(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
人体の大動脈部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を検出して動脈圧の第1の電圧値として測定する圧力センサ、もしくは人体の大動脈部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波を検出して第1の電圧値として測定する光センサである第1のセンサと、
上記人体の末梢血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を光信号を用いて検出して血管脈波信号の第2の電圧値として測定する光センサである第2のセンサと、
上記第1の電圧値及び上記第2の電圧値に基づいて、上記人体の睡眠状態を判定する制御手段とを備える睡眠状態モニタリングシステムであって、
上記制御手段は、
(A)所定の時間期間において、上記第1の電圧値が所定の第1の増減量内で増減しかつ上記第2の電圧値が所定の第2の増減量内で増減しているときに、上記人体が非覚醒状態であると判定し、
(B)上記時間期間において、上記第1の電圧値が所定の第1のしきい値以上の増加量で増加し、かつ上記第2の電圧値が所定の第2のしきい値以下の減少量で減少しているときに、上記人体が覚醒状態であると判定することを特徴とする睡眠状態モニタリングシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、在宅にて施行可能、かつ一般の医療機関でも行われている呼吸状態だけをモニターする簡易睡眠モニターには、下記の欠点があった。
(1)脳波が測定されていないため睡眠中の呼吸をモニターしているか確定できない。
(2)顔の口及び鼻のセンサが外れやすいため、在宅でのデータの精度が低い。
(3)取得データの内容が乏しい。
【0005】
終夜PSGでは脳波の測定により入眠開始、中途覚醒、覚醒など睡眠段階の判定が可能であるため、記録時間から覚醒している時間が除かれた全睡眠時間が計測できるが、簡易睡眠検査装置では脳波の測定がないため、全睡眠時間の測定ができないという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して装置構成が簡単であって、しかも高精度で睡眠状態を判定することができる睡眠状態モニタリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る睡眠状態モニタリングシステムは、
人体の大動脈部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を検出して動脈圧の第1の電圧値として測定する圧力センサ、もしくは人体の大動脈部の血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波を検出して第1の電圧値として測定する光センサである第1のセンサと、
上記人体の末梢血管上の皮膚を介して設けられ当該血管に流れる脈波の圧力変化を光信号を用いて検出して血管脈波信号の第2の電圧値として測定する光センサである第2のセンサと、
上記第1の電圧値及び上記第2の電圧値に基づいて、上記人体の睡眠状態を判定する制御手段とを備える睡眠状態モニタリングシステムであって、
上記制御手段は、
(A)所定の時間期間において、上記第1の電圧値及び上記第2の電圧値がそれぞれ所定の各しきい値範囲の増減量内で増減しているときに、上記人体が非覚醒状態であると判定し、
(B)上記時間期間において、上記第1の電圧値が所定の第1のしきい値以上の増加量で増加し、かつ上記第2の電圧値が所定の第2のしきい値以下の減少量で減少しているときに、上記人体が覚醒状態であると判定することを特徴とする。
【0008】
上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記制御手段は、
(C)上記時間期間において、上記第1の電圧値が所定のしきい値範囲の増減量内で増減し、かつ上記第2の電圧値が所定の第2のしきい値以下の減少量で減少しているときに、上記人体が、脳波の微小変動の状態であると判定することを特徴とする。
【0009】
また、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、
上記人体の大動脈部の血管は当該人体の橈骨部の血管であり、
上記人体の末梢血管は当該人体の指尖部の血管であることを特徴とする。
【0010】
さらに、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記判定結果を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
またさらに、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記圧力センサはそれぞれ、上記血管に流れる脈波の圧力変化を抵抗値変化として検出するMEMS圧力センサである。
【0012】
さらに、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記圧力センサは、ダイアフラムの圧力検出面側に第1の空間を有し、上記第1の空間に対面する圧力検出面を用いて圧力の検出を行うダイアフラムを有し、検出した圧力に対応する電気信号を出力し、
上記睡眠状態モニタリングシステムは、
上記圧力センサを支持して被測定部に接触して載置される第1のフィルムシートであって、上記第1の空間に連通しかつ上記第1の空間よりも大きな、上記圧力検出面に平行な方向のサイズを有する第2の空間を有する第1のフィルムシートと、
上記圧力センサを上記被測定部に位置決めするために上記圧力検出面に平行な方向のサイズを有する第3の空間を有する第2のフィルムシートであって、上記圧力センサを上記被測定部に載置する前に、上記被測定部の部位が上記第3の空間に位置するように載置するための第2のフィルムシートとを備えることを特徴とする。
【0013】
またさらに、上記睡眠状態モニタリングシステムにおいて、上記光センサは、
皮膚を介して血管に光を放射する発光素子と、上記血管からの反射光又は上記血管を介した透過光を皮膚を介して受光する受光素子とを含む光探触子と、
入力される駆動信号に基づいて上記発光素子を駆動する駆動回路と、
上記受光素子により受光された光を電気信号に変換して上記駆動信号として出力する検出回路とを備えた光探触子回路を用いて構成された光センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る睡眠状態モニタリングシステムによれば、橈骨動脈圧のデータ及び指尖血管脈波信号のデータを用いて、従来技術に比較して極めて簡単な校正でかつ高精度で血圧を測定して、高精度で睡眠状態を判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。以下では、測定対象として人間の血管の脈波について説明するが、生体の血管の脈波であればよく、人間以外の動物等を対象とすることができる。また、以下では、血管脈波測定として、脈拍、最大血圧、最小血圧の測定について説明するが、これ以外に、血管の脈動波形を用いて測定するものであればよい。例えば、脈拍波形の積分値から血流量に対応する量の測定を行い、脈動波形の微分値から血管の柔軟性を評価する測定を行うものであってもよい。以下で説明する材料、形状等は例示であって、使用目的に応じこれらの内容を適宜変更してもよい、
【0017】
本実施形態では、睡眠状態の観測を、脳波によらず、非観血の連続橈骨動脈圧と連続抹消動脈波を、他の呼吸パラメータ、心電図等と同期観測することにより、脳波を測定することなく睡眠状態を把握できる携帯型睡眠モニターの開発要望にもとづく機器を提供する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る睡眠状態モニタリングシステム10の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1において、睡眠状態モニタリングシステム10の構成要素ではないが、血圧等を測定する対象の被測定者6が示されている。なお、以下の図において、被測定者6の皮膚については図示を省略する。本実施形態に係る睡眠状態モニタリングシステム10は、
(1)従来用いられているコロトコフ音を測定する圧迫カフ法、あるいは、動脈内に、圧力センサが連結されたカテーテルを挿入侵襲させて血管内の圧力を直接測定する観血法に代えて、
図1に示すように、脈波及び圧力検出印加装置20内のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)圧力センサ30(
図5A及び
図5B)を用いて橈骨動脈圧のデータを収得して橈骨動脈圧の測定を行う橈骨動脈圧測定システムと、
(2)指尖部9(
図2)に装着した光センサを構成する光探触子回路120を用いて指尖脈波信号を測定する指尖脈波測定システムと
を用いて、睡眠状態を判別することを特徴としている。
【0020】
睡眠状態モニタリングシステム10は、
図1に示すように、
(a)被測定者6の血圧取得に適した、例えば手首8の橈骨の部位に取り付けられて橈骨動脈圧を測定するMEMS圧力センサ30及び圧力アクチュエータ36を備えた脈波及び圧力検出印加装置20と、
(b)脈波及び圧力検出印加装置20のMEMS圧力センサ30からの出力電圧Vout1
を電圧増幅する電圧増幅器32と、
(c)電圧増幅器32からの出力電圧Vout1をディジタルデータにA/D変換して装置コントローラ50に出力するA/D変換器33と、
(d)装置コントローラ50からの制御信号Scを脈波及び圧力検出印加装置20の圧力アクチュエータ36に出力する制御信号線34と、
(e)被測定者6の脈波信号取得に適した、例えば指尖部9の部位に取り付けられて脈波信号を測定する光センサである光探触子回路120と、
(f)光探触子回路120からの出力電圧Vout2を電圧増幅する電圧増幅器32aと、
(g)電圧増幅器32aからの出力電圧Vout2をディジタルデータにA/D変換して装置コントローラ50に出力するA/D変換器33aと、
(h)公知のセンサ70a,70bを用いて、いびき及び体位並びに酸素濃度を測定して測定値を装置コントローラ50に出力するするいびき及び体位センサ並びに酸素濃度計70(補助測定装置であって、当該睡眠状態モニタリングシステムに備えてなくてもよい)と、
(i)内部メモリ50mを含む例えばディジタル計算機などの制御装置であって、血管脈波測定処理モジュール51と、血圧値校正処理モジュール52と、睡眠状態判定処理モジュール53とを備え、A/D変換器33,33aからのディジタルデータを処理して橈骨動脈圧のデータ及び指尖脈波信号のデータを発生し、血圧値校正処理(
図6)、血管脈波測定処理及び睡眠状態判定処理(
図8)を実行する装置コントローラ50と、
(j)例えばディスプレイ(又はプリンタ)であって、装置コントローラ50からの出力データに基づいて、脈動波形表示61、動脈圧62、及び種々の測定値表示63(脈拍、最大血圧値Pmax及び最小血圧値Pmin)、いびき波形及び体位センサ波形表示64と、覚醒状態を示す発光ダイオード(LED)65と、非覚醒状態を示す発光ダイオード(LED)66とを有する表示部60とを備えて構成される。
【0021】
図1に示すように、脈波及び圧力検出印加装置20のMEMS圧力センサ30からの出力電圧信号(交流)は増幅器32及びA/D変換器33を介して装置コントローラ50に出力される。ここで、血管が脈動により変化すると、MEMS圧力センサ30からの交流の出力電圧Vout1が変化し、すなわち、出力電圧Vout1は脈動の変化に対応して変化する。なお、
図6の血圧値校正処理における血管への圧力測定については、MEMS圧力センサ30からの出力電圧Vout1の時間平均値(時間積分値)を測定することで、血管への印加圧力を測定する。また、光探触子回路120からの出力電圧信号(交流)は増幅器32a及びA/D変換器33aを介して装置コントローラ50に脈波信号として出力される。
【0022】
図2は
図1の睡眠状態モニタリングシステム10に用いる、脈波及び圧力検出印加装置20を手首8の橈骨動脈部7に装着しかつ光探触子回路120を指尖部9に装着したときの斜視図である。
図5A及び
図5Bを参照して詳細後述する脈波及び圧力検出印加装置20において、MEMS圧力センサ30は圧力アクチュエータ36を備え、橈骨動脈圧の電圧信号を発生して装置コントローラ50に出力する。また、光探触子回路120(
図3及び
図4参照)は指尖部9の指尖脈波信号を検出して装置コントローラ50に出力する。
【0023】
図3は
図1の光探触子回路120内の反射型光探触子112の構成を示す側面図である。
図3において、光探触子112は、所定の保持部113に発光素子114と受光素子116とが回路基板118に取り付けられて配置されて構成される。保持部113は、回路基板118を内蔵し、発光素子114の光放射部と、受光素子116の光検出部とを表面に突き出して配置する部材で、例えば適当なプラスチック材料を成形してなる。発光素子114としては、発光ダイオード(Light Emission Diode: LED)を用いることができ、例えば赤外LEDが用いられる。また、受光素子116としては、フォトダイオード又はフォトトランジスタを用いられる。
【0024】
発光素子114と受光素子116とは、近接して配置されることが好ましいが、発光素子114からの光が受光素子116に直接入らないように、間に遮光璧を設ける等の構造的工夫をすることが好ましい。あるいは、レンズを発光素子114と受光素子116に設け、指向性を高めることもよい。
図26の例では、発光素子114と受光素子116が1つずつ設けられているが、複数の発光素子114、複数の受光素子116を設けるものとしてもよい。また、受光素子116の周りを複数の発光素子114で囲むように配置してもよい。光探触子112には、図示されていない適当なバンド、テープ等で被測定者6の指尖部9の脈波検出に適した部位に取り付けられる。
【0025】
図4は
図1の光探触子回路120の構成を示す回路図である。
図4において、光探触子回路120は、発光素子114に対する駆動回路と、受光素子116に対する検出回路とにより構成され、検出回路からの出力信号を直接に駆動回路に入力させることで同期帰還させて自励発振回路を構成する。
【0026】
発光素子114に対する駆動回路としては、電源電圧Vccと接地の間に発光素子114と駆動トランジスタ124とを直列に接続して駆動トランジスタ124の制御端子であるベースを所定のバイアス条件とする構成が用いられる。この構成において、駆動トランジスタ124のベースヘの入力信号がハイとなると、駆動トランジスタ124がオンして、発光素子114に駆動電流が流れる。これによって発光素子114が発光し、その光が皮膚を介して血管8に向けて放射される。また、受光素子116のための検出回路としては、正の電源電圧Vccと負の電源電圧−Vccとの間に負荷抵抗122とトランジスタ123と受光素子116とが直列に接続される構成が用いられる。この構成において、発光素子114の光によって照射された血管8からの反射光(透過光)を皮膚を介して受光素子116が受光することで、受光素子116に光電流が発生する。その光電流の大きさは、負荷抵抗122に流れる電流の大きさに対応する出力電圧Vout2の信号(出力電圧信号)として出力される。なお、出力電圧Vout2の信号は自励発振信号であるので交流信号である。
【0027】
上記自励発振回路を構成する光探触子回路120からの出力電圧信号は、電圧増幅器32及びA/D変換器33を介して装置コントローラ50に出力される。このように、発光素子114から光が血管8(正確には、例えば酸化ヘモグロンビンを含む血液が充填された血管の血管壁)により放射され、血管8からの反射光を受光素子116が受け取る場合には、発光素子114から受光素子116に直接入射する光の影響がないものとして、光探触子回路120からの出力電圧信号は光の伝搬距離(発光素子114から放射された光が受光素子116に到達するまでの距離をいう。)に応じて出力電圧Vout2が変化するので、血管8が脈動により変化すると、出力電圧Vout2が変化し、すなわち、出力電圧Vout2は脈動の変化に対応して変化する。
【0028】
従来技術では、大きな出力電圧の変化を得ることができなかったために、その周波数変化を電圧変化に変換して、脈動の変化を検出していたが、本実施形態では、
図4に示すように、光探触子回路120内の検出回路の出力信号を直接に駆動回路の入力信号として同期帰還させて自励発振させて自励発振信号を発生させ、出力電圧Vout2(交流信号である自励発振信号の振幅幅(変化量))が実質的に最大となるように制御して設定することで、脈動波形をきわめて簡単に得ることができる。
【0029】
図5Aは圧力アクチュエータ36及びMEMS圧力センサ30を備えた
図1の脈波及び圧力検出印加装置20の構成を示す縦断面図であり、
図5Bは当該脈波及び圧力検出印加装置20の下面図である。
図5A及び
図5Bにおいて、円形孔37cを有する筐体基板37S上に筐体37が形成される。筐体基板37Sの下面にはフィルムシートである粘着シート40が貼付され、円形孔(空気孔)40cを有し厚さ0.5mm〜1mmの粘着シート40の下面40aは手首8の橈骨動脈部7の皮膚に密着される。実施例において、円形孔37cの直径は1mmであり、円形孔40cの直径は3mmであり、粘着シート40は4mm×4mmのサイズを有する。ここで、MEMS圧力センサ30の下面のダイアフラム30dと、円形孔37c,40cとが実質的に同心円となるように形成される。また、MEMS圧力センサ30より面積が大きい粘着シート40を用いることで人体の皮膚に確実に接着される。
【0030】
以上のように構成された脈波及び圧力検出印加装置20において、MEMS圧力センサ30よりも面積が大きい粘着シート40に円形孔40cを形成し、手首8の橈骨動脈部7からの脈圧を円形孔37c,40cにより形成された空間41を介して、MEMS圧力センサ30のダイアフラム30dに伝達させる。これにより、手首8の橈骨動脈部7が円形孔37c,40cの中心から若干ずれても、MEMS圧力センサ30の位置の余裕度を大きくすることができ、手首8の橈骨動脈部7からの脈圧を確実に得ることができる。なお、粘着シート40の代わりにゲルシート等の圧力伝達媒体を使用してもよい。
【0031】
図6は
図1の睡眠状態モニタリングシステム10の血圧値校正処理モジュール52によって実行される血圧値校正処理を示すフローチャートであり、従来技術に係るカフ圧迫法と同様の原理を用いて、最大血圧値と最小血圧値を校正する。
【0032】
図6において、まず、圧力アクチュエータ36に対して初期設定用制御信号Scを出力する。次いで、ステップS11でMEMS圧力センサ30を用いて脈波信号を検出し、脈波信号の時間的に互いに隣接する2つの最小電圧値の時間期間Tintを演算し、ステップS12において時間期間Tintは所定のしきい値範囲に入っているか否かが判断され(すなわち、脈波信号が検出されているか否かが判断され)、YESのときはステップS13に進む一方、NOのときはステップS11に戻る。ここで、時間期間Tintの所定のしきい値範囲は、脈波信号を検出したか否かの判断範囲であり、上記しきい値範囲は経験値として、例えば0.2秒≦Tint≦2秒である。当該しきい値範囲に時間期間Tintが入っておれば、脈波を検出したと判断する。ステップS13において、被測定者6の脈波を検出したと判断し、所定の差分圧力だけインクリメントするため、圧力アクチュエータ36に対して圧力上昇用制御信号Scを出力する。そして、ステップS14において、時間期間Tintは所定のしきい値範囲に入っているか否かが判断され(すなわち、脈波信号が検出されているか否かが判断され)、NOのときはステップS15に進む一方、YESのときはステップS13に戻る。
【0033】
ステップS15では、被測定者6の脈波を検出しなくなったと判断し、検出しなくなったサンプリングタイミングよりも1つ前のサンプリングタイミングよりも前の脈波信号の一周期期間内の最大電圧値を最大血圧値電圧として内部メモリ50mに格納するとともに、MEMS圧力センサ30の検出圧力値を最大血圧値として内部メモリ50mに格納する。そして、ステップS16において、所定の差分圧力だけデクリメントするため、圧力アクチュエータ36に対して圧力下降用制御信号Scを出力する。次いで、ステップS17において、時間期間Tintは所定のしきい値範囲に入っているか否かが判断され(すなわち、脈波信号が検出されているか否かが判断され)、YESのときはステップS18に進む一方、NOのときはステップS16に進む。ステップS18では、被測定者6の脈波を検出したと判断し、検出したサンプリングタイミングからその直後の脈波信号の一周期期間内の最小電圧値を最小血圧値電圧として内部メモリ50mに格納するとともに、MEMS圧力センサ30の検出圧力値を最小血圧値として内部メモリ50mに格納する。また、ステップS19において、内部メモリ50mに格納された最大血圧値電圧とそれに対応する最大血圧値及び最小血圧値電圧とそれに対応する最小血圧値に基づいて、
図8Cを参照して説明したように、直線近似法を用いて電圧値から血圧値への変換を示す変換式(又は血圧変換テーブル)を生成して内部メモリ50mに格納し、当該処理を終了する。
【0034】
図6の血圧値校正処理を例えば
図2の脈波及び圧力検出印加装置20を用いて実行しているが、本発明はこれに限らず、MEMS圧力センサ30のみを用いて実行してもよい。この場合において、ステップS13では、被測定者6の脈波を検出したと判断し、圧力印加機構である圧力アクチュエータ36を用いず、被験者などの人間に対して指尖部9でMEMS圧力センサ30の上部を押圧するように指示するメッセージをLCD表示部(図示せず。)などに表示する。このとき、人間は指尖部9で押圧する。また、ステップS16では、被測定者6の脈波を検出しなくなったと判断し、圧力印加機構である圧力アクチュエータ36を用いず、被験者などの人間に対して指尖部9での上記応力をゆるめて低下させるように指示するメッセージをLCD表示部(図示せず。)などに表示する。このとき、人間は指尖部9の押圧をゆるめる。このように、圧力印加機構である圧力アクチュエータ36に代えて、被測定者などの人間の指尖部9で代用することができる。さらに、圧力アクチュエータ36あるいは人間の指尖部9の押圧の代わりにカフ式血圧計のカフを利用した押圧による校正を行ってもよい。また、カフ式血圧計により別途測定した最高・最小血圧値を校正値としてマニュアル入力してもよい。なお、圧力アクチュエータ36を必要としないことは詳細後述する。
【0035】
図7は
図1の睡眠状態モニタリングシステム10の睡眠状態判定処理モジュール53によって実行される睡眠状態判定のためのパターンを示す判定テーブルである。
図7の判定テーブルにおいて、「増減無し」とは、橈骨動脈圧(Vout1)と指尖脈波信号(Vout2)のそれぞれにおいて所定のしきい値以上の増減量での増減、および所定のしきい値以下の増減量での増減がない、すなわち、所定のしきい値範囲の増減量内で増減することを表す。「増加」とは、所定のしきい値以上の増加量での増加をいい、「減少」とは所定のしきい値以下の減少量での減少をいう。
【0036】
図7の判定テーブルにおいて、以下のように睡眠状態の判定を行う。
(1)パターンA:橈骨動脈圧(Vout1)が「増減なし」でかつ指尖脈波信号(Vout2)も「増減なし」であるときは、睡眠状態において「異常なし」と判定され、「非覚醒状態」と判定される。このとき、装置コントローラ50は発光ダイオード66を点灯させる。
(2)パターンB:橈骨動脈圧(Vout1)が「増減なし」でかつ指尖脈波信号(Vout2)が「減少」であるときは、睡眠状態において「脳波の微小変動を認める状態」と判定され、「非覚醒状態」でも「覚醒状態」でもない状態と判定される。
(2)パターンC:橈骨動脈圧(Vout1)が「増加」でかつ指尖脈波信号(Vout2)が「減少」であるときは、睡眠状態において「無呼吸を伴う脳波上の強い覚醒反応を認める状態」と判定され、「覚醒状態」と判定される。このとき、装置コントローラ50は発光ダイオード65を点灯させる。
【0037】
図8は
図1の睡眠状態モニタリングシステム10の睡眠状態判定処理モジュール53によって実行される睡眠状態判定処理を示すフローチャートである。
【0038】
図8において、まず、ステップS21では、直近の所定周期分(4拍〜10拍)の指尖脈波波形データ及び橈骨動脈圧データをタイムスタンプを用いて同期させて内部メモリ50m内のバッファメモリに格納する。次いで、ステップS22において、橈骨動脈圧データに基づいて血圧値校正処理を行って、最大血圧値及び最小血圧値を測定して表示部60に表示する。さらに、ステップS23において、橈骨動脈圧データの変化パターンと、指尖脈波波形データの変化パターンとに基づいて、
図7の判定テーブルを参照して、覚醒状態/非覚醒状態を判定して表示部60に表示する。以上の処理を所定周期にわたって繰り返す。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、「橈骨動脈波」と「指尖脈波」の同期観測にもとづく両脈波の増減のパターンを
図7の判定テーブルのように比較することで複数の変動パターンタイプに分類することができ、この変動パターンと(臨床データにもとづく)脳波変動の度合いを対応させ、睡眠状態を判定する。また、呼吸状態観測データとも組み合わせることで、より高精度で睡眠状態を判定する。
【0040】
ここで、「橈骨動脈波」と「指尖脈波」の変動パターンの組合せについては、基本型を示したが、両パターンの増減傾向の組合せに対して、さらにそれぞれの脈波の時間軸変動を組み合わせる事で、より精緻な睡眠状態の判定も可能である。また、一例として、現状の簡易睡眠モニタ(脳波観測なし)が可能とする。さらに、睡眠ステージ(睡眠の浅さ・深さ)、PAT(末梢動脈緊張)呼吸イベントだけではなく、CAP(周期性脳波活動)、覚醒指数、呼吸努力などのパラメータの評価を行うことも可能となる。なお、モニタリング処理部の機能としての睡眠状態判定処理モジュールは、別のコンピュータ上でソフトウェア処理を実行してもよい。
【0041】
以上詳述したように、本発明の実施形態に係る睡眠状態モニタリングシステムは、橈骨動脈圧のデータ及び指尖血管脈波信号のデータを用いて、従来技術に比較して極めて簡単な校正でかつ高精度で血圧を測定して、高精度で睡眠状態を判定することができる。公知の通り、交感神経と副交感神経との間の優位性の変化により睡眠状態が変化し、ここで、交感神経が優位であるときに覚醒状態となる一方、副交感神経が優位であるときに非覚醒状態(睡眠状態)になる。本実施形態では、動脈圧を測定するMEMS圧力センサ30(後述する
図9の変形例1では、光探触子120Aを含む光センサを用いる)と、末梢血管に流れる脈波を測定する光探触子120を含む光センサとを用いて睡眠状態を判断しており、これら2つの血圧変動と、交感神経と副交感神経との間の優位性の変化との相互関係(本発明者らが独自に取得した知見である)については、被測定者が異なっても個人差がほとんどなく高精度で睡眠状態を判定することができるという特有の効果を奏する。
【0042】
以上の実施形態において、MEMS圧力センサ30によって橈骨動脈圧を測定しているが、本発明はこれに限らず、光センサを含む光探触子回路120と同様の光探触子回路120A(変形例1に係る
図9参照)を用いて橈骨動脈波を測定してもよい。この場合において、
図7の判定テーブルの「橈骨動脈圧(Vout1)」は「橈骨動脈波信号」となる。これによっても、
図7のパターンA,B,Cの判定により睡眠状態を判定できる。
【0043】
以上の実施形態において、脈波及び圧力検出印加装置20を備えているが、血圧測定を行わずに、睡眠状態のみを判定する場合は、動脈圧のみを測定するためのMEMSセンサ30のみを備え、圧力アクチュエータ36を備えなくてもよい。
【0044】
以上の実施形態においては、橈骨動脈圧のデータ及び指尖血管脈波信号のデータを用いて、睡眠状態を判定しているが、本発明はこれに限らず、前者については、上腕部などの大動脈圧のデータを測定し、後者については、耳等の微小血管などの末梢血管の脈波信号のデータを測定して睡眠状態を判定してもよい。
【0045】
また、
図1の睡眠状態モニタリングシステム1では、覚醒状態のときに発光ダイオード65を点灯させ、非覚醒状態のときに発光ダイオード66を点灯させるように表示しているが、本発明はこれに限らず、音、音声又は振動により通知し、もしくは外部回路にそれを示すデータを出力するなど報知してもよい。
【0046】
図10は本発明の変形例2に係る脈波及び圧力検出印加装置20Aの下面図である。
図10において、変形例2に係る脈波及び圧力検出印加装置20Aは、
図5Aの脈波及び圧力検出印加装置20に比較して以下の点が異なる。
(1)フィルムシートである粘着シート40はその中央部に圧力検知用空洞孔40hにより空間43が形成される。
(2)粘着シート40を有する圧力センサ30(脈波及び圧力検出印加装置20A内)の位置決めのために、事前に手首8の橈骨動脈部7に接着するフィルムシートである粘着シート42をさらに備える。粘着シート42はその中央部に圧力検知用空洞孔42hにより、圧力検出面に平行な方向のサイズを有する空間44を形成する。ここで、粘着シート42の橈骨動脈部7への貼付を容易にするために、圧力検知用空洞孔42hの直径d42は、粘着シート40の圧力検知用空洞孔40hの直径d40よりも大きい。構成例では、d42=5mm、d40=3mmである。また、空間41,43,44により実施形態において説明した密閉空間を構成する。
(3)圧力センサ30の筐体37の上面の中央部に中央を示すマーク37Cを好ましくは描いておく。
【0047】
次いで、粘着シート40を用いた圧力センサ30の位置決め方法の手順を以下に説明する。
【0048】
MEMS圧力センサ30を用いた脈波測定システムにおいて、血管脈動をより高いS/N比で検知するために、被測定者の手首8の橈骨動脈部7上に圧力センサ30を正確に配置する必要がある。この動作を効率良く実施するために以下の手順を用いる。
(ステップA)最初に橈骨動脈部7の位置(最初に脈の取れる位置を確認しマーキングした箇所が好ましい)に粘着シート42を貼付する。ここで、粘着シート42の接着下面42bが橈骨動脈部7の皮膚表面に接着し、粘着シート42の圧力検知用空洞孔42hの中央部が橈骨動脈部7に位置するように粘着シート42を位置決めして貼付する。
(ステップB)次いで、粘着シート42の上面42aに、粘着シート40を貼付する。ここで、マーク37Cが圧力検知用空洞孔42hの中央部に位置するように、すなわち、粘着シート42の圧力検知用空洞孔42hの中央部が圧力検知用空洞孔40hの中央部に位置するように、粘着シート40を有する圧力センサ30を位置決めする。
【0049】
以上のように、二段階の貼り付けステップでMEMS圧力センサ30で脈動を検知するための密閉空間41,43,44を確実に形成することができる。なお、変形例1において、圧力センサ30は実施形態と同様に、圧力センサ30を被測定部に載置したときに、空間41,43,44が密閉されて密閉空間となり、被測定部の圧力が空間41,43,44を介してMEMS圧力センサ30のダイアフラム30dに伝達されてMEMS圧力センサ30が圧力の検出を行う。従って、MEMS圧力センサ30の位置が測定位置に対してずれていても、被測定部の圧力を正確に測定することができる。また、被測定部に対して圧力を印加する必要がないので、長時間にわたって、例えば非観血的血圧脈波の測定を行うことができる。
睡眠状態モニタリングシステムは、人体の大動脈部の血管に流れる脈波の圧力変化を検出して動脈圧の第1の電圧値として測定する圧力センサと、末梢血管に流れる脈波の圧力変化を光信号を用いて検出して血管脈波信号の第2の電圧値として測定する光センサと、第1の電圧値及び第2の電圧値に基づいて、人体の睡眠状態を判定する制御手段とを備える。制御手段は、所定の時間期間において、第1及び第2の電圧値がそれぞれ所定の各しきい値範囲の増減量内で増減しているときに人体が非覚醒状態であると判定し、第1の電圧値が所定の第1のしきい値以上の増加量で増加しかつ第2の電圧値が所定の第2のしきい値以下の減少量で減少しているときに、人体が覚醒状態であると判定する。