(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
石油及び/またはガス生産用のフローラインであって、前記フローラインはポリアリーレンスルフィド組成物を含み、前記フローラインのポリアリーレンスルフィド組成物は、
ポリアリーレンスルフィド、及び
エポキシ官能基化されたコポリマーと非ポリマー性多官能性カルボン酸とが架橋されてなる耐衝撃性改良剤を含み、
前記組成物は、温度23℃及び速度50mm/分で、ISO試験No.527に従って測定して、50%以上の破断点引張伸びを示す、
前記フローライン。
前記フローラインが接着された若しくは接着されていない多層フローライン、ライザー、束ねられたフローライン、支持流体フローライン、またはパイプ-イン-パイプである、請求項1または2に記載のフローライン。
前記ポリアリーレンスルフィド組成物を含むフローラインに取り付けられている取り付け部品、コネクタ、アンカー、係船用具、ブイ、またはヨークをさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載のフローライン。
前記架橋耐衝撃性改良剤が、耐衝撃性改良剤のエポキシ官能基と架橋剤との反応生成物または耐衝撃性改良剤の無水マレイン酸官能基と架橋剤との反応生成物を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のフローライン。
ポリアリーレンスルフィド組成物の成形段階が、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、圧縮成形、ホットスタンピング、紡糸及び引抜成形の一つ以上を含む成形方法を含む、請求項10〜17のいずれかに記載の方法。
前記成形が少なくとも四つのゾーンをもつ押出機を使用する押出プロセスを含み、第一のゾーンの温度は約276℃〜約288℃であり、第二のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、第三のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、及び第四のゾーンの温度は約540℃〜約580℃である、請求項10〜18のいずれかに記載の方法。
前記フローラインを、前記ポリアリーレンスルフィド組成物を含むコネクタ、取り付け部品、アンカー、係船用具、ブイ、またはヨークに取り付ける工程をさらに含む、請求項10〜21のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0030]当業者には、本考察が例示的な態様を記載しただけであり、本開示のより広い側面を限定するものではないと理解されるべきである。
【0011】
[0031]本開示は、一般に、石油及び/またはガス生産系で使用するためのフローラインに関する。より具体的には、フローラインは、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形されるか、または高い強度、低透過性、並びに化学的劣化(chemical degradation)及び熱的劣化に対する耐性を示すポリアリーレンスルフィド組成物から形成されるバリヤー層を含む。フローラインは、一般に、これらに限定されないが、生産炭化水素及び支持流体(supporting fluid)、例えば注入流体、作動液(hydraulic fluid)、廃水などを含む石油及び/またはガス生産作業で使用され得る任意の数多くの流体を運搬するように使用するために、管状の形状と、その中に中空の通路をもつ。有益には、本ポリアリーレンスルフィド組成物は、フローラインの耐用年数の間に遭遇するかもしれないような、極端な温度での用途で使用されるときでさえも、良好な物理的特性を維持し得る。さらに、フローラインがうまく垂直方向と水平方向の両方の動きに耐えることができるように、ポリアリーレンスルフィド組成物の優れた柔軟性及び弾性(elasticity)は、生産用途で利益をもたらすことができるので、浮揚施設を含む沖合施設並びに陸上施設でこれらを使用するのに理想的にする。
【0012】
[0032]フローラインを成形するのに使用されるポリアリーレンスルフィド組成物は、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤とを混和(combine)して、混合物を形成(form)すること、及び前記混合物を動的加硫に暴露することを含む溶融加工技術に従って形成することができる。より具体的には、耐衝撃性改良剤がポリアリーレンスルフィドの中に十分にくまなく分布(分散:distribute)されるように、ポリアリーレンスルフィドを耐衝撃性改良剤と混和し、この混合物を剪断条件に暴露することができる。混合物を形成した後、多官能性(polyfunctional)架橋剤をこの混合物に添加することができる。多官能性架橋剤は、混合物の成分と反応して、組成物の内部で、たとえば耐衝撃性改良剤のポリマー鎖の内部及び間で架橋を形成することができる。一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、第二の官能性材料(functional material)で処理して、ポリアリーレンスルフィド上に追加の反応性官能基を形成することもでき、これはさらに組成物の成分の間の相互作用及び架橋を促進することができる。
【0013】
[0033]特別な理論に拘束されないが、ポリアリーレンスルフィドの中にくまなく耐衝撃性改良剤を分布させた後に、ポリアリーレンスルフィド組成物に多官能性架橋剤を添加する、及び組成物を動的に架橋することによって、溶融加工装置内部のポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤、及び架橋剤間の相互作用が改善されて、組成物の中でくまなく架橋耐衝撃性改良剤の分布が改善されると考えられる。組成物の中でくまなく架橋耐衝撃性改良剤の分布が改善されると、組成物の強度及び柔軟特性、たとえば、変形下で組成物が強度を維持する能力を改善する、並びに様々な条件下での優れた不浸透性及び劣化に対し優れた耐性を示すことができるフローラインを成形するのに使用し得る良好な加工性を組成物に提供することができる。
【0014】
[0034]ポリアリーレンスルフィド組成物の高強度及び柔軟特性は、材料の引張り、曲げ、及び/または衝撃特性を調べることによって明らかにすることができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物は、23℃で、ISO試験No.179-1(ASTM D256、方法Bと技術的に同等)に従って測定して、約3kJ/m
2を超える、約3.5kJ/m
2を超える、約5kJ/m
2を超える、約10kJ/m
2を超える、約15kJ/m
2を超える、約30kJ/m
2を超える、約33kJ/m
2を超える、約40kJ/m
2を超える、約45kJ/m
2を超える、または約50kJ/m
2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さをもつことができる。ノッチなしシャルピーサンプルは、23℃で、ISO試験No.180(ASTM D256と技術的に同等)の試験条件下で破壊しない。
【0015】
[0035]有益には、ポリアリーレンスルフィド組成物は、高温及び低温の両方を含む極端な温度でさえも良好な物理的特性を維持することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物は、−30℃で、ISO試験No.179-1に従って測定して、約8kJ/m
2を超える、約9kJ/m
2を超える、約10kJ/m
2を超える、約14kJ/m
2を超える、約15kJ/m
2を超える、約18kJ/m
2を超える、または約20kJ/m
2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さをもつことができ;−40℃で、ISO試験No.179-1に従って測定して、約8kJ/m
2を超える、約9kJ/m
2を超える、約10kJ/m
2を超える、約11kJ/m
2を超える、約12kJ/m
2を超える、または約15kJ/m
2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さをもつことができる。
【0016】
[0036]さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物における温度変化の影響は意外にも小さくなりうる。たとえば、23℃におけるISO試験No.179-1に従って測定したノッチ付きシャルピー衝撃強さ対−30℃におけるISO試験No.179-1に従って測定したノッチ付きシャルピー衝撃強さの比は、約3.5を超え、約3.6を超え、または約3.7を超えることができる。従って、及び以下の実施例区分により詳細が記載されるように、温度が上昇するにつれて、ポリアリーレンスルフィド組成物の衝撃強さも予想通り上昇するが、衝撃強さの増加の割合は、特に動的に架橋された耐衝撃性改良剤を含まない組成物と比較して、非常に高い。従って、本ポリアリーレンスルフィド組成物は広い温度範囲で優秀な強度特性を示すことができる。
【0017】
[0037]ポリアリーレンスルフィド組成物は非常に良好な引張特性を示すことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物は、約4.5%を超える、約6%を超える、約7%を超える、約10%を超える、約25%を超える、約35%を超える、約50%を超える、約70%を超える、約75%を超える、約80%を超える、または約90%を超える降伏点引張伸び(tensile elongation at yield)をもつことができる。同様に、破断点引張伸び(tensile elongation at break)は非常に高く、たとえば約10%を超える、約25%を超える、約35%を超える、約50%を超える、約70%を超える、約75%を超える、約80%を超える、または約90%を超えることができる。破断点歪み(strain at break)は、約5%を超える、約15%を超える、約20%を超える、または約25%を超えることができる。たとえば、破断点歪みは約90%でありえる。降伏歪み(yield strain)は同様に高くなりえ、たとえば約5%を超える、約15%を超える、約20%を超える、または約25%を超える。降伏応力(yield stress)は、たとえば約50%を超えるか、または約53%を超えることができる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、約30MPaを超える、約35MPaを超える、約40MPaを超える、約45MPaを超える、または約70MPaを超える破断点引張強さ(tensile strength at break)をもつことができる。
【0018】
[0038]さらにポリアリーレンスルフィド組成物は、比較的低い引張弾性率をもつことができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、温度23℃及び試験速度5mm/分で、ISO試験NO.527に従って測定して、約3000MPa未満、約2300MPa未満、約2000MPa未満、約1500MPa未満、または約1100MPa未満の引張弾性率をもつことができる。
【0019】
[0039]ポリアリーレンスルフィド組成物は、その上、アニール(annealing)後に、良好な特性を示すことができる。たとえば、温度約230℃で約2時間のアニール後、組成物の引張弾性率は、約2500MPa未満、約2300MPa未満、または約2250MPa未満でありえる。温度23℃及び試験速度5mm/分で、ISO試験NO.527に従って測定したアニール後の破断点引張強さは、約50MPaを超える、または約55MPaを超えることができる。
【0020】
[0040]ポリアリーレンスルフィド組成物は、高い温度、たとえば最高約150℃、約160℃、または約165℃の連続使用温度で、引張り強さが低下することなく、連続して使用することもできる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、165℃で1000時間、熱老化(熱エージング:heat aging)後に、元の引張り強さを約95%を超えて、たとえば約100%を維持することができ、且つ135℃で1000時間、熱老化後に、元の降伏点引張伸びを約95%を超えて、たとえば約100%を維持することができる。
【0021】
[0041]引張特性は、温度23℃及び試験速度5mm/分、または50mm/分でISO試験No.527(23℃におけるASTM D623と技術的に同等)に従って測定することができる。
【0022】
[0042]本組成物の曲げ特性は、温度23℃及び試験速度2mm/分でISO試験No.178(ASTM D790と技術的に同等)に従って測定することができる。たとえば、組成物の曲げ弾性率は、約2500MPa未満、約2300MPa未満、約2000MPa未満、約1800MPa未満、または約1500MPa未満でありえる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、約30MPaを超える、約35MPaを超える、約40MPaを超える、約45MPaを超える、または約70MPaを超える破断点曲げ強さ(flexural strength at break)をもつことができる。
【0023】
[0043]ポリアリーレンスルフィド組成物の荷重撓み温度(deflection temperature under load)は比較的高くなりうる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物の荷重撓み温度は、1.8MPaにおいて、ISO試験No.75-2(ASTM D790と技術的に同等)に従って測定して、約80℃を超える、約90℃を超える、約100℃を超える、または約105℃を超えることができる。
【0024】
[0044]ビカット軟化点(Vicat softening point)は、加熱速度50K/時間で荷重10Nを使用するときに、ビカットA試験(Vicat A test)に従って測定して、約200℃を超える、または約250℃を超えることができ、たとえば約270℃である。加熱速度50K/時間で荷重50Nを使用するときに、ビカットB試験に関しては、ビカット軟化点は、約100℃を超える、約150℃を超える、約175℃を超える、または約190℃を超えることができ、たとえば約200℃である。ビカット軟化点は、ISO試験No.306(ASTM D1525と技術的に同等)に従って測定することができる。
【0025】
[0045]ポリアリーレンスルフィド組成物は、過酷な環境条件に長期間暴露される間も、優れた安定性を示すことができる。たとえば、酸性環境に長期暴露下(under long term exposure)で、ポリアリーレンスルフィド組成物は、強度特性で殆ど減少を示さない。たとえば強酸(たとえば硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸などの強酸約5%以上の溶液)に500時間暴露した後に、ポリアリーレンスルフィド組成物は、温度約40℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、約17%未満、または約16%未満のシャルピーノッチ付き衝撃強さの減少(loss)を示すことができ、温度約80℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、約25%未満、または約22%未満のノッチ付きシャルピー衝撃強さ(Charpy notched impact strength)の減少を示すことができる。たとえば温度約80℃に保持した10%硫酸溶液中で1000時間のより過酷な条件下でさえも、ポリアリーレンスルフィド組成物は、当初のノッチ付きシャルピー衝撃強さの約80%以上を維持することができる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、潜在的に分解性の材料、たとえば塩に暴露された後で所望の強度特性を維持することもできる。
【0026】
[0046]透過抵抗(permeation resistance)は、石油及びガス用途で使用されるフローラインにとっては重要である。ポリアリーレンスルフィド組成物は、広範な種類の材料に対して優れた透過抵抗を示すことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物で成形したフローラインは、約3g-mm/m
2-日未満、約2g-mm/m
2-日未満、約1g-mm/m
2-日未満、または約0.5g-mm/m
2-日未満の燃料または燃料源(たとえばガソリン、ディーゼル油、ジェット燃料、未精製または精製油など)に対する透過抵抗を示すことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド組成物(またはポリアリーレンスルフィド組成物で成形したフローラインまたはフローラインの層)は、約3g-mm/m
2-日未満、約2.5g-mm/m
2-日未満、約1g-mm/m
2-日未満、または約0.1g-mm/m
2-日未満の、40℃においてエタノール/イソオクタン/トルエンのエタノールブレンド(重量比10:45:45)に対する透過抵抗を示すことができる。40℃における15wt%メタノール及び85wt%含酸素燃料(oxygenated fuel)のブレンド(CM15A)に対する透過抵抗は、約3g-mm/m
2-日未満、約2.5g-mm/m
2-日未満、約1g-mm/m
2-日未満、約0.5g-mm/m
2-日未満、約0.3g-mm/m
2-日未満、または約0.15g-mm/m
2-日未満でありえる。40℃におけるメタノールに対する透過抵抗は、約1g-mm/m
2-日未満、約0.5g-mm/m
2-日未満、約0.25g-mm/m
2-日未満、約0.1g-mm/m
2-日未満、または約0.06g-mm/m
2-日未満でありえる。透過抵抗は、SAE試験法No.J2665に従って測定することができる。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物は、炭化水素に長期間暴露した後に、元の密度を維持することができる。たとえば、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素または炭化水素の組み合わせに長期間(たとえば約14日を超える)暴露した後に、元の密度の約95%を超えて、元の密度の約96%を超えて維持することができ、たとえば元の密度の約99%を維持することができる。
【0027】
[0047]ポリアリーレンスルフィド組成物は、材料、特に炭化水素の取り込み(hydrocarbon uptake)に対しても耐性でありえる。たとえば本組成物で成形した成形構造体は、温度130℃で約2週間の期間、炭化水素に暴露した後に、約25%未満、約20%未満、または約14%未満の体積変化を示すことができる。
【0028】
[0048]ポリアリーレンスルフィド組成物は、良好な耐熱性及び難燃性を示すことができる。たとえば、本組成物は厚さ0.2ミリメートルでV-0燃焼性規格(flammability standard)を満たすことができる。難燃効力(flame retarding efficacy)は、“Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”、第5版、1996年10月29日のUL94垂直燃焼試験(Vertical Burn Test)手順に従って測定することができる。UL94試験に従った評価を以下の表に列記する。
【0030】
[0049]残炎時間(afterflame time)とは、全残炎時間(試験したすべてのサンプルの総計)をサンプル数で割ることにより得られる平均値である。全残炎時間は、UL-94 VTM試験で記載したように、火炎を二回、別々に適用した後に、全サンプルが発火したままだった時間(秒)の合計である。時間が短ければ、より良好な耐燃性(難燃性:flame resistance)を示す。すなわち、火炎は早く消えた。V-0の評価に関しては、それぞれ火炎を二回適用する、五つ(5)のサンプルの全残炎時間は、50秒を超えてはいけない。本発明の難燃剤(flame retardant)を使用すると、物品は、厚さ0.2ミリメートルの試験片に関しては、少なくともV-1評価、典型的にはV-0評価を達成することができる。
【0031】
[0050]ポリアリーレンスルフィド組成物は、たとえば組成物の溶融粘度により示されるように、良好な加工特性を示すこともできる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、一定の剪断を5分間適用した後で実施した粘度測定で、316℃及び400秒
-1においてキャピラリーレオメーターで測定して、約2800ポアズ(poise)未満の溶融粘度をもつことができる。さらにはポリアリーレンスルフィド組成物は、架橋耐衝撃性改良剤を含まないポリアリーレンスルフィド組成物と比較して、長期にわたって改善された溶融安定性を示すことができる。架橋耐衝撃性改良剤を含まないポリアリーレンスルフィド組成物は、長期にわたって溶融粘度の上昇を示す傾向があるが、開示された組成物は、長期にわたって溶融粘度を維持するまたは、低下させることすらできる。
【0032】
[0051]ポリアリーレンスルフィド組成物は、低剪断(0.1ラジアン/秒(rad/s))及び310℃で測定して、約10kPa/秒を超える、約25kPa/秒を超える、約40kPa/秒を超える、約50kPa/秒を超える、約75kPa/秒を超える、約200kPa/秒を超える、約250kPa/秒を超える、約300kPa/秒を超える、約350kPa/秒を超える、約400kPa/秒を超える、または約450kPa/秒を超える複素粘度(complex viscosity)をもつことができる。低剪断での複素粘度の値がより高いことは、組成物の架橋構造及びポリアリーレンスルフィド組成物のより高い溶融強度の兆候である。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物は、より高い剪断感受性(shear sensitivity)を示し、このことは、ブロー成形及び押出加工などの成形プロセスで使用するのに優れた特性であることを示している。
【0033】
[0052]ポリアリーレンスルフィド組成物の優れた物理的特性により、ポリアリーレンスルフィド組成物は、最内層(innermost layer)としてまたは内部境界層(boundary layer)(たとえば内部カーカスにすぐに隣接する)として非常に有益に使用することができるけれども、単層フローラインまたは多層フローラインの追加の層、たとえば、多層フローラインの最内層と最外層(outermost layer)との間に配置しえる一つ以上の耐摩耗層を成形するのに使用することもできる。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物は、当業界で一般に公知のように、接着された(bonded)または接着されていない(unbounded)多層フローラインの成形で使用することができる。
【0034】
[0053]ポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れるフローラインは、単層または多層でありえる。多層フローラインを考えるとき、ポリアリーレンスルフィド組成物を使用して、フローラインの内部バリヤー層を成形することができるが、多層フローラインのポリアリーレンスルフィド組成物層は、全くバリヤー層に限定されず、多層フローラインの一つ以上の他の層は、ポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れることができると理解すべきである。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物は、取り付け部品及びコネクタ、アンカー、係船用具、ブイ、ヨークなどのフローライン系の部品用に使用することができる。
【0035】
[0054]フローラインは、当業界で一般に公知のように、任意のガス及び/または石油生産施設で公知の実務に従って使用することができる。たとえば、
図1は、海中施設から浮遊船(floating vessel)62へ生産流体(production fluid)を導くためのフレキシブルライザー(flexible riser)61を含む典型的な沖合施設を説明する。浮遊船62は、海底64をもつ水域の上に浮遊して図示される。フレキシブルライザー61は、ヨーク(yoke)66を通してカテナリー係留ブイ65を通して海中パイプライン末端マニホールド68から浮遊船62へ生産流体を運搬するために提供される。カテナリー係留ブイ65は、アンカーライン63により、海底64に提供されたアンカー67に固定される。パイプライン末端マニホールド68は、複数のフローライン67により井(well)69に接続される。
【0036】
[0055]
図1に説明されるフレキシブルライザーは、任意の好適な形状をもつことができる。たとえばこれらは接着されたライザー、または接着されていないライザーとして設計することができ、当業界で公知のように、急勾配のS若しくはゆるいS字形状でありえるか、または急勾配の波状若しくはゆるい波状形状でありえる。
図1に説明されているように、標準的な浮力モジュール(buoyancy module)70をフレキシブルライザーと共に使用して、公知のような所望の形状とすることができる。ライザー61はクレードル(cradle)とブイなどを含むことができる浮力モジュール70を通りすぎる。浮力モジュール70は、ライザー61を支持するためにアンカーライン63に付けられて、アンカーライン63とライザー61の長さによって決定されるように、所望の位置に保持することもできる。
【0037】
[0056]
図2は、複数の様々な種類のフローラインを組み入れられる典型的な沖合産出地帯(field)を示し、その一つ以上は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形した少なくともバリヤー層を含むことができる。示されるように、沖合産出地帯は海底92からプラットフォーム95へ生産流体を運搬することができる固定ライザー91を含むことができる。産出地帯は、産出地帯の内部に生産流体、支持流体、アンビリカル(umbilical)などを運搬するインフィールド・フローライン93を含むことができる。さらに、ライザー91とインフィールド・フローライン93の両方は、上記のように束ねられた(bundled)ラインであることができる。この系は、様々なフローラインが合流して、たとえば束ねられたライザーを形成する地点及び/または、個々のフローラインが、たとえば膨張によって変更され得る地点に複数の連結装置(tie-in)94も含む。この系は、炭化水素生産流体が得られる複数のサテライト井98とマニホールドも含む。輸出パイプライン97は、プラットフォーム95から、海岸、貯蔵施設または輸送船へ生産流体を運搬することができる。輸出パイプライン97は、他のフローライン、たとえば別のパイプライン99を迂回するために、一つ以上の交差96も含むことができる。
【0038】
[0057]
図3を参照して、ポリアリーレンスルフィド組成物を組み入れられるフレキシブルライザー8の一態様が示されている。示されているように、ライザー8は幾つかの同心円層を含む。最内部層は通常、カーカス2と呼ばれ、外部圧力に対して耐性を提供するために、螺旋状に巻かれたステンレススチールストリップから形成することができる。カーカス2は通常、隣接するバリヤー層6を支持し、且つ操作の間に加わった圧力または荷重による破壊からライザーを保護する金属(たとえばステンレススチール)チューブである。フレキシブルライザー8のボア(穴:bore)は、ライザーによって運搬されるべき流体に依存して変動しえる。たとえば、ライザー8は、注入流体(たとえば水及び/またはメタノール)などの支持流体を運搬するために使用する目的では平滑なボアをもつことができ、生産流体(たとえば石油及びガス)を運搬する際には粗な(rough)ボアをもつことができる。存在する場合には、カーカスは、一般に厚さ約5〜約10ミリメートルでありえる。一態様に従って、カーカスは互いに組み合って(噛み合って:interlock)、強固な相互連結(interconnect)したカーカスを形成する螺旋状に巻きつけられたステンレススチールストリップにより形成することができる。
【0039】
[0058]バリヤー層6は、カーカス2のすぐ隣にある。バリヤー層は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形され、ライザーにより運搬される流体がライザー壁を通して浸透しないようにしつつ、強度と柔軟性を提供する。さらに、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成したバリヤー層6は、ライザーにより運搬される流体(たとえば、生産流体、注入流体など)、並びにライザーが使用される温度条件の両方による劣化に対して耐えることができる。バリヤー層6は一般に、厚さ約3〜約10ミリメートルであり、カーカス2の上に溶融物から押し出すことができる。
【0040】
[0059]ライザー8は、外部スリーブ及び外部流体バリヤー、並びに摩耗などによる外部損傷からライザーに対する保護を提供するか、環境物質に遭遇する外層22も含むだろう。外層22は、機械的損傷と、ライザーの内層への海水の侵入の両方に耐えうるポリアリーレンスルフィド組成物または高密度ポリエチレンなどのポリマー材料で成形することができる。一態様に従って、外層22は、強化材料、たとえば炭素繊維、カーボンスチール繊維またはガラス繊維と共に、ポリマー材料を含む複合材料でありえる。
【0041】
[0060]フープ強度層(hoop strength layer)4は、圧力差によってライザー壁に加わった力により生じたフープ応力に耐えるライザーの能力を高めるために、バリヤー層に対して外側に配置することができる。フープ強度層は、通常、厚さ約3ミリメートル〜約7ミリメートルの層を形成し得る、カーボンスチールのらせん状に巻きつけられたストリップなどから形成した金属層でありえる。フープ強度層は、ライザーの曲げと内圧の両方に耐えることができる。一態様において、フープ強度層4を形成するカーボンスチールストリップは、隣接する巻き(winding)が互いに組み合って(噛み合って)より強い層を形成するように、インターロック・プロフィール(interlocking profile)、たとえばS-またはZ-断面構造を画定することができる。一態様において、フープ強度層は、加えられる強度に関して複数の材料を含むことができる。たとえば設計及び圧力必要条件がより高い破裂強度を必要とする一態様では、第二の平坦な金属ストリップを、フープ強度層の組み合った金属ストリップの上にらせん状に巻きつけて、この層にさらなる強度を提供することができる。本明細書中でさらに記載する耐摩耗層などの途中にある(intervening)ポリマー層は、同様に、場合によりフープ強度層の二つの層の間に配置することができる。
【0042】
[0061]追加の強度層(strength layer)18及び20は、らせん状に巻きつけられた金属(一般にカーボンスチール)ストリップから形成することができる。強度層18及び20は、ポリマー性耐摩耗層17及び19によりフープ強度層4から、並びに互いに引き離すことができる。強度層18及び20は、ライザーに追加のフープ強度並びに軸方向強度を提供することができる。ライザー8は二つの強度層18、20を含むが、ライザーは、全く強度層を含まない、一つ、二つ、三つ以上の強度層を含むなど、任意の好適な数の強度層を含むことができることは理解すべきである。通常、強度層18及び20のらせん状に巻きつけられた金属ストリップは重ねられるが、組み合わせる(噛み合わせる)必要はない。従って、強度層18、20は、約1ミリメートル〜約5ミリメートルの幅をもつことができる。
【0043】
[0062]途中にある(intervening)耐摩耗層17、19は、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができるか、あるいはポリアミド、高密度ポリエチレンなどの他のポリマーから形成することができる。一態様において、耐摩耗層17、19は、一方向繊維、たとえばカーボンまたはガラス繊維を含む複合材料でありえる。たとえば耐摩耗層17、19は、互いの強度層の上に螺旋状に巻きつけられる引き抜き成形ポリマーテープまたはリボンなどの、ポリマーテープまたは繊維強化ポリマーテープから形成することができる。耐摩耗層17、19は、層を形成するストリップの動きにより生じかねない隣接する強度層の磨滅を防ぐことができる。耐摩耗層17、19は、隣接層の鳥かご型変形(birdcaging)も防ぐことができる。ライザー8の強度層18、20と同様に、耐摩耗層の数は特に限定されず、ライザーは、ライザーが使用される深さ及び局所的環境、ライザーにより運搬される流体などに依存して、全く耐摩耗層を含まないか、または一つの耐摩耗層若しくは複数の耐摩耗層を含むことができる。耐摩耗層17、19は、比較的薄く、たとえば約0.2〜約1.5ミリメートルでありえる。
【0044】
[0063]ライザーは、一般に当業界で公知のように追加の層を含むことができる。たとえばライザーは、外層22に対してすぐ内部に、絶縁層(insulation layer)を含むことができる。存在するときには、絶縁層は、発泡体、繊維状マット、または公知のように任意の他の絶縁材料から形成することができる。たとえば、絶縁テープの単層または多数の層を外部強度層の上に巻きつけて、外部強度層20と外層22との間に絶縁層を形成することができる。
【0045】
[0064]上記記載はアンボンド・フレキシブルライザーに関してのものであるが、ポリアリーレンスルフィド組成物は接着されたフローラインの形成で同様に使用することができると理解すべきである。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、沖合の石油及びガス施設で使用するために、結合ラインのバリヤー層及び、場合により一つ以上の追加の層を形成する際に使用することができる。
【0046】
[0065]沖合施設で使用するための他のフローライン、例えばジャンパー(jumper)、パイプライン、流体供給ラインなどは、
図3に説明されるようにライザー8と同一の一般的な構成をもつことができるか、または特定の層が多層フローラインに含まれることに関しては幾らか変動することができる。たとえば、メタノール、グリコール及び/または水などの注入流体を坑口装置(well head)に供給する注入流体供給ラインは、生産ライザーと同一性能仕様に適合する必要はない。従って、このフローラインの少なくとも一部は、上記のライザーのように様々な強度強化層を全て含む必要はない。たとえば、本明細書に記載のフローラインは、フローライン仕様が上記ライザーとして内部カーカス層を要求しないような態様では、最内部層としてポリアリーレンスルフィド組成物から形成したバリヤー層を含むことができる。
【0047】
[0066]当業界で公知のように、フローラインの径も変動しえる。たとえば、生産流体ライザーは通常、態様によっては約5センチメートル(約2インチ)から、約60センチメートル(約24インチ)以下または、それ以上の比較的大きな内径を有することができ、他方、坑口装置、マニホールド、貯蔵施設などへ、またはこれらから支持流体を運搬するフローラインは、生産流体フローラインよりも大きくなることも、小さくなることもある。たとえば、注入流体フローラインは、生産流体フローラインよりも小さくなりえ、たとえば内径約5センチメートル(2インチ)〜約15センチメートル(6インチ)である。
【0048】
[0067]本明細書に包含されるようなフローラインは単層フローラインまたは多層の接着されたフローライン(maltilayer bonded flowline)でもありえる。
図4を参照して、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形した単層フローライン10の一態様が示されている。示されているように、管状部材10は、多方向(multiple direction)に伸長して、比較的複雑な形状になっている。もちろん、それほど複雑でない形状の単層フローラインも同様に本発明に包含される。一態様において、
図4に示されているようなより複雑な形状を成形するために、ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する間、及び固化する前に、フローラインに
図4に示されているような角変位(angular displacement)を形成することができる。フローライン10は、12、14及び16に角変位変化を包含する。フローラインはたとえば、沖合石油及びガス系の水面部分、たとえば、固定または浮揚プラットフォーム、貯蔵施設、ブイなどで使用し得る部品を含むことができる。たとえば、単層フローラインは、水面(surface)施設で注入流体、作動液、または操作燃料(operation fuel)を運搬するために使用することができる。
【0049】
[0068]さらに、フローライン設計は、フローラインの長さにわたって変動しえる。たとえば、沖合フローラインはさらに深く到達し、より遠い沖合距離に伸長し、より高い圧力で操作するので、炭化水素生成物の抽出を直接または間接的に支持する井、マニホールドなどに支持流体を供給するフローラインは、複雑さが増しかねない。従って、支持流体は、低圧操作などのために設計されたフローラインから、より極端な環境で使用するために追加の強化層を含むフローラインまで、その長さに沿って変動するフローラインを使用する装置に供給することができる。系の作動圧力が増加するにつれて、供給圧力及び注入圧力も増加する。供給圧力がこのように増加すると、フローラインアセンブリを系のそのような場所での高い圧力の周囲で強化し、設計しなおすことが必要でありうる。従って、フローラインは、ラインの全長にわたって設計を変えることができる。いずれの場合でも、フローラインの少なくとも一部は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形したバリヤー層を含むことができる。
【0050】
[0069]フローラインは束ねる(bundle)こともできる。たとえば、
図5は、束ねられたライザー29を説明する。外部ケーシング28は、多数のポリマー及び/または金属層を含む、複合ケーシング(composite casing)またはスチールケーシングでありえる。束ねられたライザー29は、海底から海面装置へ炭化水素生産流体を運搬することができる、二つの生産流体ライザー30を含む。生産流体ライザー30は、上記のように多層ライザーを含み、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成したバリヤー層を含むことができる。束ねられたライザー29も、海底に配置された操作デバイスに作動液を供給する油圧供給(hydraulic supply)フローライン32と、注入流体フローライン33を含む。束ねられたライザー29は、環形ライン(annulus line)31を含み、これは束ねられたライザー29内部の隙間(interspace)27と連絡し、生産フローライン及び隙間(または環)の中を通る循環を確立するのに使用し得る。たとえば、環形ライン31の下端は、隙間27と連絡するためにサイドポート(side port)などのポートと接続することができる。環形ライン31と隙間の間の流体流を制御するために、環形ライン31の下端と隙間27との間に一つ以上のバルブを据え付けることができる。束ねられたライザー29は、当業界で公知のように標準的な実務に従って、任意の坑口装置上に配置されたデバイスの操作を制御するために使用しえる制御ケーブル34も含むことができる。
【0051】
[0070]
図5に説明されているように、束ねられたライザーは二つの生産流体ライザー30を含むことができるか、または単一の生産流体ライザー若しくは二つを超える生産流体ライザーを有することができる。たとえば
図6は、外部ケーシング128と八つの生産流体ライザー130を含む束ねられたライザー129を説明する。八つの生産流体ライザー130は、中心に伸長する(centrally extending)導管またはチューブの周りに配置され、外部ケーシング128により取り囲まれている。この配置では、生産流体ライザー130は互いに接して環を形成し、外部ケーシング128の内側及び内部導管103の外側を支える(bear against)ので、柔軟性に影響することなく、束ねられたライザー129の安定性を改善することができる。内部チューブ103は、記載されるように油圧フローライン(hydraulic flowline)、注入流体フローラインなどの追加のフローラインを有することができる。別の態様では、内部チューブ103は、ライザー129に追加の浮力を提供するために浮力ラインとして機能することができる。さらに別の態様では、追加のフローラインは、生産流体ライザー130と、内部チューブ103に対して外部との間の隙間127に配置することができる。
【0052】
[0071]
図7A及び
図7Bは、ライン48、41及び42の壁の一つまたはすべてが、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成したバリヤー層を含みえる、側面図(
図7A)及び断面図(
図7B)のパイプ-イン-パイプ配置40を説明する。この特別な態様では、パイプ-イン-パイプ・フローラインは、外部ケーシング48に包まれた内部生産流体フローライン42を含む絶縁フローラインである。この内部生産流体フローライン42は、ジャケット41にも包まれている。この特別な態様では、内部生産流体フローライン42とジャケット41との間の環形(annulus)43は、当業界で公知のような連続気泡フォーム(オープンセルフォーム:open celled foam)などの、絶縁材料44で満たされている。ジャケット41に対して外部であり、外部ケーシング40に対して内側の空間45は、水、メタノールなどの支持流体を運ぶことができるか、または高圧ガスで満たすことができ、これによりたとえば高圧ガスを運搬する空間45から絶縁材料44へアクセスポイント46を提供することによって、パイプ-イン-パイプ・フローラインの絶縁特性をさらに改善することができる。このパイプ-イン-パイプ配置は、生産流体フローライン42、ジャケット42、及び外部ケーシング48の間に所望の距離を維持するために、スペーサー47も含むことができる。ピギーバック・フローライン(piggy-back flowline)などの他の組み合わせフローラインも、本明細書中に含まれる。
【0053】
[0072]取り付け部品、コネクタ、アンカーなどのフローライン系の他の部品も、ポリアリーレンスルフィド組成物を含むことができる。たとえば、フローラインが末端取り付け部品(end fitting)でとめられ、且つシールされるように、上記のようなフローラインの末端部を受ける末端取り付け部品は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形することができる。たとえば、
図8は、ポリアリーレンスルフィド組成物から成形し得るフローライン用の末端取り付け部品301を説明する。開口部領域303は、末端取り付け部品の開口部縁(open rim)400によって形成される。この縁(リム)は、その中を通ってフローラインを導入することができる円形の開口部を画定する。内部表面401は、フローラインが末端取り付け部品に配置されるときにバリヤー層密封リング(barrier layer sealing ring)を受けるように備えられた第一の段のある領域(stepped layer)402と、フローラインの層の密封端部用にさらなる密封リング(sealing ring)を受けるように配置されたさらなる段のある領域(stepped region)403とを包含する。内部表面401の残余は、使用する間に輸送流体がそれに沿って流れる実質的に平滑な内部ボアを画定する。末端の取り付け部品301は、ボデーのくびれ(waist)から、末端取り付け部品でフローラインを終端させるプロセスの間に、取り付け部品のさらなる部品がしっかりと動かないようにできる部分まで、外側に伸長している締め付け領域404も含むことができる。
【0054】
[0073]一態様に従って、ポリアリーレンスルフィド組成物を含むフローラインを成形する方法は、ポリアリーレンスルフィド組成物の形成を含むことができる。
図9は、ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する際に使用することができるプロセスの略図を説明する。示されているように、ポリアリーレンスルフィド組成物の成分は、押出機50などの溶融加工装置で溶融混練することができる。押出機50は、これらに限定されないが、一軸、二軸、または多軸押出機(multi-screw extruder)、共回転若しくは反転押出機、噛み合い(intermeshing)若しくは非-噛み合い(non-intermeshing)押出機など当業界で公知の任意の押出機でありえる。一態様において、本組成物は、多数のゾーンまたはバレルを含む押出機50で溶融加工することができる。図示された態様では、押出機50は、示されているように押出機50の長さに沿って51〜60の番号がつけられた10個のバレルを含む。それぞれのバレル51〜60は、独立して操作することができる供給ライン(feed line)54、66、ベント52、温度調節などを含むことができる。汎用スクリューデザインを使用して、ポリアリーレン組成物を溶融加工することができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、Coperion共回転完全噛み合い二軸押出機などの二軸押出機を使用して溶融混合することができる。
【0055】
[0074]ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する際に、ポリアリーレンスルフィドは、主供給口54で押出機50に供給することができる。たとえばポリアリーレンスルフィドは、計量供給装置(metering feeder)により第一のバレル51で主供給口54に供給することができる。ポリアリーレンスルフィドは、押出機50の中を通って前進するにつれて、融解して、組成物の他の成分と混合することができる。耐衝撃性改良剤は、所望により主供給口54でまたは主供給口の下流でポリアリーレンスルフィド組成物と共に(同時に:in conjunction with)、組成物に添加することができる。
【0056】
[0075]主供給口54の下流地点で、且つ組成物に耐衝撃性改良剤を添加した後、架橋剤を組成物に添加することができる。たとえば例示された態様では、バレル56での第二の供給ライン56を、架橋剤の添加用に使用することができる。架橋剤の添加点は特に限定されない。しかしながら、架橋剤は、耐衝撃性改良剤がポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布されるように、ポリアリーレンスルフィドを剪断下で耐衝撃性改良剤と混合した後の時点で、組成物に添加することができる。
【0057】
[0076]ポリアリーレンスルフィドは、式(I):
【0059】
{式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は同一または異なり、6〜18個の炭素原子のアリーレンユニットであり;W、X、Y、及びZは同一または異なり、−SO
2−、−S−、−SO−、−CO−、−O−、−COO−または、1〜6個の炭素原子のアルキレン若しくはアルキリデン基から選択される二価の結合基(linking group)であり、ここで前記結合基の少なくとも一つは−S−であり;n、m、i、j、k、l、o、及びpは独立してゼロまたは1、2、3、または4であり、但し、その合計は2以上である}の繰り返しユニットを含むポリアリーレンチオエーテルでありえる。アリーレンユニットAr
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は、選択的に置換されるか、または非置換でありえる。好都合なアリーレン系は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセン及びフェナントレンである。ポリアリーレンスルフィドは典型的には、約30モル%を超え、約50モル%を超え、または約70モル%を超えるアリーレンスルフィド(−S−)ユニットを含む。一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、少なくとも85モル%の、二つの芳香環に直接結合したスルフィド結合を含む。
【0060】
[0077]一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、その成分としてフェニレンスルフィド構造−(C
6H
4−S)
n−(式中、nは1以上の整数である)を含むものとして、本明細書中で定義されるポリフェニレンスルフィドである。
【0061】
[0078]ポリアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する前に合成することができるが、これはプロセスの必要条件ではなく、ポリアリーレンスルフィドは公知の製造業者から購入することができる。たとえば、Ticona of Florence、ケンタッキー、アメリカから市販されているFortron(登録商標)ポリアリーレンスルフィドをポリアリーレンスルフィドとして購入することができ、使用することができる。
【0062】
[0079]使用するとき、ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用しえる合成技術は、一般に当業界で公知である。たとえば、ポリアリーレンスルフィドを製造するプロセスは、有機アミド溶媒中でアルカリ金属の硫化物(alkali metal sulfide)などの水硫化物イオン(hydrosulfide ion)を提供する材料と、ジハロ芳香族化合物(dihaloaromatic compound)とを反応させることを含みえる。
【0063】
[0080]アルカリ金属の硫化物は、たとえば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムまたはその混合物でありえる。アルカリ金属の硫化物が水和物または水性混合物(aqueous mixture)である場合、アルカリ金属の硫化物は、重合反応に先立って脱水操作に従って処理することができる。アルカリ金属の硫化物は、現場生成することもできる。さらに少量のアルカリ金属の水酸化物を反応に含めて、アルカリ金属の硫化物と共に少量で存在するかもしれない、アルカリ金属ポリスルフィド(alkali metal polysulfide)またはチオ硫酸アルカリ金属(alkali metal thiosulfate)などの不純物を除去または反応させる(たとえば、そのような不純物を無害の物質に変える)ことができる。
【0064】
[0081]ジハロ芳香族化合物は、これらに限定されないが、o-ジハロベンゼン、m-ジハロベンゼン、p-ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ-ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシドまたはジハロジフェニルケトンでありえる。ジハロ芳香族化合物は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで使用することができる。具体的な代表例のジハロ芳香族化合物としては、これらに限定されないが、p-ジクロロベンゼン;m-ジクロロベンゼン;o-ジクロロベンゼン;2,5-ジクロロトルエン;1,4-ジブロモベンゼン;1,4-ジクロロナフタレン;1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼン;4,4'-ジクロロビフェニル;3,5-ジクロロ安息香酸;4,4'-ジクロロジフェニルエーテル;4,4'-ジクロロジフェニルスルホン;4,4'-ジクロロジフェニルスルホキシド;及び4,4'-ジクロロジフェニルケトンを挙げることができる。
【0065】
[0082]ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素でありえ、同一ジハロ-芳香族化合物中の二つのハロゲン原子は同一または互いに異なっていてもよい。一態様において、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼンまたはこれらの二つ以上の化合物の混合物をジハロ-芳香族化合物として使用する。
【0066】
[0083]当業界で公知のように、ポリアリーレンスルフィドの末端基(end group)を形成するか、重合反応及び/またはポリアリーレンスルフィドの分子量を調整するために、ジハロ芳香族化合物と組み合わせてモノハロ化合物(monohalo compound)(必ずしも芳香族化合物ではない)を使用することも可能である。
【0067】
[0084]ポリアリーレンスルフィドは、ホモポリマーでありえ、またはコポリマーでありえる。ジハロ芳香族化合物の好適な、選択的な組み合わせにより、ポリアリーレンスルフィドコポリマーは、二つ以上の異なるユニットを含んで形成することができる。たとえばp-ジクロロベンゼンをm-ジクロロベンゼンまたは4,4'-ジクロロジフェニルスルホンと組み合わせて使用する場合、ポリアリーレンスルフィドコポリマーは、式(II):
【0069】
の構造をもつセグメントと、式(III):
【0071】
の構造をもつセグメント、または式(IV):
【0073】
の構造をもつセグメントを含んで形成することができる。
【0074】
[0085]一般に、充填されたアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたりの(単数または複数種類の)ジハロ芳香族化合物の量は、1.0〜2.0モル、1.05〜2.0モル、または1.1〜1.7モルでありえる。従って、ポリアリーレンスルフィドは、ハロゲン化アルキル(通常、塩化アルキル)末端基を含みうる。
【0075】
[0086]ポリアリーレンスルフィドを製造するプロセスは、有機アミド溶媒中で重合反応を実施することを含みえる。重合反応で使用される代表的な有機アミド溶媒としては、これらに限定されないが、N-メチル-2-ピロリドン;N-エチル-2-ピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;N-メチルカプロラクタム;テトラメチルウレア;ジメチルイミダゾリジノン;ヘキサメチルリン酸トリアミド及びこれらの混合物を挙げることができる。反応中で使用される有機アミド溶媒の量は、たとえばアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたり0.2〜5キログラム(kg/mol)でありえる。
【0076】
[0087]重合は、段階的重合プロセスにより実施することができる。第一の重合段階は、ジハロ芳香族化合物を反応器に導入する、及び約180℃〜約235℃、または約200℃〜約230℃の温度で水の存在下、重合反応に前記ジハロ芳香族化合物を暴露する、及びジハロ芳香族化合物の転換速度(conversion rate)が理論的必要量の約50モル%以上に到達するまで重合を継続する、各段階を含みえる。
【0077】
[0088]第二の重合段階では、重合系の水の総量が、充填したアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたり、約7モル、または約5モルに増加するように、水を反応スラリーに添加する。その後、重合系の反応混合物を約250℃〜約290℃、約255℃〜約280℃、または約260℃〜約270℃の温度に加熱することができ、このようにして形成したポリマーの溶融粘度がポリアリーレンスルフィドの所望の最終レベルに上昇するまで、重合を継続することができる。第二の重合段階の持続時間は、たとえば約0.5〜約20時間、または約1〜約10時間でありえる。
【0078】
[0089]ポリアリーレンスルフィドは、線状、半線状(semi-linear)、分岐または架橋でありえる。線状ポリアリーレンスルフィドは、−(Ar−S)−の繰り返しユニットを主な構成ユニットとして含む。通常、線状ポリアリーレンスルフィドは、この繰り返しユニット約80モル%以上を含むことができる。線状ポリアリーレンスルフィドは、少量の分岐ユニットまたは架橋ユニットを含むことができるが、分岐または架橋ユニットの量はポリアリーレンスルフィドの総モノマーユニットの約1モル%未満でありえる。線状ポリアリーレンスルフィドポリマーは、上記繰り返しユニットを含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーでありえる。
【0079】
[0090]3つ以上の反応性官能基(reactive functional group)をもつ一つ以上のモノマーを少量、ポリマーに導入することにより提供される架橋構造または分岐構造をもちうる半線状ポリアリーレンスルフィドを使用することができる。たとえば、ポリマーの約1モル%〜約10モル%は、三つ以上の反応性官能基をもつモノマーから形成することができる。半線状ポリアリーレンスルフィドを製造する際に使用できる方法は、通常、当業界で公知である。たとえば、半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用されるモノマー成分は、分岐ポリマーを製造する際に使用することができる1分子当たり2つ以上のハロゲン置換基をもつ所定量(an amount)のポリハロ芳香族化合物(polyhaloaromatic compound)を含むことができる。そのようなモノマーは、式:R'X
n{式中、Xはそれぞれ、塩素、臭素、及びヨウ素から選択され、nは3〜6の整数であり、R'は、約4個以下のメチル置換基をもつことができる価数nの多価芳香族基であり、R'中の炭素原子の総数は、6〜約16の範囲内である}により表すことができる。半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用できる1分子あたり2を超える置換ハロゲン(more than two halogens substituted per molecule)をもつポリハロ芳香族化合物の例としては、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3-ジクロロ-5-ブロモベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、1,2,3,5-テトラブロモベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロ-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,2',4,4'-テトラクロロビフェニル、2,2',5,5'-テトラ-ヨードビフェニル、2,2',6,6'-テトラブロモ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニル、1,2,3,4-テトラクロロナフタレン、1,2,4-トリブロモ-6-メチルナフタレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0080】
[0091]重合の後、ポリアリーレンスルフィドは液体媒体で洗浄することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドは、混合物を形成しながら、他の成分と混和する前に、水及び/または、これらに限定されないが、アセトン、N-メチル-2-ピロリドンなどのポリアリーレンスルフィドを分解しない有機溶媒、塩水(salt solution)、及び/または酢酸または塩酸などの酸性媒体で洗浄することができる。ポリアリーレンスルフィドは、通常、当業者に公知の逐次的方法で洗浄することができる。酸性溶液または塩水で洗浄すると、ナトリウム、リチウムまたはカルシウム金属イオン末端基濃度を約2000ppmから約100ppmに削減することができる。
【0081】
[0092]ポリアリーレンスルフィドは、温水(hot water)洗浄プロセスにかけることができる。温水洗浄液の温度は、約100℃以上でありえ、たとえば約120℃を超え、約150℃を超え、または約170℃超える。
【0082】
[0093]ポリアリーレンスルフィドを形成するための重合反応装置は特に限定されないが、典型的には、高粘度流体の形成で通常使用される装置を使用するのが望ましい。そのような反応装置の例としては、様々な形状の攪拌ブレード、たとえばアンカー型、多段型、螺旋-リボン型、スクリューシャフト型など、またはそれらの修正形をもつ攪拌装置をもつ攪拌タンク型重合反応装置を挙げることができる。そのような反応装置のさらなる例としては、混練で通常、使用される混合装置、たとえば混練機、ロールミル、バンバリーミキサーなどが挙げられる。重合後、溶融ポリアリーレンスルフィドは、典型的には所望の形状のダイがついた押出しオリフィスを通って反応器から排出され、冷却され、集めることができる。通常、ポリアリーレンスルフィドは、穿孔ダイを通って吐出されて、水浴中に引き取られるストランドを形成し、ペレット化して乾燥される。ポリアリーレンスルフィドは、ストランド、小粒または粉末の形状でもありえる。
【0083】
[0094]ポリアリーレンスルフィド組成物は、組成物の重量の約10wt%〜約99wt%、たとえば組成物の重量の約20%wt%〜約90wt%の量のポリアリーレンスルフィド成分(ポリアリーレンスルフィドのブレンドも包含する)を含むことができる。
【0084】
[0095]ポリアリーレンスルフィドは、一般に、ポリアリーレンスルフィド組成物の所望の最終用途に依存して、任意の好適な分子量及び溶融粘度でありえる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度は、1200s
-1の剪断速度及び温度310℃で、ISO試験No.11443に従って測定して、約500ポアズ未満の溶融粘度をもつ低粘度ポリアリーレンスルフィド、約500ポアズ〜1500ポアズの溶融粘度をもつ中間粘度(medium viscosity)ポリアリーレンスルフィド、または約1,500ポアズを超える溶融粘度をもつ高溶融粘度ポリアリーレンスルフィドでありうる。
【0085】
[0096]一態様に従って、ポリアリーレンスルフィドは、官能基化(機能化:functionalize)して、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤との間の結合形成をさらに促進することができる。たとえばポリアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド上に末端官能基(functional terminal group)を提供するために、カルボキシル、酸無水物、アミン、イソシアネートまたは他の官能基含有改質化合物(functional group-containing modifying compound)を用いて、形成後にさらに処理することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドは、メルカプト基またはジスルフィド基を含み、且つ反応性官能基も含む改質化合物(modifying compound)と反応することができる。一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、有機溶媒中で改質化合物と反応することができる。別の態様では、ポリアリーレンスルフィドは、溶融状態で改質化合物と反応することができる。
【0086】
[0097]一態様において、所望の官能基を含むジスルフィド化合物をポリアリーレンスルフィド組成物形成プロセスに組み入れることができ、ポリアリーレンスルフィドは、組成物の形成と共に官能基化することができる。たとえば、所望の反応性官能基を含むジスルフィド化合物は、ポリアリーレンスルフィドと共に、または架橋剤を添加する前の任意の他の時点若しくは架橋剤の添加と共に、溶融押出機に添加することができる。
【0087】
[0098]ポリアリーレンスルフィドポリマーと反応的に官能基化された(reactively functionalized)ジスルフィド化合物との間の反応は、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度を下げることができるポリアリーレンスルフィドポリマーの鎖切断(chain scission)を含むことができる。一態様において、低ハロゲン含有量の高溶融粘度ポリアリーレンスルフィドを出発ポリマー(starting polymer)として使用することができる。官能性(functional)ジスルフィド化合物を使用することによってポリアリーレンスルフィドポリマーを反応的に官能基化した後、低ハロゲン含有量の比較的低溶融粘度のポリアリーレンスルフィドを形成することができる。この鎖切断の後、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度はさらなる処理に関して好適でありえ、低溶融粘度ポリアリーレンスルフィドの全体のハロゲン含有量もかなり低くなりうる。低ハロゲン含有量のポリマー材料が環境問題によりますます望ましくなっているため、低ハロゲン含有量に加えて優れた強度及び劣化抵抗性(degradation resistance)を示すポリアリーレンスルフィド組成物は好都合でありうる。一態様において、ポリアリーレンスルフィド組成物は、Parr Bomb燃焼、続いてイオンクロマトグラフィーを使用して元素分析に従って測定して、約1000ppm未満、約900ppm未満、約600ppm未満、または約400ppm未満のハロゲン含有量を有しえる。
【0088】
[0099]ジスルフィド化合物は一般に、式:
【0090】
{式中、R
1及びR
2は同一または異なっていてもよく、1〜20個の炭素原子を独立して含む炭化水素基である}の構造をもつことができる。たとえば、R
1及びR
2は、アルキル、シクロアルキル、アリールまたは複素環基でありえる。R
1及びR
1は、ジスルフィド化合物の(単数または複数の)末端基に反応性官能基(reactive functionality)を含むことができる。たとえば、R
1及びR
2の少なくとも一つは、末端カルボキシル基、ヒドロキシル基、置換若しくは非置換アミノ基、ニトロ基などを含むことができる。通常、反応性官能基は、反応的に官能基化されたポリアリーレンスルフィドが耐衝撃性改良剤と反応できるように選択することができる。たとえば、エポキシ末端基化(epoxy-terminated)耐衝撃性改良剤を考えるとき、ジスルフィド化合物はカルボキシル及び/またはアミノ官能基を含むことができる。
【0091】
[00100]本明細書において包含されるように、反応性末端基を含むジスルフィド化合物の例としては、これらに限定されないが、2,2'-ジアミノジフェニルジスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ジチオサリチル酸(dithiosalicyclic acid)、ジチオグリコール酸、α,α'-ジチオ二乳酸(dithiodilactic acid)、β,β'-ジチオ二乳酸、3,3'-ジチオジピリジン、4,4'-チオモルホリン、2,2'-ジチオビス(ベンゾチアゾール)、2,2'-ジチオビス(ベンズイミダゾール)、2,2'-ジチオビス(ベンゾオキサゾール)及び2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールを含むことができる。
【0092】
[00101]ポリアリーレンスルフィドの量対ジスルフィド化合物の量の比は、約1000:1〜約10:1、約500:1〜約20:1、または約400:1〜約30:1でありえる。
【0093】
[00102]ポリアリーレンスルフィドポリマーに加えて、本組成物は耐衝撃性改良剤も含む。より具体的には、耐衝撃性改良剤は、オレフィン性コポリマーまたはターポリマーでありえる。たとえば耐衝撃性改良剤は、約4〜約10個の炭素原子をもつエチレン性不飽和モノマー単位を含むことができる。
【0094】
[0100]耐衝撃性改良剤は、架橋剤と反応させるために、官能基化を含むように改質(変性)することができる。たとえば耐衝撃性改良剤は、約0.01〜約0.5のモル分率(mole fraction)の、以下のもの:約3〜約8個の炭素原子をもつα,β不飽和ジカルボン酸またはその塩;約3〜約8個の炭素原子をもつα,β不飽和カルボン酸またはその塩;約3〜約8個の炭素原子をもつ無水物またはその塩;約3〜約8個の炭素原子をもつモノエステルまたはその塩;スルホン(sulphonic)酸またはその塩;約4〜約11個の炭素原子をもつ不飽和エポキシ化合物の一つ以上で改質することができる。そのような改質官能基化(modification functionality)としては、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸及びグリシジルメタクリレートが挙げられる。メタクリル酸の塩の例としては、アルカリ金属及び遷移金属塩、たとえばナトリウム、亜鉛、及びアルミニウム塩が挙げられる。
【0095】
[0101]使用しえる耐衝撃性改良剤の非限定的な例としては、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-無水マレイン酸コポリマー、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-グリシジル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-メタクリル酸ターポリマー、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-メタクリル酸-メタクリル酸アルカリ金属塩(アイオノマー)ターポリマーなどが挙げられる。たとえば一態様において、耐衝撃性改良剤としては、エチレン、メチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートのランダムターポリマーが挙げられる。ターポリマーは、約5%〜約20%、たとえば約6%〜約10%のグリシジルメタクリレート含有量を有することができる。ターポリマーは、約20%〜約30%、たとえば約24%のメチルアクリレート含有量を有することができる。
【0096】
[0102]一態様に従って、耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化(epoxy functionalization)、たとえば末端エポキシ基、骨格オキシランユニット(skeletal oxirane unit)及び/またはペンダントエポキシ基を含む線状若しくは分岐、ホモポリマーまたはコポリマー(たとえばランダム、グラフト、ブロックなど)でありえる。たとえば耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化を含む少なくとも一つのモノマー成分を含むコポリマーでありえる。耐衝撃性改良剤のモノマーユニットは変動し得る。一態様において、たとえば耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能性メタクリル酸モノマーユニット(epoxy-functional methacrylic monomer unit)を含むことができる。本明細書中で使用するように、「メタクリル(メタクリル酸:methacrylic)」なる用語は一般に、アクリル及びメタクリルモノマー、並びにその塩及びエステル、たとえばアクリレート及びメタクリレートモノマーを指す。耐衝撃性改良剤に組み入れることができるようなエポキシ官能性メタクリルモノマーとしては、1,2-エポキシ基を含むもの、たとえばグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なエポキシ官能性モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリレート及びグリシジルイタコネートが挙げられる。
【0097】
[0103]他のモノマーユニットは、追加としてまたはその代わりに耐衝撃性改良剤の成分でありえる。他のモノマーの例としては、たとえばエステルモノマー、オレフィンモノマー、アミドモノマーが挙げられる。一態様において、耐衝撃性改良剤としては、少なくとも一つの線状または分岐α-オレフィンモノマー、たとえば2〜20個の炭素原子または2〜8個の炭素原子をもつようなものが挙げられる。具体的な例としては、エチレン;プロピレン;1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ペンテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ヘキセン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ヘプテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-オクテン;一つ以上のメチル、エチル若しくはプロピル置換基をもつ1-ノネン;エチル、メチル、若しくはジメチル-置換1-デセン;1-ドデセン;及びスチレンが挙げられる。
【0098】
[0104]エポキシ官能基化を含む耐衝撃性改良剤に配合されるモノマーとしては、ポリマーのモノマーユニットの少なくとも一部がエポキシ官能基化されている限りは、エポキシ官能基化を含まないモノマーを含むことができる。
【0099】
[0105]一態様において、耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化を含むターポリマーでありえる。たとえば耐衝撃性改良剤は、エポキシ官能基化を含むメタクリル酸成分、α-オレフィン成分と、エポキシ官能基化を含まないメタクリル酸成分を含むことができる。たとえば耐衝撃性改良剤は、以下の構造:
【0101】
{式中、a、b及びcは1以上である}をもつ、ポリ(エチレン-コ-メタクリレート-コ-グリシジルメタクリレート)でありえる。
【0102】
[0106]別の態様では、耐衝撃性改良剤は、以下の構造:
【0104】
{式中、x、y及びzは1以上である}をもつエチレン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸のランダムコポリマーでありえる。
【0105】
[0107]コポリマー性(copolymeric)耐衝撃性改良剤の様々なモノマー成分の相対割合は特に限定されない。たとえば一態様において、エポキシ官能性メタクリル酸モノマー成分は、コポリマー性耐衝撃性改良剤の約1wt%〜約25wt%または約2wt%〜約20wt%を構成(form)しえる。α-オレフィンモノマーは、コポリマー性耐衝撃性改良剤の約55wt%〜約95wt%、または約60wt%〜約90wt%を構成しえる。使用する際、他のモノマー成分(たとえば、非エポキシ官能性メタクリル酸モノマー)は、コポリマー性耐衝撃性改良剤の約5wt%〜約35wt%、または約8wt%〜約30wt%を構成することができる。
【0106】
[0108]一般的に当業界で公知のように、耐衝撃性改良剤は標準的な重合法に従って形成することができる。たとえば極性官能基(polar functional group)を含むモノマーをポリマー幹(backbone)にグラフトして、グラフトコポリマーを形成することができる。あるいは、公知のフリーラジカル重合法、たとえば高圧反応、チーグラー-ナッタ触媒反応系、シングルサイト触媒(たとえばメタロセン)反応系などを使用して、官能基を含むモノマーをモノマーと共重合して、ブロックまたはランダムコポリマーを形成することができる。
【0107】
[0109]あるいは、耐衝撃性改良剤は小売市場で入手することができる。たとえば、耐衝撃性改良剤として使用するのに好適な化合物は、商品名Lotader(登録商標)のもと、Arkemaから入手することができる。
【0108】
[0110]耐衝撃性改良剤の分子量は広範囲を変動しえる。たとえば、耐衝撃性改良剤は、約7,500〜約250,000グラム/モル、態様によっては約15,000〜約150,000グラム/モル、態様によっては約20,000〜100,000グラム/モルの数平均分子量をもつことができ、多分散性指数(polydispersity index)は通常、2.5〜7である。
【0109】
[0111]通常、耐衝撃性改良剤は、組成物中に、約0.05重量%〜約40重量%、約0.05重量%〜約37重量%、または約0.1重量%〜約35重量%の量で存在することができる。
【0110】
[0112]
図8を参照して、耐衝撃性改良剤は、溶融加工装置の主供給口54でポリアリーレンスルフィド組成物と共に組成物に添加することができる。これは本組成物の形成プロセスの必要条件ではないが、他の態様では、耐衝撃性改良剤は主供給口の下流で添加することができる。たとえば、耐衝撃性改良剤は、ポリアリーレンスルフィドが溶融加工装置に供給される地点より下流の位置であるが、それでもやはり溶融区分、すなわち、ポリアリーレンスルフィドが溶融状態になる溶融加工装置の長さより前で添加することができる。別の態様では、耐衝撃性改良剤は、ポリアリーレンスルフィドが溶融状態になる地点より下流の位置で添加することができる。
【0111】
[0113]所望により、一つ以上の分配混合部材(distributive mixing element)及び/または分散混合部材(dispersive mixing element)を溶融加工装置の混合区分内部で使用することができる。一軸押出機に好適な分配ミキサーとしては、サキソン(Saxon)、ダルマージ(Dulmage)、キャビティトランスファーミキサー(Cavity Transfer mixer) などが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、好適な分散ミキサーとしては、ブリスターリング(Blister ring)、レオリー/マドック(Leroy/Maddock)、CRDミキサーが挙げられるが、これらに限定されない。当業界で公知のように、バスニーダー押出機(Buss Kneader extruder)、キャビティトランスファーミキサー及びボルテックス・インターメッシング・ピンミキサー(Vortex Intermeshing Pin mixer)で使用されるもののような、ポリマー溶融物の折り畳み及び再配向をつくりだすバレル内でピンを使用することにより、混合をさらに促進することができる。
【0112】
[0114]ポリアリーレンスルフィド及び耐衝撃性改良剤に加えて、ポリアリーレン組成物は、架橋剤を含むことができる。架橋剤は、耐衝撃性改良剤の官能基と反応して、耐衝撃性改良剤のポリマー鎖内部及びポリマー鎖間に架橋を形成できる多官能化合物またはそれらの組み合わせでありえる。通常、架橋剤は、非ポリマー性化合物(non-polymeric compound)、即ち、結合または非ポリマー性(繰り返しでない)結合成分によって結合された二つ以上の反応的に官能性末端部分(機能性末端部分:reactively functional terminal moiety)を含む分子化合物(molecular compound)でありえる。たとえば、架橋剤は、ジエポキシド、多官能性エポキシド、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、多価アルコール、水溶性カルボジイミド、ジアミン、ジアミノアルカン、多官能性カルボン酸(polyfunctional carboxylic acid)、二酸ハロゲン化物(diacid halide)などが挙げられうるが、これらに限定されない。たとえば、エポキシ官能性耐衝撃性改良剤を考えるとき、非ポリマー性多官能性カルボン酸またはアミンを架橋剤として使用することができる。
【0113】
[0115]多官能性カルボン酸架橋剤の具体的な例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4'-二安息香酸、1,4-または1,5-ナフタレンジカルボン酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(cisとtransの両方)、1,4-ヘキシレンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、ジカルボキシルドデカン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が挙げられるが、これらに限定されない。対応するジカルボン酸誘導体、たとえばアルコール基に1〜4個の炭素原子をもつカルボン酸ジエステル、カルボン酸無水物またはカルボン酸ハライド(carboxylic acid halide)も使用することができる。
【0114】
[0116]架橋剤として有用な典型的なジオールとしては、脂肪族ジオール、たとえばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブト-2-エンジオール、1,3-1,5-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,5-ペンタンジオールなどが挙げられえるが、これらに限定されない。芳香族ジオール類、たとえば、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、メチルヒドロキノン、クロロヒドロキノン、ビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、フェノールフタレインなども使用しえるが、これらに限定されない。使用しえる典型的な脂環式ジオールは、脂環式部分を含むことができ、たとえば1,6-ヘキサンジオール、ジメタノールデカリン、ジメタノールビシクロオクタン、1,4-シクロヘキサンジメタノール(そのcis-及びtrans-異性体を含む)、トリエチレングリコール、1,10-デカンジオールなどがある。
【0115】
[0117]架橋剤として使用し得る典型的なジアミンとしては、イソホロン-ジアミン、エチレンジアミン、1,2-、1,3-プロピレン-ジアミン、N-メチル-1,3-プロピレン-ジアミン、N,N'-ジメチル-エチレン-ジアミン及び芳香族ジアミン、たとえば2,4-及び2,6-トルオイレン-ジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び/または-2,6-トルオイレン-ジアミン、及び第一オルト-、ジ-、トリ-及び/またはテトラ-アルキル置換4,4'-ジアミノジフェニル-メタン、(シクロ)脂肪族ジアミン、たとえばイソホロン-ジアミン、エチレンジアミン、1,2-、1,3-プロピレン-ジアミン、N-メチル-1,3-プロピレン-ジアミン、N,N'-ジメチル-エチレン-ジアミン及び芳香族ジアミン、たとえば2,4-及び2,6-トルオイレン-ジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び/または-2,6-トルオイレン-ジアミン及び第一オルト-、ジ-、トリ-及び/またはテトラ-アルキル置換4,4'-ジアミノジフェニルメタンが挙げられえるが、これらに限定されない。
【0116】
[0118]一態様において、組成物はジスルフィドを含まない架橋剤(disulfide-free crosslinking agent)を含むことができる。たとえば架橋剤は、ジスルフィド基を全く含まずに、カルボキシル及び/またはアミン官能基(functionality)を含むことができる。組成物を形成する間に、架橋剤によるポリアリーレンスルフィドの過剰な鎖切断を避けるために、ジスルフィドを含まない架橋剤を使用することができる。しかしながら、ジスルフィドを含まない架橋剤を使用することは、ポリアリーレンスルフィドを官能基化するために反応的に官能基化されたジスルフィド化合物を使用することをいかなる意味においても全く制限しないことを理解すべきである。たとえば一態様において、ポリアリーレンスルフィドを反応的に官能基化し得る、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物を溶融加工装置に添加することを含むプロセスに従って組成物を形成することができる。この態様で使用される架橋剤は、耐衝撃性改良剤と、並びに反応的に官能基化されたポリアリーレンスルフィドと反応性である官能基を含むことができる、ジスルフィドを含まない架橋剤でありえる。従って、組成物は、ポリアリーレンスルフィドポリマー鎖を過剰に切断することなく、高度に架橋することができる。
【0117】
[0119]別の態様では、架橋剤及び(存在するときには)ポリアリーレンスルフィド官能基化化合物は、ポリアリーレンスルフィドの鎖切断を促進するように選択することができる。このことは、たとえば鎖の切断が、ポリアリーレンスルフィドポリマーの溶融粘度を下げるために有益であろう。
【0118】
[0120]ポリアリーレンスルフィド組成物は、通常、ポリアリーレンスルフィド組成物の重量の約0.05wt%〜約2wt%、ポリアリーレンスルフィド組成物の重量の約0.07wt%〜約1.5wt%、または約0.1wt%〜約1.3wt%の量で架橋剤を含むことができる。
【0119】
[0121]架橋剤は、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤とを混合した後に、溶融加工装置に添加することができる。たとえば、
図9に示されているように、架橋剤は、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤を(一緒にまたは個別に)溶融加工装置に添加した後に、下流の位置66で組成物に添加することができる。これによって確実に、耐衝撃性改良剤は、架橋剤を添加する前にポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分散できるようにする。
【0120】
[0122]架橋剤を添加する前に、溶融物の中にくまなく耐衝撃性改良剤を分布させやすくするために、様々なパラメーターを選択的に制御することができる。たとえば、溶融加工装置のスクリューの長さ(L)対直径(D)の比を選択して、処理量(押出量)と耐衝撃性改良剤分布との間の最適バランスを達成することができる。たとえば、耐衝撃性改良剤が供給された地点より後の地点でL/D比を制御して、耐衝撃性改良剤の分布を促進することができる。特に、スクリューは、耐衝撃性改良剤とポリアリーレンスルフィドの両方が装置に供給される地点(即ち、これらの両方が一緒に供給される地点か、二つのうち後者が供給される地点)から、架橋剤が供給される地点までを画定するブレンド長さ(blending length)(L
B)をもち、このブレンド長さは通常、スクリューの全長よりも短い。たとえば、全L/Dが40である溶融加工装置を考えるとき、スクリューのL
B/D比は、約1〜約36、態様によっては約4〜約20、態様によっては約5〜約15でありえる。一態様において、L/L
B比は、約40〜約1.1、約20〜約2、または約10〜約5でありえる。
【0121】
[0123]架橋剤を添加した後、組成物は混合されて、組成物の中にくまなく架橋剤を分布させて、架橋剤、耐衝撃性改良剤と、一態様においてポリアリーレンスルフィドとの間の反応を促進させることができる。
【0122】
[0124]当業界で一般的に公知のように、組成物は一種以上の添加剤も含むことができる。たとえば、一種以上の充填剤はポリアリーレンスルフィド組成物に含めることができる。一種以上の充填剤は、通常、ポリアリーレンスルフィド組成物に、ポリアリーレンスルフィド組成物の重量の約5wt%〜約70wt%、または約20wt%〜約65wt%の量で含めることができる。
【0123】
[0125]充填剤は、標準的技法に従ってポリアリーレンスルフィド組成物に添加することができる。たとえば充填剤は、溶融加工装置の下流の位置で組成物に添加することができる。たとえば、充填剤は、架橋剤の添加と共に組成物に添加することができる。しかしながら、これは形成プロセスの必要条件ではなく、充填剤は、架橋剤とは個別に、且つ架橋剤の添加地点の上流または下流のいずれかで添加することができる。さらに充填剤は、単一の供給位置で添加することができるか、または分割して、溶融加工装置に沿った多くの供給位置で添加することができる。
【0124】
[0126]一態様において、繊維充填剤をポリアリーレンスルフィド組成物に含めることができる。繊維充填剤(fibrous filler)は、これらに限定されないが、ポリマー繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、玄武岩繊維を含む一種以上の繊維種など、または繊維種の組み合わせを含むことができる。一態様において、繊維はチョップト(chopped)繊維、連続繊維、または繊維ロービング(トウ)でありえる。
【0125】
[0127]繊維サイズは、当業界で公知のように変動しえる。一態様において、繊維は約3mm〜約5mmの初期長さをもつことができる。別の態様では、たとえば引抜き成形プロセスを考えるとき、繊維は連続繊維でありえる。繊維径は、使用する特定の繊維に依存して変動し得る。たとえば繊維は、約100μm未満、たとえば約50μm未満の直径を有することができる。たとえば繊維は、チョップトまたは連続繊維でありえ、約5μm〜約50μm、たとえば約5μm〜約15μmの繊維径でありえる。
【0126】
[0128]繊維は、一般に公知のように、サイジング(sizing)で前処理することができる。一態様において、繊維は、高いイールド(yield)または小さなK値(K number)をもつことができる。トウは、イールドまたはK値により表される。たとえばガラス繊維トウは、50イールド以上(yield and up)、たとえば約115イールド〜約1200イールドを有しえる。
【0127】
[0129]他の充填剤を代わりに使用することができるか、繊維充填剤と共に使用することができる。たとえば、粒子状充填剤をポリアリーレンスルフィド組成物に組み入れることができる。一般に粒子状充填剤は、約750μm未満、たとえば約500μm、または約100μm未満のメジアン粒径をもつ任意の粒子状材料を包含することができる。一態様において、粒子状充填剤は、約3μm〜約20μmの範囲のメジアン粒径をもつことができる。さらに、粒子状充填剤は、公知のように中実(solid)または中空でありえる。粒子状充填剤は、当業界で公知のように表面処理も含みえる。
【0128】
[0130]粒子状充填剤は、一種以上の無機充填剤を包含しえる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、組成物の約1wt%〜約60wt%の量で一種以上の無機充填剤を含むことができる。無機充填剤としては、シリカ、石英粉末、ケイ酸塩、たとえばケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、マイカ、粘土、珪藻土、珪灰石、炭酸カルシウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0129】
[0131]充填剤は、導電性充填剤(electrically conductive filler)、たとえばカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属粉末などでありえるが、これらに限定されない。ポリアリーレンスルフィド組成物が導電性充填剤を含むそれらの態様では、たとえばポリアリーレンスルフィド組成物がフローラインの形成で使用されるとき、好適な導電性充填剤は、組成物が約10
9オームcm(ohm cm)以下の体積固有抵抗(volume specific resistance)をもつように含めることができる。
【0130】
[0132]多様な充填剤、たとえば粒子状充填剤と繊維充填剤とを組み入れるとき、充填剤は一緒にまたは別々に溶融加工装置に添加することができる。たとえば、粒子状充填剤は、繊維充填剤を添加する前にポリアリーレンスルフィドと一緒に主供給管(main feed)にまたは下流で添加することができ、繊維充填剤は、粒子状充填剤の添加点よりもさらに下流で添加することができる。一般に、繊維充填剤は、粒子状充填剤などの任意の他の充填剤の下流で添加することができるが、これは必要条件ではない。
【0131】
[0133]一態様において、ポリアリーレンスルフィド組成物は添加剤としてUV(紫外線)安定剤を含むことができる。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、約0.5wt%〜約15wt%、約1wt%〜約8wt%、または約1.5wt%〜約7wt%の量でUV安定剤を含むことができる。使用しえる特に好適なUV安定剤は、ヒンダードアミンUV安定剤である。好適なヒンダードアミンUV安定剤化合物は、置換ピペリジン、たとえばアルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、アルコキシピペリジニル化合物などから誘導することができる。たとえばヒンダードアミンは、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジニルから誘導することができる。ヒンダードアミンは、たとえば約1,000以上、態様によっては約1000〜約20,000、態様によっては約1500〜約15,000、及び態様によっては約2000〜約5000の数平均分子量をもつオリゴマー性またはポリマー化合物でありえる。そのような化合物は典型的には、ポリマー繰り返しユニット当たり、少なくとも一つの2,2,6,6-テトラアルキルピペリジニル基(たとえば1〜4個)を含む。特に好適な高分子量ヒンダードアミンは、Hostavin(登録商標)N30(数平均分子量1200)のもと、Clariantより市販されている。別の好適な高分子量ヒンダードアミンは、記号ADK STAB(登録商標)LA-63及びADK STAB(登録商標)LA-68のもと、Adeka Palmarole SASより市販されている。
【0132】
[0134]高分子量ヒンダードアミンに加えて、低分子量ヒンダードアミンも使用することができる。そのようなヒンダードアミンは、一般に本質的にモノマー性であり、約1000以下、態様によっては約155〜約800、及び態様によっては約300〜約800の分子量をもつ。
【0133】
[0135]他の好適なUV安定剤は、UV吸収剤、たとえばベンゾトリアゾールまたはベンゾフェノン類を含むことができ、これらはUV照射を吸収することができる。
【0134】
[0136]ポリアリーレンスルフィド組成物に含めることができる添加剤は、一般に、当業界で公知のように一種以上の着色料である。たとえばポリアリーレンスルフィド組成物は、約0.1wt%〜約10wt%、または約0.2wt%〜約5wt%の一種以上の着色料を含むことができる。本明細書中で使用されるように、「着色料(colorant)」なる用語は、一般に、材料に色を付与し得る任意の物質をさす。従って、「着色料」なる用語は、水溶液で水溶性を示す染料と、水溶液で殆どまたは全く溶解性を示さない顔料の両方を包含する。
【0135】
[0137]使用しえる染料の例としては、分散染料が挙げられるが、これらに限定されない。好適な分散染料は、カラーインデックス(the Color Index)、第三版、“Disperse Dyes”に記載されているものが挙げられえる。そのような染料としては、たとえばカルボン酸基を含まない(carboxylic acid group-free)及び/またはスルホン酸基を含まない(sulfonic acid group-free)ニトロ、アミノ、アミノケトン、ケトンイミン、メチン、ポリメチン、ジフェニルアミン、キノリン、ベンズイミダゾール、キサンテン、オキサジン及びクマリン染料、アントラキノン及びアゾ染料、たとえばモノ-またはジ-アゾ染料が挙げられる。分散染料は、原色の赤色分散染料(primary red color disperse dye)、原色の青色染料及び原色の黄色染料も含むことができる。
【0136】
[0138]ポリアリーレンスルフィド組成物に組み入れることができる顔料としては、有機顔料、無機顔料、金属顔料、燐光性顔料(phosphorescent pigment)、蛍光顔料、光発色性顔料(フォトクロミック顔料:photochromic pigment)、サーモクロミック顔料(thermochromic pigment)、玉虫色顔料(iridescent pigment)及び真珠光沢顔料が挙げられえるが、これらに限定されない。顔料の具体的な量は、製品の所望の最終色に依存して変動しえる。パステルカラーは一般に、着色顔料に二酸化チタンホワイトまたは同様の白色顔料を添加することにより達成される。
【0137】
[0139]ポリアリーレンスルフィド組成物に配合し得る他の添加剤としては、抗菌剤、滑剤、顔料若しくは他の着色料、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、他の安定剤(有機ホスファイト(organophosphite)、たとえばDoverphos(登録商標)製品、Dover Chemical Corporation製などを含む熱安定剤)、界面活性剤、流動促進剤、固体溶媒並びに、特性及び加工性を促進するために添加される他の材料が包含されるが、これらに限定されない。そのような任意選択の材料は、主供給口でポリアリーレンスルフィド組成物に添加するなど、慣用の加工技術に従って、慣用量でポリアリーレンスルフィド組成物中に使用することができる。有益には、ポリアリーレンスルフィド組成物は、可塑剤を添加することなく所望の特徴を示すことができる。たとえば、組成物は、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル(trimellitate)、セバシン酸エステル(sebacate)、アジピン酸エステル(adipate)、グルタル酸エステル(gluterate)、アゼライン酸エステル(azelate)、マレイン酸エステル(maleate)、安息香酸エステル(benzoate)などの可塑剤を含まないようにできる。
【0138】
[0140]ポリアリーレンスルフィド組成物に全ての成分を添加した後、組成物は、押出機の(単数または複数の)区分で十分に混合され、ダイを通して押し出される。最終押出物は、所望によりペレット化されるか、成形される。たとえば最終押出物は、巻きつけてフローラインの層を形成することができる引抜きテープまたはリボンの形状でありえる。
【0139】
[0141]ポリアリーレンスルフィド組成物を含むフローラインを成形するために使用し得る慣用の成形プロセスとしては、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形などを挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
[0142]たとえば、一態様に従って、ポリアリーレンスルフィド層は、例えばライザーなどの、多層フローラインのカーカスの上に押し出すことができる。別の態様に従って、多層フローラインの層は、引抜き成形法に従って成形された繊維強化テープまたはリボンなどの、ポリアリーレンスルフィド組成物の連続テープから成形することができる。テープは、当業界で一般に公知のような公知の実務に従って巻きつけて多層フローラインの層を成形することができる。
【0141】
[0143]一態様において、
図3に説明されているような多層ライザーのカーカスは、一般に公知のような螺旋巻きつけ法(helical winding method)に従って成形することができる。具体的には、当業界で公知のように、金属(たとえばステンレススチール)ストリップを成形して、螺旋状に巻きつけて、隣接する巻き(winding)と組み合わせて(噛み合わせて)、特定の内径をもつ波形の管(畝状の管:corrugated tube)を成形することができる。成形後、カーカスはバリヤー層の成形に備えてリールに巻き取ることができる。
【0142】
[0144]バリヤー層を成形するには、ポリアリーレンスルフィドを溶融加工して押出機クロスヘッド(cross-head)を通過させる、ここで溶融物はカーカス上に適用される。制御されたダイサイズと共に、押出機の体積とライン速度とを制御して、カーカス上に成形されるバリヤー層の厚さを制御する。
【0143】
[0145]標準的な実務に従って、追加の層をフローラインに適用することができる。たとえば、成形したカーボンスチールストリップを、初期(nascent)のフローラインの周りに螺旋状に巻きつけて隣接する巻きは互いに組み合わさって(噛み合って)フープ強度層を成形することができ、平坦なストリップは螺旋状に巻きつけて追加の強度層を形成することができる。
【0144】
[0146]強化ポリマーテープ、例えば一般に公知のように、引抜き成形法に従って成形したカーボン繊維またはガラス繊維強化ポリアリーレンスルフィドテープを使用して、フローラインの一つ以上の耐摩耗層を成形することができる。適用し得るように、テープは、製造用の補助剤(manufacturing aid)、耐摩耗層、絶縁層として使用するためのものでありえる。ポリマーテープ層は、使用の間にフローラインの鳥かご型変形(birdcaging)も防ぎやすくすることもできる。外側のポリマー層は、多層フローラインの上に押し出すことができる。
【0145】
[0147]もちろん、フローラインの特定のデザイン、経費の検討、使用すべき特定の材料などに依存して、一般に当業界で公知のように他の成形方法も使用することができる。たとえば、
図4に説明されているように単層フローライン10は、ブロー成形プロセスに従って成形することができる。ブロー成形の間に、最初にポリアリーレンスルフィド組成物を加熱し、押出し装置に付けられたダイを使用してパリソンに押し出す。パリソンを成形するとき、組成物は、重力がパリソンの部分を不必要に引き伸ばして、不均一な壁厚及び他の欠陥を形成しないように十分な溶融強度をもたなければならない。パリソンは、三次元モールド・キャビティ(mold cavity)を一緒になって形成する複数の区分から形成される成形装置に受けとられる。
【0146】
[0148]理解できるように、パリソンの成形から、パリソンが成形装置の中に噛み合って移動するまでに、一定の時間が経過する。プロセスのこの段階の間、ポリアリーレンスルフィド組成物の溶融強度は、パリソンが、移動の間にその形状を保持できるように十分に高くなりえる。ポリアリーレンスルフィド組成物は、半流体状態のままであり、且つブロー成形が開始する前に急速に固化しない能力もある。
【0147】
[0149]一度成形装置を閉じたら、不活性ガスなどのガスをガス供給からパリソン内に供給する。ガスは、パリソンがモールド・キャビティの形状に適合するように、パリソンの内部表面に対して十分な圧力を供給する。ブロー成形後、完成した成形品を取り出す。一態様において、成形装置から取り出す前に、ポリアリーレンスルフィド組成物を固化させるために、成形品に冷気を注入することができる。
【0148】
[0150]フローラインを成形する際に、連続ブロー成形プロセスを使用することができる。連続ブロー成形プロセスに従って、固定押出機は、溶融ポリアリーレンスルフィド組成物を可塑化して、ヘッドの中に溶融ポリアリーレンスルフィド組成物を強制的に通して、連続パリソンを成形する。アキュムレーター(accumulator)を使用してパリソンを支持して、成形前にたるまないようにすることができる。パリソンは、成形コンベヤアセンブリ(mold conveyor assembly)上の連続パリソンと共に移動する連接区分(関節で接合された区分:articulated section)で形成される金型(mold)に供給することができる。加圧下で空気をパリソンに適用して、金型内で組成物をブロー成形する。金型と組成物が一緒に移動するにつれて組成物が成形されて金型内で十分に冷却された後、金型セグメントは互いに分離して、部品の成形された区分(formed section)(たとえばパイプ)はコンベヤから取り出されて、巻き取りリールなどの上に引き取られる。
【0149】
[0151]所望により、成形された物品はさらに処理されて、最内部バリヤー層としてポリアリーレンスルフィド組成物を含む多層フローラインを成形するために、ポリアリーレンスルフィドに対して外側の追加の層を含むことができる。
【0150】
[0152]フローラインまたはフローラインの層は、押出しプロセスに従って成形することができる。たとえば、簡単な、またはバリヤー型スクリューを使用する押出プロセスを使用することができ、一態様では、プロセスで混合先端部を使用する必要はない。押出プロセスの圧縮比は、約2.5:1〜約4:1の間でありえる。たとえば、圧縮比は、約25%供給材料、約25%移行(transition)、及び約50%計量供給である。バレル長さ対バレル径の比(L/D)は約16〜約24でありえる。当業界で公知のように、押出しプロセスは、ブレーカープレート、スクリーンパック、アダプター、ダイ及び真空タンクなど他の標準的な部品を使用することもできる。真空タンクは通常、サイジングスリーブ(sizing sleeve)/キャリブレーションリング(calibration ring)、タンクシール(tank seals)などを包含しえる。
【0151】
[0153]押出しプロセスに従ってフローラインまたはフローラインの一部を成形するとき、ポリアリーレンスルフィド組成物は、最初に、温度約90℃〜約100℃で約3時間、乾燥することができる。組成物の変色を避けるために、長時間の乾燥を避けるのが有益でありえる。公知のように、押出機は異なるゾーン(zone)で異なる温度を示すことができる。たとえば一態様において、押出機は少なくとも4つのゾーンを含むことができ、第一のゾーンの温度は約276℃〜約288℃であり、第二のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、第三のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、第四のゾーンの温度は約540℃〜約580℃である。その一方で、ダイの温度は約293℃〜約310℃でありえ、真空タンクの水は約20℃〜約50℃でありえる。
【0152】
[0154]通常、ヘッド圧(head pressure)は約100ポンド/平方インチ(pounds per square inch:psi)(約690kPa)〜約1000psi(約6900kPa)でありえ、公知のように、ヘッド圧は安定な溶融流れ(melt flow)を得るために調節することができる。たとえば、ヘッド圧は、押出機ゾーンの温度を上昇させることにより、一分当たりの押出機スクリューの回転を増加させることにより、スクリーンパックのメッシュサイズ及び/またはスクリーンの数を減らすことにより、下げることができる。通常、ライン速度(line speed)は約4メートル/分〜約15メートル/分でありえる。もちろん、実際のライン速度は、管状部材の最終寸法、最終製品の美的感覚及びプロセス安定性などに依存しえる。
【0153】
[0155]押出しプロセスの間のダイスウエルは、通常、無視することができる。他の加工条件に依存して、より高い引落率(draw down)は、管状部材の最終特性に悪影響を与えるので、引落率約1.2〜約1.7を通常使用することができる。ダイの目ヤニ(die drool)は通常、押出し前に樹脂を好適に乾燥することにより、並びに約304℃未満に溶融温度を維持することによって避けることができる。
【0154】
[0156]一態様において、所望により組成物からより厚い壁厚をもつ管状部材を成形することができるが、ポリアリーレンスルフィド組成物から押し出したフローラインまたはフローラインの層は、約0.5ミリメートル〜約5ミリメートルの間の壁厚を有することができる。キャリブレーションリングの内径は管状部材の外径を決定することができ、通常、公知のようにダイの外径よりも小さい。公知のように、管状部材の内径を使用して、マンドレルの所望の外径及びライン速度を決定することができる。
【0155】
[0157]射出成形などの他の成形プロセスは、フローラインの一部またはフローライン系の部品を成形する際、例えば、フローラインのコネクタ、終端部(termination)、アンカーを成形する際に利用することができる。射出成形プロセスは一般に、予熱した領域でポリアリーレンスルフィド組成物を加熱して樹脂溶融物(plastic melt)にして、その後、組成物をノズルの中を通して密閉金型へ強制することを含みえる。溶融物の温度と金型の温度との間の正確な関係は、当業者には公知のように、製品の所望の表面特性などの因子に依存するが、金型の温度は一般に溶融物の温度よりも低い。射出成形は、予熱シリンダー、プランジャー、または往復スクリュー、トーピード(torpedo)、ノズル並びに、スプルー、ランナー、ゲート及び金型キャビティを含む金型をもつ慣用の射出成形装置で実施することができる。実際の成形温度及び圧力は、公知のように、機械の種類、たとえばプランジャー射出成形装置の作業若しくはスクリュー射出成形機に依存して、または成形品の所望の形状若しくはサイズに依存して変動するだろう。サイクルタイムは通常、約30〜約110秒である。
【0156】
[0158]本開示の態様は、単に態様の説明を目的とする以下の実施例により説明され、本発明の範囲または実施し得る方法を限定するものとみなすべきではない。具体的に示さない限り、部及び百分率は重量である。
【0157】
成形及び試験法
[0159]射出成形プロセス:引張試験片は、標準ISO条件に従って、ISO527-1仕様に合わせて射出成形する。
【0158】
[0160]溶融粘度:全ての材料は、試験前に真空下、150℃で1.5時間乾燥する。溶融粘度は、316℃及び400秒
-1でキャピラリーレオメーターで測定し、一定の剪断で5分後に粘度測定を実施する。
【0159】
[0161]引張特性:ISO試験No.527(ASTM D638と技術的に同等)に従って、引張弾性率、降伏応力、降伏歪み、破断点強さ、降伏点伸び、破断点伸びなどを試験する。弾性率、歪み及び強度測定は、長さ80mm、厚さ10mm及び幅4mmをもつ同一試験ストリップサンプルで実施する。試験温度は23℃であり、試験速度は5または50mm/分である。
【0160】
[0162]曲げ特性:ISO試験No.178(ASTM D790と技術的に同等)に従って、曲げ強さ及び曲げ弾性率などの曲げ特性を試験する。この試験は、64mmサポートスパン上で実施する。試験は、カットしていないISO 3167マルチパーパスバーの中心部分で実施する。試験温度は23℃であり、試験速度は2mm/分である。
【0161】
[0163]荷重撓み温度(deflection temperature under load:DTUL):荷重撓み温度は、ISO試験No.75-2(ASTM D648-07と技術的に同等)に従って測定した。特に、長さ80mm、厚さ10mm及び幅4mmの試験ストリップサンプルを、エッジワイズ三点曲げ試験(edgewise three-point bending test)にかけ、ここでは規定荷重(最大外部繊維応力)は1.8メガパスカル(Megapascal)であった。試験片をシリコン油浴中に下げ、試験片が0.25mm(ISO試験No.75-2に関しては0.32mm)に撓むまで、温度を2℃/分で上昇させる。
【0162】
[0164]ノッチ付きシャルピー衝撃強さ:ノッチ付きシャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1(技術的にASTM D256、方法Bと同等)に従って試験する。この試験は、タイプAノッチ(0.25mmベース半径)及びタイプ1試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、及び厚さ4mm)を使用して実施する。試験片は、一本歯フライス盤(single tooth milling machine)を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出す。試験温度は、以下に報告するように、23℃、−30℃、または−40℃である。
【0163】
[0165]ノッチなしシャルピー衝撃強さ:ノッチなしシャルピー特性は、ISO試験No.180(ASTM D256と技術的に同等)に従って試験する。試験は、タイプ1試験片(長さ80mm、幅10mm、及び厚さ4mm)を使用して実施する。試験片は一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出す。試験温度は23℃である。
【0164】
[0166]アイゾット(Izod)ノッチ付き衝撃強さ:ノッチ付きアイゾット(Izod)特性は、ISO試験No.180(ASTM D256、方法Aと技術的に同等)に従って試験する。この試験は、タイプAノッチを使用して実施する。試験片は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出す。試験温度は23℃である。
【0165】
[0167]密度及び比重:密度は、ISO試験No.1183(ASTM D792と技術的に同等)に従って測定した。試験片は空気中で秤量し、次いで必要により完全に試験片を沈んだままにするためにおもりとワイヤを使用して蒸留水中23℃に浸漬して秤量した。
【0166】
[0168] ビカット軟化温度(Vicat softening temperature):ビカット軟化温度は、ISO試験No.306(ASTM D1525と技術的に同等)に記載されるように、方法Aに従って荷重10Nで、方法Bに従って荷重50Nで測定した。これらはいずれも加熱速度50K/時間を使用した。
【0167】
[0169]水分吸収は、ISO試験No.62に従って測定した。試験片は、水の吸収が本質的に停止するまで(23℃/sat)、蒸留水中、23℃で浸漬する。
【0168】
[0170]複素粘度(complex viscosity):複素粘度は、TRIOSソフトウエアを使用して、25mmSS平行プレートを備えたARES-G2(TA Instruments)試験機を使用して低剪断掃引(low shear sweep)(ARES)により測定する。LVEレジメと最適試験条件を見つけるために、周波数掃引の前に、ペレットサンプル上で動的歪み掃引(dynamic strain sweep)を実施した。歪み掃引は、0.1%〜100%、周波数6.28rad/秒で実施した。それぞれのサンプルに関する動的周波数掃引(dynamic frequency sweep)は、500〜0.1rad/秒で得られ、歪み振幅(strain amplitude)は3%であった。間隙距離(gap distance)は、ペレットサンプルに関して1.5mmに維持した。温度は全てのサンプルに関して310℃に設定した。
【0169】
[0171]溶融強度及び溶融伸びは、EVF設備を備えたARES-G2で実施する。火炎試験片(flame bar)サンプルは、
図10に示されているように切り出した。試験サンプルの結晶化度を保持し、重複試験での変動を最小とするために、それぞれの試験に関して火炎試験片の同一領域を使用した。一時歪み(transient strain)は、それぞれのサンプルに0.2/秒の速度で適用した。代表曲線(representative curve)を得るために、それぞれのサンプルについて少なくとも3回試験を実施した。
【0170】
[0172]透過抵抗(permeation resistance):燃料透過研究は、SAE試験法No.J2665に従ってサンプルで実施した。すべてのサンプルに関して、ステンレススチールカップを使用した。直径3インチ(7.6センチメートル)の射出成形プラークを試験サンプルとして使用した。それぞれのサンプルの厚さは6つの異なる領域で測定した。O-リングViton(登録商標)フルオロエラストマーを、カップフランジとサンプルの間の下部ガスケット(lower gasket)として使用した(McMaster-Carrより購入、カタログ番号9464K57、A75)。フラットなViton(登録商標)フルオロエラストマー(McMaster-Carrより購入、カタログ番号86075K52、1/16”厚さ、A75)を3インチ(7.6cm)ODと2.5インチ(6.35cm)IDにダイカットし、サンプルと金属スクリーンとの間の上部ガスケットとして使用した。約200mlの燃料をカップに注ぎ、カップ装置を組み立て、蓋を指で締めた。蒸気圧が平衡に達し、蓋がトルク15in-lbに締められるまで、これを40℃のオーブンで1時間インキュベートした。燃料減少(fuel loss)は、最初の2週間は毎日、続いて試験期間の残りに関しては1週間に2回、重量測定法によりモニターした。対照試験(blank run)は、アルミニウムディスク(7.6cm直径、1.5mm厚さ)で同様に実施し、結果はサンプルから差し引いた。すべてのサンプルは二回測定した。正規化透過速度(normalized permeation rate)は、平衡期間の後に計算した。それぞれのサンプルに関する透過速度は、日々の重量減少(weight loss)(gm/日)に合った線形回帰の傾きから得られた。正規化透過速度は、透過速度を有効透過面積で割り、試験片の平均厚さを乗じることによって計算した。平均透過速度を報告する。
【0171】
[0173]炭化水素体積取り込み(hydrocarbon volume uptake):吸収及び拡散試験は、供給された引張り試験片から切り出したタブ端部(tab end)を使用して実施した。それぞれの材料は、ブレント原油、炭化水素/水混合物(単発試験(one-off test)では、炭化水素のみ)に浸漬した。吸収した液体の速度及び量を測定した。炭化水素液体混合物は、以下の組成を有していた。
【0173】
[0174]すべての暴露試験は、空気循環式オーブンを使用して、2週間の期間にわたって130℃で実施し、窒素でパージすることによって空気を試験容器から除去した。試験は、蒸気圧で実施した。
【実施例】
【0174】
実施例1
[0175]組成物を形成するのに使用した材料は以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー。
【0175】
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートとのランダムコポリマー、Arkema, Inc製。
【0176】
架橋剤:テレフタル酸。
【0177】
ジスルフィド:2,2-ジチオジ安息香酸(dithiodibenzoic acid)。
【0178】
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd製。
【0179】
[0176]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。上記成分を融解且つ混合するとすぐに、ジスルフィドを重量測定供給機を使用してバレル6で供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0180】
[0177]サンプルの組成を以下の表1に提供する。サンプルの重量をベースとした重量百分率として量を提供する。
【0181】
【表3】
【0182】
[0178]形成後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表2に提供する。
【0183】
【表4】
【0184】
[0179]サンプルは230℃で2時間アニールし、物理的試験に関して再試験した。結果を以下の表3に提供する。
【0185】
【表5】
【0186】
[0180]理解されるように、サンプル2は、アニール前後でより良い引張り伸び及びより低い弾性率を示した。しかしながら、衝撃強度では改善は見られなかった。これは、ジスルフィドとポリプロピレンスルフィドとの間の鎖切断反応によると考えられる。
【0187】
実施例2
[0181]実施例1の材料を、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。ジスルフィドは、重量測定供給機を使用して押出機の様々な位置:主供給口、バレル4及びバレル6で供給した。架橋剤はバレル6で供給した。材料をさらに混合し、次いでストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0188】
[0182]比較サンプル3及び4は、同一組成から形成し、異なるスクリュー設計を使用してコンパウンディングした。
【0189】
【表6】
【0190】
[0183]形成後、引張り試験片を成形し、様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表5に提供する。
【0191】
【表7】
【0192】
[0184]サンプルを230℃で2時間アニールし、物理的特性に関して再試験した。結果を以下の表6に提供する。
【0193】
【表8】
【0194】
[0185]理解されるように、サンプル10に関して、最高の引張伸びと、最高の衝撃強さが観察された。これは、加工処理の間に、架橋剤とジスルフィドの両方が同一の下流の地点で添加されたことを含む。
【0195】
[0186]
図11は、サンプル3とサンプル6に関する温度変化に対するノッチ付きシャルピー衝撃強さの関係を説明する。理解されるように、サンプル6のポリアリーレンスルフィド組成物は、温度変化の全過程にわたって優れた特性を示し、比較材料と比較して、温度変化に関して衝撃強さの増加の割合が高い。
【0196】
[0187]
図12は、サンプル3組成物(
図12A)とサンプル6組成物(
図12B)の形成で使用したポリアリーレンスルフィドの走査電子顕微鏡画像を含む。理解されるように、
図12Bの組成物では、ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤との間に明確な境界が全くない。
【0197】
[0188]サンプル3、6及び10の引張試験片を、10wt%硫酸中に40℃または80℃で500時間浸漬した。引張り特性及び衝撃特性を、酸への暴露の前後で測定した。結果を以下の表7に提供する。
【0198】
【表9】
【0199】
[0189]高温において、酸溶液に暴露する間の、シャルピーノッチ付き衝撃強さにおける経時変化の結果を
図13に説明する。理解されるように、サンプル6とサンプル10の強度の相対損失は、比較のサンプルよりもずっと小さい。
【0200】
実施例3
[0190]実施例1に記載の材料を、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。架橋剤は、重量測定供給機を使用して、主供給口及びバレル6で供給した。材料をさらに混合し、次いでストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0201】
[0191]サンプルの組成を以下の表8に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
【0202】
【表10】
【0203】
[0192]形成後、サンプルから成形した引張り試験片を、様々な物理的特徴に関して試験した。結果を以下の表9に提供する。
【0204】
【表11】
【0205】
[0193]理解されるように、架橋剤を上流で添加したものは、組成物の衝撃特性が低下したが、下流で供給流に添加したものは、引張り伸びが118%だけ、室温における衝撃強さが43%だけ増加した。
【0206】
実施例4
[0194]実施例1に記載の材料を、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。架橋剤はバレル6で重力測定供給機を使用して供給した。材料をさらに混合し、次いでストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0207】
[0195]サンプルの組成を以下の表10に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
【0208】
【表12】
【0209】
[0196]成形後、サンプルから成形した引張試験片を様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表11に提供する。
【0210】
【表13】
【0211】
実施例5
[0197]ポリアリーレンスルフィドに関しては、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキーから入手したFortron(登録商標)0320線状ポリフェニレンスルフィドを使用した以外には、実施例1に記載の材料を使用した。材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド及び耐衝撃性改良剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。架橋剤は、バレル6で重量測定機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0212】
[0198]サンプルの組成を以下の表12に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
【0213】
【表14】
【0214】
[0199]成形後、サンプルから成形した引張試験片を様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表13に提供する。
【0215】
【表15】
【0216】
実施例6
[0200]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214、線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー。
【0217】
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)4720−エチレン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸のランダムターポリマー、Arkema, Inc.製。
【0218】
【化8】
【0219】
架橋剤:ハイドロキノン。
【0220】
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd製。
【0221】
[0201]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤は、サンプル24及び25に関しては主供給で、サンプル26及び27に関してはバレル6で、重力測定供給機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0222】
[0202]サンプルの組成を以下の表14に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして、重量百分率として提供する。
【0223】
【表16】
【0224】
[0203]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表15に提供する。
【0225】
【表17】
【0226】
実施例7
[0204]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:
PPS1−Fortron(登録商標)0203、線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
【0227】
PPS2−Fortron(登録商標)0205線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
【0228】
PPS3−Fortron(登録商標)0320線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
【0229】
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートとのランダムコポリマー、Arkema, Inc製。
【0230】
架橋剤:テレフタル酸。
【0231】
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd.製。
【0232】
[0205]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤はバレル6で、重力測定供給機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0233】
[0206]サンプルの組成を以下の表16に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
【0234】
【表18】
【0235】
[0207]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表17に提供する。
【0236】
【表19】
【0237】
実施例8
[0208]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー。
【0238】
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートとのランダムコポリマー、Arkema, Inc.製。
【0239】
架橋剤:テレフタル酸。
【0240】
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd.製。
【0241】
[0209]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤はバレル6で、重力測定供給機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0242】
[0210]サンプルの組成を以下の表18に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
【0243】
【表20】
【0244】
[0211]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表19に提供する。サンプル39は射出成形可能ではなかった。
【0245】
【表21】
【0246】
実施例9
[0212]組成物を形成するのに使用した材料は、以下のものを含んでいた:
ポリアリーレンスルフィド:Fortron(登録商標)0214線状ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers of Florence、ケンタッキー製。
【0247】
耐衝撃性改良剤:LOTADER(登録商標)AX8840−エチレンとグリシジルメタクリレートとのランダムコポリマー、Arkema, Inc.製。
【0248】
架橋剤:テレフタル酸。
【0249】
滑剤:Glycolube(登録商標)P、Lonza Group Ltd.製。
【0250】
[0213]材料は、ダイに一つを含む10個の温度制御ゾーンと、全L/Dが40のCoperion共回転完全噛み合い二軸押出機を使用して、溶融混合した。添加剤を樹脂マトリックスにコンパウンディングするために、高剪断スクリュー設計を使用した。ポリアリーレンスルフィド、耐衝撃性改良剤及び滑剤を、重量測定供給機を使用して、第一のバレルの主供給口に供給した。上記成分を溶融及び混合するとすぐに、架橋剤はバレル6で、重力測定供給機を使用して供給した。材料をさらに混合し、ストランドダイの中を通して押出した。ストランドは浴中で水クエンチして固化させ、ペレタイザーで造粒した。
【0251】
[0214]サンプルの組成を以下の表20に提供する。量は、サンプルの重量をベースとして重量百分率として提供する。
【0252】
【表22】
【0253】
[0215]成形後、サンプルは様々な物理的特性に関して試験した。結果を以下の表21に提供する。
【0254】
【表23】
【0255】
[0216]サンプル41、42及び43は、複素粘度並びに、ヘンキー(Hencky)歪みの関数として溶融強度及び溶融伸びを測定するために試験した。比較材料として、実施例2に記載のサンプル3を使用した。サンプル41、42及び43は、310℃で実施し、サンプル3は290℃で実施した。結果を
図14、
図15及び
図16に示す。
【0256】
実施例10
[0217]実施例9で記載のサンプル42を使用して、ブロー成形した1.6ガロンタンクを成形した。成形したタンクを
図17に説明する。タンクの断面図を
図18A及び
図18Bに示す。成形したタンクは、目視検査及び手触りの両方に関して良好な外表面をもつ。
図18Aに示されているように、一様な壁厚(約3mm)が得られ、最小量の垂れ下がり(sag)が観察された。
図18Bに示されているように、ピンチオフは優れた形状を形成した。
【0257】
実施例11
[0218]実施例9に記載のサンプル41、42及び43を試験して、CE10(10wt%エタノール、45wt%トルエン、45wt%イソオクタン)、CM15A(15wt%メタノール及び85wt%含酸素燃料)、並びにメタノールなどの様々な燃料の透過(浸透)を測定した。実施例2に記載のサンプルNo.4を比較材料として使用した。それぞれの材料で二つのサンプルを試験した。
【0258】
[0219]以下の表22は、それぞれの燃料について試験したサンプルに関する平均サンプル厚さ及び有効面積を提供する。
【0259】
【表24】
【0260】
[0220]それぞれの材料及びそれぞれの燃料に関する日々の重量減少を
図19〜21に示す。具体的には、
図19は、CE10の透過試験の間における、サンプルの日々の重量減少を示し、
図20は、CM15Aの透過試験の間における、サンプルの日々の重量減少を示し、及び
図21は、メタノールの透過試験の間における、サンプルの日々の重量減少を示す。
【0261】
[0221]それぞれの燃料を用いるそれぞれのサンプルに関する平均透過速度を表23に提供する。サンプル43は、平衡に到達するのにより長い時間がかかったので、この材料に関しては42日と65日の間のデータをベースとして線形回帰をあてはめ、他の材料に関しては32日と65日の間で線形回帰をあてはめたことに留意すべきである。メタノールに関しては、20日と65日の間のデータをベースとして線形回帰をあてはめたが、サンプルNo.604に関しては、30日と65日の間のデータをベースとして線形回帰をあてはめた。サンプルによっては負の透過を示すものもあるが、これは、アルミニウムブランクに対してサンプルの重量減少が少ないためである。
【0262】
【表25】
【0263】
[0222]本開示に対するこれら及び他の変形及び変更は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく当業者には実施をすることができる。さらに、様々な態様の側面は、その全体または一部が交換可能であることは理解すべきである。さらに、当業者は、上記記載は単なる例示であって、本開示を限定するものではないことを理解するだろう。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]
石油及び/またはガス生産用のフローラインであって、前記フローラインはポリアリーレンスルフィド組成物を含み、前記フローラインのポリアリーレンスルフィド組成物は、ポリアリーレンスルフィドと架橋耐衝撃性改良剤とを含む、前記フローライン。
[2]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物が、以下の特性:
温度23℃及び速度5mm/分で、ISO試験No.527に従って測定して、約4.5%を超える降伏点伸び;
温度23℃及び速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約3000MPa未満の引張弾性率;
温度23℃及び速度5mm/分でISO試験NO.527に従って測定して約7%を超える降伏点伸び;
温度23℃及び速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約2300MPa未満の引張弾性率;
1.8MPaにおいてISO試験No.75に従って測定して約90℃を超える荷重撓み温度;
温度23℃でISO試験No.179-1に従って測定して、約3kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さ;
温度−30℃でISO試験No.179-1に従って測定して、約8kJ/m2を超えるノッチ付きシャルピー衝撃強さ;
温度23℃及び試験速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約30MPaを超える引張破断応力;
温度約40℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、23℃でISO試験No.179-1に従って測定したシャルピーノッチ付き衝撃強さの減少が約17%未満;
温度約80℃で強酸溶液に約500時間暴露した後に、23℃でISO試験No.179-1に従って測定したシャルピーノッチ付き衝撃強さの減少が約25%未満;
温度23℃及び試験速度5mm/分でISO試験No.527に従って測定して約25%を超える引張破断歪み;
約1000ppm未満のハロゲン含有量;
0.2ミリメートルの厚さでV-0燃焼性規格を満たす;または
SAE試験法NO.J2665に従って測定して約3g-mm/m2-日未満の燃料または燃料源に対する透過抵抗(permeation resistance)を示す、
の一つ以上を有する、[1]に記載のフローライン。
[3]
前記フローラインが接着された若しくは接着されていない多層フローライン、ライザー、束ねられたフローライン、支持流体フローライン、またはパイプ-イン-パイプである、[1]または[2]に記載のフローライン。
[4]
前記多層フローラインが、前記ポリアリーレンスルフィド組成物から成形されたバリヤー層を含む、及び/または前記ポリアリーレンスルフィド組成物を含む多層を含む、[3]に記載のフローライン。
[5]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物を含むフローラインに取り付けられている取り付け部品、コネクタ、アンカー、係船用具、ブイ、またはヨークをさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のフローライン。
[6]
前記ポリアリーレンスルフィドがポリプロピレンスルフィドであるか、または官能基化されたポリアリーレンスルフィドである、[1]〜[5]のいずれかに記載のフローライン。
[7]
前記架橋耐衝撃性改良剤が、耐衝撃性改良剤のエポキシ官能基と架橋剤との反応生成物または耐衝撃性改良剤の無水マレイン酸官能基と架橋剤との反応生成物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のフローライン。
[8]
前記石油及び/またはガス生産用途が、沖合生産用途または陸上生産用途である、[1]〜[7]のいずれかに記載のフローライン。
[9]
前記ポリアリーレンスルフィド組成物が可塑剤を含まない、[1]〜[8]のいずれかに記載のフローライン。
[10]
石油及び/またはガス用途用のフローラインを成形する方法であって、ポリアリーレンスルフィドと架橋耐衝撃性改良剤とを含むポリアリーレンスルフィド組成物を成形して、フローラインを成形することを含む、前記方法。
[11]
ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する段階をさらに含む、[10]に記載の方法であって、
ポリアリーレンスルフィドを溶融加工装置に供給する工程;
前記溶融加工装置に耐衝撃性改良剤を供給する工程、ここで、前記溶融加工装置における前記ポリアリーレンスルフィドと耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性改良剤がポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布されるように混合し、前記耐衝撃性改良剤は、反応性官能基を含む;
前記溶融加工装置に架橋剤を供給する工程、ここで、前記架橋剤は、耐衝撃性改良剤をポリアリーレンスルフィドの中にくまなく分布させた後に、溶融加工装置に供給され、前記架橋剤は、耐衝撃性改良剤の反応性官能基に対して反応性である反応性官能基を含む、
を含む、前記方法。
[12]
前記溶融加工装置が長さL及びブレンド長さLBをもち、L/LBの比が約40〜約1.1である、[11]に記載の方法。
[13]
前記溶融加工装置にジスルフィド化合物を供給することをさらに含み、前記ジスルフィド化合物は、ジスルフィド化合物の(単数または複数の)終端部に反応性官能基を含む、[11]または[12]に記載の方法。
[14]
前記ジスルフィド化合物の反応性官能基が、架橋剤の反応性官能基と同一である、[13]に記載の方法。
[15]
前記ジスルフィド化合物及び架橋剤を一緒に添加する、[14]に記載の方法。
[16]
前記架橋剤がジスルフィドを含まない架橋剤である、[11]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]
前記方法は、カーカスの上に前記ポリアリーレンスルフィド組成物を押出成形することを含む、[10]〜[16]のいずれかに記載の方法。
[18]
ポリアリーレンスルフィド組成物の成形段階が、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、圧縮成形、ホットスタンピング、紡糸及び引抜成形の一つ以上を含む成形方法を含む、[10]〜[17]のいずれかに記載の方法。
[19]
前記成形が少なくとも四つのゾーンをもつ押出機を使用する押出プロセスを含み、第一のゾーンの温度は約276℃〜約288℃であり、第二のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、第三のゾーンの温度は約282℃〜約299℃であり、及び第四のゾーンの温度は約540℃〜約580℃である、[10]〜[18]のいずれかに記載の方法。
[20]
前記押出し成形プロセスがダイを使用し、前記ダイの温度は約293℃〜約310℃である、[19]に記載の方法。
[21]
前記成形が押出プロセスを含み、前記押出しプロセスは、約690kPa〜約6900kPaであるヘッド圧をもつ、[10]〜[20]のいずれかに記載の方法。
[22]
前記フローラインを、前記ポリアリーレンスルフィド組成物を含むコネクタ、取り付け部品、アンカー、係船用具、ブイ、またはヨークに取り付ける工程をさらに含む、[10]〜[21]のいずれかに記載の方法。