特許第5961376号(P5961376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961376
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】データ記録装置及びドライブレコーダ
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20160719BHJP
   G01D 9/00 20060101ALI20160719BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   G01D9/00 K
   G01M17/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-278993(P2011-278993)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-130974(P2013-130974A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】鹿子島 順一
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−122947(JP,A)
【文献】 特開2008−186295(JP,A)
【文献】 特開2000−057000(JP,A)
【文献】 特開2002−133880(JP,A)
【文献】 特開2006−323751(JP,A)
【文献】 特開2010−198214(JP,A)
【文献】 特開2009−245052(JP,A)
【文献】 特開2012−053506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00 − 5/12
G01D 9/00
G01M 17/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリからなるメモリカードへのデータの記録を制御する記録制御部と、前記メモリカードに関する情報を記録する内部メモリと、前記記録制御部及び前記内部メモリを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記記録制御部が前記メモリカードの存在を検出した場合に、前記メモリカードのベンダー固有の情報を取得し、取得した前記ベンダー固有の情報に対応する書き込み回数情報を前記内部メモリに記録し、
前記メモリカードからベンダー固有の情報を取得できない場合は、前記メモリカードに一対一に対応付けられたメモリカード情報を取得して、取得した前記メモリカード情報に対応する書き込み回数情報を前記内部メモリから取得し取得した前記書き込み回数情報を前記内部メモリに記録し、
前記記録制御部により前記メモリカードにデータを記録する度に、取得した前記書き込み回数情報を加算し、
前記書き込み回数情報が所定の上限値を超えた場合に、前記記録制御部による前記メモリカードへのデータの書き込みを禁止することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記書き込み回数情報が前記所定の上限値を超えた場合に、警報を発する警報部を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記メモリカードと一対一に対応する情報が記録されるメモリカード情報と、前記メモリカード情報に対応して当該メモリカードの書き込み回数を示す情報が記録される書き込み回数情報とを組として、前記内部メモリに記録することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ記録装置。
【請求項4】
車両に搭載されて映像データを取得するカメラと、
前記カメラにより取得された前記映像データのエンコードを行う画像処理部と、
エンコードされた前記映像データをフラッシュメモリからなる挿抜可能なメモリカードに記録する記録制御部と、
前記メモリカードに関する情報を記録する内部メモリと、
ユーザからの操作が入力される記録ボタンと、
前記記録制御部及び前記内部メモリを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記メモリカードの書き込み回数情報を前記内部メモリに記録するとともに、前記記録制御部により前記メモリカードに前記映像データを記録する度に、前記内部メモリに記録されている書き込み回数情報を加算し、
前記書き込み回数情報が所定の上限値を超えた場合に、前記記録制御部による前記メモリカードへの前記映像データの書き込みを禁止する一方、
前記記録ボタンが操作された場合は、前記メモリカードへの映像データの書き込みが禁止されているかにかかわらず、前記映像データを前記メモリカードに記録する
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、映像データを記録するデータ記録装置及びドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行データを映像データと共に記録するドライブレコーダを車両に搭載することが行われている。ドライブレコーダは、例えば車両に衝撃が発生した場合に、その衝撃が発生した時刻を含む前後の映像データをメモリカードに記録する、または、車両の作動中に常時映像データを取得し、これをメモリカードに記録するように構成されている。
【0003】
このようなドライブレコーダとして、引用文献1には、映像データを常時記録する場合に、画像を所定の分割単位に分割して、分割単位毎にファイル単位でメモリカードに記録させる常時記録画像処理プログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−130577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、映像データを常時記録する方式の場合は、映像データは、所定のデータ単位でメモリカードに順次追記する方式が用いられる。メモリカードは、事業所や家庭のコンピュータでも容易に読み出せるように、可搬性に優れコストも低いSDメモリ等のフラッシュメモリを用いることが一般的である。
【0006】
ところで、フラッシュメモリには、書き込み回数に制限があるという問題がある。フラッシュメモリのデータの書き込み最小単位(1〜数ビット)であるセルは、薄膜の絶縁性酸化膜を有し、この酸化膜におけるトンネル効果によりデータの記録を実現している。電子の通過によりこの酸化膜が経年劣化し絶縁状態を保てなくなった場合は、当該セルの書き込み/読み出しが不能となるデータエラーが発生する虞がある。
【0007】
特に、近年フラッシュメモリの大容量化に伴ってセルの単位面積が縮小される結果、セルの寿命が短くなるという問題がある。この問題に対して、データの書き込みが同一のセルに集中しないように、いわゆるウェアレベリングを行うメモリカードも開発されているが、そのようなメモリカードは高価であり、システム全体のコストが上昇するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、フラッシュメモリ等のメモリカードにデータを常時記録するデータ記録装置において、コストを上昇させることなく、メモリカードのデータエラーの発生を防止できるデータ記録装置及びドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデータ記録装置は、フラッシュメモリからなる挿抜可能なメモリカードへのデータの記録を制御する記録制御部と、メモリカードに関する情報を記録する内部メモリと、記録制御部及び内部メモリを制御する制御部と、を備え、制御部は、記録制御部がメモリカードの存在を検出した場合に、メモリカードのベンダー固有の情報を取得し、取得したベンダー固有の情報に対応する書き込み回数情報を内部メモリに記録し、メモリカードからベンダー固有の情報を取得できない場合は、メモリカードに固有のメモリカード情報を取得して、取得したメモリカード情報に対応する書き込み回数情報を前記内部メモリから取得し、取得した書き込み回数情報を内部メモリに記録し、記録制御部によりメモリカードにデータを記録する度に、取得した書き込み回数情報を加算し、書き込み回数情報が所定の上限値を超えた場合に、メモリカードへのデータの書き込みを禁止することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のドライブレコーダは、車両に搭載されて映像データを取得するカメラと、カメラにより取得された映像データのエンコードを行う画像処理部と、エンコードされた前記映像データをフラッシュメモリからなる挿抜可能なメモリカードに記録する記録制御部と、メモリカードに関する情報を記録する内部メモリと、ユーザからの操作が入力される記録ボタンと、記録制御部及び内部メモリを制御する制御部と、を備え、制御部は、メモリカードの書き込み回数情報を内部メモリに記録するとともに、記録制御部によりメモリカードに映像データを記録する度に、内部メモリに記録されている書き込み回数情報を加算し、書き込み回数情報が所定の上限値を超えた場合に、記録制御部による前記メモリカードへの映像データの書き込みを禁止する一方、記録ボタンが操作された場合は、メモリカードへの映像データの書き込みが禁止されているかにかかわらず、映像データを前記メモリカードに記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メモリカードの書き込み回数を記録することにより、当該メモリカードが書き込み回数の上限に達する前に書き込みを禁止することができるので、書き込み回数の上限によるデータエラーを未然に防ぐことができ、データを確実にメモリカードに記録させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のドライブレコーダを含むドライブレコーダシステムの説明図である。
図2】本発明の実施形態のドライブレコーダの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態のメモリカードへの書き込み処理のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態のメモリカード情報と累積記録回数とを示すテーブルの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10を含むドライブレコーダシステム1の説明図である。
【0015】
ドライブレコーダシステム1は、車両11に搭載されるドライブレコーダ10と、事業所等に設置されるパーソナルコンピュータ(以下、PC)20と、ドライブレコーダ10が取得するデータを記録するメモリカード30とから構成される。
【0016】
ドライブレコーダ10は、車両11から走行データ(例えば車速、エンジン回転数、緯度、経度等)を取得して、これらを日時情報と共に所定の時間間隔で記録する。また、ドライブレコーダ10は、カメラ12により取得された映像データを記録する。走行データ及び映像データは、記録制御部150に挿入され、記録制御部150によりメモリカード30に記録される。
【0017】
ドライブレコーダ10は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの書き込み及び読み出しを行う記録制御部150と、メモリカード30に人為的に画像データを記録させる記録ボタン180と、点灯状態(色、点滅等)によりドライブレコーダ10の状態を表示するLED193とが設けられている。
【0018】
PC20は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの書き込み及び読み出しを行うメモリカードインタフェース21と、画像データ等を表示可能な液晶ディスプレイ等からなる表示部22と、ユーザからの指示が入力可能なキーボード及びマウス等からなる入力部23とから構成される。
【0019】
メモリカード30は、記録制御部150又はメモリカードインタフェース21に挿入されて、記録制御部150又はメモリカードインタフェース21により読み書き可能に構成されており、例えばSD(Secure Digital)やCF(Compact Flash)(Compact Flashは登録商標)等のフラッシュメモリカードが用いられる。
【0020】
図2は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10の機能ブロック図である。
【0021】
ドライブレコーダ10は、カメラ12から受信した映像信号に対して所定のエンコード方式に基づいて画像処理を行う画像処理部140と、画像処理部140によりエンコードされた映像データを一時的に記録する内部メモリ130と、映像データをメモリカード30に記録する記録制御部150と、を備える。画像処理部140よるエンコード方法は、例えばJPEG方式が用いられる。
【0022】
また、ドライブレコーダ10は、制御部160を備える。制御部160は、内部メモリ130に接続し、内部メモリ130とでデータの読み書きを制御する。また、制御部160は、画像処理部140に接続し、画像処理部140からの信号が入力されると共に、画像処理部140に制御信号を送る。また、制御部160は、記録制御部150に接続し、記録制御部150とでメモリカード30へのデータの読み書きを制御する。また、制御部160は、加速度センサ170及び記録ボタン180に接続し、加速度センサ170及び記録ボタン180からの信号が入力される。また、制御部160は、音声制御部190に接続し、音声制御部190に接続されるスピーカ191からの音声データの出力及び音声制御部190に接続されるマイク192からの音声の取得を制御する。また、制御部160はLED193に接続し、LED193の点灯状態を制御する。
【0023】
内部メモリ130は、例えばフラッシュROM等の不揮発性メモリからなる不揮発性領域を備え、ドライブレコーダ10に供給される電源が断たれてドライブレコーダ10の動作が停止した後も、記録されたデータを保持できるように構成されている。また、内部メモリ130はSDRAM等の揮発性メモリからなるバッファ領域を備え、メモリカード30に映像データを記録するとき一次的に映像データを記録するバッファとし用いることができる。
【0024】
また、ドライブレコーダ10は、車両11に加わる加速度を検出して、検出した加速度が所定の閾値を超えた場合に、その旨を制御部160に通知する加速度センサ170と、加速度センサ170によるイベントの発生の検出にかかわらず、ユーザの操作により走行データ及び映像データをメモリカード30に記録させる記録ボタン180と、を備える。制御部160は、加速度センサ170からの通知を受けた場合は、車両11に衝撃等のイベントが発生したと判断して、内部メモリ130のバッファ領域から衝撃発生時刻を含む前後の所定時間の映像データを抽出する。抽出した映像データは、記録制御部150によりメモリカード30に記録される。
【0025】
また、ドライブレコーダ10は、映像データと共に音声をマイク192により取得し、取得した音声データを内部メモリ130又はメモリカード30に記録する音声制御部190を備える。音声制御部190は、記録された音声データを再生してスピーカ191を介して音声を出力させる。また、ドライブレコーダ10は、その点灯状態によりドライブレコーダ10の状態を表示するLED193を備える。
【0026】
制御部160は、画像処理部140によりエンコードされた映像データを、まず内部メモリ130に記録する。制御部160は、内部メモリ130に記録した映像データを、記録制御部150を介してメモリカード30に記録する。
【0027】
また、制御部160は、ドライブレコーダ10の操作の確認音や警報音等を発する場合は、音声制御部190を制御して、対応する音声をスピーカ191から出力させる。
【0028】
また、制御部160は、車両11との図示しないインターフェースを備えて、走行データ(車速、加速度等)を取得して、映像データと共にメモリカード30に記録する。
【0029】
また、制御部160は、メモリカード30の状態やドライブレコーダ10の状態をLED193の点灯状態により表示する。
【0030】
次に、以上のように構成された本発明の実施形態のドライブレコーダ10の動作を説明する。
【0031】
車両11の作動中、ドライブレコーダ10がカメラ12により取得された映像データを、メモリカード30に常時記録する。
【0032】
具体的には、カメラ12により取得された映像信号は、画像処理部140において所定のエンコード方式(例えば、JPEG形式やMPEG形式)にエンコードされる。制御部160は、エンコードされた映像データを内部メモリ130の揮発性メモリの領域に一旦記録する。制御部160は、内部メモリ130に記録された映像データを、所定の時間単位で記録制御部150によりメモリカード30に記録する。
【0033】
映像データはメモリカード30においてファイルとして記録され、所定の時間単位毎に追記される。
【0034】
ここで、メモリカード30は、フラッシュメモリにより構成されているため、書き込み回数に寿命がある。特に、メモリカード30の特定の領域にアクセスが集中する場合は、寿命が短くなる。
【0035】
前述のように、映像データをメモリカード30に常時追記した場合は、メモリカード30への追記処理の度にメモリカード30のデータ管理領域(例えばFATファイルシステムにおけるFAT領域)における書き込み処理が行われる。このため、メモリカード30の特定の領域にアクセスが集中することとなる。メモリカード30のデータ管理領域の書き込み回数が寿命に達した場合は、映像データ自体に異常がないとしても映像データを読み出すことができなくなる可能性がある。
【0036】
そこで、本発明の実施形態では、次のような制御により、メモリカード30の書き込み回数の寿命により映像データの読み出しが不可能となる事態を防止するように構成した。
【0037】
図3は、本発明の実施形態の制御部160が実行するメモリカード30への書き込み処理のフローチャートである。
【0038】
図3に示すフローチャートは、制御部160において、車両11が作動した場合に実行される。制御部160は、例えば運転者がイグニションをONにした場合に、車両11が作動したと判定する。
【0039】
まず、制御部160は、記録制御部150にメモリカード30が既に挿入済みか否かを判定する(ステップS101)。
【0040】
記録制御部150にメモリカード30が挿入されていない場合は、車両11の作動中の映像を記録することができないため、制御部160は、ステップS120に移行して運転者に対してメモリカード30が挿入されていない旨の警報を発する。このとき、制御部160は、LED193を点灯させたり、音声制御部190を制御して、スピーカ191から音声や警報音を出力させる。
【0041】
メモリカード30が記録制御部150に既に挿入済みであると判定した場合は、制御部160は、ステップS102に移行し、記録制御部150によりメモリカード30に対してベンダーユニークコマンドを発行する。制御部160は、発行したベンダーユニークコマンドに対する応答を記録制御部150により受信する(ステップS103)。
【0042】
ベンダーユニークコマンドとは、当該コマンドに対応するメモリカード30が、ベンダーユニークコマンドを受信したときに、ベンダーユニーク情報(例えば製品のシリアル番号)を返す指令である。本実施形態では、ベンダーユニークコマンドに対応するメモリカード30が、ベンダーユニークコマンドを受け取ったときに、当該メモリカード30の書き込み回数を示す情報を応答するようなベンダーユニークコマンドを発行する。
【0043】
メモリカード30からベンダーユニークコマンドに対応する正規のコマンドを受信した場合は、ステップS109に移行して、制御部160は、受信した応答から、メモリカード30の書き込み回数情報を取得する。制御部160は、受信した書き込み回数情報を、当該メモリカード30と一対一に対応する情報であるメモリカード情報とともに内部メモリ130の不揮発性領域に記録する。
【0044】
制御部160は、記録制御部150により受信したベンダーユニークコマンドに対応する応答により結果を判定する(ステップS104)。制御部160は、メモリカード30から受信した応答が正規の応答でない、又はタイムアウトである場合は、エラーであると判定して、ステップS105に移行する。ベンダーユニークコマンドに対応する応答がエラーと判定した場合は、ステップS105に移行し、制御部160は、記録制御部150によりメモリカード30に対してメモリカード情報を取得するためのコマンド(例えばIdentifyコマンド)を発行する。このコマンドは、メモリカード30と一対一に対応付けられたメモリカード情報を取得するためのコマンドであり、一般的なメモリカード30であれば応答可能なコマンドである。
【0045】
制御部160は、発行したコマンドに対応する応答を記録制御部150により受信する(ステップS106)。そして、受信した応答に含まれるメモリカード情報を、内部メモリ130の不揮発性領域に記録する(ステップS107)。
【0046】
次に、制御部160は、内部メモリ130の不揮発性領域に記録したメモリカード情報から、累積書き込み回数情報を参照する(ステップS108)。
【0047】
そして、制御部160は、参照した累積書き込み回数、すなわち、現在挿入されているメモリカード30の累積書き込み回数が、所定の上限値を超えているか否かを判定する(ステップS110)。
【0048】
累積書き込み回数が上限値を超えていると判定した場合は、ステップS113に移行して、制御部160は、挿入されているメモリカード30の書き込み回数が寿命に近いという旨の警報を発する。このとき、制御部160は、LED193を点灯させたり、音声制御部190を制御して、スピーカ191から音声や警報音を出力させる。
【0049】
ステップS113の警報の後、車両11を作動させた場合は、制御部160は、ドライブレコーダ10の設定にかかわらず、挿入されているメモリカード30への書き込みに関する処理を禁止する(ステップS114)。
【0050】
前述のように、フラッシュメモリにより構成されるメモリカード30は、書き込み回数に寿命がある。そのため、車両11を作動させたときに、メモリカード30の累積書き込み回数を予め参照し、累積書き込み回数が寿命に近い場合は警報を発する。これにより、車両11を作動させた後ドライブレコーダ10により映像データが書き込まれることによりメモリカード30の書き込み回数が寿命に達することを防止することができる。
【0051】
なお、上限値は、メモリカード30の記録容量にもよるが、一般的なフラッシュメモリにおいて、一つのセルに2000回以上書き込みが発生した場合に書き込み/読み出しのエラーが発生する可能性が増加することから、例えば1000回を上限値として設定しておく。
【0052】
ステップS110において、挿入されているメモリカード30の累積書き込み回数が所定の上限値以下と判定した場合は、ステップS111に移行して、制御部160は、前述のように、カメラ12により取得された映像データを、所定の時間単位で、メモリカード30のファイルとして記録する。
【0053】
このとき、制御部160は、メモリカード30に対する書き込み処理が発生する度に、内部メモリ130の不揮発性領域に記録されている、当該メモリカード30のメモリカード情報に対応する累積書き込み回数を加算して、累積書き込み回数を更新する(ステップS112)。
【0054】
制御部160は、このステップS111及びステップS112の処理を、映像データの書き込み処理の終了が指示されるまで繰り返す(ステップS115)。そして、車両11の作動の終了や、運転者の指示による映像データの記録の終了指示等により映像データの記録の終了が指示された場合は、本フローチャートの処理を終了する。
【0055】
以上のような処理により、メモリカード30の書き込み回数の寿命に達することを予め防止して、記録される映像データのエラーを未然に防止することができる。
【0056】
図4は、本発明の実施形態の内部メモリ130に記録されるメモリカード情報201と累積書き込み回数202とを示すテーブル200の一例の説明図である。
【0057】
前述のように、制御部160は、ベンダーユニークコマンドに対応していないメモリカード30について、それぞれ、一意のメモリカード情報201と、累積書き込み回数202とを組としたテーブル200を記録する。
【0058】
図4に示す例において、メモリカード情報201が「ID−001」で示されるメモリカード30は、累積書き込み回数202が209回であることが記録されている。また、メモリカード情報201が「ID−002」で示されるメモリカード30は、累積書き込み回数202が1024回であることが記録されている。このID−002に対応するメモリカード30は、既に前述の上限値の例(1000回)を超えているため、次回ドライブレコーダ10にこのメモリカード30が挿入された場合は、ドライブレコーダ10は、制御部160より書き込み回数が上限である旨の警報を通知発し、当該メモリカード30を書き込み禁止とする。
【0059】
なお、メモリカード30が書き込み禁止に制御されている場合にも運転者の指示により書き込みを行うように設定するようにしてもよい。例えば、書き込み禁止とされたメモリカード30が挿入されている場合に記録ボタン180が操作された場合には、書き込み禁止であるか否かにかかわらず記録ボタン180が操作された時刻を含む前後の所定時間の映像データを記録してもよい。この場合、累積書き込み回数202の上限値は余裕を持った値に設定しておくことが好適である。
【0060】
以上説明したように、本発明の実施形態のドライブレコーダ10は、フラッシュメモリからなる挿抜可能なメモリカード30へのデータの記録を制御する記録制御部150と、メモリカード30に関する情報を記録する内部メモリ130と、記録制御部150及び内部メモリ130を制御する制御部160を備えて構成される。
【0061】
そして、制御部160は、メモリカード30に対応する書き込み回数情報を内部メモリ130にテーブルして記録する。また、メモリカード30に映像データを記録する処理が発生したときは、書き込み回数情報をその度に加算するように構成した。
【0062】
このように構成することにより、自身で書き込み回数を制御しないメモリカード30を使用する場合にも、確実に書き込み回数を記録することができるので、書き込み回数の上限に達する前に当該メモリカード30を書き込み禁止する等の処理を行うことにより、書き込み回数の上限によるデータエラーを未然に防ぐことができ、取得した映像データを確実にメモリカード30に記録させるようにすることができる。
【0063】
また、メモリカード30の書き込み回数が所定の上限値を上回った場合は、警報を発するので、ドライブレコーダ10を使用するオペレータ(運転者)に、メモリカード30の書き込み回数の上限が近づいていることを確実に報知できる。
【0064】
また、メモリカード30の書き込み回数の情報は、メモリカード30に一対一に対応させた情報であるメモリカード情報に対応づけて、内部メモリ130の不揮発性領域に記録するので、メモリカード30を挿し換えた場合にも、確実にメモリカード30の書き込み回数を記録することができる。
【0065】
また、メモリカード情報201及び累積書き込み回数情報202は、不揮発性メモリである内部メモリ130に記録するので、車両11の作動が終了してドライブレコーダ10の電源が遮断しても、記録が保持される。この構成により、ドライブレコーダ10に追加のメモリ等の装置を追加することなく、メモリカード情報201及び累積書き込み回数情報202を記録及び保持することができる。
【0066】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1 ドライブレコーダシステム
10 ドライブレコーダ
11 車両
12 カメラ
20 パーソナルコンピュータ(PC)
30 メモリカード
130 内部メモリ
140 画像処理部
150 記録制御部
160 制御部
170 加速度センサ
180 記録ボタン
190 音声制御部
図1
図2
図3
図4