温度がT2からT3に変動することによる被測定信号の振幅の変動は、ΔVd2Tである。この場合、被測定信号の振幅の誤差ΔVd2は、ΔVd2b+ΔVd2m+ΔVd2s+ΔVd2Tである。
補正量導出部426は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容に基づき、振幅誤差導出部417により導出された被測定信号の振幅の誤差ΔVd1、ΔVd2を打ち消す分だけ被測定信号の振幅を変動させるために必要なバイアス電圧の補正量ΔVb1、ΔVb2を導出する。
第34図は、補正量導出部426によるバイアス電圧の補正量の導出を説明するための図である。第34図における実線の曲線は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容(第27図参照)である。
被測定信号の振幅の誤差ΔVd1(>0)は、上述のとおり、ΔVd1b+ΔVd1m+ΔVd1s+ΔVd1Tである。このときのバイアス電圧は、Vb2である。振幅誤差ΔVd1を打ち消す(減らす)ためには、バイアス電圧Vb2をVb2’に減らせばよい。バイアス電圧Vb2’は、バイアス電圧Vb2に対応する被測定信号出力器16の出力の振幅から、振幅誤差ΔVd1を減じた値に対応するバイアス電圧である。バイアス電圧の補正量ΔVb1は、Vb2’−Vb2となる。
バイアス電圧供給部(振幅誤差補正部)50は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧を、補正量導出部426の導出したバイアス電圧の補正量ΔVbだけ変化させる。なお、補正量導出部426は、振幅誤差導出部417により導出された被測定信号の振幅の誤差ΔVdに基づき、バイアス電圧の補正量ΔVbを導出している。よって、バイアス電圧供給部50は、振幅誤差導出部417の導出結果に基づき、被測定信号の振幅を補正する。
次に、第八の実施形態の動作を説明する。
第32図は、第八の実施形態の動作を示すフローチャートである。
まず、マスタレーザ11から出力されたマスタレーザ光パルスが、ハーフミラーM11を介して、照射光パルス出力器14に与えられる。照射光パルス出力器14からは照射光パルスが出力される。照射光パルスは、被測定物2を透過し、被測定光パルスとなって、被測定信号出力器16に与えられる。
また、スレーブレーザ12から出力されたスレーブレーザ光パルスが、ハーフミラーM12を介して、被測定信号出力器16に与えられる。
被測定信号出力器16からは被測定信号(電流信号である)が出力され、I/Vアンプ28により増幅されながら、電圧信号に変換され、波形表示器40に与えられる。
なお、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとは、ハーフミラーM11、M12により反射されて、トリガ信号出力器32に与えられる。トリガ信号出力器32は、マスタレーザ光パルスとスレーブレーザ光パルスとを同時に受けた時点で、トリガ信号を出力する。なお、トリガ信号は、波形表示器40に与えられる。
ここで、温度計41が、環境温度T1を測定する(S130:1回目の測定)。なお、環境温度以外の振幅変動要因の測定も行われる。測定された環境温度T1は振幅誤差導出部417に与えられ、これと同時に、光パワー測定器52が測定したマスタレーザ光パルスのパワーおよびスレーブレーザ光パルスのパワーMP1、SP1と、バイアス電圧供給部50が測定したバイアス電圧Vb1とが振幅誤差導出部417に与えられる。
さらに、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の振幅を測定する(S132:1回目の測定)。
被測定信号の測定(S132:1回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから温度計41が、環境温度T2を測定する(S142:2回目の測定)。なお、環境温度以外の振幅変動要因の測定も行われる。測定された環境温度T2は振幅誤差導出部417に与えられ、これと同時に、光パワー測定器52が測定したマスタレーザ光パルスのパワーおよびスレーブレーザ光パルスのパワーMP2、SP2と、バイアス電圧供給部50が測定したバイアス電圧Vb2とが振幅誤差導出部417に与えられる。
ここで、振幅誤差導出部417は、デバイス振幅特性記録部422の記録内容に基づき、1回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(基準振幅変動要因:Vb1,MP1,SP1,T1)と、2回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(Vb2,MP2,SP2,T2)との間の被測定信号の振幅の誤差ΔVd1を導出する(S144:2回目の測定)。なお、第33図を参照して、ΔVd1は、ΔVd1b+ΔVd1m+ΔVd1s+ΔVd1Tである。
補正量導出部426は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容(第27図参照)に基づき、振幅誤差導出部417により導出された被測定信号の振幅の誤差ΔVd1を打ち消す分だけ被測定信号の振幅を変動させるために必要なバイアス電圧の補正量ΔVb1を導出する(第34図参照)。バイアス電圧の補正量ΔVb1は、バイアス電圧供給部50に与えられる。バイアス電圧供給部50は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧Vb2を、バイアス電圧の補正量ΔVb1だけ変化させることで、Vb2’(=Vb2+ΔVb1)とし、被測定信号の振幅を振幅誤差ΔVd1の分だけ減じて、被測定信号の振幅誤差を補正する(S146:2回目の測定)。
その後、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の振幅を測定する(S148:2回目の測定)。
被測定信号の測定(S148:2回目の測定)から、ある程度の時間が経過してから温度計41が、環境温度T3を測定する(S142:3回目の測定)。なお、環境温度以外の振幅変動要因の測定も行われる。測定された環境温度T3は振幅誤差導出部417に与えられ、これと同時に、光パワー測定器52が測定したマスタレーザ光パルスのパワーおよびスレーブレーザ光パルスのパワーMP3、SP3と、バイアス電圧供給部50が測定したバイアス電圧Vb3とが振幅誤差導出部417に与えられる。
ここで、振幅誤差導出部417は、デバイス振幅特性記録部422の記録内容に基づき、2回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(基準振幅変動要因:Vb2’,MP2,SP2,T2)と、3回目に被測定信号が測定された時点の測定振幅変動要因(Vb3,MP3,SP3,T3)との間の被測定信号の振幅の誤差ΔVd2を導出する(S144:3回目の測定)。なお、第33図を参照して、ΔVd2は、ΔVd2b+ΔVd2m+ΔVd2s+ΔVd2Tである。
補正量導出部426は、デバイス・バイアス振幅特性記録部420の記録内容(第27図参照)に基づき、振幅誤差導出部417により導出された被測定信号の振幅の誤差ΔVd2を打ち消す分だけ被測定信号の振幅を変動させるために必要なバイアス電圧の補正量ΔVb2を導出する。バイアス電圧の補正量ΔVb2の導出法は、ΔVb1の導出法(第34図参照)と同様である。バイアス電圧の補正量ΔVb2は、バイアス電圧供給部50に与えられる。バイアス電圧供給部50は、照射光パルス出力器14に印加するバイアス電圧Vb3を、バイアス電圧の補正量ΔVb2だけ変化させることで、Vb3’(=Vb3+ΔVb2)とし、被測定信号の振幅を振幅誤差ΔVd2の分だけ減じて、被測定信号の振幅誤差を補正する(S146:3回目の測定)。
その後、信号測定部42が、トリガ信号を基準とした被測定信号の出力時点(例えば、出力開始時点)および被測定信号の振幅を測定する(S148:3回目の測定)。
第八の実施形態によれば、テラヘルツ光(照射光パルス)などの光による被測定物2の測定結果(出力時点)の、光測定装置1の周囲の温度(環境温度)等の振幅変動要因の変化による誤差を、振幅変動要因から振幅誤差導出部417が推測して、その誤差をバイアス電圧供給部50により補正するため、被測定信号の振幅を正確に得ることができる。
なお、第八の実施形態においては、バイアス電圧供給部50によりバイアス電圧を変化させることで振幅誤差を補正したが、バイアス電圧の変化によらない振幅誤差の補正も可能である。第35図は、第八の実施形態の変形例(バイアス電圧の変化によらない振幅誤差の補正を行う)にかかる波形表示器40の構成を示す機能ブロック図である。
第八の実施形態の変形例にかかる波形表示器40は、第八の実施形態の波形表示器40から、デバイス・バイアス振幅特性記録部420および補正量導出部426を削除し、振幅誤差補正部419を付加した構成となっている。
第八の実施形態の変形例にかかる波形表示器40における振幅誤差導出部417は、導出した振幅誤差ΔVd1,ΔVd2,…を、バイアス電圧供給部50にではなく、振幅誤差補正部419に与える。振幅誤差補正部419は、振幅誤差ΔVd1,ΔVd2,…を、信号測定部42に与え、信号測定部42において、−ΔVd1,−ΔVd2,…だけ被測定信号の振幅をずらして、振幅誤差ΔVd1,ΔVd2,…を打ち消すようにする。なお、信号測定部42は、その測定結果をデジタルデータとしてから出力するものとすれば、このデジタルデータにおける振幅のデータを−ΔVd1,−ΔVd2,…だけ変更してから出力すればよい。このようにして、信号測定部42による測定結果が補正される。
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば波形表示器40の各部分を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。