【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る機器監視システムは、
対象機器の物理量を
検出動作の動作時間中に検出する検出器と、
前記検出器による検出結果に基づいて対象機器の作動状態を診断する診断部とを備える機器監視システムであって、
前記検出器が瞬間的な検出動作を周期的に行う簡易検出モードと、前記検出器が
前記簡易検出モードにおける一回の検出動作の動作時間よりもその動作時間の長い連続的な検出動作を行う詳細検出モードとに、前記検出器の検出動作モードを切り換える制御部を備え、
前記診断部は、前記簡易検出モードにおいて、前記検出器による検出結果に基づいて対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かを診断する構成にし、
前記制御部は、前記簡易検出モードにおいて、対象機器の作動状態が正常状態であると前記診断部が診断したときには、前記簡易検出モードを保持し、対象機器の作動状態が要注意状態であると前記診断部が診断したときには、前記検出器の検出動作モードを前記簡易検出モードから前記詳細検出モードに切り換える構成にしてある。
【0009】
つまり、上記構成では、検出器の検出動作を、瞬間的な検出動作を周期的に行う簡易検出モードと連続的な検出動作を行う詳細検出モードとの2つの検出動作モードで行うこととし、まず、簡易検出モードにおいて、異常の兆候を発見することを目的に、対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かの簡易な診断を行い、簡易検出モードにおいて診断結果が要注意状態の場合に(即ち、異常の兆候が発見された場合に)、検出器の検出動作モードを詳細検出モードに切り換えて、連続的な検出動作によりデータを重点的に収集して対象機器の作動状態を詳細に診断する。
【0010】
このため、上記構成によれば、基本的には瞬間的な検出動作を行う簡易検出モードの検出動作を行って消費電力を抑えつつ、簡易検出モードにおける診断結果が要注意状態の場合にのみ、連続的な検出動作により消費電力が嵩むこととなる詳細検出モードの検出動作を行うから、全体として検出器の消費電力を効果的に抑えることができる。そして、瞬間的な検出動作のため、簡易検出モードにおいては、その診断結果が、対象機器の作動状態が異常であることに起因するものであるのか、対象機器の作動状態は正常であり単に検出結果のばらつきによるものなのかの判別がつきがたいものであっても、詳細検出モードの検出動作を行ってその検出結果を詳細に診断するから、最終的には対象機器の作動状態が正常状態か異常状態かを確度高く診断することができる。
【0011】
即ち、上記構成によれば、検出器の消費電力を効果的に抑え、且つ、対象機器の作動状態を確度高く診断することができる。
【0012】
以下、本開示に係る蒸気使用設備評価システムの好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本開示の範囲が限定される訳ではない。
【0013】
一つの態様として、前記診断部は、前記詳細検出モードにおいて、所定時間における前記検出器による検出結果に基づき対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かを診断することを繰り返し、この繰り返しにおいて予め定めた異常認定回数だけ連続して対象機器の作動状態が要注意状態であると診断されたときに、対象機器の作動状態が異常状態であると診断する構成にしてあると好適である。
【0014】
つまり、上記構成によれば、詳細検出モードにおいて、連続的な検出動作により収集された検出結果に基づいて対象機器の作動状態を診断して、簡易検出モードにおける診断に比べ確度の高い診断を行い、さらに、この確度の高い診断を繰り返して診断の確からしさを繰り返し確認した後に対象機器の作動状態が異常状態であると診断するから、対象機器の作動状態を極めて確度高く診断することができる。
【0015】
なお、上記構成における所定時間は、一定のものでなくてもよく、例えば、診断を繰り返すごとにその時間を長くするなど、診断の繰り返し回数に応じて適宜変更してもよい。
【0016】
また、検出器における検出動作のパターンは、所定時間の連続的な検出動作を行った後検出動作を休止し、診断部が診断を終えた後に検出動作を再開するものであっても、所定時間の検出動作を行った後に休止することなく、絶えず連続的な検出動作を行い続けるものであってもよい。
【0017】
一つの態様として、前記制御部は、前記詳細検出モードにおける診断部による診断の繰り返しにおいて、対象機器の作動状態が正常状態であると前記診断部が診断したときに、前記検出器の検出動作モードを前記詳細検出モードから前記簡易検出モードに切り換える構成にしてあると好適である。
【0018】
つまり、詳細検出モードでは連続的な検出動作を行うことにより確度の高い診断を行うことができるものの、その分簡易検出モードの検出動作に比べ消費電力は嵩んでしまうが、上記構成によれば、詳細検出モードにおける診断の繰り返しにおいて、対象機器の作動状態が正常状態であると前記診断部が診断したときには、診断の繰り返しをやめて、直ちに検出器の検出動作モードを消費電力が抑えられた簡易検出モードに切り換えるから、詳細検出モードにより検出動作を行うことによる検出器の消費電力の増加を効果的に抑えることができる。
【0019】
一つの態様として、前記診断部は、前記詳細検出モードにおいて、所定時間における前記検出器による検出結果に基づき対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かを診断することを繰り返し、この繰り返しにおいて所定回数の診断を行った後、対象機器の作動状態が要注意状態であると診断された回数が予め定めた異常認定回数以上であったときに、対象機器の作動状態が異常状態であると診断する構成にしてあると好適である。
【0020】
詳細検出モードにおいて、連続的な検出動作により収集された検出結果に基づいて対象機器の作動状態を診断して、簡易検出モードにおける診断に比べ確度の高い診断を行い、さらに、この確度の高い診断を所定回数繰り返して、所定回数の診断結果に基づいて診断を行う形式をとるから、対象機器の作動状態を極めて確度高く診断することができる。
【0021】
なお、上記構成における所定時間は、一定のものでなくてもよく、例えば、診断を繰り返すごとにその時間を長くするなど、診断の繰り返し回数に応じて適宜変更してもよい。
【0022】
また、検出器における検出動作のパターンは、所定時間の連続的な検出動作を行った後検出動作を休止し、診断部が診断を終えた後に検出動作を再開するものであっても、所定時間の検出動作を行った後に休止することなく、絶えず連続的な検出動作を行い続けるものであってもよい。
【0023】
一つの態様として、前記検出器は、
検出結果にばらつきの出にくい物理量である第1グループの物理量と
検出結果にばらつきの出やすい物理量である第2グループの物理量とを検出可能な構成にし、前記診断部は、前記簡易検出モードにおいて、前記第1グループの物理量について対象機器の作動状態が正常状態か異常状態かを診断し、前記第1グループの物理量について対象機器の作動状態が正常状態であると前記診断部が診断したときに、前記第2グループの物理量について対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かを診断する構成にし、前記制御部は、前記簡易検出モードにおいて、前記第2グループの物理量について対象機器の作動状態が正常状態であると前記診断部が診断したときに、前記簡易検出モードを保持し、前記第2グループの物理量について対象機器の作動状態が要注意状態であると前記診断部が診断したときに、前記検出器の検出動作モードを前記簡易検出モードから前記詳細検出モードに切り換える構成にしてあると好適である。
【0024】
検出対象とする物理量によって対象機器の作動状態のどのような種類の異常を検出可能かが異なるものであり、対象機器の作動状態を総合的に診断するのに検出器は複数の物理量が検出可能であることが好ましい。しかし、検出対象とする物理量には、周期的に変動して検出結果にばらつきが出やすいものや(例えば超音波振動や音響)、時間変動が少なく検出結果にばらつきが出にくいもの(例えば温度など)がある。そして、検出結果にばらつきの出やすい物理量にとっては、診断の確度を高くするために、ある程度まとまった時間の検出動作における検出結果に基づいて診断を行うことが必要となる。これに対し、検出結果にばらつきの出にくい物理量については瞬間的な検出動作における検出結果で十分な確度の診断が可能である。
【0025】
つまり、検出結果にばらつきの出やすい物理量については、簡易検出モードの検出結果では診断の確度は不十分であり、確度の高い診断を行うためには詳細検出モードの検出結果に基づいて診断することが必要となる。一方、検出結果にばらつきの出にくい物理量については、簡易検出モードの検出結果で十分な確度の診断を行うことができ、詳細検出モードの検出動作までさらに行うこととすると無駄に電力を消費することとなる。このように、検出結果にばらつきの出やすい物理量と検出結果にばらつきの出にくい物理量とを一緒くたにして同じパターンで診断を行うとすると、少なくとも一方について消費電力に無駄が生じるか、又は、診断の確度が下がることになる。
【0026】
そこで、上記構成では、検出器が検出する物理量の診断パターンを2つに分けて、第1グループの物理量については、詳細検出モードには移行せずに、簡易検出モードにおける検出結果に基づく診断のみを行い、第2グループの物理量については、簡易検出モードにおける検出結果に基づく診断に加え、さらに詳細検出モードにおける検出結果に基づく診断を行う。つまり、上記構成によれば、検出結果にばらつきの出にくい物理量を第1グループの物理量とすれば、簡易検出モードにおける診断のみで確度の高い診断を行いつつ詳細検出モードにおける検出動作や診断を省いて消費電力を効果的に抑えることができる。同時に、検出結果にばらつきの出やすい物理量を第2グループの物理量とすれば、基本的には簡易検出モードの検出動作を行い消費電力を効果的に抑えながらも、最終的には詳細検出モードにおける検出結果に基づく診断を行うから、十分な確度の診断が可能となる。このように、上記構成によれば、検出結果にばらつきの出やすい物理量と検出結果にばらつきの出にくい物理量との検出結果に基づきそれぞれ診断を行う場合でも、検出器の消費電力を効果的に抑え、且つ、確度高く対象機器の作動状態を診断することができる。
【0027】
一つの態様として、前記診断部は、前記簡易検出モードにおいて、前記第1グループの物理量については、1回の検出動作における検出結果に基づいて対象機器の作動状態を診断し、前記第2グループの物理量については、複数回の検出動作における検出結果の移動平均に基づいて対象機器の作動状態を診断する構成にしてあると好適である。
【0028】
つまり、上記構成では、第2グループの物理量については、複数回の検出動作における検出結果の移動平均に基づいて対象機器の作動状態を診断するから、簡易検出モードにおける第2グループの物理量についての対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かの診断の確度を高めることができる。そして、診断の確度を高めることにより、消費電力が嵩むこととなる詳細検出モードへの不要な切り換えを減らすことができるから、消費電力を一層効果的に抑えることができる。
【0029】
一つの態様として、前記第1グループの物理量は温度を含むと好適である。
【0030】
つまり、温度は時間変動が少なく検出結果にばらつきの出にくいため、瞬間的な検出動作を行う簡易検出モードにおける検出結果のみで十分な確度の診断が可能なところ、上記構成によれば、温度を簡易検出モードにおける検出結果に基づく診断のみを行う第1グループの物理量とするから、温度に適した検出動作パターン及び診断を行うことができる。
【0031】
一つの態様として、前記第2グループの物理量は超音波振動又は音響を含むと好適である。
【0032】
つまり、超音波振動及び音響は周期的に変動し検出結果にばらつきの出やすいため、確度の高い診断を行うためには詳細検出モードにおける検出結果に基づく診断が必要なところ、上記構成によれば、超音波振動又は音響を、簡易検出モードにおける検出結果に基づく診断に加え、さらに詳細検出モードにおける検出結果に基づく診断を行う第2グループの物理量とするから、超音波振動又は音響に適した検出動作パターン及び診断を行うことができる。
【0033】
一つの態様として、前記診断部は、予め定めた閾値に対する検出結果の大小関係に基づいて構成にしてあると好適である。
【0034】
つまり、上記構成によれば、予め定めた閾値に対する検出結果の大小関係を求めるのみの簡易な部で、対象機器の作動状態を容易に診断することができる。
【0035】
一つの態様として、前記閾値は、前記検出器の試験運転において前記検出器により検出される検出結果の最大値又は最小値に設定してあると好適である。
【0036】
つまり、上記構成によれば、予め行う試験運転において検出される検出結果の最大値または最小値に基づいて対象機器の作動状態を診断するから、検出結果が正常の範囲内にあるかどうかの診断を確実に行うことができる。
【0037】
一つの態様として、前記閾値は、前記検出器の初期運転時において一定期間に検出された検出結果のばらつき範囲に基づいて、前記検出器ごとに設定してあると好適である。
【0038】
つまり、上記構成によれば、設置場所などの各対象機器の実情に応じた閾値が各対象機器に設定されるから、各対象機器に応じた作動状態の診断をすることができる。
【0039】
一つの態様として、前記閾値を、前記検出器の運転中において一定期間に検出された検出結果のばらつき範囲に基づいて、前記検出器ごとに適時更新すると好適である。
【0040】
つまり、上記構成によれば、初期運転時における閾値の設定後、継続運転による各対象機器の実情の変動に応じて閾値を対象機器ごとに適時更新するから、運転後の変化も加味して各対象機器に応じた作動状態の診断をすることができる。
【0041】
一つの態様として、前記診断部により対象機器の作動状態が異常状態と診断された場合に警報を行う警報部を備えると好適である。
【0042】
つまり、上記構成によれば、対象機器の作動状態が異常状態と診断された場合に警報を行うから、対象機器の作動状態の異常に対し、早期に対処することができる。
【0043】
本開示に係る機器監視プログラムは、
検出器による検出動作の動作時間中に対象機器の物理量を
前記検出器に検出させて、
前記検出器による検出結果に基づいて対象機器の作動状態を診断部に診断させる機器監視プログラムであって、
前記検出器に、瞬間的な検出動作を周期的に行う簡易検出モードの検出動作を行わせ、
前記診断部に、前記検出器による検出結果に基づいて対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かを診断させ、
対象機器の作動状態が正常状態であると前記診断部が診断したときには、前記簡易検出モードを保持して前記検出器に検出動作を行わせ、対象機器の作動状態が要注意状態であると前記診断部が診断したときには、前記検出器の検出動作モードを前記簡易検出モードから
前記簡易検出モードにおける一回の検出動作の動作時間よりもその動作時間の長い連続的な検出動作を行う詳細検出モードに切り換えて前記検出器に検出動作を行わせる。
【0044】
つまり、上記構成によれば、本開示に係る機器監視システムを好適に実施することができて、これにより、本開示に係る機器監視システムで得られる前述の作用効果を効果的に得ることができる。
【0045】
本開示に係る機器監視方法は、
検出器による検出動作の動作時間中に対象機器の物理量を
前記検出器により検出し、
前記検出器による検出結果に基づいて対象機器の作動状態を診断する機器監視方法であって、
前記検出器により、瞬間的な検出動作を周期的に行う簡易検出モードの検出動作を行い、
前記検出器による検出結果に基づいて対象機器の作動状態が正常状態か要注意状態かを診断し、
対象機器の作動状態が正常状態であると診断したときには、前記簡易検出モードを保持して前記検出器により検出動作を行い、対象機器の作動状態が要注意状態であると診断したときには、前記検出器の検出動作モードを前記簡易検出モードから
前記簡易検出モードにおける一回の検出動作の動作時間よりもその動作時間の長い連続的な検出動作を行う詳細検出モードに切り換えて前記検出器により検出動作を行う。
【0046】
つまり、上記構成によれば、本開示に係る機器監視システムを好適に実施することができて、これにより、本開示に係る機器監視システムで得られる前述の作用効果を効果的に得ることができる。