(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
壁面に沿わせるようにして固定されるレール部材と、このレール部材の前面側に長手方向に沿って形成された案内溝にスライド自在に収容されるとともに任意の位置で該レール部材に固定される複数の固定部材と、これら固定部材にそれぞれの後端部が固定されて前方に向けて突出した状態で支持される複数本の棒状支持部材と、これら棒状支持部材のそれぞれの前端側が挿入される複数の支持穴が後端部に設けられた棚板と、を備えており、
前記棚板は、前記後端部に前記レール部材を受け入れる凹溝が全長に亘って設けられ、該凹溝の上側片部によって前記レール部材の上面側を略覆い隠す構造とされており、
前記レール部材は、前記壁面に沿うように配設され、該壁面に止具によって固定される平板状の固定片部と、この固定片部の上下の縁部から前方に向けて突出するようにそれぞれ形成された上片部及び下片部とを備え、該上片部を含み当該レール部材の上面全面が略平坦面とされ、該下片部の後端縁には、下方に向けて垂れ下がり、前記棚板の凹溝の下側片部の後端面に当接して前面側が覆われる垂下片部が設けられており、
前記垂下片部は、後面が前記固定片部の後面に同一平面状に連なり、かつ下面が前記棚板の下面と略同一平面状となるように設けられていることを特徴とする棚板装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の各実施形態では、棚板が施工された状態において、壁面側を後方側、その逆側を前方側として説明し、また、施工された状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0012】
図1〜
図5は、本実施形態に係る棚板装置及び棚板支持構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
本実施形態に係る棚板装置1は、
図1〜
図3に示すように、左右に横長の略矩形平板状の棚板10と、この棚板10を支持する棚板支持装置2と、を備えている。
棚板支持装置2は、住居等の建物の壁面3に沿わせるようにして固定されるレール部材20と、このレール部材20に固定される複数(図例では、三つ)の固定部材30と、これら複数の固定部材30のそれぞれに支持される複数本(図例では、三本)の棒状支持部材35と、を備えている。
【0013】
レール部材20は、
図3に示すように、左右方向に沿って細長状とされており、このレール部材20の前面側には、前方に向けて開口する案内溝21が長手方向に沿って形成されている。この案内溝21は、レール部材20の長手方向の全長に亘って設けられており、レール部材20の長手方向(左右方向)の両側端部のそれぞれにおいて長手方向外方側に向けて開口している。
また、レール部材20は、
図3及び
図4(a)、(b)に示すように、壁面3に沿うように配設される平板状の固定片部22と、この固定片部22の上下の縁部から前方に向けて突出するようにそれぞれ形成された上片部23及び下片部25とを備えている。このレール部材20は、これら固定片部22、上片部23及び下片部25によって前方に向けて開口する案内溝21を区画形成している。
【0014】
案内溝21の溝底面となる固定片部22の前面22aには、
図4(a)〜(c)に示すように、断面略V字状の細凹溝22bが長手方向に沿って形成されている。この細凹溝22bに沿って長手方向の複数箇所に間隔を空けて下孔を加工し、
図4(a)に示すように、タッピンねじや木ねじ等のねじや釘等の止具4を捻じ込み(または打ち込み)、当該レール部材20を、壁面3に沿わせるようにして固定するようにしてもよい。なお、このような細凹溝22bを設けずに固定片部22の予め適所に止具孔を形成しておくようにしてもよい。また、当該レール部材20が固定される壁面3を形成する壁材の裏面側には、柱材(間柱)や横桟、胴縁等の固定下地を設けるようにしてもよい。
【0015】
このレール部材20は、本実施形態では、上片部23を含み当該レール部材20の上面20aが、全面に亘って略平坦面とされている。
また、レール部材20は、案内溝21に収容された固定部材30の前方側への移動を抑制する抜止壁部24,26を備えている。本実施形態では、上片部23の前端縁から垂れ下がるように上側の抜止壁部24を設け、下片部25の前端縁から立ち上がるように下側の抜止壁部26を設けた例を示している。換言すれば、これら上下片部23,25によって区画された案内溝21の前方開口の上下幅を狭めるように、これら上下片部23,25のそれぞれに抜止壁部24,26を設けた例を示している。
【0016】
当該レール部材20は、これら上下の抜止壁部24,26、上下片部23,25及び固定片部22によって、縦断面形状が略C字状とされている。また、これら上下の抜止壁部24,26、上下片部23,25及び固定片部22によって、互いに向き合う方向に開口する凹溝が案内溝21の溝底側の上下に形成され、これら凹溝が、後記する固定部材30に設けられた係合突部32,32に係合する係合凹溝となる。また、図例では、上片部23及び下片部25の固定片部22からの突出寸法を略同寸法とし、上片部23からの抜止壁部24の垂れ下がり寸法と下片部25からの抜止壁部26の立ち上がり寸法とを略同寸法とした例を示している。このような構成とすることで、後記する固定部材30を、その上下を問わず案内溝21にスライドさせて収容させることができ、取り扱い性を向上させることができる。
【0017】
また、レール部材20は、下片部25の後端縁に下方に向けて垂れ下がるように設けられた垂下片部27を備えている。
この垂下片部27は、後記する棚板10を当該棚板支持装置2によって支持した状態では、
図1(a)に示すように、その前面27aが、棚板10によって覆われる。また、この垂下片部27の後面は、固定片部22の後面に連なり、これらが同一平面状とされている。
このレール部材20の長さ寸法は、棚板10の左右方向の寸法(図例では、長さ寸法)と略同長さ寸法とされている。また、このレール部材20の上下の幅寸法は、棚板10の上下寸法(厚さ寸法)よりも小さい寸法とされている。
【0018】
固定部材30は、レール部材20の案内溝21に、レール部材20の長手方向に沿ってスライド自在に収容されるとともに、任意の位置でレール部材20に固定される。
この固定部材30は、
図4(a)〜(d)に示すように、ブロック状とされており、略中央には前後方向に貫通した雌ねじ孔31が設けられている。この固定部材30は、その左右寸法がレール部材20の長さ寸法よりも小さく形成されており、この固定部材30の左右寸法は、10mm〜100mm程度としてもよい。
また、この固定部材30は、レール部材20の案内溝21にスライド自在に収容可能なように、その外郭寸法が案内溝21の溝内寸法よりも僅かに小さく形成されている。また、この固定部材30は、レール部材20の案内溝21に収容された状態で、その前面が、レール部材20の前面(抜止壁部24,26の各前面)と略同一平面状、または、レール部材20の前面よりも僅かに後方側位置となる形状とされている。
【0019】
また、本実施形態では、
図4(a)、(b)に示すように、固定部材30の上側部及び下側部のそれぞれに当該固定部材30の前面から後方側に向けて段下がり状とされた係合突部32,32を設けており、固定部材30の縦断面形状が扁平な略倒凸字状とされている。換言すれば、これら係合突部32,32は、固定部材30の上下面の後方側部位においてそれぞれ上方及び下方に向けて突出するように形成されている。これら係合突部32,32が、レール部材20の案内溝21に設けられた上記した係合凹溝にレール部材20の長手方向に沿ってスライド自在に係合し、当該固定部材30を案内溝21内でスライドさせる際にガイドとして機能する。また、これら係合突部32,32の前面が、レール部材20の抜止壁部24,26の後面に当接し、当該固定部材30の前方側への移動が抑制される。このような係合突部32,32を設けることで、例えば固定部材を平板状としたものと比べて、レール部材20の前後寸法(厚さ寸法)の薄型化を図りながらも固定部材30の強度を確保することができる。
【0020】
また、本実施形態では、
図4(b)に示すように、固定部材30の後面に、後方側に向けて開口し、止具4(
図4(a)参照)の頭部等を受け入れる受入凹所33を当該固定部材30の左右方向に沿ってその全長に亘って設けている。このような受入凹所33を設けることで、レール部材20の固定片部22に捩じ込まれた(打ち込まれた)止具4の頭部等に当該固定部材30が干渉することがない。従って、レール部材20の長手方向に沿って適所に止具4を捩じ込んで(打ち込んで)レール部材20を固定対象に固定した後にも当該固定部材30を案内溝21に沿ってスムーズにスライドさせることができる。また、レール部材20の固定片部22に止具4の頭部等を受け入れる凹所を形成する必要性が低減され、またはこのような凹所を設けないようにすることもでき、レール部材20の強度を確保することができる。
【0021】
棒状支持部材35は、固定部材30に後端部36が固定されて、壁面3に対して略直交方向(法線方向)となる前方に向けて突出した状態で支持される。
本実施形態では、棒状支持部材35は、後端部36が固定部材30に設けられた雌ねじ孔31にねじ作用で嵌る雄ねじ部36とされ、その前端側がダボ状部37とされている。
雄ねじ部36は、本実施形態では、そのねじ長さが、レール部材20の案内溝21の溝深さ寸法(固定片部22の前面22aから抜止壁部24,26の前面までの寸法)よりも大きく形成されており、図例では、該ねじ長さを上記溝深さ寸法よりも僅かに大きくした例を示している。また、本実施形態では、棒状支持部材35は、レール部材20の案内溝21に収容された固定部材30の雌ねじ孔31に雄ねじ部36を捩じ込んだ状態で、雄ねじ部36の先端(後端)が案内溝21の溝底面(固定片部22の前面22a)に当接する構成とされている。
【0022】
ダボ状部37は、雄ねじ部36の径よりも大径とされ、雄ねじ部36と同心状とされた略円柱形状とされており、これらによって当該棒状支持部材35の後端側部位に段差部が形成されている。また、本実施形態では、ダボ状部37の径を、レール部材20の上下の抜止壁部24,26間の上下寸法(案内溝21の前方開口の上下寸法)よりも小さい寸法としている。
このダボ状部37の長さ寸法(前後寸法)は、後記する棚板10の質量や前後寸法、棒状支持部材35の設けられる個数等に応じて、棚板10の支持が可能なように適宜、設定するようにすればよく、棚板10の前後寸法の1/4〜3/4程度としてもよい。例えば、棚板10を比較的に強固に支持し得るとともに棚板10自体の強度を確保する観点等からは、ダボ状部37の長さ寸法を、棚板10の前後寸法の1/4〜1/2程度とすることが好ましい。図例では、ダボ状部37の長さ寸法を、棚板10の前後寸法の1/2程度とした例を示している。
【0023】
また、本実施形態では、
図4(d)、(e)に示すように、ダボ状部37の周面に、周方向に間隔を空けて複数本の細凹溝を長手方向に沿って全長に亘って設け、ダボ状部37の周面をローレット形状としている。なお、図例のようにダボ状部37の周面を、一方向(長手方向)に沿う平目状のローレット形状とした態様に代えて、ダイヤ状やクロス状に細凹溝を形成したあやめ状のローレット形状とした態様としてもよい。このようにダボ状部37の周面をローレット形状とすることで、棒状支持部材35の雄ねじ部36を固定部材30の雌ねじ孔31に捩じ込む際における操作性を向上させることができる。また、後記するようにダボ状部37を棚板10の支持穴15に押し込むようにして挿入させた際に、ダボ状部37の周面のローレット形状を、当該棒状支持部材35の回り止めとして機能させたり、接着剤等を塗布する場合には、接着剤の溜り凹所として機能させたりすることもできる。
なお、このようにダボ状部37の周面をローレット形状とする態様に代えて、ダボ状部37を略多角柱形状としてもよい。これによっても捩じ込み時における操作性等を向上させることができ、同様の効果を奏する。
【0024】
上記構成とされた棒状支持部材35は、レール部材20の案内溝21に収容された固定部材30の雌ねじ孔31に雄ねじ部36がねじ作用で嵌って固定され、前方に向けて突出した状態で支持される。また、この棒状支持部材35の雄ねじ部36が固定部材30の雌ねじ孔31に捩じ込まれることで、固定部材30がレール部材20の抜止壁部24,26に押し付けられてレール部材20に固定される構造としている。本実施形態では、棒状支持部材35の雄ねじ部36と固定部材30の雌ねじ孔31とを嵌り合わせ、棒状支持部材35の雄ねじ部36をレール部材20の案内溝21の上記溝底面に当接させた状態で、雄ねじ部36を雌ねじ孔31に捩じ込むことで、固定部材30がレール部材20の抜止壁部24,26に押し付けられてレール部材20に固定される構造としている。つまり、棒状支持部材35の雄ねじ部36と固定部材30の雌ねじ孔31とのねじ作用により、棒状支持部材35の雄ねじ部36に対して固定部材30が前方に移動し、その係合突部32,32がレール部材20の抜止壁部24,26に押し付けられて固定部材30がレール部材20に強固に固定される。
【0025】
このような固定構造とすることで、ナット部材等を別途設けた場合と比べて、簡易な構造で固定部材30をレール部材20に強固に固定することができる。
なお、棒状支持部材35の雄ねじ部36が固定部材30の雌ねじ孔31に捩じ込まれることで、固定部材30がレール部材20の抜止壁部24,26に押し付けられてレール部材20に固定される構造としては、上記した構造に限られない。例えば、棒状支持部材35の雄ねじ部36のねじ長さを、レール部材20の案内溝21の上記溝深さ寸法よりも小さく形成し、ダボ状部37の径を、レール部材20の上下の抜止壁部24,26間の上下寸法よりも大きい寸法とした構造としてもよい。この場合は、棒状支持部材35の雄ねじ部36と固定部材30の雌ねじ孔31とを嵌り合わせ、棒状支持部材35の上記段差部をレール部材20の抜止壁部24,26の前面に当接させた状態で、雄ねじ部36を雌ねじ孔31に捩じ込むことで、固定部材30がレール部材20の抜止壁部24,26に押し付けられてレール部材20に固定される構造となる。
【0026】
つまりは、上記いずれの構造においても、棒状支持部材35及びレール部材20のそれぞれに、互いに当接することで互いの前後移動を抑制する当接部を設けた構造とし、これら当接部を当接させた状態で、棒状支持部材35の雄ねじ部36を固定部材30の雌ねじ孔31に捩じ込むことで、棒状支持部材35の雄ねじ部36に対して固定部材30が前方に移動し、レール部材20の抜止壁部24,26に押し付けられてレール部材20に固定される構造とされている。
【0027】
また、棚板支持装置2は、
図2及び
図3に示すように、レール部材20の長手方向両側端面を覆うエンドキャップ28,28を備えている。
このエンドキャップ28は、レール部材20の側端面に対応した形状とされ、該側端面を覆うカバー部28aと、このカバー部28aの内側面側(レール部材20側)に突出するように設けられた係合突片部28bとを備えている。この係合突片部28bが、レール部材20の案内溝21の側方開口を介して案内溝21に嵌め込まれるようにして挿入されて当該エンドキャップ28がレール部材20に取り付けられる。なお、接着剤等を係合突片部28b及び案内溝21の両方または一方に塗布して、このエンドキャップ28をレール部材20に取付固定するようにしてもよい。または、このような係合突片部28bを設けずに、カバー部28aの内側面をレール部材20の側端面に接着剤によって接着固定する態様としてもよい。
【0028】
カバー部28aは、本実施形態では、側面視において略矩形状とされた略矩形状部位と、この略矩形状部位の後側部位の上下に突出するように形成された上下一対の突片状部位とを備え、側面視における形状が扁平な略倒凸字状とされている。略矩形状部位は、レール部材20の固定片部22、上下片部23,25及び上下の抜止壁部24,26によって側面視略矩形状の外郭形状とされた部位を覆う形状とされている。上下一対の突片状部位は、同寸同形状とされ、これらのうち、下側の突片状部位がレール部材20の垂下片27の側端面を覆う構成とされている。また、上下一対の突片状部位のうち、上側の突片状部位が、後記する棚板10の凹溝12の上側片部13の側端面の一部を覆う構成とされている。
【0029】
カバー部28aを、上記のような構成とすることで、レール部材20の左右のいずれ側にも当該エンドキャップ28を取り付けることができる。従って、部品点数を削減でき、取り扱い性及び組み付け性を向上させることができる。
また、このカバー部28aの上下寸法は、後記する棚板10の厚さ寸法と略同寸法とされており、上側部及び下側部(図例では、上下一対の突片状部位)が棚板10の上面及び下面から上下にそれぞれ突出しないようにレール部材20に取り付けられる。
【0030】
なお、
図3において符号34は、棒状支持部材35の雄ねじ部36が挿入され、棒状支持部材35の上記段差部と固定部材30の前面との間に介在されるゴムワッシャー等のワッシャー(座金)である。
また、上記したレール部材20、固定部材30、棒状支持部材35及びエンドキャップ28は、アルミニウムやステンレス、鉄、炭素鋼等の適宜の金属材料から押出成形や鋳造成形または切削加工等によって上記形状に成形された金属製としてもよい。または、硬質の合成樹脂系材料から上記形状に成形された硬質合成樹脂製としてもよい。
【0031】
棚板10は、後端部11が棚板支持装置2に連結固定され、壁面3に沿わせるようにしてこの棚板支持装置2に支持される。
棚板10の後端部11には、棒状支持部材35のダボ状部37が挿入される複数の支持穴15が棚板10の左右方向に沿って間隔を空けて、当該棚板10の厚さ方向略中央に設けられている。この支持穴15は、当該棚板10の前後方向に沿って形成され、後方側に向けて開口しており、その前後寸法(深さ寸法)が棒状支持部材35のダボ状部37の受け入れが可能なように、ダボ状部37の長さ寸法よりも大きく形成されている。また、この支持穴15の穴径は、ダボ状部37の径と略同寸法としてもよく、またはダボ状部37の径よりも僅かに小さく若しくは僅かに大きくするようにしてもよい。例えば、ダボ状部37を金属製からなるものとし、当該棚板10を木質系材料等からなるものとした場合には、挿入されたダボ状部37を強固に保持可能とする観点等から、支持穴15の穴径を、ダボ状部37の径よりも僅かに小さくするようにしてもよい。この場合は、支持穴15の内周面の塑性変形を伴ってダボ状部37を押し込むように挿入するようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、棚板10の後端部11に、レール部材20を受け入れる凹溝12を棚板10の左右方向(長手方向)の全長に亘って設けている。この凹溝12は、
図1に示すように、その上下に上側片部13及び下側片部14を形成するようにして当該棚板10の厚さ方向略中央に設けられ、後方側に向けて開口している。この凹溝12の上下寸法(溝幅寸法)は、支持穴15の穴径よりも大きく形成されている。また、この凹溝12の溝幅寸法は、レール部材20の受け入れが可能なように、レール部材20の上面(上片部23の上面)20aから下面(下片部25の下面)までの寸法と略同寸法またはレール部材20の上面20aから下片部25の下面までの寸法よりも僅かに大きく形成されている。
【0033】
また、上側片部13によってレール部材20の上面20aを略覆い隠せるように凹溝12が形成されている。図例では、上側片部13によってレール部材20の上面20aを全面に亘って覆い隠す構造とした例を示している。
また、下側片部14の後端面14aがレール部材20の垂下片部27に当接して、この垂下片部27の前面27a側を覆うように凹溝12が形成されている。図例では、棚板10の下面と垂下片部27の下面とが略同一平面状となるように、下側片部14の後端面14aと垂下片部27の前面27aとを略一致する形状とした例を示している。
【0034】
なお、この棚板10は、住居等の建物の壁面3に沿わせるようにして棚板支持装置2によって固定支持され、飾り棚やカウンターとして用いられるものとしてもよい。
また、図例では、平面視略矩形状とした棚板10を例示しているが、平面視における形状が、略半円形状や略三角形状、略台形状等とされたものとしてもよい。
また、この棚板10は、基材に、適宜、合成樹脂シートや突板等の表面化粧材を貼着して表面化粧処理が施された構成としてもよい。この基材としては、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系材料を板状に加工したものが挙げられる。また、上記基材としては、その他、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)を板状に加工したものや、合成樹脂系材料、金属系材料等を板状に加工した基材としてもよい。また、上記基材としては、適宜の板状材料を組み合わせて積層した基材としてもよい。
【0035】
次に、上記構成とされた棚板装置1(棚板支持装置2を用いた棚板10の支持構造)の施工手順の一例及び棚板支持構造について説明する。
まず、
図4(a)に示すように、レール部材20を壁面3に沿わせるようにして、止具4によって固定する。この際、当該レール部材20の長さ寸法や棚板10の質量等に応じて棚板10の支持が可能なように、レール部材20の長手方向に沿って間隔を空けて複数の止具4をレール部材20に捩じ込み(または打ち込み)、当該レール部材20を固定するようにしてもよい。
【0036】
また、
図4(a)〜(c)に示すように、レール部材20の案内溝21に、必要に応じた個数の複数の固定部材30をスライドさせて収容させる。この固定部材30は、レール部材20を固定する前に案内溝21に収容させるようにしてもよく、レール部材20を固定した後に案内溝21に収容させるようにしてもよい。
次いで、
図4(d)、(e)に示すように、必要に応じた本数の複数本の棒状支持部材35を、それぞれの雄ねじ部36を固定部材30の雌ねじ孔31に捩じ込んで固定する。本例では、
図3に示すように、三つの固定部材30をレール部材20の案内溝21に収容させ、三本の棒状支持部材35のそれぞれを固定部材30に固定支持させた例を示している。
【0037】
棒状支持部材35を固定部材30に固定する際には、棒状支持部材35を固定部材30に仮固定した状態で、棚板10の後端部11に設けた複数の支持穴15に棒状支持部材35のダボ状部37の前端部を挿入して棒状支持部材35及び固定部材30を支持穴15の位置に応じた適宜位置となるように位置決めするようにしてもよい。そして、位置決めした後に、上記したように棒状支持部材35の雄ねじ部36を固定部材30の雌ねじ孔31に捩じ込むことで、固定部材30をレール部材20の抜止壁部24,26に押し付けてレール部材20に固定するようにしてもよい。
【0038】
次いで、
図1(b)、
図3及び
図5(a)に示すように、棚板10の後端部11に設けた複数の支持穴15のそれぞれに棒状支持部材35のダボ状部37を押し込むようにして挿入するとともに、棚板10の後端部11に設けた凹溝12にレール部材20を受け入れさせるようにして棚板10を棚板支持装置2に固定支持させるようにしてもよい。なお、棒状支持部材35のダボ状部37及び棚板10の支持穴15の両方または一方に接着剤を塗布した後に、棚板10の支持穴15に棒状支持部材35のダボ状部37を挿入するようにしてもよい。
この状態では、
図1(a)及び
図5(b)に示すように、棚板10の凹溝12の上側片部13の後端面が壁面3に近接対面または当接し、この上側片部13によってレール部材20の上面20aが全面に亘って覆い隠される。また、棚板10の凹溝12の下側片部14の後端面14aがレール部材20の垂下片部27の前面27aに当接し、この垂下片部27の前面27aが下側片部14の後端面14aによって覆われる。
【0039】
そして、
図3及び
図5(b)に示すように、レール部材20の長手方向両側端面を覆うように、レール部材20の長手方向両側端部のそれぞれにエンドキャップ28,28を取り付け、
図2に示すように、棚板10を壁面3に沿わせるようにして固定するようにしてもよい。なお、上記施工手順は一例であり、各部材の機能を阻害しない限りにおいて別手順でなされるようにしてもよい。
【0040】
上記構成とされた棚板装置1及び棚板支持構造によれば、簡易な構造でありながらも棚板10を支持する部材を目立ち難くすることができる。
つまり、棚板10の後端部11にレール部材20を受け入れる凹溝12を全長に亘って設け、凹溝12の上側片部13によってレール部材20の上面20a側を略覆い隠す構造としている。従って、簡易な構造でありながらも上方側から棚板10を見た状態においてレール部材20を目立ち難くすることができる。また、レール部材20の上面20a側を覆う壁パネルやカバー部材等を設ける必要がなく、簡易な構造とすることができる。
また、本実施形態では、棚板10の上側片部13の後端面を壁面3に近接対面または当接させ、この上側片部13によってレール部材20の上面20aを全面に亘って覆い隠す構造としている。従って、棚板10を上方側から見た状態では、レール部材20が露出することなく、棚板10の後端部11が直付け的乃至は埋め込み状に壁面3に沿わせるようにして固定されたような印象を与えることができ、より見栄えを向上させることができる。
【0041】
また、このように見栄えの向上が可能でありながらも、レール部材20に固定部材30を介して支持された棒状支持部材35の前端側のダボ状部37を棚板10の後端部11の支持穴15に挿入して棚板10が支持されるため、安定的に棚板10を支持することができる。
さらに、棒状支持部材35は、レール部材20の案内溝21にスライド自在に収容されて任意の位置で固定される固定部材30に支持される構造とされている。従って、長さ寸法(左右寸法)の異なる棚板10を設置したい場合等にも、棒状支持部材35及び固定部材30は、共通部品とし、レール部材20及び棚板10の長さ寸法を適宜設定または切断して長さ寸法を調整することで容易に対応することができる。
【0042】
また、本実施形態では、固定片部22の上縁部から前方に向けて突出するように形成された上片部23を含みレール部材20の上面20a全面を略平坦面としている。従って、棚板10の後端部11の凹溝12の上側片部13によって、レール部材20の上面20a全面を覆い隠す場合において、その上側片部13を簡易な構造とすることができる。
また、本実施形態では、固定片部22の下縁部から前方に向けて突出するように形成された下片部25の後端縁に、下方に向けて垂れ下がり、棚板10の凹溝12の下側片部14の後端面14aに当接して前面27aが覆われる垂下片部27を設けている。従って、レール部材20の垂下片部27を固定対象としての壁面3に当接させることができ、当該レール部材20を安定的に固定することができ、この結果、棚板10を安定的に支持することができる。また、この垂下片部27は、棚板10の凹溝12の下側片部14の後端面14aに当接して前面27aが覆われるため、目立ち難く、見栄えを向上させることができる。
また、本実施形態では、棚板10の下面と垂下片部27の下面とが略同一平面状となるように、下側片部14の後端面14aと垂下片部27の前面27aとを略一致する形状としている。これにより、棚板10の下面と垂下片部27の下面との間に段差等が形成されず、棚板10を下方側から見た状態において、垂下片部27が目立ち難くなり、見栄えを向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、レール部材20に垂下片部27を設けた例を示しているが、このような垂下片部27を設けない態様としてもよい。この場合は、棚板10の凹溝12の下側片部14の後端面14aを壁面3に近接対面または当接させる構造としてもよい。
また、本実施形態では、レール部材20の上面20aを全面に亘って略平坦面とした例を示しているが、レール部材20の上片部23の後端縁に、上方に向けて突出する突片部を設けた態様としてもよい。この場合は、突片部の前面に棚板10の凹溝12の上側片部13の後端面を当接させてこの後端面によって該前面を覆う構造としてもよい。また、この場合は、棚板10の上面と突片部の上面とが略同一平面状となるように上側片部13の後端面と突片部の前面とを略一致する形状としてもよい。これらのような構造によっても、上方側から棚板装置1を見た状態では、レール部材の突片部の上面が露出するがレール部材の上面側は略覆い隠されるので見栄えを向上させることができる。
【0044】
また、レール部材20の案内溝21の形状及び固定部材30の形状は、図例のものに限られず、レール部材20の案内溝21に固定部材30が収容可能で、案内溝21の長手方向に沿って固定部材30がスライド自在とされたものであればどのような形状としてもよい。
さらに、本実施形態では、棒状支持部材35の後端部を雄ねじ部36とし、固定部材30にこの雄ねじ部36が捩じ込まれる雌ねじ孔31を設けた例を示しているが、棒状支持部材35と固定部材30とを連結固定する構造としてはこのような態様に限られない。例えば、固定部材30に止具挿通孔を設け、固定部材30の後面側にナット部材を配設して、棒状支持部材35の雄ねじ部36を固定部材30の止具挿通孔を介してナット部材に捩じ込み、これらを連結固定する態様としてもよい。または、固定部材30の前面側に前方に向けて突出する雄ねじ部を設け、棒状支持部材35の後端部に後方側に向けて開口する雌ねじ穴を設け、この雌ねじ穴に固定部材30の雄ねじ部を捩じ込むことで、これらを連結固定する態様としてもよい。
【0045】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る棚板装置及び棚板支持構造について説明するための説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0046】
本実施形態に係る棚板装置1Aが備える棚板支持装置2Aは、
図6(a)に示すように、レール部材20と略同長さ寸法で、レール部材20よりも上下方向の幅寸法が、幅広寸法とされ、かつレール部材20と壁面3との間に配設される帯板状部材40を更に備えている。
この帯板状部材40には、
図6(a)、(b)に示すように、棚板10Aの後端部11を受け入れてこの後端部11を保持する係合凹所41が設けられている。この係合凹所41は、前方に向けて開口し、当該帯板状部材40の長手方向に沿って全長に亘って設けられており、凹溝状に形成されている。
【0047】
この帯板状部材40は、壁面3に沿って配設される平板状の固定板状部42と、固定板状部42の上縁部から前方に向けて突出するように形成された上突片部44と、固定板状部42の下縁部から前方に向けて突出するように形成された下突片部45とを備えている。
固定板状部42の前面には、
図6(b)に示すように、レール部材20と同様の断面略V字状の細凹溝42aが長手方向に沿って形成されている。この細凹溝42aは、レール部材20に設けられた細凹溝22b(
図4(b)等参照)と上下で同位置となるように設けられている(
図6(a)参照)。
上突片部44は、棚板10Aの後端部11の上面縁部に当接し、該上面縁部を覆う構成とされ、下突片部45は、棚板10Aの後端部11の下面縁部に当接し、該下面縁部を覆う構成とされている。
帯板状部材40は、これら上下の突片部44,45及び固定板状部42によって、前方に向けて開口する凹溝状の係合凹所41を区画形成している。
【0048】
また、帯板状部材40は、下突片部45の前端縁から下方側に向けて垂れ下がるように形成されるとともにその下側部位が後方側に屈曲するように鉤状に形成され、壁面3に当接する当接片部46を備えている。このような当接片部46を設けることで、棚板10Aをより安定的に支持することができる。
また、帯板状部材40の係合凹所41の溝底面(固定板状部42の前面)には、前方に向けて開口し、レール部材20の後側部位を受け入れる凹溝状の受入凹所43が設けられている。この受入凹所43の上下寸法(溝幅寸法)は、レール部材20の後側部位の受け入れが可能なように、レール部材20の上下寸法(幅寸法)と略同寸法またはレール部材20の上下寸法(幅寸法)よりも僅かに大きい寸法とされている。また、この受入凹所43の前後寸法(溝深さ寸法)は、レール部材20の垂下片部27の前後寸法(厚さ寸法)と略同寸法とされている。
【0049】
棚板10Aは、上記第1実施形態に係る棚板10よりも厚さ寸法が大きく形成されており、また、それに伴い上側片部13A及び下側片部14Aの厚さ寸法も大きく形成されている。
また、上側片部13Aは、レール部材20の上面20aの全面を覆い隠す構造とされておらず、上面20aの後端縁側を露出させるようにその上面20aを略覆い隠す構造とされている。また、この上側片部13Aは、その後端面が帯板状部材40の係合凹所41の溝底面に近接対面または当接する構造とされている。
また、下側片部14Aは、その後端面が帯板状部材40の受入凹所43に受け入れられたレール部材20の垂下片部27の前面27aに当接し、この前面27aを覆う構造とされている。また、この下側片部14Aは、その後端面が帯板状部材40の係合凹所41の溝底面に近接対面または当接する構造とされている。
【0050】
また、本実施形態では、上記第1実施形態において説明したエンドキャップ28に代えて、
図6(c)、(d)に示すように、レール部材20及び帯板状部材40の長手方向両側端面を覆う形状とされたエンドキャップ29を備えている。
このエンドキャップ29は、レール部材20及び帯板状部材40の側面視における外郭形状に対応させたカバー部29aと、レール部材20の案内溝21に嵌め込まれるようにして挿入される上記同様の係合突片部29bとを備えている。
【0051】
本実施形態に係る棚板装置1Aを施工する際には、帯板状部材40の受入凹所43にレール部材20の後側部位を嵌め込むようにして係合させ、レール部材20を、帯板状部材40を介して壁面3に沿わせるようにして固定するようにしてもよい。この際、帯板状部材40を壁面3に沿わせて固定した後に、レール部材20を固定するようにしてもよい。または、帯板状部材40の受入凹所43にレール部材20の後側部位を嵌め込んだ状態で、両者を貫通させるようにして止具4(
図4(a)参照)によってこれらを壁面3に固定する態様としてもよい。
次いで、
図6(a)に示すように、上記第1実施形態と同様、固定部材30及び棒状支持部材35を組み付け、棚板10Aの後端部11に設けた凹溝12Aにレール部材20を受け入れさせるようにして棚板10Aを棚板支持装置2Aに固定支持させるようにしてもよい。つまり、本実施形態に係る棚板支持構造においても、棚板10Aの後端部11に設けた凹溝12Aにレール部材20を受け入れさせ、その上側片部13Aによってレール部材20の上面20a側を略覆い隠す構造としている。また、この状態では、
図6(a)に示すように、棚板10Aの後端部11が帯板状部材40の係合凹所41に係合し、保持される。
そして、
図6(d)に示すように、エンドキャップ29を取り付けるようにしてもよい。
【0052】
上記構成とされた本実施形態に係る棚板装置1A及び棚板支持構造においても上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。
また、本実施形態に係る棚板装置1A及び棚板支持構造によれば、レール部材20を目立ち難くすることが可能でありながらも、帯板状部材40によって棚板10Aの支持を補強することができる。
また、本実施形態では、棚板10Aを上方側から見た状態において、帯板状部材40の上面が露出するが、帯板状部材40の上突片部44は、棚板10Aの後端部11の上面縁部を覆う構成とされている。そのため、帯板状部材40の上面の前後寸法は、棚板10Aの前後寸法に比して極めて小さく、然程目立つことがなく、見栄えを阻害することがない。
【0053】
なお、本実施形態では、帯板状部材40にレール部材20の後側部位を受け入れる受入凹所43を設けた例を示しているが、このような受入凹所43を設けないようにしてもよい。この場合は、棚板10Aの後端部11にレール部材20の前後方向の全体を受け入れる凹溝12Aを設ける態様としてもよい。
また、本実施形態では、棚板10Aの後端部11を保持する補強部材として機能する帯板状部材40を設けた例を示しているが、この帯板状部材40を設けずに、棚板10Aを支持する構造としてもよい。この場合は、棚板10Aの上側片部13Aを上記第1実施形態と同様、レール部材20の上面20aの全面を覆い隠し得る形状としてもよい。また、棚板10Aの下側片部14Aの後端面を段形状として、その一部を壁面3に近接対面または当接させ得る形状としてもよい。
また、上記各実施形態に係る棚板支持構造においては、棚板10(10A)の後端部11の凹溝12(12A)及び支持穴15の両方または一方を、現場等において切削等により上記形状に加工して設けられるものとしてもよい。