(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961331
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ユーザー結合ヒューマン・マシン・インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20160719BHJP
A61H 3/02 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
A61H3/00 B
A61H3/02 A
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-517029(P2016-517029)
(86)(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公表番号】特表2016-518955(P2016-518955A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】US2014040155
(87)【国際公開番号】WO2014194163
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】61/828,885
(32)【優先日】2013年5月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】特許業務法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カゼルーニ、ホマユーン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ユン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギュナム
【審査官】
武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/027336(WO,A1)
【文献】
米国特許第6681638(US,B2)
【文献】
特表2004−534316(JP,A)
【文献】
特表2010−504167(JP,A)
【文献】
特開平6−245962(JP,A)
【文献】
特表2010−502266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
A61H 3/02
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外骨格を操作するためのシステムであって、
それぞれ大腿リンクを備えてユーザーの下肢に結合するように構成された第1及び第2の脚支持体と、
ユーザーの上半身に結合するように構成され、第1及び第2の脚支持体の各々を回転可能に接続する外骨格体幹であって、第1及び第2の脚支持体と前記外骨格体幹間の屈伸を可能にする外骨格体幹と、
第1及び第2の脚支持体にそれぞれ結合され、前記外骨格体幹に対する脚支持体の動きを与える第1及び第2の動力付きアクチュエーターと、
外骨格装置のユーザーに保持される外骨格装置からは分離し、ユーザーの手で把持されるように構成された少なくとも1つの支持ハンドルを備えた支持装置と、
前記外骨格装置を複数の動作状態間で移行させるとともに、ユーザー指令信号を受信するように構成された外骨格装置コントローラーと、
前記外骨格装置に命令するためのユーザー入力装置と、
を含む外骨格装置を具備し、
前記ユーザー入力装置は、
ユーザーの手が体重の負荷が掛かって前記支持ハンドルと係合しているときにはユーザーの指に結合するように構成することができ、前記ユーザーが前記少なくとも1つの支持ハンドルを把持して、体重の負荷が掛かったユーザーの手との係合を干渉することなく、前記ユーザーの指が選択的に前記信号発生装置を前記少なくとも1つの支持ハンドルと接触させたときには、前記信号発生装置は少なくとも1つの電気信号を発生する信号発生装置と
前記ユーザーの身体に結合するように構成され、前記信号発生装置から少なくとも1つの信号を受信し、前記少なくとも1つの信号を処理して、前記ユーザー指令信号を前記外骨格装置コントローラーに送信することができる入力装置コントローラーと、
を含み、
前記入力装置コントローラーは、ディスプレイ、振動モーター、及びスピーカーからなるグループから選択された1つの構成要素又は要素の組み合わせを持ち、前記外骨格装置及び/又は前記入力装置コントローラーの状態に関する視覚情報、触感及び/又は可聴音を生成することができる、
ことを特徴とする外骨格を操作するためのシステム。
【請求項2】
前記信号発生装置は、プッシュボタン、モーメンタリー・スイッチ、ロッカー・スイッチ、スライド式スイッチ、静電容量型スイッチ、抵抗型スイッチを含むスイッチ、サムホイール、サム・ボール、ロール・ホイール、トラック・ボール、キー、ノブ、ポテンショメーター、エンコーダー、力センサー、歪みゲージ力センサー、及び線形可動変圧器からなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせからなるアクチュエーターを持つ、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記信号発生装置は、スリーブ、ストラップ、金属リング、プラスチック・リング、テープ、バンド及びクリップからなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせを介してユーザーの指に結合される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記信号発生装置は、少なくとも1つの信号を少なくとも1つのワイヤー経由で前記入力装置コントローラーに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入力装置コントローラーは、ストラップ、バンド、テープ、クリップ、チェーン、リング、及びベルトからなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせを介して前記ユーザーの身体に結合される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記入力装置コントローラーは、マイクロコンピューターと、少なくとも1つのバッテリーと、前記指令信号を無線で前記外骨格装置に送信することができる無線送受信モジュールを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記指令信号は前記外骨格装置の動きを開始する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記指令信号は、前記外骨格装置の動きを停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記指令信号は、前記外骨格装置の速度を上げる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記指令信号は、前記外骨格装置の速度を落とす、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記指令信号は、前記外骨格装置の設定の変更を引き起こす、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記外骨格装置は前記入力装置コントローラーに処理のための少なくとも1つのフィードバック信号を送信することができ、前記フィードバック信号は前記外骨格装置の状態を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号発生装置は手袋に組み込まれ、前記手袋は前記ユーザーに着用されるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記入力装置コントローラーは、テキスト、静止画、アニメーション、ビデオ・クリップ、及びこれらの組み合わせからなるグループの中から選択された視覚情報を表示するためのディスプレイを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムを利用する制御方法であって、
ユーザーの手が体重の負荷が掛かって支持ハンドルと係合しているときに、体重の負荷が掛かったユーザーの手との係合を干渉することなく支持ハンドルが前記ユーザー入力装置内の前記信号発生装置と接触することによって、少なくとも1つの信号を発生するステップと、
前記入力装置コントローラー内で前記信号を処理するステップと、
前記入力装置コントローラー内で前記外骨格装置への指令信号を生成するステップと、
前記指令信号を外骨格装置コントローラーに送信して、前記外骨格装置における動きを起こし、変更し、又は禁止するステップと、
前記外骨格装置及び/又は前記入力装置コントローラーの状態に関する視覚情報、触感、及び/又は可聴音を前記ユーザー入力装置上で生成するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項16】
前記信号発生装置によって発生された前記信号は、前記ユーザーの指と前記支持ハンドル間の力を表す、
ことを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
前記信号発生装置は、プッシュボタン、モーメンタリー・スイッチ、ロッカー・スイッチ、スライド式スイッチ、静電容量型スイッチ、抵抗型スイッチを含むスイッチ、サムホイール、サム・ボール、ロール・ホイール、トラック・ボール、キー、ノブ、ポテンショメーター、エンコーダー、力センサー、歪みゲージ力センサー、及び線形可動変圧器からなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせからなるアクチュエーターを持つ、
ことを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【請求項18】
前記指令信号は無線で送信される、
ことを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【請求項19】
前記指令信号は、前記外骨格装置の好ましい速度を表す信号、前記外骨格装置の好ましい加速度を表す信号、及び前記外骨格装置の好ましい姿勢を表す信号からなるグループから選択されたいずれか単一の信号又は信号の組み合わせからなる、
ことを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【請求項20】
視覚情報は、入力装置コントローラーのディスプレイ上で表示され、視覚情報、はテキスト、静止画、アニメーション、ビデオ・クリップ、及びこれらの組み合わせからなるグループの中から選択される、
ことを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外骨格システムを制御する技術に係り、特に、人に結合するように構成された制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行が困難な患者は、移動のためにしばしば車椅子を使用する。車椅子の使用を延期すると、他のタイプの二次障害や病気の発症を遅らせるということは、当該分野では一般的で且つ尊重される意見である。長期の車椅子の使用の影響は、股関節や膝、足関節の拘縮、下肢関節の異所性骨化、頻繁な尿路感染症、痙縮、痙性の異所性骨化、及び心臓や循環機能の衰弱を含む二次損傷である。これらの傷害は、病院での治療、薬物治療、及び幾つかの外科的処置で処理しなければならない。医者は、車いすの使用を見合わせて、可能な限り直立歩行することが患者にとって不可欠である、という考えを強く提唱している。
【0003】
機能的電気刺激(FES)は、主に障害を持つ人に、機能を回復するために使用される。FESは、脊髄損傷(SCI)、頭部外傷、脳卒中及び他の神経障害に起因する麻痺の影響を受ける下肢の筋肉を活性化するために電流を使用する技術である。患者は、安定性のための整形器具のセットを身に着ける。電気刺激装置は、患者が歩こうとするとき以外は常に「オフ」モードになっている。ローリング・ウォーカーの各ハンドル・バーに配設されたミニスイッチを押すことによって、患者は、大腿四頭筋やハムストリングスや筋肉のうち1つ又は幾つかを活性化させる。スイッチからのトリガー信号は、ケーブル経由でウォーカーから刺激装置に送信される。パルス電流が、固体ゲルで覆われた従来のカーボン含浸ゴム電極を介して患者に印加される。Alojz R. Kralj及びTadej Bajd共著の「機能的電気刺激:脊髄損傷後の起立と歩行」(CRC出版 1989)という題目の著書は、FESに関連するさまざまな技術について記述している。他の有益な参考文献として、D’Ambrosiaがアイオワ整形外科ジャーナルに発表した「胸部麻痺のための装具歩行の現状」が挙げられる。
【0004】
別の歩行方法は、動力付き外骨格システムを使用している。ほとんどの動力付き医療用外骨格装置は、ユーザーが外骨格装置に命令するためのインターフェース・デバイスを備えており、どちらの脚を移動させるか、その脚をどのように移動させるかというユーザーの決定は、インターフェース・デバイスを通じて外骨格装置の動きに反映される。
【0005】
現在、外骨格装置に命令するための異なるタイプのユーザー・インターフェースがある。例えば、米国特許出願公開2011/0066088 A1は、外骨格装置の制御システムへの制御指令を入力するためのユーザー入力手段として用いられるジョイスティックとキーパッドからなり、機械的に接続されたインターフェース・デバイスを持つ外骨格装置について開示している。このデバイスの欠点は、かさばることと、ユーザーの腕を外骨格装置の一部に連結する必要があることである。米国特許第7,153,242号は、ユーザーが装置の動作モードやパラメーターを制御するとともに各種の指示を受け取るためのマン−マシン・インターフェースを備えた歩行運動装置について開示している。しかしながら、その装置の各動作は、各種センサーの測定に基づいて制御ユニットによって起こされるのであり、ユーザーによって直接起こされる訳ではない。このため、ユーザーによる装置の制御能力は制限され、また、多くのセンサーを装置に搭載する必要がある。
【0006】
したがって、当該技術分野では、さまざまな外骨格装置の制御のための簡易でより汎用性の高いインターフェース・デバイスが依然として必要とされている。1つの解決策として、機器装備手袋をインターフェース・デバイスとして利用することが挙げられる。現在、さまざまなアプリケーションで機器装備手袋が使用されている。例えば、米国特許第7,057,604 B2号及び第6,154,199号には、このような手袋をコンピューターのマウスとして使用する試みが記載されている。さらに、米国特許第6,681,638 B2号は、無線マテリアル・ハンドリング・システムに適用された機器装備手袋装置について開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、外骨格装置のインターフェース・デバイス向けに設計された機器装備手袋タイプのデバイスの先行技術はない。さらに、このようなデバイスの多くは、ユーザーの手のひらの上で作動するメカニズムを持つユーザー入力デバイスであり、杖若しくはその他のバランス援助器具にもたれたるといった別の目的のためにユーザーが手のひらを利用しなければならないときには望ましくない。本発明は、ユーザーの手に着用されるインターフェース・デバイスについて開示する。さらに、本発明では、機器装備手袋は、指スリーブ型信号発生装置として実現される。本発明に係るこの構造によれば、手袋に起因するユーザーの手の動きの支障を最小限に抑えることができます。さらに、本発明によれば、外骨格装置からのフィードバック信号を提供するとともに、ユーザーが外骨格装置を制御する能力を最大限にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本特許出願では、人に着用されている外骨格装置に命令するための入力装置について記述する。入力装置は、人に結合するように構成される。この入力装置は、人の指に結合するように構成された少なくとも1つの信号発生装置を備えている。この信号発生装置は、信号発生装置が接触されたときに少なくとも1つの電気信号を発生することができる。この入力装置は、人の身体に結合するように構成された入力装置コントローラーも備えている。動作中、入力装置コントローラーは、少なくとも1つの電気信号を受信及び処理して、機能を実行するための指令信号を外骨格装置に送信する。少なくとも1本のワイヤーが少なくとも1つの電気信号を入力装置コントローラーに送信する、という実施形態もある。2又はそれ以上の信号発生装置が1本の指に結合される、という本発明の実施形態もある。信号発生器は施術者の指に結合することができ、施術者は機能を実行するための少なくとも1つの指令信号を外骨格装置に発生することができる、という本発明の実施形態もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】
図1aは、本発明に係るユーザー入力装置を示している。
【
図1b】
図1bは、ユーザーに着用され、本発明によって制御される動力付き外骨格システムを後方から斜視した様子を示している。
【
図2】
図2は、本発明によって制御されるように構成され、ユーザーが着用している外骨格装置を示している。
【
図3】
図3は、松葉杖と組み合わせて本発明を使用するユーザーを示している。
【
図4】
図4は、ウォーカーと組み合わせて本発明を使用するユーザーを示している。
【
図5】
図5は、明確化のため本発明の残りの部分を省略して、信号発生装置を示している。
【
図6】
図6は、ユーザーが松葉杖に接触しながら本発明を使用する可能な方法を示している。
【
図7】
図7は、ユーザーがウォーカーに接触しながら本発明を使用する可能な方法を示している。
【
図8】
図8は、明確化のため他の構成要素を省略して、本発明に係る入力装置コントローラーを示している。
【
図9】
図9は、本発明に係る入力装置コントローラー・ユニットの概要を示している。
【
図10】
図10は、少なくとも2本の指を覆う手袋の概要を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1b中で、本発明とともに使用される外骨格システムの第1の実施形態の全体は、130で示されている。一般に、外骨格システム130は、人に結合するように構成された動力付きアクチュエーター141と、人に追加の安定化を提供する別の支持装置112を備えている。「別の」とは、外骨格装置130と支持装置130が一体でも恒久的に接続されてもいないことを意味し、特定のユーザーのニーズと制限に応じて、任意の個数の異なるタイプの支持装置112を任意の個数の異なるタイプの外骨格装置に組み合わせることができるようになっている。さまざまなタイプの動力付き外骨格装置を本発明に適合させて使用することができる、ということを理解すべきである。このような外骨格装置は、電源が供給されると、着用者がいかなる実質的な精力の消耗もなしに直立歩行できるようにすることができる。外骨格システムの機械的アーキテクチャーに応じて、自由度と動作が異なることもある。外骨格システムが電動式である実施形態もあれば、油圧式動力の実施形態もある。米国特許第7,628,766号は、下肢の外骨格システムの一例について記述している。さらに、米国特許出願公開2007/0056592及び2006/0260620は下肢のさまざまなアーキテクチャーについて教示している。
【0011】
図1bに示す実施形態において、外骨格装置130は、対麻痺患者が移動に利用できるように構成され、人の下肢に結合されて立脚相の間は支持面の上に載るように構成された第1及び第2の脚支持体142及び143を備えている。第1及び第2の脚支持体はそれぞれ、膝関節148、149によって相互接続された大腿リンク144、145と下腿リンク146、147を備えている。アクチュエーター141は、脚支持体142、143にトルクを加えるように構成されている。外骨格体幹150は、人の上半身に結合するように構成され、151で示される股関節で第1及び第2の脚支持体142及び143の各々に回転可能に接続している。外骨格体幹150は、支持バック・フレームの形態であることが好ましい。外骨格体幹150を人に接続するために利用される取り付け手段は、ストラップ152でユーザーをバック・フレームに直接結び付けるような直接的なものであっても、あるいは、バック・フレームと係合する着脱式のハーネス(図示しない)をユーザーが着用するような間接的なものであってもよい。さらに、脚支持体142及び143の先端に2つの足リンクが接続されている。外骨格装置130は、外骨格装置130を立ち状態、歩行状態、着席状態のようなさまざまな動作状態の間で移行させるためにアクチュエーター141と通信する外骨格コントローラー155をさらに備えている。立ち状態では外骨格装置130とユーザーは立った姿勢であり、歩行状態では外骨格装置130とユーザーは歩いており、着席状態では外骨格装置130とユーザーは座っている、ということを十分理解すべきである。外骨格装置130は、ユーザーの下肢の動きにぴったりと追従できるような複数の関節継手や、追加のアクチュエーターやセンサーのような、他のさまざまな構成要素を備えていてもよい。しかしながら、既知の動力付き外骨格装置とは異なり、外骨格装置130は、ユーザー入力装置100によって発生される信号を受信し応答するように構成された外骨格コントローラー155を備えている。
【0012】
第1の実施形態では、支持装置112は、第1及び第2の松葉杖のセットの形態であり、第1及び第2の松葉杖はそれぞれ113で示されるハンドルを備えている。松葉杖のセットが図示されているが、ユーザーは一度に1本の松葉杖しかしないこともあるという点を理解すべきである。
【0013】
本発明によれば、
図1aに示すユーザー入力装置信号発生装置100は、概して111で示すようなユーザー指令信号を発生して、外骨格コントローラー155に送信するように構成されている。外骨格コントローラー155は、ユーザー指令信号111に応答して、外骨格装置130をさまざまな動作状態間で移行させるが、より詳細については後述に譲る。ユーザー指令信号111は、
図1aに示すようにワイヤレスで送信してもよいし、有線接続(図示しない)を介して送信してもよい。
【0014】
図1a中の入力装置100は、人に結合するように構成されている。入力装置100は、人の指103に結合するように構成された信号発生装置102を少なくとも1つ備えている。信号発生装置102は、信号発生装置102がバランス援助ハンドル113に接触したときに少なくとも1つの電気信号を発生することができる。入力装置100は、ユーザーの身体107に結合するように構成された入力装置コントローラー104も備えている。動作中、入力装置コントローラー104は、少なくとも1つの電気信号を受信し処理して、外骨格装置130に指令信号111を送信する。少なくとも1本のワイヤー109が入力装置コントローラー104に少なくとも1つの電気信号を送信する、という実施形態もある。
図1aには2本の指に結合された1つの信号発生装置を持つ入力装置100を示しているが、追加の信号発生装置102を入力装置100とともに利用できるということを理解すべきである。1本の指に2又はそれ以上の信号発生装置102が結合できる、という本発明の実施形態もある。
図1は入力装置コントローラー104が指令信号111を無線で送信することを示しているが、指令信号111を外骨格装置130に送信するためにワイヤー及び/又はケーブルを使用することができる。信号発生装置102と入力装置コントローラー104を同じ人の指と身体に結合してもよいし、あるいは、信号発生装置102が施術者に結合される一方、入力装置コントローラー104は外骨格装置130を着用した他の人に結合され、施術者が外骨格装置130に命令するための指令信号111を発生するようにしてもよい。
【0015】
図2及び
図3に示すように、着用者が松葉杖112で信号発生装置102に接触したときに電気信号が発生される、という本発明の実施形態もある。
図6に示すように、人が松葉杖のハンドル113に接触して、信号発生装置102を介して松葉杖のハンドル113を押し付けたときに、信号発生装置102は少なくとも1つの電気信号を発生する。
図2は上述したように入力装置100が外骨格装置130を着用している人に結合されることを示しているが、入力装置100を施術者に結合させることができ、別の着用者に着用されている外骨格装置130に命令するための少なくとも1つの指令信号111を施術者が発生できる、という本発明の実施形態もある。上述したように、少なくとも1つの電気信号がワイヤー109経由で入力装置コントローラー104に送信される、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104は、電気信号を受信すると、指令信号111を外骨格装置130に送信する。外骨格装置130の好ましい速度を表す信号、外骨格装置130の好ましい加速度を表す信号、並びに外骨格装置130の姿勢を表す信号からなるグループの中から選択されたいずれかの単一の信号又は信号の組み合わせで指令信号111が構成される、という実施形態もある。
【0016】
外骨格装置130の操作時に、ウォーカー114を使用したいこともある。
図4に示すように外骨格装置130と共にウォーカー114が使用される場合、人がウォーカーのハンドル115を少なくとも1つの信号発生装置102で接触すると電気信号が発生する、という本発明の実施形態もある。
図7に示すように、信号発生装置102がウォーカーのハンドル115に接触して、信号発生装置102を介してウォーカーのハンドル115を押し付けたときに、信号発生装置102は少なくとも1つの電気信号を発生する。少なくとも1つの電気信号がワイヤー109経由で入力装置コントローラー104に送信される、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104は、電気信号を受信すると、外骨格装置130に指令信号111を送信する。図示しないが、外骨格装置130の操作時に、ウォーカーの代わりに杖や平行棒を使用したいこともある。松葉杖112、ウォーカー114、杖、平行棒、又は、動力付き医療用外骨格装置のユーザーを支持するための他の周知のバランス援助器具を含む、あらゆるバランス援助器具若しくは外骨格装置のユーザーを支持するための手段の支持面又はハンドルと共に、本発明に係る入力装置100を利用することができる、ということを理解すべきである。本発明の実施形態は、上述したものと同様の構成要素をさらに備えている。
【0017】
信号発生装置102によって発生された指令信号111が、着用者の指と、ウォーカーや松葉杖、平行棒といった接触する物との間の力を表す、という本発明の実施形態もある。
【0018】
信号発生装置102のアクチュエーターは、プッシュボタンや、モーメンタリー・スイッチ、ロッカー・スイッチ、スライド式スイッチ、静電容量型スイッチ、抵抗型スイッチを含むスイッチ、サムホイール、サム・ボール、ロール・ホイール、トラック・ボール、キー、ノブ、ポテンショメーター、エンコーダー、力センサー、歪みゲージ力センサー、及び線形可動変圧器(LVDT)からなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせで構成される。
図5は、信号発生装置がプッシュボタンのようなアクチュエーター108で構成されている、本発明の実施形態を示している。スリーブ、ストラップ、リング、テープ、バンド及びクリップからなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせを介して信号発生装置102が人の指に結合される、という本発明の実施形態もある。
【0019】
図8は、入力装置コントローラー104の実施形態を示している。入力装置コントローラー104は、人の身体107に結合するように構成されている。バンド、ストラップ、テープ、クリップ、チェーン、リング、及びベルトからなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせを介して入力装置コントローラー104が人の身体107に結合される、という本発明の実施形態もある。動作中、入力装置コントローラー104は、信号発生装置102から少なくとも1つの電気信号を受信して処理して、外骨格装置130に指令信号111を送信する。入力装置コントローラー104がハウジング121を備える、という本発明の実施形態もある。
【0020】
図1aから
図4に示されるように、入力装置コントローラー104が人の手首に結合される、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104によって発生された指令信号111が無線で外骨格装置130に送信される、という本発明の実施形態もある。着用者が少なくとも1つの信号発生装置102を、ウォーカー114、松葉杖112、平行棒、杖、又はその他のバランス援助器具の表面に接触させたときに、電気信号が発生される、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104によって発生された指令信号111が外骨格装置130における動作を開始する、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104によって発生された指令信号111が外骨格装置130を停止する、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104によって発生された指令信号111が外骨格装置130の歩行速度を上げる、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104によって発生された指令信号111が外骨格装置130の歩行速度を落とす、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104によって発生された指令信号111が外骨格装置130を着席状態、立ち状態、及び歩行状態のようなさまざまな動作状態の間で移行させる、という本発明の実施形態もある。
【0021】
図9は、一実施形態に係る入力装置コントローラー104の概要を示している。入力装置コントローラー104が少なくとも1つの印刷回路基板(PCB)156を備える、という本発明の実施形態もある。PCB156は、入力装置コントローラー104の多くの部品を搭載している。入力装置コントローラー104が少なくとも1つのマイクロコンピューター152と無線送受信モジュール154とバッテリー158とハウジング121を備える、という本発明の実施形態もある。マイクロコンピューター152はアルドゥイーノ社製の8ビットのArduino Pro Miniである、という実施形態もある。信号発生装置102は、マイクロコンピューター152の入力ピンに接続されている。信号発生装置102のアクチュエーター108がバランス援助器具のハンドル113に押し付けられると、マイクロコンピューター152は、ユーザーがハンドル113に押し付けてアクチュエーターを作動させたことを示す電気信号をワイヤー109経由で受信する。アクチュエーター108が作動していないときには、マイクロコンピューター152は、信号発生装置102がハンドル113に押し付けられていないことを示す他の電気信号をワイヤー109経由で受信する。マイクロコンピューター152は、PCB156に搭載されている送受信モジュール154に、アクチュエーター108が作動されたか否かを示すコンピューターの指令信号を、シリアル通信ポート172を用いて送信する。無線送受信モジュール154は、外骨格コントローラー155に配設された対となるモジュールに指令信号111を送信する。本発明の例示的な実施形態で使用される送受信モジュール154は、ディジ・インターナショナル社製のXBee(シリーズ1)送信機である。適切な電圧と電流制限を持つバッテリー158も、入力装置コントローラー104内に含まれ、入力装置コントローラー104のすべての部品に電源を供給するようになっている。電源スイッチ160は、入力装置コントローラー104の電源のオンとオフを切り替える。
【0022】
外骨格装置130が外骨格装置の状態を示すフィードバック信号を処理のために入力装置コントローラー104に送信することができる、という本発明の実施形態もある。入力装置コントローラー104がさらにディスプレイ120を備える、という本発明の実施形態もある。動作中、ディスプレイ120は、入力装置コントローラー104又は外骨格装置130の状態をユーザーに示す。ディスプレイ120が、テキスト、静止画、アニメーション及びビデオ・クリップからなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせを用いて、入力装置コントローラー104又は外骨格装置130の状態を表示する、という本発明の実施形態もある。
【0023】
入力装置コントローラー104が振動モーター170をさらに備える、という本発明の実施形態もある。動作中、振動モーター170は、連続、短期断続的、及び長期断続的な振動からなるグループの中から選択された1つのエレメント又はエレメントの組み合わせを用いて、外骨格装置130又は入力装置コントローラー104の状態に関する触感をユーザーに与える。
【0024】
入力装置コントローラー104が少なくとも1つのスピーカー171をさらに備える、という本発明の実施形態もある。動作中、スピーカー171は、外骨格装置130又は入力装置コントローラー104の状態に関する可聴音をユーザーに対して発生する。
【0025】
入力装置100が少なくとも1つの信号発生装置102を備え、入力装置コントローラー104を施術者に結合することができ、施術者が外骨格装置130に命令するための少なくとも1つの信号を発生することができる、という本発明の実施形態もある。信号発生装置102を施術者に結合することができ、外骨格装置130を着用している人に入力装置コントローラー104を結合することができる、という本発明の実施形態もある。
【0026】
人の指に結合された信号発生装置102が他の指と接触したときに少なくとも1つの電気信号を発生することができる、という本発明の実施形態もある。本発明の実施形態は、上述したものと同様の構成要素をさらに備えている。
【0027】
図10は、本発明の他の実施形態を示している。本発明に係る入力装置200は、人の手と結合するように構成されている。この装置は、人の手と結合するように構成された機器装備手袋110を備えている。機器装備手袋110は、さらに、手袋の1つの指に結合された少なくともの1つの信号発生装置102(図示しない)を備えている。
図1aに示した実施形態と同様に、入力装置200と共に利用される信号発生装置102は、人の指がバランス援助器具(図示しない)のような物体と接触したときに、少なくとも1つの電気信号を発生することができる。入力装置200は、前記人の身体107に結合するように構成された入力装置コントローラー104も備えている。動作中、入力装置コントローラー104は、少なくとも1つの電気信号を受信し処理して、外骨格装置130に指令信号を送信する。ワイヤー109が少なくとも1つの電気信号を送信する、という実施形態もある。1本の指に2つの信号発生装置102を結合できる、という本発明の実施形態もある。入力装置200は、望ましい任意の数の信号発生装置102を利用することができる。
図1aに示した実施形態と同様に、入力装置200の入力装置コントローラー104は、外骨格装置130への指令信号111を無線で、若しくは1又はそれ以上のワイヤー経由で送信してよい。本発明の文脈において、手袋という用語は、少なくともユーザーの手のひらの一部と少なくとも1本の指を被覆する柔軟な外皮を意味すること意図したものである、ということを理解すべきである。
図10に示すように、手袋110が少なくとも1本の指を被覆する、という本発明の実施形態もある。本発明の実施形態は、上述したものと同様の構成要素をさらに備えている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の好ましい実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明の要旨から逸脱しない範囲で本発明に対してさまざまな変更及び/又は修正を行なうことができる、ということを十分理解すべきである。例えば、外骨格装置130は、本発明と共に使用するように構成されたあらゆる公知の動力付き外骨格装置でよい、ということを理解すべきである。一般に、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。