(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961329
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】飲食用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20060101AFI20160719BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20160719BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20160719BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20160719BHJP
A23L 29/20 20160101ALI20160719BHJP
【FI】
A23L2/38 C
A23L2/00 B
A23L2/00 E
A23L5/00 H
A23L29/20
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-8252(P2016-8252)
(22)【出願日】2016年1月19日
【審査請求日】2016年1月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏哉
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】
高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−075733(JP,A)
【文献】
特開平08−140576(JP,A)
【文献】
特開2007−312611(JP,A)
【文献】
特開2010−037326(JP,A)
【文献】
特表2007−536308(JP,A)
【文献】
特開平11−147831(JP,A)
【文献】
特開2011−078363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/52
A23L 5/00−5/30
A23L 29/00−29/20
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/
FROSTI/FSTA(STN)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杜仲茶、プルラン、及び甘藷の茎及び/又は葉を含有することを特徴とする飲食用組成物であって、
前記杜仲茶と前記プルランの配合比が1:0.01〜20であり、
前記杜仲茶と前記甘藷の茎及び/又は葉の配合比が1:0.0001〜1であり、
前記プルランの含有量は、前記甘藷の茎及び/又は葉の含有量よりも多いものであることを特徴とする、飲食用組成物。
【請求項2】
杜仲茶、プルラン、及び甘藷の茎及び/又は葉を含有することを特徴とする飲食用組成物であって、
前記杜仲茶と前記プルランの配合比が1:0.05〜15であり、
前記杜仲茶と前記甘藷の茎及び/又は葉の配合比が1:0.0005〜0.5であることを特徴とする、飲食用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食用組成物、及び、杜仲茶の呈味改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
杜仲(Eucommia ulmoides oliver)は、中国中央部起源の落葉高木である。その樹皮は漢方薬の原料として使われ、腰痛、足腰の倦怠感解消、頻尿、肝機能・腎機能の強化、高血圧に効果があると言われており、葉は血圧の降下や肝機能の機能向上、脂肪吸収抑制等に効果があると言われている。また、杜仲の樹皮や枝を折ったり葉をちぎったりすると、白色乳液の滲出がみられる。この乳液は、ガタパーチャと呼ばれ、天然ゴムとして利用されている。
【0003】
杜仲葉にはゲニボシド酸やクロロゲン酸、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分等のミネラルやビタミンを含み、カフェインを殆ど含まないことから、お茶(杜仲茶)として利用されている。しかしながら、杜仲茶には独特の味、臭いがあるため、継続的に摂取しにくいものであった。この問題点を解決するため、例えば紅茶による杜仲茶の呈味改善が検討されていた(特許文献1)。しかしながら、この方法では杜仲茶の呈味改善が十分になされないだけでなく、紅茶由来のカフェインを添加してしまうために、妊婦、授乳婦、子供等のカフェインを避けたい消費者にとっては摂取しにくいものになる等の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−140576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、杜仲茶及びプルランを含有することを特徴とする飲食用組成物を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、プルランを含有することを特徴とする、杜仲茶の呈味改善用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、プルランを使用することで、優れた杜仲茶の呈味改善効果を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明の概要は、以下の通りである。
<1>杜仲茶及びプルランを含有することを特徴とする飲食用組成物。
<2>さらに甘藷の茎及び/又は葉を含有することを特徴とする、<1>に記載の飲食用組成物。
<3>杜仲茶とプルランの配合比が1:0.0001〜100であることを特徴とする、<1>又は<2>のいずれかに記載の飲食用組成物。
<4>杜仲茶と甘藷の茎及び/又は葉の配合比が1:0.00001〜10であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載の飲食用組成物。
<5>プルランを含有することを特徴とする杜仲茶の呈味改善用組成物。
<6>さらに甘藷の茎及び/又は葉を含有することを特徴とする<5>に記載の杜仲茶の呈味改善用組成物。
<7>杜仲茶とプルランの配合比が1:0.0001〜100であることを特徴とする、<5>又は<6>のいずれかに記載の呈味改善用組成物。
<8>杜仲茶と甘藷の茎及び/又は葉の配合比が1:0.00001〜10であることを特徴とする、<5>〜<7>のいずれかに記載の呈味改善用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、杜仲茶を含有する飲食用組成物は、プルランを配合することによりその強いえぐ味、苦味が改善され、コク、後味が良好となるため、嗜好性の高い飲食用組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】比較例1、実施例1〜6の官能評価結果を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の組成物について説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
杜仲(Eucommia ulmoides oliver)は、中国中央部起源の落葉高木であり、トチュウ科トチュウ属(APG植物分類体系ではガリア目トチュウ科)を構成する唯一の種であり、杜仲茶は杜仲の葉を利用したものである。本発明で使用する杜仲茶は特に限定されないが、例えば杜仲茶そのもの及びその粉末、杜仲茶の抽出物及びその乾燥粉末等が挙げられ、杜仲茶の抽出物及びその乾燥粉末が好ましく、杜仲茶の抽出物の乾燥粉末が特に好ましい。抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなど)、アセトンなどの溶媒が挙げられ、好ましくは、水および/またはエタノールなどを使用することができる。本発明の1つの態様において、杜仲茶抽出物は水抽出物、特に熱水抽出物を使用することができる。本発明で使用する杜仲茶としては、例えば、杜仲生葉を加工して得られる杜仲茶用の茶葉を原料として使用することができる。使用される杜仲生葉は、収穫後乾燥前の杜仲葉を意味するものであり、栽培により生産されたものであっても天然より採取されたものであってもよい。また、杜仲茶は焙煎したものであっても、焙煎していないものであってもよい。
【0013】
本発明の組成物に配合される杜仲茶の含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、本発明の飲食用組成物における杜仲茶の含有量は、その乾燥質量として0.0001〜50質量%、好ましくは0.0005〜40質量%、より好ましくは0.001〜30質量%の範囲で選択される。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0014】
プルランは、グルコースのみからなる多糖類の一種で、グルコース3分子がα1−4結合したマルトトリオースがα1−6結合で繋がった構造を持つ。本発明の組成物に配合されるプルランの含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、本発明におけるプルランの含有量は、0.001〜95質量%、好ましくは0.005〜90質量%、より好ましくは0.01〜80質量%、特に好ましくは0.05〜50質量%の範囲で選択される。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0015】
甘藷とは、ヒルガオ科に属する植物をいい、一般にサツマイモと呼ばれる。甘藷の品種は特に限定されない。本発明においては、甘藷の茎及び/又は葉(以降、茎及び/又は葉のことを「茎葉」ともいう)を使用することが好ましい。本発明においては、甘藷茎葉の加工物を用いることができる。甘藷茎葉の加工物としては、例えば、茎葉の乾燥粉末、茎葉の粉砕物及びその乾燥粉末(以下、粉砕物の乾燥粉末のことを「粉砕末」ともいう)、茎葉の細片化物及びその乾燥粉末(以下、細片化物の乾燥粉末のことを「細片化末」ともいう)、茎葉の搾汁及びその乾燥粉末(以下、搾汁の乾燥粉末のことを「搾汁末」ともいう)、茎葉のエキス及びその乾燥粉末(以下、エキスの乾燥粉末のことを「エキス末」ともいう)などが挙げられる。本発明においては、甘藷茎葉の乾燥粉末、粉砕末、細片化末、搾汁末、エキス末のいずれか又はその混合物を使用することが好ましい。これらの加工物は、従来公知の方法により得ることができる。
【0016】
本発明の組成物に甘藷茎葉を配合する場合、その含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、本発明の組成物における甘藷茎葉の含有量は0.00001〜20質量%、好ましくは0.00005〜10質量%、より好ましくは0.0001〜5質量%、特に好ましくは0.001〜3質量%の範囲で選択される。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0017】
本発明の組成物には、杜仲茶、プルラン、甘藷茎葉以外に、その他の成分を含有しても良い。前記のその他の成分としては、例えば、タンパク質、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維等の食物繊維、ミネラル類、植物又は植物加工品、藻類、乳酸菌等の微生物等を配合することができる。更に必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、でんぷん等の糖類、オリゴ糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、賦形剤、ビタミン類、栄養補助剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0018】
本発明の組成物を摂取する際の形状も特に限定されず、具体的な形状としては、例えば、粉や顆粒、細粒等の粉末状、タブレット(チュアブル)状、球状、カプセル状、カプレット状、液状等の形状が挙げられる。尚、カプセル状の経口組成物は、ソフトカプセル及びハードカプセルが含まれる。経口組成物とする場合は粉や顆粒、細粒等の粉末状が好ましく、特に、粉末飲料とすることにより、組成物としての安定性にも優れるとともに、カプセルや錠剤等と異なり1度に多くの組成物を摂取することができるので好ましい。
【0019】
本発明の組成物における、杜仲茶と、プルランの配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定でき、杜仲茶:プルラン=1:0.0001〜100、好ましくは1:0.001〜50、より好ましくは1:0.01〜20、特に好ましくは1:0.05〜15が選択される。
【0020】
本発明の組成物における、杜仲茶と甘藷茎葉の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定でき、杜仲茶:甘藷茎葉=1:0.00001〜10、好ましくは1:0.00005〜5、より好ましくは1:0.0001〜1、特に好ましくは1:0.0005〜0.5が選択される。
【0021】
本発明の組成物を調製する際、杜仲茶、プルラン及び甘藷茎葉は、これらを粉砕・抽出・分離・合成したもの又はこれらを含有する原料の加工物をそのまま使用しても良いが、デキストリン、二酸化ケイ素等の賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤等と混合し、成形等したものを使用しても良い。また、水(精製水等)、食用油(コーン油等)等の溶媒に溶解または分散させて使用しても良い。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
1.飲食用組成物の製造
以下の表1に示す配合を有する飲食用組成物を調製した。数値については、特に断りがない限り、質量%を表わす。本発明においては、杜仲茶は市販の杜仲茶抽出物の乾燥粉末を用い、プルラン、デキストリンは市販のものを用い、甘藷茎葉末は甘藷茎葉の粉砕末(株式会社東洋新薬製)を用いた。
【0024】
【表1】
【0025】
2.官能評価
(1)サンプルの調製
上記表1に記載の比較例1及び実施例1〜6のサンプルについて、各サンプル2.5gを、水100mLと混合して各試験サンプルを得た。
【0026】
被験者として、健常な成人6名を無作為に選出した。これらの被験者6名に対し、下記表2の評価項目について、アンケートを実施し、官能評価を行った。具体的には、実施例1のサンプルを基準として他のサンプルを比較し、それぞれ1〜7点の点数をつけた。
【0027】
【表2】
【0028】
各サンプルについて、被験者の点数の平均点を算出した。評価結果を表3及び
図1のグラフに示す。
【0029】
【表3】
【0030】
表3及び
図1に示すように、杜仲茶抽出物を含有し、プルランを含有していない比較例1は、いずれの項目も2〜3点台であり、特に、苦味、コク、後味が低い評価であった。一方、杜仲茶抽出物及びプルランを含有する実施例1〜6は、杜仲茶抽出物のみの比較例1と比較して、いずれの項目も優れるものであった。さらに、甘藷茎葉末を含有する実施例3〜6は比較例1や実施例1,2と比較して全ての項目において優れるものであり、特に、比較例1と比較してえぐ味、苦味が改善され、コク、後味が良好なものとなり、嗜好性に優れるものであることがわかった。また、杜仲茶抽出物1に対してプルランを0.1〜10配合した実施例1,2,4及び5は、比較例1と比べて全ての項目で高い評価であり、特に、えぐ味、苦味が改善され、甘さ、コク、後味が優れるものであることがわかった。さらに杜仲茶抽出物1に対してプルランを0.1〜10、かつ、甘藷茎葉を0.001〜0.1配合した実施例4及び5は、全ての項目で特に高い評価であり、比較例1のみでなく実施例1,2と比較しても、よりえぐ味、苦味が改善され、香り、甘さ、のどごしが良好であり、杜仲茶抽出物に対するプルラン及び甘藷茎葉末の配合量を最適化することにより、嗜好性の優れた組成物が得られることがわかった。
【0031】
以上の結果より、杜仲茶抽出物、プルランを含有する本発明の組成物は、杜仲茶抽出物のみの場合と比較して、香りや味、のどごしが良く、嗜好性に優れる組成物であり、杜仲茶抽出物、プルラン及び甘藷茎葉末を含有する本発明の組成物は甘藷茎葉末を含有しないものに比べてさらに嗜好性に優れる組成物であることがわかった。また、杜仲茶抽出物及びプルランを含有する場合において、杜仲茶抽出物1に対してプルランを0.05〜15の割合で配合することにより、嗜好性に優れる組成物を得られ、さらに杜仲茶抽出物、プルラン及び甘藷茎葉末を含有する場合において、杜仲茶抽物1に対してプルランを0.05〜15、甘藷茎葉末を0.0005〜0.5の範囲で配合することにより、特に嗜好性に優れる組成物を得られることがわかった。すなわち、本発明の組成物の嗜好性は、特定成分の組み合わせのみでなく、各成分の配合比によっても影響を受けるものであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、プルランを含有することにより、杜仲茶の呈味を改善することができるため、嗜好性の高い組成物を提供することができる。
【要約】
【課題】
杜仲茶及びプルランを含有することを特徴とする飲食用組成物を提供することを目的とする。また、プルランを含有することを特徴とする、杜仲茶の呈味改善用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
杜仲茶及びプルランを含有することを特徴とする飲食用組成物。
【選択図】
なし