(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の車両用表示装置によれば、コンバイナに投影された横長の虚像を視認して必要な情報を得ることができる。しかし、近年、さらに視認性及びデザイン性に優れた車両用表示装置が要求されており、また、表示機能のさらなる向上も望まれている。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、視認性及びデザイン性に優れ、また、高い表示機能を有する車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、下記(1)または(2)を特徴としている。
(1) 表示光を出射する表示装置本体と、
該表示装置本体の上部に固定されて前記表示装置本体から出射される表示光が投影されるコンバイナと、
を備えた車両用表示装置であって、
前記コンバイナは、前記表示光が投影される表示領域と、この表示領域の
外側の左右両側のうち少なくとも片側に設けられた透明透過部とを有し、
前記コンバイナの前記透明透過部の背面側には、
前記透明透過部に画像を表示させる画像表示部が設けられ
、
前記表示装置本体は、前記表示領域へ投影する前記表示光とは別の表示光を前記透明透過部に投影する像投影部を備える
こと。
(2) 上記(1)の構成の車両用表示装置であって、
前記コンバイナは、その上縁に沿って前記表示光の照射側に突出する暗色化されたフード部を有する
こと。
【0008】
上記(1)の構成の車両用表示装置では、表示装置本体からの表示光が投影されるコンバイナは、表示光が投影される表示領域の
外側の左右両側のうち少なくとも片側に透明透過部を有する。これにより、透明透過部の存在により、良好な視認性を確保しつつコンバイナに広がりを持たせることができ、表示領域の表示との一体感を生じさせてデザイン性を向上させることができる。
しかも、画像表示部によって、表示領域への表示とは別の表示を透明透過部に表示させることができるので、デザイン性をさらに向上させることができるとともに、表示機能を高めることができる。
更には、画像表示部によって表示される透明透過部に、像投影部によって虚像を投影することができる。これにより、透明透過部における表示機能をさらに高めることができる。
上記(2)の構成の車両用表示装置では、コンバイナにフード部が設けられたことによって、コンバイナに投影される表示に対する外光の影響を抑えることができ、しかも、外光が反射して車内へ照射されるような不具合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、視認性及びデザイン性に優れ、また、高い表示機能を有する車両用表示装置を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の斜視図、
図2は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置のコンバイナの正面図、
図3は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の断面図、
図4は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置であるヘッドアップディスプレイ装置10は、表示装置本体11と、この表示装置本体11の上部に固定されたコンバイナ12とを備えている。
【0015】
表示装置本体11は、車両のダッシュボード内に収容されるもので、この表示装置本体11からコンバイナ12へ表示光が照射される。
【0016】
コンバイナ12は、車両のダッシュボード上に配置され、表示装置本体11から表示光が照射される。これにより、このコンバイナ12には、虚像が投影され、この虚像は、車両の運転者のアイポイントから視認される。
【0017】
コンバイナ12は、合成樹脂から成形されたもので、
図2に示すように、透光性を有する透光部21を有している。この透光部21は、その中央部分が表示領域Aとされており、この表示領域Aに、表示装置本体11からの表示光が照射されて虚像が形成される。この虚像は、例えば、車両の走行速度、燃料やバッテリの残量、あるいは駆動機構部の温度等の情報表示H1である。
【0018】
また、このコンバイナ12の透光部21は、表示領域Aの外側である両側が透明透過部Bとされている。この透明透過部Bは、目視した際に、透明と認識可能な領域とされている。
【0019】
コンバイナ12における表示領域A及び透明透過部Bを有する透光部21の下方側は、有色領域Cとされている。この有色領域Cは、例えば、印刷または塗装によって幅方向へわたって黒色に着色されている。また、コンバイナ12の透光部21の上部には、上縁に沿って表示光の照射側に突出するフード部23が一体成形されており、このフード部23は、例えば、黒色等に着色されている。このフード部23は、コンバイナ12を成形する際に、黒色の樹脂を用いて二色成形することで形成されている。
【0020】
そして、コンバイナ12は、黒色の有色領域C及び黒色のフード部23を設けたことで、表示領域Aに投影される情報表示H1に対する外光の影響が抑えられ、また、外光が反射して車内へ照射されることが抑制される。
【0021】
なお、有色領域C及びフード部23の色は、黒色に限らず、例えば、濃灰色等の暗色系の色でもよい。
【0022】
表示装置本体11は、二つの画像表示部25を備えている。これらの画像表示部25は、表示装置本体11の両側部で上方に突出するように設けられている。これにより、これらの画像表示部25は、表示装置本体11に固定したコンバイナ12の透光部21における透明透過部Bの裏面側に配置されている。
【0023】
画像表示部25は、コンバイナ12側に実像からなる画像を表示するもので、
図2に示すように、これらの画像表示部25で表示された画像は、コンバイナ12の透光部21における表示領域Aの両側の透明透過部Bを通して視認可能とされている。これらの画像表示部25で表示する画像は、例えば、車両の走行の補助や状態等のサポート表示H2である。
【0024】
また、表示装置本体11の両側部には、像投影部26が設けられている。これらの像投影部26は、コンバイナ12の透光部21における表示領域Aの両側の透明透過部Bへ表示光を照射する。これにより、コンバイナ12の透明透過部Bには、虚像が投影される。
【0025】
これにより、コンバイナ12の透明透過部Bには、画像表示部25の画像からなるサポート表示H2とともに、像投影部26によって投影された虚像からなる表示を組み合わせることが可能とされている。
【0026】
次に、ヘッドアップディスプレイ装置10の具体的な構造について説明する。
【0027】
図3及び
図4に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置10を構成する表示装置本体11は、合成樹脂等から成形されたケース30を有している。このケース30には、その上面に、幅方向へわたって取付溝部30aが形成されており、コンバイナ12は、このケース30の取付溝部30aに挿し込まれて固定されている。
【0028】
ケース30には、幅方向の中央における手前側に、画像形成装置31が組み付けられている。
【0029】
画像形成装置31は、ハウジング32を有しており、このハウジング32には、画像形成アッシー33及び複数のアンビエントアッシー34が組み付けられている。
【0030】
画像形成アッシー33は、シールド板40、LCDパネル41、ターンレンズ42、光源ケース43、ターンプリズム44、レンズアレイ45、虚像アルミ基板46、伝熱シート47及びヒートシンク48を有しており、これらがハウジング32へ順に組み付けられて構成されている。
【0031】
この画像形成アッシー33では、虚像アルミ基板46に設けられたLED等の光源49で発光した光がレンズアレイ45で集光され、ターンプリズム44及びターンレンズ42を通してLCDパネル41へ照射される。これにより、このLCDパネル41の画像が表示光Lとしてシールド板40を介してハウジング32内へ照射される。
【0032】
また、アンビエントアッシー34は、アンビエントケース51、アンビエントプリズム52、アンビエントアルミ基板53、伝熱シート54及びヒートシンク55を有しており、これらがハウジング32へ順に組み付けられて構成されている。
【0033】
このアンビエントアッシー34では、アンビエントアルミ基板53に設けられたLED等の光源56で発光した光がアンビエントプリズム52及びアンビエントケース51を通してハウジング32内へ照射される。
【0034】
ハウジング32には、その上部に開口部32aが形成されており、この開口部32aには、表ガラス35が取り付けられている。そして、ハウジング32に導かれた画像形成アッシー33からの表示光L及びアンビエント照明光は、ハウジング32の開口部32aの表ガラス35を介してハウジング32の外部へ出射され、コンバイナ12の表示領域Aへ照射され、運転者のアイレンジに導かれる。
【0035】
これにより、運転者は、車両のアイポイントからコンバイナ12の表示領域Aに投影された虚像からなる情報表示H1を視認することができる。また、この表示領域Aは、アンビエントアッシー34からの照明光で装飾される。
【0036】
また、ケース30には、その両側部における上部に、取付枠60が一体成形されており、これらの取付枠60に、画像表示部25を構成する画像表示部アッシー61が組み付けられている。
【0037】
画像表示部アッシー61は、画像アッシー部62と、表示アッシー部63とを有している。画像アッシー部62は、画像を表示させるもので、光学フィルム65、TFTパネル66及びパネル固定板67を有しており、これらが順に取付枠60に組み付けられている。表示アッシー部63は、警告等を表示するもので、警告レンズ板68、光源ケース69及び光源基板70を有しており、これらが順に取付枠60に組み付けられている。そして、これらの画像アッシー部62及び表示アッシー部63の背面側からカバー75が取り付けられ、画像表示部アッシー61とされている。なお、一方側の画像表示部アッシー61の表示アッシー部63には、LCDパネル71も組み込まれている。
【0038】
この画像表示部アッシー61では、画像アッシー部62のTFTパネル66に映し出される画像が、光学フィルム65を介してコンバイナ12側へ表示され、また、表示アッシー部63の光源基板70に設けられたLED等の光源72の光が警告レンズ板68に照射され、警告表示の表示光としてコンバイナ12側へ照射される。
【0039】
これにより、運転者は、車両のアイポイントからコンバイナ12の透明透過部Bを介して画像表示部25の画像や表示からなるサポート表示H2を視認することができる。
【0040】
また、ケース30には、画像形成装置31の装着箇所の両側に、像投影部26が組み付けられている。
【0041】
像投影部26は、ガラス板81、カバー82、文字板83、拡散板84、光源カバー85、光源基板86、伝熱シート87、ヒートシンク88及びヒートシンクカバー89を有しており、これらがケース30へ順に組み付けられている。
【0042】
そして、この像投影部26では、光源基板86に設けられたLED等の光源90からの光が、拡散板84で拡散され、その後、文字板83及びガラス板81を透過して出射する。像投影部26は、コンバイナ12に対して斜めに設置されており、これにより、像投影部26から出射した表示光Lは、コンバイナ12の透明透過部Bへ斜め下方側から照射される。これにより、コンバイナ12の透明透過部Bには、画像表示部25の画像からなる表示とともに、像投影部26によって投影された虚像からなる表示を組み合わせることができる。
【0043】
また、ケース30には、その底部側に、制御基板91が装着されており、この制御基板91は、ケース30の底部に固定されるカバー93で覆われている。この制御基板91は、画像形成装置31、画像表示部25、像投影部26を制御する制御回路を備えている。
【0044】
上記構成のヘッドアップディスプレイ装置10では、画像形成装置31から照射された表示光Lが、コンバイナ12の表示領域Aへ照射され、運転者のアイレンジに導かれる。これにより、運転者は、車両のアイポイントからコンバイナ12の表示領域Aに投影された虚像からなる情報表示H1の視認が可能となる。
【0045】
また、コンバイナ12の表示領域Aの両側部の透明透過部Bでは、コンバイナ12を介して画像表示部25の画像が表示される。これにより、運転者は、車両のアイポイントからコンバイナ12の表示領域Aの両側部の透明透過部Bのサポート表示H2も視認可能となる。
【0046】
さらに、この透明透過部Bでは、画像表示部25の画像からなるサポート表示H2とともに、像投影部26によって投影された虚像からなる表示も組み合わされる。これにより、運転者は、車両のアイポイントからコンバイナ12の表示領域Aの両側部の透明透過部Bのサポート表示H2にさらに虚像が組み合わされた表示も視認可能となる。
【0047】
以上、説明したように、上記の車両用表示装置であるヘッドアップディスプレイ装置によれば、表示装置本体11からの表示光Lが投影されるコンバイナ12は、表示光Lが投影される表示領域Aの少なくとも片側に透明透過部Bを有する。これにより、透明透過部Bの存在により、良好な視認性を確保しつつコンバイナ12に広がりを持たせることができ、表示領域Aの情報表示H1との一体感を生じさせてデザイン性を向上させることができる。
【0048】
しかも、画像表示部25によって、表示領域Aへの表示とは別のサポート表示H2を透明透過部Bに表示させることができるので、デザイン性をさらに向上させることができるとともに、表示機能を高めることができる。
【0049】
また、画像表示部25によってサポート表示H2が表示される透明透過部Bに、像投影部26によって虚像を投影することができる。これにより、透明透過部Bにおける表示機能をさらに高めることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、コンバイナ12における表示領域Aの両側に透明透過部Bを設けたが、この透明透過部Bは、コンバイナ12における表示領域Aの少なくとも片側に設けてもよい。この場合、透明透過部Bにサポート表示H2を表示させる画像表示部25及び透明透過部Bに虚像を投影する像投影部26は、透明透過部Bが設けられた片側に設けることとなる。
【0051】
また、上記実施形態では、画像形成装置31からの表示光Lをコンバイナ12へ直接投影させる構成としたが、画像形成装置31からの表示光Lを非球面ミラーや平面ミラー等のミラーで1回反射させてコンバイナ12へ投影してもよく、または、画像形成装置31からの表示光Lを2回以上反射させてコンバイナ12へ投影させる構造としてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、表示装置本体11に画像表示部25を一体的に設けてコンバイナ12の背面に配置させたが、画像表示部25を表示装置本体11とは別体とし、この別体の画像表示部25をコンバイナ12の背面に取り付ける構造としてもよい。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。