特許第5961330号(P5961330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961330
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】センサ管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 21/00 20060101AFI20160719BHJP
   G01D 18/00 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G01D21/00 Z
   G01D18/00
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-54642(P2016-54642)
(22)【出願日】2016年3月18日
【審査請求日】2016年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399005482
【氏名又は名称】水野 善郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】水野 善郎
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−066854(JP,A)
【文献】 特開2013−191156(JP,A)
【文献】 特開2014−224681(JP,A)
【文献】 特開2014−096673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00
G01D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサーバと通信接続したローカル環境のセンサで構成されるクラウドシステムであって、
a)ID管理された管理対象センサと、
b)ID管理された基準センサと、
c) 前記管理対象センサと基準センサが計測する環境値が同一と判断される範囲に存在するかの位置判別をする、センサ位置判別手段と、
d) 前記管理対象センサと基準センサの計測データをクラウドサーバで収集する収集手段と、
を含み、
前記管理対象センサと基準センサが前記範囲に存在すると位置判別され、前記基準センサの計測値が予め設定した値を満たしたことを条件に前記管理対象センサの校正又は測定精度調整であるセンサ管理を前記クラウドサーバが実行するセンサ管理システム。
【請求項2】
前記位置判別は、管理実施者による意思表示送信、前記ローカル環境に置かれた端末と前記センサとの近接検知、前記センサとローカル環境に設けた位置センサによる位置検知又はRFIDもしくはバーコードでの紐づけ検知から選ばれる少なくとも1つによる判別であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ管理システム。
【請求項3】
前記条件は、さらに前記クラウドサーバが管理行為開始の指示を受信した時刻から予め設定した時間経過したことを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ管理システム。
【請求項4】
前記センサ管理の対象は、光強度、色、周波数、温度、湿度、放射線、加速度、磁気、圧力、濃度、pH、音、電気電流、電圧、電波周波数、強度、流量又は質量を含む環境値のセンサであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサ管理システム。
【請求項5】
前記環境値を時系列的で変化させた複数点における複数値の管理を行うことを特徴とする請求項に記載のセンサ管理システム。
【請求項6】
前記センサ管理が前記校正であり、前記クラウドサーバが前記管理対象センサ毎の校正証明書データの生成をすることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ管理を実行するシステムに関し、特にクラウドサーバを介してセンサ管理を実行するシステムに関する。
ここでセンサ管理とは、センサの校正、調整等のセンサの計測品質を証明、維持に係る管理行為をいう。
【背景技術】
【0002】
最近は、様々な環境に多くのセンサが配置されるようになり、その数も増加している。また、センサの種類も様々である。センサの数や種類の増加に従って、それらを管理する労力も、増加している。
ここで管理の対象となるセンサとして、光強度、色、周波数、温度、湿度、放射線、加速度、磁気、圧力、濃度、pH、音、電気電流、電圧、電波周波数、強度、流量、質量、近接物質又は生物の有無、近接物質又は生物の濃度あるいは近接物質又は生物の種類を含む環境値のセンサなどが挙げられる。
【0003】
これらのセンサの計測品質を確保するためには、校正、調整といった管理行為を定期的におこなう必要がある。これら管理行為は、煩雑な手順と確認が必要であり、センサ管理を容易かつ確実に実行できるシステムに対する要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1では、分子膜による味覚センサ装置及びそれを用いる味覚センシングシステムを用いて、メンテナンス性がよいことを含めて、全体としてより簡単な操作で被味覚測定物質の味覚測定を容易になし得るようにすると共に、その味覚測定結果の解析評価を容易になし得るようにするための技術を採用した味認識装置及びそれを用いる味認識システムが提案されている。
センサボードの電気回路部分に設けられている増幅器の利得及びオフセットの校正、センサ部に設けられている温度センサの校正、センサ部に設けられている位置センサによる位置調整のうちの少なくとも一つを行うようになされているプロセッサを備えた味認識装置を特徴とするシステムである。
特許文献1のシステムは、一つの装置に組み込まれたセンサの管理行為のみが対象となり、様々な環境に配置されたセンサに対して対応できない、という問題がある。
【特許文献1】特許第4789952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、クラウドサーバを介してセンサ管理を実行することにより、様々なローカル環境にあるセンサを容易にセンサ管理できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の観点では、クラウドサーバと通信接続したローカル環境のセンサで構成されるクラウドシステムであって、
a)ID管理された管理対象センサと、
b)ID管理された基準センサと、
c) 前記管理対象センサと基準センサが計測する環境値が同一と判断される範囲に存在するかの位置判別をする、センサ位置判別手段と、
d) 前記管理対象センサと基準センサの計測データをクラウドサーバで収集する収集手段と、
を含み、
前記管理対象センサと基準センサが前記範囲に存在すると位置判別され、前記基準センサの計測値が予め設定した値を満たしたことを条件に前記管理対象センサの校正又は測定精度調整であるセンサ管理を前記クラウドサーバが実行するセンサ管理システムが提供される。
ここで、前記条件は、さらに前記クラウドサーバが管理行為開始の指示を受信した時刻から予め設定した時間経過したことを含む
【0007】
上記位置判別は、管理実施者による意思表示送信、前記ローカル環境に置かれた端末と前記センサとの近接検知、前記センサとローカル環境に設けた位置センサによる位置検知又はRFIDもしくはバーコードでの紐づけ検知から選ばれる少なくとも1つによる判別である、としてもよい。
また、
【0008】
上記センサ管理の対象は、光強度、色、周波数、温度、湿度、放射線、加速度、磁気、圧力、濃度、pH、音、電気電流、電圧、電波周波数、強度、流量又は質量を含む環境値のセンサである、としてもよい。
【0009】
上記環境値を時系列的で変化させた複数点における複数値の管理を行う、としてもよい。
【0010】
上記センサ管理が前記校正であり、前記クラウドサーバが前記管理対象センサ毎の校正証明書データの生成をする、としてもよい。
【0011】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ローカル環境としての恒温槽を含むセンサ管理システムを示す概念図である。
図2図2は、管理対象センサ1004の内部構成を示したブロック図である。
図3図3は、恒温槽に設けた端末装置1005の機能構成を示したブロック図である。
図4図4は、クラウドサーバ1001の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、ID管理部によって保持されるテーブルのデータ構造を示したものである。
図6図6は、収集した計測データのデータ構造を示したブロック図である。
図7図7は、クラウドサーバ1001を介したセンサ管理の動作を説明するフローチャートである。
図8図8は、校正証明書データのデータ構造を示したブロック図である。
図9図9は、印刷された校正証明書のイメージ図である。
図10図10は、校正証明書に付随する試験成績書のイメージ図である。
図11図11は、屋外をローカル環境とした実施例2のセンサ管理システムを示す概念図である。
図12図12は、管理対象センサ11004の内部構成を示したブロック図である。
図13図13は、携帯通信端末11005の機能構成を示したブロック図である。
図14図14は、屋外をローカル環境とした実施例3のセンサ管理システムを示す概念図である。
図15図15は、管理対象センサ14004の内部構成を示したブロック図である。
図16図16は、通信端末14005の機能構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体例につき図面を用いた実施例において説明する。
ここで示すセンサ、サーバ等の機能構成部の動作は、予め組み込まれたファームウエア等の制御プログラムをコントロール回路のプロセッサで実行し、システムの構成要素となる各種デバイスと協働することにより実現される。また、これらのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該プロセッサによって記録媒体から読み出され、ユーザが操作すること又はシステムを構成するデバイスからの信号を受信することによって実行される。
【実施例1】
【0014】
(全体図)
図1は、ローカル環境としての恒温槽を含むセンサ管理システムを示す概念図である。クラウドサーバ1001、恒温槽1002、基準センサ1003、管理対象センサ1004、恒温槽に設けた端末装置1005、管理実施者1006の操作するローカルのコンピュータ1007という構成である。 管理対象センサ1003、基準センサ1004、恒温槽に設けた端末装置1005及びコンピュータ1007は、通信機能を備え、クラウドサーバ1001によるクラウドサービスを受けることができる構成となっている。 ここで管理対象センサは、温度計である。しかしながら、本発明で採用可能な管理対象センサはこれに限定されるものではない。光強度、色、周波数、温度、湿度、放射線、加速度、磁気、圧力、濃度、pH、音、電気電流、電圧、電波周波数、強度、流量、質量、近接物質又は生物の有無、近接物質又は生物の濃度あるいは近接物質又は生物の種類を含む環境値のセンサが、適宜採用されうる。
【0015】
恒温槽1002は、環境値としての温度をコントロールする機能を備えており、時系列で昇降温を制御することができる。 ここでは、温度計というセンサを管理するため、ローカル環境として恒温槽を採用したが、本発明のローカル環境はこれに限定されるものではない。本発明に採用可能なセンサの種類に応じて適宜変更されうる。
【0016】
(センサを構成する機能を示したブロック図)
図2は、管理対象センサ1004の内部構成を示したブロック図である。基準センサ1003も同様の内部構成である。
プローブ2001、計測部2002、調整部2003、そして通信部2004という構成である。
計測部2002は、環境の温度に応じて出力されるプローブの出力を温度表示データに変換する。調整部2003は、当該センサが受信した校正データを参照して計測部の温度表示を調整する。
【0017】
ここでは、調整部を管理対象センサの内部構成として設けたが、本発明の調整部はこれに限定されるものではない。クラウドサーバの機能構成部として、温度表示データを調整するデータをクラウドサーバから、管理対象センサに送信し、直接計測部の動作を調整しても良い。
【0018】
通信部2004は、クラウドサーバとの通信手段である。ここでは、3G/LTE方式の通信方式を採用することとするが、これに限定されるものではない。尚、ローカルサーバを置いて、ローカルサーバからクラウドサーバに接続可能であれば、無線LAN方式を採用するなどがローカル環境の状況に応じて適宜採用されうる。
【0019】
(恒温槽に設けた端末装置の機能構成)
図3は、恒温槽に設けた端末装置1005の機能構成を示したブロック図である。
近接検知部3001は、上記センサが当該恒温槽と同一ローカル環境にあるとして予め設定した距離内にある物体の近接を検知する。
通信部3002は、クラウドサーバとの通信手段である。ここでは、上記検知の結果をクラウドサーバへ送信する。通信方式として、3G/LTE方式を採用することとするが、これに限定されるものではない。
【0020】
(クラウドサーバの機能構成)
図4は、クラウドサーバ1001の機能構成を示すブロック図である。センサ、端末装置等との通信をする通信部4001、位置判別部4002、ID管理部4003、収集部4004、管理実行部4005そしてセンサ情報格納部4006という構成である。
位置判別部4002は、端末装置1005から送信された近接検知の信号の有無を持って、上記センサが同一ローカル環境の範囲にあるか、どうかを判別する。
ここでは、近接検知の信号がある場合、同一ローカル環境にあると、判別する。しかしながら、本発明の判別はこれに限られるものではなく、近接検知の精度に応じて、2つの物体の検知の有無を判別基準とすること、管理実施者が判断しての意思表示をコンピュータ1005や自身の携帯端末からクラウドサーバへ通知することなど適宜変更されうる。
【0021】
ID管理部4003は、上記センサに所定のセンサIDを付与し、所定のテーブルに保持し、上記センサに係る情報をID管理する。図5は、ID管理部によって保持されるテーブルのデータ構造を示したものである。センサ名5001とセンサID5002という構造である。
5003は、基準センサ1のデータであり、センサIDとして「K1」が対応している。5004は、基準センサ2のデータであり、センサIDとして「K2」が対応している。5005は、基準センサ3のデータであり、センサIDとして「K3」が対応している。
5006は、管理対象センサ1のデータであり、センサIDとして「T1」が対応している。5007は、管理対象センサ2のデータであり、センサIDとして「T2」が対応している。5008は、管理対象センサ3のデータであり、センサIDとして「T3」が対応している。
【0022】
収集部4004は、上記センサから受信した計測データを収集する。
図6は、収集した計測データのデータ構造を示したブロック図である。時刻6001、センサID6002そして計測値6003という構造のデータを収集する。ここでは、時系列に従って、6004に示す時刻t1におけるセンサT1とK1のデータ、6005に示す時刻t2におけるセンサT1とK1のデータそして6006に示す時刻t3におけるセンサT1とK1のデータが示されている。
【0023】
管理実行部4005は、位置判別部4002による判別の結果と収集部4003により収集の結果が予定した条件を満たしたときに管理対象センサ1004のセンサ管理として校正及び調整を実行する。
【0024】
センサ情報格納部4006には、上記ID管理された基準センサについての品名、型名、性能、トレーサビリティ情報等と、管理対象センサについての依頼元、品名、型名、性能、製造番号、校正を行う条件等とがセンサIDと紐づけられて格納されている。
しかしながら、本発明のセンサ情報格納部に格納される情報は、これに限定されるものではない。校正やその証明書発行に必要な情報等が、適宜選択されて格納されうる。
【0025】
(センサ管理の流れ)
図7は、クラウドサーバ1001を介したセンサ管理の動作を説明するフローチャートである。
センサ管理開始ステップ7001において、管理実施者1006が、基準センサ1003及び管理対象センサ1004をセットして、管理行為開始の指示をコンピュータ1007からクラウドサーバに送信する。
計測データ収集ステップ7002において、クラウドサーバが指示を受信して、収集部4004の動作を開始させる。すなわち、基準センサ1003及び管理対象センサ1004から計測値の収集が開始される。
【0026】
条件判断ステップ7003において、管理実行部4005は、位置判別部4002による判別の結果と収集部4003により収集の結果が予定した条件を満たしたか、どうかの判断を実行する。
ここで条件は、位置判別部の判別が「同一ローカル環境の範囲にある」であって、管理行為開始の指示を受信した時刻からm分の時間経過及び基準センサが表示する計測値がy度という形式で予め設定する。しかしながら、本発明の条件の形式は、同一ローカル環境の範囲にあることと時間経過及び計測の結果が所定の値を満たすことに限定されるものではない。条件は、ローカル環境やセンサの性質に応じて適宜変更されうる。
【0027】
条件判断の結果が「no」(条件を満たさない)である場合、所定の間隔をおいて条件判断ステップを繰り返す。
条件判断の結果が「yes」(条件を満たす)である場合、センサ管理実行の指示がシステムによって行われ、システムの動作は校正ステップ7004に移る。
校正ステップ7004において、管理実行部4005は、基準センサの計測値と管理対象センサの計測値との比較を行い、それぞれの計測値及び器差を記録する。
ここでの動作はリアルタイムで実行され、条件判断ステップ7003において指示した時間と校正ステップ7004においてセンサ管理をした時間は同期される。
また、ここでの校正は、y℃の一点校正であるが、本発明の校正は一点校正に限られるものではなく、環境値である温度を時系列的で変化させた複数点における校正などが、校正の種類や性質によって適宜採用されうる。
【0028】
合否判定ステップ7005において、管理実行部4005は、品質基準を満たすか、どうかの判定を行う。
合否判定の結果が「no」(不合格)である場合、システムの動作は調整ステップ7006に移る。 結果が「yes」(合格)である場合、システムの動作は校正証書データ生成ステップ7007に移る。
調整ステップ7006において、管理実行部4005は、管理対象センサの調整部2003に器差を含む調整データと調整コマンド送信し、当該センサの調整を実行する。
校正証明書データ作成ステップ7007において、合格の場合は校正における器差を含む校正証明書データを作成し、不合格の場合は調整後の器差を含む校正証明書データを生成する。
【0029】
図8は、校正証明書データのデータ構造を示したブロック図である。管理対象センサID8001、基準センサID8002、基準センサのトレーサビリティ8003、基準センサの計測値8004、管理対象センサの計測値8005そして器差8006という構造である。
このようなデータ構造とすることにより、どの管理対象センサにどの基準センサでセンサ管理を行ったか、その結果や基準センサのトレーサビリティを管理対象センサに紐づけて管理することができる。
【0030】
発行ステップ7008において、管理実施者1006からクラウドサーバへの発行指示を受信して、管理実行部4005は校正証明書を発行する。
図9は、印刷された校正証明書のイメージ図である。9001の欄に示す依頼元と品名・型名は、センサ情報格納部4006に管理対象センサのセンサIDと紐づけされて格納されている情報である。校正年月日は、管理実施者が管理行為の開始の指示をクラウドサーバに送信した時刻から抽出した情報である。
校正に使用した弊社標準器欄9002に示す品名と型名と番号は、センサ情報格納部4006に標準センサのセンサIDと紐づけされて格納されている情報である。校正日は、基準センサについてのトレーサビリティから抽出した情報である。
校正を受けた上位標準器欄9003に示す品名、型名、番号及び校正先標準器の有効期限は、基準センサについてのトレーサビリティから抽出した情報である。
【0031】
(試験成績書)
図10は、校正証明書に付随する試験成績書のイメージ図である。明細欄10001に示す依頼元と品名と型名は、センサ情報格納部4006に管理対象センサのセンサIDと紐づけされて格納されている情報である。検体数は、管理対象センサの数であり、管理実施者によって、校正行為を開始するときに入力されたものである。
環境欄10002に示す試験日時、試験場所、試験温度及び試験湿度は、管理実施者が管理行為の開始の指示をクラウドサーバに送信するときに送信された情報である。
標準器欄10003に示す品名、形式、性能、番号、校正日及び拡張不確かさは、センサ情報格納部4006に標準センサのセンサIDと紐づけされて格納されているトレーサビリティから抽出した情報である。
試験結果欄10004に示された基準器温度、表示温度及び器差は、校正証明書データ作成ステップ7007において生成された校正証明書データの基準センサの計測値、管理対象センサの計測値及び器差から抽出した情報である。個体番号は、センサ情報格納部4006に管理対象センサのセンサIDと紐づけされて格納されている製造番号である。
欄10005は、管理実施者によって、校正行為を開始するときに入力されたものである。ここで、入力の方式は、これに限られるものではなく、予め管理対象センサIDに紐づけて登録された情報を自動入力する方式であってもよい。
本発明は、ここで入力された仕様、試験方法そして試験機材のトレーサビリティの内容に限定されるものではなく、校正の種類や性質によって適宜採用されうる。
【0032】
以下、ローカル環境の性質及びシステム構成が異なる場合の変形例を示す。変形例において実施例1と異なるのは、主にセンサが同一ローカル環境の範囲にあるか、どうかを判別に係る部分であるので、この部分を中心に説明をする。
【実施例2】
【0033】
(位置判別の変形例1)
図11は、屋外をローカル環境とした実施例2のセンサ管理システムを示す概念図である。ここで管理対象センサは、温度計である。尚、管理対象センサが温度計に限定されないことは、実施例1と同様である。クラウドサーバ11001、屋外のローカル環境11002、基準センサ11003、管理対象センサ11004、管理実施者11006の携帯通信端末11005という構成である。 管理対象センサ11003と基準センサ11004は、通信機能を備え、クラウドサーバ11001によるクラウドサービスを受けることができる構成となっている。
【0034】
(センサを構成する機能を示したブロック図)
図12は、管理対象センサ11004の内部構成を示したブロック図である。基準センサ11003も同様の内部構成である。
プローブ12001、計測部12002、調整部12003、RFID部12004そして通信部12005という構成である。
計測値生成部12002は、環境の温度に応じて出力されるプローブの出力を温度表示データに変換する。調整部12003は、当該センサが受信した校正データを参照して計測部の温度表示を調整する。
【0035】
RFID部12004は、後で説明するRFIDリーダ機能を有する携帯通信端末11005の近接を受けて、センサIDを送信する。
【0036】
通信部12005は、クラウドサーバとの通信手段である。
ここでは、3G/LTE方式の通信方式を採用することとするが、これに限定されるものではない。尚、ローカルサーバを置いて、ローカルサーバからクラウドサーバに接続可能であれば、無線LAN方式を採用するなどがローカル環境の状況に応じて適宜採用されうる。
【0037】
(携帯通信端末の機能構成)
図13は、携帯通信端末11005の機能構成を示したブロック図である。携帯通信端末は、管理実施者による管理行為開始の指示の送信、上記RFID機能によって受信したセンサIDのクラウドサーバへの送信等を実行する。
RFIDリーダ部13001は、管理実施者等が上記センサに当該携帯通信端末を近接させたときにRFID機能によって、センサIDを受信する。
通信部13002は、クラウドサーバとの通信手段である。ここでは、通信方式として、3G/LTE方式を採用することとするが、これに限定されるものではないことは上記センサにおける通信部と同様である。
【0038】
(クラウドサーバの機能構成)
クラウドサーバ11001の機能構成は、通信部、位置判別部、ID管理部、収集部、管理実行部そしてセンサ情報格納部という構成である。ここで、位置判別部の機能を除き、実施例1と同様である。
位置判別部は、携帯通信端末11005から送信されたセンサIDに上記基準センサのセンサIDと管理対象センサのセンサIDとが含まれるか否かにより、上記センサが同一ローカル環境の範囲にあるか、どうかを判別する。
ここでは、RFID機能によりセンサIDの検知を行ったが、本発明の判別はこれに限られるものではない。上記センサにセンサIDを含むバーコードを表示して、上記携帯通信端末にバーコード読み取り機能を設け、コード読み取り機能により取得したセンサIDをクラウドサーバが受信するセンサIDの紐づけ検知方式などが適宜変更されうる。
【0039】
クラウドサーバを介したセンサ管理の動作は、管理実施者が管理行為開始の指示等の操作をするデバイスをコンピュータから携帯通信端末11005に置き換えれば、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0040】
(位置判別の変形例2)
図14は、屋外をローカル環境とした実施例3のセンサ管理システムを示す概念図である。ここで管理対象センサは、温度計である。尚、管理対象センサが温度計に限定されないことは、実施例1と同様である。クラウドサーバ14001、屋外のローカル環境14002、基準センサ14003、管理対象センサ14004、ローカル環境に設置された通信端末14005、管理実施者14007の携帯通信端末14006という構成である。 管理対象センサ14003と基準センサ14004は、通信機能を備え、クラウドサーバ14001によるクラウドサービスを受けることができる構成となっている。
【0041】
(センサを構成する機能を示したブロック図)
図15は、管理対象センサ14004の内部構成を示したブロック図である。基準センサ14003も同様の内部構成である。
プローブ15001、計測部15002、調整部15003、位置検知部15004そして通信部15005という構成である。
計測値生成部15002は、環境の温度に応じて出力されるプローブの出力を温度表示データに変換する。調整部15003は、当該センサが受信した校正データを参照して計測部の温度表示を調整する。
【0042】
位置検知部15004は、当該センサの位置検知し、位置データを生成する。ここでは、位置検知の方式として、通信電波を解析する位置センサが採用される。しかしながら、本発明の位置センサは、これに限定されるものではない。位置センサとして、全地球測位システム(GPS 等)、近接を検知するもので赤外線信号、音響、磁気(電波)等の標準センサ、その他校正エリアとの距離を推測できるものが、管理するセンサの性質や配置場所に応じて適宜採用されうる。
【0043】
通信部15005は、クラウドサーバ14001との通信手段である。ここでは、3G/LTE方式の通信方式を採用することとするが、これに限定されるものではない。尚、ローカルサーバを置いて、ローカルサーバからクラウドサーバに接続可能であれば、無線LAN方式を採用するなどがローカル環境の状況に応じて適宜採用されうる。
【0044】
(ローカル環境に設置された通信端末)
図16は、通信端末14005の機能構成を示したブロック図である。
位置検知部16001は、上記センサと同様の位置検知方式が採用され、当該ローカル環境の位置データを生成する。
通信部16002は、クラウドサーバとの通信手段であり、3G/LTE方式の通信方式を採用することとするが、これに限定されるものではないことは上記センサにおける通信部と同様である。
センサ管理が開始された場合等に、クラウドサーバ14001からの要求に応じて上記生成された位置データが送信される。
【0045】
(クラウドサーバの機能構成)
クラウドサーバ14001の機能構成は、通信部、位置判別部、ID管理部、収集部、管理実行部そしてセンサ情報格納部という構成である。ここで、位置判別部の機能を除き、実施例1と同様である。
【0046】
位置判別部は、通信端末14005から送信された位置データから予め設定した距離dの範囲に、上記基準センサの位置データと管理対象センサの位置データとがあるか否かにより、同一ローカル環境の範囲にあるか、どうかを判別する。
ここでは、通信端末からの距離dの範囲を基準に同一ローカル環境か否かの判別を行ったが、本発明の判別はこれに限られるものではない。
例えば、上記基準センサの位置データと管理対象センサの位置データとを比較し、その距離が予め設定した距離d以内であることをもって判別するなどが、ローカル環境の状況に応じて適宜採用されうる。
【0047】
クラウドサーバを介したセンサ管理の動作は、管理実施者が管理行為開始の指示等の操作をするデバイスをコンピュータから携帯通信端末14006に置き換えれば、実施例1と同様である。
【0048】
このようにクラウドサーバを介したセンサ管理システムを採用することにより、様々なローカル環境に配置された多くのセンサを、容易に誤りなく、効率的にセンサ管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、センサの測定品質の管理が要求される業界は、食品業界、医薬業界、精密機械業界あるいはフィールド観測に係る業界といった広い分野に渡っている。どの業界においても、本発明のシステムを適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1001 クラウドサーバ
1002 ローカル環境
1003 基準センサ
1004 管理対象センサ
1005 端末装置
1006 管理実施者
1007 コンピュータ

【要約】
【課題】
本発明の課題は、クラウドサーバを介してセンサ管理を実行することにより、様々なローカル環境にあるセンサを容易にセンサ管理することができるシステムを提供することである。
【解決手段】
クラウドサーバ、恒温槽、基準センサ、管理対象センサ、恒温槽に設けた端末装置、管理実施者そしてローカルのコンピュータという構成である。
管理対象センサ、基準センサ、恒温槽に設けた端末装置及びコンピュータは、通信機能を備え、クラウドサーバによるクラウドサービスを受けることができる構成となっている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16